(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ヨードニウム塩カチオン光開始剤と前記促進剤とのモル比が1:2〜1:20にあり、前記ノリッシュI型光開始剤と前記促進剤とのモル比が1:2〜1:20にあり、かつ前記ヨードニウム塩カチオン光開始剤と前記ノリッシュI型光開始剤とのモル比が1:2〜2:1にある、請求項1に記載の付加造形用UV/vis線硬化性組成物。
ビニル基に結合された前記電子供与性置換基が、ビニルエーテル、ビニルエステル、ビニルチオエーテル、n−ビニルカルバゾール、n−ビニルピロリドン、n−ビニルカプロラクタム、アリルエーテル、およびビニルカーボネートからなる群に属する1つ以上から選択される、請求項2に記載の付加造形用UV/vis線硬化性組成物。
前記ヨードニウム塩が、(4−メチルフェニル)[4−(2−メチルプロピル)フェニル]−ヨードニウム ヘキサフルオロホスフェート、[4−(1−メチルエチル)フェニル](4−メチルフェニル)−ヨードニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(1−)、(ビス(4−ドデシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルロランチモネート)、および(ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート)からなる群から選択される、請求項4に記載の付加造形用UV/vis線硬化性組成物。
前記カチオン重合性構成要素が、環式脂肪族エポキシド、グリシジルエーテル、およびオキセタンを含む、請求項16に記載の付加造形用液状UV/vis線硬化性組成物。
前記ノリッシュI型光開始剤がまた、前記ヨードニウム塩カチオン光開始剤を光増感するための光増感剤でもある、請求項22に記載の付加造形用液状UV/vis線硬化性組成物。
前記ノリッシュI型光開始剤が、アルキル置換、アリール置換、またはアシル置換の化合物を含み、前記アルキル置換、アリール置換、またはアシル置換の化合物がまた、ケイ素、ゲルマニウム、スズ、および鉛からなる群から選択される原子も有する、請求項22に記載の付加造形用液状UV/vis線硬化性組成物。
前記UV/vis光学構成が、LED/DLP、レーザー/DLP、LED/LCD、およびレーザー/LCDからなる群に属する1つ以上から選択される、請求項28に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】
図1は、2つの異なる組成物の%転化率を時間の関数として示すサンプルプロットを表す。
【0026】
[詳細な説明]
本文書全体を通じて、「UV/vis」は、約375ナノメートル(nm)以上約500ナノメートル(nm)以下の電磁スペクトル領域として定義される。
【0027】
したがって、本文書全体を通じて、「UV/vis光学素子」は、UV/vis領域のピークスペクトル強度で動作する化学線の発生および方向付け/表示を行う任意の電気システム、機械システム、または電気機械システムとして定義される。限定されるものではないがUV/vis光学素子の具体例としては、レーザー、LED、DLPディスプレイシステムに結合された1つ以上のLED、LCDディスプレイシステムに結合された1つ以上のLED、DLPディスプレイシステムに結合されたレーザー、およびLCDディスプレイシステムに結合されたレーザーが挙げられる。
【0028】
本発明に係る組成物は、少なくとも、光開始パッケージと、カチオン硬化性/重合性構成要素と、フリーラジカル硬化性/重合性成分と、任意選択的に1種以上の添加剤と、を有する。そのそれぞれについては以下に順次説明する。
【0029】
光開始パッケージ
本発明に係る組成物は光開始パッケージを有する。光開始パッケージは、適切量の化学線(とくに可視および/またはUVスペクトル領域)を受けたときに所与の組成物の光重合を引き起こすまたはその速度もしくは量を向上させる化学反応を開始する、可能にする、促進する、または触媒する傾向のある成分を含む。光開始パッケージの最も一般的な構成部分は1種以上の光開始剤であるが、本明細書に記載されるように光増感剤、還元剤、および/または促進剤をさらに使用しうる。光開始剤は、化学線(とくに可視および/またはUVスペクトル領域)を吸収すると光反応を引き起こして反応性種を生成する化合物である。こうした反応性種は、好適な配合物の物理的性質の有意な変化をもたらす化学反応を触媒、初期化、または実施することが可能である。そのため、光開始剤は、光の物理エネルギーを反応性中間体の形態で好適な化学エネルギーに変換することが可能な化合物である。光開始剤の通常のタイプとしては、カチオン光開始剤およびフリーラジカル光開始剤が挙げられる。
【0030】
光増感剤は化学線で露光すると反応性種を発生可能であるが、それは主に、光開始重合の速度の増加または重合が起こる波長のシフトのいずれかにより、関連する光開始剤の有効性を向上させることが可能である点で有用である。最後に、還元剤および促進剤は、化学線反応自体を起こしても反応性種を直接発生しないが、それでもなお間接的機構を介して重合に寄与するかまたはその速度を加速するので、それらが配置される組成物の全体的な転化率または転化量(とくに、エポキシドおよびアクリレートの転化)は、それらの不在下では低減されるであろう。好ましい実施形態では、還元剤および/または促進剤は、それらが含まれる組成物がUV/vis光学素子を利用する付加造形システムにより化学線を受けたときに重合速度を向上させる。
【0031】
[カチオン光開始剤]
一実施形態によれば、液状放射線硬化性樹脂組成物はカチオン光開始剤を含む。カチオン光開始剤は、光照射時にカチオン開環重合を開始する。
【0032】
実施形態では、任意の好適なオニウム塩系カチオン光開始剤を使用しうるが、ヨードニウム系カチオン光開始剤、たとえば、ジアリールヨードニウム塩、トリアリールヨードニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、およびそれらの任意の組合せからなる群から選択されるカチオンを有するものが好ましい。
【0033】
他の実施形態では、カチオン光開始剤のカチオンは、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、メタロセン系化合物、芳香族ホスホニウム塩、およびそれらの任意の組合せからなる群から選択される。他の実施形態では、カチオンは、高分子スルホニウム塩、たとえば、米国特許第5380923号明細書または米国特許第5047568号明細書に記載のもの、または他の芳香族ヘテロ原子含有カチオンおよびナフチル−スルホニウム塩、たとえば、米国特許第7611817号明細書、米国特許第7230122号明細書、米国特許出願公開第2011/0039205号明細書、米国特許出願公開第2009/0182172号明細書、米国特許第7678528号明細書、欧州特許第2308865号明細書、国際公開第2010046240号パンフレット、または欧州特許第2218715号明細書に記載のものである。他の実施形態では、カチオン光開始剤は、トリアリールスルホニウム塩、ジアリールヨードニウム塩、およびメタロセン系化合物、およびそれらの任意の組合せからなる群から選択される。オニウム塩、たとえば、ヨードニウム塩およびスルホニウム塩ならびにフェロセニウム塩は、一般により熱安定性であるという利点を有する。
【0034】
特定の実施形態では、カチオン光開始剤は、BF
4−、AsF
6−、SbF
6−、PF
6−、[B(CF
3)
4]
−、B(C
6F
5)
4−、B[C
6H
3−3,5(CF
3)
2]
4−、B(C
6H
4CF
3)
4−、B(C
6H
3F
2)
4−、B[C
6F
4−4(CF
3)]
4−、Ga(C
6F
5)
4−、[(C
6F
5)
3B−C
3H
3N
2−B(C
6F
5)
3]
−、[(C
6F
5)
3B−NH
2−B(C
6F
5)
3]
−、テトラキス(3,5−ジフルオロ−4−アルキルオキシフェニル)ボレート、テトラキス(2,3,5,6−テトラフルオロ−4−アルキルオキシフェニル)ボレート、ペルフルオロアルキルスルホネート、トリス[(ペルフルオロアルキル)スルホニル]メチド、ビス[(ペルフルオロアルキル)スルホニル]イミド、ペルフルオロアルキルホスフェート、トリス(ペルフルオロアルキル)トリフルオロホスフェート、ビス(ペルフルオロアルキル)テトラフルオロホスフェート、トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート、および(CH
6B
11Br
6)
−、(CH
6B
11Cl
6)
−、および他のハロゲン化カルボランアニオンからなる群から選択されるアニオンを有する。
【0035】
他のオニウム塩開始剤および/またはメタロセン塩に関する概説は、“UV Curing,Science and Technology”,(Editor S.P.Pappas,Technology Marketing Corp.,642 Westover Road,Stamford,Conn.,U.S.A.)または“Chemistry & Technology of UV & EB Formulation for Coatings,Inks & Paints”,Vol.3(edited by P.K.T.Oldring)に見いだしうる。
【0036】
実施形態では、カチオン光開始剤は、SbF
6−、PF
6−、B(C
6F
5)
4−、[B(CF
3)
4]
−、テトラキス(3,5−ジフルオロ−4−メトキシフェニル)ボレート、ペルフルオロアルキルスルホネート、ペルフルオロアルキルホスフェート、トリス[(ペルフルオロアルキル)スルホニル]メチド、および[(C
2F
5)
3PF
3]
−からなる群から選択される少なくともアニオンと共に、芳香族スルホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、およびメタロセン系化合物からなる群から選択されるカチオンを有する。
【0037】
他の実施形態に好適なカチオン光開始剤の例としては、4−[4−(3−クロロベンゾイル)フェニルチオ]フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−[4−(3−クロロベンゾイル)フェニルチオ]フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4−[4−(3−クロロベンゾイル)フェニルチオ]フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウムテトラキス(3,5−ジフルオロ−4−メチルオキシフェニル)ボレート、4−[4−(3−クロロベンゾイル)フェニルチオ]フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウムテトラキス(2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルオキシフェニル)ボレート、トリス(4−(4−アセチルフェニル)チオフェニル)スルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(BASF製のイルガキュア(Irgacure)(登録商標)PAG290)、トリス(4−(4−アセチルフェニル)チオフェニル)スルホニウムトリス[(トリフルオロメチル)スルホニル]メチド(BASF製のイルガキュア(登録商標)GSID26−1)、トリス(4−(4−アセチルフェニル)チオフェニル)スルホニウムヘキサフルオロホスフェート(BASF製のイルガキュア(登録商標)270)、およびサンアプロ株式会社(San−Apro Ltd.)から入手可能なHS−1が挙げられる。
【0038】
好ましい実施形態では、カチオン光開始剤成分は、単独または混合物のいずれかで、ビス[4−ジフェニルスルホニウムフェニル]スルフィドビスヘキサフルオロアンチモネート、チオフェノキシフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート(チーテック(Chitec)からチバキュア(Chivacure)1176として入手可能である)、トリス(4−(4−アセチルフェニル)チオフェニル)スルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(BASF製のイルガキュア(登録商標)PAG290)、トリス(4−(4−アセチルフェニル)チオフェニル)スルホニウムトリス[(トリフルオロメチル)スルホニル]メチド(BASF製のイルガキュア(登録商標)GSID26−1)、およびトリス(4−(4−アセチルフェニル)チオフェニル)スルホニウムヘキサフルオロホスフェート(BASF製のイルガキュア(登録商標)270)、[4−(1−メチルエチル)フェニル](4−メチルフェニル)ヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(ブルースター・シリコーンズ(Bluestar Silicones)からブルーシル(Bluesil)PI2074として入手可能)、4−[4−(2−クロロベンゾイル)フェニルチオ]フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート(アデカ(Adeka)からSP−172として)、アデカ製のSP−300、および(PF
6−m(C
nF
2n+1)
m)
−(式中、mは1〜5の整数であり、かつnは1〜4の整数である)のアニオンを有する芳香族スルホニウム塩(サンアプロ株式会社から1価スルホニウム塩のCPI−200KまたはCPI−200Sとして入手可能、サンアプロ株式会社から入手可能なTK−1、またはサンアプロ株式会社から入手可能なHS−1)を含む。
【0039】
本発明の実施形態では、付加造形用液状放射線硬化性樹脂は芳香族トリアリールスルホニウム塩カチオン光開始剤を含む。付加造形用途における芳香族トリアリールスルホニウム塩の使用は公知である。テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートをはじめとするテトラアリールボレートアニオンを有する芳香族トリアリールスルホニウム塩およびステレオリソグラフィー用途におけるこうした化合物の使用について考察されているDSM IPアセッツ(Assets),B.V.に付与された米国特許出願公開第20120251841号明細書、旭電気工業(Asahi Denki Kogyo)に付与された米国特許第6,368,769号明細書を参照されたい。トリアリールスルホニウム塩は、たとえば、J Photopolymer Science & Tech(2000),13(1),117−118、およびJ Poly Science,Part A(2008),46(11),3820−29に開示されている。トリアリールスルホニウムは、BF
4−、AsF
6−、PF
6−、SbF
6−などの錯体金属ハロゲン化物アニオンを有するAr
3S
+MXn
−塩は、J Polymr Sci,Part A(1996),34(16),3231−3253に開示されている。
【0040】
トリアリールスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートカチオン光開始剤の例は、トリス(4−(4−アセチルフェニル)チオフェニル)スルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートである。トリス(4−(4−アセチルフェニル)チオフェニル)スルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートは、イルガキュア(登録商標)PAG−290として商業的に知られており、チバ(Ciba)/BASFから入手可能である。
【0041】
他の実施形態では、カチオン光開始剤は、SbF
6−、PF
6−、BF
4−、(CF
3CF
2)
3PF
3−、(C
6F
5)
4B
−、((CF
3)
2C
6H
3)
4B
−、(C
6F
5)
4Ga
−、((CF
3)
2C
6H
3)
4Ga
−、トリフルオロメタンスルホネート、ノナフルオロブタンスルホネート、メタンスルホネート、ブタンスルホネート、ベンゼンスルホネート、またはp−トルエンスルホネートにより表されるアニオンを有する芳香族トリアリールスルホニウム塩である。かかる光開始剤は、たとえば米国特許第8,617,787号明細書に記載されている。
【0042】
他のカチオン光開始剤は、フルオロアルキル置換フルオロホスフェートのアニオンを有する芳香族トリアリールスルホニウムカチオン光開始剤である。フルオロアルキル置換フルオロホスフェートアニオンを有する芳香族トリアリールスルホニウムカチオン光開始剤の市販品の例は、サンアプロ株式会社から入手可能なCPI200シリーズ(たとえばCPI−200K(登録商標)もしくはCPI−210S(登録商標))または300シリーズである。
【0043】
UV/vis波長で光を吸収して光反応性種を発生させるのにとくに好適であるように設計されたいくつかの市販のカチオン光開始剤も存在する。UV/vis硬化用液状放射線硬化性組成物への1種以上のこうしたカチオン光開始剤の組込みは、光開始剤の「直接」励起を介して達成されよう。限定されるものではないがUV/vis直接励起カチオン光開始剤のいくつかの例としては、イルガキュア261、イルガキュアPAG103、およびイルガキュアPAG121(それぞれBASFから市販されている)、R−Gen(登録商標)262(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)[(1,2,3,4,5,6−η)−(1−メチルエチル)ベンゼン]−鉄(I)−ヘキサフルオロアンチモネート)(チーテック・テクノロジー・カンパニー(Chitec Technology Co.)から市販されている)、ならびにCPI400シリーズ光開始剤(サンアプロ株式会社から入手可能である)が挙げられる。
【0044】
しかしながら、驚くべきことに、以上に挙げたUV/vis直接励起カチオン光開始剤は、典型的には、UV/vis光学素子を利用する付加造形プロセスで使用される組成物の十分なハイブリッド硬化を達成するのに好適でないことを、出願人は見いだした。いかなる理論によっても拘束されることを望むものではないが、ポリマーネットワークのフリーラジカル部分はかなり高速に硬化するので、樹脂のフリーラジカル硬化部分は粘度およびポリマー構造を増強して、より遅く硬化するカチオン硬化種の分子移動性を有意に低減し、それにより全体的硬化スピードを許容できないほど低速度まで有意に低減すると推測される。この問題は、デュアル硬化型ハイブリッド樹脂に固有であり、現代のUV/vis光学素子に特有なより長い波長、より低いエネルギー、およびより低い強度で深刻化する。したがって、UV/vis波長の付加造形に好適なハイブリッド硬化型放射線硬化性組成物の配合は、たとえば355nmレーザーベースのシステムによるUV硬化に好適なハイブリッド樹脂でカチオン光開始剤を単に変更しただけでは達成されないことを、出願人は発見した。したがって、好適なハイブリッド硬化を達成するためのかかる「直接励起」機構は、UV/vis光学素子を利用する現代の付加造形システムの処理の現実に対処するには不十分であることを、発明者らは発見した。
【0045】
より正確には、驚くべきことに、UV/vis光学素子を利用する付加造形システムで十分な硬化を達成するためには1つ以上の代替機構の組合せが代わりに必要であることを、出願人は発見した。第1は光増感に類似した「間接励起」機構による。第2はフリーラジカル促進カチオン重合機構による。第3の機能的類似機構は、ビニルエーテルへのある特定の光開始剤フラグメントの付加により形成されるエーテルラジカルの酸化により生じる活性カチオンの生成によるものであり、ビニルエーテル重合機構としても知られる。以下でさらに考察されるように、本発明に従って作製される付加造形用放射線硬化性組成物は、これらの機構の1つ以上を相乗的に利用してUV/vis光学素子が組み込まれた付加造形プロセスで好適なハイブリッド硬化を達成するために、追加の光開始パッケージ要素、たとえば、還元剤、促進剤、および/または光増感剤をさらに含む。
【0046】
液状放射線硬化性樹脂組成物は、任意の好適量、たとえば、ある特定の実施形態では樹脂組成物の約15重量%まで、ある特定の実施形態では樹脂組成物の約5重量%まで、さらなる実施形態では樹脂組成物の約2重量%〜約10重量%、他の実施形態では樹脂組成物の約0.1重量%〜約5重量%の量のカチオン光開始剤を含みうる。さらなる実施形態では、カチオン光開始剤の量は、全樹脂組成物の約0.2wt.%〜約4wt.%、他の実施形態では約0.5wt.%〜約3wt.%である。
【0047】
フリーラジカル光開始剤とくにノリッシュI型光開始剤
本発明の組成物はフリーラジカル光開始剤も含む。実施形態によれば、液状放射線硬化性樹脂組成物は、カチオン開始官能基を有する少なくとも1種の光開始剤とフリーラジカル開始官能基を有する少なくとも1種の光開始剤とを含有する光開始系を含む。そのほかに、光開始系は、同一分子上にフリーラジカル開始官能基およびカチオン開始官能基の両方を含有する光開始剤を含みうる。記載のごとく、光開始剤は、光の作用によりまたは光の作用と増感色素の電子励起との相乗作用により化学変化してラジカル、酸、および塩基の少なくとも1つを生成する化合物である。
【0048】
典型的には、フリーラジカル光開始剤は、「ノリッシュI型」として知られる開裂によりラジカルを生成するものと、「ノリッシュII型」として知られる水素引抜きによりラジカルを生成するものと、に分類される。ノリッシュII型光開始剤は、フリーラジカル源として機能する水素供与体を必要とする。開始は二分子反応に基づくので、ノリッシュII型光開始剤は、ラジカルの単分子生成に基づくノリッシュI型光開始剤よりも一般に遅い。一方、ノリッシュII型光開始剤は、近UV分光領域でより良好な光吸収性を有すると一般に考えられる。しかしながら、II型光開始剤は、増感剤とアミンなどの酸化性基との組合せではカチオン硬化を阻害すると予想されるので、本発明に係る組成物で使用するのにそれほど好ましくないことを、発明者らはこのたび見いだした。
【0049】
アルコール、アミン、チオールなどの水素供与体の存在下でベンゾフェノン、チオキサントン、ベンジル、キノンなどの芳香族ケトンを光分解すると、カルボニル化合物から生じるラジカル(ケチル型ラジカル)と水素供与体から誘導される他のラジカルとが生成される。ビニルモノマーの光重合は、通常、水素供与体から生じるラジカルにより開始される。ケチルラジカルは、通常、立体障害および不対電子の非局在化が原因でビニルモノマーに対して反応性でない。
【0050】
付加造形用液状放射線硬化性樹脂をうまく配合するために、樹脂組成物中に存在する光開始剤の波長感度を精査して、硬化光を提供するように選択された放射線源により活性化されるかを決定する必要がある。
【0051】
実施形態によれば、付加造形用液状放射線硬化性樹脂は、ベンゾイルホスフィンオキシド、アリールケトン、ベンゾフェノン、ヒドロキシル化ケトン、1−ヒドロキシフェニルケトン、ケタール、メタロセン、およびそれらの任意の組合せからなる群から選択される少なくとも1種のフリーラジカル光開始剤を含む。
【0052】
実施形態では、付加造形用液状放射線硬化性樹脂は、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドおよび2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニル,エトキシホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパノン−1,2−ベンジル−2−(ジメチルアミノ)−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン、2−ジメチルアミノ−2−(4−メチル−ベンジル)−1−(4−モルホリン−4−イル−フェニル)−ブタン−1−オン、4−ベンゾイル−4’メチルジフェニルスルフィド、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンおよび4,4’−ビス(N,N’−ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、ベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、ジメトキシベンゾフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、フェニル(1−ヒドロキシイソプロピル)ケトン、2−ヒドロキシ−1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−メチル−1−プロパノン、4−イソプロピルフェニル(1−ヒドロキシイソプロピル)ケトン、オリゴ−[2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン]、カンホルキノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、ベンジルジメチルケタール、ビス(η5−2−4−シクロペンタジエン−1−イル)ビス[2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)フェニル]チタン、ならびにそれらの任意の組合せからなる群から選択される少なくとも1種のフリーラジカル光開始剤を含む。
【0053】
300〜475nmの波長範囲で発光する光源、とくに365nm、390nm、または395nmで発光する光源の場合、この領域で吸収する好適なフリーラジカル光開始剤の例としては、ベンゾイルホスフィンオキシド、たとえば、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド(BASF製のルシリン(Lucirin)TPO)および2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニル,エトキシホスフィンオキシド(BASF製のルシリンTPO−L)、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド(チバ製のイルガキュア819またはBAPO)など、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパノン−1(チバ製のイルガキュア907)、2−ベンジル−2−(ジメチルアミノ)−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン(チバ製のイルガキュア369)、2−ジメチルアミノ2−(4−メチル−ベンジル)−1−(4−モルホリン−4−イルフェニル)−ブタン−1−オン(チバ製のイルガキュア379)、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルスルフィド(チーテック製のチバキュアBMS)、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン(チーテック製のチバキュアEMK)、ならびに4,4’−ビス(N,N’−ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(ミヒラーケトン)が挙げられる。それらの混合物も好適である。これらのアシルホスフィンオキシド光開始剤は、光照射時にホスフィノイルラジカルの良好な非局在化を有するので好ましい。
【0054】
本発明の好ましい実施形態によれば、フリーラジカル光開始剤はノリッシュI型種である。実施形態によれば、フリーラジカル光開始剤は、アルキル置換、アリール置換、またはアシル置換の化合物である。実施形態では、アルキル置換、アリール置換、またはアシル置換の光開始剤は、炭素族(第14族)の原子を有するかまたはその原子を中心とする。かかる例では、励起されると(放射線の吸収を介して)、光開始剤化合物中に存在する第14族原子はラジカルを形成する。したがって、かかる化合物は、炭素、ケイ素、ゲルマニウム、スズ、および鉛からなる群から選択される原子を有するまたはその原子を中心とするラジカルを生成する。実施形態では、アルキル置換、アリール置換、またはアシル置換の光開始剤はアシルゲルマニウム化合物である。
【0055】
実施形態では、フリーラジカル光開始剤は、次式(I):
【化1】
で示される構造を有するゲルマニウム系化合物である。式中、Ar
1は、置換されていないか、あるいは1個以上のアルキル基、エーテル基、スルフィド基、シリル基、ハロゲン、カルボキシル基、ビニル基、追加の芳香族基もしくはヘテロ環式基、アルキル基、または1個以上のエーテル基、スルフィド基、シリル基、カルボキシル基、もしくはビニル基が介在する芳香族基もしくはヘテロ環式基により任意の位置がさらに置換されたか、のいずれかの芳香族基であり、かつR
1、R
2、およびR
3は、独立して、置換されていないか、あるいは1個以上のアルキル基、エーテル基、スルフィド基、シリル基、ハロゲン、カルボキシル基、ビニル基、追加の芳香族基もしくはヘテロ環式基、アルキル基、または1個以上のエーテル基、スルフィド基、シリル基、カルボキシル基、もしくはビニル基が介在する芳香族基もしくはヘテロ環式基によりさらに置換されたか、のいずれかの、アシル基、アリール基、アルキル基、またはカルボニル基である。
【0056】
実施形態では、R
1〜R
3のそれぞれは、アリール置換または芳香族のアシル基であり、実施形態では、R
1〜R
3の厳密に2つは、アリール置換または芳香族のアシル基であり、残りの置換基は、C
1〜C
10、C
1〜C
6、またはC
1〜C
3アルキルである。実施形態では、R
1〜R
3の厳密に1つは、アリール置換または芳香族のアシル基であり、残りの2つの置換基は、C
1〜C
10、C
1〜C
6、またはC
1〜C
3アルキルである。他の実施形態では、R
1〜R
3のそれぞれは、C
1〜C
10、C
1〜C
6、またはC
1〜C
3アルキルである。
【0057】
実施形態では、アシルゲルマニウム光開始剤は、以下の分子構造:
【化2】
の1つを有する化合物である。
【0058】
実施形態では、フリーラジカル光開始剤はアシルゲルマニウム化合物である。実施形態では、アシルゲルマニウムは、ベンゾイルトリメチルゲルマン(BTG)またはビスアシルゲルマノイル(イボクラール・ビバデント(Ivoclar Vivadent)AG、9494シャーン(Schaan)/リヒテンシュタイン(Liecthenstein)からIvocerin(登録商標)として市販されている)である。
【0059】
本発明の他の実施形態によれば、フリーラジカル光開始剤はアシルホスフィンオキシド光開始剤である。アシルホスフィンオキシド光開始剤は、たとえば、米国特許第4,324,744号明細書、同第4,737,593号明細書、同第5,942,290号明細書、同第5,534,559号明細書、同第6,020,528号明細書、同第6,486,228号明細書、および同第6,486,226号明細書に開示されている。
【0060】
アシルホスフィンオキシド光開始剤は、ビスアシルホスフィンオキシド(BAPO)またはモノアシルホスフィンオキシド(MAPO)である。
【0061】
ビスアシルホスフィンオキシド光開始剤は、次式:
【化3】
で示される。
上記式中、R
50は、C
1〜C
12アルキル、シクロヘキシル、あるいは置換されていないまたは1〜4個のハロゲンもしくはC
1〜C
8アルキルにより置換されたフェニルであり、R
51およびR
52は、それぞれ互いに独立して、C
1〜C
8アルキルまたはC
1〜C
8アルコキシであり、R
53は、水素またはC
1〜C
8アルキルであり、かつR
54は、水素またはメチルである。
【0062】
たとえば、R
50は、C
2〜C
10アルキル、シクロヘキシル、あるいは置換されていないまたは1〜4個のC
1〜C
4アルキル、Cl、もしくはBrにより置換されたフェニルである。他の実施形態では、R
50は、C
3〜C
8アルキル、シクロヘキシル、あるいは置換されていないまたは2、3、4、もしくは2,5位がC
1〜C
4アルキルにより置換されたフェニルである。たとえば、R
50はC
4〜C
12アルキルまたはシクロヘキシルであり、R
51およびR
52は、それぞれ互いに独立して、C
1〜C
8アルキルまたはC
1〜C
8アルコキシであり、かつR
53は水素またはC
1〜C
8アルキルである。たとえば、R
51およびR
52はC
1〜C
4アルキルまたはC
1〜C
4アルコキシであり、かつR
53は水素またはC
1〜C
4アルキルである。他の実施形態では、R
51およびR
52はメチルまたはメトキシであり、かつR
53は水素またはメチルである。たとえば、R
51、R
52、およびR
53はメチルである。他の実施形態では、R
51、R
52、およびR
53はメチルであり、かつR
54は水素である。他の実施形態では、R
50はC
3〜C
8アルキルである。たとえば、R
51およびR
52はメトキシであり、R
53およびR
54は水素であり、かつR
50はイソオクチルである。たとえば、R
50はイソブチルである。たとえば、R
50はフェニルである。本発明のビスアシルホスフィンオキシド光開始剤は、たとえば、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド(CAS#162881−26−7)またはビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−(2,4−ビス−ペンチルオキシフェニル)ホスフィンオキシドである。
【0063】
モノアシルホスフィンオキシド光開始剤は、次式:
【化4】
で示される。式中、R
1およびR
2は、互いに独立して、C
1〜C
12アルキル、ベンジル、置換されていないまたはハロゲン、C
1〜C
8アルキル、および/もしくはC
1〜C
8アルコキシにより1〜4回置換されたフェニルであり、あるいはシクロヘキシルまたは−COR
3基であり、あるいはR
1は−OR
4であり、R
3は、置換されていないまたはC
1〜C
8アルキル、C
1〜C
8アルコキシ、C
1〜C
8アルキルチオ、および/もしくはハロゲンにより1〜4回置換されたフェニルであり、かつR
4は、C
1〜C
8アルキル、フェニル、またはベンジルである。たとえば、R
1は−OR
4である。たとえば、R
2は、置換されていないまたはハロゲン、C
1〜C
8アルキル、および/もしくはC
1〜C
8アルコキシにより1〜4回置換されたフェニルである。たとえば、R
3は、置換されていないまたはC
1〜C
8アルキルにより1〜4回置換されたフェニルである。たとえば、本発明のモノアシルホスフィンオキシドは、2,4,6−トリメチルベンゾイルエトキシフェニルホスフィンオキシドまたは2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドである。
【0064】
驚くべきことに、ノリッシュI型光開始剤はUV/vis硬化条件下でカチオン重合を促進するのにとくに有効であることを、発明者らは発見した。これはおそらく、とくにかかるノリッシュI型光開始剤がその関連する励起三重項状態で存在する場合、オニウム(とくにヨードニウム)塩を容易に還元する能力に基づくことを、発明者らは発見した。実際には、かかる三重項状態の酸化電位は、とくにその関連する組成物がUV/vis光学素子を利用する付加造形プロセスで使用される場合、満足すべきカチオン重合レベルの向上に重要であることを、発明者らは発見した。残念ながら、寿命がきわめて短いため、この励起三重項状態の酸化電位をサイクリックボルタンメトリーにより直接決定することは実質的に不可能である。しかしながら、発明者らは、イオン化ポテンシャル、すなわち、電子を1個失うのに必要なエネルギー(X=エネルギー⇒X
++e
−)を導出して成分の酸化電位を定量する代替法を考案した。イオン化ポテンシャルは、最高被占分子軌道(HOMO)の軌道エネルギーの負数として計算可能であることまたは式:IP=−ε
HOMOとして表現可能であることを提示したクープマンズの定理と組み合わせてB3LYP/6−31G(d)法を利用して量子力学計算から得た。
【0065】
したがって、好ましい実施形態では、ノリッシュI型光開始剤は、4.15電子ボルト(eV)未満、より好ましくは3.98eV未満、より好ましくは3.90eV未満、より好ましくは3.80eV未満、より好ましくは3.70eV未満、より好ましくは3.55eV未満の三重項状態のイオン化ポテンシャルを有するように選択される。さらに、好ましい実施形態では、ノリッシュI型光開始剤は、少なくとも2.5eV、より好ましくは少なくとも3.0eVの三重項状態のイオン化ポテンシャルを有するよう選択される。
【0066】
驚くべきことに、カチオン重合レベルをさらに向上させるために(より多くのカチオンの発生を促進することにより)、一時的三重項状態で関連するカチオン光開始剤を還元するだけでなくカチオン光開始剤(好ましくはヨードニウム塩)のレドックス反応に追加的に関与するラジカルも形成するノリッシュI型光開始剤を選択することが有用であることも、発明者らは発見した。かかるラジカルは、(必ずしも限定されるものではないが)開裂、水素引抜き、付加、およびバックバイティングをはじめとする任意の機構に従って生成しうる。したがって、クープマンズの定理と組み合わせたB3LYP/6−31G(d)に基づく分子モデリングは、本明細書に記載の1種以上のノリッシュI型光開始剤に関連することが知られている各種ラジカルのイオン化ポテンシャルの計算を可能にするうえでも有用である。この値は、ノリッシュI型光開始剤の励起三重項状態のイオン化ポテンシャルと同一の単位(電子ボルトまたはeV)で本明細書に示されているが、それと直接比較すべきではなく、かかる値は互いに相対的に考慮するのに有用であるにすぎない。
【0067】
したがって、好ましい実施形態では、5.50eV以下、より好ましくは5.00eV未満、より好ましくは4.80eV未満、かつ少なくとも約4.05eVの計算イオン化ポテンシャルを有するラジカルを形成するように構成されることが知られるノリッシュI型光開始剤が選択される。
【0068】
驚くべきことに、以下に記載のビニル基に結合された電子供与性置換基を有する成分(とくにビニルエーテル)への、以上に記載したある特定のノリッシュI型光開始剤により生成されたラジカルの即時付加は、UV/vis光学素子を利用する付加造形用途に使用される組成物でカチオン重合の量および/または速度をさらに向上させるのにとくに望ましいことを、発明者らはさらに発見した。この理由は、得られた付加生成物が酸化/還元反応に関与するのに有用であり、カチオン光開始剤(とくにヨードニウム塩タイプのもの)を還元することにより追加の活性カチオンを生成するとも考えられることにある。この概念に関する既知データの量は文献では非常に限られているが、いくつかの値を以下にまとめる。
【0069】
【表1】
【0070】
したがって、好ましい実施形態では、組成物は、ビニル基に結合された電子供与性置換基を有する成分(好ましくはビニルエーテル)への付加速度が10
4M
−1・s
−1超、より好ましくは10
5M
−1・s
−1、最も好ましくは3×10
5M
−1・s
−1以上のラジカルを生成するように構成されたノリッシュI型光開始剤を含有する。
【0071】
付加造形用液状放射線硬化性樹脂は、任意の有効量、たとえば、ある特定の実施形態では全組成物の重量を基準にして約10wt.%まで、ある特定の実施形態では樹脂組成物の約0.1wt.%〜約10wt.%、さらなる実施形態では樹脂組成物の約0.5〜約6wt.%、さらなる実施形態では約1wt.%〜約3wt.%の量でフリーラジカル光開始剤を含みうる。
【0072】
光増感剤
いくつかの実施形態では、液状放射線硬化性樹脂を硬化させるために使用される光の波長に依存して、液状放射線硬化性樹脂組成物は光増感剤を含むことが望ましい。「光増感剤」という用語は、とくに、関連する光開始剤により重合開始を引き起こすのに有効な波長にシフトすることにより、光開始重合速度を増加させる任意の物質を一般に意味する。G.Odianの教科書Principles of Polymerization,3
rd Ed.,1991,page 222を参照されたい。光増感剤は、一般に、電磁スペクトルの紫外または可視領域の光を吸収してそれを近接分子に移動することにより機能する。本明細書に記載の光増感剤の多くは、組成物中の関連するカチオン光開始剤を「光増感」する。少なくともUV/vis波長では、かかる光増感は、典型的には、ヨードニウム塩カチオン光開始剤でより容易に起こる。他の形で特定の波長の光を吸収しない光開始剤と組み合わせて機能する物質は、その関連する光開始剤を用いて「間接励起」機構により機能すると言われる。出願人は、UV/vis光学素子による硬化に好適な本発明の組成物を配合するためにこの機構を利用した。
【0073】
ヘテロ環式および縮合環式芳香族炭化水素、有機染料、ならびに芳香族ケトンをはじめとするさまざまな化合物を光増感剤として使用可能である。光増感剤の例としては、メタノン、キサンテノン、ピレンメタノール、アントラセン、ピレン、ペリレン、キノン、キサントン、チオキサントン、ベンゾイルエステル、ベンゾフェノン、およびそれらの任意の組合せからなる群から選択されるものが挙げられる。光増感剤の特定例としては、[4−[(4−メチルフェニル)チオ]フェニル]フェニルメタノン、イソプロピル−9H−チオキサンテン−9−オン、1−ピレンメタノール、9−(ヒドロキシメチル)アントラセン、9,10−ジエトキシアントラセン、9,10−ジメトキシアントラセン、9,10−ジプロポキシアントラセン、9,10−ジブチルオキシアントラセン、9−アントラセンメタノールアセテート、2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセン、2−メチル−9,10−ジメトキシアントラセン、2−t−ブチル−9,10−ジメトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジエトキシアントラセン、および2−メチル−9,10−ジエトキシアントラセン、アントラセン、アントラキノン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−tertブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−アミルアントラキノン、チオキサントンおよびキサントン、イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、メチルベンゾイルホルメート(BASF製のダロキュア(Darocur)MBF)、メチル−2−ベンゾイルベンゾエート(チーテック製のチバキュアOMB)、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルスルフィド(チーテック製のチバキュアBMS)、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン(チーテック製のチバキュアEMK)、およびそれらの任意の組合せからなる群から選択されるものが挙げられる。
【0074】
新規な混合物はまた、UV光源のより良好な利用を達成するために異なる波長の輝線放射線に対して異なる感度を有する種々の光開始剤を含有しうる。輝線放射線に対して異なる感度を有する公知の光開始剤の使用は、付加造形技術分野で周知であり、たとえば351nm、355nm、365nm、385nm、および405nmの放射線源に従って選択しうる。これとの関連では、使用される輝線で等しい光吸収を生じるように種々の光開始剤を選択し、そうなるような濃度で利用することが有利である。
【0075】
実施形態では、光増感剤は、フルオロン、たとえば、5,7−ジヨード−3−ブトキシ−6−フルオロン、5,7−ジヨード−3−ヒドロキシ−6−フルオロン、9−シアノ−5,7−ジヨード−3−ヒドロキシ−6−フルオロンであり、または光増感剤は、
【化5】
およびそれらの任意の組合せである。
【0076】
光増感剤を利用する場合、より短い波長で吸収する他の光開始剤を使用可能である。かかる光開始剤の例としては、ベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノンおよびジメトキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン類、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、フェニル(1−ヒドロキシイソプロピル)ケトン、2−ヒドロキシ−1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−メチル−1−プロパノン、4−イソプロピルフェニル(1−ヒドロキシイソプロピル)ケトンなどの1−ヒドロキシフェニルケトン類、ベンジルジメチルケタール、およびオリゴ−[2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン](ランベルティ(Lamberti)製のエスカキュア(Esacure)KIP150)が挙げられる。
【0077】
いくつかのカチオン光開始剤が好ましい化学線波長で低い吸収を有することは注目に値しうる。たとえば、実施形態では、約400nmにピーク強度を有するUV/光学素子が対象の付加造形用途で利用される。たとえば、ブルースター・シリコーンズから入手可能なブルーシルPI2074、イルガキュア250ヨードニウム、チバから入手可能な(4−メチルフェニル)[4−(2−メチルプロピル)フェニル]−ヘキサフルオロホスフェート(1−)、GEシリコーンズ(GE Silicones)から入手可能なUV9380cなどのヨードニウム塩は、好ましい波長で不十分な直接吸収を有するので、十分な光開始を引き起こすために、過剰濃度、増感剤、またはなんらかの他の機構を必要とする。したがって、化学線エネルギーを吸収してそのエネルギーを効率的にヨードニウム開始剤に移動するために、チオキサントンやミヒラーケトンなどの三重項増感剤を使用することがある。しかしながら、チオキサントンおよびミヒラーケトンは、橙色または赤色を生じたり、安全性が懸念されたりする傾向があるうえに、430nmまで有意な化学線吸収を有するが約400nmの硬化光波長で光反応を増感するのにそれほど有効ではない。
【0078】
したがって、実施形態では、クロロプロピルチオキサントン(CPTX)は、とくにステレオリソグラフィーに使用するためのヨードニウム開始剤に好適な増感剤である。なぜなら、500nm超で有意な光吸収を有しておらず、より少ない着色を有する物品を形成するからである。
【0079】
配合に使用される増感剤の濃度を低減し、組成物の最終物理的性質に関して比較的高濃度の増感剤から生じるおそれのある悪影響を防止するために、400nmで高い吸光係数を有する増感剤を使用することが好ましい。たとえば、ベンゾフェノンはいくつかの場合には三重項増感剤として作用しうるが、たとえば、約355nmで動作する周波数三逓倍YAGレーザー(コヒーレント(Coherent)AVIAモデル#355−1800)のレーザー波長では、吸光係数は108リットル/モル・cm程度である。一方、約400nmの同一レーザー波長で同一レーザーを使用するCPTXは、ベンゾフェノンのほぼ25倍すなわち2585リットル/モル・cmの吸光係数を有する。このことから、CPTXは、等価な光吸収作用を提供するために配合物で約1/25の濃度を必要としうるにすぎないことが示唆される。したがって、増感剤は、380nm超の硬化光波長で300リットル/モル・cm以上、たとえば1000リットル/モル・cm超、好ましくは2000リットル/モル・cm超の吸光係数を有することが好ましい。ただし、そうすることが必要なわけではない。
【0080】
カチオン光開始剤の活性を改善するためにCPTXを使用しうることが教示されるが、上述したカチオン光開始剤と組み合わせて使用される増感剤は、必ずしもそれに限定されるとは限らない。ヘテロ環式および縮合環式芳香族炭化水素、有機染料、ならびに芳香族ケトンをはじめとするさまざまな化合物を光増感剤として使用可能である。増感剤の例としては、J.V.Crivello in Advances in Polymer Science,62,1(1984)、およびJ.V.Crivello & K.Dietliker,“Photoinitiators for Cationic Polymerization”in Chemistry & technology of UV & EB formulation for coatings,inks & paints.Volume III,Photoinitiators for free radical and cationic polymerization by K.Dietliker;[Ed.by P.K.T.Oldring],SITA Technology Ltd,London,1991に開示された化合物が挙げられる。特定例としては、多環芳香族炭化水素およびその誘導体、たとえば、アントラセン、ピレン、ペリレン、およびそれらの誘導体、置換チオキサントン、α−ヒドロキシアルキルフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルスルフィド、アクリジンオレンジ、およびベンゾフラビンが挙げられる。
【0081】
実施形態では、光増感剤は、本発明の第2の態様に係る光増感剤の説明に従って一般に選択しうる。好ましい実施形態では、利用される光増感剤は、次式:
【化6】
(式中、RはC
1〜C
20脂肪族鎖を含有する)
で示される構造を有する。
【0082】
本発明の第3の態様の好ましい実施形態では、利用される光増感剤はアントラセン系光開始剤である。かかる光増感剤の市販品としては、川崎化成工業(Kawasaki Chemical)から入手可能なアントラキュア(Anthracure)(商標)UVS−1101およびUVS−1331が挙げられる。
【0083】
本発明の実施形態では、光増感剤は任意選択的な成分である。対象の硬化条件が与えられたとき、とくに光開始パッケージ中の他の成分の組合せが十分な重合を可能にする実施形態では、個別の光増感剤は必要でない。しかしながら、それでもなお、いくつかのかかる場合には、光誘起重合の速度または量を実質的にさらに増加させることを目的とするのではなく、組み込まれる樹脂の透過深さ(Dp)を制御するUV吸収剤として、追加の光増感剤を含みうる。これにより、配合者は、所望の硬化厚さを有するとともにその厚さで硬化速度に有害な影響を及ぼさない付加造形プロセス用樹脂を作製することが可能になる。これは当業者の認識に従って組み込まれよう。
【0084】
使用する場合、付加造形用液状放射線硬化性樹脂は、任意の好適量、たとえば、ある特定の実施形態では樹脂組成物の0.1wt.%〜10wt.%、ある特定の実施形態では樹脂組成物の約1wt.%〜約8wt.%、さらなる実施形態では樹脂組成物の約2wt.%〜約6wt.%の量で光増感剤を含みうる。実施形態では、以上の範囲はエポキシモノマーとの併用にとくに好適である。他の実施形態では、光増感剤は、組み込まれる全組成物の重量を基準にして約0.05wt.%〜約3wt.%または0.5wt.%〜2wt.%の量で利用しうる。
【0085】
還元剤
本明細書で用いられる場合、還元剤とは、本発明に係る付加造形用液状放射線組成物の重合時に1個以上の電子を失ってまたは「供与」して酸化/還元化学反応で活性カチオンの生成を可能にする成分をいう。かかる成分は、外部からの刺激を受けた後にフリーラジカルを生成するまで(たとえば、UV/vis波長の化学線を受けて解離するまで)電子を容易に供与する能力を有しえないとしても、本発明の目的では依然として還元剤とみなされる。いずれにせよ、かかるレドックス反応では、還元剤はカチオン光開始剤(またはその誘導体)を還元した後、それ自体(または外部からの刺激を受けた後のそのフリーラジカル)は酸化状態になると言われる。
【0086】
エポキシドやビニルエーテルなどのモノマーの光開始カチオン重合は、ハイブリッド硬化型付加造形用途で必要な役割を果たす。さまざまな用途で添加剤が使用されるため、特定の分光感度を対象とする場合、光開始の波長柔軟性は、特定の配合の硬化性能を決定する基本的因子となる。したがって、とくに現代のUV/vis光学素子により放出されるようなより長い波長に感度を有するカチオン重合用光開始系は、重要性が高まりつつある。カチオン重合用の既存の光開始系の多くは、ジフェニルヨードニウム塩、トリフェニルスルホニウム塩、アルコキシピリジニウム塩などのオニウム塩の使用に基づく。しかしながら、これらの塩は、追加の発色団を塩構造に組み込まない限り、UV/visスペクトル領域で(吸収したとしても)有意に吸収しない。したがって、とくに、UV/visスペクトル域で吸収するようにすでに設計されている市販の光開始剤は他の理由で付加造形用ハイブリッド硬化系への組込みに適さないという事実に照らして、容易に入手可能なオニウム塩の感度領域をUV/vis波長まで合成的に拡張する代替法を見いだすことが重要である。
【0087】
本明細書で考察されるように、発明者らは、増感剤の組合せを利用して間接励起と呼ばれる機構により少なくとも部分的には目的を達成した。そのほかに、オニウム塩は、フリーラジカル、電荷移動錯体の電子供与体化合物、および増感剤の長寿命電子励起状態をそれぞれ併用してレドックス反応で電子受容体として作用する。これらの方法のうち、いわゆる「フリーラジカル促進」カチオン重合は、モノマーのカチオン重合を開始可能なカチオン種を発生する追加の効果的かつ柔軟な方法であると思われる。全体的機構は、好適な還元電位を有するオニウム塩(On+)による光化学的に形成されたラジカルの酸化を含む。
R・ + On
+ → R
+ + On・ (1)
【0088】
フリーラジカル促進カチオン重合を促進するのに好適な還元剤としては、一般に、アミン、ベンゾインおよびその誘導体、アシルホスフィンオキシド、アルキル置換、アリール置換、またはアシル置換のゲルマニウム化合物、o−フタルアルデヒド、ビニルハライド、およびポリシランが挙げられるが、これらに限定されるものではない。本明細書で考察されるフリーラジカル光開始剤の多くは、とくに、関連するノリッシュI型フリーラジカル光開始剤は、好適な還元剤として追加的または代替的に使用可能である。
【0089】
アミンは、有効な水素供与体であるとみなされ、関連するカチオン光開始剤を還元するフリーラジカルを連鎖移動機構により容易に形成するであろう。したがって、ある特定の実施形態では、好適な還元剤として作用可能である。しかしながら、含まれる窒素原子がそれ以外にカチオン重合反応を阻害する傾向があることが知られているので、付加造形用ハイブリッド放射線硬化性組成物中にかかる化合物を含む場合、注意を払う必要がある。
【0090】
UV/vis光源の存在下で酸化性ラジカルを発生するいくつかの系が存在する。たとえば、キサンテン染料と芳香族アミンとを含有する系に照射することにより形成されるラジカルは、ジフェニルヨードニウム塩に対する還元剤として機能可能である。同様に、ジマンガンデカカルボニル−有機ハロゲン化物の組合せは、オニウム塩と組み合わせて使用する場合、UV/vis波長におけるカチオン重合に有効な還元剤である。そのほかに、イルガキュア784などの市販のチタノセン型光開始剤は、可視光を照射することにより発生させる還元剤源として使用可能である。
【0091】
さまざまな構造を有するアシルホスフィンオキシドおよびアシルホスファネートがフリーラジカル重合用光開始剤として使用されてきている。アシルホスフィンオキシドの光化学に関する広範な研究の結果、かなり高い量子収率でα開裂を受けることが判明した。
【0092】
実施形態では、アシルホスフィンオキシドは、UV/vis波長で適切なモノマーのカチオン重合を促進するのに好適な還元剤である。テトラヒドロフランおよびブチルビニルエーテルのカチオン重合は、UV/vis波長でビスアシルホスフィンオキシドおよびジフェニルヨードニウム塩の存在下で照射すると容易に開始可能である。理論により拘束することを望むものではないが、光開始ビスアシルホスフィンオキシドは、適切なドナー(たとえば、溶媒またはモノマー)から水素を容易に引き抜いて、カチオン光開始剤を併用した場合に還元剤になると考えられる。得られた炭素中心ラジカルは、PhI+イオンとの反応によりカルボカチオンに変換されてカチオン重合を開始する。本明細書に開示されるように、アシルホスフィンオキシド、より好ましくは置換アシルホスフィンオキシドは、ヨードニウム塩やピリジニウム塩などの好適なオニウム塩と組み合わせると、UV/vis硬化波長でフリーカチオン重合を促進するための効率的かつ効果的な還元剤になることが見いだされた。提案された開始機構は、第1の工程でホスフィノイルラジカルおよびベンゾイルラジカルの光発生を含むと思われる。続いてオニウム塩によりホスフィノイルラジカルが酸化されて、モノマーの重合を開始可能なホスホニウムイオンを生成する。後者の工程の効率は、オニウム塩のレドックス電位およびホスフィノイルラジカルの電子非局在化(p特性)により制御されるはずである。したがって、本発明の一実施形態は、この機構の効果が400nm波長光で最大化されかつ最大カチオン硬化スピードが実現されるように、オニウム塩とアシルホスフィンオキシドフリーラジカル光開始剤との間のレドックス電位を最大化すると同時に、最大電子非局在化(p特性)を有するアシルホスフィンオキシドを探索することである。
【0093】
還元剤は2種以上の化合物を含みうる。驚くべきことに、アルキル置換、アリール置換、またはアシル置換のゲルマニウム化合物をはじめとする有効量のノリッシュI型光開始剤は、25℃で液体であるビニルエーテル化合物に溶解させた場合、とくにオニウム(ヨードニウムを含む)塩カチオン光開始剤とペアにしたときに活性カチオンの発生を促進するのにとくに好適な還元剤として機能することを、出願人は見いだした。
【0094】
付加造形用液状放射線硬化性樹脂は、たとえばある特定の実施形態では任意の好適量、ある特定の実施形態では0.01〜30wt.%の量、他の好ましい実施形態では樹脂組成物の0.01〜10wt.%の量、他のある特定の実施形態では樹脂組成物の約1〜約8wt.%、さらなる実施形態では樹脂組成物の約2〜約6wt.%の量で、カチオン光開始剤を還元するための還元剤を含みうる。実施形態では、以上の範囲は、ヨードニウム塩光開始剤を併用する場合にとくに好適である。実施形態では、同還元剤成分は、フリーラジカル光開始剤および還元剤として同時に機能しうるので、フリーラジカル重合およびカチオン重合の両方を同時に促進し、他の実施形態では、還元剤は、組み込まれる全組成物の約0.05重量%〜約4重量%の量で利用しうる。
【0095】
ビニル基に結合された電子供与性置換基を有する促進剤および/または化合物
ビニル基に結合された電子供与性置換基を有する成分の追加の組込みもまた、本発明に係る組成物で使用しうる。促進剤と呼びうるかかる成分は、UV/vis光学素子を利用する付加造形システム用の液状放射線硬化性組成物のカチオン硬化を向上させる機構をさらに提供可能である。具体的には、驚くべきことに、ビニル基に結合された電子供与性置換基を有する追加の成分の組込みは、本明細書で引用された他の反応機構を引き起こす他の成分、たとえば、適切なノリッシュI型光開始剤、光増感剤、および/または還元剤の存在を伴う場合、重合の速度および/または量を相乗的に向上させることを、発明者らはさらに見いだした。
【0096】
ビニル基に結合された電子供与性置換基を有する成分の好ましい一例はビニルエーテルである。ビニルエーテルは、さまざまな出発材料、たとえば、エーテル、エステル、もしくはビスカルバメート、またはビニルエーテル末端(ポリ)ウレタンもしくはカーボネートから生成可能である。限定されるものではないがそれぞれのいくつかの例としては以下のものが挙げられる。
【0097】
ビニルエーテルは、エーテル類のビニルエーテルモノマーを含みうる。これらの具体例としては、多官能性ビニルエーテルが挙げられ、さらには、ジビニルエーテル、たとえば、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、ポリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、ブチレングリコールジビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジオールジビニルエーテル、ビスフェノールAアルキレンオキシドジビニルエーテル、およびビスフェノールFアルキレンオキシドジビニルエーテル、ならびに多官能性ビニルエーテル、たとえば、トリメチロールエタントリビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ジトリメチロールプロパンテトラビニルエーテル、グリセロールトリビニルエーテル、ペンタエリトリトールテトラビニルエーテル、ペンタエリトリトールジビニルエーテル、ジペンタエリトリトールペンタビニルエーテル、ジペンタエリトリトールヘキサビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテルのエチレンオキシド付加物、トリメチロールプロパントリビニルエーテルのプロピレンオキシド付加物、ジトリメチロールプロパンテトラビニルエーテルのエチレンオキシド付加物、ジトリメチロールプロパンテトラビニルエーテルのプロピレンオキシド付加物、ペンタエリトリトールテトラビニルエーテルのエチレンオキシド付加物、ペンタエリトリトールテトラビニルエーテルのプロピレンオキシド付加物、ジペンタエリトリトールヘキサビニルエーテルのエチレンオキシド付加物、ジペンタエリトリトールヘキサビニルエーテルのプロピレンオキシド付加物が挙げられる。
【0098】
ビニルエーテルモノマーはまた、ビスカルバメートから誘導することも可能である。例としては、ジビニルアジペート、ジビニルテレフタレート、ジビニルシクロヘキシルジカルボキシレートなどの多官能性ビニルエーテルが挙げられる。ビス[4−(ビニルオキシ)ブチル]アジペート(ベクトマー(VEctomer)(登録商標)4060)、ビス[4−(ビニルオキシ)ブチル]スクシネート(ベクトマー(登録商標)4030)、ビス[4−(ビニルオキシ)ブチル]イソフタレート(ベクトマー(登録商標)4010)、ビス[4−(ビニルオキシメチル)シクロヘキシルメチル]グルタレート(ベクトマー(登録商標)4020)、トリス[4−(ビニルオキシ)ブチル]トリメリテート(ベクトマー(登録商標)5015)、ビス[4−(ビニルオキシメチル)シクロヘキシルメチル]イソフタレート(ベクトマー(登録商標)4040)、ビス[4−(ビニルオキシ)ブチル](4−メチル−1,3−フェニレン)ビスカルバメート(ベクトマー(登録商標)4220)、およびビス[4−(ビニルオキシ)ブチル](メチレンジ−4,1−フェニレン)ビスカルバメート(ベクトマー(登録商標)4210)など。
【0099】
ビニルエーテルはまた、ビニルエーテル末端のウレタンまたはカーボネートでありうる。具体例としては、少なくともヒドロキシル基およびビニルエーテル基が両方とも同一分子に含まれるヒドロキシビニルエーテルでエンドキャップされたポリウレタンやポリカーボネートなどの多官能性ビニルエーテルが挙げられる。例としては、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、3−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2−ヒドロキシイソプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、3−ヒドロキシブチルビニルエーテル、2−ヒドロキシブチルビニルエーテル、3−ヒドロキシイソブチルビニルエーテル、2−ヒドロキシイソブチルビニルエーテル、1−メチル−3−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、1−メチル−2−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、1−ヒドロキシメチルプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシシクロヘキシルビニルエーテル、1,6−ヘキサンジオールモノビニルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、1,3−シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、1,2−シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、p−キシレングリコールモノビニルエーテル、m−キシレングリコールモノビニルエーテル、o−キシレングリコールモノビニルエーテル、ジエチレン−グリコールモノビニルエーテル、トリエチレングリコールモノビニルエーテル、テトラエチレングリコールモノビニルエーテル、ペンタエチレングリコールモノビニルエーテル、オリゴエチレングリコールモノビニルエーテル、ポリエチレングリコールモノビニルエーテル、ジプロピレングリコールモノビニルエーテル、トリプロピレングリコールモノビニルエーテル、テトラプロピレングリコールモノビニルエーテル、これらの誘導体、限定されるものではないが列挙すると、たとえば、ペンタプロピレングリコールモノビニルエーテル、オリゴプロピレングリコールモノビニルエーテル、およびポリプロピレングリコールモノビニルエーテルが挙げられる。
【0100】
好ましい実施形態では、ビニル基に結合された電子供与性置換基を有する促進剤または成分は、次のもの、すなわち、ビニルエーテル、ビニルエステル、ビニルチオエーテル、n−ビニルカルバゾール、n−ビニルピロリドン、n−ビニルカプロラクタム、アリルエーテル、およびビニルカーボネートの1つ以上である。
【0101】
他の好ましい実施形態では、ビニル基に結合された電子供与性置換基を有する促進剤または成分は多官能性である。
【0102】
ビニル基に結合された電子供与性置換基を有する成分たとえばビニルエーテルは、付加造形用液状放射線硬化性組成物で使用される成分として以前から知られている。それは「不動態」ネットワーク構築重合性成分として伝統的に使用されてきた。かかる成分は、共重合を引き起こすことが知られているので、多くの付加造形用途で人気が失われた。得られる不均一ポリマーは、とくに環式脂肪族エポキシド、オキセタン、および/またはグリシジルエーテルエポキシなどの他のより好ましいモノマーと比較して、関連する三次元部品の物理的性質が劣ったものになると予想されよう。さらに、かかる成分がカチオン重合可能であったとしても、とくにエポキシド、オキセタン、オキソランなどの他のカチオン重合性開環モノマーと比較して、硬化される部品に収縮差および/または変形の増加を引き起こす傾向を有することが知られている。最後に、それは多くの他のモノマー成分(たとえば、エポキシドやオキセタンなどの開環モノマー)よりも一般に速く硬化することが知られているが、全体的(カチオン)硬化は、最も遅い個別の構成要素と同程度に有効であるにすぎないので、その組込みは典型的には必要とされない。
【0103】
付加造形用放射線硬化性組成物へのカチオンおよび/またはフリーラジカル硬化性モノマーの組込みのいかんを問わず、ビニルエーテルは、エポキシなどの任意の付随するカチオン硬化性モノマーの追加(またはより高速)の硬化を加速または促進するために組成物に添加されてこなかった。驚くべきことに、とくにある特定のUV/vis硬化条件下で、かかる化合物は、本発明に係る光開始パッケージへの組込み時、エポキシドやオキセタンなどの付随するカチオン硬化性成分の重合の速度および/または量の有意な向上を促進するように機能することを、発明者らは発見した。この結果、UV/vis光学素子を利用する付加造形プロセスにより製造される三次元部材の迅速製造が可能になり、得られる部品は、それ以外の既知の配合方法では不可能な優れたグリーン強度およびロバストな機械的性質を有するものとなる。
【0104】
驚くべきことに、カチオン重合レベルをさらに向上させるために(より多くのカチオンの発生を促進することにより)、即座に作用してカチオン光開始剤(好ましくはヨードニウム塩)を還元するビニル系ラジカルまたはエーテルラジカルを形成可能なビニル基に結合された電子供与性置換基を有する促進剤または成分を選択することが有用であることも、発明者らは発見した。クープマンズの定理と組み合わせたB3LYP/6−31G(d)に基づく分子モデリングは、ビニル基に結合された1つ以上の電子供与性置換基(たとえば、限定されるものではないが、トリフルオロメチルビニルエーテル、ビニルアセテート、トリス(トリメチルシリル)シリルビニルエーテル、ビニルチオエーテル、およびビニルエーテル)に関連することが知られている各種ラジカルのイオン化ポテンシャルの計算を可能にするのに有用である。これらの値は、ノリッシュI型光開始剤の励起三重項状態のイオン化ポテンシャルおよびそれから形成されたラジカルのイオン化ポテンシャル(電子ボルトまたはeV)として同一単位で本明細書に示されているが、それらを直接比較すべきではない。そうではなく、かかる値は互いに相対的に考慮するのに有用であるにすぎない。
【0105】
したがって、好ましい実施形態では、B3LYP/6−31G(d)に基づく分子モデリングにより計算したときに6.58eV以下、より好ましくは5.42eV未満、より好ましくは4,89eV未満、より好ましくは4.30eV未満、より好ましくは4.20eV未満の計算イオン化ポテンシャルを有するラジカルを生成するように構成されることが知られているビニル基に結合された電子供与性置換基を有する促進剤または化合物が選択される。さらに、好ましい実施形態では、ビニル基に結合された電子供与性置換基を有する促進剤または化合物は、少なくとも3.3eV、より好ましくは少なくとも3.5eV、より好ましくは3.8eVの計算イオン化ポテンシャルを有するラジカルを生成するように構成されることが知られているものが選択される。
【0106】
使用理由のいかんを問わず、ビニル基に結合された電子供与性置換基を有する以上に挙げた促進剤または成分の1つ以上を任意の好適量で本発明に係る組成物で利用可能であり、単独でまたは本明細書に列挙されたタイプの1つ以上の組合せで選択しうる。好ましい実施形態では、ビニル基に結合された電子供与性置換基を有する促進剤または成分は、組成物の全重量を基準にして約1wt.%〜約25wt.%、より好ましくは約5wt.%〜約20wt.%、より好ましくは約5wt.%〜約12wt.%の量で存在する。他の実施形態では、ビニル基に結合された電子供与性置換基を有する促進剤または成分は、1wt.%〜15wt.%、より好ましくは1wt.%〜10wt.%、より好ましくは3wt.%〜約8wt.%の量で存在する。他の実施形態では、ビニル基に結合された電子供与性置換基を有する促進剤または成分は、組み込まれる全組成物の重量を基準にして0.5%超または1.0%超または1.5%超または2.5%超または3%超、20wt.%未満まで、より好ましくは15wt.%未満または10wt.%未満または5wt.%未満の量で使用しうる。
【0107】
光開始パッケージ比
本発明に係る組成物は、種々の必要成分の比を互いに制御すれば、UV/vis光学素子を利用するある特定の付加造形プロセスによる硬化にとくに最適化された状態になりうることを、本発明者らは見いだした。したがって、実施形態では、ヨードニウム塩カチオン光開始剤と、還元剤、促進剤、またはビニル基に結合された電子供与性置換基を有する成分の1つ以上と、のモル比は、2:1〜1:50、より好ましくは1:1〜1:30、または1:2〜1:20、または1:5〜1:10である。
【0108】
実施形態では、ノリッシュI型光開始剤と、還元剤、促進剤、またはビニル基に結合された電子供与性置換基を有する成分の1つ以上と、のモル比は、2:1〜1:50、より好ましくは1:1〜1:30、または1:2〜1:20、または1:5〜1:10である。
【0109】
実施形態では、ヨードニウム塩カチオン光開始剤とノリッシュI型光開始剤とのモル比は、1:4〜4:1、より好ましくは1:2〜2:1、または3:4〜4:3である。
【0110】
ヨードニウム塩カチオン光開始剤の量が多すぎた場合、硬化性能の段階的向上は最終的に無視しうるようになり、追加コストがかさみ、費用効率の高い組成物の配合の実用性が損なわれ、他の構成要素と比べて少なすぎた場合、カチオン硬化が開始されても適正グリーン強度を有する三次元部品の製造に必要なレベルにならない。ノリッシュI型光開始剤の量はカチオン光開始剤の量に対して有意に変化させるべきでないが、フリーラジカル重合性構成要素の直接重合および前記カチオン光開始剤の間接励起の両方を可能にするのに十分な量で存在するべきである。
【0111】
ビニル基に結合された電子供与性置換基を有する促進剤または成分は、フリーラジカル促進カチオン重合および/またはカチオン光開始剤の関連する酸化還元反応を促進するのに十分な量で存在するべきである。最後に、ビニル基に結合された電子供与性置換基を有する促進剤または成分は、追加のカチオン重合機構を十分に可能にするために光開始パッケージ中の以上に挙げた他の構成要素に対して最大モル量で存在可能であるが、それから作製される三次元硬化部品の機械的性質が損なわれないように過剰量で存在すべきではない。
【0112】
カチオン硬化性構成要素
実施形態によれば、本発明の付加造形用液状放射線硬化性樹脂は、カチオンによりまたは酸発生剤の存在下で開始される重合を行う成分である少なくとも1種のカチオン重合性成分を含む。カチオン重合性成分は、モノマー、オリゴマー、および/またはポリマーでありうるとともに、脂肪族部分、芳香族部分、環式脂肪族部分、アリール脂肪族部分、ヘテロ環式部分、およびそれらの任意の組合せを含有しうる。好ましくは、カチオン重合性成分は、少なくとも1種の環式脂肪族化合物を含む。好適な環状エーテル化合物は、側基としてまたは脂環式もしくはヘテロ環式の環系の一部を形成する基として環状エーテル基を含みうる。
【0113】
カチオン重合性成分は、環状エーテル化合物、環状アセタール化合物、環状チオエーテル化合物、スピロオルトエステル化合物、環状ラクトン化合物、およびビニルエーテル化合物ならびにそれらの任意の組合せからなる群から選択される。
【0114】
好適なカチオン重合性成分としては、エポキシ化合物やオキセタンなどの環状エーテル化合物、環状ラクトン化合物、環状アセタール化合物、環状チオエーテル化合物、およびスピロオルトエステル化合物が挙げられる。カチオン重合性成分の具体例としては、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールFジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールSジグリシジルエーテル、エポキシノボラック樹脂、水素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水素化ビスフェノールFジグリシジルエーテル、水素化ビスフェノールSジグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)−シクロヘキサン−1,4−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビニルシクロヘキセンオキシド、4−ビニルエポキシシクロヘキサン、ビニルシクロヘキセンジオキシド、リモネンオキシド、リモネンジオキシド、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシル−3’,4’−エポキシ−6’−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ε−カプロラクトン変性3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、トリメチルカプロラクトン変性3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、β−メチル−δ−バレロラクトン変性3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、メチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサン)、ビシクロヘキシル−3,3’−エポキシド、−O−、−S−、−SO−、−SO
2−、−C(CH
3)
2−、−CBr
2−、−C(CBr
3)
2−、−C(CF
3)
2−、−C(CCl
3)
2−、または−CH(C
6H
5)−の結合を有するビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)、ジシクロペンタジエンジエポキシド、エチレングリコールのジ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、エポキシヘキサヒドロジオクチルフタレート、エポキシヘキサヒドロ−ジ−2−エチルヘキシルフタレート、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、脂肪族長鎖二塩基酸のジグリシジルエステル、脂肪族高級アルコールのモノグリシジルエーテル、化合物へのアルキレンオキシドの付加により得られるフェノール、クレゾール、ブチルフェノール、またはポリエーテルアルコールのモノグリシジルエーテル、高級脂肪酸のグリシジルエステル、エポキシ化ダイズ油、エポキシブチルステアリン酸、エポキシオクチルステアリン酸、エポキシ化アマニ油、エポキシ化ポリブタジエン、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、3−エチル−3−(3−ヒドロキシプロピル)オキシメチルオキセタン、3−エチル−3−(4−ヒドロキシブトl)オキシメチルオキセタン、3−エチル−3−(5−ヒドロキシペンチル)オキシメチルオキセタン、3−エチル−3−フェノキシメチルオキセタン、ビス((1−エチル(3−オキセタニル))メチル)エーテル、3−エチル−3−((2−エチルヘキシルオキシ)メチル)オキセタン、3−エチル−((トリエトキシシリルプロポキシメチル)オキセタン)3−(メタ)−アリルオキシメチル−3−エチルオキセタン、3−ヒドロキシメチル−3−エチルオキセタン、(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチルベンゼン、4−フルオロ−[1−(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、4−メトキシ−[1−(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、[1−(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)エチル]フェニルエーテル、イソブトキシメチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−エチルヘキシル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、エチルジエチレングリコール(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンタジエン(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンテニルオキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンテニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、テトラヒドロフルフリル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−ヒドロキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−ヒドロキシプロピル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、およびそれらの任意の組合せが挙げられる。
【0115】
カチオン重合性成分は、任意選択的に、エポキシ官能基またはオキセタン官能基を有するデンドリマー、リニアデンドリティックポリマー、デンドリグラフトポリマー、ハイパーブランチポリマー、スターブランチポリマー、ハイパーグラフトポリマーなどのデンドリティックポリマーをはじめとする多官能性材料をも含有しうる。デンドリティックポリマーは、1つのタイプの重合性官能基または異なるタイプの重合性官能基、たとえば、エポキシ官能基およびオキセタン官能基を含有しうる。
【0116】
実施形態では、本発明の組成物は、脂肪族アルコール、脂肪族ポリオール、ポリエステルポリオール、またはポリエーテルポリオールの1種以上のモノまたはポリグリシジルエーテルをも含む。好ましい成分の例としては、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、約200〜約10,000の分子量のポリオキシエチレンおよびポリオキシプロピレンのグリコールおよびトリオールのグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールまたはポリ(オキシエチレン−オキシブチレン)ランダムコポリマーもしくはブロックコポリマーのグリシジルエーテルが挙げられる。具体的な実施形態では、カチオン重合性成分は、分子中にシクロヘキサン環がない多官能性グリシジルエーテルを含む。他の具体的な実施形態では、カチオン重合性成分はネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルを含む。他の具体的な実施形態では、カチオン重合性成分は1,4シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテルを含む。
【0117】
市販の好ましい多官能性グリシジルエーテルの例は、エリシス(Erisys)(商標)GE22(エリシス(商標)製品はエメラルド・パフォーマンス・マテリアルズ(Emerald Performance Materials)(商標)から入手可能である)、ヘロキシ(Heloxy)(商標)48、ヘロキシ(商標)67、ヘロキシ(商標)68、ヘロキシ(商標)107(ヘロキシ(商標)変性剤はモメンティブ・スペシャルティー・ケミカルズ(Momentive Specialty Chemicals)から入手可能である)、およびグリロニット(Grilonit)(登録商標)F713である。市販の好ましい単官能性グリシジルエーテルの例は、ヘロキシ(Heloxy)(商標)71、ヘロキシ(商標)505、ヘロキシ(商標)7、ヘロキシ(商標)8、およびヘロキシ(商標)61である。
【0118】
実施形態では、エポキシドは、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(ダイセル化学(Daicel Chemical)からセロキサイド(CELLOXIDE)(商標)2021Pとしてまたはダウ・ケミカル(Dow Chemical)からサイラキュア(CYRACURE)(商標)UVR−6105として入手可能である)、水素化ビスフェノールAエピクロロヒドリン系エポキシ樹脂(モメンティブ(Momentive)からエポン(EPON)(商標)1510として入手可能である)、1,4−シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル(モメンティブからヘロキシ(商標)107として入手可能である)、水素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル(モメンティブからエポン(商標)825として入手可能である)ジシクロヘキシルジエポキシドとナノシリカとの混合物(ナノポックス(NANOPOX)(商標)として入手可能である)、およびそれらの任意の組合せである。
【0119】
具体的な実施形態では、カチオン重合性成分は、環式脂肪族エポキシ、たとえば、以下の式:
【化7】
(式中、Rは、炭素原子、エステル含有C
1〜C
10脂肪族鎖、またはC
1〜C
10アルキル鎖である)
で示される2個または2個超のエポキシ基を有する環式脂肪族エポキシを含む。
【0120】
他の具体的な実施形態では、カチオン重合性成分は、2個(二官能性)または2個超(多官能性)のエポキシ基を有する芳香族または脂肪族のグリシジルエーテル基を有するエポキシを含む。
【0121】
上述したカチオン重合性化合物は、単独でまたはそれらの2種以上の組合せで使用可能である。本発明の実施形態では、カチオン重合性成分は、少なくとも2種の異なるエポキシ成分をさらに含む。
【0122】
本発明の他の実施形態では、カチオン重合性成分はオキセタン成分をも含む。具体的な実施形態では、カチオン重合性成分は、オキセタン、たとえば、1個、2個、または2個超のオキセタン基を含有するオキセタンを含む。他の実施形態では、利用されるオキセタンは単官能性であり、追加的にヒドロキシル基を有する。実施形態によれば、オキセタンは、以下の構造:
【化8】
を有する。
【0123】
組成物で利用する場合、オキセタン成分は樹脂組成物の約5〜約50wt.%の好適量で存在する。他の実施形態では、オキセタン成分は樹脂組成物の約10〜約25wt.%の量で存在し、さらに他の実施形態では、オキセタン成分は樹脂組成物の20〜約30wt.%の量で存在する。
【0124】
したがって、付加造形用液状放射線硬化性樹脂は、好適量、たとえば、ある特定の実施形態では樹脂組成物の約10〜約80重量%の量、さらなる実施形態では樹脂組成物の約20〜約70wt.%、さらなる実施形態では樹脂組成物の約25〜約65wt.%のカチオン重合性成分を含みうる。
【0125】
フリーラジカル重合性成分
本発明の実施形態によれば、本発明の付加造形用液状放射線硬化性樹脂は、少なくとも1種のフリーラジカル重合性成分、すなわち、フリーラジカルにより開始される重合を行う成分を含む。フリーラジカル重合性成分は、モノマー、オリゴマー、および/またはポリマーであり、単官能性または多官能性の材料であり、すなわち、フリーラジカル開始により重合可能な1、2、3、4、5、6、7、8、9、10…20…30…40…50…100個、またはそれ以上の官能基を有し、脂肪族、芳香族、環式脂肪族、アリール脂肪族、ヘテロ環式の部分またはそれらの任意の組合せを含有しうる。多官能性材料の例としては、デンドリマー、リニアデンドリティックポリマー、デンドリグラフトポリマー、ハイパーブランチポリマー、スターブランチポリマー、ハイパーグラフトポリマーなどのデンドリティックポリマーが挙げられる。たとえば、米国特許出願公開第2009/0093564A1号明細書を参照されたい。デンドリティックポリマーは、1つのタイプの重合性官能基または異なるタイプの重合性官能基、たとえば、アクリレート官能基およびメタクリレート官能基を含有しうる。
【0126】
フリーラジカル重合性成分の例としては、イソボルニル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、4−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルホリン、(メタ)アクリル酸、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、カプロラクトンアクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートおよびポリプロピレングリコール、モノ(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、ベータ−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、フタル酸(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ブチルカルバミルエチル(メタ)アクリレート、n−イソプロピル(メタ)アクリルアミドフッ素化(メタ)アクリレート、7−アミノ−3,7−ジメチルオクチル(メタ)アクリレートなどのアクリレートおよびメタクリレートが挙げられる。
【0127】
多官能性フリーラジカル重合性成分の例としては、(メタ)アクリロイル基を有するもの、たとえば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトール(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエンジメタノールジ(メタ)アクリレート、[2−[1,1−ジメチル−2−[(1−オキソアリル)オキシ]エチル]−5−エチル−1,3−ジオキサン−5−イル]メチルアクリレート、3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、プロポキシル化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシル化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリブタンジオールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、リン酸モノおよびジ(メタ)アクリレート、C
7〜C
20アルキルジ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサ(メタ)クリレート、トリシクロデカンジイルジメチルジ(メタ)アクリレート、および以上のモノマーのいずれかのアルコキシル化物(たとえば、エトキシル化物および/またはプロポキシル化物)、さらにはビスフェノールAへのエチレンオキシドまたはプロピレンオキシドの付加物であるジオールのジ(メタ)アクリレート、水素化ビスフェノールAへのエチレンオキシドまたはプロピレンオキシドの付加物であるジオールのジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルへの(メタ)アクリレート付加物であるエポキシ(メタ)アクリレート、ポリオキシアルキル化ビスフェノールAのジアクリレート、およびトリエチレングリコールジビニルエーテル、ならびにヒドロキシエチルアクリレートの付加物が挙げられる。
【0128】
実施形態によれば、ラジカル重合性成分は多官能性(メタ)アクリレートである。多官能性(メタ)アクリレートは、すべてのメタクリロイル基、すべてのアクリロイル基、またはメタクリロイル基とアクリロイル基との任意の組合せを含みうる。実施形態では、フリーラジカル重合性成分は、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、エトキシル化またはプロポキシル化ビスフェノールAまたはビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエンジメタノールジ(メタ)アクリレート、[2−[1,1−ジメチル−2−[(1−オキソアリル)オキシ]エチル]−5−エチル−1,3−ジオキサン−5−イル]メチルアクリレート、ジペンタエリトリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサ(メタ)クリレート、プロポキシル化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、およびプロポキシル化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ならびにそれらの任意の組合せからなる群から選択される。
【0129】
実施形態では、多官能性(メタ)アクリレートは2個超の官能基を有する。他の実施形態によれば、多官能性(メタ)アクリレートは3個超の官能基を有する。さらに他の実施形態では、多官能性(メタ)アクリレートは4個超の官能基を有する。他の好ましい実施形態では、ラジカル重合性成分は排他的に単一の多官能性(メタ)アクリレート成分からなる。さらなる実施形態では、排他的ラジカル重合性成分は四官能性であり、さらなる実施形態では、排他的ラジカル重合性成分は五官能性であり、さらなる実施形態では、排他的ラジカル重合性成分は六官能性である。
【0130】
他の実施形態では、フリーラジカル重合性成分は芳香族(メタ)アクリレートを含有する。芳香族アクリレートは、限定されるものではないがたとえばビスフェノールA、ビスフェノールS、またはビスフェノールFから誘導しうる。ある特定の実施形態では、芳香族は、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジアクリレート、ジシクロペンタジエンジメタノールジアクリレート、[2−[1,1−ジメチル−2−[(1−オキソアリル)オキシ]エチル]−5−エチル−1,3−ジオキサン−5−イル]メチルアクリレート、ジペンタエリトリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、プロポキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート、およびプロポキシル化ネオペンチルグリコールジアクリレート、ならびにそれらの任意の組合せからなる群から選択される。実施形態では、芳香族(メタ)アクリレートは二官能性である。
【0131】
具体的な実施形態では、本発明の付加造形用液状放射線硬化性樹脂は、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、プロポキシル化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、および/またはプロポキシル化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレートの1つ以上、より具体的にはビスフェノールAジグリシジルエーテルジアクリレート、ジシクロペンタジエンジメタノールジアクリレート、ジペンタエリトリトールペンタアクリレート、プロポキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート、および/またはプロポキシル化ネオペンチルグリコールジアクリレートの1つ以上を含む。
【0132】
上述したラジカル重合性化合物は、単独でまたはそれらの2種以上の組合せで使用可能である。付加造形用液状放射線硬化性樹脂は、任意の好適量、たとえば、ある特定の実施形態では樹脂組成物の約50wt.%まで、ある特定の実施形態では樹脂組成物の約2〜約40wt.%、他の実施形態では約5〜約30wt.%、さらなる実施形態では樹脂組成物の約10〜約20wt.%の量のフリーラジカル重合性成分を含みうる。
【0133】
任意選択的な添加剤
本発明に係る組成物は、任意選択的に1種以上の添加剤を含みうる。粘度上昇、たとえば、固体像形成プロセスにおける使用時の粘度上昇をさらに防止するために、樹脂組成物に添加剤として安定剤を添加することが多い。有用な安定剤としては、米国特許第5,665,792号明細書に記載のものが挙げられる。安定剤の存在は任意選択的である。具体的な実施形態では、付加造形用液状放射線硬化性樹脂組成物は0.1wt.%〜3%の安定剤を含む。
【0134】
他の利用可能な添加剤としては、有機および無機の充填剤、染料、顔料、酸化防止剤、湿潤剤、気泡崩壊剤、連鎖移動剤、レベリング剤、消泡剤、界面活性剤などが挙げられる。かかる添加剤は公知であり、当業者であれば分かるであろうが特定の用途の要望に応じて一般に利用可能である。
【0135】
本発明の付加造形用液状放射線硬化性樹脂組成物は、気泡崩壊剤、酸化防止剤、界面活性剤、酸捕捉剤、顔料、染料、増粘剤、難燃剤、シランカップリング剤、紫外線吸収剤、樹脂粒子、コア−シェル粒子耐衝撃性改良剤、可溶性ポリマー、およびブロックポリマーからなる群から選択される1種以上の添加剤をさらに含みうる。
【0136】
そのほかに、公知の付加造形用液状放射線硬化性樹脂組成物の多くは、樹脂組成物から作製される部品の性質を向上させるためにヒドロキシ官能性化合物を使用する。存在する場合、任意のヒドロキシ基を特定の目的に使用しうる。存在する場合、ヒドロキシル含有材料は、好ましくは1種以上の第1級または第2級の脂肪族ヒドロキシルを含有する。ヒドロキシル基は分子内または末端に存在しうる。モノマー、オリゴマー、またはポリマーを使用可能である。ヒドロキシル当量、すなわち、数平均分子量をヒドロキシル基の数で除算した値は、好ましくは31〜5000の範囲内である。存在する場合、樹脂組成物は、好ましくは、樹脂組成物の全重量を基準にして多くとも10wt.%、多くとも5wt.%、多くとも2wt.%の1種以上の非フリーラジカル重合性ヒドロキシ官能性化合物を含む。
【0137】
第3の実施形態は、UV/vis光学素子を利用する付加造形システムにより三次元物品を形成する方法であって、
(1)第1または第2の実施形態の任意の態様に係る付加造形用液状放射線硬化性組成物を提供する工程と、
(2)液状放射線硬化性樹脂の第1の液状層を設ける工程と、
(3)UV/vis光学構成を用いて第1の液状層を化学線で像様に露光して像形成断面体を形成することにより第1の硬化層を形成する工程と、
(4)第1の硬化層に接触した状態で液状放射線硬化性樹脂の新しい層を形成する工程と、
(5)前記新しい層を化学線で像様に露光して追加の像形成断面体を形成する工程と、
(6)三次元物品を構築するために工程(4)および(5)を十分な回数繰り返す工程と、
を含み、
UV/vis光学素子が、約375nm〜約500nm、より好ましくは約380nm〜約450nm、より好ましくは約390nm〜約425nm、より好ましくは約395nm〜約410nmのピークスペクトル強度で放射線を放出する、方法である。
【0138】
以上に記載の第3の実施形態で提供される液状放射線硬化性組成物は、UV/vis光学素子を利用する付加造形システムによる硬化に適している。かかる組成物は、以上の本明細書の他の箇所に記載されている。第1の液状層を設ける際または液状放射線硬化性樹脂の新しい層を形成する際、層は任意の好適な厚さおよび形状をとりうるとともに、利用される付加造形プロセスに依存する。たとえば、それはジェット処理により選択的にディスペンスしうるか、またはほとんどのステレオリソグラフィープロセスでよく見受けられるようにすでに硬化した層を樹脂のバットに浸漬して実質的に均一な厚さの層を生成することにより付加しうる。限定されるものではないが他の実施形態では、カートリッジまたはディスペンサーを用いて箔、膜、または担体を介して所定の厚さで代替的に移動させうる。
【0139】
以上では、「露光」とは化学線を照射することを意味する。以上に述べたように、本明細書に記載される本発明の付加造形用液状放射線組成物は、UV/vis光学素子を介してハイブリッド硬化を適用するのにとくに好適である。実施形態では、UV/vis光学素子は光源として1つ以上のLEDを利用する。実施形態では、光源はレーザーである。実施形態では、LEDまたはレーザー光源は、DLPまたはLCD像投影システムに結合される。像投影システムがLCDディスプレイを含む実施形態では、光源は、UV波長がLCD構成要素に及ぼす有害作用を最小限に抑えるために排他的に400nm超の化学線を放出するように構成しうる。
【0140】
第4の実施形態は、第1または第2の実施形態の任意の態様に係る放射線硬化性組成物を用いて第3の実施形態により形成された三次元部品である。
【0141】
以下の実施例は、本発明をさらに例示するものであるが、当然ながら、なんらその範囲を限定するものと解釈すべきではない。
【0142】
[実施例]
これらの実施例は、本発明の付加造形用液状放射線硬化性樹脂の実施形態を例示する。表1には、本発明の実施例で使用される付加造形用液状放射線硬化性樹脂の種々の成分が記載されている。
【0143】
【表2】
【0144】
【表3】
【0145】
イオン化ポテンシャルの計算
すべてのイオン化ポテンシャル値の導出に本明細書の手順を使用した。最初に、スパルタン(Spartan)14ソフトウェア(スパルタン’14、バージョン1.1.2、2013年10月24日、(著作権)1991−2013、ウェイブファンクション(Wavefunction)社製)を利用して対象の系の分子構造を構築した。同一プログラムを用いてメルク(Merck)分子力場(MMFF)により配座解析を行った。続いて、半経験的パラメーター化方法6(PM6)を用いてすべてのMMFF配座を最小化した。
【0146】
PM6最適化ランから得られたすべてのユニーク配座を.xyz座標ファイルとしてエクスポートし、次いで、それを出発点として使用し、ガウシアン(Gaussian)09プログラム(ガウシアン09、レビジョンC.01、M.J.Frisch、G.W.Trucksら、ガウシアン(Gaussian)社、コネチカット州ウォリングフォード(Wallingford)、2010)によりB3LYP/6−31G(d)レベルでより高度な量子力学計算を行った。次いで、ラジカルおよび三重項状態の両方のスピン非制限波動関数を計算した。
【0147】
すべての最適化ランに続いて、得られたB3LYP/6−31G(d)構造がポテンシャルエネルギー表面上の真のエネルギー最小であるか否かを同定するために非制限B3LYP/6−31G(d)振動数計算を行った。
【0148】
イオン化ポテンシャル(IP)は、大域的最小配座の結果からクープマンズの定理の仮定に基づいて導出した。すなわち、IPは、HOMOエネルギーをa.u.(ハートリー)から電子ボルトに変換してP=−ε
HOMOとして最高被占分子軌道(HOMO)のエネルギーから得た(1ハートリー=27.211383eV)。値は電子ボルト(eV)により表される。
【0149】
この方法に従って計算されたいくつかの既知のノリッシュI型光開始剤の三重項状態のイオン化ポテンシャルを以下の表2に示す。同様に既知のラジカルの計算イオン化ポテンシャルを以下の表3に示す。最後に、ビニル基に結合された電子供与性置換基を有する各種成分の同様に計算されたイオン化ポテンシャルを以下の表4に示す。
【0150】
【表4】
【0151】
【表5】
【0152】
【表6】
【0153】
[実施例1〜60]
最初に、以下の表5に列挙された成分を組み合わせることにより、カチオン重合性構成要素(オキセタンと環式脂肪族エポキシドとグリシジルエーテルエポキシとをさらに含む)と、フリーラジカル重合性構成要素と、連鎖移動剤と、添加剤と、を含む付加造形用ベース樹脂(「樹脂ベース1」)を当技術分野で周知の方法に従って調製した。
【0154】
次いで、以下に記載の重合速度試験方法に従って、各種光開始パッケージが組み込まれたときの樹脂ベース1の硬化性能をUV/vis条件下で評価した。
【0155】
2つの組成物の硬化性能のサンプルプロットを
図1に示す。
図1は、重合性成分の%転化率により表される硬化性能を時間の関数として示す。かかる転化率は、たとえば、環式脂肪族エポキシド成分、オキセタン成分、またはアクリレート成分の重合量を表しうるが、これらに限定されるものではない。組成物1のデータ系列は、組成物2のデータ系列と比べて高い転化率を示す。ライン3および4は、本明細書に概説された手順に従って各組成物に対して生成された最初の3つのデータ点の最小二乗当てはめラインの傾きを示す。とくに、ライン3(組成物1に対応する)の傾きは、ライン4(組成物2に対応する)の傾きよりも大きい。このことから、より速い初期転化速度が示唆される。垂直ライン5は、とくに完全変換が測定されたとみなされる点を表す。これは所与の組成物の臨界時間、たとえば、付加造形プロセスで他方の層の形成が必要な時間およびかかるプロセスで使用するのに有効な組成物とするためにある特定の転化率を達成しなければならない時間でありうる。分かるように、組成物1は、同一の時間点(点7)での組成物2の転化率よりも有意に高い転化率を点6で呈する。
【0156】
各種硬化スピードパラメーターを報告する。これらについては以下に説明し、表6〜9に示す。AII値は、とくに示されていない限り重量部単位で列挙される。
【0157】
【表7】
【0158】
試験方法−重合速度
各実施例の重合速度(硬化スピード)を測定するために、リアルタイムフーリエ変換赤外(FTIR)分光法を使用した。データ取得頻度さらには分解能を増加させるために、テルル化水銀カドミウム(MCT)検出器を使用し、透過モードの代わりに減衰全反射(ATR)構成を使用した。重合速度測定はすべて、サーモ・サイエンティフィック・ニコレット(Thermo Scientific Nicolet)8700モデルを用いて行った。以下の表には測定の実験条件設定が示されている。この条件下で、各測定に対して200秒間で合計41個のスペクトルを得た。
【0159】
【表8】
【0160】
UV/Vis光制御のために、「校正連続モード」を選択してディジタル・ライト・ラボ(Digital Light Lab)LEDスポットランプ(400nm)およびコントローラー(アキュキュア(AccuCure)フォトレオメーター)を使用した。測定前に光強度および持続時間(露光時間)を選択した。355nm固体レーザーを利用した実施例41〜46(表7)以外のすべての実施例はこれに従った。
【0161】
測定のために、数滴の選択されたサンプルをATR結晶セットアップの中心に配置する。次いで、3ミル(±0.4ミル)ドローダウンバードバーを用いてATR結晶上に約3ミル膜(±0.4ミル)を被覆した。3ミルコーティングの適用直後、ATRセットアップの上にLEDランプを保持し、保持中心の孔に位置決めした。次いで、リアルタイムFTIR走査を開始した。1個のスペクトルを取得した後、光源をターンオンして重合を開始させた。以上のプログラム入力に基づいて、各スペクトルを5秒間ごとに合計200秒間にわたり取得した。各実験で合計41個のスペクトルを取得した。
【0162】
各官能基を表す特定のIRピーク変化に基づいて、重合転化率対時間を計算した。関連する各官能基の転化率を計算するために、必要に応じて以下の表に従ってピーク高さまたはピーク面積(以下のチャートから適用可能)を計算した。
【0163】
【表9】
【0164】
マイクロソフト・エクセル(Microsoft Excel)バージョン14.0.7116.5000(32ビット)のLINEST関数を用いて環式脂肪族エポキシの重合転化率の最初の3個のデータ点(12秒±1秒で終了)の最小二乗当てはめを生データから計算し、以下の表6〜9に記録した(「0〜12secのLSF」として表される)。さらに、環式脂肪族エポキシ、オキセタン、および/またはアクリレートの200秒での重合転化率に注目し、同様に表6〜9に報告した(必要に応じて、「%環式脂肪族エポキシド転化率@200sec」、「%アクリレート転化率@200sec」、または「%オキセタン転化率@200sec」として表される)。
【0165】
得られた生データを用いる場合、実験硬化スピード手順がFTIR検出装置のターンオンとサンプルを硬化させるために使用した光源のターンオンとの間に未知の短いタイムラグを有するので、硬化スピードモデルを適用するために最初の1〜2個のデータ点を除去した。これらの予備データ点により生成される統計的ノイズ量に伴ういずれの不確実さも補償するために、各データセットに対して3通りの曲線当てはめを作成した。いずれの場合も、データセットの当てはめに用いたモデル式は、Conv=a(1−e(−b*(時間−c)))であった。このために、データ解析アドオンを備えたマイクロソフト・エクセル、バージョン14.0.7116.5000(32ビット)を用いて生データを当てはめた。
【0166】
第1の場合、全データセット(最初の2個のデータ点を含む)を当てはめた。第2の場合、全データセットから第1のデータ点を差し引いて当てはめた。第3の場合、全データセットから第1および第2のデータ点を差し引いて当てはめた。いずれの場合も、曲線当てはめ係数r2を生成させた。1%超の転化率の第1のデータ点を有しかつその組合せ曲線当てはめが0.90超のr2をもたらすデータセットを選択して使用し、得られた曲線当てはめ式の結果をプラトー転化率の95%における硬化スピードのさらなる計算に使用した。曲線当てはめ係数r2が0.90未満であった場合、再びデータを再ランした。
【0167】
以上で考察したように、データは、式の形式Conv=a(1−e(−b*(時間−c)))に当てはめた。式中、「Conv」は、FTIRピーク比により測定される転化率%であり、時間は、露光持続時間であり、「a」は、プラトー転化率であり、「b」は、硬化スピードを計算するために使用される得られた導出硬化スピード係数であり、かつ「c」は、得られた導出硬化誘導時間である。データを当てはめた後、実験データおよび当てはめから決定された「a」、「b」、および「c」の数値パラメーターを含む実験導出式をソフトウェアにより作成した。カチオン硬化性材料(すなわち、エポキシおよびオキセタン)では、硬化誘導時間がないので「c」は意味をもたない。しかしながら、それにもかかわらずモデルの完全性を期すために値を本明細書に報告する。変数「a」は、使用した硬化条件下におけるプラトー転化率として使用され、成分が転化された全体的漸近範囲を表す。変数「b」は、式T
95=ln(.05/b)により「a」の95%プラトー転化率(T95)の時間を計算するために使用した。各サンプルに対する変数「a」、「b」、および「c」、さらにはT
95は、必要に応じて(かつ利用可能な場合)、表6、7、8、および9に記載する。
【0168】
【表10】
【0169】
【表11】
【0170】
【表12】
【0171】
【表13】
【0172】
【表14】
【0173】
結果の考察
分かるように、本発明に係る光開始パッケージを利用した場合、UV/vis条件に付して得られるハイブリッド重合性組成物は、曲線当てはめT
95値、エポキシド転化率、エポキシド転化量、および/またはアクリレート転化量により測定したとき、UV/vis光学素子を利用する各種付加造形プロセスで使用するのに好適な硬化を呈する。
【0174】
[追加の例示的な実施形態]
本発明の第1の追加の例示的な実施形態の第1の態様は、
(a)以下:
オニウム塩カチオン光開始剤と、
ノリッシュI型光開始剤と、
任意選択的に、オニウム塩カチオン光開始剤を光増感するための光増感剤と、
を含む光開始パッケージと、
(b)以下:
任意選択的に環式脂肪族エポキシドと、
任意選択的にグリシジルエーテルエポキシドと、
任意選択的にオキセタンと、
を含むカチオン硬化性構成要素と、
(c)フリーラジカル重合性成分と、
(d)ビニル基に結合された電子供与性置換基を有する成分と、
(e)1種以上の添加剤と、
を含む付加造形用放射線硬化性組成物である。
【0175】
第1の例示的な実施形態の追加の態様は、カチオン光開始剤がヨードニウム塩カチオン光開始剤である、本発明の第1の例示的な実施形態の先の態様のいずれかに記載の付加造形用放射線硬化性組成物である。
【0176】
第1の例示的な実施形態の追加の態様は、環式脂肪族エポキシド、グリシジルエーテルエポキシド、およびオキセタンの少なくとも1つが任意選択的でない、本発明の第1の例示的な実施形態の先の態様のいずれかに記載の付加造形用放射線硬化性組成物である。
【0177】
第1の例示的な実施形態の追加の態様は、環式脂肪族エポキシド、グリシジルエーテルエポキシド、およびオキセタンの少なくとも2つが任意選択的でない、本発明の第1の例示的な実施形態の先の態様のいずれかに記載の付加造形用放射線硬化性組成物である。
【0178】
第1の例示的な実施形態の追加の態様は、環式脂肪族エポキシド、グリシジルエーテルエポキシド、およびオキセタンが、それぞれ、任意選択的でない、本発明の第1の例示的な実施形態の先の態様のいずれかに記載の付加造形用放射線硬化性組成物である。
【0179】
第1の例示的な実施形態の追加の態様は、ビニル基に結合された電子供与性置換基を有している成分が0.5wt.%〜20wt.%、または1.0wt.%〜15wt.%、または1.5wt.%〜10wt.%、または2.5wt.%〜8wt.%、または3wt.%〜5wt.%の量で存在する、本発明の第1の例示的な実施形態の先の態様のいずれかに記載の付加造形用放射線硬化性組成物である。
【0180】
第1の例示的な実施形態の追加の態様は、ノリッシュI型光開始剤が、化学線露光により励起されると三重項状態になるように構成され、前記励起三重項状態が、約4.15eV未満、より好ましくは3.98eV、より好ましくは3.90eV未満、より好ましくは3.80eV未満、より好ましくは3.70eV未満、より好ましくは3.55eV未満のイオン化ポテンシャルを有し、イオン化ポテンシャルが、クープマンズの定理(IP=−ε
HOMO)と組み合わせてB3LYP/6−31G(d)に基づく分子モデリングにより計算される、本発明の第1の例示的な実施形態の先の態様のいずれかに記載の付加造形用放射線硬化性組成物である。
【0181】
第1の例示的な実施形態の追加の態様は、ノリッシュI型光開始剤が、化学線露光により励起されると三重項状態になるように構成され、前記励起三重項状態が、少なくとも2.5eV、より好ましくは少なくとも3.0eVのイオン化ポテンシャルを有し、イオン化ポテンシャルが、クープマンズの定理(IP=−ε
HOMO)と組み合わせてB3LYP/6−31G(d)に基づく分子モデリングにより計算される、本発明の第1の例示的な実施形態の先の態様のいずれかに記載の付加造形用放射線硬化性組成物である。
【0182】
第1の例示的な実施形態の追加の態様は、ノリッシュI型光開始剤がまた、ヨードニウム塩カチオン光開始剤を光増感するための光増感剤でもある、本発明の第1の例示的な実施形態の先の態様のいずれかに記載の付加造形用放射線硬化性組成物である。
【0183】
第1の例示的な実施形態の追加の態様は、ノリッシュI型光開始剤が、アルキル置換、アリール置換、またはアシル置換である、本発明の第1の例示的な実施形態の先の態様のいずれかに記載の付加造形用放射線硬化性組成物である。
【0184】
第1の例示的な実施形態の追加の態様は、アルキル置換、アリール置換、またはアシル置換のノリッシュI型光開始剤が、第14族原子を有するまたはそれを中心とする化合物を含む、本発明の第1の例示的な実施形態の先の態様のいずれかに記載の付加造形用放射線硬化性組成物である。
【0185】
第1の例示的な実施形態の追加の態様は、アルキル置換、アリール置換、またはアシル置換のノリッシュI型光開始剤が、ケイ素、ゲルマニウム、スズ、および鉛からなる群から選択される原子を有する化合物を含む、本発明の第1の例示的な実施形態の先の態様のいずれかに記載の付加造形用放射線硬化性組成物である。
【0186】
第1の例示的な実施形態の追加の態様は、ノリッシュI型光開始剤がアシルゲルマニウム化合物である、本発明の第1の例示的な実施形態の先の態様のいずれかに記載の付加造形用放射線硬化性組成物である。
【0187】
第1の例示的な実施形態の追加の態様は、アシルゲルマニウム化合物が、次式(I):
【化9】
(式中、Ar
1は、置換されていないか、あるいは1個以上のアルキル基、エーテル基、スルフィド基、シリル基、ハロゲン、カルボキシル基、ビニル基、追加の芳香族基もしくはヘテロ環式基、アルキル基、または1個以上のエーテル基、スルフィド基、シリル基、カルボキシル基、もしくはビニル基が介在する芳香族基もしくはヘテロ環式基により任意の位置がさらに置換されたか、のいずれかの芳香族基であり、かつR
1、R
2、およびR
3は、独立して、置換されていないか、あるいは1個以上のアルキル基、エーテル基、スルフィド基、シリル基、ハロゲン、カルボキシル基、ビニル基、追加の芳香族基もしくはヘテロ環式基、アルキル基、または1個以上のエーテル基、スルフィド基、シリル基、カルボキシル基、もしくはビニル基が介在する芳香族基もしくはヘテロ環式基によりさらに置換されたか、のいずれかの、アシル基、アリール基、アルキル基、またはカルボニル基である)
で示される構造を有する、本発明の第1の例示的な実施形態の先の態様のいずれかに記載の付加造形用放射線硬化性組成物である。
【0188】
第1の例示的な実施形態の追加の態様は、R
1〜R
3のそれぞれが、アリール置換もしくは芳香族のアシル基であり、またはR
1〜R
3の厳密に2つがアリール置換もしくは芳香族のアシル基である場合、残りの置換基がC
1〜C
10、より好ましくはC
1〜C
6、より好ましくはC
1〜C
3アルキルであり、またはR
1〜R
3の厳密に1つがアリール置換もしくは芳香族のアシル基である場合、残りの2つの置換基がC
1〜C
10、より好ましくはC
1〜C
6、より好ましくはC
1〜C
3アルキルであり、またはR
1〜R
3のそれぞれがC
1〜C
10、より好ましくはC
1〜C
6、より好ましくはC
1〜C
3アルキルである、本発明の第1の例示的な実施形態の先に記載の態様に記載の付加造形用放射線硬化性組成物である。
【0189】
第1の例示的な実施形態の追加の態様は、アシルゲルマニウム化合物が、
【化10】
からなる群から選択される化合物である、本発明の第1の例示的な実施形態の先の態様のいずれかに記載の付加造形用放射線硬化性組成物である。
【0190】
第1の例示的な実施形態の追加の態様は、ノリッシュI型光開始剤が、化学線で露光するとラジカルを生成するように構成される、本発明の第1の例示的な実施形態の先の態様のいずれかに記載の付加造形用放射線硬化性組成物である。
【0191】
第1の例示的な実施形態の追加の態様は、ノリッシュI型光開始剤から生成されるラジカルが、クープマンズの定理(IP=−ε
HOMO)と組み合わせてB3LYP/6−31G(d)に基づく分子モデリングにより計算したとき、5.50eV以下、より好ましくは5.00eV未満、より好ましくは4.80eV未満の計算イオン化ポテンシャルを有する、本発明の第1の例示的な実施形態の先の態様のいずれかに記載の付加造形用放射線硬化性組成物である。
【0192】
第1の例示的な実施形態の追加の態様は、ノリッシュI型光開始剤から生成されるラジカルが、クープマンズの定理(IP=−ε
HOMO)と組み合わせてB3LYP/6−31G(d)に基づく分子モデリングにより計算したとき、少なくとも4.05eVの計算イオン化ポテンシャルを有する、本発明の第1の例示的な実施形態の先の態様のいずれかに記載の付加造形用放射線硬化性組成物である。
【0193】
第1の例示的な実施形態の追加の態様は、ヨードニウム塩カチオン光開始剤と、ビニル基に結合された電子供与性置換基を有する成分と、のモル比が、2:1〜1:50、より好ましくは1:1〜1:30、または1:2〜1:20、または1:5〜1:10である、本発明の第1の例示的な実施形態の先の態様のいずれかに記載の付加造形用放射線硬化性組成物である。
【0194】
第1の例示的な実施形態の追加の態様は、ノリッシュI型光開始剤と、ビニル基に結合された電子供与性置換基を有する成分と、のモル比が、2:1〜1:50、より好ましくは1:1〜1:30、または1:2〜1:20、または1:5〜1:10である、本発明の第1の例示的な実施形態の先の態様のいずれかに記載の付加造形用放射線硬化性組成物である。
【0195】
第1の例示的な実施形態の追加の態様は、ヨードニウム塩カチオン光開始剤と、ノリッシュI型光開始剤と、のモル比が、1:4〜4:1、より好ましくは1:2〜2:1、または3:4〜4:3である、本発明の第1の例示的な実施形態の先の態様のいずれかに記載の付加造形用放射線硬化性組成物である。
【0196】
第1の例示的な実施形態の追加の態様は、光開始剤パッケージが、光開始剤パッケージの全重量を基準にして、以下:
25wt.%〜33wt.%のヨードニウム塩カチオン光開始剤と、
10wt.%〜25wt.%のノリッシュI型光開始剤と、
33wt.%〜66wt.%のビニル基に結合された電子供与性置換基と、
を含有する、本発明の第1の例示的な実施形態の先の態様のいずれかに記載の付加造形用放射線硬化性組成物である。
【0197】
第1の例示的な実施形態の追加の態様は、ビニル基に結合された電子供与性置換基を有する成分が、6.58eV以下、より好ましくは5.42eV未満、4.89eV未満、より好ましくは4.30eV未満、最も好ましくは4.20eV未満のイオン化ポテンシャルを有するビニル系ラジカルを生成するように構成され、イオン化ポテンシャルが、クープマンズの定理(IP=−ε
HOMO)と組み合わせてB3LYP/6−31G(d)に基づく分子モデリングにより計算される、本発明の第1の例示的な実施形態の先の態様のいずれかに記載の付加造形用放射線硬化性組成物である。
【0198】
第1の例示的な実施形態の追加の態様は、ビニル基に結合された電子供与性置換基を有する成分が、少なくとも3.3eV、より好ましくは少なくとも3.5eV、より好ましくは少なくとも3.8eVのイオン化ポテンシャルを有するビニル系ラジカルを生成するように構成され、イオン化ポテンシャルが、クープマンズの定理(IP=−ε
HOMO)と組み合わせてB3LYP/6−31G(d)に基づく分子モデリングにより計算される、本発明の第1の例示的な実施形態の先の態様のいずれかに記載の付加造形用放射線硬化性組成物である。
【0199】
第1の例示的な実施形態の追加の態様は、ノリッシュI型光開始剤が、ビニル基に結合された電子供与性置換基を有する成分への付加速度が約10
4M
−1・s
−1超、より好ましくは約10
5M
−1・s−1超、最も好ましくは約3×10
5M
−1・s
−1超のラジカルを生成するように構成される、本発明の第1の例示的な実施形態の先の態様のいずれかに記載の付加造形用放射線硬化性組成物である。
【0200】
第1の例示的な実施形態の追加の態様は、本発明の第1の例示的な実施形態の先の態様のいずれかに記載の付加造形用放射線硬化性組成物である。ビニル基に結合された電子供与性置換基を有する成分が摂氏25度で液体である、
【0201】
第1の例示的な実施形態の追加の態様は、ノリッシュI型光開始剤が、ビニル基に結合された電子供与性置換基を有する成分からなる溶媒に予備溶解される、本発明の第1の例示的な実施形態の先の態様のいずれかに記載の付加造形用放射線硬化性組成物である。
【0202】
第1の例示的な実施形態の追加の態様は、ビニル基に結合された電子供与性置換基を有する成分が、ビニルエーテル、ビニルエステル、ビニルチオエーテル、n−ビニルカルバゾール、n−ビニルピロリドン、n−ビニルカプロラクタム、アリルエーテル、およびビニルカーボネートからなる群から選択される、本発明の第1の例示的な実施形態の先の態様のいずれかに記載の付加造形用放射線硬化性組成物である。
【0203】
第1の例示的な実施形態の追加の態様は、ビニル基に結合された電子供与性置換基を有する成分が多官能性である、本発明の第1の例示的な実施形態の先の態様のいずれかに記載の付加造形用放射線硬化性組成物である。
【0204】
第1の例示的な実施形態の追加の態様は、ビニル基に結合された電子供与性置換基を有する成分がビニルエーテルである、本発明の第1の例示的な実施形態の先の態様のいずれかに記載の付加造形用放射線硬化性組成物である。
【0205】
第1の例示的な実施形態の追加の態様は、光増感剤が任意選択的でなくかつ励起三重項状態を有する、本発明の第1の例示的な実施形態の先の態様のいずれかに記載の付加造形用放射線硬化性組成物である。
【0206】
第1の例示的な実施形態の追加の態様は、光増感剤の励起三重項状態が、約4.15eV未満、より好ましくは約3.98eV未満、より好ましくは3.90eV未満、より好ましくは3.80eV未満、より好ましくは3.70eV未満、より好ましくは3.55eV未満のイオン化ポテンシャルを有し、イオン化ポテンシャルが、クープマンズの定理(IP=−ε
HOMO)と組み合わせてB3LYP/6−31G(d)に基づく分子モデリングにより計算される、本発明の第1の例示的な実施形態の先の態様のいずれかに記載の付加造形用放射線硬化性組成物である。
【0207】
第1の例示的な実施形態の追加の態様は、光増感剤の励起三重項状態が、クープマンズの定理(IP=−ε
HOMO)と組み合わせてB3LYP/6−31G(d)に基づく分子モデリングによりイオン化ポテンシャルを計算したとき、約2.5eV超、より好ましくは少なくとも約3.0eVのイオン化ポテンシャルを有する、本発明の第1の例示的な実施形態の先の態様のいずれかに記載の付加造形用放射線硬化性組成物である。
【0208】
第1の例示的な実施形態の追加の態様は、光増感剤の励起三重項状態のイオン化ポテンシャルが、ノリッシュI型光開始剤の励起三重項状態のイオン化ポテンシャルよりも大きい、本発明の第1の例示的な実施形態の先の態様のいずれかに記載の付加造形用放射線硬化性組成物である。
【0209】
第1の例示的な実施形態の追加の態様は、ノリッシュI型光開始剤が全組成物を基準にして光増感剤よりも大きい重量で存在する、本発明の第1の例示的な実施形態の先の態様のいずれかに記載の付加造形用放射線硬化性組成物である。
【0210】
第1の例示的な実施形態の追加の態様は、オキセタンが単官能性でありかつ追加的にヒドロキシル基を有する、本発明の第1の例示的な実施形態の先の態様のいずれかに記載の付加造形用放射線硬化性組成物である。
【0211】
第1の例示的な実施形態の追加の態様は、環式脂肪族エポキシド構成要素が、次式:
【化11】
(式中、Rは、炭素原子またはエステル含有C
1〜C
10脂肪族鎖である)
で示される構造を有する、本発明の第1の例示的な実施形態の先の態様のいずれかに記載の付加造形用放射線硬化性組成物である。
【0212】
第1の例示的な実施形態の追加の態様は、グリシジルエーテルエポキシが、ビスフェノールA系グリシジルエーテル、ビスフェノールS系グリシジルエーテル、およびビスフェノールF系グリシジルエーテルからなる群から選択される、本発明の第1の例示的な実施形態の先の態様のいずれかに記載の付加造形用放射線硬化性組成物である。
【0213】
第1の例示的な実施形態の追加の態様は、ヨードニウム塩カチオン光開始剤がジフェニルヨードニウム塩である、本発明の第1の例示的な実施形態の先の態様のいずれかに記載の付加造形用放射線硬化性組成物である。
【0214】
第1の例示的な実施形態の追加の態様は、ジフェニルヨードニウム塩が、(4−メチルフェニル)[4−(2−メチルプロピル)フェニル]−,ヘキサフルオロホスフェート、[4−(1−メチルエチル)フェニル](4−メチルフェニル)−,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(1−)、(ビス(4−ドデシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルロランチモネート)、および(ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート)からなる群から選択される、本発明の第1の例示的な実施形態の先の態様のいずれかに記載の付加造形用放射線硬化性組成物である。
【0215】
第1の例示的な実施形態の追加の態様は、400nmにピークスペクトル出力を有する放射線を放出するUV/vis光学素子でかつ10秒間にわたる2mW/cm
2の放射線硬化性組成物表面への照射量で放射線硬化性組成物を露光したとき、以下:
200秒で少なくとも約60%、より好ましくは少なくとも約65%、より好ましくは少なくとも約70%の環式脂肪族エポキシド転化率、
が達成される、本発明の第1の例示的な実施形態の先の態様のいずれかに記載の付加造形用放射線硬化性組成物である。
【0216】
第1の例示的な実施形態の追加の態様は、400nmにピークスペクトル出力を有する放射線を放出するUV/vis光学素子でかつ10秒間にわたる2mW/cm
2の放射線硬化性組成物表面への照射量で放射線硬化性組成物を露光したとき、以下:
約100秒未満、より好ましくは約90秒未満、より好ましくは約80秒未満、より好ましくは約70秒未満、より好ましくは約60秒未満の環式脂肪族エポキシドT
95値、
が達成される、本発明の第1の例示的な実施形態の先の態様のいずれかに記載の付加造形用放射線硬化性組成物である。
【0217】
第1の例示的な実施形態の追加の態様は、400nmにピークスペクトル出力を有する放射線を放出するUV/vis光学素子でかつ10秒間にわたる2mW/cm
2の放射線硬化性組成物表面への照射量で放射線硬化性組成物を露光したとき、以下:
初期12秒間の最小二乗当てはめで少なくとも約1.25s
−1、より好ましくは少なくとも約1.65s
−1、より好ましくは少なくとも約2.00s
−1の環式脂肪族エポキシド転化速度、
が達成される、本発明の第1の例示的な実施形態の先の態様のいずれかに記載の付加造形用放射線硬化性組成物である。
【0218】
第1の例示的な実施形態の追加の態様は、400nmにピークスペクトル出力を有する放射線を放出するUV/vis光学素子でかつ10秒間にわたる2mW/cm
2の放射線硬化性組成物表面への照射量で放射線硬化性組成物を露光したとき、以下:
200秒で少なくとも約95%、より好ましくは約100%のアクリレート転化率、
が達成される、本発明の第1の例示的な実施形態の先の態様のいずれかに記載の付加造形用放射線硬化性組成物である。
【0219】
第1の例示的な実施形態の追加の態様は、光開始パッケージが、
単一のヨードニウム塩カチオン光開始剤と、
励起三重項状態を有する単一のノリッシュI型光開始剤と、
単一の光増感剤と、
ビニル基に結合された電子供与性置換基を有する単一の成分と、
から本質的になる、本発明の第1の例示的な実施形態の先の態様のいずれかに記載の付加造形用放射線硬化性組成物である。
【0220】
第1の例示的な実施形態の追加の態様は、光開始パッケージが、
単一のヨードニウム塩カチオン光開始剤と、
励起三重項状態を有する単一のノリッシュI型光開始剤と、
ビニル基に結合された電子供与性置換基を有する単一の成分と、
から本質的になる、本発明の第1の例示的な実施形態の先の態様のいずれかに記載の付加造形用放射線硬化性組成物である。
【0221】
第1の例示的な実施形態の追加の態様は、組成物が、
2つの先行クレームのいずれかの光開始パッケージと、
単一の環式脂肪族エポキシド成分と、
単一のグリシジルエーテルエポキシド成分と、
単一のオキセタン成分と、
1種以上のフリーラジカル重合性化合物と、
から本質的になる、本発明の第1の例示的な実施形態の先の態様のいずれかに記載の付加造形用放射線硬化性組成物である。
【0222】
本発明の第2の追加の例示的な実施形態の第1の態様は、
以下:
オニウム塩カチオン光開始剤と、
25Cで液体であるビニルエーテル化合物に溶解させた有効量のノリッシュI型光開始剤を含む還元剤と、
任意選択的に光増感剤と、
を含む光開始パッケージと、
カチオン重合性構成要素と、
フリーラジカル重合性成分と、
任意選択的に1種以上の添加剤と、
を含む付加造形用液状放射線硬化性組成物である。
【0223】
第2の例示的な実施形態の追加の態様は、オニウム塩カチオン光開始剤が不活性希釈剤に溶解される、本発明の第2の例示的な実施形態の先の態様に記載の付加造形用液状放射線硬化性組成物である。
【0224】
第2の例示的な実施形態の追加の態様は、不活性希釈剤がプロピレンカーボネートを含む、本発明の第2の例示的な実施形態の先の態様のいずれかに記載の付加造形用液状放射線硬化性組成物である。
【0225】
第2の例示的な実施形態の追加の態様は、ノリッシュI型光開始剤が、クープマンズの定理(IP=−ε
HOMO)と組み合わせてB3LYP/6−31G(d)に基づく分子モデリングにより計算したとき、5.50eV以下、より好ましくは5.00eV未満、より好ましくは4.80eV未満の計算イオン化ポテンシャルを有するラジカルを生成可能である、本発明の第2の例示的な実施形態の先の態様のいずれかに記載の付加造形用液状放射線硬化性組成物である。
【0226】
第2の例示的な実施形態の追加の態様は、ノリッシュI型光開始剤が、少なくとも4.05eVの計算イオン化ポテンシャルを有するラジカルを生成可能である、本発明の第2の例示的な実施形態の先の態様のいずれかに記載の付加造形用液状放射線硬化性組成物である。
【0227】
第2の例示的な実施形態の追加の態様は、ノリッシュI型光開始剤が三重項状態になることが可能であり、前記三重項状態が、約4.15eV未満、より好ましくは3.98eV未満、より好ましくは3.90eV未満、より好ましくは3.80eV未満、より好ましくは3.70eV未満、より好ましくは3.55eV未満のイオン化ポテンシャルを有し、イオン化ポテンシャルが、クープマンズの定理(IP=−ε
HOMO)と組み合わせてB3LYP/6−31G(d)に基づく分子モデリングにより計算される、本発明の第2の例示的な実施形態の先の態様のいずれかに記載の付加造形用液状放射線硬化性組成物である。
【0228】
第2の例示的な実施形態の追加の態様は、ノリッシュI型光開始剤が三重項状態になることが可能であり、前記三重項状態が、少なくとも2.5eV、より好ましくは少なくとも3.0eVのイオン化ポテンシャルを有し、イオン化ポテンシャルが、クープマンズの定理(IP=−ε
HOMO)と組み合わせてB3LYP/6−31G(d)に基づく分子モデリングにより計算される、本発明の第2の例示的な実施形態の先の態様のいずれかに記載の付加造形用液状放射線硬化性組成物である。
【0229】
第2の例示的な実施形態の追加の態様は、ノリッシュI型光開始剤が、全組成物を基準にして重量基準で0.1wt.%〜約10wt.%、より好ましくは約0.3wt.%〜約5wt.%、より好ましくは約0.5wt.%〜約3wt.%の量で存在する、本発明の第2の例示的な実施形態の先の態様のいずれかに記載の付加造形用液状放射線硬化性組成物である。
【0230】
第2の例示的な実施形態の追加の態様は、還元剤が、6.58eV以下、より好ましくは5.42eV未満、4.89eV未満、より好ましくは4.30eV未満、最も好ましくは4.20eV未満の計算イオン化ポテンシャルを有するラジカルを生成可能である、イオン化ポテンシャルが、クープマンズの定理(IP=−ε
HOMO)と組み合わせてB3LYP/6−31G(d)に基づく分子モデリングにより計算される、本発明の第2の例示的な実施形態の先の態様のいずれかに記載の付加造形用液状放射線硬化性組成物である。
【0231】
第2の例示的な実施形態の追加の態様は、還元剤が、6.58eV以下、より好ましくは5.42eV未満、4.89eV未満、より好ましくは4.30eV未満、最も好ましくは4.20eV未満の計算イオン化ポテンシャルを有するラジカルを生成可能であり、イオン化ポテンシャルが、クープマンズの定理(IP=−ε
HOMO)と組み合わせてB3LYP/6−31G(d)に基づく分子モデリングにより計算される、本発明の第2の例示的な実施形態の先の態様のいずれかに記載の付加造形用液状放射線硬化性組成物である。
【0232】
第2の例示的な実施形態の追加の態様は、ノリッシュI型光開始剤により生成可能なラジカルが、ビニルエーテルに対して約10
4M
−1・s
−1超、より好ましくは約10
5M
−1・s
−1超、最も好ましくは約3×10
5M
−1・s
−1超の付加速度を有する、本発明の第2の例示的な実施形態の先の態様のいずれかに記載の付加造形用液状放射線硬化性組成物である。
【0233】
第2の例示的な実施形態の追加の態様は、ラジカルを生成可能なノリッシュI型光開始剤が、アルキル置換、アリール置換、またはアシル置換である、本発明の第2の例示的な実施形態の先の態様のいずれかに記載の付加造形用液状放射線硬化性組成物である。
【0234】
第2の例示的な実施形態の追加の態様は、生成したラジカルが、オニウム塩カチオン光開始剤を還元するための還元剤である、本発明の第2の例示的な実施形態の先の態様のいずれかに記載の付加造形用液状放射線硬化性組成物である。
【0235】
第2の例示的な実施形態の追加の態様は、ノリッシュI型光開始剤が、第14族の元素からなる群から、好ましくは、ケイ素、ゲルマニウム、スズ、および鉛からなる群から、選択される原子を有する化合物から本質的になる、本発明の第2の例示的な実施形態の先の態様のいずれかに記載の付加造形用液状放射線硬化性組成物である。
【0236】
第2の例示的な実施形態の追加の態様は、ノリッシュI型光開始剤がアシルゲルマニウム化合物から本質的になる、本発明の第2の例示的な実施形態の先の態様のいずれかに記載の付加造形用液状放射線硬化性組成物である。
【0237】
第2の例示的な実施形態の追加の態様は、アシルゲルマニウム化合物が、次式(1):
【化12】
(式中、Ar
1は、置換されていないか、あるいは1個以上のアルキル基、エーテル基、スルフィド基、シリル基、ハロゲン、カルボキシル基、ビニル基、追加の芳香族基もしくはヘテロ環式基、アルキル基、または1個以上のエーテル基、スルフィド基、シリル基、カルボキシル基、もしくはビニル基が介在する芳香族基もしくはヘテロ環式基により任意の位置がさらに置換されたか、のいずれかの芳香族基であり、かつR
1、R
2、およびR
3は、独立して、置換されていないか、あるいは1個以上のアルキル基、エーテル基、スルフィド基、シリル基、ハロゲン、カルボキシル基、ビニル基、追加の芳香族基もしくはヘテロ環式基、アルキル基、または1個以上のエーテル基、スルフィド基、シリル基、カルボキシル基、もしくはビニル基が介在する芳香族基もしくはヘテロ環式基によりさらに置換されたか、のいずれかの、アシル基、アリール基、アルキル基、またはカルボニル基である)
により表される化合物から本質的になる、本発明の第2の例示的な実施形態の先の態様のいずれかに記載の付加造形用液状放射線硬化性組成物である。
【0238】
第2の例示的な実施形態の追加の態様は、R
1〜R
3のそれぞれが、アリール置換もしくは芳香族のアシル基であり、またはR
1〜R
3の厳密に2つがアリール置換もしくは芳香族のアシル基である場合、残りの置換基がC
1〜C
10、より好ましくはC
1〜C
6、より好ましくはC
1〜C
3アルキルであり、またはR
1〜R
3の厳密に1つがアリール置換もしくは芳香族のアシル基である場合、残りの2つの置換基がC
1〜C
10、より好ましくはC
1〜C
6、より好ましくはC
1〜C
3アルキルであり、またはR
1〜R
3のそれぞれがC
1〜C
10、より好ましくはC
1〜C
6、より好ましくはC
1〜C
3アルキルである、本発明の第2の例示的な実施形態の先に記載の態様に記載の付加造形用液状放射線硬化性組成物である。
【0239】
第2の例示的な実施形態の追加の態様は、アシルゲルマニウム化合物が、次の分子構造:
【化13】
のいずれかを有する化合物から本質的になる、本発明の第2の例示的な実施形態の先の態様のいずれかに記載の付加造形用液状放射線硬化性組成物である。
【0240】
第2の例示的な実施形態の追加の態様は、全組成物の重量を基準にして0.5wt.%〜20wt.%または1.0wt.%〜15wt.%または1.5wt.%〜10wt.%または2.5wt.%〜8wt.%または3wt.%〜5wt.%のビニルエーテル化合物が存在する、本発明の第2の例示的な実施形態の先の態様のいずれかに記載の付加造形用液状放射線硬化性組成物である。
【0241】
第2の例示的な実施形態の追加の態様は、全組成物の重量を基準にして15wt.%未満、より好ましくは10wt.%未満、より好ましくは5wt.%未満のビニルエーテル化合物が存在する、本発明の第2の例示的な実施形態の先の態様のいずれかに記載の付加造形用液状放射線硬化性組成物である。
【0242】
第1の例示的な実施形態の追加の態様は、オニウム塩カチオン光開始剤と還元剤とのモル比が、1:1〜1:50、より好ましくは3:4〜1:20または1:2〜1:15または1:3〜1:8である、本発明の第2の例示的な実施形態の先の態様のいずれかに記載の付加造形用放射線硬化性組成物である。
【0243】
第1の例示的な実施形態の追加の態様は、ノリッシュI型光開始剤の還元剤とビニルエーテル化合物とのモル比が、1:1〜1:50、より好ましくは2:3〜1:30または1:2〜1:20または1:5〜1:10である、本発明の第2の例示的な実施形態の先の態様のいずれかに記載の付加造形用放射線硬化性組成物である。
【0244】
第2の例示的な実施形態の追加の態様は、ビニルエーテル化合物がトリエチレングリコールジビニルエーテルを含む、本発明の第2の例示的な実施形態の先の態様のいずれかに記載の付加造形用液状放射線硬化性組成物である。
【0245】
第2の例示的な実施形態の追加の態様は、カチオン硬化性構成要素が、
環式脂肪族エポキシドと、
グリシジルエーテルエポキシドと、
オキセタンと、
を含む、本発明の第2の例示的な実施形態の先の態様のいずれかに記載の付加造形用液状放射線硬化性組成物である。
【0246】
第2の例示的な実施形態の追加の態様は、オキセタンが単官能性でありかつ追加的にヒドロキシル基を有する、本発明の第2の例示的な実施形態の先の態様のいずれかに記載の付加造形用液状放射線硬化性組成物である。
【0247】
第2の例示的な実施形態の追加の態様は、環式脂肪族エポキシドが3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートから本質的になる、本発明の第2の例示的な実施形態の先の態様のいずれかに記載の付加造形用液状放射線硬化性組成物である。
【0248】
第2の例示的な実施形態の追加の態様は、グリシジルエーテルエポキシド成分が、ビスフェノールA系グリシジルエーテル、ビスフェノールS系グリシジルエーテル、およびビスフェノールF系グリシジルエーテルからなる群から選択される、本発明の第2の例示的な実施形態の先の態様のいずれかに記載の付加造形用液状放射線硬化性組成物である。
【0249】
第2の例示的な実施形態の追加の態様は、カチオン硬化性構成要素がビニルエーテル化合物を実質的に含まない、本発明の第2の例示的な実施形態の先の態様のいずれかに記載の付加造形用液状放射線硬化性組成物である。
【0250】
第2の例示的な実施形態の追加の態様は、光開始パッケージが、
単一のオニウム塩カチオン光開始剤と、
25Cで液体である単一のビニルエーテル化合物に溶解させた単一のノリッシュI型光開始剤を有する単一の還元剤と、
任意選択的に光増感剤と、
から本質的になる、本発明の第2の例示的な実施形態の先の態様のいずれかに記載の付加造形用液状放射線硬化性組成物である。
【0251】
第2の例示的な実施形態の追加の態様は、組成物が、
先行クレームの光開始パッケージと、
単一の環式脂肪族エポキシド成分と、
単一のグリシジルエーテルエポキシド成分と、
単一のオキセタン成分と、
1種以上のフリーラジカル重合性化合物と、
から本質的になる、本発明の第2の例示的な実施形態の先の態様のいずれかに記載の付加造形用液状放射線硬化性組成物である。
【0252】
第2の例示的な実施形態の追加の態様は、400nmにピークスペクトル出力を有する放射線を放出するUV/vis光学素子でかつ10秒間にわたる2mW/cm
2の液状放射線硬化性組成物表面への照射量で液状放射線硬化性組成物を露光したとき、以下:
約100秒未満、より好ましくは約90秒未満、より好ましくは約80秒未満、より好ましくは約70秒未満、より好ましくは約60秒未満の環式脂肪族エポキシドT
95値、
が達成される、本発明の第2の例示的な実施形態の先の態様のいずれかに記載の付加造形用液状放射線硬化性組成物である。
【0253】
第2の例示的な実施形態の追加の態様は、400nmにピークスペクトル出力を有する放射線を放出するUV/vis光学素子でかつ10秒間にわたる2mW/cm
2の液状放射線硬化性組成物表面への照射量で液状放射線硬化性組成物を露光したとき、以下:
200秒で少なくとも約60%、より好ましくは少なくとも約65%、より好ましくは少なくとも約70%の環式脂肪族エポキシド転化率、
が達成される、本発明の第2の例示的な実施形態の先の態様のいずれかに記載の付加造形用液状放射線硬化性組成物である。
【0254】
第2の例示的な実施形態の追加の態様は、400nmにピークスペクトル出力を有する放射線を放出するUV/vis光学素子でかつ10秒間にわたる2mW/cm
2の液状UV/vis線硬化性組成物表面への照射量で液状放射線硬化性組成物を露光したとき、以下:
初期12秒間の最小二乗当てはめで少なくとも約1.25s
−1、より好ましくは少なくとも約1.65s
−1、より好ましくは少なくとも約2.00s
−1の環式脂肪族エポキシド転化速度、
が達成される、本発明の第2の例示的な実施形態の先の態様のいずれかに記載の付加造形用液状放射線硬化性組成物である。
【0255】
第2の例示的な実施形態の追加の態様は、400nmにピークスペクトル出力を有する放射線を放出するUV/vis光学素子でかつ10秒間にわたる2mW/cm
2の液状UV/vis線硬化性組成物表面への照射量で液状放射線硬化性組成物を露光したとき、以下:
200秒で少なくとも約95%、より好ましくは約100%のアクリレート転化率、
が達成される、本発明の第2の例示的な実施形態の先の態様のいずれかに記載の付加造形用液状放射線硬化性組成物である。
【0256】
本発明の第3の追加の例示的な実施形態の第1の態様は、
すべての重量パーセントが全組成物の重量を基準にして列挙されるものとして、
(a)以下:
0.1wt.%〜15wt.%のヨードニウム塩カチオン光開始剤と、
0.1wt.%〜5wt.%のノリッシュI型光開始剤と、
0.5%超、好ましくは1.0%超、好ましくは1.5%超、好ましくは2.5%超、好ましくは3%超〜20wt.%、より好ましくは15wt.%、より好ましくは10wt.%、より好ましくは5wt.%〜20wt.%未満、より好ましくは15wt.%未満、より好ましくは10wt.%未満の促進剤と、
を含む光開始パッケージと、
(b)以下:
1wt.%〜20wt.%のオキセタンと、
3wt.%〜40wt.%の環式脂肪族エポキシドと、
2wt.%〜40wt.%のグリシジルエーテルエポキシドと、
を含むカチオン硬化性構成要素と、
(c)5wt.%〜約40wt%.のフリーラジカル重合性成分と、
(d)任意選択的に50wt.%までの1種以上の添加剤と、
を含む付加造形用液状UV/vis線硬化性組成物である。
【0257】
第3の例示的な実施形態の他の態様は、促進剤がビニル基を含有する、本発明の第3の例示的な実施形態の先の態様のいずれかに記載の付加造形用液状UV/vis線硬化性組成物である。
【0258】
第3の例示的な実施形態の他の態様は、400nmにピークスペクトル出力を有する放射線を放出するUV/vis光学素子でかつ10秒間にわたる2mW/cm
2の液状UV/vis線硬化性組成物表面への照射量で液状放射線硬化性組成物を露光したとき、以下:
約100秒未満、より好ましくは約90秒未満、より好ましくは約80秒未満、より好ましくは約70秒未満、より好ましくは約60秒未満の環式脂肪族エポキシドT
95値、
が達成される、本発明の第3の例示的な実施形態の先の態様のいずれかに記載の付加造形用液状UV/vis線硬化性組成物である。
【0259】
第3の例示的な実施形態の他の態様は、400nmにピークスペクトル出力を有する放射線を放出するUV/vis光学素子でかつ10秒間にわたる2mW/cm
2の液状UV/vis線硬化性組成物表面への照射量で液状放射線硬化性組成物を露光したとき、以下:
200秒で少なくとも約60%、より好ましくは少なくとも約65%、より好ましくは少なくとも約70%の環式脂肪族エポキシド転化率、
が達成される、本発明の第3の例示的な実施形態の先の態様のいずれかに記載の付加造形用液状UV/vis線硬化性組成物である。
【0260】
第3の例示的な実施形態の他の態様は、400nmにピークスペクトル出力を有する放射線を放出するUV/vis光学素子でかつ10秒間にわたる2mW/cm
2の液状UV/vis線硬化性組成物表面への照射量で液状放射線硬化性組成物を露光したとき、以下:
初期12秒間の最小二乗当てはめで少なくとも約1.25s
−1、より好ましくは少なくとも約1.65s
−1、より好ましくは少なくとも約2.00s
−1の環式脂肪族エポキシド転化速度、
が達成される、本発明の第3の例示的な実施形態の先の態様のいずれかに記載の付加造形用液状UV/vis線硬化性組成物である。
【0261】
第3の例示的な実施形態の他の態様は、400nmにピークスペクトル出力を有する放射線を放出するUV/vis光学素子でかつ10秒間にわたる2mW/cm
2の液状UV/vis線硬化性組成物表面への照射量で液状放射線硬化性組成物を露光したとき、以下:
200秒で少なくとも約95%、より好ましくは約100%のアクリレート転化率、
が達成される、本発明の第3の例示的な実施形態の先の態様のいずれかに記載の付加造形用液状UV/vis線硬化性組成物である。
【0262】
第1の例示的な実施形態の他の態様は、ヨードニウム塩カチオン光開始剤と促進剤とのモル比が、2:1〜1:50、より好ましくは1:1〜1:30または1:2〜1:20または1:5〜1:10である、本発明の第3の例示的な実施形態の先の態様のいずれかに記載の付加造形用放射線硬化性組成物である。
【0263】
第1の例示的な実施形態の他の態様は、ノリッシュI型光開始剤と促進剤とのモル比が、2:1〜1:50、より好ましくは1:1〜1:30または1:2〜1:20または1:5〜1:10である、本発明の第3の例示的な実施形態の先の態様のいずれかに記載の付加造形用放射線硬化性組成物である。
【0264】
第1の例示的な実施形態の他の態様は、ヨードニウム塩カチオン光開始剤と、ノリッシュI型光開始剤と、のモル比が、1:4〜4:1、より好ましくは1:2〜2:1、または3:4〜4:3である、本発明の第3の例示的な実施形態の先の態様のいずれかに記載の付加造形用放射線硬化性組成物である。
【0265】
第3の例示的な実施形態の他の態様は、促進剤がビニルエーテル化合物である、本発明の第3の例示的な実施形態の先の態様のいずれかに記載の付加造形用液状UV/vis線硬化性組成物である。
【0266】
第3の例示的な実施形態の他の態様は、樹脂の透過深さを制御するための光増感剤をさらに含む、本発明の第3の例示的な実施形態の先の態様のいずれかに記載の付加造形用液状UV/vis線硬化性組成物である。
【0267】
第3の例示的な実施形態の他の態様は、樹脂の透過深さを制御するための光増感剤が樹脂の硬化スピードに実質的に影響しない、本発明の第3の例示的な実施形態の先の態様のいずれかに記載の付加造形用液状UV/vis線硬化性組成物である。
【0268】
第3の例示的な実施形態の他の態様は、ヨードニウム塩が、(4−メチルフェニル)[4−(2−メチルプロピル)フェニル]−,ヘキサフルオロホスフェート、[4−(1−メチルエチル)フェニル](4−メチルフェニル)−,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(1−)、(ビス(4−ドデシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルロランチモネート)、および(ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート)からなる群から選択される、本発明の第3の例示的な実施形態の先の態様のいずれかに記載の付加造形用液状UV/vis線硬化性組成物である。
【0269】
第1の例示的な実施形態の追加の態様は、ノリッシュI型光開始剤が、アルキル置換、アリール置換、またはアシル置換であり、かつ第14族元素に属する原子を有する化合物を含む、本発明の第3の例示的な実施形態の先の態様のいずれかに記載の付加造形用放射線硬化性組成物である。
【0270】
第3の例示的な実施形態の他の態様は、ノリッシュI型光開始剤が、アルキル置換、アリール置換、またはアシル置換であり、かつケイ素、ゲルマニウム、スズ、および鉛からなる群から選択される原子を有する化合物を含む、本発明の第3の例示的な実施形態の先の態様のいずれかに記載の付加造形用液状UV/vis線硬化性組成物である。
【0271】
第3の例示的な実施形態の他の態様は、アルキル置換、アリール置換、またはアシル置換のノリッシュI型光開始剤がアシルゲルマニウム化合物である、本発明の第3の例示的な実施形態の先の態様のいずれかに記載の付加造形用液状UV/vis線硬化性組成物である。
【0272】
第3の例示的な実施形態の他の態様は、ノリッシュI型光開始剤が、組成物中に存在するすべてのノリッシュI型光開始剤の全重量を基準にして少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも94%、最も好ましくは少なくとも97重量%の量で、次式(I):
【化14】
(式中、Ar
1は、置換されていないか、あるいは1個以上のアルキル基、エーテル基、スルフィド基、シリル基、ハロゲン、カルボキシル基、ビニル基、追加の芳香族基もしくはヘテロ環式基、アルキル基、または1個以上のエーテル基、スルフィド基、シリル基、カルボキシル基、もしくはビニル基が介在する芳香族基もしくはヘテロ環式基により任意の位置がさらに置換されたか、のいずれかの芳香族基であり、かつR
1、R
2、およびR
3は、独立して、置換されていないか、あるいは1個以上のアルキル基、エーテル基、スルフィド基、シリル基、ハロゲン、カルボキシル基、ビニル基、追加の芳香族基もしくはヘテロ環式基、アルキル基、または1個以上のエーテル基、スルフィド基、シリル基、カルボキシル基、もしくはビニル基が介在する芳香族基もしくはヘテロ環式基によりさらに置換されたか、のいずれかの、アシル基、アリール基、アルキル基、またはカルボニル基である)
を満たすアシルゲルマニウム化合物を含む、本発明の第3の例示的な実施形態の先の態様のいずれかに記載の付加造形用液状UV/vis線硬化性組成物である。
【0273】
第3の例示的な実施形態の他の態様は、R
1〜R
3のそれぞれが、アリール置換もしくは芳香族のアシル基であり、またはR
1〜R
3の厳密に2つがアリール置換もしくは芳香族のアシル基である場合、残りの置換基がC
1〜C
10、より好ましくはC
1〜C
6、より好ましくはC
1〜C
3アルキルであり、またはR
1〜R
3の厳密に1つがアリール置換もしくは芳香族のアシル基である場合、残りの2つの置換基がC
1〜C
10、より好ましくはC
1〜C
6、より好ましくはC
1〜C
3アルキルであり、またはR
1〜R
3のそれぞれがC
1〜C
10、より好ましくはC
1〜C
6、より好ましくはC
1〜C
3アルキルである、本発明の第3の例示的な実施形態の先に記載の態様に記載の付加造形用液状UV/vis線硬化性組成物である。
【0274】
第3の例示的な実施形態の他の態様は、アシルゲルマニウム化合物が、組成物中に存在するすべてのアシルゲルマニウム化合物の全重量を基準にして少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも94%、最も好ましくは少なくとも97重量%の量で、次の化合物:
【化15】
の一方または両方を含む、本発明の第3の例示的な実施形態の先の態様のいずれかに記載の付加造形用液状UV/vis線硬化性組成物である。
【0275】
第3の例示的な実施形態の他の態様は、促進剤がビニル系ラジカルまたはエーテルラジカルを生成可能であり、前記ビニル系ラジカルまたはエーテルラジカルが、6.58eV以下、より好ましくは5.42eV未満、4.89未満eV、より好ましくは4.30eV未満、最も好ましくは4.20eV未満の計算イオン化ポテンシャルを有し、イオン化ポテンシャルが、クープマンズの定理(IP=−ε
HOMO)と組み合わせてB3LYP/6−31G(d)に基づく分子モデリングにより計算される、本発明の第3の例示的な実施形態の先の態様のいずれかに記載の付加造形用液状UV/vis線硬化性組成物である。
【0276】
第3の例示的な実施形態の他の態様は、ノリッシュI型光開始剤が、ビニルエーテルに対して10
4超、より好ましくは10
5超、最も好ましくは3×10
6以上の付加速度を有するラジカルを生成するように構成される、本発明の第3の例示的な実施形態の先の態様のいずれかに記載の付加造形用液状UV/vis線硬化性組成物である。
【0277】
第3の例示的な実施形態の他の態様は、組成物が、クープマンズの定理(IP=−ε
HOMO)と組み合わせて分子モデリングB3LYP/6−31G(d)に基づいてイオン化ポテンシャルを計算したとき、4.15eV未満または3.98eV未満または3.80eV未満または3,70eV未満または3.90eV未満または3.55eV未満のイオン化ポテンシャルを有する潜在的励起三重項状態を有するノリッシュI型光開始剤を、全組成物中に存在するノリッシュI型光開始剤のすべての重量を基準にして少なくとも50%、より好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%の量で含む、本発明の第3の例示的な実施形態の先の態様のいずれかに記載の付加造形用液状UV/vis線硬化性組成物である。
【0278】
第3の例示的な実施形態の他の態様は、組成物が、クープマンズの定理(IP=−ε
HOMO)と組み合わせて分子モデリングB3LYP/6−31G(d)に基づいてイオン化ポテンシャルを計算したとき、少なくとも2.5eV、より好ましくは少なくとも3.0eVのイオン化ポテンシャルを有する潜在的励起三重項状態を有するノリッシュI型光開始剤を、全組成物中に存在するノリッシュI型光開始剤のすべての重量を基準にして少なくとも50%、より好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%の量で含む、本発明の第3の例示的な実施形態の先の態様のいずれかに記載の付加造形用液状UV/vis線硬化性組成物である。
【0279】
第3の例示的な実施形態の他の態様は、組成物が、クープマンズの定理(IP=−ε
HOMO)と組み合わせて分子モデリングB3LYP/6−31G(d)に基づいてイオン化ポテンシャルを計算したとき、5.50eV以下、より好ましくは5.00eV未満、より好ましくは4.80eV未満の計算イオン化ポテンシャルを有する潜在的誘導体ラジカルを有するノリッシュI型光開始剤を、全組成物中に存在するノリッシュI型光開始剤のすべての重量を基準にして少なくとも50%、より好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%の量で含む、本発明の第3の例示的な実施形態の先の態様のいずれかに記載の付加造形用液状UV/vis線硬化性組成物である。
【0280】
本発明の第4の追加の例示的な実施形態の第1の態様は、全組成物の重量を基準にして、
0.1wt.%〜15wt.%または0.5wt.%〜約10wt.%または1wt.%〜8wt.%または2wt.%〜5wt.%のヨードニウム塩カチオン光開始剤と、
0.05wt.%〜15wt.%または0.1wt.%〜10wt.%または0.5wt.%〜8wt.%または1wt.%〜5wt.%の次式(I):
【化16】
(式中、Ar
1は、置換されていないか、あるいは1個以上のアルキル基、エーテル基、スルフィド基、シリル基、ハロゲン、カルボキシル基、ビニル基、追加の芳香族基もしくはヘテロ環式基、アルキル基、または1個以上のエーテル基、スルフィド基、シリル基、カルボキシル基、もしくはビニル基が介在する芳香族基もしくはヘテロ環式基により任意の位置がさらに置換されたか、のいずれかの芳香族基であり、かつR
1、R
2、およびR
3は、独立して、置換されていないか、あるいは1個以上のアルキル基、エーテル基、スルフィド基、シリル基、ハロゲン、カルボキシル基、ビニル基、追加の芳香族基もしくはヘテロ環式基、アルキル基、または1個以上のエーテル基、スルフィド基、シリル基、カルボキシル基、もしくはビニル基が介在する芳香族基もしくはヘテロ環式基によりさらに置換されたか、のいずれかの、アシル基、アリール基、アルキル基、またはカルボニル基である)
で示される化合物と、
0.5wt.%〜20wt.%または1.0wt.%〜20wt.%または1.5wt.%〜15wt.%または2wt.%〜15wt.%または2.5wt.%〜15wt.%、または2.5wt.%〜10wt.%または約3wt.%のビニルエーテルと、
3wt.%〜30wt.%または3wt.%〜25wt.%または5wt.%〜20wt.%のオキセタンと、
1wt.%〜45wt.%または3wt.%〜35wt.%または5wt.%〜25wt.%の環式脂肪族エポキシドと、
2wt.%〜50wt.%または3wt.%〜40wt.%または5wt.%〜30wt.%のグリシジルエーテルエポキシドと、
5wt.%〜約60wt.%または10wt.%〜約50wt.%または5wt.%〜40wt.%のフリーラジカル重合性成分と、
任意選択的に50wt.%までの1種以上の添加剤と、
を含む付加造形用液状放射線硬化性組成物である。
【0281】
本発明の第4の例示的な実施形態の他の態様は、式(I)で示される化合物が化学線により十分に励起されて励起三重項状態を生成した場合、前記励起三重項状態が、クープマンズの定理(IP=−ε
HOMO)と組み合わせてB3LYP/6−31G(d)に基づく分子モデリングによりイオン化ポテンシャルを計算したとき、4.15eV未満、より好ましくは3,98eV未満、より好ましくは3.90eV未満、より好ましくは3.80eV未満、より好ましくは3.70eV未満、より好ましくは3.55eV未満のイオン化ポテンシャルを呈する、本発明の第4の例示的な実施形態の先の態様のいずれかに記載の付加造形用液状放射線硬化性組成物である。
【0282】
本発明の第4の例示的な実施形態の他の態様は、式(I)で示される化合物が化学線により十分に励起されて励起三重項状態を生成した場合、前記励起三重項状態が、クープマンズの定理(IP=−ε
HOMO)と組み合わせてB3LYP/6−31G(d)に基づく分子モデリングによりイオン化ポテンシャルを計算したとき、少なくとも2.5eV、より好ましくは少なくとも3.0eVのイオン化ポテンシャルを呈する、本発明の第4の例示的な実施形態の先の態様のいずれかに記載の付加造形用液状放射線硬化性組成物である。
【0283】
本発明の第4の例示的な実施形態の他の態様は、式(I)で示される化合物が、クープマンズの定理(IP=−ε
HOMO)と組み合わせてB3LYP/6−31G(d)に基づく分子モデリングによりイオン化ポテンシャルを計算したとき、5.50eV以下、より好ましくは5.00eV未満、より好ましくは4.80eV未満の計算イオン化ポテンシャルを有するラジカルを生成可能である、本発明の第4の例示的な実施形態の先の態様のいずれかに記載の付加造形用液状放射線硬化性組成物である。
【0284】
本発明の第4の例示的な実施形態の他の態様は、式(I)で示される化合物が、クープマンズの定理(IP=−ε
HOMO)と組み合わせてB3LYP/6−31G(d)に基づく分子モデリングによりイオン化ポテンシャルを計算したとき、4.05eV超の計算イオン化ポテンシャルを有するラジカルを生成可能である、本発明の第4の例示的な実施形態の先の態様のいずれかに記載の付加造形用液状放射線硬化性組成物である。
【0285】
本発明の第4の例示的な実施形態の他の態様は、0.01wt.%〜約10wt.%、より好ましくは0.25wt.%〜約5wt.%、より好ましくは約0.5wt.%〜3wt.%の1−クロロ−4−プロポキシチオキサントンまたは9,10−ジエトキシアントラセンをさらに含む、本発明の第4の例示的な実施形態の先の態様のいずれかに記載の付加造形用液状放射線硬化性組成物である。
【0286】
本発明の第4の例示的な実施形態の他の態様は、環式脂肪族エポキシドおよびオキセタンが任意選択的でない、本発明の第4の例示的な実施形態の先の態様のいずれかに記載の付加造形用液状放射線硬化性組成物である。
【0287】
本発明の第4の例示的な実施形態の他の態様は、ビニルエーテルが、クープマンズの定理(IP=−ε
HOMO)と組み合わせてB3LYP/6−31G(d)に基づく分子モデリングによりイオン化ポテンシャルを計算したとき、6.58eV以下、より好ましくは5.42eV未満、4.89eV未満、より好ましくは4.30eV未満、最も好ましくは4.20eV未満の計算イオン化ポテンシャルを有するラジカルを生成可能である、
本発明の第4の例示的な実施形態の先の態様のいずれかに記載の付加造形用液状放射線硬化性組成物である。
【0288】
本発明の第4の例示的な実施形態の他の態様は、式(I)で示される化合物が、ビニルエーテル成分に対して10
4M
−1・s
−1以上、より好ましくは約10
5M
−1・s
−1以上、最も好ましくはで約3×10
5M
−1・s
−1以上の付加速度を有するラジカルを生成可能である、本発明の第4の例示的な実施形態の先の態様のいずれかに記載の付加造形用液状放射線硬化性組成物である。
【0289】
本発明の第4の例示的な実施形態の他の態様は、添加剤が任意選択的でなくかつ充填材またはポリオールを含む、本発明の第4の例示的な実施形態の先の態様のいずれかに記載の付加造形用液状放射線硬化性組成物である。
【0290】
本発明の第4の例示的な実施形態の他の態様は、400nmにピークスペクトル出力を有する放射線を放出するUV/vis光学素子でかつ10秒間にわたる2mW/cm
2の液状UV/vis線硬化性組成物表面への照射量で液状放射線硬化性組成物を露光したとき、以下:
約100秒未満、より好ましくは約90秒未満、より好ましくは約80秒未満、より好ましくは約70秒未満、より好ましくは約60秒未満の環式脂肪族エポキシドT
95値、
が達成される、本発明の第4の例示的な実施形態の先の態様のいずれかに記載の付加造形用液状放射線硬化性組成物である。
【0291】
本発明の第4の例示的な実施形態の他の態様は、400nmにピークスペクトル出力を有する放射線を放出するUV/vis光学素子でかつ10秒間にわたる2mW/cm
2の液状UV/vis線硬化性組成物表面への照射量で液状放射線硬化性組成物を露光したとき、以下:
200秒で少なくとも約60%、より好ましくは少なくとも約65%、より好ましくは少なくとも約70%の環式脂肪族エポキシド転化率、
が達成される、本発明の第4の例示的な実施形態の先の態様のいずれかに記載の付加造形用液状放射線硬化性組成物である。
【0292】
本発明の第4の例示的な実施形態の他の態様は、400nmにピークスペクトル出力を有する放射線を放出するUV/vis光学素子でかつ10秒間にわたる2mW/cm
2の液状UV/vis線硬化性組成物表面への照射量で液状放射線硬化性組成物を露光したとき、以下:
初期12秒間の最小二乗当てはめで少なくとも約1.25s
−1、より好ましくは少なくとも約1.65s
−1、より好ましくは少なくとも約2.00s
−1の環式脂肪族エポキシド転化速度、
が達成される、本発明の第4の例示的な実施形態の先の態様のいずれかに記載の付加造形用液状放射線硬化性組成物である。
【0293】
本発明の第4の例示的な実施形態の他の態様は、400nmにピークスペクトル出力を有する放射線を放出するUV/vis光学素子でかつ10秒間にわたる2mW/cm
2の液状UV/vis線硬化性組成物表面への照射量で液状放射線硬化性組成物を露光したとき、以下:
200秒で少なくとも約95%、より好ましくは約100%のアクリレート転化率、
が達成される、本発明の第4の例示的な実施形態の先の態様のいずれかに記載の付加造形用液状放射線硬化性組成物である。
【0294】
本発明の第5の追加の例示的な実施形態の第1の態様は、UV/vis光学素子を利用する付加造形システムにより三次元物品を形成する方法であって、
(1)先の例示的な実施形態のいずれかの先の態様のいずれかの付加造形用液状放射線硬化性組成物を提供する工程と、
(2)液状放射線硬化性樹脂の第1の液状層を設ける工程と、
(3)UV/vis光学構成を用いて第1の液状層を化学線で像様に露光して像形成断面体を形成することにより第1の硬化層を形成する工程と、
(4)第1の硬化層に接触した状態で液状放射線硬化性樹脂の新しい層を形成する工程と、
(5)前記新しい層を化学線で像様に露光して追加の像形成断面体を形成する工程と、
(6)三次元物品を構築するために工程(4)および(5)を十分な回数繰り返す工程と、
を含み、
UV/vis光学素子が、約375nm〜約500nm、より好ましくは約380nm〜約450nm、より好ましくは約390nm〜約425nm、より好ましくは約395nm〜約410nmのピークスペクトル強度で放射線を放出する、方法である。
【0295】
本発明の第5の例示的な実施形態の他の態様は、UV/vis光学構成が、LED/DLP、レーザー/DLP、LED/LCD、およびレーザー/LCDからなる群に属する1つ以上から選択される、本発明の第5の例示的な実施形態の先の態様のUV/vis光学素子を利用する付加造形システムにより三次元物品を形成する方法である。
【0296】
本発明の第5の例示的な実施形態の他の態様は、本発明の第1〜第4の例示的な実施形態のいずれかの態様のいずれかの液状放射線硬化性組成物を用いて本発明の第5の例示的な実施形態の先の態様のいずれかのプロセスにより形成された三次元部品である。
【0297】
とくに明記されていない限り、wt.%という用語は、付加造形用液状放射線硬化性組成物全体と対比した組み込まれる特定の構成要素の質量基準の量を意味する。
【0298】
本発明の記載に関連した(とくに以下の請求項に関連した)「a」および「an」および「the」という用語ならびに類似の参照語の使用は、とくに本明細書に指定がない限りまたは文脈上明らかな矛盾がない限り、単数形および複数形の両方を包含するものと解釈すべきである。「comprising(〜を含む)」、「having(〜を有する)」、「including(〜を含む)」、および「containing(〜を含有する)」という用語は、とくに断りのない限り、オープンエンドの用語として解釈すべきである(すなわち、「限定されるものではないが〜を含む(including,but not limited to)を意味する)。本明細書における値の範囲のレシテーションは、とくに本明細書に指定がない限り、この範囲内に含まれる個々の各値を個別に参照する簡略表記法として機能することが単に意図され、個々の各値は、あたかも本明細書に個別にリサイトされたがごとく本明細書に組み込まれる。本明細書に記載の方法はすべて、とくに本明細書に指定がない限りまたは文脈上明らかな矛盾がない限り、任意の好適な順序で実施可能である。本明細書に提供されるあらゆる例または例示的表現(たとえば、「such as(〜などの)」)の使用は、単に本発明をより良く理解できるようにすることが意図されており、とくに特許請求がない限り、本発明の範囲に限定を課すものではない。本明細書の表現は、本発明の実施に不可欠ないずれかの非特許請求要素を表すものと解釈すべきではない。
【0299】
本発明の好ましい実施形態は、本発明を実施するための本発明者に公知の最良の形態を含めて本明細書に記載されている。そうした好ましい実施形態の変形形態は、以上の説明を読めば当業者には明らかになるであろう。当業者であればかかる変形形態を必要に応じて利用するものと、本発明者は予想しており、本明細書に具体的に記載された以外の形で本発明が実施されることを、本発明者は意図している。したがって、本発明は、準拠法により許容される限り本明細書に添付された特許請求の範囲にリサイトされた主題のすべての変更形態および均等物を含む。さらに、すべての可能な変形形態での以上に記載の要素の組合せはいずれも、とくに本明細書に指定がない限りまたは文脈上明らかな矛盾がない限り、本発明に包含される。
【0300】
本発明についてその特定の実施形態を参照しながら詳細に説明してきたが、特許請求された本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく種々の変更および修正を行いうることは、当業者には明らかであろう。