特許第6880494号(P6880494)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6880494分類装置の製造方法、画像の分類方法、画像の分類装置、半導体の検査装置および分類基準モジュール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6880494
(24)【登録日】2021年5月10日
(45)【発行日】2021年6月2日
(54)【発明の名称】分類装置の製造方法、画像の分類方法、画像の分類装置、半導体の検査装置および分類基準モジュール
(51)【国際特許分類】
   G06F 16/55 20190101AFI20210524BHJP
   H01L 21/66 20060101ALI20210524BHJP
【FI】
   G06F16/55
   H01L21/66 J
【請求項の数】8
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2017-60371(P2017-60371)
(22)【出願日】2017年3月27日
(65)【公開番号】特開2018-163527(P2018-163527A)
(43)【公開日】2018年10月18日
【審査請求日】2019年12月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100113608
【弁理士】
【氏名又は名称】平川 明
(74)【代理人】
【識別番号】100123319
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 武彦
(74)【代理人】
【識別番号】100123098
【弁理士】
【氏名又は名称】今堀 克彦
(74)【代理人】
【識別番号】100125357
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 剛
(72)【発明者】
【氏名】松村 明
【審査官】 吉田 誠
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−256480(JP,A)
【文献】 特開2006−266872(JP,A)
【文献】 特開2011−100459(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 16/00−16/958
H01L 21/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
注目対象である第1種別または前記第1種別以外の第2種別に入力された画像を分類する分類装置の製造方法であって、
コンピュータが、
入力された前記第1種別の画像各々の特徴を示す特徴量を取得し、前記第1種別の画像各々の特徴量と前記第1種別を示す情報との第1対応関係を記憶する第1ステップと、
前記第2種別に属する画像から選択された第2画像および前記第2画像と所定の関係を有する第3画像が入力されると、前記第2画像および前記第3画像各々の特徴を示す特徴量を取得し、前記第2画像および前記第3画像各々の特徴量と前記第2種別を示す情報との第2対応関係を記憶する第2ステップと、
前記第1対応関係と前記第2対応関係に基づいて、入力された画像を分類する基準を決定する第3ステップと、
決定した前記基準を分類装置に適用する第4ステップと、を実行し、
前記第2画像は、特徴量空間における前記第1種別の画像からユークリッド距離が遠いものから優先して選択される、
分類装置の製造方法。
【請求項2】
前記コンピュータは、
前記第1種別に属する画像を前記分類装置に入力し、前記第1種別に属する画像のうち、決定された前記基準によって前記第2種別に分類される画像が存在する場合、前記第2ステップで記憶された前記第2対応関係を削除するステップ、をさらに実行する
請求項1に記載の分類装置の製造方法。
【請求項3】
前記基準は、前記第1対応関係と前記第2対応関係に基づいて決定された識別関数である、
請求項1または2に記載の分類装置の製造方法。
【請求項4】
前記第2画像は、乱数によって選択される、
請求項1から3のいずれか一項に記載の分類装置の製造方法。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の分類装置の製造方法で製造された分類装置が、
画像の入力を受け付けるステップと、
入力された前記画像を決定された前記基準に基づいて、前記第1種別または前記第2種別に分類するステップと、を実行する、
画像の分類方法。
【請求項6】
記憶部と前記記憶部に接続されたプロセッサを備え、注目対象である第1種別または前記第1種別以外の第2種別に入力された画像を分類する画像の分類装置であって、
前記プロセッサが、
入力された前記第1種別の画像各々の特徴を示す特徴量を取得し、前記第1種別の画像各々の特徴量と前記第1種別を示す情報との第1対応関係を記憶し、
前記第2種別に属する画像から選択された第2画像および前記第2画像と所定の関係を有する第3画像が入力されると、前記第2画像および前記第3画像各々の特徴を示す特徴量を取得し、前記第2画像および前記第3画像各々の特徴量と前記第2種別を示す情報との第2対応関係を記憶し、
前記第1対応関係と前記第2対応関係に基づいて、入力された画像を分類する基準を決定し、
前記基準に基づいて、入力された画像を前記第1種別または前記第2種別に分類
前記第2画像は、特徴量空間における前記第1種別の画像からユークリッド距離が遠いものから優先して選択される、
画像の分類装置。
【請求項7】
記憶部と前記記憶部に接続されたプロセッサを備え、半導体の欠陥部分を撮影した欠陥画像を注目対象である第1欠陥を含む欠陥画像または前記第1欠陥以外の第2欠陥を含む欠陥画像のいずれかに分類する半導体の検査装置であって、
前記プロセッサが、
入力された前記第1欠陥を含む欠陥画像各々の特徴を示す特徴量を取得し、前記第1欠陥を含む欠陥画像各々の特徴量と前記第1欠陥を示す情報との第1対応関係を記憶し、
前記第2欠陥を含む欠陥画像から選択された第2欠陥画像および前記第2欠陥画像と所定の関係を有する第3欠陥画像が入力されると、前記第2欠陥画像および前記第3欠陥画像各々の特徴を示す特徴量を取得し、前記第2欠陥画像および前記第3欠陥画像各々の特徴量と前記第2欠陥を示す情報との第2対応関係を記憶し、
前記第1対応関係と前記第2対応関係に基づいて、入力された欠陥画像を分類する基準を決定し、
前記基準に基づいて、入力された欠陥画像を前記第1欠陥を含む欠陥画像または前記第2欠陥を含む欠陥画像に分類
前記第2画像は、特徴量空間における前記第1種別の画像からユークリッド距離が遠いものから優先して選択される、
半導体の検査装置。
【請求項8】
注目対象である第1種別または前記第1種別以外の第2種別に入力された画像を分類する分類装置で用いられる分類基準モジュールであって、
入力された前記第1種別の画像各々の特徴を示す特徴量を取得し、前記第1種別の画像各々の特徴量と前記第1種別を示す情報との第1対応関係を記憶する第1ステップと、
前記第2種別に属する画像から選択された第2画像および前記第2画像と所定の関係を有する第3画像が入力されると、前記第2画像および前記第3画像各々の特徴を示す特徴量を取得し、前記第2画像および前記第3画像各々の特徴量と前記第2種別を示す情報との第2対応関係を記憶する第2ステップと、
前記第1対応関係と前記第2対応関係に基づいて、入力された画像を分類する基準を決定する第3ステップと、を含む、工程によって決定された基準をもとに画像を分類し
前記第2画像は、特徴量空間における前記第1種別の画像からユークリッド距離が遠いものから優先して選択される、
分類基準モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分類装置の製造方法、画像の分類方法、画像の分類装置、半導体の検査装置および分類基準モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体基板を撮影した画像の分類にAutomatic Defect Classification(自動欠陥分類
、ADC)およびAutomatic Defect Review(自動欠陥レビュー、ADR)に例示される
機械学習を利用した装置が利用されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−283584号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
機械学習では、あらかじめ用意された教師データが分類装置に入力される。教師データは、例えば、画像と画像の分類先を示す種別との組み合わせを含む。分類装置は、入力された教師データに基づいて、入力データを分類する分類基準を決定する。分類装置の分類性能は、例えば、再現率によって評価される。再現率は、種別毎の正答数と教示した教師データの数の割合である。種別毎に用意された教師データの数が不均衡である場合、多数の教師データを用意できた種別の再現率は高くなる一方で、少数の教師データしか用意できなかった種別の再現率は低くなる虞がある。
【0005】
そこで、開示の技術の1つの側面は、少数の画像しか用意できない種別の再現率を高めることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
開示の技術の1つの側面は、次のような分類装置の製造方法によって例示される。本分類装置の製造方法は、入力された画像が注目対象である第1種別または第1種別以外の第2種別に分類する分類装置の製造方法である。本分類装置の製造方法は、第1ステップにおいて、入力された第1種別の画像各々の特徴を示す特徴量を取得し、第1種別の画像各々の特徴量と第1種別を示す情報との第1対応関係を記憶する。第2ステップにおいて、第2種別に属する画像から選択された第2画像および入力された画像と同じ種別に属する画像を抽出する分類器によって第2画像と同じ種別と判定された第3画像が入力されると、第2画像および第3画像各々の特徴を示す特徴量を取得し、第2画像および第3画像各々の特徴量と第2種別を示す情報との第2対応関係を記憶する。第3ステップおいて、第1対応関係と第2対応関係に基づいて、入力された画像を分類する基準を決定する。
【0007】
このような発明によれば、注目対象である第1種別に分類される画像各々と第1種別を示す情報との第1対応関係が記憶される。さらに、第2種別に属する画像から選択された第2画像および第2画像と所定の関係を有する第3画像各々と第2種別を示す情報との第2対応関係が記憶される。所定の関係は、例えば、特徴量空間における第2画像と第3画像との距離が怠惰学習型の分類器によって近いと判定される関係である。第3画像の数に限定は無い。第3画像はひとつでも複数でもよい。本分類装置の製造方法では、第2種別に属する画像のすべてについて第2種別を示す情報との対応関係を記憶するのではなく、第2画像と所定の関係を有する第3画像各々について第2種別との対応関係を記憶する。
そのため、第2種別に分類される画像が第1種別に分類される画像より多い場合でも、対応関係として記憶される第2種別の画像の数は抑えられる。その結果、第2種別に分類される画像の数による影響を抑制し、第1種別に分類される画像の再現率を高めることができる。
【0008】
さらに、本発明は次の特徴を有してもよい。第2ステップは、第1種別に属する画像を分類装置に入力し、第1種別に属する画像のうち、決定された基準によって第2種別に分類される画像が存在する場合、第2ステップで記憶された第2対応関係を削除するステップをさらに含む。このような特徴を有することで、第1種別に分類される画像の再現率を低下させる虞のある画像を記憶した対応関係から削除することができる。
【0009】
さらに、本発明で決定される基準は、識別関数型分類器で用いられる識別関数であってもよい。また、第2画像は乱数によって決定されてもよい。さらに、本発明は、画像の分類方法、画像の分類装置、半導体の検査装置および分類基準モジュールとして把握することも可能である。
【発明の効果】
【0010】
本分類装置の製造方法は、少数の画像しか用意できない種別の再現率を高めた分類装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係る半導体検査装置の一例を示す図である。
図2】特徴量空間における注目欠陥の分布と通常欠陥の分布の一例を示す図である。
図3】分類装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図4】分類装置の処理ブロックの一例を示す図である。
図5】実施形態に係る分類装置による識別関数を決定する処理フローの一例を示す第1の図である。
図6】実施形態に係る分類装置による識別関数を決定する処理フローの一例を示す第2の図である。
図7図5のOP3で選択された欠陥画像の特徴量空間における位置の一例を示す図である。
図8図5のOP4で第1分類器が第n通常欠陥として分類した欠陥画像の特徴量空間における分布の一例を示す図である。
図9】再代入法により、注目欠陥として教示した欠陥画像が誤って通常欠陥に分類される場合の特徴量空間の一例を示す図である。
図10図6のOP13から処理が遷移した図5のOP2、OP3で選択された欠陥画像の特徴量空間における位置の一例を示す図である。
図11図6のOP13から処理が遷移した後の図5のOP4で第1分類器が第n通常欠陥として分類した欠陥画像の特徴量空間における分布の一例を示す図である。
図12図5および図6の処理を繰り返した結果、決定された識別関数の一例を示す図である。
図13】第2分類器の分類性能の一例を示す第1の図である。
図14】第2分類器の分類性能の一例を示す第2の図である。
図15】第2分類器の分類性能の一例を示す第3の図である。
図16】比較例に係る分類装置が決定した識別関数の一例を示す図である。
図17】比較例に係る分類装置の分類性能の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、実施形態について説明する。以下に示す実施形態の構成は例示
であり、開示の技術は実施形態の構成に限定されない。
【0013】
≪実施形態≫
図1は、実施形態に係る半導体検査装置1の一例を示す図である。半導体検査装置1は、分類装置100と半導体撮影装置200とを含む。分類装置100と半導体撮影装置200とは、内部ネットワークN1によって相互に接続される。
【0014】
半導体検査装置1は、半導体基板を撮影し、撮影した画像を基に半導体基板の欠陥を検出する装置である。半導体検査装置1が検出する半導体基板の欠陥には、半導体検査装置1を運用する運用者が注目する注目欠陥と注目欠陥以外の通常欠陥とが含まれる。注目欠陥は、例えば、発生確率は低いものの見逃すと半導体基板の品質に大きな影響を与え得る欠陥である。通常欠陥は、例えば、発生確率は注目欠陥より高いものの、見逃しても半導体基板の品質に大きな影響は及ぼさないものである。
【0015】
半導体撮影装置200は、半導体基板を撮影する撮影装置である。半導体撮影装置200は、半導体基板を撮影する。半導体撮影装置200は、撮影した画像が欠陥箇所を含む欠陥画像である場合、欠陥画像を内部ネットワークN1を介して分類装置100に送信する。
【0016】
分類装置100は、半導体撮影装置200から受信した欠陥画像を分類する情報処理装置である。分類装置100は、入力された欠陥画像を注目欠陥および通常欠陥のいずれかに分類する。分類装置100は、欠陥画像を分類する分類基準を機械学習によって決定する。
【0017】
<機械学習>
機械学習では、あらかじめ用意された教師データが分類装置100に入力される。教師データは、例えば、欠陥画像と当該欠陥画像の分類先を示す種別との組み合わせを含む。分類装置100は、教師データが入力されると、入力された教師データに含まれる欠陥画像の特徴量を抽出する。特徴量は、例えば、欠陥画像上における欠陥部分の周囲長、欠陥部分の面積、平均階調値等を含む。実施形態に係る分類装置100は、欠陥画像から複数種類の特徴量を抽出する。抽出した特徴量の組合わせは、特徴量ベクトルと称される。分類装置100は、教師データに含まれる欠陥画像の特徴量ベクトルと種別とを記憶する。分類装置100は、複数の教師データに対してこのような処理を行うことで、「注目欠陥」に分類される欠陥画像の特徴量ベクトルの傾向と、「通常欠陥」に分類される欠陥画像の特徴量ベクトルの傾向を学習する。分類装置100は、学習した特徴量ベクトルの傾向に基づいて、入力された欠陥画像の分類を行う。
【0018】
<注目欠陥と通常欠陥の特徴量空間における分布>
図2は、特徴量空間における注目欠陥と通常欠陥の分布の一例を示す図である。特徴量空間は、抽出した各特徴量を座標軸に割り当てた座標空間である。図2では、横軸に第1特徴量をとり、縦軸に第2特徴量をとった2種類の特徴量による特徴量空間が例示されている。分類装置100は、多数の(例えば、100〜1000種類の)特徴量を欠陥画像から抽出可能であるが、本実施形態では説明の便宜上、第1特徴量と第2特徴量の2種類の特徴量が抽出されたものとする。図2では、各欠陥画像の特徴量ベクトルの位置を特徴量空間上にプロットし、その分布は注目欠陥の分布域T1および通常欠陥の分布域T2として例示されている。図2の特徴量空間では、データ数の少ない注目欠陥の分布域T1は比較的集中した分布となっており、データ数の多い通常欠陥の分布域T2は比較的広範囲に拡散した分布となっている。注目欠陥と通常欠陥とはいずれも半導体基板の欠陥であるため、特徴量空間において、注目欠陥の分布域T1と通常欠陥の分布域T2とは近接していたり、通常欠陥の分布域T2が注目欠陥の分布域T1の一部または全部を包含していた
りする。そのため、注目欠陥の分布域T1と通常欠陥の分布域T2とが近接している部分における、注目欠陥の特徴量ベクトルの傾向と通常欠陥の特徴量ベクトルの傾向は類似していると考えられる。その結果、あらかじめ収集された教師データをそのまま分類装置100に入力して機械学習を行った場合、分類装置100は注目欠陥を通常欠陥と誤分類する可能性の高い分類装置となる虞がある。
【0019】
<ハードウェア構成>
図3は、分類装置100のハードウェア構成の一例を示す図である。分類装置100は、Central Processing Unit(CPU)101、主記憶部102、補助記憶部103、通
信部104および接続バスB1を含む。CPU101、主記憶部102、補助記憶部103および通信部104は、接続バスB1によって相互に接続されている。
【0020】
CPU101は、マイクロプロセッサユニット(MPU)、プロセッサとも呼ばれる。CPU101は、単一のプロセッサに限定される訳ではなく、マルチプロセッサ構成であってもよい。また、単一のソケットで接続される単一のCPU101がマルチコア構成を有していても良い。分類装置100では、CPU101が補助記憶部103に記憶されたプログラムを主記憶部102の作業領域に展開し、プログラムの実行を通じて周辺装置の制御を行う。これにより、分類装置100は、所定の目的に合致した処理を実行することができる。主記憶部102および補助記憶部103は、分類装置100が読み取り可能な記録媒体である。
【0021】
主記憶部102は、CPU101から直接アクセスされる記憶部として例示される。主記憶部102は、Random Access Memory(RAM)およびRead Only Memory(ROM)を含む。
【0022】
補助記憶部103は、各種のプログラムおよび各種のデータを読み書き自在に記録媒体に格納する。補助記憶部103は外部記憶装置とも呼ばれる。補助記憶部103には、オペレーティングシステム(Operating System、OS)、各種プログラム、各種テーブル等が格納される。OSは、通信部104を介して接続される外部装置等とのデータの受け渡しを行う通信インターフェースプログラムを含む。補助記憶部103に記憶されるプログラムとしては、例えば、第1分類プログラム2Aおよび第2分類プログラム2Bが挙げられる。第1分類プログラム2Aは、例えば、怠惰学習型の分類器による処理が記載されたプログラムである。第2分類プログラム2Bは、例えば、識別関数型の分類器による処理が記載されたプログラムである。外部装置等には、例えば、コンピュータネットワーク等で接続された、他の情報処理装置および外部記憶装置が含まれる。なお、補助記憶部103は、例えば、ネットワーク上のコンピュータ群であるクラウドシステムの一部であってもよい。
【0023】
補助記憶部103は、例えば、Erasable Programmable ROM(EPROM)、ソリッド
ステートドライブ(Solid State Drive、SSD)、ハードディスクドライブ(Hard Disk
Drive、HDD)等である。また、補助記憶部103は、例えば、Compact Disc(CD)ドライブ装置、Digital Versatile Disc(DVD)ドライブ装置、Blu-ray(登録商標)Disc(BD)ドライブ装置等である。また、補助記憶部103は、Network Attached Storage(NAS)あるいはStorage Area Network(SAN)によって提供されてもよい。
【0024】
通信部104は、例えば、内部ネットワークN1とのインターフェースである。通信部104は、内部ネットワークN1を介して半導体撮影装置200と通信を行う。
【0025】
分類装置100は、例えば、ユーザ等からの操作指示等を受け付ける入力部をさらに備えてもよい。このような入力部として、キーボード、ポインティングデバイス、タッチパ
ネル、加速度センサーあるいは音声入力装置といった入力デバイスを例示できる。
【0026】
分類装置100は、例えば、CPU101で処理されるデータや主記憶部102に記憶されるデータを出力する出力部を備えるものとしてもよい。このような、出力部として、Cathode Ray Tube(CRT)ディスプレイ、Liquid Crystal Display(LCD)、Plasma
Display Panel(PDP)、Electroluminescence(EL)パネル、有機ELパネルある
いはプリンタといった出力デバイスを例示できる。
【0027】
<分類装置100の処理ブロック>
図4は、分類装置100の処理ブロックの一例を示す図である。分類装置100は、第1分類器3および第2分類器4を含む。分類装置100は、主記憶部102に実行可能に展開されたコンピュータプログラムをCPU101が実行することで、上記分類装置100の、第1分類器3および第2分類器4等の各部としての処理を実行する。
【0028】
第1分類器3は、例えば、怠惰学習型の分類器である。第1分類器3は、例えば、k最近傍法によって入力された欠陥画像の分類を行う。k最近傍法では、例えば、予め入力された欠陥画像が基準画像となる。k最近傍法では、入力された欠陥画像と基準画像との特徴量空間におけるユークリッド距離が近いと、入力された欠陥画像は、基準画像と同じ種別に分類される。第1分類器3は、分類装置100のCPU101が第1分類プログラム2Aを実行することで実現される。
【0029】
第2分類器4は、例えば、識別関数型の分類器である。第2分類器4は、入力された欠陥画像を識別関数に基づいて分類する。識別関数は、例えば、特徴量空間における注目欠陥の分布と通常欠陥の分布の境界を示す関数である。第2分類器4は、入力された教師データに基づいて、識別関数を決定する。第分類器は、分類装置100のCPU101が第2分類プログラム2Bを実行することで実現される。
【0030】
<処理フロー>
図5および図6は、実施形態に係る分類装置100による識別関数を決定する処理フローの一例を示す図である。以下で説明する処理フローでは、20603枚の欠陥画像があらかじめ用意される。あらかじめ用意された欠陥画像のうち、189枚の注目欠陥画像が作業者の目視によって抽出されている。図5および図6による処理フローによって、分類装置100は、注目欠陥と通常欠陥の分類に用いる識別関数を決定する。以下、図5および図6を参照して、実施形態に係る分類装置100による識別関数を決定する処理フローの一例について説明する。
【0031】
OP1では、あらかじめ用意された189枚の注目欠陥画像が教師データとして第2分類器4に入力される。第2分類器4は、入力された注目欠陥画像の種別が注目欠陥であることが教示される。教示された結果は、例えば、補助記憶部103に記憶される。さらに、分類装置100は、変数nの値を1に初期化する。注目欠陥は、「第1種別」および「第1欠陥」の一例である。OP1で教示された結果は、「第1対応関係」の一例である。OP1の処理は、「入力された前記第1種別の画像各々の特徴を示す特徴量を取得し、前記第1種別の画像各々の特徴量と前記第1種別を示す情報との第1対応関係を記憶する第1ステップ」の一例である。
【0032】
OP2では、特徴量空間において、注目欠陥画像から距離が遠い欠陥画像があるか否かが判定される。注目欠陥画像から距離が遠い欠陥画像とは、例えば、注目欠陥画像に似ていない欠陥画像である。この距離は、例えば、欠陥画像間の特徴量空間におけるユークリッド距離である。距離が遠い欠陥画像は、例えば、作業者が目視で選択する。距離が遠い欠陥画像がある場合(OP2でYES)、処理はOP3に進められる。距離が遠い欠陥画
像が無い場合(OP2でNO)、第2分類器4は、それまでに教示された結果から識別関数を決定して、処理は終了される。教示された結果から識別関数を決定する処理は、様々な公知の技術を採用可能である。決定された識別関数は、例えば、補助記憶部103に記憶される。OP2でNOの処理は、「前記第1対応関係と前記第2対応関係に基づいて、入力された画像を分類する基準を決定する第3ステップ」の一例である。
【0033】
OP3では、未教示の欠陥画像から1つの欠陥画像が選択される。OP3では、注目欠陥画像から距離が遠い欠陥画像が優先して選択される。図7は、図5のOP3で選択された欠陥画像の特徴量空間における位置の一例を示す図である。図7では、OP3で選択された欠陥画像の位置は、「×(ばつ印)」で示されている。選択された欠陥画像は第1分類器3に入力され、第1分類器3に対して第n通常欠陥として教示される。ここで教示された画像は、基準画像として扱われる。OP3で選択された基準画像は、「第2画像」および「第2欠陥画像」の一例である。通常欠陥は、「第2欠陥」の一例である。
【0034】
OP4では、残りの未教示の欠陥画像が第1分類器3に入力される。第1分類器3は、例えば、k最近傍法によって入力された欠陥画像の分類を行う。k最近傍法では、上述の通り、特徴量空間における基準画像からのユークリッド距離が近い画像が第n通常欠陥に分類される。図8は、図5のOP4で第1分類器3が第n通常欠陥として分類した欠陥画像の特徴量空間における分布T2aの一例を示す図である。分布T2aは、OP3で選択された通常欠陥画像の周辺であって、通常欠陥の分布域T2内に存在する。第1分類器3によって第n通常欠陥に分類された画像は、「第2画像と所定の関係を有する第3画像」および「第2欠陥画像と所定の関係を有する第3欠陥画像」の一例である。
【0035】
OP5では、第2分類器4は、OP4で第n通常欠陥に分類された欠陥画像の入力を受け付ける。第2分類器4は、入力された欠陥画像が第n通常欠陥に分類されるものであると教示される。教示された結果は、例えば、補助記憶部103に記憶される。OP5で教示された結果は、「第2対応関係」の一例である。
【0036】
OP6では、OP1で注目欠陥画像として教示した欠陥画像が第2分類器4に入力される。OP6では、再代入法により、注目欠陥として教示した欠陥画像が誤って通常欠陥に分類されるか否かが確認される。すべて注目欠陥として判定された場合(OP7でYES)、処理はOP9に進められる。注目欠陥として判定されなかった欠陥画像が1つでもある場合(OP7でNO)、処理はOP13に進められる。
【0037】
OP8では、第2分類器4の教示状態が1つ前の状態に戻される。すなわち、第2分類器4は、OP5で入力された欠陥画像を未教示の状態に戻す。さらに、変数nに1が加算され、処理はOP2に進められる。OP8の処理は、「前記第1種別に属する画像を前記分類装置に入力し、前記第1種別に属する画像のうち、決定された前記基準によって前記第2種別に分類される画像が存在する場合、前記第2ステップで記憶された前記第2対応関係を削除するステップ」の一例である。
【0038】
図9は、再代入法により、注目欠陥として教示した欠陥画像が誤って通常欠陥に分類される場合の特徴量空間の一例を示す図である。OP3において、例えば、注目欠陥との距離が近い通常欠陥画像が選択された場合、OP4の処理で通常欠陥に分類される欠陥画像の分布域E1と注目欠陥の分布域T1とが重なる領域E2が生じる場合がある。このような場合、分類装置100は、領域E2に含まれる特徴量ベクトルを有する欠陥画像が入力されると通常欠陥と誤分類する虞がある。そのため、OP8では、第2分類器4は、OP5で入力された欠陥画像、すなわち分布域E1に含まれる欠陥画像を未教示に戻すことで、誤分類の発生を抑制する。
【0039】
OP9では、第2分類器4には、未処理の欠陥画像から選択された1つの欠陥画像が入力される。第2分類器4は、入力された欠陥画像の分類を行う。第2分類器4による分類結果が第n通常欠陥である場合(OP10でYES)、処理はOP11に進められる。第2分類器4による分類結果が第n通常欠陥ではない場合(OP10でNO)、処理はOP12に進められる。
【0040】
OP11では、第2分類器4は、入力された欠陥画像が第n通常欠陥に分類されるものであると教示される。教示された結果は、例えば、補助記憶部103に記憶される。未処理の欠陥画像がある場合(OP12でYES)、処理はOP6に進められる。未処理の欠陥画像が無い場合(OP12でNO)、処理はOP13に進められる。OP13では、変数nに1が加算され、処理はOP2に進められる。
【0041】
図10は、図6のOP13から処理が遷移した図5のOP2、OP3で選択された欠陥画像の特徴量空間における位置の一例を示す図である。図10では、OP3で選択された欠陥画像の位置は、「○(まる印)」で示されている。上述の通り、OP3では、注目欠陥画像から距離が遠い欠陥画像が優先して選択される。図11は、図6のOP13から処理が遷移した後の図5のOP4で第1分類器3が第n通常欠陥として分類した欠陥画像の特徴量空間における分布T2bの一例を示す図である。分布T2bは、OP13から処理が遷移した後のOP3で選択された通常欠陥画像の周辺であって、通常欠陥の分布域T2内に存在する。
【0042】
図12は、図5および図6の処理を繰り返した結果、決定された識別関数F1の一例を示す図である。図12では、入力された欠陥画像の特徴量ベクトルが識別関数F1以下の領域に存在する場合、第2分類器4は入力された欠陥画像に含まれる欠陥を注目欠陥に分類する。また、入力された欠陥画像の特徴量ベクトルが識別関数F1以上の領域に存在する場合、第2分類器4は入力された欠陥画像に含まれる欠陥を通常欠陥に分類する。図12を参照すると理解できるように、第2分類器4が識別関数F1に基づいて注目欠陥に分類する欠陥画像には、本来は通常欠陥画像に分類される欠陥画像が含まれる。また、第2分類器4が識別関数F1に基づいて通常欠陥に分類する欠陥画像には、本来は注目欠陥に分類される欠陥画像は含まれていない。すなわち、図5および図6の処理によって決定された識別関数F1に基づいて分類を行う第2分類器4は、注目欠陥を通常欠陥と誤分類するおそれが抑制されている。図5および図6の処理によって決定された識別関数F1を含むプログラムモジュールは、例えば、記憶媒体に格納されたりネットワーク経由で伝送されたりして、分類器が稼働する他の情報処理装置に配布されてもよい。他の情報処理装置では、配布された識別関数F1を含むプログラムモジュールを自装置の分類器に組み込むことで、識別関数F1に基づく分類を実施できる。識別関数F1を含むプログラムモジュールは、「分類基準モジュール」の一例である。
【0043】
図13は、第2分類器4の分類性能の一例を示す第1の図である。図13は、図5および図6の処理において第1通常欠陥の分類まで実行された第2分類器4の分類性能の一例を示している。図13では、第2分類器4は、事前に注目欠陥として教示された189枚の欠陥画像については、100%の再現率となっている。図13の段階では、まだ未教示の欠陥画像が4100枚残っている。そこで、さらに図5および図6の処理を繰り返すことも可能である。この場合、あらかじめ注目欠陥として教示した欠陥画像が誤って通常欠陥画像に分類されない範囲で、図5および図6の処理が行われる。図14は、第2分類器4の分類性能の一例を示す第2の図である。図14は、図5および図6の処理でn=4の場合、すなわち、第4通常欠陥まで分類が行われた場合の第2分類器4の分類性能の一例を示す。図14では、未教示の欠陥画像の数は959枚になっている。図14を参照すると、あらかじめ注目欠陥として教示した189枚の欠陥画像については、100%の再現率となっている。ところで、第1通常欠陥から第4通常欠陥の種別は、第2分類器4に教
示する際に便宜的に用いられた種別である。そこで、第1通常欠陥から第4通常欠陥までを通常欠陥としてまとめると、図14は、例えば、図15のようになる。図15は、第1通常欠陥から第4通常欠陥までを通常欠陥としてまとめた場合の、第2分類器4の分類性能の一例を示す図である。
【0044】
<比較例>
図16は、比較例に係る分類装置が決定した識別関数F2の一例を示す図である。比較例に係る分類装置は、あらかじめ収集した注目欠陥画像および通常欠陥画像の全てを教師データとして入力し、統計的手法に基づいて識別関数F2が決定される。図16では、入力された欠陥画像の特徴量ベクトルが識別関数F2以下の領域に存在する場合、比較例に係る分類装置は入力された欠陥画像に含まれる欠陥を注目欠陥に分類する。また、入力された欠陥画像の特徴量ベクトルが識別関数F2以上の領域に存在する場合、比較例に係る分類装置は入力された欠陥画像に含まれる欠陥を通常欠陥に分類する。図16を参照すると理解できるように、比較例に係る分類装置が識別関数F2に基づいて通常欠陥に分類する欠陥画像には、本来は注目欠陥画像に分類される欠陥画像が含まれる。すなわち、識別関数F2に基づいて分類を行う比較例に係る分類装置は、注目欠陥を通常欠陥と誤分類するおそれある。
【0045】
図17は、比較例に係る分類装置の分類性能の一例を示す図である。図17では、分類器の分類性能が再代入法によって確認されている。再代入法では、識別関数の決定時に使用した教師データを分類装置に入力して分類結果が確認される。識別関数F2に基づいて分類を行う分類器では、教師データの数が多い種別の再現率が高くなる。注目欠陥よりも通常欠陥の方が圧倒的に数が多いため、通常欠陥の再現率が高くなる一方、注目欠陥の再現率は低くなる。図17では、例えば、実際には注目欠陥であるにもかかわらず、通常欠陥として判定されてしまった欠陥画像が106枚あることがわかる。すなわち、教師データとして注目欠陥として教示した189枚の欠陥画像のうち、106枚の欠陥画像は通常欠陥と判定されている。その結果、注目欠陥の再現率は、43.92%となっている。しかしながら、通常欠陥画像の数(20414枚)が注目欠陥画像の数(189枚)より圧倒的に多いため、この分類器の総正答率(Accuracy)は、99.42%となっている。
【0046】
図17に例示されるように、注目欠陥の教師データと通常欠陥の教師データの数が不均衡の場合、教師データの数が少ない注目欠陥の再現率が低下する。そのため、注目欠陥画像と通常欠陥画像を教師データとして分類装置100に入力してしまうと、教師データの数が多い通常欠陥については再現率が高くなるものの、教師データの数が少ない注目欠陥については再現率が低くなる。
【0047】
<実施形態の作用効果>
実施形態では、まず、注目欠陥の教示が第2分類器4に対して行われた(図5、OP1)。その後、教示済みの注目欠陥が通常欠陥と誤分類されない範囲で、第2分類器4に対して通常欠陥の教示が行われた(図5、OP5〜OP11)。その結果、実施形態に係る第2分類器4は、注目欠陥が通常欠陥と誤分類されることを抑制できるとともに、注目欠陥の再現率を高めることができる。
【0048】
実施形態では、第1分類器3は、未処理の欠陥画像のうち注目欠陥画像から距離が遠い通常欠陥画像が入力され、通常欠陥として教示された。第1分類器3は、残りの未教示の欠陥画像が入力されると(図5、OP3)、教示された通常欠陥を基準として、欠陥画像の分類を行った(図5、OP4)。第1分類器3によって通常欠陥と分類された欠陥画像は、通常欠陥として第2分類器4に教示された(図5、OP5)。そのため、実施形態によれば、1つの通常欠陥画像を第1分類器3に入力することで、注目欠陥画像から距離が遠い欠陥画像を複数取得できる。
【0049】
≪変形例≫
実施形態では、図5および図6の処理によって第2分類器4の学習が行われた。しかしながら、図5および図6の処理の終了後、注目欠陥に距離が近い通常欠陥を未教示に戻す処理が更に行われてもよい。このような処理を実行することで、第2分類器4に教示済みの注目欠陥と通常欠陥との距離が遠くなることで、注目欠陥が通常欠陥に誤分類されたり、通常欠陥が注目欠陥に誤分類されたりすることを抑制できる。
【0050】
実施形態では、図5のOP2で選択される距離が遠い欠陥画像は、作業者による目視で選択された。しかしながら、OP2での欠陥画像の選択は、作業者の目視に限定されない。OP2での欠陥画像の選択は、例えば、乱数によって欠陥画像が選択されてもよい。欠陥画像を乱数によって選択することで、作業者の目視による作業が省略可能となり、作業者の作業負担が軽減される。
【0051】
実施形態では、分類装置100は、半導体基板を撮影した欠陥画像を分類した。しかしながら、分類装置100による分類の対象となるのは半導体基板を撮影した欠陥画像に限定されない。分類装置100は、例えば、細胞および微生物によって例示される生物試料を撮影した画像を分類対象としてもよい。
【0052】
<プロセッサ>
以上で説明した各処理は、CPU101によって実行された。しかしながら、以上で説明した各処理は、CPU101以外のプロセッサ、例えば、Digital Signal Processor(DSP)、Graphics Processing Unit(GPU)、数値演算プロセッサ、ベクトルプロセッサ、画像処理プロセッサ等の専用プロセッサで実行されてもよい。CPU101が実行する処理のうち少なくとも一部は、CPU101以外のプロセッサ、例えば、Digital Signal Processor(DSP)、Graphics Processing Unit(GPU)、数値演算プロセッサ、ベクトルプロセッサ、画像処理プロセッサ等の専用プロセッサで行われても良い。また、CPU101が実行する処理のうち少なくとも一部は、集積回路(IC)、その他のディジタル回路によって実行されてもよい。また、CPU101の少なくとも一部にアナログ回路が含まれても良い。集積回路は、LSI、Application Specific Integrated Circuit(A
SIC)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)を含む。PLDは、例えば、Field-Programmable Gate Array(FPGA)を含む。CPU101は、プロセッサと集積回
路との組み合わせであっても良い。組み合わせは、例えば、マイクロコントローラユニット(MCU)、System-on-a-chip(SoC)、システムLSI、チップセットなどと呼ばれる。
【0053】
<コンピュータが読み取り可能な記憶媒体>
コンピュータその他の機械、装置(以下、コンピュータ等)に上記いずれかの処理を実行させるプログラムをコンピュータ等が読み取り可能な記録媒体に記録することができる。そして、コンピュータ等に、この記録媒体のプログラムを読み込ませて実行させることにより、その処理を実現させることができる。
【0054】
ここで、コンピュータ等が読み取り可能な記録媒体とは、データやプログラム等の情報を電気的、磁気的、光学的、機械的、または化学的作用によって蓄積し、コンピュータ等から読み取ることができる記録媒体をいう。このような記録媒体のうちコンピュータ等から取り外し可能なものとしては、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R/W、DVD、ブルーレイディスク、Digital Audio Tape(DAT)、8mmテープ、フラッシュメモリなどのメモリカード等がある。また、コンピュータ等に固定された記録媒体としてハードディスクやROM等がある。
【0055】
以上で開示した実施形態や変形例はそれぞれ組み合わせる事ができる。
【符号の説明】
【0056】
1・・・半導体検査装置
100・・・分類装置
101・・・CPU
102・・・主記憶部
103・・・補助記憶部
104・・・通信部
200・・・半導体撮影装置
2A・・・第1分類プログラム
2B・・・第2分類プログラム
3・・・第1分類器
4・・・第2分類器
B1・・・接続バス
N1・・・内部ネットワーク
T1・・・注目欠陥の分布域
T2・・・通常欠陥の分布域
F1、F2・・・識別関数
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17