特許第6880312号(P6880312)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6880312コンピューティングノードのネットワークおよびコンピューティングノードを運用して、リアルタイムの銀行口座から銀行口座への振込を可能にする方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6880312
(24)【登録日】2021年5月7日
(45)【発行日】2021年6月2日
(54)【発明の名称】コンピューティングノードのネットワークおよびコンピューティングノードを運用して、リアルタイムの銀行口座から銀行口座への振込を可能にする方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/04 20120101AFI20210524BHJP
【FI】
   G06Q40/04
【請求項の数】24
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2020-511944(P2020-511944)
(86)(22)【出願日】2019年7月31日
(65)【公表番号】特表2020-529087(P2020-529087A)
(43)【公表日】2020年10月1日
(86)【国際出願番号】US2019044390
(87)【国際公開番号】WO2020028513
(87)【国際公開日】20200206
【審査請求日】2020年3月2日
(31)【優先権主張番号】16/050,565
(32)【優先日】2018年7月31日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517336027
【氏名又は名称】モルガン スタンレー サービシーズ グループ,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】MORGAN STANLEY SERVICES GROUP,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110001438
【氏名又は名称】特許業務法人 丸山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カプール,ユマ
(72)【発明者】
【氏名】ゼルツァー,オルガ
(72)【発明者】
【氏名】サーバー,クリス
【審査官】 青柳 光代
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−059901(JP,A)
【文献】 特開2014−081690(JP,A)
【文献】 特表2005−512173(JP,A)
【文献】 特表2019−521450(JP,A)
【文献】 特表2018−525758(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 − 99/00
G16H 10/00 − 80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータネットワークのコンピューティングノードを運用する方法であって、
少なくとも1つのコンピューティングノードを含む送金エンティティコンピュータシステムによって、第1の国内の支払者の銀行口座から第2の国内の受益者の銀行口座に送金するための、前記支払者のコンピュータデバイスからの電子メッセージを受信することであって、前記第2の国が、前記第1の国とは異なり、前記電子メッセージが、第1の国のデジタル支払システムを介して受信され、かつ第2の国の通貨のY単位を前記第1の国内の前記支払者の前記銀行口座から前記第2の国内の前記受益者の前記銀行口座に振り込むための、前記支払者による取引の要求を含み、前記支払者からの前記電子メッセージが、第2の国のデジタル支払システムに登録された前記受益者の識別子であるトークンを含み、前記受信された要求が、前記受益者の銀行口座を特定するいかなる他の情報も含まない、受信することと、
前記送金エンティティコンピュータシステムによって分散型帳技術(DLT)ネットワーク前記取引を開始するメッセージを送信することであって、前記メッセージが、前記送金エンティティコンピュータシステムの暗号キーでエンドースされている、送信することと、
前記DLTネットワークの検証コンピューティングノードによって、前記取引をバリデーションすることであって、
前記検証コンピューティングノードによって、前記送金エンティティコンピュータシステムの前記暗号キーが有効であることを確認することと、
前記検証コンピューティングノードによって前記トークンに基づいて、前記受益者が前記第2の国のデジタル支払システムに登録された銀行口座を有することを確認することであって、
前記検証コンピューティングノードによって、前記取引のための前記第2の国におけるエージェントエンティティを決定することと、
前記検証コンピューティングノードによって、かつ前記DLTネットワークを介して、前記受益者が前記第2の国のデジタル支払システムに登録された銀行口座を有しているかどうかを問い合わせる、電子問い合わせメッセージを前記第2の国の前記エージェントエンティティに送信することと、を含む、前記受益者が第2の国のデジタル支払いシステムに登録された銀行口座を有することを確認することと、を含む、前記取引をバリデーションすることと、
前記受益者が前記第2の国のデジタル支払システムに前記登録された銀行口座を有していることの確認を受信することに応じて、前記検証コンピューティングノードにより、外国為替プロバイダの外国為替プロバイダコンピュータシステムから、かつ前記DLTネットワークを介して、第1の国の通貨のX単位が、前記第2の国の通貨のY単位に転換される外国為替通貨相場を取得することであって、前記外国為替プロバイダが、送金エンティティの第1のノストロ口座と、前記エージェントエンティティの第2のノストロ口座と、を有する、外国為替通貨相場を取得することと、
外国為替通貨相場の受諾時に、
ージェントエンティティコンピュータシステムにより、前記第2の国のデジタル支払システムを介し、かつ前記受益者を特定するための前記トークンを使用して、前記第2の国の通貨の前記Y単位の支払いを前記受益者の前記銀行口座に振り込むことと、
前記外国為替プロバイダのコンピュータシステムによって、前記第1の国の通貨の前記X単位を前記送金エンティティの前記第1のノストロ口座から引き落とし、前記第2の国の通貨の前記Y単位を前記エージェントエンティティの前記第2のノストロ口座に入金することと、
前記送金エンティティコンピュータシステムによって、前記第1の国の通貨の前記X単位を前記支払者の前記銀行口座から引き落とすことであって、前記取引が、リアルタイムで完了し、前記DLTネットワークの分散型帳が、前記取引に関するデータを記録し、前記データが、前記トークンと、前記取引の前記送金エンティティおよび前記エージェントエンティティによる受諾と、前記外国為替通貨相場と、を含む、第1の国の通貨のX単位を引き落とすことと、
前記第2の国のデジタル支払システムによって、前記エージェントエンティティの前記第2のノストロ口座から前記受益者の前記銀行口座に、前記第2の国の通貨の前記Y単位を振り込むことにより、前記第2の国の通貨の前記Y単位を前記受益者の前記銀行口座に入金することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記送金エンティティが、送金銀行であり、前記エージェントエンティティが、エージェント銀行である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記支払者の前記コンピュータデバイスが、モバイルコンピューティングデバイスであり、前記支払者の前記銀行口座から前記受益者の前記銀行口座に前記送金する前記電子メッセージが、前記支払者の前記コンピュータデバイス上で起動しているアプリを介して作成される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記送金エンティティコンピュータシステムによって、前記外国為替通貨相場を受諾することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記送金エンティティコンピュータシステムおよび前記支払者の両方により、前記外国為替通貨相場を受諾することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記送金する前記支払者の前記コンピュータデバイスからの前記電子メッセージが、前記受益者の国を特定する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記送金する前記支払者の前記コンピュータデバイスからの前記電子メッセージが、前記受益者の国を特定せず、前記取引に対する前記エージェントエンティティを決定することが、前記検証コンピューティングノードにより、前記エージェントエンティティを特定する前記トークンに基づいたデータベース検索を行うことを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記送金する前記支払者の前記コンピュータデバイスからの前記電子メッセージが、前記受益者の国を特定せず、前記取引に対する前記エージェントエンティティを決定することが、前記検証コンピューティングノードにより、入力が指定されたトークン値であり、出力が前記受益者の対応するエージェント銀行であるFindToken APIメッセージを複数のエージェントエンティティに送信することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
なくとも1つのコンピューティングノードを含むエージェントエンティティコンピュータシステムと、
少なくとも1つのコンピューティングノードを含む送金エンティティコンピュータシステムであって、
第1の国内の支払者の銀行口座から第2の国内の受益者の銀行口座に送金するための、前記支払者のコンピュータデバイスからの電子メッセージを受信することであって、前記第2の国が、前記第1の国とは異なり、前記電子メッセージが、第1の国のデジタル支払システムを介して受信され、かつ第2の国の通貨のY単位を前記第1の国内の前記支払者の前記銀行口座から前記第2の国内の前記受益者の前記銀行口座に振り込むための、前記支払者による取引の要求を含み、前記支払者からの前記電子メッセージが、第2の国のデジタル支払システムに登録された前記受益者の識別子であるトークンを含み、前記受信された要求が、前記受益者の前記銀行口座を特定するいかなる他の情報も含まない、受信することと、
分散型帳技術(DLT)ネットワークに、前記取引を開始するメッセージを送信することであって、前記メッセージが、前記送金エンティティコンピュータシステムの暗号キーでエンドースされている、送信することと、を行うように構成されている、送金エンティティコンピュータシステムと、
を備え、
前記DLTネットワークが、複数のコンピューティングノードを備え、前記DLTネットワークの前記複数のコンピューティングノードが、
前記送金エンティティコンピュータシステムの前記暗号キーが有効であることを確認することと、
前記トークンに基づいて、前記受益者が前記第2の国のデジタル支払システムに登録された銀行口座を有していることを、
前記取引のための前記第2の国におけるエージェントエンティティを決定すること、および
前記受益者が前記第2の国のデジタル支払システムに登録された銀行口座を有しているかどうかを問い合わせる、電子問い合わせメッセージを前記第2の国の前記エージェントエンティティに送信すること、
前記受益者が前記第2の国のデジタル支払システムに前記登録された銀行口座を有していることの確認を受信することに応じて、外国為替プロバイダの外国為替プロバイダコンピュータシステムから、第1の国の通貨のX単位が、前記第2の国の通貨のY単位に転換される外国為替通貨相場を取得することであって、前記外国為替プロバイダが、送金エンティティの第1のノストロ口座と、前記エージェントエンティティの第2のノストロ口座と、を有することによって、確認することと、を行うように構成されており、
前記外国為替通貨相場の受諾時に、
前記エージェントエンティティコンピュータシステムが、前記第2の国のデジタル支払システムを介し、かつ前記受益者を特定するための前記トークンを使用して、前記第2の国の通貨の前記Y単位の支払いを前記受益者の前記銀行口座に振り込むように構成されており、
前記外国為替プロバイダコンピュータシステムが、前記第1の国の通貨の前記X単位を前記送金エンティティの前記第1のノストロ口座から引き落とし、前記第2の国の通貨の前記Y単位を前記エージェントエンティティの前記第2のノストロ口座に入金するように構成されており、前記受益者の前記銀行口座への振込が、リアルタイムで完了し、前記DLTネットワークの分散型帳が、前記取引に関するデータを記録し、前記データが、前記トークンと、前記取引の前記送金エンティティおよび前記エージェントエンティティによる受諾と、前記外国為替通貨相場と、を含み、
前記第2の国のデジタル支払システムが、前記エージェントエンティティの前記第2のノストロ口座から前記受益者の前記銀行口座に、前記第2の国の通貨の前記Y単位を振り込むことにより、前記第2の国の通貨の前記Y単位を前記受益者の前記銀行口座に入金するように構成されている、システム。
【請求項10】
前記支払者の前記コンピュータデバイスが、モバイルコンピューティングデバイスであり、前記支払者の前記銀行口座から前記受益者の前記銀行口座に前記送金する前記電子メッセージが、前記支払者の前記コンピュータデバイス上で起動しているアプリを介して作成される、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記送金する前記支払者の前記コンピュータデバイスからの前記電子メッセージが、前記受益者の前記国を特定する、請求項9に記載のシステム。
【請求項12】
前記送金する前記支払者の前記コンピュータデバイスからの前記電子メッセージが、前記受益者の前記国を特定せず、検証コンピューティングノードが、前記トークンに基づいデータベース検索を行って、前記取引に対する前記エージェントエンティティを特定するように構成されている、請求項9に記載のシステム。
【請求項13】
前記送金する前記支払者の前記コンピュータデバイスからの前記電子メッセージが、前記受益者の前記国を特定せず、検証コンピューティングノードが、入力が指定されたトークン値であり、出力が前記受益者の対応するエージェント銀行であるFind Token APIメッセージを複数のエージェントエンティティに送信するように構成されている、請求項9に記載のシステム。
【請求項14】
なくとも1つのコンピューティングノードを含むエージェントエンティティコンピュータシステムと、
少なくとも1つのコンピューティングノードを含む送金エンティティコンピュータシステムであって、
支払者の国の前記支払者の銀行口座から受益者の国の受益者の銀行口座に送金するための、支払者のコンピュータデバイスからの電子メッセージを受信することであって、前記電子メッセージが、受益者の国のデジタル支払システムを介して受信され、かつ受益者の国の通貨のY単位を前記支払者の前記銀行口座から前記受益者の前記銀行口座に振り込むための、前記支払者による取引の要求を含み、前記支払者からの前記電子メッセージが、受益者の国のデジタル支払システムに登録された前記受益者の識別子であるトークンを含み、前記受益者の前記銀行口座を特定するいかなる他の情報も含まない、受信することと、
分散型帳技術(DLT)ネットワークに、前記取引を開始するメッセージを送信することであって、前記メッセージが、前記送金エンティティコンピュータシステムの暗号キーでエンドースされていることと、を行うように構成されている、送金エンティティコンピュータシステムと、
を備え、
前記DLTネットワークが、複数のコンピューティングノードを備え、前記DLTネットワークの前記複数のコンピューティングノードが、
前記送金エンティティコンピュータシステムの前記暗号キーが有効であることを確認することと、
前記トークンに基づいて、前記受益者が、前記受益者の国のデジタル支払システムに登録された銀行口座を有していることを、
前記取引のための前記受益者の国におけるエージェントエンティティを決定すること、および
前記受益者が前記受益者の国のデジタル支払システムに登録された銀行口座を有しているかどうかを問い合わせる、電子問い合わせメッセージを前記受益者の国の前記エージェントエンティティに送信することによって、確認することと、を行うように構成されており、
前記受益者が前記受益者の国のデジタル支払システムに前記登録された銀行口座を有していることの確認を受信することに応じて、前記エージェントエンティティコンピュータシステムが、
前記受益者の国のデジタル支払システムを介し、かつ前記受益者を特定するための前記トークンを使用して、前記受益者の国の通貨の前記Y単位の支払いを前記受益者の前記銀行口座に振り込み前記受益者の前記銀行口座への振込が、リアルタイムで完了し、前記DLTネットワークの分散型帳が、前記取引に関するデータを記録し、前記データが、前記トークンと、前記取引送金エンティティおよび前記エージェントエンティティによる受諾を含むように構成されている、システム。
【請求項15】
前記支払者の前記コンピュータデバイスが、モバイルコンピューティングデバイスであり、前記支払者の前記銀行口座から前記受益者の前記銀行口座に前記送金する前記電子メッセージが、前記支払者の前記コンピュータデバイス上で起動しているアプリを介して作成される、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記送金する前記支払者のコンピュータデバイスからの電子メッセージが、前記受益者の国を特定する、請求項14に記載のシステム。
【請求項17】
前記送金する前記支払者の前記コンピュータデバイスからの前記電子メッセージが、前記受益者の前記国を特定せず、検証コンピューティングノードが、前記トークンに基づいてデータベース検索を行って、前記取引に対する前記エージェントエンティティを特定するように構成されている、請求項14に記載のシステム。
【請求項18】
前記送金する前記支払者の前記コンピュータデバイスからの前記電子メッセージが、前記受益者の前記国を特定せず、検証コンピューティングノードが、入力が指定されたトークン値であり、出力が前記受益者の対応するエージェント銀行であるFind Token APIメッセージを複数のエージェントエンティティに送信するように構成されている、請求項14に記載のシステム。
【請求項19】
コンピュータ実装方法であって、
少なくとも1つのコンピューティングノードを含む送金エンティティコンピュータシステムによって、第1の国内の支払者の銀行口座から第2の国内の受益者の銀行口座に送金するための、前記支払者のコンピュータデバイスからの電子メッセージを受信することであって、前記第2の国が、前記第1の国とは異なり、前記電子メッセージが、第2の国の通貨のY単位を前記第1の国内の前記支払者の前記銀行口座から前記第2の国内の前記受益者の前記銀行口座に振り込むための、前記支払者による取引の要求を含み、前記支払者からの前記電子メッセージが、第2の国のデジタル支払システムに登録された前記受益者の識別子であるトークンを含み、前記受信された要求が、前記受益者の銀行口座を特定するいかなる他の情報も含まない、受信することと、
前記受益者のバリデーションを要求する第1のAPIメッセージを、前記送金エンティティコンピュータシステムによって、国際支払振込コンピュータシステムに送信することと、
前記国際支払振込コンピュータシステムによって、前記第2の国内のエージェント銀行を決定することと、
前記受益者のバリデーションを要求する前記第1のAPIメッセージを、前記受益者をバリデーションするために前記第2の国で使用されるメッセージタイプに、前記国際支払振込コンピュータシステムによって変換することと、
前記受益者のバリデーションを要求する前記変換された第1のAPIメッセージを、前記国際支払振込コンピュータシステムによって、前記エージェント銀行に送信することと、
前記受益者のバリデーションを要求する前記変換された第1のAPIメッセージを、前記エージェント銀行によって、前記第2の国のデジタル支払システムに送信することと、
前記受益者のバリデーションを要求する前記変換された第1のAPIメッセージを受信することに応じて、前記第2の国のデジタル支払システムにより前記受益者をバリデーションすることと、
前記第1の国の通貨の数量を第2の国の通貨の前記Y単位に転換するための為替レート相場を要求する第2のAPIメッセージを、前記国際支払振込コンピュータシステムによって、外国為替プロバイダに送信することと、
第1の国の通貨のX単位が第2の国の通貨の前記Y単位に転換されるという、前記受益者の前記銀行口座への振込についての外国為替相場を、前記外国為替プロバイダによって、前記国際支払振込コンピュータシステムに返信することと、
前記国際支払振込コンピュータシステムによって、前記外国為替相場を前記送金エンティティコンピュータシステムに送信することと、
前記送金エンティティコンピュータシステムによって、前記支払者の銀行口座から第1の国の通貨のX単位を引き落とすことと、
前記送金エンティティコンピュータシステムによって、前記国際支払振込コンピュータシステムに第3のAPIメッセージを送信して、前記受益者の銀行口座に資金を振り込むことと、
前記資金の振込を要求する前記第3のAPIメッセージを、前記第2の国内の前記エージェント銀行で資金を振り込むために使用されるメッセージタイプに、前記国際支払振込コンピュータシステムによって変換することと、
前記国際支払振込コンピュータシステムによって、前記変換された第3のAPIメッセージを前記エージェント銀行に送信することと、
前記変換された第3のAPIメッセージを前記エージェント銀行によって、前記第2の国のデジタル支払システムに送信することと、
前記変換された第3のAPIメッセージを前記第2の国のデジタル支払システムによって、前記受益者の銀行に送信することと、
前記受益者の前記銀行によって、第2の国の通貨の前記Y単位を前記受益者の前記銀行口座に入金することと、を含む、コンピュータ実装方法。
【請求項20】
前記送金銀行、前記国際支払振込コンピュータシステム、前記エージェント銀行、前記第2の国のデジタル支払システム、および前記受益者の前記銀行の各々が、前記取引の詳細をそれぞれのデータベースに保存することをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記支払者の前記コンピュータデバイスが、モバイルコンピューティングデバイスであり、前記支払者の前記銀行口座から前記受益者の前記銀行口座に前記送金する前記電子メッセージが、前記支払者の前記コンピュータデバイス上で起動しているアプリを介して作成される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
システムであって、
送金銀行のコンピュータシステムと、
前記送金銀行のコンピュータシステムと通信する国際支払振込コンピュータシステムと、
前記国際支払振込コンピュータシステムと通信する外国為替プロバイダと、を備え、
前記送金銀行のコンピュータシステムが、
第1の国内の支払者の銀行口座から第2の国内の受益者の銀行口座に送金するための、前記支払者のコンピュータデバイスからの電子メッセージを受信することであって、前記第2の国が、前記第1の国とは異なり、前記電子メッセージが、第2の国の通貨のY単位を前記第1の国内の前記支払者の前記銀行口座から前記第2の国内の前記受益者の前記銀行口座に振り込むための、前記支払者による取引の要求を含み、前記支払者からの前記電子メッセージが、第2の国のデジタル支払システムに登録された前記受益者の識別子であるトークンを含み、前記受信された要求が、前記受益者の銀行口座を特定するいかなる他の情報も含まない、受信することと、
前記受益者のバリデーションを要求する第1のAPIメッセージを前記国際支払振込コンピュータシステムに送信することと、を行うように構成され、
前記国際支払振込コンピュータシステムが、
前記第2の国内のエージェント銀行を決定することと、
前記受益者のバリデーションを要求する前記第1のAPIメッセージを、前記受益者をバリデーションするために前記第2の国で使用されるメッセージタイプに変換することと、
前記受益者のバリデーションを要求する変換された前記第1のAPIメッセージを前記エージェント銀行に送信することと、
前記エージェント銀行からの前記受益者のバリデーション受諾後、前記外国為替プロバイダに第2のAPIメッセージを送信して、前記第1の国の通貨の数量を第2の国の通貨の前記Y単位に転換するための為替レート相場を要求することと、
前記第1の国の通貨のX単位が第2の国の通貨の前記Y単位に転換されるという、前記受益者の前記銀行口座への振込についての外国為替相場を前記外国為替プロバイダから受信することと、
前記送金銀行のコンピュータシステムが、前記支払者の銀行口座から第1の国の通貨のX単位をから引き落とすように、前記外国為替相場を前記送金銀行のコンピュータシステムに送信することと、を行うように構成されており、
前記送金銀行のコンピュータシステムが、第3のAPIメッセージを前記国際支払振込コンピュータシステムに送信して、前記受益者の銀行口座に資金を振り込むようにさらに構成されており、
前記国際支払振込コンピュータシステムが、
前記資金の振込を要求する前記第3のAPIメッセージを、前記資金を振り込むために前記第2の国内の前記エージェント銀行で使用されるメッセージタイプに変換することと、
前記変換された第3のAPIメッセージを前記エージェント銀行に送信して、前記エージェント銀行が前記第2の国のデジタル支払システムと通信し、デジタル支払システムが前記受益者の銀行と通信し、前記受益者の前記銀行が前記受益者の前記銀行口座に第2の国の通貨の前記Y単位を入金することと、を行うように構成されている、システム。
【請求項23】
前記送金銀行、前記国際支払振込コンピュータシステム、および外国為替プロバイダの各々が、それぞれ前記取引の詳細を保存するためのデータベースを備えている、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
前記支払者の前記コンピュータデバイスが、モバイルコンピューティングデバイスであり、前記支払者の前記銀行口座から前記受益者の前記銀行口座に前記送金する前記電子メッセージが、前記支払者の前記コンピュータデバイス上で起動しているアプリを介して作成される、請求項23に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<優先権主張>
本出願は、上記と同じ発明者および発明の名称を有し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2018年7月31日に出願された米国特許出願第16/050,565号に対する優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
デジタル支払いシステムは、個人が、現金、小切手、またはクレジットカードの使用を必要とせずに、コンピューティングネットワークを介して、商品またはサービスの代金を支払う、または金銭的な贈り物または寄付をするなど、コンピュータまたはモバイルデバイスから別の当事者に電子的に振込金を支払うことを可能にするシステムである。いくつかのデジタル支払システムでは、両方の銀行口座が同じ国にある限り、モバイル支払の登録ユーザー(支払者)が、登録ユーザーの銀行口座から、システムに登録された銀行口座を有する別の人物(受益者または受取者)の銀行口座に送金することができる。別の国内の人物に金額を電信送金するプロセスは、より面倒である。複雑な形態、とりわけ、受益者および受益者の銀行の個人識別情報、ならびにもしあれば仲介銀行に関する情報を完了する必要があり、国境を越えた支払いを完了するのにかかる時間を増加させる。また、異なるタイムゾーンおよび休日のスケジュールは、1日で国境を越えた振込を完了するのが複雑になる。また、国際的な銀行振込に関連付けられた高い手数料があり、これは、高額の振込金額に対してのみ実用的である(そのため、手数料は取引の比較的小さな割合となる)。
【発明の概要】
【0003】
一般的な一態様において、本発明は、コンピューティングノードのネットワーク、およびコンピューティングノードを運用して、リアルタイムで、第1の人物(支払者)の銀行口座から第2の人物(受益者)の銀行口座への振込を可能にする方法を対象とする。支払者と受益者は同じ国でも異なる国であってもよい。本発明の振込はリアルタイムであり、受益者の携帯電話番号または電子メールアドレス以外の受益者の個人識別情報を必要としない。つまり、既存の国際支払方式とは異なり、支払者は、受益者の銀行、銀行口座およびルーティング番号、受益者の銀行住所などを指定する必要がない。様々な実施形態において、本発明は、分散型帳技術および/またはAPIベースのネットワークソリューションを利用して、取引が取消不能および不変であるようにする。
【0004】
本発明のこれら、および他の利点は、次の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0005】
本発明の様々な実施形態は、次の図に関連して例として本明細書に記載されている。
【0006】
図1】本発明の様々な実施形態による、第1の国内の支払者の銀行口座から第2の異なる国内の受益者の銀行口座にリアルタイムで送金するためのシステムの図である。
【0007】
図2】本発明の様々な実施形態による、図1のシステムによって行われる方法を示すフローチャートである。
【0008】
図3】本発明の様々な実施形態による、振込を開始するための支払者のコンピューティングデバイス上のユーザーインターフェースを示す。
【0009】
図4A】本発明の様々な実施形態による、銀行口座から銀行口座への振込を実装するために図1に示されたシステムによるプロセスフローを示す。
図4B】本発明の様々な実施形態による、銀行口座から銀行口座への振込を実装するために図1に示されたシステムによるプロセスフローを示す。
図4C】本発明の様々な実施形態による、銀行口座から銀行口座への振込を実装するために図1に示されたシステムによるプロセスフローを示す。
【0010】
図5】IP2Pコンピュータシステムの図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、送金銀行18における支払者の銀行口座から、銀行14における別の人物またはエンティティ(組織、機関)、「受益者」の銀行口座にリアルタイムで電子的に送金するためのコンピュータネットワークまたはシステム10のブロック図である。それに対応して、図2は、リアルタイムの電子銀行振込をするために図1のシステム10によって行えるプロセスのフローチャートである。必ずしもそうではないが、様々な実施形態では、支払者(および送金銀行18の彼/彼女の銀行口座)は第1の国におり、受益者(および銀行14の彼/彼女の銀行口座)は第2の異なる国にいる。この国際的または国境を越えた実施形態を最初に記載する。支払者は個人または企業であり、受益者は個人または企業であり、その結果、本発明の実施形態による銀行口座から銀行口座への資金振込は、個人から個人、個人から企業、企業から企業、および企業から個人へのものであり得る。
【0012】
ステップ101(図2を参照)において、振込を開始するために、支払者は、支払者のコンピュータデバイス16で、モバイルアプリまたはデジタル支払システムのウェブサイト(「金額振込アプリ」)にログインすることができる。好ましくは、振込アプリは、本発明による国際デジタル支払システムを提供する送金銀行18によって提供される。アプリまたはウェブサイトにログインするか、そうでなければアクセスすることにより、支払者のコンピュータデバイス16は、コンピュータネットワーク(例えば、インターネット)17を介して送金銀行のコンピュータシステム(「送金銀行のコンピュータシステム」18)に接続する。送金銀行のコンピュータシステム18は、データセンターの一部などの1つ、またはより好ましくは、いくつかのネットワークサーバで実装されてもよい。コンピュータデバイス16は、モバイルネットワーク(例えば、ワイヤレス通信事業者によって運営されるセルラーネットワーク)、インターネット、WiFiネットワークなどを介して送金銀行のコンピュータシステム18と通信することができる。
【0013】
銀行14における受益者の銀行口座は、第2(受益者)の国の地域的個人間P2P支払ネットワーク23Aに登録されていることが好ましい。図1に示されるように、また本明細書の説明から明らかなように、本発明の国際P2P支払システムは、それぞれの地域P2Pネットワーク23B〜Nにより複数の国に拡張することができる。デジタル支払システムまたは地域P2Pネットワークは、支払者が支払者の銀行口座から別のユーザーの銀行口座に電子的に送金することを可能にするデジタル支払ネットワークである。Zelleは米国の地域P2Pネットワークの例であり、Paymは英国の地域P2Pネットワークであり、InteracはカナダのP2Pネットワークであり、他の国々では他のデジタル支払システムが存在する。現在、このような地域P2Pネットワークは国境を越えた転送を許可していないため、現在このような地域P2Pネットワークでは、支払者と受益者の銀行口座は同じ国にある必要がある。
【0014】
様々な実施形態において、振込アプリにログインした後、支払者は、図1および3の例に示すように、受益者の銀行口座の通貨(例えば、受益者の(「第2の」)国の通貨の)のY単位、支払い金額、受益者のトークン識別子、および受益者の銀行口座の国を指定する。受益者のトークン識別子は、受益者が受益者の国の地域P2Pネットワーク23Aに登録した識別子である。通常、受益者のトークン識別子は、受益者の携帯電話番号または電子メールアドレスである。好ましくは、他の個人識別情報は、受益者を特定するために支払者または送金銀行18によって使用されない。そのため、支払者は受益者の郵送先住所、受益者の銀行口座番号、受益者の銀行、受益者の銀行の住所などを指定する必要はない。支払者が受益者の国を入力すると、送金銀行のコンピュータシステム18は、受益者の国の通貨を表示するために、支払者のコンピュータデバイス16で支払者のユーザーインターフェースを更新することができる。例えば、図1および図3では、支払者が受益者の国として「UK」を入力したため、ユーザーインターフェースが更新されて英国ポンド£が表示される。他の実施形態では、支払者は(受益者の通貨ではなく)支払者の通貨で、振り込まれる金額を入力することができ、システムは以下に記載するように、受益者の通貨で対応する額を決定する。例えば、支払者が米国におり、受益者が英国にいる場合、そのような他の実施形態では、支払者は、(送金銀行18において)$X USDを支払者のUS銀行口座から振り込まれることを指定することができ、システムは、以下に記載するように、(銀行14において)受益者の銀行口座に入金される英国ポンドの対応する数を決定する。さらに他の実施形態では、システムは、トークンから地域P2Pネットワーク23A〜Nを推定し、Find Token()APIを呼び出すことにより国および通貨を事前入力することができる。受益者の電話番号がトークンとして使用され、国コードが含まれている場合(英国の場合は44、日本の場合は81など)、受益者の国がトークンから決定され、メッセージに事前入力される。
【0015】
支払者のコンピュータデバイス16は、モバイルデバイス、例えばスマートフォンとして図1および3に示されている。振込を行うために振込アプリ(モバイルアプリまたはウェブサイトなど)を開くことが可能なものは、任意のコンピュータデバイスであってもよい。例えば、支払者のコンピュータデバイス16は、スマートフォン、テーブルコンピュータ、ウェアラブルコンピュータなどのモバイルコンピューティングデバイスであり、それは、図3に示すように、支払者が、送金銀行コンピュータシステム18への接続を開き、取引の詳細を指定することができるアプリを保存し実行する。他の実施形態では、支払者のコンピュータデバイス16は、ブラウザを備えた、ラップトップコンピュータまたはデスクトップコンピュータであり、支払者は、そこから送金銀行のコンピュータシステム18によってホストされるウェブサイトを開き、取引の詳細を指定することができる。
【0016】
図1および、図2のステップ102に示すように、送金銀行のコンピュータシステム18は、振込を開始する支払者の電子通信を受信する。次に、送金銀行のコンピュータシステム18は、図2のステップ103で、メッセージを電子的に送信または同報して、支払コンピュータネットワーク22に取引を実行することができる。様々な実施形態において、コンピュータネットワーク22は、ブロックチェーン(「DLTネットワーク」)などの分散型帳技術を採用する非集中型のピアツーピアネットワークである。
【0017】
ブロックチェーンは、金融取引の記録に使用される分散型帳である。場合によっては、ブロックチェーンには、各々が、一連の金融取引を含むブロックと呼ばれる一連のデータ構造が含まれる。各ブロックには、ブロック内のすべての取引の内容から派生したハッシュを有するヘッダが含まれる。新しいブロックは、新しいブロックのヘッダの前のブロックフィールドに、チェーンの最後のブロックのヘッダのハッシュを含めることにより、ブロックチェーンの最後に挿入される。この配設により、チェーン内の特定のブロックの内容を変更すると、ブロックチェーン内の後続のブロックごとに前のブロックフィールドのハッシュが不正確になり、構造の一貫性が確保される。
【0018】
ブロックチェーンは、一般に、分散型取引ネットワーク、例えばネットワーク22に参加しているエンティティ(組織、機関)のコンピューティングノードに公開される。様々な実施形態では、ブロックチェーンは公共用、またはより好ましくは許可ベースの個人ネットワークであり得、個人ブロックチェーンでは、ブロックチェーンは個人分散型取引ネットワークに参加しているエンティティにのみ公開される。どちらの場合でも、参加するエンティティ、例えば、送金およびエージェント銀行のコンピューティングノードまたはネットワーク22の他のコンピューティングノードは、ブロックチェーンの内容を検査するだけで新しい取引を確認することができる。
【0019】
したがって、送金銀行のコンピュータシステム18は、DLTネットワーク22内の全てのコンピューティングノードに取引のメッセージを発行することにより、取引を同報し得る。本発明の実施形態による国際銀行口座間振込取引のメッセージは、受益者のトークン識別子、支払者の自国通貨での取引金額、受益者の国、および取引の署名としての送金銀行18に対する暗号キーを含むことができる。
【0020】
DLTネットワーク内の1つ以上の検証コンピューティングノード25は、そのような国際的な個人間のリアルタイムの銀行口座振込バリデーションする(validate)ために、例えば、DLTネットワーク22に対して設定される具体的なバリデーション(validation)ルールを使用して、ステップ104で取引をバリデーションすることができる。とりわけ、検証コンピューティングノード25は、送金銀行コンピュータシステム18によって発行された、ブロックチェーンメッセージ内の送金銀行の暗号キーに基づいて送金銀行をバリデーションすることができる。また、検証ノード25は、取引のメッセージに含まれる受益者のトークンに基づいて、受益者が受益者の地域P2Pネットワーク23Aに登録されている銀行口座を有していることをバリデーションすることができる。図1に示されるように、検証ノード25は、検索テーブル28で、受益者の国のエージェント銀行20A〜20Nを検索することにより、受益者の銀行口座をバリデーションすることができる。すなわち、検索テーブル28は、エージェント銀行20A〜Nの各々のネットワークアドレスを保存することができ、検証ノード25は、(ネットワーク22への送金銀行のメッセージで特定されている)受益者の国に対応するアドレスを検索する。検索テーブル28は、検証ノード25および/またはネットワーク22内の他のコンピューティングノードのデータベースに保存することができる。次に、検証ノード25は、検索テーブル28で指定されたネットワークアドレスにある適切なエージェント銀行(この例ではエージェント銀行20A)にメッセージを送信し、受益者が、受益者の国の地域P2Pネットワーク23Aに登録されている銀行口座(この例では銀行14)を有しているかどうかを問い合わせる。次に、バリデーションされた取引は、ネットワーク22のブロックチェーン上のブロックに保存され、DLTネットワーク22上のコンピューティングノード(検証ノード25など)によってハッシュで暗号化される。この時点で、検証ノード25は、取引がバリデーションされたことを示す承認メッセージを、コンピュータネットワーク22を介して送金銀行コンピュータシステム18に送信することができる。
【0021】
取引がバリデーションされたと仮定すると、ネットワーク22は支払いを開始することができる。ステップ105において、ネットワーク22は、支払者の銀行口座の通貨(「第1の国の通貨」)から受益者の銀行の通貨(「第2の国の通貨」)への為替換に関する相場のために外国為替プロバイダ(FXP)24にメッセージを電子的に送信することができる。好ましくは、FXP24は、送金銀行18の通貨で送金銀行18のノストロ口座を有する。ノストロ口座とは、銀行、この場合は送金銀行が、外貨、この場合は受益者の銀行口座の通貨を、別の銀行、この場合はFXPで保有する口座である。また、エージェント銀行20は、受益者の銀行口座の通貨でFXP24にノストロ口座を有することが好ましい。FXP24は、好ましくは、コンピュータネットワーク(例えば、DLTネットワーク22)を通じて、送金銀行コンピュータシステム18に、その時点で適用可能な為替レートでの相場付きの電子メッセージ、つまり、第1の国の通貨のX単位が第2の国の通貨のY単位に転換されるという、電子メッセージを電子的に提供する。様々な実施形態において、エージェント銀行20の1つはFXP24であってもよい。ノストロ口座がFXP24でセットアップされていない場合、代替の決済メカニズムは、FXPと送金およびエージェント銀行との間で相殺された義務を結びつけることである。この場合、遅延決済が導入されるが、IOUの決済は不変である。
【0022】
ステップ106で、見積為替レートでの振込が確認される。このステップは、最初に、送金銀行のコンピュータシステム18が見積為替レートでの振込を確認することを含んでもよい。本発明のいくつかの変形例では、ネットワーク22上に複数の外国為替プロバイダ24があってもよく、そこから送金銀行のコンピュータシステム18が、振込のための外国為替相場を探して提供する。そのような場合、送金銀行のコンピュータシステム18は、様々な外国為替プロバイダ24によって提供される最良レートおよびその格付けなどのパラメータに基づいて、最良の外国為替レートを選択する体系的ロジックを実行することができる。ステップ106は、様々な実装形態において、送金銀行のコンピュータシステム18が外国為替相場を確認すると、送金銀行コンピュータシステム18は、次に、支払者が振込を始めるために使用した振込アプリを介して、支払者に為替レート付きのメッセージを提供することも含み得る。支払者が見積為替レートで振込を確認すると仮定すると、送金銀行のコンピュータシステム18は、合意された為替レート、ならびに支払者および送金銀行の確認で、取引の帳を更新(例えば、ブロックを追加)することができる。この時点で、3つの帳(送金銀行、エージェント銀行、FXP)間の取引は不変になり、変更することができない。このようにして、DLTごとに、合意された為替レートと確認が帳に不変および取消不能に記録される。
【0023】
FXP24は、取引の流動性プロバイダとして機能することが好ましい。こうすることで、当事者を決済リスクにさらすことになる一日の終わりに決済するのではなく、送金銀行およびエージェント銀行の口座をリアルタイムで決済することができる。振込を実行するには、ステップ107で、FXP24は、第1の国の通貨(すなわち、支払者の国の通貨)のFXP X単位で、送金銀行のノストロ口座から引き落とし、ステップ108で、第2の国の通貨(すなわち、受益者の国の通貨)のFXP24 Y単位で、エージェント銀行のノストロ口座に入金する。次に、送金銀行18は、ステップ109で、第1の国の通貨のX単位を送金銀行18の支払者の銀行口座からリアルタイムで引き落とす。同様に、ステップ110で、エージェント銀行20Aは、受益者の国の地域P2Pネットワーク23Aを介して、第2の国の通貨のY単位を受益者の銀行14の受益者の銀行口座に入金する。最後に、ステップ111で、送金銀行のコンピュータシステム18は、振込アプリ、電子メール、テキストなどを介して、支払いが成功したことの確認を支払者に送信することができる。
【0024】
最終的に、支払者の銀行口座は、支払者の通貨のX単位が引き落とされ、受益者の銀行口座には、受益者の通貨のY単位が入金され、かつ、(受益者の他の個人識別情報は除く)受益者のトークン、確認済みのFX相場、送金銀行による取引の受諾、および支払いの確認を含む、取引の詳細がDLTネットワークの分散型帳に記録される。
【0025】
これに関連して、「リアルタイム」とは、コンピュータシステムが着信データおよび/またはメッセージを処理するのにかかる時間を指す。通常、これは数秒ほどまたはほんの一瞬である。したがって、本明細書に記載する振込は数分で完了する、つまり、支払者が振込を開始してから数時間または数日ではなく、支払者の振込開始後、数分以内に受益者の口座に入金される。最大の遅延は、(i)支払者の国のデジタル支払システムを介した、送金銀行のコンピュータシステム18と支払者との間の、特に支払者の外国為替レートの受領を得る(ステップ106を参照)ための通信、および(ii)受益者の国のデジタル支払いシステムを介した、エージェント銀行コンピュータシステム20と受益者の銀行24との間の通信である。したがって、取引がブロックチェーンネットワーク22に送信されると、取引はリアルタイムで決済され、ブロックチェーン方式における送信銀行の流動性ポジションに反映されて、管理する中間の中央当局を必要とせず、ネットワーク22内の全てのピア(peer)間の完全な透過性有する。また、取引は、振込を実行するためにネットワーク内の銀行のいずれかを正規の営業時間中に開く必要がないため、一日のうちの任意の時間、任意の曜日(「24/7」)に作成することができる。
【0026】
上記の説明では、銀行は、送金者18およびエージェント20である。他の実施形態において、銀行以外の組織またはエンティティが、送金者(すなわち、送金エンティティ18)またはエージェント(すなわち、エージェントエンティティ20)として動作し得る。
【0027】
一部の実施形態では、FXプロバイダ24はエージェント銀行20であり得る。このような状況では、FXプロバイダ/エージェント銀行が提供するFXスプレッドが小さくなることがある。また、FXプロバイダがエージェント銀行であるかどうかに関係なく、FXプロバイダは、送金銀行の国18のリスクが高い場合、より広いスプレッドを提供する場合がある。また、上記の実施形態では、FXP24は決済エージェントとして機能した。他の実施形態では、送金銀行は、SWIFTネットワークを介するなど、従来の電信送金手段を使用してエージェント銀行に資金の電信送金することができるが、そのような電信送金はリアルタイムで清算されないことがある。また、一日の終わりには、当事者は正味の義務を推定し、責任のあるエンティティへのクリアリングファイルの通報に責任を負い、正味の義務は従来の有線手段によって転送されるが、これもリアルタイムではない可能性が高い。
【0028】
上記の実施形態では、支払者は受益者の国を指定した。他の実施形態では、支払者は国の受益者を特定する必要がない。そのような実施形態では、DLTネットワーク22の1つ以上のノードは、受益者のトークンに適用可能な国を特定するデータベーステーブルを保存することができる。そのようにして、支払者が受益者のトークンを指定すると、DLTネットワーク22のコンピューティングノードは、受益者のトークンに基づいて受益者の国を調べて、その国に適用可能な通貨を決定することができる。他の実施形態では、検証ノード25は、Find Token()APIメッセージを各エージェント銀行20A〜Nに送信することができ、エージェント銀行は、受益者が、応答エージェント銀行に関連付けられた、地域P2Pネットワーク23A〜Nに登録されているか否かの検証ノードに応答することができる。
【0029】
場合によっては、受益者が複数の国に関連付けられていることがある。例えば、図1を参照すると、受益者は、第1の地域P2Pネットワーク23Aに登録されている銀行14の第1の銀行口座と、第2の地域P2Pネットワーク23Bの銀行15の第2の銀行口座などを有し得る。そのような状況では、様々な実施形態によれば、支払者は、資金が振り込まれる受益者の銀行口座を選択することができる。支払者がそのような選択をする実施形態では、検証ノード25は、2つ(またはそれ以上)の銀行口座を特定し、この状態を送金銀行コンピュータシステム18に報告する。次に、送金銀行コンピュータシステム18は、振込アプリを介して支払者にクエリメッセージを送信し、支払者が受益者の国を選択するよう要求することができる。例えば、受益者が自分のトークンに関連付けられた英国およびカナダの銀行口座を登録している場合、送金銀行のコンピュータシステム18は、振込アプリを介して、受益者が英国およびカナダに口座を有していることを折り返して報告し、かつ支払者が振込のためにそれらのうちの1つを選択することを要求する。支払者が振込アプリを介して選択するとき、図2のプロセスは上記のように進むことができる。
【0030】
また、上記の説明では、受益者は支払者とは異なる国にいると想定されていた。そうである必要はない。受益者が支払者と同じ国にいる場合、つまり、地域P2Pネットワーク23Aおよび受取者の銀行14が、支払者と同じ国にある場合。通貨換算が不要なため、FXP24が関与する手順を削除することができることを除いて、上記のようにプロセスを進めることができる。すなわち、例えば、上記のように、DLTネットワーク22の検証ノード25は、受益者のエージェント銀行20Aを特定することができ(この例では、エージェント銀行20は送金銀行18と同じ国にある)、エージェント銀行20Aを介して受益者の銀行14に支払いを送信する。
【0031】
様々な実施形態において、ノードがDLTネットワーク22に登録するとき、ノードにダウンロードされるそれらのオンボーディングソフトウェアは、ネットワーク22のエコシステムに登録するためのIPアドレスを提供する。その後、ブロックチェーンノードソフトウェアをダウンロードする後続の参加者は、初期ノードに接続することができる。そこから、他のノードのIPアドレスは、ネットワークに加わった他のノードのアドレスについて初期ノードの1つに問い合わせることにより発見することができる。実際、ネットワーク22のノードは、既存のノードのIPアドレスについて、ネットワークに加わる新しいノードに通知することができる。メッセージはコンピューティングでディスクに書き込まれ、接続が中断した場合、リモートノードがメッセージを認めるまで配信を再試行することができ、その時点で、メッセージを確実に保存するか完全に処理することが予想される。様々な実施形態において、全てのメッセージは、コンパクトなバイナリフォーマットを使用して符号化されてもよい。ネットワークメッセージには、メッセージをグループ化するために使用することができるマルチビット(例えば、64ビット)のセッションIDが関連付けられている場合もある。ノードによって首尾よく処理されたメッセージは、「領収書」と呼ばれる署名済みの承認メッセージを生成する場合がある。領収書の目的は、取引相手が、後で紛争調停プロセスにおいて通用する通知を受信したという、否定できない証拠をノードに授けることである。
【0032】
図1は、送金銀行コンピュータシステム18、エージェント銀行コンピューティングシステム20A〜NおよびFXPコンピュータシステム24の各々が、DLTネットワーク22に接続するための適切なコンピュータインターフェースを有し、ノードが、ネットワーク22を介してメッセージを受信および送信することができることを示す。
【0033】
別の実施形態では、ブロックチェーンを使用する代わりに、送金銀行18、エージェント銀行20、およびFXP24の各々は、リアルタイムの振込を実装するためのメッセージ定義およびプロトコルを定義する、分散型アプリケーションプログラミングインターフェース(API)に従い、コンピュータネットワークを介してメッセージを送信し得る。このような実施形態は、取引をブロックチェーンに同報し、取引に関する詳細をブロックチェーンの分散型台帳に記録する代わりに、送金銀行コンピュータシステム18、エージェント銀行コンピュータシステム20、および FXP24が、APIを使用して取引を実装する電子データネットワーク(LAN、WAN、インターネットなど)を介してメッセージを交換することができることを除いて、先で記載されるブロックチェーンの実施形態と同様である。例えば、ブロックチェーンの例と同様に、送金銀行のコンピュータシステム18は、適用可能なAPIに従って、ネットワーク22内のコンピューティングノードにメッセージを送信することができ、メッセージには、受益者のトークンと振り込まれる(例えば、上記のように、支払者の通貨または受益者の通貨のいずれかでの)金額が含まれる。次に、コンピューティングノードは、受益者が地域P2Pネットワーク23Aに登録された銀行口座を有していることをバリデーションすることを含んで、取引をバリデーションすることができる。これには、受益者の地域P2Pネットワーク23Aのエージェント銀行20Aが、コンピューティングノードからのトークン登録要求を受信して応答するための適切なAPIを有している必要がある。例えば、エージェント銀行コンピュータシステム20は、受益者が登録された銀行口座を有していることを確認し、APIに従って、コンピューティングノードに承認メッセージを折り返して送信することができる。エージェント銀行コンピュータシステム20は、受益者のトークンに基づいてデータベース内の検索テーブルを通じて、受益者が登録された銀行口座を有していることを確認することができる。
【0034】
エージェント銀行コンピュータシステム20から承認応答メッセージを受信した後、次に、コンピューティングノードは、適用可能なAPIに従って、外国為替レート相場のためにFXP24にメッセージを送信し、プロセスは、図2のステップ105〜110に示すように進むことができる。再び、FXP24は、コンピューティングノードからのメッセージを受信して応答するために、適用可能なAPIを必要とする。
【0035】
そのような実施形態における検証ノード25および/または非DLTネットワークのノードが、本明細書に記載された取引ステップを行うために使用することができるAPIの非網羅的リストは、
−その入力が指定されたトークン値であり、その出力(応答)が受益者の対応するエージェント銀行20であるFindToken
−その入力は指定されたトークン値であり、その出力(応答)がトークンに対応する受益者の姓名であるValidateToken
−その入力が、支払い確認ID、支払金額、通貨、および受益者トークンであり、その出力が支払いのステータスまたはエラーが発生した場合のエラーコードであるMakePayment()
−その入力が支払確認IDおよび支払ステータスであるChangePaymentStatus()
−その入力が支払確認IDであり、その出力がステータス、およびステータスを提供した銀行の銀行IDであるGetStatus()
−その入力が、金額、支払者の通貨、および受益者の通貨であるGetFxRate()
−その入力が支払確認IDであるLockFxRate()
−その入力が支払い確認IDであるCommitFxRate()
−その入力が支払確認IDであり、その出力は、支払または支払が停止した場合はPaymentStopのステータスであるTracePayment()
−その入力が支払確認IDおよびロールバックの理由であるTraceAndRollbackPaymentt()、を含む。
【0036】
例えば、(i)支払者16と送金銀行コンピュータシステム18の間、(ii)送金銀行コンピュータシステム18とエージェント銀行コンピュータシステム20の間、(iii)DLTネットワーク22を介して送信されたメッセージを含む、外国為替プロバイダ24との間、および(iv)エージェント銀行コンピュータシステム20と受益者の銀行14の間の電子メッセージを含む、本明細書に記載された電子メッセージは、コンピュータネットワークを経由して送信することができる任意の好適なタイプの電子メッセージであり、パケット、フレーム、データグラムなどを含めることができる。その関連で、本明細書に記載したる様々なコンピュータコンポーネントは、伝送制御プロトコル(TCP)、インターネットプロトコル(IP)、ハイパーテキスト転送プロトコル(HTTP)、ファイル転送プロトコル(FTTP)、または任意の他の好適なネットワークプロトコルなどの任意の好適なネットワークプロトコルを使用して通信することができる。例えば、送金銀行のコンピュータシステム18は、取引を開始するためにメッセージをDLTネットワーク22に同報するときを含み、これらのネットワークプロトコルのいずれかを使用してDLTネットワーク22と通信することができる。
【0037】
図4A〜4Cは、本発明の様々な実施形態による、国境を越えた銀行口座から銀行口座への振込のプロセスフローを図示する。図4Aは受益者バリデーションのワークフローを示し、図4Bは外国為替換算ワークフローを示し、図4Cは資金振込のワークフローを示している。図4Aは、(内部個人対個人のための)いわゆる「IP2P」コンピュータシステム50と通信する送金銀行コンピュータシステム18を示す。IP2Pコンピュータシステム50は、順番に、参加するエージェント銀行20Aと通信し、参加するエージェント銀行20Aは、順番に、エージェント銀行20Aの領域内の地域P2Pネットワーク23Aと通信する。ステップ1Aで、ユーザー16は(ユーザーのコンピュータデバイスを介して)前述のように受益者に支払うために送金銀行18への要求を開始する。本明細書に記載したように、要求には、図1および3の例に示されるように、受益者のトークン識別子、および受益者の銀行口座の国が含まれる。受益者のトークン識別子は、受益者が受益者の国の地域P2Pネットワーク23Aに登録した識別子であり、受益者の携帯電話番号またはメールアドレスであってよく、受益者を特定するために、要求で支払者によって、または送金銀行18によって使用される他の個人識別情報は不要である。そのため、支払者は、受益者の郵送先住所、受益者の銀行口座番号、受益者の銀行、受益者の銀行の住所などを指定する必要がない。要求は、APIゲートウェイ(図示せず)を介して、利用可能な送金銀行サービスエンドポイントに転送される。APIゲートウェイは、送金銀行コンピュータシステム18の受益者バリデーション要求ハンドラ100を呼び出して、受益者をバリデーションするプロセスを開始する。ハンドラ100は、送金銀行の取引テーブル52にデータベースを呼び出し、取引IDを生成する。取引IDによって参照される取引記録は、「保留中」のステータスで送金銀行の取引テーブル52に保存される。取引IDは、追跡のために支払者16にプッシュされてもよい。
【0038】
図4A〜4Cに関連して以下に記載する全てのAPI要求とメッセージは、HTTP要求とメッセージである場合がある。送金銀行18のハンドラ100など、以下に記載する様々なハンドラは、HTTP要求を受信してHTTP応答を返すメッセージハンドラであってもよい。
【0039】
ステップ2Aで、送金銀行18は、APIメッセージ、すなわち、一般的なオープンバンキングベースの「ValidateToken」APIメッセージをIP2Pコンピュータシステムに送信する。「ValidateToken」要求メッセージは、その取引IDとともに、IP2Pコンピュータシステム50のバリデーションキュー(図示せず)にプッシュされ、そこからIP2Pコンピュータシステム50は「ValidateToken」要求メッセージを検索する。次に、IP2Pコンピュータシステム50の受益者バリデーション要求ハンドラ102は、取引メッセージ内の受益者の国コードを使用して、IP2Pディレクトリ54からエージェント銀行の詳細をフェッチする。IP2Pディレクトリ54は、上記の検索テーブル28と同様であってもよい。例えば、IP2Pディレクトリ54は、エージェント銀行20A〜Nの各々のネットワークアドレスを保存することができ、IP2Pコンピュータシステム50は、(IP2Pコンピュータシステム50へのメッセージで特定されている)受益者の国に対応するエージェント銀行ネットワークアドレスを検索する。取引IDによって参照された取引記録は、保留中のステータスでIP2P取引テーブル56に保存される。
【0040】
ステップ3Aで、「ValidateToken」要求メッセージは、IP2Pコンピュータシステム50から適切な参加エージェントバンク20Aにルーティングされる。エージェント銀行の要求ハンドラ104は、地域ネットワーク検索テーブル58から受益者に適切な地域ネットワーク23Aの詳細を取得する。参加エージェント銀行20Aは、一般的なオープンバンキングベースの「ValidateToken」要求メッセージを、地域ネットワーク23Aによって採用された具体的なバリデーションデータメッセージに変換することもできる。参加エージェント銀行20Aはまた、取引IDによって参照された取引要求を、保留中のステータスで参加エージェント銀行取引テーブル60に保存する。IP2Pコンピュータシステム50によって実行された変換に関するより典型的な詳細は以下に提供される。
【0041】
ステップ4Aで、地域ネットワークによって採用された適切なメッセージタイプに今では変換された「ValidateToken」要求メッセージが、地域ネットワーク23Aにプッシュされる。地域ネットワーク23Aの受益者バリデーションハンドラ106は、受益者のトークン識別子を使用して、そのローカルユーザーレジストリデータベース62内の受益者のトークン識別子の存在を確認することにより受益者をバリデーションする。次いで、ハンドラ106は、地域P2Pネットワークの取引テーブル64内の取引IDによって参照された取引のステータスを更新して、受益者が有効であることを示す。
【0042】
ステップ5Aで、地域ネットワーク23Aは、応答メッセージを参加エージェント銀行20Aにプッシュする。応答メッセージは、ローカルユーザーレジストリ62を調べることによって決定される、受益者の姓および名を含むことができる。地域ネットワーク23Aのバリデーション応答ハンドラ108は、取引データベース60を更新して、受益者がバリデーションされたことを示す。ステップ6Aで、参加エージェント銀行バリデーション応答ハンドラ108は、メッセージをIP2Pバリデーション応答ハンドラ110にプッシュし、ハンドラ110は、IP2Pの取引テーブル56を更新して、受益者がバリデーションされたことを示す。次に、IP2Pコンピュータシステム50は、適切な送金銀行18を特定するために送金銀行マッピングテーブル66を使用して、ステップ7Aで送金銀行18にメッセージを転送する。送金銀行バリデーション応答ハンドラ112は、キューからメッセージを検索し、その取引テーブル52を更新して、受益者がバリデーションされたことを示す。次に、ステップ8Aで、送金銀行バリデーション応答ハンドラ112は、受益者がバリデーションされたという通知を支払者のデバイス16上で支払者に転送する。様々な実施形態において、送金銀行18およびIP2Pコンピュータシステム50は、1つの国にあり、参加エージェント銀行20Aおよび地域P2Pネットワーク23Aは、異なる国にあり、国境を越えた転送を可能にする。
【0043】
図4Bは、様々な実施形態による外国為替(FX)換算ワークフローを示す。FX換算要求は、振込アプリを介して振込を要求するユーザー16によってステップ1Bで開始される。上記のように、支払者の電子支払い要求には受益者のトークン識別子が含まれ、APIゲートウェイ(図示せず)を介して利用可能な送金銀行エンドポイントに送信される。送金銀行FX相場ハンドラ120は、取引IDを使用して送金銀行取引テーブル52を更新し、FX相場が保留中であることを示す。ステップ2Bでは、一般的なオープンバンキングベースの「FX相場」要求APIメッセージがIP2Pコンピュータシステム50のFX相場ハンドラ122に渡され、ハンドラ122は、取引IDを参照してIP2P取引テーブル56を更新して、FX相場が保留中であることを示す。ステップ3Bで、取引メッセージは、FX相場ハンドラ122によってメッセージキューにプッシュされ、そこからFXプロバイダコンピュータシステム24のFX相場プロバイダハンドラ124がメッセージを検索する。
【0044】
FX相場プロバイダハンドラ124は、そのFXレートデータベース67に問い合わせて、支払者および受益者の通貨が与えられた場合に適用可能な為替レートを調べる。次に、FX相場プロバイダハンドラ124は、取引IDを参照してFX取引テーブル70を更新し、FX相場が処理されたことを示す。FX取引テーブル70はまた、見積為替レートと、このレート相場が有効である継続時間とを保存するために更新されてもよい。次に、ステップ4Bで、応答メッセージは、IP2Pコンピュータシステム50のFX相場応答ハンドラ126にプッシュされる。FXプロバイダ24からの応答メッセージは、適用可能な為替レートと、提供された為替レートが有効である有効期間とを含む。次に、IP2Pコンピュータシステム50のFX相場応答ハンドラ126は、その取引テーブル56を更新して、FX相場が処理されたことを示す。次に、ステップ5Bで、IP2Pコンピュータシステム50は、送金銀行マッピングテーブル66を使用して、送金銀行18のFX相場応答ハンドラ128にメッセージを送り返し、送金銀行18は、取引テーブル52を更新してFX相場が処理されることを示す。次に、ステップ6Bで、送金銀行18は、支払者16にステータスを渡す。ステータスメッセージは、支払者16がどのレートが適用されるかが分かるように、見積レートを示してもよい。ユーザー16へのメッセージは、支払者16に相場を容認または拒否する機会を提供することもできる。図4Bの境界線によって示されるように、支払者16、送金銀行コンピュータシステム24、IP2Pコンピュータシステム50、およびFXプロバイダコンピュータシステムは、同じ国(すなわち、支払者の国)にあってもよい。
【0045】
図4Cは、様々な実施形態による資金振込ワークフローを示す。ステップ1Cで、支払者16は、前記のように、支払者の銀行口座から受益者の銀行口座に資金を振り込むために、送金銀行コンピュータシステム18への要求を開始する。APIゲートウェイ(図示せず)は、送金銀行18内で資金振込APIを呼び出す。これに応じて、送金銀行の資金振込要求ハンドラ130は、送金銀行の口座データベース71内の支払者の口座から支払金額を差し引く。資金振込要求ハンドラ130は、口座振込が保留中であることを示すために、取引IDを使用して、送金銀行の取引テーブルも更新する。ステップ2Cで、送金銀行18は、一般的なオープンバンキングAPIメッセージ(例えば、「MakePayment」メッセージ)を使用して、資金振込要求メッセージをIP2Pコンピュータシステム50に送信する。IP2Pコンピュータシステム50の資金振込要求ハンドラ132は、上記の様にIP2Pディレクトリ54を使用して資金振込要求を向ける必要がある国のエージェント銀行のエージェント銀行詳細を、メッセージからの受益者の国コードを使用してフェッチする。IP2P取引テーブル56もまた、資金振込要求が保留中であることを示すように更新される。
【0046】
ステップ3Cにおいて、ステップ2CでIP2Pコンピュータシステムにより決定されたように、要求はIP2Pコンピュータシステム50により地域参加エージェント銀行コンピュータシステム20Aにルーティングされる。エージェント銀行20Aの資金振込要求ハンドラ134は、地域ネットワーク検索ディレクトリ58を使用して要求を向ける必要がある地域ネットワークを特定し、一般的なオープンバンキングメッセージを地域ネットワーク23Aが使用するメッセージタイプに変換する。資金振込要求ハンドラ134はまた、参加エージェント銀行の取引テーブル60を更新して、資金振込が保留中であることを示す。
【0047】
ステップ4Cで、メッセージは適切な地域ネットワーク23Aにプッシュされ、資金振込要求ハンドラ136は、ローカルユーザーレジストリ内の受益者トークンを正常にバリデーションする。資金振込要求ハンドラ136はまた、エージェント銀行取引テーブル64を更新して、要求が保留中であることを示す。ステップ5Cで、地域ネットワーク23Aは、(ステップ4Cで地域ネットワーク23Aにより特定されたように)要求を受益者の銀行にルーティングする。振込処理ハンドラ138は、メッセージ内の受益者の要求に基づいて受益者の口座情報を調べ、銀行の口座データベース78の受益者の口座に入金する。口座振込処理ハンドラ138はまた、受益者銀行取引テーブル80を更新して、資金振込が現在処理されていることを示す。
【0048】
次に、受益者銀行14からの応答メッセージが、ステップ6Cで地域ネットワーク23Aにプッシュされる。地域ネットワーク23Aの資金振込応答ハンドラ140は、地域ネットワーク取引テーブル64を更新して、振込が処理されていることを示し、ステップ7Cで応答メッセージをエージェント銀行20Aにプッシュする。エージェント銀行20Aの資金振込応答ハンドラ142は、エージェント銀行取引テーブル60を更新して、振込が処理されていることを示し、ステップ8Cで応答メッセージをIP2Pコンピュータシステム50にプッシュする。順番に、IP2Pコンピュータシステム50の資金振込応答ハンドラ144は、IP2P取引テーブル56を更新して、振込が処理されていることを示し、ステップ9Cで応答メッセージを送金銀行18にプッシュする。送金銀行18の資金振込応答ハンドラ146は、送金銀行取引テーブル52を更新して、取引が処理されていることを示し、ステップ10Cで応答メッセージを支払者16にプッシュする。
【0049】
先で記載されるように、図4A〜Cのプロセスは、一日のうちの任意の時間、任意の曜日に利用可能であり実行されることができる。そのため、プロセスは、受益者銀行の送金またはエージェントの現地時間の影響を受けない。プロセスはまた、リアルタイムで、例えば、上記のコンピュータシステムおよびデータベースがそれらの記載された機能を行うのと同じ速さで起こり得る。
【0050】
上で言及されるように、IP2Pコンピュータシステム50は、着信API要求を関連する地域ネットワーク23によって採用された対応するメッセージフォーマットに変換し、地域ネットワーク23からの応答メッセージをIP2Pコンピュータシステム50によって採用されたメッセージフォーマットに変換する。様々な実施形態では、IP2Pコンピュータシステム50は、ビジネスロジックを採用してそのような変換をすることができる。例えば、オープンバンキングAPI IP2Pメッセージフォーマットを使用して受益者をバリデーションし、および/または銀行口座間で資金を振り込む送金銀行18からの着信API要求のフィールドは、そのAPIメッセージング形式のために関連する地域ネットワーク23によって使用される、メッセージフィールドに対応しない場合がある。必要な変換を行うために、IP2Pコンピュータシステムは、符号化論理、ルールエンジン、データベース検索、および他の好適な技術を使用することができる。振込のために適用可能な地域ネットワークが決定されると、IP2Pコンピュータシステム50は、ビジネス論理202を採用して、送金銀行18からの着信メッセージのフィールドを、関連する地域ネットワーク23によって使用されるメッセージ形式に転換(または変換)する方法を決定することができる。例えば、受益者の銀行口座がカナダの銀行にある場合(かつ支払者がカナダ国外にいる場合)、ビジネス論理202は、送金銀行18からのメッセージをカナダの地域ネットワーク(Interac)で使用される形式に転換することができる。転換/変換されると、IP2Pコンピュータシステム50は、転換/変換されたメッセージをカナダのエージェント銀行20に転送することができる。相応じて応答側では、IP2Pコンピュータシステム50は、エージェント銀行20からの応答メッセージをIP2Pコンピュータシステムによって使用されるAPIメッセージフォーマットに転換/変換することができるビジネス論理202を使用することができる。
【0051】
IP2Pコンピュータシステム50は、IP2Pコンピュータシステムのデータアクセス層またはサービス層などの他のティアまたは層からビジネスロジック202が分離されるように、マルチティアアーキテクチャを採用してもよい。
【0052】
送金銀行、エージェント銀行、IP2Pコンピュータシステム、および外国為替プロバイダコンピュータシステムは、サーバの1つまたはネットワークで実装することができる。そのような各サーバは、1つ以上のプロセッサコアと、プロセッサコア(複数可)によって実行されるソフトウェアを保存するためのコンピュータメモリと、を備えてもよい。例えば、図4A〜4Cを参照すると、IP2Pコンピュータシステム50およびFXプロバイダコンピュータシステム24は、支払者の国の地域にサービスを提供するオンデマンド・クラウドコンピューティングプラットフォームで実装され得る。また、エージェント銀行コンピュータシステム20Aは、受益者の国の地域にサービスを提供するオンデマンド・クラウドコンピューティングプラットフォームで起動し得る。
【0053】
プログラム命令(例えば、ソフトウェア)は、例えば、RAM、ROM、プロセッサレジスタ、またはプロセッサキャッシュなど、プロセッサコアによってアクセス可能なコンピュータメモリに保存することができる。データは、データバス(好ましくは高速データバス)またはネットワークリンク(例えば、イーサネット(登録商標)など)などの好適なデータリンクを使用して、様々なシステム間で共有することができる。
【0054】
本明細書に記載した様々なコンピュータシステム、および本明細書に記載した他のコンピュータ機能のソフトウェアは、NET、C、C++、Pythonなどの好適なコンピュータープログラミング言語を使用し、かつ従来の、機能的な、またはオブジェクト指向の手法を使用して、コンピュータソフトウェアで実装することができる。コンピュータソフトウェアおよび他のコンピュータ実装命令のプログラミング言語は、実行前にコンパイラまたはアセンブラによって機械語に変換される、および/または実行時にインタプリタによって直接変換され得る。アセンブリ言語の例には、ARM、MIPS、およびx86が含まれ、高レベル言語の例には、Ada、BASIC、C、C++、C#、cobol、Fortran、Java(登録商標)、Lisp、Pascal、ObjectPascal、Haskell、MLなどがあり、スクリプト言語の例には、Bourneスクリプト、JavaScript(登録商標)、Python、Ruby、Lua、PHP、およびPerlが含まれる。
【0055】
したがって、1つの一般的な態様では、本発明は、コンピュータネットワークのコンピューティングノードを運用する方法を対象とする。本方法は、少なくとも1つのコンピューティングノードを含む送金エンティティコンピュータシステム18によって、第1の国内の支払者の銀行口座から第2の国内の受益者の銀行口座に送金するための、支払者のコンピュータデバイス16からの電子メッセージを受信することを含み、第2の国は、第1の国とは異なり、電子メッセージは、第1の国のデジタル支払システムを介して受信され、かつ第2の国の通貨のY単位を第1の国内の支払者の銀行口座から第2の国内の受益者の銀行口座に振り込むための、支払者による取引の要求を含む。支払者からの電子メッセージは、第2の国のデジタル支払システムに登録された受益者の識別子であるトークンを含み、受信された要求は、受益者の銀行口座を特定するいかなる他の情報も含まない。本方法は、送金エンティティコンピュータシステム18によって分散型帳技術(DLT)ネットワーク22取引を開始するメッセージを送信するステップをさらに含み、メッセージは、送金エンティティコンピュータシステム18の暗号キーでエンドースされている(endorsed)。本方法は、DLTネットワーク22の検証コンピューティングノード25によって、取引をバリデーションすることをさらに含み、取引をバリデーションすることは、(i)検証コンピューティングノード25によって、送金エンティティコンピュータシステムの暗号キーが有効であることを確認することと、(ii)検証コンピューティングノード25によって、ークンに基づいて、受益者が第2の国のデジタル支払システムに登録された銀行口座を有することを確認することとをさらに含む。受益者が第2の国のデジタル支払システムに登録された銀行口座を有していることを確認するステップは、(a)検証コンピューティングノード25によって、取引のための第2の国におけるエージェントエンティティ20Aを決定することと、(b)検証コンピューティングノード25によって、かつDLTネットワーク22を介して、受益者が第2の国のデジタル支払システムに登録された銀行口座を有しているかどうかを問い合わせる、電子問い合わせメッセージを第2の国のエージェントエンティティ20Aに送信することと、を含み得る。
【0056】
本方法は、受益者が第2の国のデジタル支払システムに登録された銀行口座を有していることの確認を受信することに応じて、検証コンピューティングノード25により、外国為替プロバイダ24の外国為替プロバイダコンピュータシステムから、かつDLTネットワーク22を介して、第1の国の通貨のX単位が、第2の国の通貨のY単位に転換される外国為替通貨相場を取得するステップをさらに含み、外国為替プロバイダは、送金エンティティの第1のノストロ口座と、エージェントエンティティの第2のノストロ口座とを有する。本方法は、外国為替通貨相場を受諾時に、エージェントエンティティコンピュータシステム20Aにより、第2の国のデジタル支払システム23Aを介し、かつ受益者を特定するためのトークンを使用して、第2の国の通貨のY単位の支払いを受益者の銀行口座に振り込むことと、外国為替プロバイダのコンピュータシステム24によって、第1の国の通貨のX単位を送金エンティティの第1のノストロ口座から引き落とし、第2の国の通貨のY単位をエージェントエンティティの第2のノストロ口座に入金することと、送金エンティティコンピュータシステム18によって、第1の国の通貨のX単位を支払者の銀行口座から引き落とすことと、第2の国のデジタル支払システム23Aにより、エージェントエンティティの第2のノストロ口座から受益者の銀行口座に、第2の国の通貨のY単位を振り込むことにより、第2の国の通貨のY単位を受益者の銀行口座に入金することと、をさらに含む。
【0057】
別の一般的な態様では、本発明は、少なくとも1つのコンピューティングノードを含むエージェントエンティティコンピュータシステム20Aと、少なくとも1つのコンピューティングノードを含む送金エンティティコンピュータシステム18とを備えるシステムを対象とする。送金エンティティコンピュータシステム18Aは、第1の国内の支払者の銀行口座から第2の国内の受益者の銀行口座に送金するための、支払者のコンピュータデバイス16からの電子メッセージを受信するように構成されており、第2の国は、第1の国とは異なり、電子メッセージは、第1の国のデジタル支払システムを介して受信され、かつ第2の国の通貨のY単位を第1の国内の支払者の銀行口座から第2の国内の受益者の銀行口座に振り込むための、支払者による取引の要求を含む。電子メッセージは、第2の国のデジタル支払システムに登録された受益者の識別子であるトークンを含み、受信された要求は、受益者の銀行口座を特定するいかなる他の情報も含まない。送金エンティティコンピュータシステム18はまた、分散型帳技術(DLT)ネットワーク22に、取引を開始するメッセージを送信し、メッセージは、送金エンティティコンピュータシステムの暗号キーでエンドースされている。DLTネットワーク22は、複数のコンピューティングノード25を備え、複数のコンピューティングノードは、送金エンティティコンピュータシステムの暗号キーが有効であることを確認することと、トークンに基づいて、受益者が第2の国のデジタル支払システムに登録された銀行口座を有していることを、(i)取引のための第2の国におけるエージェントエンティティを決定すること、および(ii)受益者が第2の国のデジタル支払システムに登録された銀行口座を有しているかどうかを問い合わせる、電子問い合わせメッセージを第2の国のエージェントエンティティに送信すること、によって確認することを行うように構成されている。受益者が第2の国のデジタル支払システムに登録された銀行口座を有していることの確認を受信することに応じて、DLTネットワーク22は、外国為替プロバイダ24の外国為替プロバイダコンピュータシステムから、第1の国の通貨のX単位が、第2の国の通貨のY単位に転換される外国為替通貨相場を取得し、外国為替プロバイダは、送金エンティティの第1のノストロ口座と、エージェントエンティティの第2のノストロ口座とを有する。外国為替通貨相場の受諾時に、エージェントエンティティコンピュータシステム20Aは、第2の国のデジタル支払システムを介し、かつ受益者を特定するためのトークンを使用して、第2の国の通貨のY単位の支払いを受益者の銀行口座に振り込むように構成されており、外国為替プロバイダコンピュータシステムは、第1の国の通貨のX単位を送金エンティティの第1のノストロ口座から引き落とし、第2の国の通貨のY単位をエージェントエンティティの第2のノストロ口座に入金するように構成されており、かつ第2の国のデジタル支払システムは、エージェントエンティティの第2のノストロ口座から受益者の銀行口座に、第2の国の通貨のY単位を振り込むことにより、第2の国の通貨のY単位を受益者の銀行口座に入金するように構成されている。
【0058】
これらの取引ステップは、とりわけ、リアルタイムで完了し、DLTネットワークの分散型帳は、取引に関するデータを記録し、データは、トークンと、取引の送金エンティティおよびエージェントエンティティによる受諾、および外国為替通貨相場とを含むことが好ましい。
【0059】
様々な実装形態では、送金エンティティは、送金銀行であり、エージェントエンティティは、エージェント銀行である。また、支払者のコンピュータデバイス16はモバイルコンピューティングデバイスであってもよく、支払者の銀行口座から受益者の銀行口座に送金する電子メッセージは、コンピュータデバイスで起動しているアプリを介して作成されてもよい。加えて、本方法は、送金エンティティコンピュータシステムと支払者のいずれかまたは両方によって、外国為替通貨相場を受諾するステップも含むことができる。
【0060】
様々な実装形態では、送金する支払者のコンピュータデバイスからの電子メッセージは、受益者の国を特定するが、他の状況では、受益者の国をそのように特定しない場合がある。後者の場合、取引に対するエージェントエンティティを決定するステップは、エージェントエンティティを特定する受益者のトークンに基づくデータベース検索を行うこと、または検証コンピューティングノード25による複数のエージェントエンティティ20A〜20NへのFind Token APIメッセージの送信を含む。
【0061】
別の一般的な態様では、本発明は、少なくとも1つのコンピューティングノードを含む送金エンティティコンピュータシステム18によって、第1の国内の支払者の銀行口座から第2の国内の受益者の銀行口座に送金するための、支払者のコンピュータデバイス16からの電子メッセージを受信することを含むコンピュータ実装方法を対象とし、第2の国は、第1の国とは異なり、電子メッセージは、第2の国の通貨のY単位を第1の国内の支払者の銀行口座から第2の国内の受益者の銀行口座に振り込むための、支払者による取引の要求を含む。支払者からの電子メッセージは、第2の国のデジタル支払システムに登録された受益者の識別子であるトークンを含み、受信された要求が、受益者の銀行口座を特定するいかなる他の情報も含まない。本方法は、受益者のバリデーションを要求する第1のAPIメッセージを、送金エンティティコンピュータシステム18によって、国際支払振込コンピュータシステム50に送信することと、国際支払振込コンピュータシステム50によって、第2の国内のエージェント銀行20Aを決定することと、受益者のバリデーションを要求する第1のAPIメッセージを、受益者をバリデーションするために第2の国で使用されるメッセージタイプに、国際支払振込コンピュータシステム50によって変換することと、受益者のバリデーションを要求する変換された第1のAPIメッセージを、国際支払振込コンピュータシステム50によって、エージェント銀行20Aに送信することと、をさらに含む。本方法は、受益者のバリデーションを要求する変換された第1のAPIメッセージを、エージェント銀行20Aによって、第2の国のデジタル支払システム23Aに送信することと、受益者のバリデーションを要求する変換された第1のAPIメッセージを受信することに応じて、第2の国のデジタル支払システム23Aにより受益者をバリデーションすることと、をさらに含む。
【0062】
本方法は、第1の国の通貨の数量を第2の国の通貨のY単位に換算するための為替レート相場を要求する第2のAPIメッセージを、国際支払振込コンピュータシステム50によって、外国為替プロバイダ24に送信することと、第1の国の通貨のX単位が第2の国の通貨のY単位に転換されるという、振込についての外国為替相場を、外国為替プロバイダ24によって、国際支払振込コンピュータシステム50に返信することと、国際支払振込コンピュータシステム50によって、外国為替相場を送金コンピュータシステム18に送信することと、をさらに含む。
【0063】
本方法は、送金銀行のコンピュータシステム18によって、支払者の銀行口座から第1の国の通貨のX単位をから引き落とすことと、送金銀行のコンピュータシステム18によって、国際支払振込コンピュータシステム50に第3のAPIメッセージを送信して、受益者の銀行口座に資金を振り込むことと、をさらに含む。本方法は、資金の振込を要求する第3のAPIメッセージを、第2の国内のエージェント銀行20Aで資金を振り込むために使用されるメッセージタイプに、国際支払振込コンピュータシステム50によって変換することと、国際支払振込コンピュータシステム50によって、変換された第3のAPIメッセージをエージェント銀行20Aに送信することと、変換された第3のAPIメッセージをエージェント銀行20Aによって、第2の国のデジタル支払システム23Aに送信することと、変換された第3のAPIメッセージを第2の国のデジタル支払システム20Aによって、受益者の銀行14に送信し、受益者の銀行14は、第2の国の通貨のY単位を受益者の銀行口座に入金することと、を含む。
【0064】
本明細書に提示された例は、本発明の潜在的かつ具体的な実装形態を例示することを意図している。例は、主に本発明の例示目的を意図していることが当業者には理解され得る。例の特定の態様(1つまたは複数)は、必ずしも本発明の範囲を限定することを意図するものではない。さらに、本発明の図および説明は、本発明の明確な理解に関連する要素を例示するために簡略化されており、明確にする目的で他の要素を排除していることを理解されたい。様々な実施形態が本明細書に記載されてきたが、それらの実施形態に対する様々な改変、変更、および適応が、少なくともいくつかの利点の達成を伴って、当業者に着想されることは明らかであるはずである。したがって、開示された実施形態は、本明細書に記載の実施形態の範囲から逸脱することなく、そのようなすべての改変、変更、および適応を含むことを意図している。

図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5