特許第6880504号(P6880504)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ノーリツの特許一覧

<>
  • 特許6880504-排水口蓋 図000002
  • 特許6880504-排水口蓋 図000003
  • 特許6880504-排水口蓋 図000004
  • 特許6880504-排水口蓋 図000005
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6880504
(24)【登録日】2021年5月10日
(45)【発行日】2021年6月2日
(54)【発明の名称】排水口蓋
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/262 20060101AFI20210524BHJP
   E03C 1/14 20060101ALI20210524BHJP
【FI】
   E03C1/262 Z
   E03C1/14 Z
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-124763(P2017-124763)
(22)【出願日】2017年6月27日
(65)【公開番号】特開2019-7257(P2019-7257A)
(43)【公開日】2019年1月17日
【審査請求日】2020年5月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100120514
【弁理士】
【氏名又は名称】筒井 雅人
(72)【発明者】
【氏名】伊原 佐紀
(72)【発明者】
【氏名】市丸 秀仁
(72)【発明者】
【氏名】小幡 恭士
(72)【発明者】
【氏名】森田 泰成
【審査官】 津熊 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−127009(JP,A)
【文献】 特開2008−237998(JP,A)
【文献】 特開2004−150106(JP,A)
【文献】 特開2004−052292(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0002899(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/262
E03C 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下厚み方向に貫通した通水用の複数の貫通孔が設けられた板状部を有し、かつ排水口を覆うように配される蓋本体部と、
通水性を有する多孔質状であり、かつ前記排水口の除菌、洗浄、防カビ、および防臭のうち、少なくとも1つを図るための薬剤を含有し、または含有させることが可能な薬剤含有部材と、
を備えており、
前記薬剤含有部材は、前記板状部の下面側に積層した配置とされる本体部と、この本体部の上面部から上向きに突出して前記複数の貫通孔に嵌入する複数の嵌入凸状部と、を有していることを特徴とする、排水口蓋。
【請求項2】
請求項1に記載の排水口蓋であって、
前記複数の嵌入凸状部の上端は、前記板状部の上面と略面一状とされている、排水口蓋。
【請求項3】
請求項1または2に記載の排水口蓋であって、
前記薬剤含有部材は、前記蓋本体部から取り外すことが可能とされている、排水口蓋。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の排水口蓋であって、
前記複数の貫通孔および前記複数の嵌入凸状部は、ともに上広がり状とされている、排水口蓋。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の排水口蓋であって、
前記薬剤含有部材は、発泡樹脂製であり、かつ前記複数の嵌入凸状部は、前記本体部よりも発泡倍率が高い材質とされている、排水口蓋。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載の排水口蓋であって、
前記薬剤含有部材は、白色または白色系であり、かつ前記薬剤として白色または白色系以外の色をもつものが使用されることにより着色し、前記薬剤の含有量に対応して色が変化するように構成されている、排水口蓋。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載の排水口蓋であって、
前記薬剤含有部材の下面側に積層し、かつ前記薬剤含有部材から流出する水を下方に通過させる複数の通水孔を有するプレート状またはシート状の補助部材を、さらに備えている、排水口蓋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室やキッチンシンクなどに設けられた排水口を覆うための排水口蓋に関する。
【背景技術】
【0002】
排水口蓋の具体例として、特許文献1に記載のものがある。
同文献に記載の排水口蓋は、通水用の複数のスリットが中央部に設けられ、かつ排水口を覆うように配される蓋本体部と、この蓋本体部の外周縁の下部に連設され、かつ微生物の発育抑制物質を含有する固形状の薬剤を載置可能な鍔状係止部とを備えている。
このような構成によれば、複数のスリットを通過した排水が薬剤に触れることにより、薬剤が溶解し、この溶解液が排水口に流れていく。このことにより、排水口のヌメリ取りを図ることが可能である。
【0003】
しかしながら、前記従来技術においては、次に述べるように、未だ改善すべき余地がある。
【0004】
第1に、薬剤は、蓋本体部の外周縁の下方に配置される構成であるため、排水口蓋のうち、薬剤よりも上側に存在する蓋本体部には、薬剤の溶解液は届かない。したがって、蓋本体部の広い範囲にヌメリを生じ、この部分が不衛生となる。
第2に、固形の薬剤が排水口の周囲に沿った配列で散点配置された構成であるため、薬剤に水が掛かり難く、薬剤の溶解液を効率よく生じさせることは難しい。仮に、薬剤に比較的多くの水が掛かったとしても、薬剤の溶解液は固形の薬剤の下方に向けて筋状に流れる場合が多く、排水口内の広い領域には広がり難い。このため、排水口内の広い領域のヌメリ取りを効率よく図ることも難しい。
第3に、排水口蓋に薬剤を保持させる手段として、蓋本体部の下面側に鍔状係止部を連設する手段を採用しているため、この部分の構造が複雑となる。排水口蓋は、構造が複雑になるほど、汚れが付着し易く、また排水口蓋を洗う際に汚れを落とし難い。汚れには、微小な固形物や繊維などが含まれている場合が多いが、このような汚れを薬剤の作用によって除去することは困難である。したがって、蓋本体部が汚れ易く、一層不衛生になり易い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4612297号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記したような事情のもとで考え出されたものであり、所定の薬剤を合理的かつ効果的に作用させ、従来よりも衛生に優れたものとすることが可能な排水口蓋を提供することを、その課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0008】
本発明により提供される排水口蓋は、上下厚み方向に貫通した通水用の複数の貫通孔が設けられた板状部を有し、かつ排水口を覆うように配される蓋本体部と、通水性を有する多孔質状であり、かつ前記排水口の除菌、洗浄、防カビ、および防臭のうち、少なくとも
1つを図るための薬剤を含有し、または含有させることが可能な薬剤含有部材と、を備えており、前記薬剤含有部材は、前記板状部の下面側に積層した配置とされる本体部と、この本体部の上面部から上向きに突出して前記複数の貫通孔に嵌入する複数の嵌入凸状部と、を有していることを特徴としている。
【0009】
このような構成によれば、蓋本体部の複数の貫通孔上に排水が流れてくると、この排水は、それら複数の貫通孔に嵌入している薬剤含有部材の嵌入凸状部の上面から薬剤含有部材内に浸透し、この薬剤含有部材に含有されている薬剤を薬剤含有部材の本体部からその下方に流出(溶出を含む)させる。この流出した薬剤が、排水口の除菌、洗浄、防カビ、または防臭効果を発揮する。このようなことに加え、本発明によれば、次のような効果がさらに得られる。
第1に、蓋本体部のうち、板状部の下面、および複数の貫通孔の内面は、薬剤含有部材によって覆われた構成、またはこれに近い構成となるため、それらの部分に対しては薬剤含有部材に含有されている薬剤を直接的に作用させることができる。したがって、前記従来技術とは異なり、蓋本体部を衛生にする効果が得られる。
第2に、薬剤含有部材の本体部は、蓋本体部の板状部と同等程度の大きな底面積をもつサイズで設けることが可能である一方、薬剤は、薬剤含有部材の下面部の各所からその下方に流出させることができる。したがって、前記従来技術とは異なり、固形の薬剤からその溶解液が筋状に流れるといったことをなくし、排水口内の広い範囲に対して薬剤を有効に作用させることが可能である。
第3に、薬剤は薬剤含有部材に含有されており、前記従来技術とは異なり、固形の薬剤を載置保持するための鍔状係止部を設ける必要はない。また、薬剤含有部材を蓋本体部に取付けるための手段としては、蓋本体部に複雑な構造部を別途追加して設ける必要もなく、その取付け構造を簡素なものとすることが可能である。したがって、排水口蓋の構造の複雑化によって、汚れが生じ易くなるといったことも適切に回避することが可能である。また、構造の簡素化により、製造コストを廉価にすることも可能となる。
第4に、薬剤含有部材は、本体部に加え、嵌入凸状部をも有しているため、たとえば薬剤含有部材が本体部のみから構成されている場合と比較すると、薬剤含有部材全体の厚み寸法、および体積を大きくとることが可能である。したがって、薬剤含有部材に含有させ得る薬剤の量を多くすることができる。これは、薬剤の効果を高めたり、あるいは薬剤含有部材に含有されている薬剤の全量が短期間で消費されることを解消するのに好ましい。
【0010】
本発明において、好ましくは、前記複数の嵌入凸状部の上端は、前記板状部の上面と略面一状とされている。
【0011】
このような構成によれば、板状部の上面に大きな凹凸部、または段差部が生じないようにし、板状部の上面をゴミなどが引っ掛かり難い状態とすることができる。したがって、蓋本体部をより衛生に優れたものとすることが可能である。
【0012】
本発明において、好ましくは、前記薬剤含有部材は、前記蓋本体部から取り外すことが可能とされている。
【0013】
このような構成によれば、薬剤含有部材の交換作業などが可能となり、便利である。
【0014】
本発明において、好ましくは、前記複数の貫通孔および前記複数の嵌入凸状部は、ともに上広がり状とされている。
【0015】
このような構成によれば、薬剤含有部材に下向きの力が作用した場合に、各嵌入凸状部が貫通孔から容易には抜けず、抜け止め効果が得られる。したがって、排水口蓋の取扱中に、薬剤含有部材が蓋本体部から不用意に離脱して落下するといったことが回避できる。
また、前記抜け止め効果を利用し、薬剤含有部材の全体を蓋本体部に適切に保持させることも可能となり、別部材を用いて薬剤含有部材を板状部に保持させる必要をなくすこともできる。さらに、各嵌入凸状部の上端面の面積を大きくとることができるために、各嵌入凸状部の上端面から薬剤含有部材内に多くの排水を進入させることも可能となる。
【0016】
本発明において、好ましくは、前記薬剤含有部材は、発泡樹脂製であり、かつ前記複数の嵌入凸状部は、前記本体部よりも発泡倍率が高い材質とされている。
【0017】
このような構成によれば、排水口蓋を組み立てる場合において、複数の嵌入凸状部を複数の貫通孔に嵌入させる際には、それら複数の嵌入凸状部を圧縮変形させて複数の貫通孔に嵌入させることが可能となり、その作業が容易となる。一方、薬剤含有部材の本体部については、適度な硬さ、強度をもたせることができる。
【0018】
本発明において、好ましくは、前記薬剤含有部材は、白色または白色系であり、かつ前記薬剤として白色または白色系以外の色をもつものが使用されることにより着色し、前記薬剤の含有量に対応して色が変化するように構成されている。
【0019】
このような構成によれば、ユーザは、前記した色の変化に基づき、薬剤含有部材に含有されている薬剤の残量を容易かつ的確に察知することが可能となり、便利である。
【0020】
本発明において、好ましくは、前記薬剤含有部材の下面側に積層し、かつ前記薬剤含有部材から流出する水を下方に通過させる複数の通水孔を有するプレート状またはシート状の補助部材を、さらに備えている。
【0021】
このような構成によれば、補助部材の通水孔の数、開口面積、配列などによって、補助部材の下方への水の流れ落ち方をコントロールすることができる。前記構成とは異なり、補助部材を設けることなく、薬剤含有部材の下面部から薬剤を含む水を単に流れ落とすだけでは、たとえばその流量が過多となって、薬剤の全量が短期間で消費されるといった不具合を生じる場合がある。これに対し、前記構成によれば、そのような不具合を適切に解消することが可能である。
【0022】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行なう発明の実施の形態の説明から、より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】(a)は、本発明に係る排水口蓋の一例を示す斜視図であり、(b)は、(a)に示す排水口蓋の使用状態の一例を示す断面図であって、排水口蓋の断面箇所は、(a)のIb−Ibである。
図2】(a)は、図1に示す排水口蓋の分解断面図であり、(b)は、排水口蓋に用いられている薬剤含有部材の他の例を示す断面図である。
図3】本発明の他の例を示す断面図である。
図4】本発明の他の例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。
【0025】
図1に示す排水口蓋Aは、浴室(シャワー室を含む)の排水口9の上部開口を塞ぐための浴室用排水口蓋であり、比較的硬質の樹脂製の蓋本体部1と、ポリウレタンフォームなどの発泡樹脂製の薬剤含有部材2と、を備えている。
【0026】
蓋本体部1は、平面視略矩形の板状部10、この板状部10の上下厚み方向に貫通する長細矩形状(またはスリット状)の複数の貫通孔11(図2(a)も参照)、板状部10の四隅部の下面部から下向きに突出した複数の脚部13、および板状部10の前面部に突設された一対の突起部12を備えている。蓋本体部1は、図1(b)に示すように、浴室フロア8のうち、排水口9の上方位置に形成された上面開口状の凹部80に嵌入配置されている。一対の突起部12は、凹部80の側面壁に形成された横向き凹部81に進入させるためのものであり、排水口蓋Aの向きを誤って設置するようなことを防止するのに役立つ。
【0027】
排水口蓋Aを前記したように凹部80内に配置させた状態では、蓋本体部1の周囲に隙間Cが生じており、多くの水は、この隙間Cから排水口9に流れ込むようになっている。蓋本体部1の上面の貫通孔11の位置には、隙間Cを越えてきた水、あるいは排水口蓋Aの上方からのシャワー水などが到達する。排水口9の上端開口部の上側には、ゴミ捕集用のメッシュ構造部を有するフィルタ7が設けられている。
【0028】
薬剤含有部材2は、既述したように、発泡樹脂製であり、通水性を有する多孔質であることに加え、弾性変形可能である。この薬剤含有部材2には、たとえば液体状の薬剤が含有(含浸を含む)されている。薬剤としては、たとえば台所の清掃などに用いられる既存の除菌・洗浄液を用いることが可能であり、その具体的な成分などについては省略する。薬剤含有部材2は、多孔質であり、吸水性を有するため、ユーザが薬剤を添加することにより、この薬剤を薬剤含有部材2に容易に含有させることが可能である。
【0029】
好ましくは、薬剤含有部材2は、白色または白色系とされ、かつ薬剤としては、白色または白色系以外の色をもつものが使用されている。このような構成によれば、薬剤含有部材2は、薬剤を含有させた状態において、薬剤の色に着色されるが、この色の濃さ(彩度)は、薬剤の含有量に対応して変化することとなる。したがって、この色の濃さに基づき、ユーザは、薬剤含有部材2における薬剤の残量を容易に察知することができる。
【0030】
薬剤含有部材2は、略平板状の本体部20、およびこの本体部20の上面部から上向きに突出した複数の嵌入凸状部21を具備している。本体部20は、蓋本体部1の板状部10の下面側に積層した配置である。複数の嵌入凸状部21は、蓋本体部1の複数の貫通孔11に嵌入している。各嵌入凸状部21の上端は、板状部10の上面と略面一である。このような構成によれば、排水口蓋Aの上面が凹凸や段差がない、または少ない領域となるため、この領域にゴミが引っ掛からないようにすることが可能である。ただし、本発明はこれに限定されない。嵌入凸状部21の上端を板状部10の上面よりも高くし、または低くしてもかまわない。
【0031】
貫通孔11および嵌入凸状部21は、ともに上広がりの形状であり、この状態で両者は密に嵌合している。このような嵌合状態によれば、嵌入凸状部21が貫通孔11に相対して下方に変位することが規制される。本実施形態においては、このような作用を利用して、薬剤含有部材2を蓋本体部1に保持させている。ただし、嵌入凸状部21は、弾性変形可能であるため、本体部20を下方に強く引っ張ることにより、嵌入凸状部21を貫通孔11から抜き、薬剤含有部材2を蓋本体部1から離反させることが可能である。
【0032】
排水口蓋Aの組み立てに際しては、図2(a)に示す状態において、嵌入凸状部21を貫通孔11に進入させるが、嵌入凸状部21の最大幅W1は、貫通孔11の最小幅W2よりも大きい。このため、前記進入作業は、嵌入凸状部21を最小幅W2よりも小さい幅とするように圧縮変形させながら行なうこととなる。
【0033】
好ましくは、薬剤含有部材2の各部の発泡倍率は不均一とされており、複数の嵌入凸状
部21を構成する樹脂の発泡倍率Raは、本体部20を構成する樹脂の発泡倍率Rbよりも高くされている。このことにより、本体部20を適度な硬さ、強度に設定しつつ、嵌入凸状部21を弾性変形し易い部分とし、貫通孔11への嵌入作業の容易化を図ることが可能となる。また、嵌入凸状部21の発泡倍率Raを高くすれば、多孔性構造における空隙部の度合いが増すため、嵌入凸状部21に水が浸透することを促進することも可能である。
【0034】
嵌入凸状部21は、貫通孔11に嵌入されていない自然状態においては、たとえば図2(b)に示すように、断面矩形状に形成しておくことも可能である。このような形状であっても、嵌入凸状部21を貫通孔11に嵌入させた際に弾性変形によって、貫通孔11に一致した上広がり状となる。
【0035】
次に、前記した排水口蓋Aの作用について説明する。
【0036】
まず、排水口蓋Aは、図1(b)に示したような態様で使用される。この排水口蓋Aの上面上に水が流れてくると、この水の一部は、薬剤含有部材2の嵌入凸状部21の上面から薬剤含有部材2内に浸透し、薬剤含有部材2の内部を下降していく。最終的には、前記水は、薬剤含有部材2の下面部から下方に流出するが、その際に薬剤をも流出させる。このことにより、フィルタ7や排水口9の内周壁などの除菌・洗浄がなされる。
【0037】
ここで、薬剤は、薬剤含有部材2の下面部の各所からその下方に流出させることが可能である。ここで、フィルタ7は、ヌメリなどが最も発生し易い部位の1つであるが、図1(b)の構造においては、薬剤含有部材2からフィルタ7の上面の全域に薬剤を流れ落とすことが可能である。したがって、フィルタ7の縁部周辺に薬剤が流れるようにされただけの場合よりも、フィルタ7の除菌・洗浄が効率よく、かつ適切に行なわれる。
【0038】
一方、薬剤含有部材2は、蓋本体部1の板状部10の下面、および複数の貫通孔11の内面を覆っており、薬剤含有部材2に含有された薬剤は、それらの部分に直接作用する。したがって、板状部10の下面や、各貫通孔11の内側にヌメリなどが生じないようにし、蓋本体部1自体をも衛生的なものとすることが可能である。
【0039】
薬剤含有部材2の本体部20は、蓋本体部1の板状部10の下面部と同等程度の面積をもつ比較的大きなサイズに形成することが可能であるため、薬剤含有部材2に含有させ得る薬剤の量を多くすることができる。また、複数の嵌入凸状部21にも薬剤を含有させ得るため、薬剤含有部材2の全体に含有させ得る薬剤の量を一層多くすることが可能である。したがって、薬剤含有部材2に含有された薬剤の全量が、短期間で消費されてしまうことを適切に回避することが可能である。とくに、本実施形態においては、既述したように、浴室フロア8上を流れる水の多くは、排水口蓋Aの周囲の隙間Cに流れ込み、排水口蓋Aの上面上に流れてきてから薬剤含有部材2に浸透する水の量を適度なものとすることができるため、薬剤含有部材2からの薬剤が過剰に流出することはより徹底して防止される。薬剤の流出量が不足気味になるといったことも回避される。
【0040】
薬剤含有部材2の薬剤含有量が減少した際には、蓋本体部1に薬剤含有部材2が保持されたままの状態で、この薬剤含有部材2に薬剤を添加し、補充すればよい。したがって、その作業は容易である。なお、薬剤含有部材2がなんからの事情により破損したような場合には、その交換を行なう必要があるが、薬剤含有部材2の取外しは、薬剤含有部材2を蓋本体部1の下方に引っ張るだけで行なうことができ、容易である。また、薬剤含有部材2の取付けに際しては、各嵌入凸状部21を各貫通孔11に嵌入させる必要があるが、各嵌入凸状部21を圧縮変形させることによって、そのような嵌入作業も比較的容易に行なうことが可能である。
【0041】
図3および図4は、本発明の他の実施形態を示している。これらの図において、前記実施形態と同一または類似の要素には、前記実施形態と同一の符号を付すこととし、その重複説明は省略する。
【0042】
図3に示す排水口蓋Aaにおいては、薬剤含有部材2の下面部に、補助部材4を積層し、かつ接合している。補助部材4は、薬剤含有部材2から流出する水を下方に通過させる複数の通水孔40を有するプレート状またはシート状である。薬剤含有部材2に対する補助部材4の接合は、たとえば接着剤を用いて行なわれている。ただし、接着剤を広い面積で塗布すると、薬剤含有部材2の通水性が損なわれるため、接着剤の塗布領域は、狭い面積とされている。
【0043】
本実施形態によれば、薬剤含有部材2を通過した水(薬剤を含む)は、補助部材4の通水孔40をさらに通過することにより、これらの下方に流れ落ちる。したがって、補助部材4の通水孔40の数、開口面積、配列などによって、前記した水の流れ落ち方を所望の状態にコントロールすることができる。
【0044】
図4に示す排水口蓋Abにおいては、蓋本体部1の貫通孔11、および薬剤含有部材2の嵌入凸状部21は、上広がり状には形成されておらず、これらの内壁面や側面は、非傾斜状である。一方、複数の通水孔40を有する補助部材4は、たとえば蓋本体部1の係止用凸部18に係止されるなどして蓋本体部1に取付けられている。
【0045】
本実施形態においては、貫通孔11と嵌入凸状部21とは下方への抜け止めが図られる状態には嵌合していないため、先の実施形態とは異なり、薬剤含有部材2をそれ単独で蓋本体部1に保持させておくことはできないものの、この薬剤含有部材2を補助部材4によって適切に支持することが可能である。
本実施形態から理解されるように、貫通孔11および嵌入凸状部21は、上広がり以外の形状とすることが可能である。また、薬剤含有部材2を、適当な部材を用いて蓋本体部1に組み付けた状態とすることも可能である。
【0046】
本発明は、上述した実施形態の内容に限定されない。本発明に係る排水口蓋の各部の具体的な構成は、本発明の意図する範囲内において種々に設計変更自在である。
【0047】
蓋本体部に設けられる通水用の複数の貫通孔は、細長矩形状、またはスリット状に限定されず、他の形状にすることが可能であり、また具体的なサイズ、数、および配列なども限定されない。薬剤含有部材の嵌入凸状部は、そのような貫通孔の構成に対応したものとされる。
【0048】
薬剤含有部材は、少なくとも通水性を有する多孔質状であって、意図する薬剤を含有可能な構成であればよく、その具体的な形状、サイズ、材質は限定されない。また、薬剤含有部材は、当初(ユーザに販売される段階)から薬剤が含有されていなくてもよく、ユーザが使用を開始する際に、別途準備された薬剤を含有させる仕様とされていてもよい。
【0049】
薬剤としては、排水口の除菌、洗浄、防カビ、および防臭のうち、少なくとも1つを図るためのものが用いられればよく、その具体的な成分などは限定されない。薬剤は、液体の他、たとえば粉末状のものとし、薬剤含有部材に練り込んだ状態とすることも可能である。薬剤含有部材は、含有された薬剤の全量が消費された場合に、この薬剤含有部材を新品の薬剤含有部材と交換するタイプとすることもできる。
【0050】
本発明に掛かる排水口蓋は、浴室用排水口蓋として構成されることに代えて、たとえば
キッチンシンク用排水口蓋として構成することも可能である。排水口の場所、種別は問わない。
【符号の説明】
【0051】
A 排水口蓋
1 蓋本体部
10 板状部
11 貫通孔
2 薬剤含有部材
20 本体部
21 嵌入凸状部
4 補助部材
9 排水口
図1
図2
図3
図4