(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6880405
(24)【登録日】2021年5月10日
(45)【発行日】2021年6月2日
(54)【発明の名称】積層剥離容器
(51)【国際特許分類】
B65D 1/02 20060101AFI20210524BHJP
B65D 23/10 20060101ALI20210524BHJP
【FI】
B65D1/02 111
B65D23/10 A
【請求項の数】10
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-127738(P2017-127738)
(22)【出願日】2017年6月29日
(65)【公開番号】特開2019-11077(P2019-11077A)
(43)【公開日】2019年1月24日
【審査請求日】2020年3月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000104674
【氏名又は名称】キョーラク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】樽野 真輔
【審査官】
田中 一正
(56)【参考文献】
【文献】
特開2016−222301(JP,A)
【文献】
実開昭56−097231(JP,U)
【文献】
実開昭50−057793(JP,U)
【文献】
特開2008−037505(JP,A)
【文献】
特開2016−055921(JP,A)
【文献】
特表2012−517948(JP,A)
【文献】
特開2015−030482(JP,A)
【文献】
特開2017−100789(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2016/0137390(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 1/02
B65D 23/10
B65D 47/20
B65D 83/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体と、逆止弁を有するキャップと、取っ手を備える積層剥離容器であって、
前記容器本体は、内容物を収容する収容部と、前記収容部から前記内容物を吐出する口部を備え、
前記容器本体は、外殻と内袋とを備え、前記内袋が内容物の減少に伴って収縮するように構成され、
前記キャップは、前記口部に装着され、
前記積層剥離容器は、前記収容部に前記内容物が満充填されている状態で前記口部が下側になるように前記積層剥離容器を傾斜させたときに前記逆止弁が開状態になって前記内容物の吐出が可能に構成されており、
前記取っ手は、前記容器本体に装着されるか又は前記容器本体と一体成形されており、且つ前記取っ手を把持するための把持部を備え、
前記容器本体は、前記外殻と前記内袋の間の中間空間に外気を導入するための外気導入孔を備え、
前記口部の中心軸を中心とする周方向についての、前記外気導入孔と前記把持部の間の角度が90度以下である、積層剥離容器。
【請求項2】
前記取っ手は、上リングと、下リングと、連結部を備え、
前記連結部は、前記上リングと前記下リングを連結し、
前記上リングは、前記口部を支持し、
前記下リングは、前記収容部を支持する、請求項1に記載の積層剥離容器。
【請求項3】
前記容器本体は、前記口部と前記収容部の間に肩部を備え、
前記上リングは、前記肩部で係止される、請求項2に記載の積層剥離容器。
【請求項4】
前記上リングは、前記キャップと前記肩部で挟持される、請求項3に記載の積層剥離容器。
【請求項5】
前記収容部は、凹部を備え、
前記取っ手は、凸部を備え、
前記凹部と前記凸部が係合して前記取っ手が前記容器本体に対して周方向に位置決めされる、請求項1〜請求項4の何れか1つに記載の積層剥離容器。
【請求項6】
前記容器本体は、前記外殻と前記内袋の間の中間空間に外気を導入するための外気導入孔を備え、
前記外気導入孔は、前記凹部内に設けられる、請求項5に記載の積層剥離容器。
【請求項7】
前記逆止弁は、吐出孔を有する弁座と、前記吐出孔を閉じる弁体と、前記弁体を弾性的に支持する弾性片を備え、
前記弁体は、通常状態では、前記弁座に着座しており、前記内容物を吐出させる際には、前記内容物によって前記弁体が押圧されて、前記弁体が前記弾性片の弾性力に抗して前記弁座から離間されるように構成される、請求項1〜請求項6の何れか1つに記載の積層剥離容器。
【請求項8】
前記容器本体は、前記外殻と前記内袋の間の中間空間に外気を導入するための外気導入孔を備え、
前記外気導入孔には、前記容器本体に押圧力を加えたときに前記外気導入孔を閉塞させる弁が装着される、請求項1〜請求項7の何れか1つに記載の積層剥離容器。
【請求項9】
容器本体と、逆止弁を有するキャップを備える積層剥離容器であって、
前記容器本体は、内容物を収容する収容部と、前記収容部から前記内容物を吐出する口部を備え、
前記容器本体は、外殻と内袋とを備え、前記内袋が内容物の減少に伴って収縮するように構成され、
前記キャップは、前記口部に装着され、
前記積層剥離容器は、前記収容部に前記内容物が満充填されている状態で前記口部が下側になるように前記積層剥離容器を傾斜させたときに前記逆止弁が開状態になって前記内容物の吐出が可能に構成されており、
前記積層剥離容器は、前記収容部に前記内容物が満充填されている状態で前記口部が下側になるように前記積層剥離容器を傾斜させたときに前記内容物の自重によって前記逆止弁が開状態になって前記内容物の吐出が可能に構成されており、
前記積層剥離容器は、前記収容部内の前記内容物の量が満充填の1/20以下である状態で前記口部が下側になるように前記積層剥離容器を傾斜させたときに前記内容物の自重によって前記逆止弁が開状態にならないように構成されている、積層剥離容器。
【請求項10】
容器本体と、逆止弁を有するキャップを備える積層剥離容器であって、
前記容器本体は、内容物を収容する収容部と、前記収容部から前記内容物を吐出する口部を備え、
前記容器本体は、外殻と内袋とを備え、前記内袋が内容物の減少に伴って収縮するように構成され、
前記キャップは、前記口部に装着され、
前記積層剥離容器は、前記収容部に前記内容物が満充填されている状態で前記口部が下側になるように前記積層剥離容器を傾斜させたときに前記逆止弁が開状態になって前記内容物の吐出が可能に構成されており、
前記容器本体は、前記収容部にくびれ部を備え、
前記収容部は、前記容器本体の高さ方向に延びるリブを備え、
前記リブは、前記くびれ部に隣接した位置に設けられる、積層剥離容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内容物の減少に伴って内袋が収縮する積層剥離容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内容物の減少に伴って内袋が収縮することによって容器の内部に空気が入り込むことを抑制する積層剥離容器が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−163531号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の積層剥離容器は、外殻に押圧力を加えることによって内容物を吐出することが想定されている。しかし、大型の積層剥離容器では、外殻を片手で握って外殻に押圧力を加えることが難しいので、内容物の吐出が困難になる場合がある。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、内容物の吐出が容易な積層剥離容器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、容器本体と、逆止弁を有するキャップを備える積層剥離容器であって、前記容器本体は、内容物を収容する収容部と、前記収容部から前記内容物を吐出する口部を備え、前記容器本体は、外殻と内袋とを備え、前記内袋が内容物の減少に伴って収縮するように構成され、前記キャップは、前記口部に装着され、前記積層剥離容器は、前記収容部に前記内容物が満充填されている状態で前記口部が下側になるように前記積層剥離容器を傾斜させたときに前記逆止弁が開状態になって前記内容物の吐出が可能に構成されている、積層剥離容器が提供される。
【0007】
本発明の積層剥離容器は、口部が下側になるように傾斜させることによって内容物を吐出させることができるので、片手で握りつぶすことが困難な大型の積層剥離容器であっても内容物を容易に吐出させることができる。
【0008】
以下、本発明の種々の実施形態を例示する。以下に示す実施形態は互いに組み合わせ可能である。
好ましくは、前記積層剥離容器は、取っ手を備え、前記取っ手は、前記容器本体に装着されるか又は前記容器本体と一体成形されており、且つ前記取っ手を把持するための把持部を備える。
好ましくは、前記取っ手は、上リングと、下リングと、連結部を備え、前記連結部は、前記上リングと前記下リングを連結し、前記上リングは、前記口部を支持し、前記下リングは、前記収容部を支持する。
好ましくは、前記容器本体は、前記口部と前記収容部の間に肩部を備え、前記上リングは、前記肩部で係止される。
好ましくは、前記上リングは、前記キャップと前記肩部で挟持される。
好ましくは、前記容器本体は、前記外殻と前記内袋の間の中間空間に外気を導入するための外気導入孔を備え、前記口部の中心軸を中心とする周方向についての、前記外気導入孔と前記把持部の間の角度が90度以下である。
好ましくは、前記収容部は、凹部を備え、前記取っ手は、凸部を備え、前記凹部と前記凸部が係合して前記取っ手が前記容器本体に対して周方向に位置決めされる。
好ましくは、前記容器本体は、前記外殻と前記内袋の間の中間空間に外気を導入するための外気導入孔を備え、前記外気導入孔は、前記凹部内に設けられる。
好ましくは、前記逆止弁は、吐出孔を有する弁座と、前記吐出孔を閉じる弁体と、前記弁体を弾性的に支持する弾性片を備え、前記弁体は、通常状態では、前記弁座に着座しており、前記内容物を吐出させる際には、前記内容物によって前記弁体が押圧されて、前記弁体が前記弾性片の弾性力に抗して前記弁座から離間されるように構成される。
好ましくは、前記容器本体は、前記外殻と前記内袋の間の中間空間に外気を導入するための外気導入孔を備え、前記外気導入孔には、前記容器本体に押圧力を加えたときに前記外気導入孔を閉塞させる弁が装着される。
好ましくは、前記積層剥離容器は、前記収容部に前記内容物が満充填されている状態で前記口部が下側になるように前記積層剥離容器を傾斜させたときに前記内容物の自重によって前記逆止弁が開状態になって前記内容物の吐出が可能に構成されている。
好ましくは、前記積層剥離容器は、前記収容部内の前記内容物の量が満充填の1/20以下である状態で前記口部が下側になるように前記積層剥離容器を傾斜させたときに前記内容物の自重によって前記逆止弁が開状態にならないように構成されている。
好ましくは、前記容器本体は、前記収容部にくびれ部を備える。
好ましくは、前記収容部は、前記容器本体の高さ方向に延びるリブを備え、前記リブは、前記くびれ部に隣接した位置に設けられる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1実施形態の積層剥離容器1の斜視図である。
【
図5】
図3中のA−A断面での、
図1の積層剥離容器1の口部9近傍の拡大断面図である。
【
図8】
図1の積層剥離容器1の使用状態を示す右側面図である。
【
図9】
図3のB−B断面での、
図1の積層剥離容器1の外気導入孔15近傍の拡大断面図である。
図9では、図の理解を容易にすべく、凸部6dにドットパターンを付している。
【
図10】本発明の第2実施形態の積層剥離容器1の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。また、各特徴について独立して発明が成立する。
【0011】
1.第1実施形態
図1〜
図9を用いて、本発明の第1実施形態の積層剥離容器1について説明する。積層剥離容器1は、
図8に示すように、積層剥離容器1を傾斜させることによって内容物を吐出させることができる。また、容器本体3の収容部7を押圧(スクイズ)することによっても内容物を吐出させることができる。前者の吐出方法を「傾斜吐出」と称し、後者の吐出方法を「押圧吐出」と称する。なお、傾斜吐出と押圧吐出の一方のみが可能なように積層剥離容器1を構成してもよい。
【0012】
本実施形態の積層剥離容器1は、容器本体3と、キャップ23と、取っ手6と、弁部材5を備える。
【0013】
<容器本体3>
図3に示すように、容器本体3は、内容物を収容する収容部7と、収容部7から内容物を吐出する口部9を備える。
図5に示すように、容器本体3は、収容部7及び口部9において、外殻12と内袋14を備えており、内容物の減少に伴って内袋14が外殻12から離れて収縮する。
【0014】
図3に示すように、収容部7の一端に底部8が設けられている。収容部7と口部9の間に肩部10が設けられている。収容部7は口部9よりも外径が大きく、肩部10において外径が拡大している。底部8には、外殻12及び内袋14をそれぞれシールするシール部8a(
図8に図示)が設けられている。シール部8aは、積層パリソンを用いたブロー成形における、積層パリソンのシール部である
【0015】
口部9には、キャップ23と係合可能な係合部9dが設けられている。キャップ23は、本実施形態は打栓式で装着するものであるが、ネジ式で装着するものであってもよい。
【0016】
図3及び
図5に示すように、収容部7には凹部7aが設けられており、凹部7aに外気導入孔15が設けられている。外気導入孔15は、外殻12にのみ設けられた貫通孔であり、外殻12と内袋14の間の中間空間21と、容器本体3の外部空間Sとを連通する。
【0017】
収容部7には、くびれ部7bが設けられている。くびれ部7bは、収容部7の高さ方向の略中央において収容部7が縮径された部位である。くびれ部7bによって収容部7を片手で握って押圧しやすくなるので、押圧吐出が容易になる。また、収容部7には、容器本体3の高さ方向に延びるリブ7cを備える。リブ7cは、くびれ部7bに隣接した位置に設けられている。リブ7cは、収容部7の周方向に間隔を空けて複数箇所(本実施形態では8箇所)に設けられている。このような構成によれば、くびれ部7bに加えた押圧力がその隣接した部位に伝達されやすいので、くびれ部7bに押圧力を加えたときにくびれ部7bが局所的に凹むのではなく、くびれ部7bに隣接した部位全体が凹む。このため、内容物の吐出が容易になる。
【0018】
次に、容器本体3の層構成について説明する。容器本体3は、外殻12と内袋14を備える。
【0019】
外殻12は、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体及びその混合物などで構成される。外殻12は、復元性が高くなるように、内袋14よりも肉厚に形成される。
【0020】
内袋14は、容器外面側に設けられたEVOH層と、EVOH層の容器内面側に設けられた内面層と、EVOH層と内面層の間に設けられた接着層を備える。EVOH層を設けることでガスバリア性、及び外殻12からの剥離性を向上させることができる。接着層は省略してもよい。
【0021】
EVOH層は、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)樹脂からなる層であり、エチレンと酢酸ビニル共重合物の加水分解により得られる。EVOH樹脂のエチレン含有量は、例えば25〜50mol%であり、酸素バリア性の観点から32mol%以下が好ましい。エチレン含有量の下限は、特に規定されないが、エチレン含有量が少ないほどEVOH層の柔軟性が低下しやすいので25mol%以上が好ましい。
【0022】
内面層は、内容物に接触する層であり、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、シクロオレフィンポリマー、EVOH及びその混合物などからなり、EVOHからなることが好ましい。内容物に接触する層をEVOHで形成することによってバリア性を向上させることができる。
【0023】
接着層は、EVOH層と内面層とを接着する機能を有する層であり、例えば上述したポリオレフィンにカルボキシル基を導入した酸変性ポリオレフィン(例:無水マレイン酸変性ポリエチレン)を添加したものや、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)である。接着層の一例は、低密度ポリエチレン又は直鎖状低密度ポリエチレンと、酸変性ポリエチレンの混合物である。
【0024】
<キャップ23>
本実施形態では、キャップ23は、打栓式であり、
図7に示すように、キャップ本体23aとキャップカバー23iを備える。キャップ本体23aとキャップカバー23iは連結部23jにおいて連結されていて、キャップカバー23iが開閉可能になっている。キャップ本体23aは、上部23tと、上部23tに設けられた吐出口23bと、上部23tの外周から円筒状に延びる筒部23fと、筒部23fの内周面に沿って設けられた係合部23cと、筒部23fの内側において上部23tから円筒状に延びるインナーリング23dと、インナーリング23dの内側に設けられ且つ吐出口23bに連通する流通路23gと、流通路23gに設けられ、インナーリング23dから内側に延びる環状弁座23rと、逆止弁23eを備える。逆止弁23eは、環状弁座23rの中央に形成される吐出孔23r1を閉じる弁体23e1と、インナーリング23dから径方向中心に向かって延びるとともに弁体23e1を弾性的に支持する複数の弾性片23e2を有する。弁体23e1は、通常状態では、環状弁座23rに着座しており、内容物を吐出させる際には、弾性片23e2の弾性力に抗して、内容物が弁体23e1を押し上げる。そして、収容部7内の内容物によって弁体23e1が吐出孔23r1から押し上げられることで、逆止弁23eが開くようになっている。係合部23cは、口部9の係合部9dに係合可能な環状の突起である。キャップ23が口部9に装着された状態で、収容部7内の内容物は、流通路23gを通って吐出口23bから吐出される。一方、逆止弁23eが吐出口23bからの外気の流入を遮断するので、容器本体3の内袋14内には外気は侵入せず、内容物の劣化が抑制される。なお、ここで示したキャップ23の構造は一例であって、別の構成の逆止弁を有するキャップ23を採用してもよい。
【0025】
内容物によって弁体23e1に加えられる力Fが所定に閾値Pを超えると、逆止弁23eが開き、力Fが閾値P以下であれば逆止弁23eが閉じる。閾値Pは、弾性片23e2の強度を変更する等によって調節可能である。通常、押圧吐出型の積層剥離容器では、口部が下側になるように容器を傾斜させても内容物が吐出されないように閾値Pが設定されている。このため、傾斜吐出ができない。
【0026】
一方、本実施形態の積層剥離容器1は、傾斜吐出が可能になるように閾値Pが設定されている。具体的には、収容部7に内容物が満充填されている状態で口部9が下側になるように積層剥離容器1を傾斜させたときに内容物の自重によって逆止弁23eが開状態になって内容物の吐出が可能に構成されている。積層剥離容器1を傾斜させていくと、内容物の自重によって発生する力Fが徐々に大きくなる。このため、ある傾斜角度において内容物24の吐出が始まる。
図8に示すように、水平面Hに対する、口部9の中心軸Cの傾斜角度をαとすると、内容物24の吐出が始まる傾斜角度αは、満充填時には、例えば1〜80度であり、10〜60が好ましく、20〜50度がさらに好ましい。傾斜角度αは、具体的には例えば、1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80度であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0027】
収容部7内の内容物の量に伴って、内容物の自重によって発生する力Fが徐々に小さくなるので、内容物24の吐出が始まる傾斜角度αが徐々に大きくなり、ついには、傾斜角度αを90度にしても内容物が吐出されない状態になる場合がある。例えば、収容部7内の内容物の量が満充填の1/20以下である状態で傾斜角度αを90度にしても内容物が吐出されない場合がある。このような状態では、傾斜吐出では内容物を吐出させることができないが、内容物は、押圧吐出によって吐出させることができる。
【0028】
<取っ手6>
取っ手6は、容器本体3に装着可能に構成されている。取っ手6は、上リング6aと、下リング6bと、連結部6cと、凸部6dと、延長部6eを備える。連結部6cは、上リング6aと下リング6bを連結する。凸部6dは、連結部6cから凹部7aに向かって突出する。延長部6eは、連結部6cが下リング6bを超えて容器本体3の底部8に向かって延びるように設けられる。取っ手6は、連結部6c及び延長部6eを把持することが想定されており、連結部6c及び延長部6eが特許請求の範囲の「把持部」に相当する。
【0029】
上リング6aは、口部9を支持する。上リング6aの内径は、口部9の外径と同じかこれよりも大きく、且つ肩部10の外径よりも小さい。下リング6bの内径は、収容部7の外径と同じかこれよりも大きい。このため、
図2に示すように、容器本体3を口部9側から下リング6b及び上リング6aにこの順で挿通させると、上リング6aが肩部10で係止されることによって、上リング6a及び下リング6bがそれぞれ口部9及び収容部7を支持する位置に配置される。この状態で、口部9にキャップ23を装着すると、上リング6aがキャップ23と肩部10で挟持されることによって取っ手6が容器本体3に対して固定される。
【0030】
また、この際、凸部6dが凹部7a内に配置される。また、凸部6dの周方向の両側面6d1が、凹部7aの周方向の両側面7a1に当接することによって、取っ手6が容器本体3に対して周方向に位置決めされる。
【0031】
取っ手6は、好ましくは樹脂成形体であり、好ましくは射出成形によって形成される。取っ手6は、一体成形によって形成してもよく、上リング6aと、下リング6bと、その他の部位を別々に形成し、これらを互いに接合(係合、接着、溶着など)させることによって形成してもよい。
【0032】
本実施形態では、取っ手6は、
図9に示すように、把持部として機能する連結部6c及び延長部6eが外気導入孔15と同じ側に配置されている。このような構成によれば、
図8に示すように、連結部6c及び延長部6eを把持し積層剥離容器1を傾斜させて内容物を吐出させる際に外気導入孔15が上側を向く。このため、内容物が内袋14を外気導入孔15に押し付けて外気導入孔を閉塞させることが抑止される。
【0033】
なお、中心軸Cを中心とする周方向についての外気導入孔15と把持部(連結部6c及び延長部6e)の間の角度が90度(好ましくは45度、さらに好ましくは30度)以下である場合にも同様の効果が奏される。
【0034】
<弁部材5>
図5及び
図6に示すように、外気導入孔15には弁部材5が装着されている。弁部材5は、外気導入孔15に対してスライド移動可能な軸部5aと、軸部5aの中間空間21側に設けられ且つ軸部5aよりも断面積が大きい蓋部5cと、軸部5aの外部空間S側に設けられ且つ弁部材5が中間空間21に入り込むことを防ぐ係止部5bを備える。弁部材5は、外殻12と内袋14の間の中間空間21と、容器本体3の外部空間Sとの間の空気の出入りを調節する弁として機能する。このような弁部材5を設けることによって押圧吐出が可能になっている。弁部材5の代わりに、同様の機能を有する別の構成を弁を設けてもよい。押圧吐出が不要な場合には、弁部材5を省略してもよい。
【0035】
蓋部5cは、外殻12に押圧力を加えて圧縮した際に外気導入孔15を実質的に閉塞させるように構成され、軸部5aに近づくにつれて断面積が小さくなる形状になっている。また、係止部5bは、外殻12が圧縮された後に復元する際に中間空間21に空気が導入可能なように構成される。外殻12を圧縮すると、中間空間21内の圧力が外圧よりも高くなって、中間空間21内の空気が外気導入孔15から外部に漏れ出す。この圧力差と空気の流れによって蓋部5cが外気導入孔15に向かって移動し、蓋部5cが外気導入孔15を閉塞する。蓋部5cが軸部5aに近づくにつれて断面積が小さくなる形状であるので、蓋部5cが容易に外気導入孔15に嵌って外気導入孔15を閉塞する。
【0036】
この状態で外殻12をさらに圧縮すると、中間空間21内の圧力が高まり、その結果、内袋14が圧縮されて、内袋14内の内容物が吐出される。また、外殻12への押圧力を解除すると、外殻12が自身の弾性によって復元しようとする。この際、蓋部5cが外気導入孔15から離れて、外気導入孔15の閉塞が解除されて、中間空間21内に外気が導入される。また、係止部5bが外気導入孔15を塞いでしまわないように、係止部5bには流通路5dが設けられており、係止部5bが外殻12に当接した状態でも、流通路5d及び外気導入孔15を通じて、外気が中間空間21内に導入可能になっている。
【0037】
2.第2実施形態
図10〜
図13を用いて、本発明の第2実施形態の積層剥離容器1について説明する。本実施形態の積層剥離容器1は、第1実施形態と基本構成及び機能は共通しているが、容器本体3及び取っ手6の形状が相違している。以下、相違点を中心に説明する。
【0038】
本実施形態では、容器本体3は、くびれ部7bを有しているが、リブ7cは設けられていない。取っ手6の凸部6dは、外気導入孔15と肩部10の間の凹部7aに係合している。さらに、延長部6eの先端には、容器本体3に向かって突出する末端部6fが設けられている。末端部6fを設けることによって延長部6eを把持して傾斜吐出させる際に積層剥離容器1の支持が容易になる。
【0039】
このような形状の積層剥離容器1であっても、第1実施形態と同様に、傾斜吐出によって内容物の吐出が可能になっている。
【0040】
本実施形態では、外気導入孔15に弁部材5が装着されていないので、押圧吐出ができないが、外気導入孔15に逆止弁を設けて押圧吐出ができるようにしてもよい。
【0041】
3.その他実施形態
・上記実施形態では、取っ手6は、容器本体3とは別体に形成された後に容器本体3に装着することが想定されているが、取っ手6は、容器本体3と一体成形してもよい。一体成形では、取っ手6に相当する部位からなる取っ手部材を予め形成し、取っ手部材を金型にインサートした状態で容器本体3の成形を行うインサート成形を行ってもよく、取っ手6に相当する部位と容器本体3に相当する部位を同時に成形してもよい。
・キャップ23に設ける逆止弁としては、移動体(例:球状の移動体)の自重によって弁が開閉するものであってもよい。この場合、収容部7内の内容物が減少しても弁がスムーズに開かれる。
【符号の説明】
【0042】
1 :積層剥離容器
3 :容器本体
5 :弁部材
5a :軸部
5b :係止部
5c :蓋部
5d :流通路
6 :取っ手
6a :上リング
6b :下リング
6c :連結部
6d :凸部
6d1 :凸部の側面
6e :延長部
6f :末端部
7 :収容部
7a :凹部
7a1 :凹部の側面
7b :くびれ部
7c :リブ
8 :底部
8a :シール部
9 :口部
9d :係合部
10 :肩部
12 :外殻
14 :内袋
15 :外気導入孔
21 :中間空間
23 :キャップ
23a :キャップ本体
23b :吐出口
23c :係合部
23d :インナーリング
23e :逆止弁
23e1 :弁体
23e2 :弾性片
23f :筒部
23g :流通路
23i :キャップカバー
23j :連結部
23r :環状弁座
23r1 :吐出孔
23t :上部
24 :内容物
C :中心軸
F :力
H :水平面
P :閾値
S :外部空間
α :傾斜角度