(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載された技術では、ある程度の小さな画角のずれについては補正できる。しかし、例えば、何かが撮影装置にぶつかってしまい、大きく画角がずれてしまったような場合には補正することはできない。
本開示は、撮影装置のずれを適切に補正可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係るずれ補正装置は、
撮影装置によって得られた撮影画像データである対象画像データから複数の特徴点を抽出する特徴抽出部と、
前記特徴抽出部によって抽出された前記複数の特徴点と、前記撮影装置によって得られた撮影画像データであって、前記対象画像データとは異なる撮影画像データである基準画像データから抽出された複数の特徴点とに基づき、前記基準画像データに対する前記対象画像データのずれ量を補正ずれ量として特定するずれ特定部と、
前記撮影装置によって得られた撮影画像データに重畳させて、第1マークを表示するとともに、前記ずれ特定部によって特定された前記補正ずれ量だけ前記第1マークをずらした第2マークを表示する表示部と
を備える。
【0008】
前記補正ずれ量は、前記撮影装置の平行移動によるずれと、撮影方向のずれと、撮影領域の広さのずれとの少なくともいずれかを表す。
【0009】
前記表示部は、前記補正ずれ量を数値化した誤差値を表示する。
【0010】
前記特徴抽出部は、前記第1マーク及び前記第2マークを表示した後に撮影装置によって得られた撮影画像データである後画像データから複数の特徴点を抽出し、
前記ずれ特定部は、前記後画像データから抽出された前記複数の特徴点と、前記基準画像データから抽出された複数の特徴点とに基づき、前記基準画像データに対する前記後画像データのずれ量を残存ずれ量として特定し、
前記ずれ補正装置は、さらに、
前記撮影装置によって前記撮影画像データが得られる撮影領域のうち、対象物を検知する対象の領域である検知領域と、対象物を検知する対象外の領域であるマスク領域との少なくともいずれかを前記残存ずれ量だけずらして設定する設定変更部
を備える。
【0011】
前記ずれ補正装置は、さらに、
手動によるずれの補正が完了した完了通知の入力を受け付ける受付部
を備え、
前記後画像データは、前記受付部によって前記完了通知の入力が受け付けられた後に前記撮影装置によって得られた撮影画像データである。
【0012】
本開示に係るずれ補正装置は、
撮影装置によって得られた撮影画像データである対象画像データから複数の特徴点を抽出する特徴抽出部と、
前記特徴抽出部によって抽出された前記複数の特徴点と、前記撮影装置によって得られた撮影画像データであって、前記対象画像データとは異なる撮影画像データである基準画像データから抽出された複数の特徴点とに基づき、前記基準画像データに対する前記対象画像データのずれ量を補正ずれ量として特定するずれ特定部と、
前記補正ずれ量が基準ずれ量以下の場合に、前記撮影装置によって前記撮影画像データが得られる撮影領域のうち、対象物を検知する対象の領域である検知領域と、対象物を検知する対象外の領域であるマスク領域との少なくともいずれかを前記補正ずれ量だけずらして設定する設定変更部と
を備える。
【0013】
前記ずれ補正装置は、さらに、
前記補正ずれ量が前記基準ずれ量よりも大きい場合に、前記撮影装置によって得られた撮影画像データに重畳させて、第1マークを表示するとともに、前記補正ずれ量だけ前記第1マークをずらした第2マークを表示する表示部を備える。
【0014】
前記ずれ補正装置は、さらに、
前記補正ずれ量が前記基準ずれ量よりも大きい場合に、通知する通知部
を備える。
【0015】
前記特徴抽出部は、前記第1マーク及び前記第2マークを表示した後に撮影装置によって得られた撮影画像データである後画像データから複数の特徴点を抽出し、
前記ずれ特定部は、前記後画像データから抽出された前記複数の特徴点と、前記基準画像データから抽出された複数の特徴点とに基づき、前記基準画像データに対する前記後画像データのずれ量を残存ずれ量として特定し、
前記設定変更部は、前記検知領域と前記マスク領域との少なくともいずれかを前記残存ずれ量だけずらして設定する。
【0016】
本開示に係るずれ補正方法は、
特徴抽出部が、撮影装置によって得られた撮影画像データである対象画像データから複数の特徴点を抽出し、
ずれ特定部が、前記対象画像データから抽出された前記複数の特徴点と、前記撮影装置によって得られた撮影画像データであって、前記対象画像データとは異なる撮影画像データである基準画像データから抽出された複数の特徴点とに基づき、前記基準画像データに対する前記対象画像データのずれ量を補正ずれ量として特定し、
表示部が、前記撮影装置によって得られた撮影画像データに重畳させて、第1マークを表示するとともに、前記補正ずれ量だけ前記第1マークをずらした第2マークを表示する。
【0017】
本開示に係るずれ補正方法は、
特徴抽出部が、撮影装置によって得られた撮影画像データである対象画像データから複数の特徴点を抽出し、
ずれ特定部が、前記対象画像データから抽出された前記複数の特徴点と、前記撮影装置によって得られた撮影画像データであって、前記対象画像データとは異なる撮影画像データである基準画像データから抽出された複数の特徴点とに基づき、前記基準画像データに対する前記対象画像データのずれ量を補正ずれ量として特定し、
設定変更部が、前記補正ずれ量が基準ずれ量以下の場合に、前記撮影装置によって前記撮影画像データが得られる撮影領域のうち、対象物を検知する対象の領域である検知領域と、対象物を検知する対象外の領域であるマスク領域との少なくともいずれかを前記補正ずれ量だけずらして設定する。
【0018】
本開示に係るずれ補正プログラムは、
撮影装置によって得られた撮影画像データである対象画像データから複数の特徴点を抽出する特徴抽出処理と、
前記特徴抽出処理によって抽出された前記複数の特徴点と、前記撮影装置によって得られた撮影画像データであって、前記対象画像データとは異なる撮影画像データである基準画像データから抽出された複数の特徴点とに基づき、前記基準画像データに対する前記対象画像データのずれ量を補正ずれ量として特定するずれ特定処理と、
前記撮影装置によって得られた撮影画像データに重畳させて、第1マークを表示するとともに、前記ずれ特定処理によって特定された前記補正ずれ量だけ前記第1マークをずらした第2マークを表示する表示処理と
を行うずれ補正装置としてコンピュータを機能させる。
【0019】
本開示に係るずれ補正プログラムは、
撮影装置によって得られた撮影画像データである対象画像データから複数の特徴点を抽出する特徴抽出処理と、
前記特徴抽出処理によって抽出された前記複数の特徴点と、前記撮影装置によって得られた撮影画像データであって、前記対象画像データとは異なる撮影画像データである基準画像データから抽出された複数の特徴点とに基づき、前記基準画像データに対する前記対象画像データのずれ量を補正ずれ量として特定するずれ特定処理と、
前記補正ずれ量が基準ずれ量以下の場合に、前記撮影装置によって前記撮影画像データが得られる撮影領域のうち、対象物を検知する対象の領域である検知領域と、対象物を検知する対象外の領域であるマスク領域との少なくともいずれかを前記補正ずれ量だけずらして設定する設定変更処理と
を行うずれ補正装置としてコンピュータを機能させる。
【発明の効果】
【0020】
本開示では、撮影画像データに重畳させて、第1マークが表示されるとともに、補正ずれ量だけ第1マークをずらした第2マークが表示される。これにより、作業者が手動で撮影装置のずれを容易に補正することが可能になる。その結果、大きく撮影装置がずれてしまった場合にも、適切な位置に撮影装置を戻すことが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
実施の形態1.
***構成の説明***
図1を参照して、実施の形態1に係るずれ補正装置10の構成を説明する。
ずれ補正装置10は、コンピュータである。
ずれ補正装置10は、プロセッサ11と、メモリ12と、ストレージ13と、通信インタフェース14とのハードウェアを備える。プロセッサ11は、信号線を介して他のハードウェアと接続され、これら他のハードウェアを制御する。
【0023】
プロセッサ11は、プロセッシングを行うIC(Integrated Circuit)である。プロセッサ11は、具体例としては、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、GPU(Graphics Processing Unit)である。
【0024】
メモリ12は、データを一時的に記憶する記憶装置である。メモリ12は、具体例としては、SRAM(Static Random Access Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)である。
【0025】
ストレージ13は、データを保管する記憶装置である。ストレージ13は、具体例としては、HDD(Hard Disk Drive)である。また、ストレージ13は、SD(登録商標,Secure Digital)メモリカード、CF(CompactF
lash,登録商標)、NANDフラッシュ、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ブルーレイ(登録商標)ディスク、DVD(Digital Versatile Disk)といった可搬記録媒体であってもよい。
【0026】
通信インタフェース14は、外部の装置と通信するためのインタフェースである。通信インタフェース14は、具体例としては、Ethernet(登録商標)、USB(Universal Serial Bus)、HDMI(登録商標,High−Definition Multimedia Interface)のポートである。
【0027】
ずれ補正装置10は、通信インタフェース14を介して、監視カメラといった撮影装置41と、LCD(Liquid Crystal Display)といった表示装置42と接続されている。
【0028】
ずれ補正装置10は、機能構成要素として、初期設定部21と、画像取得部22と、特徴抽出部23と、ずれ特定部24と、表示部25とを備える。ずれ補正装置10の各機能構成要素の機能はソフトウェアにより実現される。
ストレージ13には、ずれ補正装置10の各機能構成要素の機能を実現するプログラムが格納されている。このプログラムは、プロセッサ11によりメモリ12に読み込まれ、プロセッサ11によって実行される。これにより、ずれ補正装置10の各機能構成要素の機能が実現される。
【0029】
また、ストレージ13は、基準データ記憶部31と、設定データ記憶部32とを実現する。
【0030】
図1では、プロセッサ11は、1つだけ示されていた。しかし、プロセッサ11は、複数であってもよく、複数のプロセッサ11が、各機能を実現するプログラムを連携して実行してもよい。
【0031】
***動作の説明***
図2及び
図3を参照して、実施の形態1に係るずれ補正装置10の動作を説明する。
実施の形態1に係るずれ補正装置10の動作手順は、実施の形態1に係るずれ補正方法に相当する。また、実施の形態1に係るずれ補正装置10の動作を実現するプログラムは、実施の形態1に係るずれ補正プログラムに相当する。
【0032】
(
図2のステップS101:初期処理)
初期設定部21は、ずれ補正装置10の初期設定を行う。
具体的には、初期設定部21は、撮影装置41及び表示装置42のIP(Internet Protocol)アドレスといった、ずれ補正装置10の動作に必要になる初期設定情報を取得する。例えば、初期設定部21は、ずれ補正装置10の使用者によって初期設定情報が入力される、あるいは、事前に設定されたストレージ13のアドレスから初期設定情報を読み込む。そして、初期設定部21は、初期設定情報に従い、ずれ補正装置10の初期設定を行う。
【0033】
(
図2のステップS102:データ取得処理)
初期設定部21は、基準画像データを取得する。
具体的には、初期設定部21は、基準データ記憶部31から基準画像データを読み出す。基準画像データは、撮影装置41の初期設置時に、撮影領域に対象物が存在しない状態で、撮影装置41によって撮影領域が撮影されて得られた撮影画像データである。初期設定部21は、基準画像データをメモリ12に書き込む。
【0034】
(
図2のステップS103:第1特徴抽出処理)
特徴抽出部23は、ステップS102で取得された基準画像データから複数の特徴点を抽出する。
具体的には、特徴抽出部23は、基準画像データをメモリ12から読み出す。特徴抽出部23は、既存の方法により、基準画像データを構成する画素のうち、エッジ部分を抽出する。特徴抽出部23は、抽出されたエッジ部分を、基準画像データの複数の特徴点としてメモリ12に書き込む。
エッジ部分を抽出する方法としては、AKAZE(Accelerated KAZE)と、ORB(Oriented FAST and Rotated BRIEF)と、SURF(Speeded−Up Robust Features)と、SIFT(Scale−Invariant Feature Transform)といった方法がある。なお、FASTは、Features from Accelerated Segment Testの略である。また、BRIEFは、Binary Robust
Independent Elementary Featuresの略である。
【0035】
(
図2のステップS104:画像取得処理)
画像取得部22は、撮影装置41によって得られた最新のフレームの撮影画像データを対象画像データとして取得する。画像取得部22は、対象画像データをメモリ12に書き込む。
【0036】
(
図2のステップS105:第2特徴抽出処理)
特徴抽出部23は、ステップS104で取得された対象画像データから複数の特徴点を抽出する。
具体的には、特徴抽出部23は、対象画像データをメモリ12から読み出す。特徴抽出部23は、対象画像データを構成する画素のうち、エッジ部分を抽出する。ここでは、特徴抽出部23は、ステップS103で用いた方法と同じ方法により、対象画像データのエッジ部分を抽出する。特徴抽出部23は、抽出されたエッジ部分を、対象画像データの複数の特徴点としてメモリ12に書き込む。
【0037】
(
図2のステップS106:補正ずれ量特定処理)
ずれ特定部24は、ステップS105で対象画像データから抽出された複数の特徴点と、ステップS103で基準画像データから抽出された複数の特徴点とに基づき、基準画像データに対する対象画像データのずれ量を補正ずれ量として特定する。
具体的には、ずれ特定部24は、対象画像データの複数の特徴点と、基準画像データの複数の特徴点とをメモリ12から読み出す。ずれ特定部24は、対象画像データの複数の特徴点それぞれと、基準画像データの複数の特徴点それぞれとを対応付けする。例えば、ずれ特定部24は、KNN(K Nearest Neighbor)とFLANN(Fast Library for Approximate Nearest Neighbors)といった既存の手法により、特徴点同士を対応付けすることができる。ずれ特定部24は、特徴点間の対応関係に基づき、基準画像データに対する対象画像データの補正ずれ量を表す透視投影変換行列を計算する。例えば、ずれ特定部24は、RANSAC(RANdom SAmple Consensus)といった既存の手法により、特徴点間の対応関係から透視投影変換行列を計算することが可能である。ずれ特定部24は、透視投影変換行列をメモリ12に書き込む。
【0038】
(
図2のステップS107:表示処理)
表示部25は、ステップS104で取得された対象画像データに重畳させて、第1マークを表示するとともに、ステップS106で特定された補正ずれ量だけ第1マークをずらした第2マークを表示する。
具体的には、表示部25は、対象画像データと透視投影変換行列とをメモリ12から読
み出す。表示部25は、対象画像データを表示装置42に表示する。この際、表示部25は、第1マークを表示装置42に表示するとともに、透視投影変換行列によって第1マークを変換して得られた第2マークを表示装置42に表示する。また、表示部25は、透視投影変換行列が示す補正ずれ量を数値化した誤差値を表示装置42に表示する。補正ずれ量は、X軸方向のずれ量と、Y軸方向のずれ量と、ズームのずれ量と、角度のずれ量とを示す。ズームのずれ量は、撮影領域の広さのずれを表している。
例えば、
図3に示すように第1マーク51は四角形である。表示部25は、対象画像データの中心に、第1マーク51を表示する。また、表示部25は、透視投影変換行列によって第1マークを変換して得られた第2マーク52を表示する。第2マーク52は、第1マーク51に比べて、X軸方向のずれ量及びY軸方向のずれ量だけ位置がずれており、ズームのずれ量だけ大きさがずれており、角度のずれ量だけ回転している。なお、第1マーク51は、対象画像データの中心を表しており、第2マーク52は、基準画像データの中心を表している。
【0039】
その後、処理がステップS104に戻され、次のフレームの撮影画像データを対象画像データとして処理が実行される。
【0040】
図2に示す処理が実行されているときに、ずれ補正装置10の使用者によって、表示装置42に表示された第1マーク及び第2マークが参照され、撮影装置41のずれが手動で補正される。具体的には、ずれ補正装置10の使用者によって、第1マークと第2マークとが重なるように、撮影装置41について、X軸方向及びY軸方向の位置と、ズームと、角度とが補正される。例えば、スマートフォンといった携帯端末を表示装置42として用いることにより、ずれ補正装置10の使用者は、表示装置42を見ながら第1マークと第2マークとが重なるように撮影装置41のずれを補正することが可能である。
【0041】
***実施の形態1の効果***
以上のように、実施の形態1に係るずれ補正装置10は、基準画像データに対する対象画像データのずれ量である補正ずれ量を計算する。そして、ずれ補正装置10は、撮影画像データに重畳させて、第1マークを表示するとともに、補正ずれ量だけ第1マークをずらした第2マークを表示する。
これにより、作業者が手動で撮影装置のずれを容易に補正することが可能になる。その結果、大きく撮影装置がずれてしまった場合にも、適切な位置に撮影装置を戻すことが可能である。
【0042】
***他の構成***
<変形例1>
実施の形態1では、第1マークは四角形であった。しかし、第1マークは四角形に限らず、他の形状であってもよい。但し、第1マークは、X軸方向のずれ量と、Y軸方向のずれ量と、ズームのずれ量と、角度のずれ量とを表す形状である必要がある。
例えば、縦線と横線とを組み合わせた十字形では、ズームのずれ量を表すことができない。また、円形では、角度のずれ量を表すことができない。そのため、このような形状ではなく、三角形及び五角形といった頂点数の少ない多角形が望ましい。
【0043】
<変形例2>
実施の形態1では、各機能構成要素がソフトウェアで実現された。しかし、変形例2として、各機能構成要素はハードウェアで実現されてもよい。この変形例2について、実施の形態1と異なる点を説明する。
【0044】
図4を参照して、変形例2に係るずれ補正装置10の構成を説明する。
各機能構成要素がハードウェアで実現される場合には、ずれ補正装置10は、プロセッ
サ11とメモリ12とストレージ13とに代えて、電子回路15を備える。電子回路15は、各機能構成要素と、メモリ12と、ストレージ13との機能とを実現する専用の回路である。
【0045】
電子回路15としては、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ロジックIC、GA(Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field−Programmable Gate Array)が想定される。
各機能構成要素を1つの電子回路15で実現してもよいし、各機能構成要素を複数の電子回路15に分散させて実現してもよい。
【0046】
<変形例3>
変形例3として、一部の各機能構成要素がハードウェアで実現され、他の各機能構成要素がソフトウェアで実現されてもよい。
【0047】
プロセッサ11とメモリ12とストレージ13と電子回路15とを処理回路という。つまり、各機能構成要素の機能は、処理回路により実現される。
【0048】
実施の形態2.
実施の形態2では、手動で補正された後に残った残存ずれ量について補正する点が実施の形態1と異なる。実施の形態2では、この異なる点を説明し、同一の点については説明を省略する。
【0049】
***構成の説明***
図5を参照して、実施の形態2に係るずれ補正装置10の構成を説明する。
ずれ補正装置10は、機能構成要素として、受付部26と、設定変更部27とを備える点が
図1に示すずれ補正装置10と異なる。受付部26と、設定変更部26とは、他の機能構成要素と同様に、ソフトウェア又はハードウェアで実現される。
【0050】
***動作の説明***
図6及び
図7を参照して、実施の形態2に係るずれ補正装置10の動作を説明する。
実施の形態2に係るずれ補正装置10の動作手順は、実施の形態2に係るずれ補正方法に相当する。また、実施の形態2に係るずれ補正装置10の動作を実現するプログラムは、実施の形態2に係るずれ補正プログラムに相当する。
【0051】
ステップS201からステップS207の処理は、
図2のステップS101からステップS107の処理と同じである。
但し、ステップS202では、初期設定部21は、基準画像データを取得するとともに、設定データ記憶部32から設定データを取得する。設定データは、撮影領域のうち、対象物を検知する対象の領域である検知領域と、対象物を検知する対象外の領域であるマスク領域との少なくともいずれかが設定されている。初期設定部21は、基準画像データと設定データとをメモリ12に書き込む。
【0052】
(
図6のステップS208:受付処理)
受付部26は、手動によるずれの補正が完了したことを意味する完了通知の入力を受け付ける。
具体的には、ずれ補正装置10の使用者によって撮影装置41の補正が完了すると、使用者は完了通知をずれ補正装置10に入力する。例えば、使用者は、タッチパネル又はキーボードを操作することにより、完了通知を入力する。すると、受付部26は、完了通知
を受け付ける。
受付部26は、完了通知を受け付けた場合には、処理をステップS209に進める。一方、受付部26は、完了通知を受け付けていない場合には、処理をステップS204に戻して、次のフレームの撮影画像データを対象画像データとして処理を実行させる。
【0053】
(
図6のステップS209:第2画像取得処理)
画像取得部22は、撮影装置41によって得られた最新のフレームの撮影画像データを後画像データとして取得する。つまり、後画像データは、第1マーク及び第2マークが表示され、使用者によって撮像装置41の撮影領域が補正された後に撮影装置によって得られた撮影画像データである。画像取得部22は、後画像データをメモリ12に書き込む。
【0054】
(
図6のステップS210:第3特徴抽出処理)
特徴抽出部23は、ステップS209で取得された後画像データから複数の特徴点を抽出する。
具体的には、特徴抽出部23は、後画像データをメモリ12から読み出す。特徴抽出部23は、後画像データを構成する画素のうち、エッジ部分を抽出する。ここでは、特徴抽出部23は、ステップS203及びステップS205で用いた方法と同じ方法により、後画像データのエッジ部分を抽出する。特徴抽出部23は、抽出されたエッジ部分を、後画像データの複数の特徴点としてメモリ12に書き込む。
【0055】
(
図6のステップS211:残存ずれ量特定処理)
ずれ特定部24は、ステップS210で後画像データから抽出された複数の特徴点と、ステップS203で基準画像データから抽出された複数の特徴点とに基づき、基準画像データに対する後画像データのずれ量を残存ずれ量として特定する。
具体的には、ずれ特定部24は、後画像データの複数の特徴点と、基準画像データの複数の特徴点とをメモリ12から読み出す。ずれ特定部24は、ステップS206と同様に、後画像データの複数の特徴点それぞれと、基準画像データの複数の特徴点それぞれとを対応付けする。そして、ずれ特定部24は、ステップS206と同様に、特徴点間の対応関係に基づき、基準画像データに対する対象画像データの残存ずれ量を表す透視投影変換行列を計算する。ずれ特定部24は、透視投影変換行列をメモリ12に書き込む。
【0056】
(
図6のステップS212:設定変更処理)
設定変更部27は、撮影領域のうち、対象物を検知する対象の領域である検知領域と、対象物を検知する対象外の領域であるマスク領域との少なくともいずれかを、ステップS211で特定された残存ずれ量だけずらして設定する。
具体的には、設定変更部27は、残存ずれ量と設定データとをメモリ12から読み出す。ここでは、設定データは、マスク領域を示すものとする。設定変更部27は、設定データが示すマスク領域を残存ずれ量だけずらした上で、設定データを設定データ記憶部32に上書き保存する。
なお、ここでは、設定データは、マスク領域を示した。しかし、設定データが検知領域を示す場合には、設定変更部27は検知領域を残存ずれ量だけずらす。また、設定データが検知領域及びマスク領域を示す場合には、設定変更部27は、検知領域及びマスク領域を残存ずれ量だけずらす。
【0057】
図7に示すように、窓53がマスク領域54として指定されているとする。この場合には、残存ずれ量だけマスク領域54が窓53からずれた状態になっている。そのため、対象物を検知する対象外の領域である窓53の一部部分についても、対象物の検知が行われてしまう。また、対象物を検知する対象の一部の領域についても、対象物の検知が行われなくなってしまう。その結果、誤検知及び検知漏れが発生する可能性がある。
しかし、設定変更部27は、マスク領域を残存ずれ量だけずらして設定する。そのため
、マスク領域54が窓53に一致した状態になり、窓53部分については対象物の検知が行われなくなり、その他の部分については対象物の検知が行われるようになる。
【0058】
***実施の形態2の効果***
以上のように、実施の形態2に係るずれ補正装置10は、手動での補正後に残っている残存ずれ量だけマスク領域等を補正する。これにより、手動での補正では補正しきれなかった細かなずれについても補正することが可能である。
例えば、手動では、1ピクセルといった細かなずれがなくなるほど正確に撮影装置41をずらすことは難しい可能性がある。しかし、実施の形態2に係るずれ補正装置10は、手動では補正しきれなかったずれを補正するため、精度よく対象物の検知が可能になる。
【0059】
***他の構成***
<変形例4>
撮影画像データを背景画像データと比較して対象物を検出する場合には、ステップS209で取得された後画像データを新たな背景画像データとして設定する。これにより、手動での補正が終わった後に得られた撮影画像データが新たな背景画像データとして設定されることになる。手動での補正により基準画像データが示す位置とは多少ずれがある場合にも、背景画像データを取得し直すことにより、適切に対象物を検出することが可能になる。
但し、後画像データに対象物が映っている場合には、後画像データは背景画像データには適さない。そのため、この場合には、
図6のステップS212の後に取得された、対象物が映っていない撮影画像データを背景画像データとして設定する必要がある。
【0060】
実施の形態3.
実施の形態3では、ずれ量が大きい場合にのみ手動での補正を行う点が実施の形態2と異なる。実施の形態3では、この異なる点を説明し、同一の点については説明を省略する。
【0061】
***構成の説明***
図8を参照して、実施の形態3に係るずれ補正装置10の構成を説明する。
ずれ補正装置10は、機能構成要素として、判定部28と、通知部29とを備える点が
図5に示すずれ補正装置10と異なる。判定部28と通知部29とは、他の機能構成要素と同様に、ソフトウェア又はハードウェアで実現される。
【0062】
***動作の説明***
図9を参照して、実施の形態3に係るずれ補正装置10の動作を説明する。
実施の形態3に係るずれ補正装置10の動作手順は、実施の形態3に係るずれ補正方法に相当する。また、実施の形態3に係るずれ補正装置10の動作を実現するプログラムは、実施の形態3に係るずれ補正プログラムに相当する。
【0063】
ステップS301からステップS306の処理は、
図6のステップS201からステップS206の処理と同じである。
【0064】
(
図9のステップS307:判定処理)
判定部28は、ステップS306で特定された補正ずれ量が基準ずれ量よりも大きいか否かを判定する。
具体的には、補正ずれ量に含まれるX軸方向のずれ量とY軸方向のずれ量とズームのずれ量と角度のずれ量とのそれぞれについて基準ずれ量が事前に設定される。つまり、X軸方向のずれ量についての基準ずれ量と、Y軸方向のずれ量についての基準ずれ量と、ズームのずれ量についての基準ずれ量と、角度のずれ量についての基準ずれ量とが事前に設定
される。基準ずれ量は、どの程度のずれであれば、撮影装置41を手動で補正することなく、設定データの補正だけで対応可能かによって定められる。そして、判定部28は、X軸方向のずれ量とY軸方向のずれ量とズームのずれ量と角度のずれ量とのうち、少なくともいずれかが基準ずれ量よりも大きいか否かを判定する。
判定部28は、少なくともいずれかが基準ずれ量よりも大きい場合には、処理をステップS308に進める。一方、判定部28は、いずれも基準ずれ量以下である場合には、処理をステップS310に進める。
【0065】
(
図9のステップS308:通知処理)
通知部29は、補正ずれ量が基準ずれ量よりも大きいことを、ずれ補正装置10の使用者に通知する。具体例としては、通知部29は、補正ずれ量が基準ずれ量よりも大きいことを示すメッセージ等を、通信インタフェース14を介して表示装置42に送信する。
【0066】
(
図9のステップS309:第1補正処理)
ずれ補正装置10は、
図6のステップS204からステップS212の処理を実行する。これにより、補正ずれ量を示す第1マーク及び第2マークを参照して、手動で補正がされた後に、残存ずれ量の補正が行われる。
あるいはステップS308で補正ずれ量が基準ずれ量より大きいことをずれ補正装置10の使用者に通知した後、以降の処理は使用者に委ねるようにし、ステップS309の処理を省略して終了するように構成してもよい。つまり、ずれ量が大きい場合、
図6のステップS204からステップS212の処理を実行するとしても、実行のタイミングは使用者に委ねるように構成してもよい。
【0067】
(
図9のステップS310:第2補正処理)
図6のステップS212の処理と同様に、設定変更部27は、撮影領域のうち、対象物を検知する対象の領域である検知領域と、対象物を検知する対象外の領域であるマスク領域との少なくともいずれかを、ステップS306で特定された補正ずれ量だけずらして設定する。
【0068】
***実施の形態3の効果***
以上のように、実施の形態3に係るずれ補正装置10は、ずれ量が大きい場合にのみ手動で撮影装置41の補正を行い、ずれ量が小さい場合には設定データの補正だけを行う。これにより、ずれの補正にかかる手間を減らすことが可能である。
例えば、管理している撮影装置41が1000台以上のように多数存在する場合がある。この場合には、全ての撮影装置41について手動で補正を行うには、手間がかかってしまう。しかし、実施の形態3に係るずれ補正装置10では、必要になった場合にのみ手動で補正をすればよいので、手間を減らすことができる。
【0069】
以上、この発明の実施の形態及び変形例について説明した。これらの実施の形態及び変形例のうち、いくつかを組み合わせて実施してもよい。また、いずれか1つ又はいくつかを部分的に実施してもよい。なお、この発明は、以上の実施の形態及び変形例に限定されるものではなく、必要に応じて種々の変更が可能である。