特許第6880275号(P6880275)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6880275配送物運搬システムおよび配送物運搬方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6880275
(24)【登録日】2021年5月7日
(45)【発行日】2021年6月2日
(54)【発明の名称】配送物運搬システムおよび配送物運搬方法
(51)【国際特許分類】
   B65G 69/28 20060101AFI20210524BHJP
   B65G 63/00 20060101ALI20210524BHJP
   B65G 51/02 20060101ALI20210524BHJP
   B65G 1/00 20060101ALI20210524BHJP
   B64C 27/08 20060101ALI20210524BHJP
   B64F 1/36 20170101ALI20210524BHJP
【FI】
   B65G69/28
   B65G63/00 Z
   B65G51/02 Z
   B65G1/00 501Z
   B64C27/08
   B64F1/36
【請求項の数】12
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2020-64662(P2020-64662)
(22)【出願日】2020年3月31日
【審査請求日】2020年4月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】592158969
【氏名又は名称】西武建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137338
【弁理士】
【氏名又は名称】辻田 朋子
(72)【発明者】
【氏名】井上 靖雄
(72)【発明者】
【氏名】二村 憲太郎
(72)【発明者】
【氏名】山川 宏明
(72)【発明者】
【氏名】白石 元幸
(72)【発明者】
【氏名】蛯原 巌
(72)【発明者】
【氏名】長谷部 恒夫
(72)【発明者】
【氏名】川前 勝三郎
(72)【発明者】
【氏名】井戸田 和也
(72)【発明者】
【氏名】栗城 友花
【審査官】 小川 悟史
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2018/0137454(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2017/0011333(US,A1)
【文献】 実開昭60−85530(JP,U)
【文献】 特開平11−59897(JP,A)
【文献】 特開2008−63100(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 69/28
B64C 27/08
B64F 1/36
B65G 1/00
B65G 51/02
B65G 63/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配送物を保持する保持部を有するドローンにより配送物を運搬するシステムであって、
前記配送物が配置される配送物配置場と、前記ドローンが配置されるドローン配置場と、を備え、
前記配送物配置場は、前記配送物を風力により前記ドローン配置場に移動させる、配送物移動手段を有する、配送物運搬システム。
【請求項2】
前記配送物配置場は、前記配送物の周囲を囲い、前記保持部に向かって延びる略筒状の配送物用移動空間を有し、
前記配送物移動手段は、前記配送物用移動空間の延びる方向に沿って風力を発生させる、請求項1に記載の配送物運搬システム。
【請求項3】
前記配送物配置場は、前記ドローン配置場の下方に設けられている、請求項1又は2に記載の配送物運搬システム。
【請求項4】
前記ドローン配置場は、前記ドローンの周囲を囲い、外部に向かって延びることで、前記ドローンを外部の自然風力から保護する略筒状のドローン用移動空間を有する、請求項1〜3の何れかに記載の配送物運搬システム。
【請求項5】
前記ドローン用移動空間は、その先端部が湾曲形成されている、請求項4に記載の配送物運搬システム。
【請求項6】
前記ドローン用移動空間は、その先端部の開口方向を可変可能に構成されている、請求項4又は5に記載の配送物運搬システム。
【請求項7】
配送物を保持する保持部を有するドローンにより配送物を運搬する方法であって、
前記配送物を、前記配送物が配置される配送物配置場と前記ドローンが配置されるドローン配置場との間を移動させる積み降ろし工程と、
前記ドローンを、前記ドローン配置場と前記配送物の配送先との間を移動させる運搬工程と、を備え、
前記積み降ろし工程は、風力により前記配送物を移動させる、配送物運搬方法。
【請求項8】
前記積み降ろし工程は、前記配送物の周囲を囲い、前記保持部に向かって延びる略筒状の配送物用移動空間を介して、前記配送物を移動させる、請求項7に記載の配送物運搬方法。
【請求項9】
前記積み降ろし工程は、前記配送物を、前記ドローン配置場と前記ドローン配置場の下方に設けられている前記配送物配置場との間を移動させる、請求項7又は8に記載の配送物運搬方法。
【請求項10】
前記運搬工程は、前記ドローンの周囲を囲い、外部に向かって延びることで、前記ドローンを外部の自然風力から保護する略筒状のドローン用移動空間を介して、前記ドローンを移動させる、請求項7〜9の何れかに記載の配送物運搬方法。
【請求項11】
前記ドローン用移動空間は、その先端部が湾曲形成されている、請求項10に記載の配送物運搬方法。
【請求項12】
前記ドローン用移動空間は、その先端部の開口方向を可変可能に構成されている、請求項10又は11に記載の配送物運搬方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドローンを用いた配送物運搬システムおよび配送物運搬方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、宅配便取扱個数は増加し、物流量の増加に伴う交通渋滞が問題となっている。また、ドライバーの減少や高齢化による人手不足も加速的に増加し、配送物を早く確実に届ける方法の構築は、経済回復や住民の生活向上のための重要な課題の一つとして認識されている。
【0003】
そこで、車両とは輸送経路の異なる無人航空機(ドローン等)を用いた配送が検討されている。例えば、特許文献1には、無人航空機(UAV)の離着陸に適合するように設計された、無人航空機用複数階層配送センターの技術が記載されている。
【0004】
特許文献1に記載の無人航空機用複数階層配送センターは、都心部及び/または他の人口が密集した都市部に設けることが可能な多数階層に形成された配送センターである。また、配送センターからの物品の少なくとも一部を顧客に関連する場所に配送してもよいUAVに適合するための、1つまたは複数の着陸位置及び1つまたは複数の機動位置を有しており、UAVを用いた配送へ活用することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6518014号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の無人航空機用複数階層配送センターに配送物を集約させ、そこからUAVによる配送を行う場合には、配送物が回収されてから配送先に届くまでの全体的な配送時間が多くかかる問題があった。
【0007】
特に、特許文献1に記載の無人航空機用複数階層配送センターは、UAVが離着陸時に配置されるUAVプラットフォームが、配送センターから突出して伸びている構成となっている。
【0008】
このような構成とすると、強風時や悪天候の場合、UAVの安定した離着陸が困難となり、配送時間に影響を及ぼしてしまう可能性が懸念される。
【0009】
また、特許文献1に記載の無人航空機用複数階層配送センターは、UAVへの荷物の積み込み・荷降ろし手段を作業員やロボット、コンベヤによるものとしている。
【0010】
このような構成とすると、各手段の機動力の面から、荷物の積み込み・積み降ろし工程の迅速性を向上させていくことが困難となり、配送時間を極力短縮することが困難となる可能性が懸念される。
【0011】
本発明は上記のような実状に鑑みてなされたものであり、ドローンを用いた配送物の運搬において、配送物を極力安全かつ迅速に配送先等の任意の場所に運搬するための、配送物運搬システムおよび配送物運搬方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明は、配送物を保持する保持部を有するドローンにより配送物を運搬するシステムであって、
前記配送物が配置される配送物配置場と、前記ドローンが配置されるドローン配置場と、を備え、
前記配送物配置場は、前記配送物を風力により前記ドローン配置場に移動させる、配送物移動手段を有する。
【0013】
本発明によれば、配送物を風力により移動させることで、作業機械での移動を用いた際の、配送物の損傷や、作業員やドローン等による接触事故の発生といったリスクをなくすことができ、配送物を、極力安全かつ迅速に配送先等の任意の場所に運搬することが可能となる。
【0014】
本発明の好ましい形態では、前記配送物配置場は、前記配送物の周囲を囲い、前記保持部に向かって延びる略筒状の配送物用移動空間を有し、前記配送物移動手段は、前記配送物用移動空間の延びる方向に沿って風力を発生させる。
【0015】
このような構成とすることで、配送物の適切な移動ルートが確保されるため、積み降ろしの際のミスを抑制することができ、迅速な運搬作業が可能となる。
【0016】
本発明の好ましい形態では、前記配送物配置場は、前記ドローン配置場の下方に設けられている。
【0017】
このような構成とすることで、荷降ろしの際に、重力を利用して、配送物を配送物配置場に移動させることができ、作業員の負担を低減させることが可能となる。
【0018】
本発明の好ましい形態では、前記ドローン配置場は、前記ドローンの周囲を囲い、外部に向かって延びることで、前記ドローンを外部の自然風力から保護する略筒状のドローン用移動空間を有する。
【0019】
このような構成とすることで、強風や豪雨等悪天候の場合であっても、ドローンの離着陸時の安全性を確保することが可能となる。
【0020】
本発明の好ましい形態では、前記ドローン用移動空間は、その先端部が湾曲形成されている。
【0021】
このような構成とすることで、配送先の方角等に合わせて、ドローンをスムーズに離陸させ、配送先に向かわせることが可能となる。
【0022】
本発明の好ましい形態では、前記ドローン用移動空間は、その先端部の開口方向を可変可能に構成されている。
【0023】
このような構成とすることで、外部の風向き等に合わせて、開口方向を可変させ、ドローンの安全性やスムーズな離着陸動作を担保することが可能となる。
【0024】
また、本発明は、配送物を保持する保持部を有するドローンにより配送物を運搬する方法であって、
前記配送物を、前記配送物が配置される配送物配置場と前記ドローンが配置されるドローン配置場との間を移動させる積み降ろし工程と、
前記ドローンを、前記ドローン配置場と前記配送物の配送先との間を移動させる運搬工程と、を備え、
前記積み降ろし工程は、風力により前記配送物を移動させる。
【0025】
この態様において、前記積み降ろし工程は、前記配送物の周囲を囲い、前記保持部に向かって延びる略筒状の配送物用移動空間を介して、前記配送物を移動させる。
【0026】
この態様において、前記積み降ろし工程は、前記配送物を、前記ドローン配置場と前記ドローン配置場の下方に設けられている前記配送物配置場との間を移動させる。
【0027】
この態様において、前記運搬工程は、前記ドローンの周囲を囲い、外部に向かって延びることで、前記ドローンを外部の自然風力から保護する略筒状のドローン用移動空間を介して、前記ドローンを移動させる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、ドローンを用いた配送物の運搬において、配送物を極力安全かつ迅速に配送先等の任意の場所に運搬するための、配送物運搬システムおよび配送物運搬方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本実施形態に係る配送物運搬システムを説明するための図であって、(a)配送物運搬システムの正面図、(b)配送物運搬システムに用いられるドローンの概略図である。
図2】本実施形態に係る配送物運搬システムに用いられる載置台を示す図であって、(a)平面図、(b)正面図である。
図3】本実施形態に係る配送物運搬システムに用いられる可変手段本体の概略図斜視図である。
図4】本実施形態に係る配送物運搬システムに用いられる可変手段本体を示す図であって、(a)平面図、(b)QQ´線断面図である。
図5】本実施形態に係る配送物運搬方法の利用態様を説明するための図である。
図6】本実施形態に係る配送物運搬方法の利用態様を説明するための図である。
図7】本実施形態に係る配送物運搬方法の利用態様を説明するための図である。
図8】本実施形態に係る配送物運搬方法の利用態様を説明するための図である。
図9】本実施形態に係る配送物運搬方法の利用態様を説明するための図である。
図10】本実施形態に係る配送物運搬方法のフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を用いて、本発明の実施形態に係る配送物運搬システムについて説明する。
なお、以下に示す実施形態は本発明の一例であり、本発明を以下の実施形態に限定するものではない。また、これらの図において、符号Wは、本実施形態に係る配送物運搬システムWを示す。
【0031】
図1(a)に示すように、配送物運搬システムWは、配送物pを保持する保持部X1を有するドローンXにより配送物pを運搬するシステムであって、配送物pが配置される配送物配置場1と、ドローンXが配置されるドローン配置場2と、を備えている。
【0032】
また、配送物配置場1とドローン配置場2とにより階層構造が形成されており、配送物配置場1の直上の階として、ドローン配置場2が設けられている。
なお、ドローン配置場2は、例えば建物の屋上階であり、外部環境に曝露されている。
【0033】
配送物配置場1は、配送物pを風力によりドローン配置場2に移動させる、配送物移動手段Aと、配送物pの周囲を囲い、保持部X1に向かって延びる略円筒状の配送物用移動空間Bと、を有する。
【0034】
配送物移動手段Aは、風力発生手段A1と、移送手段A2と、を含む。
【0035】
風力発生手段A1には、風力発生手段A1の上部から突出し、下方に向かって開口する、略L字状の配管A1aが設けられている。
なお、風力発生手段A1は、例えば一般的な電気駆動式のエアーコンプレッサーであり、配管A1aを介して外部にエアーが噴出される。
【0036】
移送手段A2は、配送物pが載置される載置台A2aが設けられ、配送物配置場1内を自由に移動可能な昇降台車として構成されている。
なお、移送手段A2として、例えば、プログラムによる障害物回避が可能であり、遠隔操作により昇降動作が可能な、自走式の電動油圧式昇降台車を用いることが好ましい。これにより、作業員との接触等による事故のリスクの低下や、人員の削減を行うことができる。自走方式としては、追従式やライン走行、完全自動方式等、様々な方法が存在するが適切な方法を選択して用いることができる。
【0037】
配送物用移動空間Bは、その一方の開口端が、配送物配置場1の天井面F1(ドローン配置場2の床面F2と反対側の面)に固定されており、配送物配置場1の天井面から鉛直下方に突出して構成されている。
また、配送物用移動空間Bの長さは、その他方の開口端と配送物配置場1の床面との間に移送手段A2が入り込める程度の長さに構成されている。
【0038】
ドローン配置場2は、略円筒状のドローン用移動空間Cと、ドローン用移動空間Cの開口方向を可変させる開口方向可変手段Dと、を有する。
【0039】
ドローン用移動空間Cは、ドローンXの周囲を囲い、上下方向に延びることで、ドローンXを外部の自然風力から保護するように構成されている。
また、ドローン用移動空間Cは、その先端が湾曲して形成されていることで、先端側の開口方向と基端側の開口方向とのなす角が、略90度に構成されている。
さらに、ドローン用移動空間Cは、その基端が、後述する可変手段本体D1に固定されることで、可変手段本体D1を介して配送物用移動空間Bと連通している。
【0040】
開口方向可変手段Dは、後述する可変手段本体D1と、可変手段本体D1に設けられたカムシャフトD1bを駆動させるための可変手段駆動部D2と、含む。
【0041】
なお、本実施形態において、配送物運搬システムWが、配送物用移動空間Bと、これに連通するドローン用移動空間Cと、をそれぞれ2つ有している例を示すが、これに限定されず、幾つであっても良い。例えば、配送物用移動空間Bについて、下方に向かって開口する開口端を1つとし、途中で複数に分岐、湾曲させることで、上方に向かって開口する開口端を複数形成し、この複数の開口端により、複数の各ドローン用移動空間Cに連通させるような構成としても良い。
また、開口方向可変手段Dの数も、2つに限定されず、ドローン用移動空間Cの数等に応じて、柔軟に変更可能である。
【0042】
図1(b)に示すように、ドローンXは、その下部に配送物pを保持可能な一対の保持部X1を有する。
一対の保持部X1がそれぞれ内側に向かって移動し配送物pを挟持することで、配送物pがドローンXに保持される。
【0043】
なお、保持部X1は、本実施形態において示すようなアーム状のものに限定されず、例えば、ドローンXと配送物pとにそれぞれ設けられた磁石により磁着させる構成等、不意の落下を防止できる程度の保持力を維持できる構成であれば、どのような構成であっても良い。また、ドローンXは、GPS(登録商標)等による飛行制御手段(図示せず)を有している。さらに、ドローンXは、適宜カメラを有していても良いし、保持部X1や飛行制御手段を有している構成であれば、配送先までの距離や配送物pの重量等を考慮し、他の構成について異なるドローンXを複数用いても良い。
【0044】
以下、図2図4を用いて、配送物運搬システムWが有する構成部材の詳細について説明する。
【0045】
図2に示すように、載置台A2aには、風力発生手段A1から供給されたエアーが通過する流路rと、流路rと配管A1aとを連通させる接続管jと、流路rと各配送物用移動空間Bとを連通させる噴出口eと、が設けられている。
即ち、流路rは、図2(b)に示すように、接続管jが設けられている側から途中で二股に分岐し、その各開口端が噴出口eとして構成されている。
なお、図2において、流路rは点線で示している。
【0046】
接続管jの外周面にはカプラー(図示せず)が設けられ、配管A1aの内部に挿入することで、配管A1aと接続管jとは、エアーが外部に漏れないように気密に接続される。
【0047】
各噴出口eにおいて、図2(a)に示す距離d3(各噴出口eの中心間の距離)が、図1(a)に示す距離d1(各配送物用移動空間B間の距離)と略同一に構成されている。
また、各噴出口eにおいて、図2(a)に示す距離d4(一方の噴出口eと接続管jとの間の距離)が、図1(a)に示す距離d2(一方の配送物用移動空間Bと配管A1aとの間の距離)と略同一に構成されている。
なお、各噴出口eの数は、本実施形態における配送物用移動空間Bの数に対応させ2つとしたが、配送物用移動空間Bの数の変更に合わせて、流路rの形態と共に当然に変更可能であるし、その配置態様も、配送物用移動空間B間の距離等に合わせて、それぞれが同時に配送物用移動空間Bに連通するように、当然に変更可能である。
【0048】
図3及び図4に示すように、可変手段本体D1には、ドローン用移動空間Cの基端が固定される可変手段本体主部D1aと、カムシャフトD1bと、可変手段本体主部D1aを支持する軸受けD1cと、が設けられている。
なお、図3及び図4において、ドローン用移動空間C、配送物配置場1の天井面F1及びドローン配置場2の床面F2は、点線で示している。
【0049】
可変手段本体主部D1aには、その中央に、配送物用移動空間Bとドローン用移動空間Cとを連通させる連通用孔Hが設けられた略円柱状に構成され、その側面に複数のカムフォロアcfが設けられている。
【0050】
複数のカムフォロアcfは、略円柱状に構成され、可変手段本体主部D1aの側面から可変手段本体主部D1aの径方向に向かって突出し、かつ周方向に沿って略等間隔に配置されている。
【0051】
カムシャフトD1bには、複数のカムフォロアcfと係合する、螺旋状に旋回させられたカムcaが設けられている。
【0052】
軸受けD1cは、スラスト軸受けであり、その上面には、可変手段本体主部D1aの底面が固定されている。
【0053】
可変手段本体主部D1aと、カムシャフトD1bと、軸受けD1cと、をこのように構成することで、可変手段駆動部D2によりカムシャフトD1bをその軸周りに回転させると、カムcaが順次複数のカムフォロアcfに係合していき、軸受けD1cにより、可変手段本体主部D1a及びこれに固定されたドローン用移動空間Cが、滑らかに回転する。
【0054】
以下、図5図9を用いて、本実施形態に係る配送物運搬システムWを用いた配送物運搬方法Sの利用態様について説明する。
なお、図5図8において、配送物用移動空間B及びドローン用移動空間Cを、縦断面図で示している。
【0055】
まず、本実施形態に係る配送物運搬方法Sでは、配送物pを、配送物配置場1とドローン配置場2との間を移動させる、積み降ろし工程S1を行う。
図5図7(a)において示す積み降ろし工程S1は、配送物pを移送する移送工程S11と、流路rと配送物用移動空間Bとを連通させる連通工程S12と、配送物pを風力により移動させる配置場間移動工程S13と、配送物pをドローンXに積み込む積み込み工程S14と、を含む。
【0056】
移送工程S11では、図5(a)、図5(b)に示すように、載置台A2aに各配送物pが載置された移送手段A2が、配送物用移動空間Bの下方に移動させられる(矢印a1)。
【0057】
このとき、各配送物pは、各噴出口eの直上に載置されている。また、移送手段A2は、配管A1aと接続管jが対向する位置まで移動させられる。
なお、移送工程S11以前の、各配送物pを載置台A2aへ載置する工程については、作業員による手作業でも良いし、例えば、配送物配置場1の天井面F1に沿って移動可能なロボットアームやマテリアルハンド、負圧パッド等により行っても良い。
【0058】
連通工程S12では、図5(b)、図6(a)に示すように、載置台A2aを上昇させ(矢印a2)、流路rと配送物用移動空間Bとを連通させる。
【0059】
このとき、配送物pが配送物用移動空間B内部に配置される状態となる。また、載置台A2aの上昇により、接続管jが配管A1aの内部に挿入され、これらが気密に連結される。
なお、配管A1aと接続管jとが連結された際、配送物用移動空間Bの開口端と載置台A2aの載置面とが接するように、配管A1aと接続管jとの連結位置が調節されていることが好ましい。
【0060】
配置場間移動工程S13では、図6(b)に示すように、風力発生手段A1により噴出されたエアーが、配管A1a及び接続管jを通り流路rに流入し、各噴出口eから噴出される(矢印a3)。
【0061】
これにより、配送物pが、エアーの風力で上方に押し上げられ、配送物用移動空間B及び連通用孔Hを通過し、配送物配置場1からドローン配置場2(ドローン用移動空間Cの内部)へ移動する。
【0062】
積み込み工程S14では、図7(a)に示すように、ドローン用移動空間Cの内部へ移動した配送物pが、風力により、そのまま一対の保持部X1の間に配置され(矢印a4)、一対の保持部X1により挟持されることで、ドローンXに保持される。
【0063】
次に、本実施形態に係る配送物運搬方法Sでは、ドローンXを、ドローン配置場2と配送物pの配送先との間を移動させる運搬工程S2を行う。
【0064】
運搬工程S2では、図7(b)に示すように、積み込み工程S1により配送物pが積み込まれたドローンXを、ドローン用移動空間Cの延びる方向に沿って飛行させ、先端の開口を介して外部に放出し(矢印a5)、配送先まで飛行させる。
なお、ドローンXの飛行は自動操縦や自立飛行可能であることが好ましく、ルート等をあらかじめ定めて記憶させ、GPS(登録商標)により制御する方法等を例示することができる。また、操縦者を設けて操縦することも当然に可能である。なお、自動操縦や自立飛行方法としてGPS(登録商標)を用いない方法を適用することもできる。
【0065】
次に、本実施形態に係る配送物運搬方法Sでは、他の配送物pを配送する準備を行うための準備工程S3を行う。
【0066】
準備工程S3では、図8(a)に示すように、配管A1aと接続管jとの連結状態を解除し、載置台A2aを下降させ(矢印a6)、図8(b)に示すように、移送手段A2を、他の配送物pを載置可能な場所まで移動させる(矢印a7)。
また、他のドローンXを、ドローン用移動空間Cの先端の開口を介して、ドローン用移動空間Cの内部に入れ、ドローン配置場2の床面F2(可変手段本体主部D1aの表面)に着地させる(矢印a8)。
なお、配管A1aと接続管jとの連結状態を解除は、作業員による手作業でも良いし、遠隔操作やプログラム等により、機械的に解除される構成としても良い。
【0067】
ここで、図5図7においては、配送物pを、配送物配置場1から配送先へ運搬する場合について図示したが、配送物運搬システムWは、これとは逆に、配送物pを、任意の場所から配送物配置場1へ運搬する場合にも、当然に適用することができる。
この場合の配送物運搬方法Sの流れについて、以下で説明する。なお、この場合、配送物運搬方法Sは、運搬工程S1´、積み降ろし工程S2´、準備工程S3´の順に実施される。
【0068】
まず、運搬工程S1´では、任意の場所で配送物pが積み込まれたドローンXを飛行させ、ドローン用移動空間Cの先端の開口を介して、ドローン用移動空間Cの内部に入れ、ドローン配置場2の床面F2(可変手段本体主部D1aの表面)に着地させる
【0069】
次に、配送物pを、配送物配置場1とドローン配置場2との間を移動させる積み降ろし工程S2´を行う。
積み降ろし工程S2´は、流路rと配送物用移動空間Bとを連通させる連通工程S21´と、配送物pをドローンXから降ろす荷降ろし工程S22´と、配送物pを風力により移動させる配置場間移動工程S23´と、配送物pを移送する移送工程S24´と、を含む。
【0070】
連通工程S21´では、図5図6(a)に示したように、配送物pが配置されていない移送手段A2を、配送物用移動空間Bの下方に移動させ、載置台A2aを上昇させることで、流路rと配送物用移動空間Bとを連通させ、また、配管A1aと接続管jとを接続させる。
【0071】
荷降ろし工程S22´では、一対の保持部X1を離間させ、ドローンXから配送物pを離す。
【0072】
このとき、本実施形態のように、配送物用移動空間Bが上下方向に伸びる一直線上の内部空間を形成している場合、重力により自然に載置台A2aに落下することとなるが、内部空間が湾曲しているような場合、配置場間移動工程S23´を実施する。
【0073】
即ち、配置場間移動工程S23´では、風力発生手段A1によりエアーを吸引し、この際に生じる風力でもって、配送物pを、配送物用移動空間Bの内部空間から載置台A2aまで移動させる。
また、配送物pの重量によっては、風力発生手段A1によりエアーを噴出することで、エアーを重力による落下に対向させ、クッションの役割とし、安全に載置台A2aまで移動させることもできる。
この他、配送物pの安全性を担保するために、噴出口eの周縁にクッション材を設けておく構成を採用しても良い。
【0074】
移送工程S24´では、配管A1aと接続管jとの連結状態を解除し、配送物pが載置された載置台A2aを下降させ、移送手段A2を、配送物pが載置台A2aから荷降ろし可能な場所まで移動させる。
【0075】
次に、準備工程S3´では、ドローン用移動空間C内部のドローンXを飛行させ、外部に放出することで、他の配送物pを保持したドローンXのための空間を、ドローン用移動空間C内部に確保しておく。
【0076】
図9は、開口方向可変手段Dを用いて、ドローン用移動空間Cの先端の開口方向を変更した際の概略図である。
即ち、図9では、開口方向可変手段Dにより、配送物用移動空間Bの軸方向周りに、ドローン用移動空間Cを回転させ(矢印a9)、左方の配送物用移動空間Bの開口方向を正面側に、右方の配送物用移動空間Bの開口方向を背面側に変更させている。
また、作業員は、カムシャフトD1bの回転数を制御することにより、図9に示す状態に限られず、ドローン用移動空間Cの先端の開口方向を、任意の方向に変更することができる。
【0077】
図10は、上記した配送物運搬方法Sの流れを示すフローチャートである。
図10(a)は、配送物pを、配送物配置場1から配送先へ運搬する場合のフローチャート、図10(b)は、配送物pを、任意の場所から配送物配置場1へ運搬する場合のフローチャートである。
【0078】
本実施形態によれば、配送物pを風力により移動させることで、作業機械での移動を用いた際の、配送物pの損傷や、作業員やドローンX等による接触事故の発生といったリスクをなくすことができ、配送物pを、極力安全かつ迅速に配送先等の任意の場所に運搬することが可能となる。
【0079】
また、配送物用移動空間Bにより、配送物pの適切な移動ルートが確保されるため、積み降ろしの際のミスを抑制することができ、迅速な運搬作業が可能となる。
【0080】
また、配送物配置場1がドローン配置場2の下方に設けられていることで、荷降ろしの際に、重力を利用して、配送物pを配送物配置場1に移動させることができ、作業員の負担を低減させることが可能となる。
【0081】
また、ドローン用移動空間Cにより、強風や豪雨等悪天候の場合であっても、ドローンXの離着陸時の安全性を確保することが可能となる。
【0082】
また、ドローン用移動空間Cの先端部が湾曲形成されていることで、配送先の方角等に合わせて、ドローンXをスムーズに離陸させ、配送先に向かわせることが可能となる。
【0083】
また、ドローン用移動空間Cの先端部の開口方向を可変可能に構成されていることで、外部の風向き等に合わせて、開口方向を可変させ、ドローンXの安全性やスムーズな離着陸動作を担保することが可能となる。
【0084】
なお、上述の実施形態において示した各構成部材の諸形状や寸法等は一例であって、設計要求等に基づき種々変更可能である。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明は、特に、鉄道等輸送機器の停留場といった既存設備に導入することで、輸送機器による配送物の運搬とを組み合わせた物流システムを実現することができ、物流の発展に大きく貢献できることから、産業上の利用可能性が極めて高いものである。
【符号の説明】
【0086】
W 配送物運搬システム
X ドローン
X1 保持部
p 配送物
1 配送物配置場
A 配送物移動手段
A1 風力発生手段
A1a 配管
A2 移送手段
A2a 載置台
r 流路
j 接続管
e 噴出口
F1 天井面
B 配送物用移動空間
2 ドローン配置場
C ドローン用移動空間
D 開口方向可変手段
D1 可変手段本体
D1a 可変手段本体主部
H 連通用孔
cf カムフォロア
D1b カムシャフト
ca カム
D1c 軸受け
D2 可変手段駆動部
F2 床面
S 配送物運搬方法
【要約】
【課題】ドローンを用いた配送物の運搬において、配送物を極力安全かつ迅速に配送先等の任意の場所に運搬するための、配送物運搬システムおよび配送物運搬方法を提供する。
【解決手段】配送物pを保持する保持部X1を有するドローンXにより配送物pを運搬するシステムであって、配送物pが配置される配送物配置場1と、ドローンXが配置されるドローン配置場2と、を備え、配送物配置場1は、配送物pを風力によりドローン配置場2に移動させる、配送物移動手段Aを有する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10