(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0024】
上記技術思想に基づいて具体的に構成された実施の形態について以下に図面を参照しつつ説明する。なお、以下の説明では、操縦ハンドル2を配置した側を後とし、その反対側、即ちエンジン3を配置した側を前とする。そして、機体後側から機体前側に向かって右手側を右とし、左手側を左とする。
【0025】
図1には本発明の実施の形態にかかる移植機の側面図を、
図2には
図1の移植機の平面図を示す。この移植機1は、機体を前進走行可能とする走行車体4と、該走行車体4の後部に設けた歩行操縦用の操縦ハンドル2と、圃場に苗を植付ける苗植付装置5と、該苗植付装置5に苗を供給する苗供給装置6を備え、主にタマネギ等の苗を圃場に移植する構成としている。
【0026】
走行車体4は、図示例では、エンジン3と、該エンジン3の動力が伝達されて駆動回転する左右一対の駆動車輪である後輪7と、該後輪7の前方に転動自在に支持した左右一対の前輪8とを備えたものとしている。
【0027】
エンジン3の後側にはミッションケース9を配置し、そのミッションケース9は、その左側部からエンジン3の左側方に延びるケース部分を有し、これがエンジン3の左側部と連結している。このケース部分にエンジン3の出力軸が入り込んでミッションケース9内の伝動機構に動力が伝達する構成となっている。ミッションケース9の左右両側部には、前後に長い走行用の伝動ケース10の前部を回動自在に取り付けている。具体的には、走行用の伝動ケース10の前部の機体内側部に、該伝動ケース10と一体回転可能に設けたアクスルケース11を設け、このアクスルケース11をミッションケース9の左右両側部に回動自在に取付けて、走行用の伝動ケース10をミッションケース9の左右両側部に対して回動自在に取付けている。アクスルケース11は、畝幅に対応して左右に伸縮調節可能に設けている。そして、この走行用の伝動ケース10の後部側方に突出させた車軸12に後輪7を装着している。伝動ケース10の前部の回動軸心位置には、ミッションケース9から左右両外側方に延出させた車輪駆動軸の先端が入り込んで、ミッションケース9内の走行部系変速伝動部を経た走行用の動力が伝動ケース10内の伝動機構に伝達している。そして、走行用の動力は伝動ケース10内の伝動機構を介して、伝動ケース10の後端側の車軸12に伝動し、後輪7が駆動回転するようになっている。
【0028】
なおミッションケース9内に設けた左右それぞれのサイドクラッチ(図示せず)により、左右各々の後輪7の駆動を断つことができる構成になっている。したがって、機体を旋回させるときには、前記サイドクラッチにより旋回内側となる左右一方の後輪7を非駆動状態にしてスム−ズに旋回できるようになっている。
【0029】
走行用の伝動ケース10には、該伝動ケース10の前部側を回動支点として後輪7を上下させるよう上下回動する駆動手段が連結している。具体的には、伝動ケース10のミッションケース9への取付部には、上方に延びるアーム13を一体的に取り付けていて、これがミッションケース9に固定された昇降用油圧シリンダのピストンロッド先端に取り付けた連結体の左右両側部と連結している。左右一方側(右側)は、ロッドで連結し、他方側(左側)は、機体の傾斜に応じて伸縮作動可能な左右水平制御用の油圧シリンダであるローリング用アクチュエータ110で連結している。
【0030】
昇降用油圧シリンダが作動してそのピストンロッドが機体後方に突出すると、左右の前記アーム13は前方に回動し、これに伴い伝動ケース10が下方に回動して、機体が上昇する。反対に、昇降用油圧シリンダのピストンロッドが機体前方に移動してシリンダ内に引っ込むと、左右の前記アーム13は前方に回動し、これに伴い伝動ケース10が上方に回動して、機体が下降する。この昇降用油圧シリンダは、畝面に接地して機体と畝面との上下間隔の変動に伴って動作する、回動可能に機体に取り付けられたセンサプレート14によって作動する。センサプレート14の動作は機体に対する畝上面高さを検出するものであり、そのセンサプレート14の検出動作に基づいて機体を畝上面高さに対して設定高さになるよう昇降用油圧シリンダが作動する構成となっている。また、操縦ハンドル2近傍に配置した植付・昇降操作具15の人為操作によって機体を上昇或は下降させるよう昇降用油圧シリンダが作動する構成ともしている。尚、この植付・昇降操作具15は、苗植付装置5及び苗供給装置6の駆動の入切も行える構成となっている。
【0031】
前記ローリング用アクチュエータ110が伸縮作動すると、そのローリング用アクチュエータ110と連結する左側のアーム13が回動して、左側の後輪7のみを上下動させ、機体を左右に傾斜させる。このローリング用アクチュエータ110は、左右水平に対する機体の左右傾斜を検出するセンサプレート14の検出結果に基づいて機体を左右水平になるように作動するよう構成している。
【0032】
前記左右前輪8は、エンジン3下方の左右中央位置で前後方向の軸心周りに回動自在に取り付けた横フレーム16の左右両側部に、上下に長い縦フレーム17を取付け、その下端部側方に固着した車軸18に回転自在に取り付けている。従って、左右前輪8は、機体の左右中央の前後方向の軸心周りにローリング動自在となっている。横フレーム16の左右両側部に対して縦フレーム17を上下調節可能に設けていて、前輪8の高さ調節をすることができるようになっている。
【0033】
前記操縦ハンドル2は、機体後部に設けていて、後輪7の車軸12より機体後側に位置している。具体的には、ミッションケース9に前端部を固定した機体フレーム19の後端部に取り付けている。機体フレーム19は、機体の左右中央で後方に延び、また、前後中間部から斜め後上方に延びている。操縦ハンドル2は、機体フレーム19の後端部から左右に後方に延びてその各後端部を操縦ハンドル2のグリップ部2aとしている。操縦ハンドル2の左右のグリップ部2aは、作業者がそのグリップ部2aを楽に手で握れるように適宜高さに設定する。なお、図例ではグリップ部2aを左右に分かれた構成としているが、操縦ハンドル2の左右の後端部を互いに左右に連結してその連結部分をグリップ部としても良い。また、車軸12の近傍を回動支点とする回動スタンド401が回動可能に機体に取り付けられており、回動スタンド401は、先端を下方に回動することで、機体を支持するとともに、機体の移動を規制することが可能となっている。
【0034】
上記走行車体4は、接地して駆動回転する走行駆動部を、前後車輪を備えた四輪式の走行駆動部の構成としたものであるが、クローラー式の走行駆動部の構成とすることもできる。
【0035】
苗供給装置6は、上下に開口する筒状体と該筒状体の下側の開口部を開閉する底蓋とを有し互いにループ状に連結する複数の苗収容体22と、該苗収容体22を前記移植具20の上方近傍を通過する状態で機体平面視左右に長い長円形状のループ状の軌跡で左回りに周回動させる移動機構と、前記苗収容体22の底蓋を移植具20の上方位置で開放する開放機構を設けた構成である。この苗供給装置6は、前記苗収容体22の外周に円筒外周部を形成し、該円筒外周部に外側から回動自在に係合する係合部を有して二つの苗収容体22を連結する連結体を複数設け、該連結体の係合部を苗収容体22の円筒外周部に回動自在に係合し該円筒外周部を回動軸として隣の苗収容体22が回動自在に連結する状態として複数の苗収容体22を互いに連結した構成としている。即ち、苗収容体22と連結体とで無端チェーンのように連結した構成である。これにより、苗収容体22は、直線的に移動する部分28でも円弧状に移動する部分29でも隣接する苗収容体22との間隔が変わらないので、苗収容体22から移植具20に苗を供給する個所で苗収容体22が移植具20に対して位置ズレが生じにくくなり苗供給が適正に行われて適確な苗の移植ができる。
苗収容体22の個数と周回動する範囲を設定したうえで、苗収容体22の上側開口部を可能な限り広く形成できて、機体のコンパクト化を図りつつ苗収容体22への苗補給作業をできるだけ容易に行えるものとなる。
【0036】
苗供給装置6の回転は、無端チェーンのように互いに連結する苗収容体22を左右に設けたスプロケットの外周の円弧状切欠部に係合させて巻き掛け、この左右のスプロケットを駆動回転することにより、各苗収容体22を周回動させる構成としている。
【0037】
苗収容体22が周回する周回移動経路は、平面視で左右方向に延びる直線状部分28とスプロケットにより前記直線状部分28から前側又は後側に円弧状に曲がる円弧状部分29とを備えた長円状であり、左右の後輪7より機体内側に配置している。また、移植具20は、後輪7の車軸12位置より後側に配置している。
【0038】
苗収容体22の底蓋が開くタイミングは、移植具20が苗収容体22の直下まで上昇したときとなるように調整しておく。また、上記構成に代えて、移植具20が苗収容体22の直下まで上昇したときに、移植具20に設けた開放作動部材が、移植具20の上方に位置する苗収容体22の底蓋が開くのを規制する規制手段を規制解除動作させる構成も採用できる。
【0039】
(覆土具)
また、移植機は、移植具20が植付けた苗に対して覆土鎮圧するための覆土具である覆土鎮圧輪37を各移植具20の苗植付け個所の後方左右両側近傍位置に設けている。この覆土鎮圧輪37は、転動輪であって、機体に固定された取付部材25に左右方向の覆土具取付軸38回りに上下回動自在に取り付けられた覆土具フレーム39の回動先端側(後側)に取り付けられている。前記覆土具フレーム39は、パイプフレ−ムを適宜折り曲げて構成されている。この覆土具フレーム39の後端部には上下方向に延びるロッド40の下端を連結している。
【0040】
この移植機1は、苗供給装置6に苗を補給する作業者が乗車して苗補給作業が行えるよう、作業者が座る作業者用座席46を設けている。具体的には、苗供給装置6の前側となる機体左右中央位置に後向きに作業者用座席46を配置している。この座席46に座る作業者は、苗供給装置6の前側部に向って後側向き姿勢で着座して、苗供給装置6の前側部、特に苗収容体22の周回移動経路における前側の直線状部分28に対して苗補給作業を行う。なお、座席46を載せて支持する略水平方向に延びる座席フレームを設け、座席46は前記座席フレームに対して後側の覆土具取付軸38回りに後方へ回動できる構成となっており、前記座席フレームよりその近傍に位置する燃料タンクの給油キャップ48が低い位置にある。これにより、燃料タンクに燃料を補給するときは、座席46を後方へ回動させ、座席フレーム47に燃料を収容する補給タンク等を置いて、手動ポンプ等により容易に燃料タンクへ燃料を補給することができる。
【0041】
作業者用座席46の後側及び左右両側には、ステップ49を設けている。このステップ49は、機体側面視で作業者用座席46の下方位置から前輪8の上方位置すなわち機体前端近傍にわたって延設している。従って、作業者は、機体前方から該ステップ49に乗降することができる。後輪7は大径車輪で、前輪8は小径車輪であり、機体側面視で、この小径車輪の前輪8の上方にステップ49の前側部分が位置するように設けている。
【0042】
ステップ49の機体外側には、苗植付装置5へ供給する液剤のタンクTを備えるタンク載置台105を設ける。液剤は主に苗植付装置5が苗を植付ける際に供給する灌水であるが、液体肥料などを含む。タンクTは左右に2個ずつ載置できるようにし、タンク載置台105と後述する容器支持部101とが平面視で重複するように配置する。平面視で重複するとは、一部が重複するものを含む。
【0043】
また、この移植機1は、座席46に着座する作業者用の反射鏡111を、苗供給装置6を挟んで、座席46がある側と反対側で、ステップ49と同じ左右位置又はステップ49よりも機体左右方向で外側位置に設ける。このような構成により、移植機をコンパクトな構成としながら、座席46に着座する作業者が、座席46の側方の後述するステップ49の上方の空間を介して機体前方の様子を反射鏡111に映して見ることができ、作業者の視界を良好にすることができる。これにより作業者が振り向いて背後を確認する動作を省略でき、作業能率が向上する。
【0044】
移植機の走行車体4に、座席46と苗供給装置6とを前後に位置させ、座席46の左右側方には、ステップ49とタンク載置台105とをこの順に設け、このタンク載置台105と容器支持部101とが平面視で重複する構成としたことにより、複数の液剤用のタンクTを装着しながら、移植機をコンパクトに構成できる。また、苗供給装置6から走行車体4の前後端部に亘る前後方向のステップ49を設けたことにより、作業者の乗降性がよくなる。
【0045】
走行機体の左側には、容器支持部101を設けている。玉ねぎなど葉茎菜類の裸苗を植付ける移植機では、植付準備段階で苗をコンテナ等の苗収容用の容器Cに入れ、その容器をそのまま移植機の容器支持部101へ装備し、この容器から直接作業者が苗を苗供給装置6へ供給する。第一実施形態にかかる容器支持部101は座席46の外側方に設ける。容器支持部101は、容器Cの側面を保持する側面保持部102と、容器の底面を保持する底面保持部103とにより構成する。側面保持部102と底面保持部103とは正面視で略垂直に構成する。そして底面保持部103を作業者側に向けて下り傾斜姿勢の平板形状に構成することで、上方が開口した直方体状の容器Cの開口部が作業者側に向く傾斜姿勢となる。
【0046】
容器支持部101を、容器Cの側面を保持する側面保持部102と、容器Cの底面を保持する底面保持部103とにより構成することにより、平板状の底面保持部103で容器Cの重量を受ける構成となり、容器Cの側面孔に容器重量の作用する割合が少なくなる。これにより容器Cが破損することが少なくなる。また、容器重量が作用する底面保持部103は、容器支持部101の下部となるので、容器支持部101をより堅固な構成とすることができる。加えて、容器(C)が傾斜姿勢で保持されるので、作業者が苗を取り出すのが容易になる。
【0047】
容器支持部101の下方には、容器支持部101のパイプフレームを固定する水平回動バー113を設け、この水平回動バー113は、鉛直な上下方向の容器回動軸104を中心にして回動可能な構成である。容器支持部101は、作業者が苗供給装置6に苗を供給する場合の作業位置(
図2に示す位置)と、容器Cを移植機に装備する装備位置との間で回動する。ここで装備位置は、
図2に示す位置から、容器回動軸104を中心として180度回転した位置を言い、この位置まで容器支持部101を回動させると、作業者の乗降が容易になる。また、このとき容器支持部101の底面保持部103は、機体外方へ向けて下り傾斜姿勢となる。
【0048】
容器支持部101が容器Cの装備位置にあるときに、容器支持部101の底面保持部103が、機体外方へ向けて下り傾斜姿勢であることにより、容器Cを容器支持部101へ装着する作業が容易になり、作業能率が向上する。
【0049】
(苗植付装置)
苗植付装置5は、先端が下方に向かうくちばし状の移植具20と、該移植具20の下端部が圃場面より上方となる位置と圃場面より下方となる位置とに移植具20を上下動させる上下動機構21と、くちばし状の移植具20の下端部が閉じて上方から苗を受け入れて内側に苗を収容する閉状態と移植具20の下端部が左右に開いて内側に収容した苗を下方に放出する開状態とに移植具20を開閉する開閉機構とを備え、苗供給装置6は、苗を上方から受け入れて内側に苗を収容する複数の苗収容体22と、該苗収容体22を移植具20の上方を通過するように周回移動させる移動機構と、移植具20の上方位置で苗収容体22の底部を開放して内側に収容した苗を落下させて移植具20に苗を供給する苗落下供給機構とを備えた苗供給装置6を備える。
【0050】
(移植具)
移植具20は、上下動機構21に装着している。前記上下動機構21は、後部を移植具20に連結した上側と下側の昇降リンク21A,21Bを備えている。そして、別途設けた駆動機構からの動力で上下の昇降リンク21A,21Bを上下動させ、左右の移植具20が上下動する構成となっている。この上下動の上昇位置では移植具20の下端部が圃場面より上方に位置し、下降位置では移植具20の下端部が圃場面より下方に位置する。移植具20の開閉機構は、上下動機構21の作動に連動して、移植具20が下降下端位置(
図6の位置(D))に達すると該移植具20の下部側を左右に開いて下方に開放状態とし、移植具20が上昇上端位置(
図6の位置(U))に達すると該移植具20の下部側を閉じて閉塞状態とする構成である。
【0051】
次に、移植具20の左右位置調節機構について説明する。
図3は、苗植付装置5の移植具20近傍における要部側面図であり、
図4は、要部平面図であり、
図5は要部背面図である。左右の移植具20は、それぞれ、左右方向の所定範囲において左右位置を調節可能とする左右位置調節機構を備えている。この左右位置調節機構は、
図3に示されるように、上下の昇降リンクで構成される上下動機構21の後部にリンクホルダ23を回動可能に設け、リンクホルダ23の後部に、機体の左右方向に延びる断面コの字形状のホッパ位置調節プレート24を装着し、このホッパ位置調節プレート24に取付位置を左右に調節可能なホッパホルダ25を連結して構成されており、このホッパホルダ25によって移植具20を支持するように構成されている。
【0052】
図4に示されるように、ホッパ位置調節プレート24は、その左右中央部をリンクホルダ23に取り付けられており、その左右幅は、移植具20を左右方向に位置調節可能とするため、ホッパホルダ25の左右幅よりも大幅に大きく設けられている。また、
図5に示されるように、ホッパ位置調節プレート24は、左右方向に亘って長孔が設けられており、この長孔に機体前側から位置決めボルトを挿通した状態で、ホッパホルダ25に形成したネジ孔に上記の位置決めボルトを差し込み、ホッパホルダ25の機体後側からナットで締結することで、ホッパ位置調節プレート24にホッパホルダ25を連結して固定することができる。このようにして、左右位置調節機構は、ホッパホルダ25を、ホッパ位置調節プレート24に設けた長孔の左右幅に亘る可動範囲で左右に摺動し、任意の位置でボルト留めすることにより、ホッパホルダ25の左右取付位置を調節できる。これにより、左右の植付具20,20の左右位置をそれぞれ調節することが可能となっている。
【0053】
また、左右位置調節機構は、上記のナットを緩めることで、ホッパホルダ25がホッパ位置調節プレート24に沿って左右方向に摺動可能となっており、移植具20の左右位置を容易に調節することができる。さらに、左右の移植具20の左右位置を変更可能とするために、移植具20に対して機体内側方向、機体外側方向のいずれにも移植具20の左右移動を妨げる部材が配置されていないので、苗植付装置5は、左右の苗同士の植付間隔、いわゆる条間が広くなる側にも狭くなる側にも自在に調節できるよう構成されている。その結果、この左右位置調節機構を備えた苗植付装置5によれば、苗の様々な栽培条件に対応することができる。
【0054】
なお、本実施形態における苗植付装置5は、条間を、30〜70cmの範囲で調節可能となっている。具体的には、左右位置調節機構によって、左右の移植具20を最大限機体外側寄りに移動させると70cmの条間が確保され、最大限機体内側寄りに移動させると30cmの条間が確保される。左右の移植具20の左右位置を調節可能に構成したことに伴い、後述するスクレーパ121及び覆土鎮圧輪37についても左右位置が調節可能に構成されている。
【0055】
また、上下動機構21を構成する上下の昇降リンク21A,21Bのうち、上側の昇降リンク21Aの機体前側は、植付昇降伝動ケース27の機体前側に設ける揺動出力軸に設けられた揺動カム26に装着される。揺動カム26はその中心を揺動出力軸に装着し、中心よりも外周位置に上側の昇降リンク21Aを連結することで、上側の昇降リンク21Aを上下回動と共に前後揺動し、移植具20を前後に揺動させるよう構成されている。
【0056】
ここで、移植具20は、上死点付近で苗を受け取るとき、移植具20の上部側が機体前寄り、下部側が機体後寄りになる傾斜姿勢となる配置構成とすることで、移植具20の傾斜により、移植具20内部で苗が落下し易くなるため、移植具20の入り口(上部側)近傍で苗が留まり、圃場に植え付けられなくなる不具合が防止される。また、移植具20が圃場に苗を植え付けるとき、地面に対して略垂直な姿勢を取る構成とすることにより、苗が傾いて植えられることが防止されるため、植付精度が向上する。
【0057】
植付昇降伝動ケース27の機体後側の出力軸に、クランクアームであるホッパ昇降アーム28が装着されており、このクランクアームの一側が上側の昇降リンク21Aの前後中央部付近に装着され、上側の昇降リンク21Aを所定軌跡で上下回動させる構成としている。下側の昇降リンク21Bは、上側の昇降リンク21Aに連動して上下回動する部材であり、上下の昇降リンク21は、略平行リンク構造を形成している。
【0058】
(スクレーパ)
次に、移植具20に付着した泥土を除去するためのスクレーパ121の構成について説明する。
図6のスクレーパ近傍の要部側面図に示されるように、上下動機構21の下方において機体に固定された取付部材25は、覆土具取付軸38の鉛直下方向にスクレーパステー取付軸201を備えており、このスクレーパステー取付軸201に、スクレーパステー202が回動可能に取り付けられている。このスクレーパステー202は、機体の前後方向に延びるように形成されており、前端が取付部材25と連結され、後端が機体後方へと延びるように設けられている。スクレーパステー202は、図示しない連動機構によって、上下動機構21による移植具20の上下動と連動して、スクレーパステー取付軸201を支点として後端を上下回動可能に構成されている。これにより、スクレーパステー202の後端に連結されたスクレーパ121が上下に可動可能な範囲を拡張するとともに、スクレーパステー202を移植具20の昇降動作と連動して上下動させることで、移植具20に付着した泥土を好適に掻取ることができる。なお、スクレーパステー202をスクレーパステー取付軸201に固定して取り付けることも可能である。
【0059】
スクレーパステー202の後端には、スプリング203によって付勢された回転カム204が取り付けられており、また、スクレーパ回動支点軸205が軸支されている。このスクレーパ回動支点軸205は、機体の左右方向に延びるよう形成されるとともに、回転カム204と連結され、該回転カム204と同期して軸を中心に回動するように構成されている。また、スクレーパ回動支点軸205の軸上には、該軸に対して略垂直方向に延びるスクレーパアーム取付軸206が取り付けられて固定されている。このスクレーパアーム取付軸206は、
図6に示されるように、上端側がスクレーパ回動支点軸205に対して垂直に取り付けられており、スクレーパ回動支点軸205の回動によって下端側が回動するように構成されている。このスクレーパアーム取付軸206の下端に、スクレーパ121の前端が取り付けられており、スクレーパ121の姿勢がスクレーパアーム取付軸206の軸心に対して垂直となるように設けられている。
【0060】
このようにして、スクレーパステー202上に設けられた弾性部材であるスプリング203の弾性力によって、回転カム204、スクレーパ回動支点軸205及びスクレーパアーム取付軸206がそれぞれ付勢され、その結果、スクレーパ121が上方に付勢されるように構成されており、スクレーパアーム取付軸206が、スクレーパ回動支点軸205を回動支点として回動することで、該スクレーパアーム取付軸206に取り付けられたスクレーパ121が上下に回動するように構成されている。
【0061】
なお、スクレーパ回動支点軸201は、上下動機構21の作動範囲よりも下方に配置され、かつ、センサプレート14、回動スタンド401の作動範囲よりも上方に配置されることで、それぞれが干渉しないように構成されている。さらに、回動スタンド401及びセンサプレート14の回動支点は、スクレーパ121の回動支点となるスクレーパ回動支点軸201よりも下方に設けられており、これにより、回動スタンド401及びセンサプレート14を回動させる際に、スクレーパ121との干渉が防止される。
【0062】
さらに、スプリング203によって付勢された回転カム204の作用により、スクレーパ121は、スクレーパ回動支点軸205を支点として、上方へ回動するように付勢されており、これにより、
図6の位置(A)で示されるように、外力を受けていない通常時は、前端から後端に向けて立ち上がるように傾斜した状態(傾斜姿勢)となるように構成されている。なお、スクレーパ121は、図示しない着脱可能な係止ピンによりスクレーパ121を係止されることで、スクレーパ121の上方への回動上限が設定されており、傾斜姿勢におけるスクレーパ121の傾斜角度は、例えば、水平方向に対して約30度となるように設けられる。ここで、スクレーパ121は、この係止ピンを着脱して取付位置を調節することにより、傾斜姿勢における傾斜角度は変更可能となっており、これにより、移植具20の大きさや植付動作時の下端軌跡等に応じて最適な傾斜角度に調節できるよう構成されている。
【0063】
このように構成されたスクレーパ121は、
図6の位置(A)で示される傾斜姿勢の状態から、移植具20の下降動作によって移植具20と接触して、上方からの外力を受けると、傾斜姿勢からスクレーパ回動支点軸205を回動支点として下方へと回動する。この際、
図6の位置(B)で示されるように、スクレーパ121が前端から後端にかけて水平となる状態(水平姿勢)が回動範囲の下限となるように構成されている。なお、この水平姿勢時において、スクレーパ121は、図示しない係止ピンにより下方への回動が規制されている。
【0064】
このようにして、スクレーパ121は、移植具20の下端部が軌跡A上を移動して昇降動作する際、移植具20が位置(U)で示される上昇上端位置にあるとき、位置(A)で示される傾斜姿勢となっており、移植具20が上昇上端位置から下降動作して、移植具20がスクレーパ121に接触すると、摩擦力によって、移植具20の下降動作とともに、傾斜姿勢からスクレーパ回動支点軸205を回動支点として下方へと回動し、移植具20が位置(D)で示される下降下端位置に至ると、
図3の位置(B)で示される水平姿勢となるように構成されている。
【0065】
さらに、スクレーパ121は、移植具20が下降下端位置から上昇動作すると、スプリング203による上方への付勢力により、移植具20の上昇動作に従動して、水平姿勢からスクレーパ回動支点軸205を回動支点として上方へと回動し、再び傾斜姿勢となるように構成されている。
【0066】
このように、移植具20の昇降動作に応じて、スクレーパ121を、スクレーパ回動支点軸205を回動支点として上下に回動させる構成としたことにより、移植具20に対するスクレーパ121の接触機会及び接触面積を増加し、さらに、接触時間が長くなるため、泥土の掻取り効果を向上できる。加えて、スクレーパ121を、スプリング203による上方への付勢力によって上方回動し、移植具20との摩擦力により下方回動する構成としたことにより、簡易な構成で、移植具20の昇降動作に応じて、スクレーパ121を上下動させることができる。
【0067】
また、スクレーパ121が前端から後端にかけて水平となる状態(水平姿勢)が回動範囲の下限となるように構成されていることにより、圃場面との接触を防止できる。ここで、スクレーパ121が水平姿勢のまま機体が前進すると、スクレーパ121は圃場に植え付けられた苗のうち、地上に露出する茎葉部に接触する可能性がある。このとき、茎葉部が直線的でしなやかな苗や、上下長の短い苗であれば、この接触はさほど影響ないが、上下長が長く茎部が固い苗や、葉部が茎部から分岐して複数生えているものと接触すると、苗が押し倒されることや、茎部が折れる、葉部がちぎられるなど、傷付くおそれが存在する。
【0068】
そこで、スクレーパ121の前端部分を支点とし、植付具20によって圃場に苗が植付けられた後、植付具20の上昇動作によって、スプリング203の付勢力で後部側を上方に回動させる構成とすることで、簡易な構成で、機体の前進によってスクレーパ121が苗に接触する前に、好適に上方へと退避させて接触を回避できる。
【0069】
図7は、
図6の覆土具取付軸38及びスクレーパステー取付軸201近傍の概略平面図であり、
図8は、
図7の覆土具取付軸38及びスクレーパステー取付軸201の位置関係を説明するための概略背面図である。
【0070】
図7及び
図8に示されるように、機体の左右方向に延びるように形成された覆土具取付軸38及びスクレーパステー取付軸201は、高さを互いに異ならせ、かつ、覆土具取付軸38の下方にスクレーパステー取付軸201が位置するように配設され、平面視において両者は重なるように配設されている。また、
図8に示されるように、覆土具取付軸38には、上部ボス部207,207を介して、左右の覆土具フレーム39,39が取り付けられており、スクレーパステー取付軸201には、下部ボス部208,208を介して、左右のスクレーパステー202,202が取り付けられている。詳細には、平面視における上部ボス部207,207及び下部ボス部208,208の左右方向における取付位置は、略同一となっているが、覆土具フレーム39,39は、上部ボス部207,207の内側端部にそれぞれ配設されており、スクレーパステー202,202は、下部ボス部208,208の外側端部にそれぞれ配設されている。このようにして、左右のスクレーパステー202,202は、左右の覆土具フレーム39の外側に配設され、左右位置を異ならせて配設されており、両者の干渉を防止する構成となっている。また、スクレーパ121の後端部は覆土具37である覆土鎮圧輪37の前方までの長さとなるように設けられており、これにより、覆土鎮圧輪37への干渉が防止される。
【0071】
さらに、
図7に示されるように、左右のスクレーパ121,121の左右幅は、それぞれ、覆土具37である覆土鎮圧輪の左右幅よりも狭く設けられている。すなわち、
図7において、左右の覆土鎮圧輪37,37は、それぞれ、覆土具フレーム39取り付けられた2つ鎮圧輪によって構成されているが、この2つの鎮圧輪の左端及び右端よりも内側にスクレーパ121が納まるように配設されている。これにより、スクレーパ121と障害物との接触が防止し、スクレーパ121の故障を防止するとともに作動を妨げることのないように構成されている。加えて、覆土鎮圧輪37が上下動しても、スクレーパ121に接触する事態が防止され、これにより、接触による破損が防止される。さらに、スクレーパ121が覆土鎮圧輪37に干渉して、覆土鎮圧輪37が押し下げられ、苗の周囲の土を固めすぎ、苗の生育に影響が生じることを防止できる。
【0072】
下部ボス部208,208は、クレーパステー取付軸201の軸上で左右にスライドして固定可能に構成されており、これにより、左右のスクレーパステー202,202のスクレーパステー取付軸201に対する取付位置は左右に変更可能となっている。その結果、移植具20の作動位置や大きさに応じて、スクレーパ121の位置が左右に調節できるように構成されている。また、上部ボス部207,207が、覆土具取付軸38の軸上で左右にスライド移動可能に構成されていることにより、左右の覆土具フレーム39,39の覆土具取付軸38に対する取付位置が左右に変更可能となっており、これにより、覆土鎮圧輪37,37の左右位置が調節可能となっている。その結果、移植具20の左右の位置調節による条間調節に応じて、スクレーパ121,121及び左右の覆土鎮圧輪37,37の左右の位置を調節できる。これにより、移植具20の左右の位置が変更されることによって、スクレーパ121が土落とし作用できず移植具の土中への進入深さが浅くなるとともに、覆土鎮圧輪37で植え付けた苗を踏みつぶしてしまう問題を防止できる。
【0073】
また、左右のスクレーパステー202,202及びスクレーパ121,121は、
図7に示されるように、左右対称に構成されており、これにより、部品点数の増加を抑え、低コスト化を図ることができる。
【0074】
図9(a)は、
図1のスクレーパ121の要部平面図、
図9(b)は、スクレーパ121の要部側面図、
図9(c)は、スクレーパ121の要部背面図である。
【0075】
スクレーパ121は、弾性板材によってスクレーパ板122,122を構成し、このスクレーパ板122,122を支持する左右のスクレーパアーム123,123を設け、左右のスクレーパアーム123,123の前端側を基部124の両端にそれぞれ固定する。左右のスクレーパアーム123,123に、左右のスクレーパ板122,122が対向するようにして、それぞれ取り付けられる。また、左右のスクレーパアーム123,123は、
図9(a)において、左右の間隔が機体後方に向かうにつれてやや近接するように設けられているが、植付具20の形状や大きさに応じ、左右の間隔が均等となるように略平行に設けてもよい。
【0076】
図9(b)に示されるように、スクレーパ板122,122は、側面視で、スクレーパアーム123,123に対して、下方へと屈曲し、下方に形成された下方掻取部122Aと、下方掻取部122Aよりも上方へと屈曲され、スクレーパアーム123,123に対して上方に形成された上方掻取部122Bが連続するようにして設けられている。
【0077】
下方掻取部122Aは、平面視で、スクレーパアーム123,123に対して、左右間の中央側にかけて下降傾斜するとともに、
図9(c)に示されるように、上側から下側に向かうにつれて左右のスクレーパ板122,122が互いに近接するようにして、左右間が幅狭となるように設けられた下側傾斜部122a,122aと、該下側傾斜部122a,122aの下端で左右のスクレーパ板122,122が互いに接して形成された下部接触部122c,122cと、を備えて構成されており、上方掻取部122Bは、平面視で、スクレーパアーム123,123に対して、左右間の中央側に上昇傾斜するとともに、下側から上側に向かうにつれて左右のスクレーパ板122,122が互いに近接するようにして、左右間が幅狭となるように設けられた上側傾斜部122b,122bと、該上側傾斜部122b,122bの上端が互いに接して形成された上部接触部122d,122dと、上側傾斜部122b,122bの上端部において左右のスクレーパ板122,122を連結する連結部材127と、を備えて構成されている。連結部材127は、例えば、ボルト、ナット等を用いることができる。
【0078】
スクレーパ板122,122の下方掻取部122Aには、平面視で、左右方向に略平行な複数の切込み128aが設けられており、上方掻取部122Bには、左右方向に対して傾斜した複数の切込み128bが複数設けられている。このように、切込み128a,128bを設けたことにより、移植具20とスクレーパ板122,122の接触する面積を増加するとともに、切込み部分が移植具20の外周に当接しながら滑動することにより、泥土の掻取り効果をさらに向上できる。なお、下方掻取部122Aは移植具20と接触していないとき、自重によりスクレーパアーム123,123から機体下方に垂れ下がるように構成されており、移植具20と接触して下方に屈曲したスクレーパ板122,122は、移植具20との接触が解除されると、弾性力によって接触前の姿勢に復帰するように構成されている。
【0079】
このようにスクレーパ121を構成した移植機1による植付走行においては、タマネギ等の苗を受けたくちばし状の移植具20が、機体側面視でループ状の下端軌跡(移植具20の下端の移動軌跡)A(
図1及び
図3参照)に沿って昇降するとともに開閉動作して圃場に野菜苗を植付け、このとき、スクレーパ121は、移植具20を挟んで弾性部材による左右のスクレーパ板122,122を配置し、これら両スクレーパ板に互いに対向して接する接触部122c,122cを構成したことから、左右のスクレーパ板122,122の間で両接触部122c,122cの間に分け入って移植具20が下降動作するよう構成されている。
【0080】
また、下方掻取部122Aは、左右のスクレーパ板122,122の下側傾斜部122a,122aによって、移植具20の下降動作において、移植具20の下端が、両接触部122c,122cの間に分け入ることを容易とするとともに、下側傾斜部122a,122aの傾斜面が移植具20の外周部に接触することで、接触面積が増加するため、泥土の掻取り効果を向上できる。
【0081】
また、上方掻取部122Bは、移植具20の上昇動作において、上側傾斜部122b,122bの傾斜面が移植具20の外周部に接触することで、接触面積が増加するため、泥土の掻取り効果をさらに向上でき、さらに、上側傾斜部122b,122bの上端が互いに接して形成された上部接触部122d,122dによって、上昇動作する移植具20の泥土を好適に除去できる。
【0082】
図10(a)は、移植具20が下降下端位置にある場合のスクレーパ121の状態を示す略平面図であり、
図10(b)は、移植具20が下降下端位置から上昇上端位置に達する途中のスクレーパ121の状態を示す略平面図である。
移植具20が上昇上端位置から下降動作するとき、スクレーパ121の下方掻取部122Aが、移植具20の外周部の左右両側に接触して、摩擦力によってスクレーパ121が押し下げられる。これにより、スクレーパ121は、傾斜姿勢からスクレーパ回動支点軸205を回動支点として下方へと回動しながら、左右のスクレーパ板122,122が移植具20の対応する外周部の左右側面にそれぞれ作用するとともに、移植具20は下降動作とともにやや前方に移動するよう構成されているため、これに応じ、移植具20の外周部の前側がスクレーパ板122,122に接触して、移植具20の外周部の前側に付着した泥土についても好適に除去することができる。
【0083】
移植具20の上昇動作の際は、移植具20が接触部122d,122dを左右に切り分けたまま上昇することにより、植付けに伴って新たに付着した泥土とともに付着泥土を掻取ることができる。さらに、
図10(b)に示されるように、移植具20が下降下端位置から上昇上端位置に達する途中において、移植具20はやや後方へと移動し、このとき、上方掻取部122Bが、移植具20の後側に作用することにより、移植具20の外周部の後側の付着泥土を掻取ることができる。この際、連結部材127によって、左右のスクレーパアーム123,123が過度に開くことが防止されているため、移植具20の外周部の後側を上方掻取部122Bが覆うように作用して、移植具20の後側に付着した泥土を確実に掻取ることができる。
【0084】
覆土具37との関連については、覆土具37を支持する覆土具フレーム39を前後方向に向けて配置し、その一端を左右方向に延びる覆土具取付軸38に軸支して所定の範囲で回動昇降可能に構成するとともに、同覆土具取付軸38に沿って左右方向に位置調節可能に支持し、この覆土具フレーム39の回動上限より高位置に前記スクレーパアーム123,123を配置することにより、スクレーパ121と近接する覆土具フレーム39との干渉を招くことなく、移植具20の上動時に、移植具20に付着する土の除去作用を向上することができる。
【0085】
(別構成例1)
次に、スクレーパ121の別構成例について説明する。
図9(a)ないし
図9(c)において、スクレーパ121は、左右のスクレーパ板122,122の後端部側を連結部材127で連結するように構成したが、連結部材127を取り外して構成してもよく、さらには、連結部材127を取り外した構成とするとともに左右のスクレーパ板122,122の後端部側において上側掻取部122Bを設けず、機体後端部で左右のスクレーパ板122,122の端部同士が上方には略突出しない形状で重なり合うように左右のスクレーパ122,122を形成してもよい。
【0086】
このように構成することで、左右のスクレーパ板122,122の後端部側を連結部材127で連結していると、葱や接ぎ木苗等の上下方向に丈の長い苗を植え付けたとき、スクレーパ121が後上がり傾斜姿勢になっても苗に接触して、植え付けられた苗を倒したり、折ってしまったりする問題を解消することができる。これにより、かかる問題の発生によって、倒れた苗を起こす作業や、折れた苗の代わりの苗を植え付ける作業が必要となり、余分な時間と労力が必要になると共に、余分に苗を消費する事態を防止することができる。同時に、移植具20が離間して、スクレーパ板122,122が自身の弾性とスプリング203の付勢力により上方に復帰しようとする際、下側掻取部122Aが十分に上方に移動しなくなる事態が防止され、これにより、移植具20が下降時に接触するタイミングが遅くなり、土の付着量や付着位置によってはスクレーパ121が十分に作用せず、移植具20に土が蓄積し、移植具20の昇降時に上下動機構21にかかる負荷が増大する問題や、土中に十分進入できず、苗の植付深さが浅くなる問題を防止できる
【0087】
さらに、連結部材127を取り外した構成とすることにより、左右のスクレーパ板122,122が各々自由に撓んで変形し易くなり、これにより、左右のスクレーパ板122,122が苗に接触しても撓むことで、苗を倒し、あるいは接触により苗が折れることを防止し易くなり、その結果、時間と労力の浪費や、余分な苗の消費が抑えられる。加えて、スクレーパ板122,122が上方に復帰する際、機体後部側も同様に復帰できるので、移植具20が下降してきて接触するタイミングが遅くなることが防止され、付着した土を確実に除去できる。これにより、上下動機構21に強い負荷がかかることが防止され、耐久性の低下が抑えられると共に、苗の植付深さが浅くなり、成長に影響が出ることが防止される。
【0088】
(別構成例2)
図9(a)ないし
図9(b)において、スクレーパ板122,122を支持する左右のスクレーパアーム123,123を設け、左右のスクレーパアーム123,123の前端側を基部124の両端にそれぞれ固定する構成としたが、このスクレーパ板122,122を左右に可動支持するように左右のスクレーパアーム123,123を設け、それぞれの前端を基部124に軸支し、後端を開閉可能な可動端として構成してもよい。この場合、スクレーパ板122,122の左右間を閉じるようにして、スクレーパ板122,122の前端部分をスプリングなどの弾性部材で連結し、スクレーパ板122,122を連結付勢する。これにより、移植具20の径に合わせて、接触するスクレーパ板122,122の左右間が弾性力により調節されて好適に泥を掻取ることができる。
【0089】
(別構成例3)
図6において、取付部材25にスクレーパステー取付軸201を設け、このスクレーパステー取付軸201に、スクレーパステー202を設け、スクレーパ121を連結する構成としたが、移植具20にスクレーパ121´を取り付ける構成としてもよい。詳細には、
図11(a)に示されるように、移植具20を開閉させる開閉機構である開閉ガイド301の左右両側に摺動ボス部302,302を設け、該摺動ボス部302,302に上下に摺動自在に摺動ロッド303,303を設けるとともに、該摺動ロッド303,303を上方に付勢するロッドスプリング304,304をそれぞれ設けてスクレーパ上下動機構を構成するとともに、摺動ロッド303,303の下端に、傾斜角度が調節可能なスクレーパ板305,305を設け、摺動ロッド303,303に外力が加わっていない状態において移植具20にスクレーパ板305が干渉する構成とする。ここで、スクレーパ板305,305の傾斜角度を調節可能としたことにより、移植具20の円錐角度に合わせて、スクレーパ板305,305の傾斜角度を調節することで、泥土の掻取り効果を向上できる。
【0090】
さらに、
図11(b)に示されるように、移植機1の機体に、摺動ロッド303,303の上端を押圧可能な板状部材である押圧プレート306を設け、移植具20が、上昇動作して、上昇上端位置近傍に位置するときに、該押圧プレート306に摺動ロッド303,303の上端が当接して押し下げられ、摺動ロッド303,303と干渉状態であったスクレーパ板305,305が移植具20に対して下方に移動することで、移植具20の外周部に付着した泥土を掻取る。また、移植具20が、下降動作するときに、該押圧プレート306に摺動ロッド303,303の上端への押圧が解除されて、スクレーパ板305,305が移植具20に対して上方に移動して干渉状態となるように構成する。これにより、苗を保持していない移植具20の上昇動作中に、移植具20の外周部に付着した泥土を掻取ることができ、移植具20が下降動作すると、スクレーパ板305,305が移植具20に対して上方に移動するため、スクレーパ121´が圃場に接触することや、苗の植付を妨げることを防止できる。
【0091】
なお、
図12に示されるように、押圧プレート306は、例えば、苗供給装置6の底部に設けることができる。また、押圧プレート306は高さ位置を調節可能に機体に取り付けることで、移植具20の上下方向の大きさ等に応じて、スクレーパ板305,305の下方に移動する距離を調節することが可能となる。