【課題を解決するための手段】
【0010】
〔第1発明〕
そこで、上記の課題を解決するために、本願の第1発明に係る洗濯用の洗浄剤・殺菌剤キットは、
強アルカリ性電解水を主成分として溶液状に構成され、ドライクリーニング・水洗いその他の各種用途に応じた洗濯においてタンパク質や油脂の洗浄効果を発揮する「洗浄剤」と、
強酸性電解水を主成分として溶液状に構成された、洗濯物に残留している細菌に対して殺菌効果を発揮する「殺菌剤」と、
からなる洗濯用の洗浄剤・殺菌剤キットであって、
前記洗浄剤は、
精製水と、
水酸化ナトリウム(NaOH)を含有する電解水であって、溶液状の本洗浄剤の全体量に対して6.5重量パーセントだけ添加されるpH(水素イオン濃度指数)12.5以上pH14.1以下の強アルカリ性電解水と、
光触媒である酸化チタン(TiO
2)と、
を含んでなり、
強アルカリ性電解水が重量濃度6.5%だけ添加されることで、当該洗浄剤全体の水素イオン濃度指数はpH10.3以上pH12.9以下に調製され、
前記殺菌剤は、
精製水と、
次亜塩素酸(HClO)を含有する電解水であって、溶液状の本殺菌剤の全体量に対して6.5重量パーセントだけ添加されるpH2.0以上pH2.7以下の強酸性電解水と、
光触媒である酸化チタン(TiO
2)と、
を含んでなり、
強酸性電解水が重量濃度6.5%だけ添加されることで、当該殺菌剤全体としての水素イオン濃度指数はpH3.2以上pH3.9以下に調製され、
前記洗浄剤において
(1)強アルカリ性電解水は、洗濯物に付着したタンパク質や油脂を同洗濯物から除去し、かつ、これらタンパク質・油脂を養分として繁殖する細菌を殺菌するとともに、本洗浄剤に混合されている酸化チタンを同洗浄剤中に均一に分散させ、
(2)酸化チタンは、紫外線が照射された際に、細菌が繁殖する原因物質となる前記タンパク質ならびに前記油脂に対する分解作用と、細菌自体に対する分解作用を及ぼし、
前記殺菌剤において
(1)強酸性電解水は、洗濯物に付着している細菌を殺菌するとともに、本殺菌剤に混合されている酸化チタンを同殺菌剤中に均一に分散させ、
(2)酸化チタンは、紫外線が照射された際に、細菌が繁殖する原因物質となるタンパク質ならびに油脂に対する分解作用と、細菌自体に対する分解作用を及ぼす構成とした。
【0011】
第1発明に係る洗濯用の「洗浄剤・殺菌剤セット」(
図1)は、ドライクリーニング・水洗いその他の各種用途に応じた洗濯に用いられる。
この洗浄剤・殺菌剤セット100のうち、強アルカリ性領域の電解水を主成分とする洗浄剤200は、おもにタンパク質や油脂の除去に資する。
また、同洗浄剤・殺菌剤セット100において、強酸性領域の電解水を主成分とする殺菌剤300は、おもに洗濯物に付着している細菌の殺菌に資する。
【0012】
このように、第1発明では、対極的なpH(power of hydrogen:水素イオン濃度指数)領域(強アルカリ性領域および強酸性領域)に属する、それぞれに大きく特性の異なる2種類の電解水21・22を用いて洗浄剤200(
図2)と殺菌剤300(
図3)を構成しておく。
そして、「洗浄剤」を使用し、洗濯物に付着したタンパク質や油脂を除去する。
さらに、「殺菌剤」により、洗浄剤で除去しきれなかったタンパク質や油脂を養分として細菌が繁殖しないよう、洗濯物に付着している細菌を殺菌する。
【0013】
なお、食塩を加えた水道水を電気分解した際に、アルカリ性電解水と酸性電解水は「対で生成」される。
より詳細には、隔膜をへだてて、負極側においてはアルカリ性電解水が得られ、正極側においては酸性電解水が得られる。
本発明においては、食塩水を電気分解した際に、同時に生成されるアルカリ性電解水21・酸性電解水22の双方を、洗浄剤200と殺菌剤300の成分として利用する。
そのため、洗濯用の洗浄剤・殺菌剤セット100の製造工程において「原料を無駄なく有効活用」することができる。
【0014】
[洗浄剤]
第1発明の洗浄剤・殺菌剤セット100のうち洗浄剤200(
図2)は、(1)強アルカリ性電解水21によるタンパク質・油脂の除去作用と、(2)酸化チタン3による、細菌が繁殖する原因物質(タンパク質や油脂)の分解作用と、(3)同酸化チタン3による細菌に対する分解(殺菌)作用と、を併せ持つ。
なお、高度にアルカリ性の強い電解水21は、それ自体が殺菌効果をも発揮する。
【0015】
そのため、溶液状の本洗浄剤200を用いた場合、細菌が繁殖する原因物質を除去(強アルカリ性電解水21の作用)および分解(酸化チタン3の作用)できる。
また、本洗浄剤200を用いた場合、タンパク質・油脂を養分として繁殖する細菌を分解(酸化チタン3の作用)することもできる。
なお、強アルカリ性電解水21に含まれる水酸化ナトリウム(NaOH)により、油脂はグリセリンと脂肪酸塩に分解され、さらに脂肪酸塩は界面活性(油になじみやすい親油基または疎水基と、水になじみやすい親水基の両方を有する性質)を示す。
また、タンパク質・油脂以外のその他の汚損物質を構成する無機粒子は強アルカリ性電解水21中において強い負電荷を帯びるとともに、洗濯物の構成物質も負電荷を帯びるため、汚損物質をなす無機粒子および洗濯物の構成物質が電気的斥力により相互に反発し、汚損物質(無機粒子)を洗浄(除去)できる。
【0016】
[殺菌剤]
また、第1発明の洗浄剤・殺菌剤セット100のうち殺菌剤300(
図3)は、(1)強酸性電解水22による殺菌作用と、(2)酸化チタン3による、細菌が繁殖する原因物質(タンパク質・油脂)の分解作用と、(3)酸化チタン3による細菌に対する分解(殺菌)作用と、を併せ持つ。
【0017】
そのため、溶液状の本殺菌剤300を用いた場合、洗濯物に付着している細菌に対し、強酸性電解水22による殺菌作用と、光触媒3である酸化チタンによる分解作用を施すことができる。
また、本殺菌剤300を用いた場合、細菌が繁殖する原因物質であるタンパク質・油脂に対し、光触媒3である酸化チタンにより分解できる。
さらに、たとえウイルスであっても、タンパク質や油脂などで構成されている点では細菌と何ら変わることがないため、本願の洗浄剤200や殺菌剤300は、光触媒3を包含することで「ウイルス分解の相乗的効果」も奏しうる。
【0018】
[本洗浄剤に添加される、強アルカリ性電解水]
なお、強アルカリ性電解水21に含まれている水酸化ナトリウム(NaOH:分子量40)は、毒物及び劇物取締法の別表第2に挙げられている劇物に該当し、5%を超える水酸化ナトリウムを含む製剤は劇物としてみなされる。
なお、濃度5%の水酸化ナトリウム水溶液の場合、質量1000グラムの水酸化ナトリウム水溶液中(水950グラム)に質量50グラムの水酸化ナトリウム(NaOH)が含まれた状態にある。
水分量を1リットルに換算すると、1リットル(1052.63グラム)のNaOH水溶液中には、52.63グラム(1.32mol)のNaOHが含まれることになる。
NaOHは強塩基であるため、同NaOHの電離率を100%と仮定すると、水酸化物イオンのモル濃度[OH
−]=1.32mol/リットルであり、濃度5%の水酸化ナトリウム水溶液はpH=14.12となる。
【0019】
水酸化ナトリウムの濃度が5%を超過してしまうと、劇物として扱う必要があるため、本願洗浄剤200(
図2)の製造工程における危機管理も複雑化する。
劇物を取扱うには、毒物劇物取扱責任者の資格を要するからである。
このような事態を未然回避すべく、第1発明では、精製水1に添加する強アルカリ性電解水21として、水酸化ナトリウムの濃度が5%(pH14.1)以下のアルカリ性電解水21を用いている。
【0020】
[pH14.1の強アルカリ性電解水を、重量濃度6.5%添加したときの洗浄剤のpH]
なお、第1発明においては、強アルカリ性電解水21を、洗浄剤200全体に対して重量濃度6.5%だけ添加する。
この場合、精製水935グラム(935CC)に対し、強アルカリ性電解水21を65グラム(体積61.75CCで、NaOHを3.25グラム含む)追加することになる。
なお、1リットル(1000CC)に換算すると、水酸化ナトリウムは3.26グラム含まれることになるため、NaOHの電離率を100%と仮定すると、水酸化物イオンのモル濃度[OH
−]=0.0815mol/リットルとなる。
水のイオン積K
W(1.0×10
−14)=[H
+][OH
−]と、pH=−log[H
+]とから、洗浄剤200全体に対し、pH=14.1の強アルカリ性電解水21を濃度6.5%だけ添加したときの当該洗浄剤200のpHは「12.9」となる。
【0021】
[pH12.5の強アルカリ性電解水を、濃度6.5%添加したときの洗浄剤のpH]
また、洗浄剤200全体に対し、pH=12.5の強アルカリ性電解水21を濃度6.5%だけ添加したときの当該洗浄剤200のpHを求める。
強アルカリ性電解水21がpH=12.5のとき、[H
+]=10
−12.5mol/リットルとなるため、[OH
−]=10
−1.5=0.0316mol/リットルである。
すなわち、pH=12.5の強アルカリ性電解水21においては、1リットルの精製水1中に0.126グラムの水酸化ナトリウムが含まれている。すなわち、pH=12.5の強アルカリ性電解水21それ自体は、濃度0.0126%である。
【0022】
さらに、pH=12.5の強アルカリ性電解水21を濃度6.5%だけ精製水1に添加するときは、精製水935グラム(935CC)に対して、pH12.5の強アルカリ性電解水21を65グラム(体積64.99CCで、NaOHを0.0082グラム含む)追加することになる。
このとき、[OH
−]=0.0082g/リットル=2×10
−4mol/リットルより、[H
+]=5×10
−11mol/リットルとなり、洗浄剤200の溶液全体のpHは「10.3」となる。
【0023】
[本殺菌剤に添加される、強酸性電解水]
なお、第1発明において使用する強酸性電解水22は「pH2.0以上pH2.7以下」であり、さらに、強酸性電解水1キログラム中に有効塩素を20〜60ミリグラム含んでいる。
食塩水を電解して得られる、次亜塩素酸(HClO)を主成分とする水溶液(次亜塩素酸水)は、食品添加物として認められている。
さらに、食品添加物等の規格基準の一部改正により、次亜塩素酸水の成分規格を満たした強酸性電解水22は、食品の殺菌にも用いることができる。
本願における殺菌剤300は、洗濯に使用されるものであり、食品のように経口摂取されるものは使用対象として想定していないものの、衣服は日常生活においてヒトにとって身近なものである。
そのため、本発明では、安全面に配慮して「食品添加物等の規格基準に適合可能」な次亜塩素酸水の分量を採用している。
【0024】
[pH2.7の強酸性電解水を、重量濃度6.5%添加したときの殺菌剤のpH]
なお、第1発明においては、強酸性電解水22を、殺菌剤300全体に対して重量濃度6.5%だけ添加する。この場合、精製水935グラム(935CC)に対して、強酸性電解水22を65グラムだけ追加することになる。
強酸性電解水22がpH=2.7のとき、[H
+]=10
−2.7mol/リットル=0.002mol/リットルとなる。
すなわち、pH=2.7の強酸性電解水22を、重量濃度6.5%(65グラム)だけ精製水935グラムに添加した場合、[H
+]=1.3×10
−4mol/リットルだから、殺菌剤300全体の水素イオン濃度はpH=3.9となる。
【0025】
[pH2.0の強酸性電解水を、重量濃度6.5%添加したときの洗浄剤のpH]
強酸性電解水22がpH=2.0のとき、[H
+]=10
−2.0mol/リットル=0.01mol/リットルとなる。
すなわち、pH=2.0の強酸性電解水22を、重量濃度6.5%(65グラム)だけ精製水935グラムに添加した場合、[H
+]=6.5×10
−4mol/リットルだから、殺菌剤300全体の水素イオン濃度はpH=3.2となる。
【0026】
なお、食品安全委員会による添加物評価書(2006年12月)によれば、次亜塩素酸水にかかる遊離有効塩素の存在比は、
図5(b)のような曲線特性を示す。
本願においては、
図5(a)によればpH2.0〜pH2.7の強酸性電解水22は強酸性に区分されるものの、この強酸性電解水22(pH2.0〜pH2.7)を重量濃度6.5%となるように精製水で希釈することにより、最終的に、殺菌剤300全体の水素イオン濃度は「pH3.2〜pH3.9」に調製されている。
このとき、同
図5(b)より、殺菌剤300中では、大半(90%以上)が「高い殺菌効果を有する次亜塩素酸(HClO)」の状態で存在している。
【0027】
なお、第1発明の洗浄剤200および殺菌剤300は、精製水1および同精製水により希釈した電解水21・22のような人体にとって無害な成分に加え、有機物(タンパク質・油脂)や細菌の分解成分としても食品添加物にも用いられ且つ生理的に不活性の酸化チタン3が採用されている。
そのため、たとえ使用者が、第1発明にかかる洗濯用の洗浄剤・殺菌剤キット100の使用時に、誤って洗浄剤200ないしは殺菌剤300に触れたり、経口摂取してしまった場合でも、高い安全性が確保される。
【0028】
[光触媒]
第1発明によれば、洗浄剤200および殺菌剤300に添加する光触媒3として「酸化チタン」を用いる。
なお、酸化チタン(TiO
2:分子量79.87)が光を吸収するピークは、
図4(b)のように、紫外線領域に存在する。
【0029】
光触媒3として使用する酸化チタンの結晶構造には、ルチル型(正方晶:最安定型)・アナターゼ型(正方晶)・ブルッカイト型(斜方晶)があるものの、有機物の分解作用を高めるために、ルチル型よりもバンドギャップが大きいアナターゼ型の酸化チタンであることがより好ましい。
【0030】
さらに、酸化チタン(光触媒3)に紫外線が照射されると、光触媒3(酸化チタン)表面に正孔が生じ、この正孔が光触媒3表面の吸着水を酸化して「水酸基ラジカル」(ラジカルOH)を生成させる。
水酸基ラジカルは、活性酸素のなかで最も反応性が高く、かつ最も酸化力が強いため、糖質・タンパク質・脂質などあらゆる物質と反応する。
そのため、水酸基ラジカルは、酸化チタン(光触媒3)の表面に吸着している有機物を、水と二酸化炭素に分解する。
【0031】
この水酸基ラジカルの分解作用はきわめて強いものであり、有機物(タンパク質)や細菌を、最終的に二酸化炭素にまで分解してしまう。
そのため、第1発明の洗浄剤200もしくは殺菌剤300によれば、洗濯後においても、なお洗濯物にタンパク質や油脂が残留していても、洗濯物に光を照射することで(例えば、洗濯物を干して太陽光にさらしたときや、室内においての蛍光灯など照明下の光照射等)、酸化チタン(光触媒3)の効果により、洗い残したタンパク質や油脂が分解される。
洗い残したタンパク質や油脂は細菌が繁殖する原因となるが、第1発明によれば、洗濯物に光を当てることで細菌の繁殖を抑制でき、ひいては干した洗濯物から不快な臭気が生じることを防止できる。
【0032】
また、酸化チタン3に光照射することで生じた水酸基ラジカルの分解作用は、細菌が繁殖する原因物質であるタンパク質や油脂だけでなく、細菌にも直接的に作用する。
そのため、第1発明の洗浄剤200・殺菌剤300はともに、これらが用いられた洗濯物に光が照射されたときに、洗濯物に潜んでいる各種の細菌や構成を同じくするウイルスも分解できるため、洗浄剤200および殺菌剤300は「ウイルス分解の相乗的効果」も奏しうる。
【0033】
なお、
図4(b)のように、酸化チタン単体の光の吸収ピークは、光波長380nm(ナノメートル)以下の紫外線領域にある。
そのため、本願の洗浄剤200および殺菌剤300には、可視光(光波長380ナノメートル〜780ナノメートル)に対する分解効果を高めるために、鉄イオンや銅イオンをさらに付加してもよい。
【0034】
[光触媒を、洗浄剤および殺菌剤中に均等分散させるための手法]
なお、上述したように、光触媒3である酸化チタンの分解作用は、酸化チタンの表面で生じる。
そのため、酸化チタン全体の表面部分の面積が大きければ大きいほど、酸化チタンによる反応性(分解作用)が高まることになる。
しかしながら、酸化チタンの表面部分の面積を大きくするべく、粒径0.1マイクロメートル以下の微細なコロイド状酸化チタンを使用した場合、コロイド状の酸化チタンが寄り集まって大きな粒子を構成してしまうため(凝集)、一般的に、溶液中に均等に分散させることが難しい。
そのため、本願の洗浄剤200または殺菌剤300の作製においても、酸化チタンを均等に分散させるのは難しいものと予想される。
【0035】
コロイド状の酸化チタンが電荷を持つのは強酸性領域もしくは強アルカリ性領域であり、中性(pH7)に近い領域ではコロイド状の酸化チタンが分散しにくく、溶液中に均等に分散させにくい。
なお、強酸性の状態では、酸化チタンの表面にある水酸基(OH)に水素イオンH
+が吸着することで、正に帯電した状態(OH
2+)となると考えられる。
また、強アルカリ性の状態では、酸化チタンの表面にある水酸基(OH)に水酸基イオンOH
−が吸着することで、負に帯電した状態(O
−)となると考えられる。
そこで、本願発明者は、酸化チタン3同士がくっつかないようにするべく、酸化チタンがプラスの電気を帯びた状態もしくはマイナスの電気を帯びた状態とすれば、電気的な反発力によって凝集することがなくなり、溶液に均等に混ざった状態にできるものと考えた。
【0036】
ここで、第1発明においては、洗濯物に付着しているタンパク質や油脂の洗浄効果を高めるべく、洗浄剤200の主成分として「強アルカリ性電解水21」を配合している。
そのため、中性領域(pH7)付近では凝集しやすい酸化チタンであっても、アルカリ性の偏りが大きい本願洗浄剤200の環境下(pH10.3〜pH12.9)では「均等に分散させることが容易」であり(酸化チタン3は負に帯電する)、ひいては洗浄剤200に添加された酸化チタン3の分解効果を高めることもできる。
なお、酸化チタン3を洗浄剤200に混合することで、強アルカリ性電解水21と光触媒3の相乗効果により、同洗浄剤200において、強アルカリ性電解水21によるタンパク質・油脂の除去作用に加え、酸化チタン3によるタンパク質・油脂の分解効果をも得ることができる。
【0037】
また、第1発明においては、洗濯物に付着している細菌に対する殺菌効果を高めるべく、殺菌剤300の主成分として「強酸性電解水22」を配合している。
そのため、中性領域(pH7)付近では凝集しやすい酸化チタンであっても、酸性の偏りが大きい本願殺菌剤300の環境下(pH3.2〜pH3.9)では「均等に分散させることが容易」であり(酸化チタン3は正に帯電する)、ひいては殺菌剤300に添加された酸化チタン3の殺菌効果を高めることもできる。
なお、酸化チタン3を殺菌剤300に混合することで、強酸性電解水22と光触媒3の相乗効果により、殺菌剤300において、強酸性電解水22による殺菌作用に加え、酸化チタン3による細菌の分解効果をも得ることができる。
【0038】
〔第2発明〕
また、上記の課題を解決するために、本願の第2発明に係る洗濯用の洗浄剤・殺菌剤キットは、第1発明に係る洗濯用の洗浄剤・殺菌剤キットにおいて、
洗浄剤および殺菌剤の少なくとも一方に、
光触媒である酸化チタン(TiO
2)に加えて、鉄イオンや銅イオンがさらに付加されている構成とした。
【0039】
上述した
図4(b)のごとく、酸化チタン単体の光の吸収ピークは380ナノメートル以下の紫外線領域にあるものの、第2発明によれば、洗浄剤200や殺菌剤300に鉄イオンや銅イオンを付加することで、
図4(a)のような可視光(波長380ナノメートル〜780ナノメートルの光)に対する、細菌繁殖の原因物質(タンパク質・油脂)や細菌の分解効果を改善できる。
【0040】
〔第3発明〕
上記の課題を解決するために、本願の第3発明に係る洗濯用の洗浄剤は、
強アルカリ性電解水を主成分として溶液状に構成され、ドライクリーニング・水洗いその他の各種用途に応じた洗濯においてタンパク質や油脂の洗浄効果を発揮する洗濯用の「洗浄剤」であって、
精製水と、
水酸化ナトリウム(NaOH)を含有する電解水であって、溶液状の本洗浄剤の全体量に対して6.5重量パーセントだけ添加されるpH(水素イオン濃度指数)12.5以上pH14.1以下の強アルカリ性電解水と、
光触媒である酸化チタン(TiO
2)と、
を含んでなり、
強アルカリ性電解水が重量濃度6.5%だけ添加されることで、当該洗浄剤全体の水素イオン濃度指数はpH10.3以上pH12.9以下に調製され、
(1)強アルカリ性電解水は、洗濯物に付着したタンパク質や油脂を同洗濯物から除去し、かつ、これらタンパク質・油脂を養分として繁殖する細菌を殺菌するとともに、本洗浄剤に混合されている酸化チタンを同洗浄剤中に均一に分散させ、
(2)酸化チタンは、紫外線が照射された際に、細菌が繁殖する原因物質となる前記タンパク質ならびに前記油脂に対する分解作用と、細菌自体に対する分解作用を及ぼす構成とした。
【0041】
第3発明によれば、第1発明における洗浄剤200(
図2)と同一の構成を有することにより、第1発明の洗浄剤200が奏する効果と同一の効果が得られる。
すなわち、第3発明の洗浄剤200は、(1)強アルカリ性電解水21による細菌が繁殖する原因物質(タンパク質や油脂)の除去作用、(2)酸化チタン3による、タンパク質・油脂の分解作用、(3)酸化チタン3による細菌に対する分解作用、を併せ持つ。
さらに、洗浄剤200は、酸化チタン3の作用により、ウイルス分解についても相乗的効果を奏しうる。
【0042】
〔第4発明〕
上記の課題を解決するために、本願の第4発明に係る洗濯用の殺菌剤は、
強酸性電解水を主成分として溶液状に構成された、洗濯物に残留している細菌に対して殺菌効果を発揮する洗濯用の「殺菌剤」であって、
精製水と、
次亜塩素酸(HClO)を含有する電解水であって、溶液状の本殺菌剤の全体量に対して6.5重量パーセントだけ添加されるpH(水素イオン濃度指数)2.0以上pH2.7以下の強酸性電解水と、
光触媒である酸化チタン(TiO
2)と、
を含んでなり、
強酸性電解水が重量濃度6.5%だけ添加されることで、当該殺菌剤全体としての水素イオン濃度指数はpH3.2以上pH3.9以下に調製され、
(1)強酸性電解水は、洗濯物に付着している細菌を殺菌するとともに、本殺菌剤に混合されている酸化チタンを同殺菌剤中に均一に分散させ、
(2)酸化チタンは、紫外線が照射された際に、細菌が繁殖する原因物質となるタンパク質ならびに油脂に対する分解作用と、細菌自体に対する分解作用を及ぼす構成とした。
【0043】
第4発明によれば、第1発明における殺菌剤300と同一の構成を有することにより、第1発明の殺菌剤300が奏する効果と同一の効果が得られる。
すなわち、第4発明の殺菌剤300は、(1)強酸性電解水22による殺菌作用、(2)酸化チタン3による、細菌が繁殖する原因物質(タンパク質・油脂)の分解作用、(3)酸化チタン3による細菌に対する分解(殺菌)作用、を併せ持つ。
さらに、殺菌剤300は、酸化チタン3の作用により、ウイルス分解についても相乗的効果を奏しうる。