特許第6880301号(P6880301)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6880301
(24)【登録日】2021年5月7日
(45)【発行日】2021年6月2日
(54)【発明の名称】ハンガー及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
   A47G 25/28 20060101AFI20210524BHJP
【FI】
   A47G25/28 Z
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2020-178813(P2020-178813)
(22)【出願日】2020年10月26日
【審査請求日】2020年10月26日
(31)【優先権主張番号】特願2019-214186(P2019-214186)
(32)【優先日】2019年11月27日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519423459
【氏名又は名称】春田 杏果
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【弁理士】
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】春田 杏果
【審査官】 永冨 宏之
(56)【参考文献】
【文献】 特許第6820999(JP,B1)
【文献】 中国実用新案第202959955(CN,U)
【文献】 中国実用新案第209031780(CN,U)
【文献】 実開昭51−132131(JP,U)
【文献】 韓国公開特許第10−2013−0113903(KR,A)
【文献】 中国実用新案第210077313(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 25/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定位置に係止可能とされたフック部と、
前記フック部の根元部に接続されて幅方向の一方に延在する第1肩部と、
前記フック部の前記根元部に接続されて前記幅方向の他方に延在する第2肩部と、
前記第1肩部の側端部と前記第2肩部の側端部とを接続する接続部と、
前記根元部に設けられ、前記フック部の厚さ方向に該フック部よりも突出する根元磁石部と、
前記接続部の前記第1肩部の側端部側でかつ該接続部の端部が該側端部に接する位置から内側に所定距離だけ離間した位置に設けられ、該接続部の厚さ方向に該接続部よりも突出する第1磁石部と、
前記接続部の前記第2肩部の側端部側でかつ該接続部の端部が該側端部に接する位置から内側に所定距離だけ離間した位置に設けられ、該接続部の厚さ方向に該接続部よりも突出する第2磁石部と、
を備え、
前記根元磁石部、前記第1磁石部及び前記第2磁石部のそれぞれの突出側の先端面は、前記フック部、前記第1肩部、前記第2肩部及び前記接続部を備えたハンガー本体に平行な同一の面内に位置し、
前記根元磁石部は、前記フック部の厚さ方向における両側にそれぞれ設けられ、
前記第1磁石部は、前記接続部の厚さ方向における両側にそれぞれ設けられ、
前記第2磁石部は、前記接続部の厚さ方向における両側にそれぞれ設けられ、
前記根元磁石部の前記フック部からの突出量と、前記第1磁石部の前記接続部からの突出量と、前記第2磁石部の前記接続部からの突出量とは、同一とされ、
前記突出量は、同一形状のハンガーを厚さ方向に重ね合わせた場合に形成される該ハンガー間の隙間にユーザの指を挿入させて隣り合う該ハンガーを離間させることができるように3mm以上10mm以下とされているハンガー。
【請求項2】
固定位置に係止可能とされたフック部と、
前記フック部の根元部に接続されて幅方向の一方に延在する第1肩部と、
前記フック部の前記根元部に接続されて前記幅方向の他方に延在する第2肩部と、
前記第1肩部の側端部と前記第2肩部の側端部とを接続する接続部と、
前記根元部に設けられ、前記フック部の厚さ方向に該フック部よりも突出する根元磁石部と、
前記接続部の前記第1肩部の側端部側でかつ該接続部の端部が該側端部に接する位置から内側に所定距離だけ離間した位置に設けられ、該接続部の厚さ方向に該接続部よりも突出する第1磁石部と、
前記接続部の前記第2肩部の側端部側でかつ該接続部の端部が該側端部に接する位置から内側に所定距離だけ離間した位置に設けられ、該接続部の厚さ方向に該接続部よりも突出する第2磁石部と、
を備え、
前記根元磁石部、前記第1磁石部及び前記第2磁石部のそれぞれの突出側の先端面は、前記フック部、前記第1肩部、前記第2肩部及び前記接続部を備えたハンガー本体に平行な同一の面内に位置し、
前記根元磁石部は、前記フック部の厚さ方向における両側にそれぞれ設けられ、
前記第1磁石部は、前記接続部の厚さ方向における両側にそれぞれ設けられ、
前記第2磁石部は、前記接続部の厚さ方向における両側にそれぞれ設けられ、
前記根元磁石部の前記フック部からの突出量と、前記第1磁石部の前記接続部からの突出量と、前記第2磁石部の前記接続部からの突出量とは、同一とされ、
前記突出量は、3mm以上10mm以下とされているハンガーの使用方法であって、
一の前記ハンガーと他の前記ハンガーを形状が重なるように対向させて、前記根元磁石部同士、前記第1磁石部同士及び前記第2磁石部同士が吸着した吸着状態で配置し、
前記吸着状態で重ねられた前記一のハンガーと前記他のハンガーとの間の隙間にユーザの指を挿入させてこれらハンガーを離間させるハンガーの使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハンガー及びその使用方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ハンガーのフック部と幅方向における両端のそれぞれに継手を設け、同一形状のハンガー同士を結合することが開示されている。また、同文献には、継手に代えて磁石を用いても良いことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−14518号公報([0006],図2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1のハンガーは、複数のハンガーを重ねて束ねると、ハンガー同士が隙間なく結合されるので、両手でそれぞれのハンガーを掴んで所定の力を加えないと離間させることができない。これでは、片手で容易にハンガーを離間させて結合を解除することができず利便性に欠ける。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、同一形状のハンガー同士を結合させた後に容易に離間させることができるハンガー及びその使用方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係るハンガーは、固定位置に係止可能とされたフック部と、前記フック部の根元部に接続されて幅方向の一方に延在する第1肩部と、前記フック部の前記根元部に接続されて前記幅方向の他方に延在する第2肩部と、前記第1肩部の側端部と前記第2肩部の側端部とを接続する接続部と、前記根元部に設けられ、前記フック部の厚さ方向に該フック部よりも突出する根元磁石部と、前記接続部の前記第1肩部の側端部側でかつ該接続部の端部が該側端部に接する位置から内側に所定距離だけ離間した位置に設けられ、該接続部の厚さ方向に該接続部よりも突出する第1磁石部と、前記接続部の前記第2肩部の側端部側でかつ該接続部の端部が該側端部に接する位置から内側に所定距離だけ離間した位置に設けられ、該接続部の厚さ方向に該接続部よりも突出する第2磁石部と、備え、前記根元磁石部、前記第1磁石部及び前記第2磁石部のそれぞれの突出側の先端面は、前記フック部、前記第1肩部、前記第2肩部及び前記接続部を備えたハンガー本体に平行な同一の面内に位置し、前記根元磁石部は、前記フック部の厚さ方向における両側にそれぞれ設けられ、前記第1磁石部は、前記接続部の厚さ方向における両側にそれぞれ設けられ、前記第2磁石部は、前記接続部の厚さ方向における両側にそれぞれ設けられ、前記根元磁石部の前記フック部からの突出量と、前記第1磁石部の前記接続部からの突出量と、前記第2磁石部の前記接続部からの突出量とは、同一とされ、前記突出量は、同一形状のハンガーを厚さ方向に重ね合わせた場合に形成される該ハンガー間の隙間にユーザの指を挿入させて隣り合う該ハンガーを離間させることができるように3mm以上10mm以下とされている。
【0007】
根元磁石部はフック部の厚さ方向にフック部よりも突出し、第1磁石部は接続部の厚さ方向に接続部よりも突出し、かつ、第2磁石部は接続部の厚さ方向に接続部よりも突出している。このため、同一形状のハンガーを厚さ方向に重ね合わせ、対応する各磁石部同士を当接させて結合すると、隣り合う同一形状のハンガーのフック部間、第1肩部間、第2肩部間及び接続部間のそれぞれに隙間を形成することができる。これら隙間のいずれかにユーザの指を挿入することで、結合されたハンガーを容易に離間させることができる。
なお、根元磁石部は、フック部の根元部に設けられていれば良く、根元部の位置が厳密に限定されるわけではない。すなわち、根元磁石部が設けられた根元部とは、所定の領域を意味するものである。
第1磁石部は、接続部の第1肩部の側端部側でかつ該接続部の端部が該側端部に接する位置から内側に所定距離だけ離間した位置に設けられている。すなわち、第1磁石部が設けられた第1肩部の側端部側とは、所定の領域を意味するものである。
第2磁石部は、接続部の第2肩部の側端部側でかつ該接続部の端部が該側端部に接する位置から内側に所定距離だけ離間した位置に設けられている。すなわち、第2磁石部が設けられた第2肩部の側端部側とは、所定の領域を意味するものである。
【0008】
各磁石部を厚さ方向における両側に設けることとしたので、ハンガーの両側に対して他の同一形状のハンガーを結合することができる。これにより、結合方向を考慮することなく容易にハンガー同士を結合して束ねることができる。
【0009】
各磁石部の突出量を同一としたので、同一形状のハンガー同士を平行に結合することができ、整列した状態でハンガー同士を束ねることができる。
突出量としては、3mm以上10mm以下とされ、好ましくは5mm程度とされる。
【0010】
本発明の一態様に係るハンガーの使用方法は、固定位置に係止可能とされたフック部と、前記フック部の根元部に接続されて幅方向の一方に延在する第1肩部と、前記フック部の前記根元部に接続されて前記幅方向の他方に延在する第2肩部と、前記第1肩部の側端部と前記第2肩部の側端部とを接続する接続部と、前記根元部に設けられ、前記フック部の厚さ方向に該フック部よりも突出する根元磁石部と、前記接続部の前記第1肩部の側端部側でかつ該接続部の端部が該側端部に接する位置から内側に所定距離だけ離間した位置に設けられ、該接続部の厚さ方向に該接続部よりも突出する第1磁石部と、前記接続部の前記第2肩部の側端部側でかつ該接続部の端部が該側端部に接する位置から内側に所定距離だけ離間した位置に設けられ、該接続部の厚さ方向に該接続部よりも突出する第2磁石部と、を備え、前記根元磁石部、前記第1磁石部及び前記第2磁石部のそれぞれの突出側の先端面は、前記フック部、前記第1肩部、前記第2肩部及び前記接続部を備えたハンガー本体に平行な同一の面内に位置し、前記根元磁石部は、前記フック部の厚さ方向における両側にそれぞれ設けられ、前記第1磁石部は、前記接続部の厚さ方向における両側にそれぞれ設けられ、前記第2磁石部は、前記接続部の厚さ方向における両側にそれぞれ設けられ、前記根元磁石部の前記フック部からの突出量と、前記第1磁石部の前記接続部からの突出量と、前記第2磁石部の前記接続部からの突出量とは、同一とされ、前記突出量は、3mm以上10mm以下とされているハンガーの使用方法であって、一の前記ハンガーと他の前記ハンガーを形状が重なるように対向させて、前記根元磁石部同士、前記第1磁石部同士及び前記第2磁石部同士が吸着した吸着状態で配置し、前記吸着状態で重ねられた前記一のハンガーと前記他のハンガーとの間の隙間にユーザの指を挿入させてこれらハンガーを離間させる。
【発明の効果】
【0011】
ハンガー同士を結合した後であってもハンガー間に隙間が形成されるので、容易にハンガーを離間させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の参考実施形態に係るハンガーを示した斜視図である。
図2図1の磁石部を拡大して示した側面図である。
図3】複数のハンガーを結合して束ねた状態を示した斜視図である。
図4図3のハンガーの磁石部を拡大して示した側面図である。
図5】本発明の一実施形態に係るハンガーを示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[参考実施形態]
図1には、本発明の参考実施形態に係るハンガー1が示されている。ハンガー1は、ハンガー本体2と、3つの磁石部3とを備えている。
【0014】
ハンガー本体2は、厚さが略一定とされている。ただし、ハンガー本体2は厚さが一定とされておらず所定の凹凸が設けられていても良い。
ハンガー本体2は、上方にフック部5を備えている。フック部5は、上部が円弧状に形成されており、内側に開口5aが形成されている。この開口5aからハンガーポール等の棒部材を通し、所定の固定位置にフック部5を係止する。フック部5の下方に位置する根元部5bには、第1肩部6の中央側の一端と第2肩部7の中央側の一端が一体的に接続されている。なお、根元部5bは、第1肩部6と第2肩部7とが接続される形状とされていればよく、その形状は図1に限定されるものではない。
【0015】
第1肩部6は、ハンガー本体2の幅方向の右下方に斜めに延在するように形成された長尺形状とされている。第2肩部7は、ハンガー本体2の幅方向の左下方に斜めに延在するように形成された長尺形状とされている。第1肩部6の幅方向における側端部6aと第2肩部7の幅方向における側端部7aとの間には、長尺形状とれた接続部8が略水平方向に延在して設けられている。このように、第1肩部6、第2肩部7及び接続部8によって、正面視して略二等辺三角形の外形状が形成されている。
【0016】
ハンガー本体2は、樹脂製とされており、例えば射出成形によって一体的に成形することができる。なお、ハンガー本体2を木製等の他の材質によって形成しても良い。
【0017】
フック部5の根元部5bには、根元磁石部3aが固定されている。根元磁石部3aは、フック部5の厚さ方向における両側にそれぞれ設けられている。
第1肩部6の側端部6aには、第1磁石部3bが固定されている。第1磁石部3bは、第1肩部6の厚さ方向における両側にそれぞれ設けられている。
第2肩部7の側端部7aには、第2磁石部3cが設けられている。第2磁石部3cは、第2肩部7の厚さ方向における両側にそれぞれ設けられている。
なお、以下の説明では、根元磁石部3a、第1磁石部3b及び第2磁石部3cに共通する説明の場合には単に符号3を用いて磁石部3として説明することとする。
【0018】
磁石部3は、内部に磁石を備えている。磁石は、永久磁石とされており、例えばネオジム磁石が用いられる。
各磁石部3の形状は、略円筒形状とされ、それぞれが同一形状とされている。各磁石部3の突出側の先端面は、ハンガー本体2と平行(すなわちハンガー本体2の厚さ方向に直交する面に平行)に設けられている。各磁石部3は、ハンガー本体2に対して一体的に成形されていても良く、また接着等によって固定されていても良い。なお、磁石部3の形状は、円筒形に限定されるものではなく、横断面が多角形とされた角柱形状であっても良い。
【0019】
ハンガー本体2を挟んで両側に配置された磁石部3は、極性が互いに逆とされている。すなわち、図2に示すように、ハンガー本体2の一方側の磁石部3の突出側がS極とされた場合は、ハンガー本体2を挟んだ反対側の磁石部3の突出側はN極とされる。
【0020】
磁石部3のハンガー本体2からの厚さ方向における突出量t(図2参照)は、3mm以上10mm以下、好ましくは5mm程度とされている。
【0021】
図1に示したように、磁石部3は、ハンガー本体2の3ヶ所に設けられている。3つの磁石部3の位置は、ハンガー1を正面視した場合に、それぞれが3角形の頂点に位置するように設けられている。
【0022】
次に、上述したハンガー1の使用方法について説明する。
複数のハンガー1を使用しないときに収納する際には、図3に示すように、複数のハンガー1を互いに接触した状態で束ねて保持する。具体的には、各ハンガー1を形状が重なるように厚さ方向に対向させて、それぞれのハンガー1の根元磁石部3a同士、第1磁石部3b同士及び第2磁石部3c同士の間で磁石の引力が生じるように配置する。このように、各磁石部3の3点で吸着することで位置が決まり、ハンガー1同士が面内で位置決めされるように各ハンガー1を結合させて束ねる。これにより、複数のハンガー1を整然と配置することができる。また、1つのハンガー1を取り出すときも、残りのハンガー1が束ねられた整列形状を崩すことなく容易に取り外すことができる。
【0023】
また、各磁石部3がハンガー本体2から厚さ方向に突出しているので、ハンガー1同士を結合させた状態であっても、ハンガー本体2間に所定の隙間sを形成することができる。例えば、磁石部3の突出量tが5mmとされた場合には、10mmの隙間sをハンガー本体2間に形成することができる。ユーザは、この隙間sに指を差し込み、隙間sを拡大するようにハンガー本体2同士を離間するように軽く力を入れるだけで、ハンガー1間の結合を解除することができる。この作業は片手でも行うことができ容易である。
【0024】
図4には、図3のように複数のハンガー1を束ねた状態で整列させるときの磁石部3の配置が示されている。同図に示すように、S極とN極とが交互になるように対向する磁石部3の極性を合わせて各ハンガー1を束ねて結合する。
【0025】
以上の通り、本参考実施形態によれば以下の作用効果を奏する。
根元磁石部3aはフック部5の厚さ方向にフック部5よりも突出し、第1磁石部3bは第1肩部6の厚さ方向に第1肩部6よりも突出し、かつ、第2磁石部3cは第2肩部7の厚さ方向に第2肩部7よりも突出している。このため、同一形状のハンガー1を厚さ方向に重ね合わせ、対応する各磁石部3a,3b,3c同士を当接させて結合すると、隣り合う同一形状のハンガー1のフック部5間、第1肩部6間及び第2肩部7間のそれぞれに隙間sを形成することができる。これら隙間sのいずれかにユーザの指を挿入することで、結合されたハンガー1を容易に離間させることができる。
【0026】
各磁石部3を厚さ方向における両側に設けることとしたので、ハンガー1の両側に対して他の同一形状のハンガー1を結合することができる。これにより、結合方向を考慮することなく容易にハンガー1同士を結合して束ねることができる。
【0027】
各磁石部3の突出量t(図2参照)を同一としたので、同一形状のハンガー1同士を平行に結合することができ、整列した状態でハンガー同士を束ねることができる。
【0028】
なお、上述した参考実施形態では、図2に示した形状のハンガー本体2に対して磁石部3を設けることとしたが、本発明は図2に示した形状のハンガー本体2に限定されるものではなく、フック部、第1肩部及び第2肩部があればどのような形状のハンガー本体にも適用することができる。
【0029】
[実施形態]
図5には、本発明の一実施形態が示されている。本実施形態は、上述した参考実施形態に対して、第1磁石部3b及び第2磁石部3cの位置が異なり、その他の構成については同様である。したがって、以下では参考実施形態に対する相違点についてのみ説明し、共通する部分については同一符号を付しその説明を省略する。
【0030】
第1磁石部3b及び第2磁石部3cは、接続部8に設けられている。第1磁石部3bは第1肩部6の側端部6a側に設けられ、第2磁石部3cは第2肩部7の側端部7a側に設けられている。第1磁石部3b及び第2磁石部3cは、各肩部6,7の側端部6a,7aに接続部8の各端部が接する位置よりも内側に位置している。第1磁石部3b及び第2磁石部3cの中心は、それぞれ、各側端部6a,7aに接する接続部8の各端部から距離d1,d2だけ離間している。距離d1,d2は、接続部8の両端から接続部8の全長Lの30%以下または20%以下または10%以下の範囲に設けられていれば良い。
【0031】
このように、第1磁石部3b及び第2磁石部3cを、接続部8の端部が側端部6a,7aに接する位置から所定距離だけ離間させることによって以下の効果を奏する。ハンガー1のフック部5を物干し竿に洗濯バサミピンチなどで固定し、複数のハンガー1を互いに離間させて配置した場合、例えば強い風が吹くと各ハンガー1がフック部5周りに回転して隣接するハンガー1の側端部6a,7a同士が衝突することがある。その場合に第1磁石部3b同士又は第2磁石部3c同士が磁力によってくっついてしまうおそれがある。これに対して、本実施形態では、第1磁石部3b及び第2磁石部3cが接続部8の端部が側端部6a,7aに接する位置から距離d1,d2だけ離間しているので、隣接するハンガー1の側端部6a,7a同士が衝突しても、磁石部3b,3cが接続部8の端部が側端部6a,7aに接する位置から離れているため、磁石部3b,3c同士が磁力によってくっついてしまうおそれを回避することができる。
【0032】
なお、第1磁石部3b及び第2磁石部3cに関する距離d1と距離d2とは、同じであっても良い(d1=d2)し、異なっていても良い(d1≠d2)。また、距離d1及び/又は距離d2を0として、接続部8の端部に磁石部3b,3cを設けても良い。
【0033】
本実施形態のように、接続部8の長手方向における両側に第1磁石部3b及び第2磁石部3cを設けることとしても、上述した参考実施形態と同様の作用効果を奏する。すなわち、各磁石部3がハンガー本体2から厚さ方向に突出しているので、ハンガー1同士を結合させた状態であっても、ハンガー本体2間に所定の隙間を形成することができる。ユーザは、この隙間に指を差し込み、隙間を拡大するようにハンガー本体2同士を離間するように軽く力を入れるだけで、ハンガー1間の結合を解除することができる。この作業は片手でも行うことができ容易である。
【0034】
なお、図3では、重ね合わされた各ハンガー1のフック部5の開口5a(図1参照)が同一方向(図3では根元部5bに対して左側に開口する方向)を向くようにして各ハンガー1が重ね合わされているが、フック部5の開口5aの向きを互い違いにして(すなわち第1肩部6と第2肩部7が交互に重なるようにして)各ハンガー1を物干し竿にかけるようにしても良い。このような配置とすれば、対向する各磁石部3間に斥力が生じ、ハンガー1同士を吸着させずに離間させた状態で各ハンガー1を配置することができる。これは、上述した参考実施形態だけでなく本実施形態にも適用することができる。
【0035】
また、図3のように連結されたハンガー1は、例えば洗濯機の側面などのような磁性体を含む壁面に対して、磁石部3の磁力によって吸着させて固定することができる。これにより、複数のハンガー1を散逸させることなく所定位置にまとめて配置することができる。これについても、上述した参考実施形態だけでなく本実施形態にも適用することができる。
【符号の説明】
【0036】
1 ハンガー
2 ハンガー本体
3 磁石部(吸着部)
3a 根元磁石部
3b 第1磁石部
3c 第2磁石部
5 フック部
5a 開口
5b 根元部
6 第1肩部
6a 側端部
7 第2肩部
7a 側端部
8 接続部
d1 (接続部から第1磁石部までの)距離
d2 (接続部から第2磁石部までの)距離
s 隙間
t 突出量
L (先端部の)全長
【要約】
【課題】同一形状のハンガー同士を結合させた後に容易に離間させることができるハンガーを提供する。
【解決手段】固定位置に係止可能とされたフック部5と、フック部5の根元部5bに接続されて幅方向の一方に延在する第1肩部6と、フック部5の根元部5bに接続されて幅方向の他方に延在する第2肩部7と、第1肩部6の側端部と第2肩部7の側端部とを接続する接続部8と、根元部5bに設けられ、フック部5の厚さ方向にフック部5よりも突出する根元磁石部3aと、接続部8の第1肩部6の側端部6a側の端部に設けられ、接続部8の厚さ方向に接続部8よりも突出する第1磁石部3bと、接続部8の第2肩部7の側端部7a側の端部に設けられ、接続部8の厚さ方向に接続部8よりも突出する第2磁石部3cと、を備えている。
【選択図】図5
図1
図2
図3
図4
図5