特許第6880459号(P6880459)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6880459
(24)【登録日】2021年5月10日
(45)【発行日】2021年6月2日
(54)【発明の名称】通信装置
(51)【国際特許分類】
   H04B 1/38 20150101AFI20210524BHJP
   H01M 50/20 20210101ALI20210524BHJP
   H04B 1/08 20060101ALI20210524BHJP
【FI】
   H04B1/38
   H01M2/10 M
   H01M2/10 F
   H04B1/08 A
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-564170(P2017-564170)
(86)(22)【出願日】2017年1月16日
(86)【国際出願番号】JP2017001169
(87)【国際公開番号】WO2017130762
(87)【国際公開日】20170803
【審査請求日】2019年11月15日
(31)【優先権主張番号】特願2016-12727(P2016-12727)
(32)【優先日】2016年1月26日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】立海 優
【審査官】 大野 友輝
(56)【参考文献】
【文献】 実開平01−086331(JP,U)
【文献】 特開2003−109655(JP,A)
【文献】 特開2014−078414(JP,A)
【文献】 特開2003−045504(JP,A)
【文献】 特開2014−075256(JP,A)
【文献】 特開2005−354661(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 1/38
H01M 50/20
H04B 1/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースに、バッテリーモジュール、及び、このバッテリーモジュールによって電力が供給される制御基板が収納され、
前記制御基板と、前記ケースの外部に配置されたメイン装置との間で無線通信が可能な通信装置において、
前記バッテリーモジュールは、複数のバッテリーセルが支持部材に支持された構成とされ、
前記複数のバッテリーセルは、それぞれ離間した状態によって前記支持部材に支持され
前記支持部材は、前記バッテリーセルのそれぞれの端部が差し込まれる差込部を有し、
この差込部は、肉厚が0.5mm以上とされると共に、前記バッテリーセルの端部が露出するよう空けられた孔部を有し、
前記複数のバッテリーセルは、前記孔部に臨む接続端子によってそれぞれ接続されていることを特徴とする通信装置。
【請求項2】
ケースに、バッテリーモジュール、及び、このバッテリーモジュールによって電力が供給される制御基板が収納され、
前記制御基板と、前記ケースの外部に配置されたメイン装置との間で無線通信が可能な通信装置において、
前記バッテリーモジュールは、複数のバッテリーセルが支持部材に支持された構成とされ、
前記複数のバッテリーセルは、それぞれ離間した状態によって前記支持部材に支持され、
前記バッテリーモジュールは、電気コードを介して前記制御基板に接続され、
前記電気コードは、導電性を有するコード本体が絶縁性を有する絶縁部材によって覆われる構成とされ、
前記絶縁部材の厚みは、0.5mm以上であることを特徴とする信装置。
【請求項3】
前記電気コードは、前記制御基板に接続するコネクタ部をさらに有し、
前記コネクタ部は、導電性を有する端子部を複数有し、
これらの端子部は、それぞれ1.5mm以上離間して設けられていることを特徴とする請求項記載の通信装置。
【請求項4】
ケースに、バッテリーモジュール、及び、このバッテリーモジュールによって電力が供給される制御基板が収納され、
前記制御基板と、前記ケースの外部に配置されたメイン装置との間で無線通信が可能な通信装置において、
前記バッテリーモジュールは、複数のバッテリーセルが支持部材に支持された構成とされ、
前記複数のバッテリーセルは、それぞれ離間した状態によって前記支持部材に支持され、
前記制御基板は、前記無線通信を行うための通信回路と、前記バッテリーモジュールから供給される電力の過電流を抑制する抑制手段と、を有し、
前記抑制手段は、前記通信回路と前記バッテリーモジュールとの間に位置することを特徴とする信装置。
【請求項5】
前記バッテリーセルは、複数個が直列に接続されると共に、これらの直列に配置された組を複数有し、
前記複数の組のバッテリーセルは、前記制御基板において並列に接続されていることを特徴とする請求項記載の通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改良された通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ケースに収納された制御基板と、ケースの外部に配置されたメイン装置との間で無線通信が可能な通信装置が知られている。制御基板は、ケースに収納されたバッテリーモジュールによって電力が供給される。このようなバッテリーモジュールに関する従来技術として、特許文献1に開示される技術がある。
【0003】
特許文献1に示されるような、バッテリーモジュールは、ケース内に複数のバッテリーセルが収納されてなる。バッテリーセルが収納される部位は、ケースの内部に形成された隔壁によって区切られている。
【0004】
このようなバッテリーモジュールによれば、電解液の蒸発ガスを原因とする出火を防止することができる。
【0005】
ところで、このようなバッテリーモジュールを備えた通信装置が、危険場所において用いられることがある。危険場所とは、一般工場などにおいて、爆発性ガスが空気と混合して爆発下限界以上の危険雰囲気を生成するおそれのある場所をいう。危険場所において用いられる通信装置は、高い防爆性を確保する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−293327号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、高い防爆性を確保することができる通信装置の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1による発明によれば、ケースに、バッテリーモジュール、及び、このバッテリーモジュールによって電力が供給される制御基板が収納され、
前記制御基板と、前記ケースの外部に配置されたメイン装置との間で無線通信が可能な通信装置において、
前記バッテリーモジュールは、複数のバッテリーセルが支持部材に支持された構成とされ、
前記複数のバッテリーセルは、それぞれ離間した状態によって前記支持部材に支持されていることを特徴とする通信装置が提供される。
【0009】
請求項2に記載のごとく、好ましくは、前記支持部材は、前記バッテリーセルのそれぞれの端部が差し込まれる差込部を有し、
この差込部は、肉厚が0.5mm以上とされると共に、前記バッテリーセルの端部が露出するよう空けられた孔部を有し、
前記複数のバッテリーセルは、前記孔部に臨む接続端子によってそれぞれ接続されている。
【0010】
請求項3に記載のごとく、好ましくは、前記バッテリーモジュールは、電気コードを介して前記制御基板に接続され、
前記電気コードは、導電性を有するコード本体が絶縁性を有する絶縁部材によって覆われる構成とされ、
前記絶縁部材の厚みは、0.5mm以上である。
【0011】
請求項4に記載のごとく、好ましくは、前記電気コードは、前記制御基板に接続するコネクタ部をさらに有し、
前記コネクタ部は、導電性を有する端子部を複数有し、
これらの端子部は、それぞれ1.5mm以上離間して設けられている。
【0012】
請求項5に記載のごとく、好ましくは、前記制御基板は、前記無線通信を行うための通信回路と、前記バッテリーモジュールから供給される電力の過電流を抑制する抑制手段と、を有し、
前記抑制手段は、前記通信回路と前記バッテリーモジュールとの間に位置する。
【0013】
請求項6に記載のごとく、好ましくは、前記バッテリーセルは、複数個が直列に接続されると共に、これらの直列に配置された組を複数有し、
前記複数の組のバッテリーセルは、前記制御基板において並列に接続されている。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に係る発明では、複数のバッテリーセルは、それぞれ離間した状態によって支持部材に支持されている。それぞれのバッテリーセルを十分れ離間させることによりバッテリーセルが発火することを抑制し、より高い防爆性を確保することができる。
【0015】
請求項2に係る発明では、バッテリーセルの端部が差し込まれる差込部は、肉厚が0.5mm以上とされる。バッテリーセルの近傍に他の部品が配置される場合であっても、差込部の肉厚が0.5mm以上あるため、バッテリーセルの端部から他の部品を0.5mm以上離間させることができる。バッテリーセルの端部から他の部品を十分に離間させることにより、さらに高い防爆性を確保することができる。
【0016】
請求項3に係る発明では、導電性を有するコード本体は、絶縁性を有する絶縁部材によって覆われ、この絶縁部材の厚みは、0.5mm以上である。導電性を有するコード本体から他の部品を十分に離間させることにより、さらに高い防爆性を確保することができる。
【0017】
請求項4に係る発明では、コネクタ部は、導電性を有する端子部を複数有し、これらの端子部は、それぞれ1.5mm以上離間して設けられている。それぞれのコネクタ部を十分に離間させることにより、より高い防爆性を確保することができる。
【0018】
請求項5に係る発明では、バッテリーモジュールから供給される電力の過電流を抑制する抑制手段は、制御基板に設けられる。抑制手段を制御基板側に配置することにより、バッテリーモジュール側の部品を少なくすることができ、シンプルな構造とすることができる。加えて、バッテリーモジュール側に抑制手段を配置した場合、抑制手段とバッテリーセルとを離間させる必要が生じ、防爆的な観点から考慮すべき事項が増加する。この点、抑制手段を制御基板側に設けることにより、防爆性をより簡易に確保することができる。
【0019】
請求項6に係る発明では、複数の組のバッテリーセルは、制御基板において並列に接続されている。即ち、並列に接続するための接点は、制御基板に位置する。仮に接点がバッテリーモジュール側に位置すると、逆電流防止回路等をバッテリーモジュール側に配置する必要が生じる。すると、逆電流防止回路とバッテリーセルとの離隔距離を考慮する等の防爆的な配慮点が生じる。また、逆電流防止回路をバッテリーモジュールに安定して保持するための手段も検討する必要も生じる。よって、制御基板上でバッテリーセルの並列接続を成立させることで、防爆設計をシンプルにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施例による検出装置(通信装置)が用いられたプラント機器状態収集システムを模式的に示した図である。
図2図1に示された検出装置の断面図である。
図3図2に示された制御基板について説明する図である。
図4図2に示されたバッテリーモジュールの平面図である。
図5図4の5−5線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。
<実施例>
【0022】
図1を参照する。図1には、石油化学系のプラントにおけるプラント機器状態収集システム1が示されている。石油化学系のプラントは、非常に広大である。このため、各機器に異常が生じているかを検出装置10(通信装置10)により検出し、検出された情報をデータ記憶管理装置5(メイン装置5)において管理している。
【0023】
より詳細に説明する。検出装置10は、プラント内の各機器に取り付けられることにより、危険場所DA内に複数配置されている。これらの検出装置10において検出された情報は、中継器3を介してネットワーク構築装置4に送信され、データ記憶管理装置5に送信される。プラントの管理者は、データ記憶管理装置5に記憶された情報を携帯端末6を用いて確認することができる。これらのデータの送受信は、無線通信により行われる。無線通信は、任意の規格を採用することができる。
【0024】
図1には3つの検出装置10が示されているが、検出装置10は、4個以上であってもよく、1又は2個であってもよい。
【0025】
検出装置10が検出する異常としては、温度、振動等が挙げられる。管理者は、異常を認識すると、異常を検知した検出装置10まで移動し、確認を行う。
【0026】
図2を参照する。プラント内には複数の検出装置10が配置されているため、管理者は、異常を検知している検出装置10であるかを確認するために携帯端末6を検出装置10にかざす。携帯端末6と検出装置10との通信には、NFC(Near Field Communication)規格を採用することができる。
【0027】
検出装置10は、金属製のケース11と、このケース11に空けられた開口部43に設けられた窓部材50と、これらのケース11及び窓部材50によって挟み込まれたゴム製のシール部材13と、窓部材50の下部に固定された制御基板14と、この制御基板14に接続され窓部材50の下面に貼り付けられたサブ基板60と、制御基板14に実装された通信モジュール16及び発光素子17(光源17)と、制御基板14に接続され異常を検知するセンサ21と、制御基板14に電力を供給するバッテリーモジュール70と、ケース11の上面に設けられたアンテナ23と、を主な構成要素とする。
【0028】
ケース11は、下部に配置され上方が開口している第1分割体30と、この第1分割体30に重ね合わされた第2分割体40と、からなる。これらの第1分割体30及び第2分割体40は、ボルト25及びナット26によって締結されている。ケース11は、必要に応じて表面に塗装等の表面処理が行われる。
【0029】
第1分割体30は、底面視において略長方形を呈する底部31と、この底部31のそれぞれの縁から立ち上げられた下部側壁部32と、からなる。
【0030】
底部31の一部は、下方に突出しセンサ21が収納されたセンサ収納部33とされている。底部31の4つの角は、それぞれ欠肉状に形成された下部欠肉部31aとされている。下部欠肉部31aの高さは、ナット26の高さ、及び/又は、ボルト25の頭部の高さよりも高い。
【0031】
下部側壁部32には、ボルト25が貫通する下部ボルト貫通孔32aが形成されている。下部側壁部32は、接地されている(アースされている)。
【0032】
第2分割体40は、平面視において略長方形を呈する蓋部41と、この蓋部41のそれぞれの縁から下げられた上部側壁部42と、からなる。
【0033】
蓋部41の4つの角は、それぞれ欠肉状に形成された上部欠肉部41aとされている。上部欠肉部41aの高さは、ナット26の高さ、及び/又は、ボルト25の頭部の高さよりも高い。蓋部41の中央には、略長方形状の開口部43が空けられている。平面視における開口部43の面積は、1600mm以下に設定されている。開口部43に隣接して、アンテナ23が取り付けられるアンテナ取付孔41bが空けられている。蓋部41の下面側には、窓部材50を固定するためのタップ41cが設けられている。
【0034】
上部側壁部42には、ボルト25が貫通する上部ボルト貫通孔42aが形成されている。上部側壁部42は、下部側壁部32と連続している。上部ボルト貫通孔42aは、下部ボルト貫通孔32aと連続している。
【0035】
窓部材50は、第2分割体40の下面(裏面)に沿って設けられた一般部51と、この一般部51から開口部43の内周に向かって突出する凸部52と、一般部51から制御基板14に向かって延び制御基板14が先端に固定されるボス部53と、が一体的に形成されてなる。窓部材50の素材は、電気絶縁性を有する樹脂からなる。
【0036】
一般部51は、シール部材13を設けるための溝部51aと、ビス27が通されるビス貫通孔51bと、を有している。即ち、窓部材50は、ビス27によって第2分割体40に固定されている。溝部51aは、凸部52の周縁に沿って略長方形状に連続している。
【0037】
凸部52の上面は、蓋部41の上面から略連続している、いわゆる面一の状態にある。凸部52には、導光体28が差し込まれている。導光体28は、丸棒状の樹脂製の部材である。導光体28は、発光素子17の上方から凸部52の上面まで延び、発光素子17の発した光を凸部52の上面まで導く部材である。
【0038】
シール部材13は、溝部51aと蓋部41とに挟み込まれて、断面視略長円形状を呈している。シール部材13は、挟み込まれる前の状態において、断面円形状を呈する。即ち、挟み込まれることにより、シール部材13は、変形している。
【0039】
制御基板14は、多層プリント基板が採用されている。制御基板14は、ビス29によって、窓部材50のボス部53に固定されている。
【0040】
図3を参照する。制御基板14は、バッテリーモジュール70に接続するための基板側コネクタ部14aと、電流が逆流することを防止する逆電流防止回路14bと、バッテリーモジュール70から供給される電力の過電流を抑制する抑制手段14cと、無線通信を行うための通信回路14dと、を有している。制御基板14は、接地されている。
【0041】
図2を参照する。サブ基板60は、凸部52の裏面に接着されている。サブ基板60の接着には、両面テープや接着剤等、任意の手段を選択することができる。サブ基板60は、制御基板14から少なくとも1.5mm以上離間して設けられ(L1参照)、制御基板14にコネクタを介して接続されている。コネクタの種類は、適宜選択することができる。
【0042】
サブ基板60は、フレキシブルプリント基板61の上面にアンテナ部が印刷されてなる。アンテナ部は、携帯端末6との非接触通信を行うためのアンテナである。アンテナ部は、導電性を有する材料によりアンテナパターンが形成されてなる。
【0043】
通信モジュール16は、設定された間隔で自動的に起動され、センサ21が検知した情報を送信する機能を持つ。
【0044】
発光素子17は、制御基板14によって点灯、点滅、消灯が切り替えられる。例えば、発光素子17は、センサ21が異常を検知した場合に点滅する。
【0045】
図1を併せて参照する。危険場所DA内には、複数の検出装置10が配置されている。このため、管理者は、携帯端末6を窓部材50にかざすことにより、異常を検出している検出装置10であるか否かを確認することができる。例えば、異常を検出している検出装置10である場合には、携帯端末6がかざされた場合に発光素子17を点灯させる。
【0046】
図4を参照する。バッテリーモジュール70は、4本のバッテリーセル71と、これらのバッテリーセル71のそれぞれの端部を支持している支持部材80と、バッテリーセル71を接続する接続端子73と、バッテリーセル71の端部又は接続端子73の端部からそれぞれ延びる複数の電気コード74と、この電気コード74の一端に設けられ基板側コネクタ部14aに接続されるバッテリー側コネクタ部75(コネクタ部75)と、からなる。
【0047】
バッテリーセル71は、隣り合うバッテリーセル71に対して、1.5mm以上離間している(L2参照)。
【0048】
支持部材80は、バッテリーセル71の一端側を支持している一端側支持部81と、バッテリーセル71の他端側を支持している他端側支持部82と、からなる。一端側支持部81、及び、他端側支持部82は、共に、一体成形された樹脂からなる。
【0049】
一端側支持部81は、樹脂製のブロックに4つの円筒状の孔が空けられた形状を呈する。これらの孔は、バッテリーセル71の直径よりも僅かに大きい大きさとされ、バッテリーセル71が差し込まれる一端側差込部81a(差込部81a)とされている。一端側差込部81aの底には、バッテリーセル71の端部が外部に露出するよう一端側孔部81b(孔部81b)が空けられている。
【0050】
他端側支持部82の基本的な構造は、一端側支持部81と同様である。これらは、同じ部材を用いることができる。詳細には、他端側支持部82は、樹脂製のブロックに4つの円筒状の孔が空けられてなる。これらの孔は、バッテリーセル71の直径と略同じ大きさとされ、バッテリーセル71が差し込まれる他端側差込部82a(差込部82a)とされている。他端側差込部82aの底には、バッテリーセル71の端部が外部に露出するよう他端側孔部82b(孔部82b)が空けられている。
【0051】
上述の通り、バッテリーセル71は、隣り合うバッテリーセル71に対して、1.5mm以上離間している。換言すれば、差込部81a,82aは、隣り合うバッテリーセル71同士が1.5mm以上離間するような位置にそれぞれ設けられている。
【0052】
一端側支持部81の一端側孔部81bが形成された部位の肉厚、及び、他端側支持部82の他端側孔部82bが形成された部位の肉厚は、それぞれ、0.5mm以上とされている(L3参照)。
【0053】
接続端子73は、一端側孔部81b、又は、他端側孔部82bに臨み、隣り合うバッテリーセル71同士を接続している金属板である。これらは、バッテリーセル71の端部に接合されている。
【0054】
図5を参照する。電気コード74は、導電性を有するコード本体74aが絶縁性を有する絶縁部材74bによって覆われてなる。絶縁部材74bの厚みは、0.5mm以上である(L4参照)。
【0055】
図4を参照する。バッテリー側コネクタ部75は、導電性を有する端子部75aを3つ有している。これらの端子部75aは、それぞれ1.5mm以上離間して設けられている(L5参照)。
【0056】
以上の構成からなる本発明は、以下の効果を奏する。
【0057】
複数のバッテリーセル71は、それぞれ1.5mm以上離間した状態によって支持部材80に支持されている。それぞれのバッテリーセル71を十分に離間させることによりバッテリーセル71が発火することを抑制し、より高い防爆性を確保することができる。
【0058】
バッテリーセル71の端部が差し込まれる差込部81a,82aは、肉厚が0.5mm以上とされる。バッテリーセル71の近傍に他の部品が配置される場合であっても、差込部81a,82aの肉厚が0.5mm以上あるため、バッテリーセル71の端部から他の部品を0.5mm以上離間させることができる。バッテリーセル71の端部から他の部品を十分に離間させることにより、さらに高い防爆性を確保することができる。
【0059】
バッテリー側コネクタ部75は、導電性を有する端子部75aを複数有し、これらの端子部75aは、それぞれ1.5mm以上離間して設けられている。それぞれのバッテリー側コネクタ部75を十分に離間させることにより、より高い防爆性を確保することができる。
【0060】
バッテリーモジュール70から供給される電力の過電流を抑制する抑制手段14cは、制御基板に設けられる。抑制手段14cを制御基板14側に配置することにより、バッテリーモジュール70側の部品を少なくすることができ、シンプルな構造とすることができる。加えて、バッテリーモジュール70側に抑制手段14cを配置した場合、抑制手段14cとバッテリーセル71とを離間させる必要が生じ、防爆的な観点から考慮すべき事項が増加する。この点、抑制手段14cを制御基板14側に設けることにより、防爆性をより簡易に確保することができる。
【0061】
複数の組のバッテリーセル71は、制御基板14において並列に接続されている。即ち、並列に接続するための接点は、制御基板14に位置する。仮に接点がバッテリーモジュール70側に位置すると、逆電流防止回路をバッテリーモジュール70側に配置する必要が生じる。すると、逆電流防止回路14bとバッテリーセル71との離隔距離を考慮する等の防爆的な配慮点が生じる。また、逆電流防止回路14bをバッテリーモジュール70に安定して保持するための手段も検討する必要も生じる。よって、制御基板14上でバッテリーセル71の並列接続を成立させることで、防爆設計をシンプルにすることができる。
【0062】
図5を参照する。導電性を有するコード本体74aは、絶縁性を有する絶縁部材74bによって覆われ、この絶縁部材74bの厚みは、0.5mm以上である。導電性を有するコード本体74aから他の部品を十分に離間させることにより、さらに高い防爆性を確保することができる。
【0063】
尚、本発明による通信装置は、石油化学系のプラントに用いられる場合を例に説明したが、この他の危険場所であっても用いることができる。危険場所としては、例えば、LPガス充填所、トンネル掘削工事現場、火力発電所、塗装工場等が挙げられる。
【0064】
また、通信装置は、検出装置を例に説明したが、バッテリーモジュールによって作動する通信装置であれば、検出装置に限らず他の装置にも適用可能である。
【0065】
即ち、本発明の作用及び効果を奏する限りにおいて、本発明は、実施例に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明の通信装置は、石油化学系プラントに用いられる検出装置として好適である。
【符号の説明】
【0067】
5…データ記憶管理装置(メイン装置)
10…検出装置(通信装置)
11…ケース
14…制御基板
14c…抑制手段
14d…通信回路
70…バッテリーモジュール
71…バッテリーセル
73…接続端子
74…電気コード
75…バッテリー側コネクタ部(コネクタ部)
74a…コード本体
74b…絶縁部材
75a…端子部
80…支持部材
81a…一端側差込部(差込部)
81b…一端側孔部(孔部)
82a…他端側差込部(差込部)
82b…他端側孔部(孔部)
DA…危険場所
図1
図2
図3
図4
図5