(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記接続流路の上流側に接続される前記第1流路又は前記第2流路の流路面積は、前記接続流路の下流側に接続される前記第1流路又は前記第2流路の流路面積よりも小さい請求項1に記載の蒸発器。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本開示に係る蒸発器の一実施形態について、図面を参照して説明する。
〔第1実施形態〕
以下、本開示の第1実施形態について、
図1を用いて説明する。なお、以下の説明及び図面では、鉛直上下方向をZ軸方向とし、伝熱管の延在する方向をX軸方向とし、Z軸方向及びX軸方向と直交する方向をY軸方向として説明する。
【0012】
本実施形態に係る蒸発器10は、ターボ冷凍装置に適用される。ターボ冷凍装置は、冷媒を圧縮するターボ圧縮機(図示省略)と、ターボ圧縮機で昇圧された冷媒を凝縮する凝縮器(図示省略)と、凝縮器で凝縮された冷媒を膨張させる膨張弁(図示省略)と、膨張弁で減圧された冷媒を蒸発させる蒸発器等を備えて、ユニット状に構成されている。各装置は、冷媒が流通する配管によって接続されている。冷媒としては、例えば、最高圧力0.2MPaG未満で使用されるR1233zd等の低圧冷媒当が用いられる。なお、適用可能な冷媒は、低圧冷媒に限定されない。例えば、冷媒として、高圧冷媒を用いてもよい。
【0013】
図1に示すように、蒸発器10は、外殻を為す圧力容器(筐体)11と、圧力容器11の内部へ冷媒を導入する冷媒入口管12と、冷媒入口管12の下方に設けられる冷媒トレイ(冷媒供給部)13と、圧力容器11の下部に貯留される液相の冷媒に浸漬している満液式伝熱管群(第1伝熱管群)14と、圧力容器11の下部に貯留される液相の冷媒の液面S(
図2及び
図3参照)よりも上方に設けられる液膜式伝熱管群(第2伝熱管群)15と、蒸発した冷媒を圧力容器11から排出する冷媒出口管(冷媒出口)16と、液膜式伝熱管群15を側方から覆う邪魔板17と、満液式伝熱管群14と液膜式伝熱管群15で蒸発した冷媒を冷媒出口管16まで導く気液分離流路(流路)20と、を有している。
【0014】
圧力容器11は、中心軸線がX軸方向に沿って延在する円筒部11aと、該円筒部11aの中心軸線に沿う方向(X軸方向)の両端部を閉鎖する2枚の管板(図示省略)とを一体的に有する。円筒部11aは、中心軸線が略水平となるように配置されている。各管板は、円盤状の板材である。また、圧力容器11の下部には液相の冷媒が貯留している。以下では、液相の冷媒が貯留されている領域を貯留部11cと称する。
なお、以下の説明において、単に「内側」及び「外側」と称した場合には、円筒部11aの中心軸線を基準とした「内側」及び「外側」を意味する。すなわち、「内側」は、円筒部11aの中心軸線側を意味し、「外側」は、円筒部11aの内周面側を意味する。
【0015】
冷媒入口管12は、上下方向に延びる円筒状の部材であって、略直線状に形成されている。冷媒入口管12は、円筒部11aの上部を上下方向に貫通するように設けられている。冷媒入口管12は、円筒部11aのX軸方向の略中央に設けられている。冷媒入口管12は、蒸発器10と膨張弁とを接続する配管(図示省略)と接続されている。すなわち、膨張弁で膨張した冷媒は、冷媒入口管12を介して、圧力容器11の内部へ導かれる。
【0016】
冷媒トレイ13は、略矩形板状の部材である。冷媒トレイ13は、圧力容器11の内部の上部に、板面が略水平となるように配置されている。また、冷媒トレイ13は、冷媒入口管12の下端と板面が対向するように設けられた。冷媒トレイ13は、Y軸方向の両端部が圧力容器11の円筒部11aの内周面から所定距離だけ離間して配置されている。また、冷媒トレイ13は、圧力容器11のX軸方向の略全域に亘って設けられている。冷媒トレイ13のX軸方向の両端部は、各々、菅板に固定されている。冷媒トレイ13には、上下方向に貫通する多数の孔が形成されている。多数の孔は、冷媒トレイ13の略全域に形成されている。冷媒入口管12から吐出された液冷媒は、冷媒トレイ13上に排出される。冷媒トレイ13に排出された冷媒は、冷媒トレイ13の上面を流れ、その後に多数の孔を通って下方へ落下する。このようにして、冷媒トレイ13は、冷媒入口管12から供給された冷媒をX軸方向及びY軸方向へ分配している。
【0017】
満液式伝熱管群14は、圧力容器11に収容されている。また、満液式伝熱管群14は、貯留部11cに貯留されている冷媒に浸漬している。すなわち、貯留する冷媒の液面Sよりも下方に配置されている。満液式伝熱管群14は、X軸方向に沿って延在する複数の第1伝熱管14aを有する。複数の第1伝熱管14aは、略平行に配置されている。複数の第1伝熱管14aは、上下方向(Z軸方向)及びY軸方向に所定の間隔で並んで配置されている。詳細には、複数の第1伝熱管14aは、上下方向に複数段並んでいるとともに、Y軸方向に複数列並んでいる。各第1伝熱管14aの内部には、被冷却媒体としての水(以下、「被冷却水」と称する)が流通している。また、各第1伝熱管14aは、直線状に形成されている。また、各第1伝熱管14aは、圧力容器11のX軸方向の一端から他端まで延びていて、各管板を貫通している。
【0018】
液膜式伝熱管群15は、圧力容器11に収容されている。液膜式伝熱管群15は、貯留する冷媒の液面Sよりも上方に配置されている。液膜式伝熱管群15は、X軸方向に沿って延在する複数の第2伝熱管15aを有する。複数の第2伝熱管15aは、略平行に配置されている。複数の第2伝熱管15aは、上下方向(Z軸方向)及びY軸方向に所定の間隔で並んで配置されている。詳細には、複数の第2伝熱管15aは、上下方向に複数段並んでいるとともに、Y軸方向に複数列並んでいる。各第2伝熱管15aの内部には、被冷却媒体としての水が流通している。また、各第2伝熱管15aは、直線状に形成されている。また、各第2伝熱管15aは、圧力容器11のX軸方向の一端から他端まで延びていて、各管板を貫通している。
【0019】
冷媒出口管16は、Z軸方向に対して傾斜するように延びる円筒状の部材である。冷媒出口管16は、円筒部11aの上部に形成された開口と連通するように設けられている。冷媒出口管16は、円筒部11aのX軸方向の端部側に設けられている。すなわち、冷媒出口管16は、圧力容器11の管板の近傍に設けられている。蒸発器10で蒸発した冷媒は、冷媒出口管16を介して、圧力容器11の外部へ排出される。
【0020】
邪魔板17は、板面が鉛直面となるように配置された平板状の部材である。邪魔板17は、液膜式伝熱管群15の両側方に配置されている。すなわち、邪魔板17は、液膜式伝熱管群15のY軸方向の外側に配置されている。各邪魔板17は、板面が液膜式伝熱管群15に対向するように、配置されている。邪魔板17は、冷媒トレイ13のY軸方向の両端部から下方へ所定距離延びている。邪魔板17の下端は、液膜式伝熱管群15の下端よりも上方に位置している。また、邪魔板17は、液膜式伝熱管群15に沿って、圧力容器11のX軸方向の略全域に亘って延在している。なお、邪魔板17は、X軸方向の一部のみに設けてもよい。
【0021】
気液分離流路20は、満液式伝熱管群14で蒸発した冷媒及び、液膜式伝熱管群15で蒸発した冷媒を冷媒出口管16まで導く流路である。なお、冷媒入口管12から圧力容器11内に流入した冷媒が気相の冷媒を含んでいる。気液分離流路は、冷媒入口管12及び冷媒トレイ13を介して液膜式伝熱管群15が配置されている空間に流入した気相の冷媒を冷媒出口管16まで導いてもよい。
気液分離流路20は、液膜式伝熱管群15の両側方に設けられている。2つの気液分離流路20は、圧力容器の中心軸線を通るXZ平面を基準として、対称に設けれているので、以下の説明では、一方の気液分離流路20の説明をし、もう一方の気液分離流路20の説明を省略する。
気液分離流路20は、邪魔板17のY軸方向の外側に配置される平板状の第1流路規定部21と、第1流路規定部21のY軸方向の外側に配置される板状の第2流路規定部22と、を有する。気液分離流路20は、圧力容器11のX軸方向の略全域に亘って設けられている。
【0022】
第1流路規定部21は、邪魔板17と対向するように配置されている。第1流路規定部21は、板面が鉛直面となるように配置されている。第1流路規定部21と邪魔板17とは、離間している。第1流路規定部21と邪魔板17との間には、主に液膜式伝熱管群15で蒸発した冷媒が流通する上昇流路23が形成されている。すなわち、上昇流路23は、第1流路規定部21の板面と邪魔板17の板面とによって規定されている。
第1流路規定部21の下端は、貯留部11cに貯留されている冷媒の液面Sよりも下方に位置している。また、第1流路規定部21の下端は、圧力容器11の内周面から離間している。すなわち、第1流路規定部21の下端と圧力容器11の内周面との間には、隙間Gが形成されている。第1流路規定部21の上端は、邪魔板17の上端よりも下方であって、邪魔板17の下端よりも上方に位置している。詳細には、第1流路規定部21の上端は、邪魔板17のZ軸方向の中央部近傍と略同じ高さに位置している。
また、第1流路規定部21の上端部には、流通する冷媒の剥離を防止するために、第1剥離防止部27が設けられている。第1剥離防止部27は、第1流路規定部21の外側の板面から突出している。
【0023】
第2流路規定部22は、冷媒トレイ13のY軸方向の端部から外側下方へ湾曲して延びる湾曲部22aと、湾曲部22aの下端から下方へ延びる鉛直部22bと、を一体的に有している。
【0024】
湾曲部22aは、第1流路規定部21の上方に配置されている。湾曲部22aの下方には、上昇流路23と、後述する下降流路24とを接続する接続流路25が形成されている。
【0025】
鉛直部22bは、第1流路規定部21のY軸方向の外側に配置されている。鉛直部22bは、第1流路規定部21と対向するように配置されている。鉛直部22bは、板面が鉛直面となるように配置されている。鉛直部22bと第1流路規定部21とは、離間している。鉛直部22bと第1流路規定部21とが離間する距離は、第1流路規定部21と邪魔板17とが離間する距離よりも長い。鉛直部22bと第1流路規定部21との間には、主に液膜式伝熱管群15で蒸発した冷媒が流通する下降流路24が形成されている。すなわち、下降流路24は、鉛直部22bの板面と第1流路規定部21の板面とによって規定されている。上述のように、鉛直部22bと第1流路規定部21とが離間する距離は、第1流路規定部21と邪魔板17とが離間する距離よりも長い。したがって、上昇流路23の流路面積は、下降流路24の流路面積よりも小さい。
【0026】
また、鉛直部22bの外側の板面は、円筒部11aの内周面と対向している。鉛直部22bと円筒部11aとの間には、主に液膜式伝熱管群15で蒸発した冷媒が流通する圧力容器流路(筐体流路)26が形成されている。すなわち、圧力容器流路26は、鉛直部22bの板面と円筒部11aの内周面とによって規定されている。圧力容器流路26は、流入する冷媒が衝突する位置に圧力容器11の内周面(
図1のP参照)が位置するように形成されている。また、鉛直部22bと円筒部11aの内周面とが離間する距離は、鉛直部22bと第1流路規定部21とが離間する距離よりも長い。したがって、圧力容器流路26の流路面積は、下降流路24の流路面積よりも大きい。
【0027】
鉛直部22bの下端は、第1流路規定部21の下端よりも上方に位置している。鉛直部22bの下端は、第1流路規定部21の上端よりも下方に位置している。
また、鉛直部22bの下端部には、流通する冷媒の剥離を防止するために、第2剥離防止部28が設けられている。第2剥離防止部28は、鉛直部22bの外側の板面から突出している。
【0028】
以上のように構成された蒸発器10において、冷媒は以下のように流通する。
図1に示すように、蒸発器10では、冷媒入口管12から圧力容器11の内部に流入する。圧力容器11内に流入した冷媒は、冷媒トレイ13によって圧力容器11のX軸方向及びY軸方向に分散した後、冷媒トレイ13に形成された多数の孔を通過して下方へ落下する。
冷媒トレイ13から落下した液相状の冷媒は、液膜式伝熱管群15の最上段に配置された第2伝熱管15aと接触し、第2伝熱管15aの外周面を膜状に覆う。第2伝熱管15aの外周面を膜状に覆った冷媒は、第2伝熱管15aの内部の被冷却水と熱交換を行う。熱交換により沸点を超えた冷媒は蒸発するとともに、沸点を超えなかった冷媒はさらに下方に配置された第2伝熱管15aへと落下する。このような熱交換を連続的に繰り返す。最も下部に配置された第2伝熱管15a内の水との熱交換でも蒸発しなかった冷媒は、圧力容器11の下部に設けられた貯留部11cに貯留される。このようにして、圧力容器11の内部の貯留部11cで液相の冷媒のプールが形成される。この冷媒プールの液面Sのレベルは、所定の高さとなるように自動調整される。
【0029】
一方、液膜式伝熱管群15で蒸発した冷媒は、矢印A1に示すように、邪魔板17の下端を迂回して上昇流路23に流入する。上昇流路23に流入した冷媒は、上昇流路23内を下方から上方へ流通する。上昇流路23を流通した冷媒は、上昇流路23の上端から接続流路25に流入する。接続流路25に流入した冷媒は、矢印A2で示すように、流通方向を折り返す。接続流路25で折り返した冷媒は、下降流路24に流入する。下降流路24に流入した冷媒は、矢印A3で示すように、下降流路24内を上方から下方へ流通する。第2流路から排出された冷媒は、第2流路規定部22の鉛直部22bの下端を迂回して上方へ向かう。このとき、第2流路から排出された冷媒は、矢印A4で示すように、圧力容器11の円筒部11aの内周面の衝突位置Pに衝突する。衝突位置Pに衝突した冷媒は、矢印A5で示すように、圧力容器流路26内を円筒部11aの内周面に沿って上方へ移動し、冷媒トレイ13の上方の空間へ流入する。冷媒トレイ13の上方の空間に流入した冷媒は、冷媒出口管16に導かれ、圧力容器11の外部へ排出される。冷媒出口管16から排出された冷媒は、ターボ圧縮機に吸入・圧縮される。
【0030】
満液式伝熱管群14の第1伝熱管14aは、貯留部11cの貯留された液相の冷媒に浸漬された状態となっている。第2伝熱管15a内を流通する被冷却水は、貯留部11cに貯留された冷媒と熱交換を行う。第2伝熱管15aと熱交換した冷媒は、蒸発し液面Sから上方に導かれる。液膜式伝熱管群15及び満液式伝熱管群14で蒸発した冷媒は、冷媒出口管16へ導かれる。冷媒出口管16へ導かれた冷媒は、圧力容器11の外部へ排出される。冷媒出口管16から排出された冷媒は、ターボ圧縮機に吸入・圧縮される。
【0031】
本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
本実施形態では、液膜式伝熱管群15で蒸発した冷媒が、気液分離流路20を流通する。気液分離流路20を流通する冷媒は、接続流路25で上方から下方へ流通方向を折り返す。この時、接続流路25を流通する冷媒には遠心力が作用する。これにより、冷媒を気相の冷媒と液相の冷媒とに遠心分離することができる。これにより、冷媒出口管16から圧力容器11の外部へ排出される冷媒が、液相の冷媒を同伴する現象(いわゆるキャリーオーバー)を、発生し難くすることができる。
また、本実施形態では、気液分離流路20によって冷媒の気液分離を行っている。これにより、デミスタ等の高価な部材を用いることなく、冷媒の気液分離を行うことができる。したがって、蒸発器10のイニシャルコストを低減することができる。
【0032】
また、本実施形態では、接続流路25の上流側に接続される上昇流路23の流路面積が、接続流路25の下流側に接続される下降流路24の流路面積よりも小さくなっている。これにより、接続流路25の上流側に接続される上昇流路23を流通する冷媒の流速を速くすることができる。したがって、接続流路25を流通する際に冷媒に作用する遠心力を強くすることができる。よって、より効果的に、冷媒を気相の冷媒と液相の冷媒とに遠心分離することができる。
【0033】
また、本実施形態では、圧力容器流路26に流入する冷媒が、圧力容器11の内周面に衝突する。圧力容器11の内周面に衝突した際の衝撃で、冷媒が気液分離(いわゆる、衝突分離)する。したがって、圧力容器流路26によって、冷媒を気相の冷媒と液相の冷媒とに分離することができる。よって、キャリーオーバーを、より発生し難くすることができる。
【0034】
また、本実施形態では、圧力容器流路26の流路面積は、上昇流路23及び下降流路24の流路面積よりも大きい。これにより、圧力容器流路26を流通する冷媒の流速を遅くすることができる。圧力容器流路26では、冷媒が下方から上方へ向かって流通する。したがって、流速を遅くすることで、より好適に、重力によって冷媒の気液分離を行うことができる。よって、キャリーオーバーを、より発生し難くすることができる。
【0035】
また、第1流路規定部21の下端が液面Sよりも下方に設けられている。すなわち、第1流路規定部21の下端が貯留部11cに貯留されている冷媒に浸かっている。これにより、第1流路規定部21に付着した液相の冷媒が、第1流路規定部21を伝って貯留部11cへ導かれる。したがって、好適に液相の冷媒を貯留部11cへ戻すことができる。
また、第1流路規定部21の下端と、圧力容器11の円筒部11aの内周面との間に隙間Gが形成されている。これにより、第1流路規定部21よりも内側の空間と、第1流路規定部21よりも外側の空間とを隙間Gによって接続することができる。したがって、気液分離された液相の冷媒が、第1流路規定部21よりも外側に戻された場合であっても、貯留部11cへ戻された液相の冷媒を、隙間Gを通過して満液式伝熱管群14が設けられている空間まで導くことができる。
【0036】
[変形例1]
本実施形態の変形例について説明する。上記説明では、邪魔板17を設ける場合について説明したが、本開示はこれに限定されない。例えば、
図2に示すように、邪魔板17を省略してもよい。邪魔板17を省略した場合には、上昇流路23及び接続流路25が存在しない。
このように構成した場合であっても、液膜式伝熱管群15で蒸発した冷媒は、下降流路24から圧力容器流路26へ流入する際に、流通方向が上下方向に折り返すので、遠心分離される。また、邪魔板17が存在する場合と同様に、圧力容器流路26に流入する際に冷媒が衝突分離されるとともに、圧力容器流路26を流通する際に冷媒が重力分離される。したがって、邪魔板17を省略した場合であっても、キャリーオーバーを、発生し難くすることができる。
【0037】
[変形例2]
また、
図3に示すように、第2流路規定部22の鉛直部22bの下端に第1ドレン管(第1ドレン部)30を設けてもよい。第1ドレン管30は、Z軸方向に沿って延在している。第1ドレン管30は、
図4及び
図5に示すように、円筒状の部材を長手方向に沿って2分割にした形状とされている。また、第1ドレン管30の上端は、
図3及び
図4に示すように、鉛直部22bの下端に接続されている。また、第1ドレン管30の下端は、
図3に示すように、貯留部11cに貯留されている冷媒の液面Sよりも下方に位置している。また、第1ドレン管30の下端は、圧力容器11の内周面から離間している。第1ドレン管30は、
図4に示すように、鉛直部22bのX軸方向の一部の領域に設けられている。また、第1ドレン管30は、複数設けられていてもよい。複数設ける場合には、X軸方向に所定の間隔で並んで配置されてもよい。また、
図5に示すように、第1ドレン管30は、円筒状の外周面が気液分離流路20を流通する冷媒流れの上流側を向くように、配置されている。
【0038】
本変形例によれば、以下の作用効果を奏する。
気液分離流路20を流通する際に、気液分離された液相の冷媒の一部が、第2流路規定部22に付着する。本変形例では、付着した冷媒を、第1ドレン管30を介して貯留部11cへ導くことができる。貯留部11cへ導かれた冷媒は、満液式伝熱管群14と熱交換することで、蒸発する。このように、気液分離された液相の冷媒を満液式伝熱管群14へ導くことができるので、各伝熱管群に供給されない冷媒を低減することができる。よって、蒸発器10の性能を向上させることができる。
【0039】
また、本変形例では、第1ドレン管30は、円筒状の外周面が気液分離流路20を流通する冷媒流れの上流側を向くように、配置されている。これにより、第1ドレン管30が、第1ドレン管30を伝う冷媒W(
図5参照)を、上流側から覆うことができる。したがって、
図4の破線矢印で示すように、気液分離流路20を流通する冷媒が、第1ドレン管30を迂回して流通する。したがって、第1ドレン管30によって導かれる冷媒Wが、気液分離流路20を流通する冷媒によって飛散し難くすることができる。したがって、好適に液相の冷媒を貯留部11cまで導くことができる。
【0040】
また、第1ドレン管30の下端が液面Sよりも下方に設けられている。すなわち、第1ドレン管30の下端が貯留部11cに貯留されている冷媒に浸かっている。これにより、第1ドレン管30に付着した液相の冷媒が、第1ドレン管30を伝って貯留部11cへ導かれる。したがって、好適に液相の冷媒を貯留部11cへ戻すことができる。
【0041】
[第2実施形態]
次に、本開示に係る第2実施形態について
図6を用いて説明する。
本実施形態では、気液分離流路の構造が、主に第1実施形態と異なっている。その他の点は、第1実施形態と同様であるので、同一の構造については同一の符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0042】
本実施形態に係る気液分離流路40は、邪魔板17のY軸方向の外側に配置され、邪魔板17の下端よりも上方に設けられる第3流路規定部41と、第3流路規定部41の上方に設けられる第4流路規定部42と、を有している。気液分離流路40は、圧力容器11のX軸方向の略全域に亘って設けられている。
【0043】
第3流路規定部41は、邪魔板17の外側の板面からY軸方向の外側へ延びる板状の第1水平部41aと、第1水平部41aのY軸方向の外側の端部から略直角に曲折して上方へ延びる板状の第1鉛直部41bと、を一体的に有する。
【0044】
第1水平部41aは、板面が水平面となるように配置されている。第1水平部41aのY軸方向の内側の端部は、邪魔板17の下部と当接又は近接している。また、Y軸方向の外側の端部は、円筒部11aの内周面の近傍まで延びている。
【0045】
第1鉛直部41bは、板面が鉛直面となるように配置されている。第1鉛直部41bの外側の板面は、円筒部11aの内周面と対向している。第1鉛直部41bと円筒部11aとの間には、主に液膜式伝熱管群15で蒸発した冷媒が流通する圧力容器流路(筐体流路)43が形成されている。すなわち、圧力容器流路43は、第1鉛直部41bの板面と円筒部11aの内周面とによって規定されている。
【0046】
第4流路規定部42は、円筒部11aの内周面からY軸方向の内側へ延びる板状の第2水平部42aと、第2水平部42aの内側の端部から下方へ略直角に曲折して下方へ延びる板状の第2鉛直部42bと、第2鉛直部42bの下端から略直角に曲折してY軸方向の外側へ延びる板状の捕集部42cと、捕集部42cのY軸方向の外側の端部から略直角に曲折して上方へ延びる板状の第3鉛直部42dと、を一体的に有している。
【0047】
第2水平部42aは、板面が水平面となるように配置されている。第2水平部42aは、第1鉛直部41bの上端の上方に設けられている。第2水平部42aのY軸方向の外側の端部は、円筒部11aの内周面と当接又は近接している。また、Y軸方向の内側の端部は、邪魔板17の近傍まで延びている。第2水平部42aのY軸方向の内側の端部は、邪魔板17から離間している。また、第2水平部42aの下方には、圧力容器流路43と、後述する下降流路46とを接続する接続流路47が形成されている。
【0048】
第2鉛直部42bは、板面が鉛直面となるように配置されている。第2鉛直部42bの内側の板面は、邪魔板17と対向している。第2鉛直部42bと邪魔板17との間には、主に液膜式伝熱管群15で蒸発した冷媒が流通する上昇流路44が形成されている。すなわち、上昇流路44は、第2鉛直部42bと邪魔板17とによって規定されている。第2鉛直部42bの下端は、第1水平部41aの上方に配置されている。第2鉛直部42bの下端は、第1水平部41aから離間している。
【0049】
捕集部42cは、板面が水平面となるように配置されている。捕集部42cは、第1水平部41aの上方に配置されている。また、捕集部42cは、第1鉛直部41bの上端よりも下方に配置されている。捕集部42cの下面は、第1水平部41aの上面と対向している。捕集部42cの下面と第1水平部41aの上面との間には、水平流路45が形成されている。すなわち、水平流路45は、捕集部42cと第1水平部41aとによって規定されている。捕集部42cの上面と、第2水平部42aの下面との間には、遠心分離された液相の冷媒を捕集する空間が形成されている。この空間のY軸方向の内側は第2鉛直部42bによって規定されている。
【0050】
捕集部42cには、捕集した液相の冷媒を貯留部11cへ導く第2ドレン管(第2ドレン部)50が設けられている。第2ドレン管50は、上端が捕集部42cの上面に接続されている点が、第1実施形態の変形例2で説明した第1ドレン管30と異なっている。その他の点については、第1ドレン管30と略同一であるので、第2ドレン管50の詳細な説明は省略する。
【0051】
また、水平流路45には、液相の冷媒を貯留部11cへ導く第3ドレン管51が設けられている。第3ドレン管51は、上端が第1水平部41aの上面に接続されている点が、第1実施形態の変形例2で説明した第1ドレン管30と異なっている。その他の点については、第1ドレン管30と略同一であるので、第3ドレン管51の詳細な説明は省略する。第3ドレン管51は、上昇流路44の鉛直下方近傍に設けられている。
【0052】
第3鉛直部42dは、板面が鉛直面となるように配置されている。第3鉛直部42dの外側の板面は、第2鉛直部42bの内側の板面と対向している。第3鉛直部42dと第2鉛直部42bとの間には、主に液膜式伝熱管群15で蒸発した冷媒が流通する下降流路46が形成されている。すなわち、下降流路46は、第3鉛直部42dと第1鉛直部41bとによって規定されている。下降流路46の流路面積は、上昇流路44の流路面積よりも小さい。
第3鉛直部42dの上端は、第2水平部42aの下方に配置されている。第3鉛直部42dの上端は、第2水平部42aから離間している。また、第3鉛直部42dの上端は、第1鉛直部41bの上端よりも下方に配置されている。
【0053】
次に本実施形態における冷媒の流通方法について説明する。なお、各伝熱管群で蒸発した冷媒の流れ以外は、第1実施形態と同様であるので、説明を省略する。
本実施形態では、液膜式伝熱管群15で蒸発した冷媒は、矢印A6で示すように、邪魔板17の下端を迂回して圧力容器11の円筒部11aの内周面の衝突位置Pに衝突する。衝突位置Pに衝突した冷媒は、矢印A7で示すように、圧力容器流路43内を円筒部11aの内周面に沿って上方へ移動する。圧力容器流路43を流通した冷媒は、圧力容器流路43の上端から接続流路47に流入する。接続流路47に流入した冷媒は、流通方向を折り返す。液相の冷媒は気相の冷媒よりも密度が高いため、折り返す際に、矢印A8で示すように、大回りする。大回りした液相の冷媒は、捕集部42cに捕集される。一方、密度の低い気相の冷媒は、矢印A9で示すように、小回りをして下降流路46に流入する。下降流路46に流入した冷媒は、下降流路46内を上方から下方へ流通する。下降流路46を流通した冷媒は、水平流路45を流通する。水平流路45を流通した冷媒は、上昇流路44に流入する。上昇流路44に流入した冷媒は、矢印A10に示すように、上昇流路44内を下方から上方へ流通する。上昇流路44を流通した冷媒は、冷媒トレイ13の上方の空間へ流入する。冷媒トレイ13の上方の空間に流入した冷媒は、冷媒出口管16に導かれ、圧力容器11の外部へ排出される。
【0054】
本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
本実施形態では、液膜式伝熱管群15で蒸発した冷媒が、まず、圧力容器流路43へ導かれる。これにより、冷媒に対して、接続流路47で遠心分離を行う前に、圧力容器11の内周面に衝突させて衝突分離を行うことができる。したがって、圧力容器11の内周面に衝突させる冷媒の速度を速くすることができる。したがって、より効果的に、衝突分離によって冷媒の気液分離を行うことができる。
【0055】
また、本実施形態では、分離した液相の冷媒を捕集する捕集部42cが、接続する流路のうち、下流側の流路(下降流路46)側に設けられている。これにより、遠心分離された液相を好適に捕集することができる。
【0056】
また、本実施形態では、捕集された冷媒が、第2ドレン管50を介して貯留部11cへ導かれる。貯留部11cへ導かれた冷媒は、満液式伝熱管群14と熱交換することで、蒸発する。このように、気液分離された液相の冷媒を満液式伝熱管群14へ導くことができるので、各伝熱管群に供給されない冷媒を低減することができる。よって、蒸発器10の性能を向上させることができる。
【0057】
[変形例3]
なお、捕集部42cは、水平面に対して、X軸方向に沿って傾斜していてもよい。この場合には、捕集部42cが、第2ドレン管50が設けられる部分が低くなるように、傾斜していると、第2ドレン管50に液相の冷媒が集まるので、より好適に液相の冷媒を貯留部11cへ戻すことができる。また、第2ドレン管50がX軸方向に沿って複数並んで配置されている場合には、捕集部42cは、各第2ドレン管50が設けられる部分が低くなるように、複数の傾斜面を有してもよい。
【0058】
[変形例4]
また、
図7に示すように、第3流路規定部は、湾曲面で形成されていてもよい。本変形例に係る第3流路規定部(湾曲部)60は、邪魔板17の下端からY軸方向の外側であって、かつ、上方に湾曲しながら延びる第1部分61と、第1部分61の上端からY軸方向の内側であって、かつ、上方に湾曲しながら延びる第2部分62と、を一体的に有している。第2部分62の上端は、第2水平部42aの近傍まで延びている。第2部分62の上端と第2水平部42aとは離間している。また、第2部分62の上端と第2鉛直部42bとは離間している。
また、第3ドレン管51は、第1部分61に設けられている。詳細には、第1部分61の下端に設けられている。
【0059】
本変形例では、液膜式伝熱管群15で蒸発した冷媒は、矢印A11で示すように、第3流路規定部60と圧力容器11の内周面との間を流通する。次に、矢印A12で示すように、第2部分62の上端と第2水平部42aとの間、及び、第2部分62の上端と第2鉛直部42bとの間を流通する。次に、冷媒は、矢印A13に示すように、第1部分61と第3鉛直部42dとの間に流入し、第1部分61に沿って流通する。そして、冷媒は、矢印A14に示すように、上昇流路44に流入し、冷媒トレイ13の上方の空間へ流入する。冷媒トレイ13の上方の空間に流入した冷媒は、冷媒出口管16に導かれ、圧力容器11の外部へ排出される。
【0060】
本変形例では、第3流路規定部60が湾曲している。これにより、気液分離流路を流通する冷媒に対する圧力損失が低減する。したがって、好適に冷媒を冷媒出口管16へ導くことができる。
また、第3流路規定部60が湾曲しているので、第1部分61の上面の何れの位置に気液分離された液相の冷媒が落下しても、液相の冷媒を第3ドレン管51へ導くことができる。これにより、例えば、第2実施形態のように、平板部材のみで第3流路規定部を構成する場合と比較して、第3ドレン管51へ冷媒が導かれる領域を広くすることができる。したがって、好適に貯留部11cへ液相の冷媒を戻すことができる。
【0061】
なお、本開示は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、適宜変形が可能である。
例えば、上記各実施形態では、接続流路の上流側に、冷媒が上方へ流通する流路を接続し、下流側に冷媒が下方へ流通する流路を接続する例について説明したが、本開示はこれに限定されない。例えば、接続流路の上流側に、冷媒が下方へ流通する流路を接続してもよい。
また、例えば、上記各実施形態では、液膜式伝熱管群等に冷媒を供給する装置として、冷媒トレイを用いる例について説明したが、本開示はこれに限定されない。冷媒を供給する装置は、液膜式伝熱管群に冷媒を供給できる構造であればよく、例えば、X軸方向に沿って延びる配管状の部材であってもよい。
【0062】
以上説明した本実施形態に記載の蒸発器は例えば以下のように把握される。
本開示の一態様に係る蒸発器は、蒸発した冷媒を排出する冷媒出口(16)を有し、外殻を為す筐体(11)と、前記筐体に収容され、前記筐体の下部に設けられた貯留部(11c)に貯留される液相の冷媒に浸漬しており、内部に被冷却媒体が流通する複数の第1伝熱管(14a)を有する第1伝熱管群(14)と、前記筐体に収容され、前記筐体の下部に貯留される液相の冷媒の液面(S)よりも上方に設けられ、内部に被冷却媒体が流通する複数の第2伝熱管(15a)を有する第2伝熱管群(15)と、前記筐体に収容され、上方から前記第2伝熱管群へ液相の冷媒を供給する冷媒供給部(13)と、前記第2伝熱管群で蒸発した冷媒を前記冷媒出口へ導く流路(20)と、を備え、前記流路は、下方から上方へ冷媒が流通する第1流路(23)と、上方から下方へ冷媒が流通する第2流路(24)と、前記第1流路と前記第2流路とを接続し冷媒を折り返す接続流路(25)と、を有する。
【0063】
上記構成では、第2伝熱管群で蒸発した冷媒が、流路を流通する。流路を流通する冷媒は、接続流路で上方から下方、または、下方から上方へ折り返す。この時、接続流路を流通する冷媒には遠心力が作用する。これにより、冷媒を気相の冷媒と液相の冷媒とに遠心分離することができる。これにより、冷媒出口から筐体の外部へ排出される冷媒が、液相の冷媒を同伴する現象(いわゆるキャリーオーバー)を、発生し難くすることができる。
また、上記構成では、流路によって冷媒の気液分離を行っている。これにより、デミスタ等の高価な部材を用いることなく、冷媒の気液分離を行うことができる。したがって、イニシャルコストを低減することができる。
なお、第1流路及び第2流路は、便宜上の名前であって、「第1」及び「第2」は、冷媒が流通する順番を意味しているわけではない。
【0064】
また、本開示の一態様に係る蒸発器は、前記接続流路の上流側に接続される前記第1流路又は前記第2流路の流路面積は、前記接続流路の下流側に接続される前記第1流路又は前記第2流路の流路面積よりも小さい。
【0065】
上記構成では、接続流路の上流側に設けられる流路の流路断面積が小さくなっている。これにより、接続流路の上流側に設けられる流路を流通する冷媒の流速を速くすることができる。したがって、接続流路を流通する際に冷媒に作用する遠心力を強くすることができる。よって、より効果的に、冷媒を気相の冷媒と液相の冷媒とに遠心分離することができる。
【0066】
また、本開示の一態様に係る蒸発器は、前記流路は、前記筐体の内周面によって一部が規定される筐体流路(26)を有し、前記筐体流路は、流入する冷媒が衝突する位置に前記筐体の前記内周面が配置されている。
【0067】
上記構成では、筐体流路に流入する冷媒が、筐体の内周面に衝突する。筐体の内周面に衝突した際の衝撃で、冷媒が気液分離(いわゆる、衝突分離)する。したがって、筐体流路によって、冷媒を気相の冷媒と液相の冷媒とに分離することができる。よって、冷媒出口から筐体の外部へ排出される冷媒が、液相の冷媒を同伴する現象(いわゆるキャリーオーバー)を、より発生し難くすることができる。
【0068】
また、本開示の一態様に係る蒸発器は、前記筐体流路は、前記接続流路よりも上流側に設けられている。
【0069】
上記構成では、冷媒に対して、接続部で遠心分離を行う前に、筐体の内周面に衝突させて衝突分離を行うことができる。これにより、筐体の内周面に衝突させる冷媒の速度を速くすることができる。したがって、より効果的に、衝突分離によって冷媒の気液分離を行うことができる。
【0070】
また、本開示の一態様に係る蒸発器は、前記流路には、液相の冷媒を前記貯留部へ導く第1ドレン部(30)が設けられている。
【0071】
上記構成では、流路を流通する際に気液分離された液相の冷媒が流路に付着する。付着した冷媒が、第1ドレン部を介して貯留部へ導かれる。貯留部へ導かれた冷媒は、第1伝熱管群と熱交換することで、蒸発する。このように、気液分離された液相の冷媒を第1伝熱管群へ導くことができるので、各伝熱管群に供給されない冷媒を低減することができる。よって、蒸発器の性能を向上させることができる。
なお、第1ドレン部は、例えば円筒状の部材を長手方向に沿って2分割にした形状とされ、流路を流通する冷媒流れの上流側に円筒面が位置するように配置されてもよい。このようにすることで、第1ドレン部が、第1ドレン部によって導かれる冷媒を、流路を流通する冷媒流れの上流側から覆うことができる。したがって、第1ドレン部によって導かれる冷媒が、流路を流通する冷媒によって飛散し難くすることができる。したがって、好適に液相の冷媒を貯留部まで導くことができる。
また、第1ドレン部は、上端が流路に接続され、下端が貯留部に貯留されている冷媒中に位置するとともに筐体の内周面から離間するように配置されていてもよい。
【0072】
また、本開示の一態様に係る蒸発器は、前記接続流路には、接続する下流側の流路側に、分離した液相の冷媒を捕集する捕集部(42c)が設けられている。
【0073】
接続部で遠心分離された液相の冷媒は、分離された気相の冷媒よりも密度が高い。これにより、分離された液相の冷媒は、折り返す際に、気相の冷媒よりも大回りする。すなわち、液相の冷媒は、折り返す際に、下流側の流路の近くを流通する。上記構成では、分離した液相の冷媒を捕集する捕集部が、接続する流路のうち、下流側の流路側に設けられている。これにより、遠心分離された液相を好適に捕集することができる。
【0074】
また、本開示の一態様に係る蒸発器は、前記捕集部には、捕集した液相の冷媒を前記貯留部へ導く第2ドレン部(50)が設けられている。
【0075】
上記構成では、捕集された冷媒が、第2ドレン部を介して貯留部へ導かれる。貯留部へ導かれた冷媒は、第1伝熱管群と熱交換することで蒸発する。このように、気液分離された液相の冷媒を第1伝熱管群へ導くことができるので、各伝熱管群に供給されない冷媒を低減することができる。よって、蒸発器の性能を向上させることができる。
【0076】
また、本開示の一態様に係る蒸発器は、前記捕集部は、前記第2ドレン部が設けられている位置が低くなるように傾斜している。
【0077】
上記構成では、第2ドレン部が設けられている位置が低くなるように、捕集部が傾斜している。これにより、捕集部で捕集された液相の冷媒が、第2ドレン部に向かって流れる。したがって、より好適に、第2ドレン部を介して捕集した冷媒を貯留部へ導くことができる。
【0078】
また、本開示の一態様に係る蒸発器は、前記流路は、前記流路を規定する面が湾曲している湾曲部(60)を有している。
【0079】
上記構成では、流路が湾曲部を有している。これにより、湾曲部では、流路を流通する冷媒に対する圧力損失が低減する。したがって、好適に冷媒を冷媒出口へ導くことができる。
【解決手段】蒸発器10は、蒸発した冷媒を排出する冷媒出口管16を有する圧力容器11と、圧力容器11の下部に設けられた貯留部11cに貯留される液相の冷媒に浸漬しており、内部に被冷却水が流通する複数の第1伝熱管14aを有する満液式伝熱管群14と、圧力容器11の下部に貯留される液相の冷媒の液面Sよりも上方に設けられ、内部に被冷却水が流通する複数の第2伝熱管15aを有する液膜式伝熱管群15と、上方から液膜式伝熱管群15へ液相の冷媒を供給する冷媒トレイ13と、液膜式伝熱管群15で蒸発した冷媒を冷媒出口管16へ導く気液分離流路20と、を備えている。気液分離流路20は、下方から上方へ冷媒が流通する上昇流路23と、上方から下方へ冷媒が流通する下降流路24と、上昇流路23と下降流路24とを接続し冷媒を折り返す接続流路25と、を有する。