(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記シリカ被覆フッ素樹脂粒子(A)の樹脂組成物中における含有量が、樹脂組成物中の樹脂固形分100質量部に対し、3〜400質量部である、請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明する。以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。本発明はその要旨の範囲内で、適宜に変形して実施できる。
【0019】
なお、本明細書における「(メタ)アクリロイル基」とは「アクリロイル基」及びそれに対応する「メタクリロイル基」の両方を意味し、「(メタ)アクリレート」とは「アクリレート」及びそれに対応する「メタクリレート」の両方を意味し、「(メタ)アクリル酸」とは「アクリル酸」及びそれに対応する「メタクリル酸」の両方を意味する。また、本実施形態において、「樹脂固形分」又は「樹脂組成物中の樹脂固形分」とは、特に断りのない限り、樹脂組成物における、溶剤及び充填材を除いた成分をいい、「樹脂固形分100質量部」とは、樹脂組成物における、溶剤及び充填材を除いた成分の合計が100質量部であることをいうものとする。
【0020】
本実施形態の樹脂組成物はシリカ被覆フッ素樹脂粒子(A)及び樹脂成分(B)を含有することを特徴とする。以下、各成分について説明する。
【0021】
<シリカ被覆フッ素樹脂粒子(A)>
本実施形態に用いるシリカ被覆フッ素樹脂粒子(A)は、シリカを表面に付着させたフッ素樹脂粒子であり、フッ素樹脂粒子とそのフッ素樹脂表面に付着したシリカ粒子とを有する。フッ素樹脂粒子の表面にシリカ粒子を付着させる方法としては特に限定されず、単純に混合したり、混合した後に振動を与えたりすることで実施できる。フッ素樹脂粒子表面へのシリカ粒子の付着は乾燥状態にて行うことができる。フッ素樹脂粒子とシリカ粒子との混合割合は特に限定しない。僅かな量であってもシリカ粒子がフッ素樹脂粒子の表面に存在すればシリカ粒子による流動特性改善効果が発現でき、本実施形態の樹脂組成物の配線埋め込み性及び配線埋め込み後の吸湿耐熱性を良好にすることができるものと考えられる。
【0022】
本実施形態におけるシリカ被覆フッ素樹脂粒子(A)に用いられるフッ素樹脂粒子としては、特に限定されないが、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、四フッ化エチレン・パーフルオロアルコキシエチレン共重合体(PFA)、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(FEP)、エチレン・クロロトリフルオロエチレン共重合体(PCTFE)、エチレン・四フッ化エチレン共重合体(ETFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等が挙げられる。その中でも、電気特性に優れているという観点から、PTFEが好ましい。これらは一種又は2種以上を適宜混合して使用することも可能である。
【0023】
フッ素樹脂粒子は、微細配線の埋め込み性を良好にするという観点から、一次粒子の体積平均粒子径は、5μm以下が好ましく、4μm以下がより好ましく、3μm以下が更に好ましい。また、電気特性を良好にするという観点から、一次粒子の体積平均粒子径は、0.005μm以上が好ましく、0.01μm以上がより好ましく、0.02μm以上が更に好ましい。
なお、本明細書における「体積平均粒子径」とは、体積基準の粒子径分布の算術平均径を意味する。体積平均粒子径は、例えば、湿式レーザー回折・散乱法により測定することができる。
【0024】
シリカ被覆フッ素樹脂粒子(A)におけるシリカ粒子の含有量は特に限定されないが、流動性を良好にするという観点から、フッ素樹脂粒子の質量に対し、0.001質量%以上であることが好ましく、0.005質量%以上であることがより好ましく、0.01質量%以上であることが更に好ましい。また、フッ素樹脂粒子の電気特性を発現させるという観点から、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、2質量%以下であることが更に好ましい。
【0025】
シリカ粒子は、一次粒子の体積平均粒子径が前記フッ素樹脂粒子の体積平均粒子径よりも小さければ特に限定されない。その中でも、フッ素樹脂の電気特性を発現させるという観点から、一次粒子の体積平均粒子径は200nm以下であることが好ましく、100nm以下が好ましく、70nm以下がより好ましく、50nm以下が更に好ましい。また、流動性を良好にするという観点から、一次粒子の体積平均粒子径は、0.3nm以上が好ましく、0.5nm以上がより好ましく、1nm以上が更に好ましい。
【0026】
シリカ被覆フッ素樹脂粒子(A)は、微細配線の埋め込み性を良好にするという観点から、一次粒子の体積平均粒子径は、5μm以下が好ましく、4μm以下がより好ましく、3μm以下が更に好ましく、2μm以下が微細配線の埋め込み性、誘電率及び誘電正接をより良好にするという観点から、更により好ましい。また、電気特性を良好にするという観点から、一次粒子の体積平均粒子径は、0.005μm以上が好ましく、0.01μm以上がより好ましく、0.02μm以上が更に好ましい。
【0027】
このようなシリカ被覆フッ素樹脂粒子は市販品を利用することもでき、例えば、0.5μmPTFE−YA(商品名)、PTFE−YA4(3.0μm、商品名)(以上、(株)アドマテックス製)が挙げられる。
【0028】
本実施形態の樹脂組成物におけるシリカ被覆フッ素樹脂粒子(A)の含有量は、特に限定されないが、樹脂組成物の電気特性を良好にするという観点から、樹脂組成物中の樹脂固形分100質量部に対し、3質量部以上とすることが好ましく、5質量部以上とすることがより好ましく、10質量部以上とすることが更に好ましく、15質量部以上とすることが更に好ましく、30質量部以上とすることが更に好ましい。また、耐熱性を良好にするという観点から、樹脂組成物中の樹脂固形分100質量部に対し、400質量部以下とすることが好ましく、300質量部以下とすることがより好ましく、200質量部以下とすることが更に好ましく、100質量部以下とすることが更により好ましい。
【0029】
<樹脂成分(B)>
本実施形態に用いる樹脂成分(B)は、シリカ被覆フッ素樹脂粒子(A)を用いることにより得られる電気特性等に加え、樹脂組成物が用いられる分野で求められる、硬化した硬化物の難燃性、耐熱性、熱膨張特性等の特性に応じて、様々な種類のものを用いることができる。例えば、密着性を求められる場合には、エポキシ樹脂、耐熱性を求められる場合には、マレイミド化合物、シアン酸エステル化合物、ベンゾオキサジン化合物、熱硬化性又は光硬化性を求められる場合には、エチレン性不飽和基を有する化合物等が挙げられ、他にフェノール樹脂、オキセタン樹脂等も用いることができる。
【0030】
また、これらは一種又は2種以上を適宜混合して使用することも可能である。
以下、これら樹脂成分(B)の詳細について説明する。
【0031】
<マレイミド化合物>
マレイミド化合物としては、分子中に一個以上のマレイミド基を有する化合物であれば、特に限定されるものではない。その具体例としては、例えば、N−フェニルマレイミド、N−ヒドロキシフェニルマレイミド、ビス(4−マレイミドフェニル)メタン、2,2−ビス{4−(4−マレイミドフェノキシ)−フェニル}プロパン、4,4−ジフェニルメタンビスマレイミド、ビス(3,5−ジメチル−4−マレイミドフェニル)メタン、ビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン、ビス(3,5−ジエチル−4−マレイミドフェニル)メタン、フェニルメタンマレイミド、o−フェニレンビスマレイミド、m−フェニレンビスマレイミド、p−フェニレンビスマレイミド、o−フェニレンビスシトラコンイミド、m−フェニレンビスシトラコンイミド、p−フェニレンビスシトラコンイミド、2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)−フェニル)プロパン、3,3−ジメチル−5,5−ジエチル−4,4−ジフェニルメタンビスマレイミド、4−メチル−1,3−フェニレンビスマレイミド、1,6−ビスマレイミド−(2,2,4−トリメチル)ヘキサン、4,4−ジフェニルエーテルビスマレイミド、4,4−ジフェニルスルフォンビスマレイミド、1,3−ビス(3−マレイミドフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−マレイミドフェノキシ)ベンゼン、4,4−ジフェニルメタンビスシトラコンイミド、2,2−ビス[4−(4−シトラコンイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス(3,5−ジメチル−4−シトラコンイミドフェニル)メタン、ビス(3−エチル−5−メチル−4−シトラコンイミドフェニル)メタン、ビス(3,5−ジエチル−4−シトラコンイミドフェニル)メタン、ポリフェニルメタンマレイミド、ノボラック型マレイミド化合物、ビフェニルアラルキル型マレイミド化合物、下記式(4)で表されるマレイミド化合物、下記式(5)で表されるマレイミド化合物、及びこれらマレイミド化合物のプレポリマー、又はマレイミド化合物とアミン化合物のプレポリマー等が挙げられる。
【0033】
(式(4)中、複数のR
5は、各々独立に、水素原子又はメチル基を表す。n
1は、1以上の整数を表し、好ましくは1〜10の整数を表し、より好ましくは1〜5の整数を表す。)。
【0035】
(式(5)中、複数のR
6は、各々独立に、水素原子又はメチル基を表す。n
2は、1以上の整数を表し、好ましくは1〜5の整数を表す。)。
これらのマレイミド化合は1種単独又は2種以上を適宜混合して使用することも可能である。この中でも、耐熱性に優れるという観点から、前記式(4)で表されるマレイミド化合物、及び前記式(5)で表される化合物が好ましく、前記式(4)で表されるマレイミド化合物がより好ましい。前記式(4)で表されるマレイミド化合物としては、市販品を利用することもでき、例えば、BMI−2300(大和化成工業(株)社製)が挙げられる。前記式(5)で表されるマレイミド化合物としては、市販品を利用することもでき、例えば、MIR−3000(日本化薬(株)社製)が挙げられる。
【0036】
本実施形態の樹脂組成物において、マレイミド化合物の含有量は、特に制限されず、樹脂組成物中の樹脂固形分100質量部に対して、好ましくは0.01質量部〜50質量部であり、より好ましくは0.02質量部〜45質量部であり、更に好ましくは0.03質量部〜20質量部であり、更により好ましくは0.1質量部〜10質量部であり、より更により好ましくは1質量部〜7質量部である。マレイミド化合物の含有量が上記範囲内であることにより、硬化物の耐熱性がより向上する傾向にある。
【0037】
<シアン酸エステル化合物>
シアン酸エステル化合物としては、シアナト基(シアン酸エステル基)が少なくとも1個置換された芳香族部分を分子内に有する樹脂であれば特に限定されるものではない。
【0038】
例えば一般式(6)で表されるものが挙げられる。
【0040】
(ここで、式中、Ar
1は、ベンゼン環、ナフタレン環又は2つのベンゼン環が単結合したものを表す。複数ある場合は互いに同一であっても異なっていても良い。Raは各々独立に水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数1〜4のアルコキシル基、炭素数1〜6のアルキル基と炭素数6〜12のアリール基とが結合された基を示す。Raにおける芳香環は置換基を有していてもよく、Ar
1及びRaにおける置換基は任意の位置を選択できる。pはAr
1に結合するシアナト基の数を示し、各々独立に1〜3の整数である。qはAr
1に結合するRaの数を示し、Ar
1がベンゼン環の時は4−p、ナフタレン環の時は6−p、2つのベンゼン環が単結合したものの時は8−pである。tは平均繰り返し数を示し、0〜50の整数であり、シアン酸エステル化合物は、tが異なる化合物の混合物であってもよい。Xは、複数ある場合は各々独立に、単結合、炭素数1〜50の2価の有機基(水素原子がヘテロ原子に置換されていてもよい。)、窒素数1〜10の2価の有機基(例えば−N−R−N−(ここでRは有機基を示す。))、カルボニル基(−CO−)、カルボキシ基(−C(=O)O−)、カルボニルジオキサイド基(−OC(=O)O−)、スルホニル基(−SO
2−)、2価の硫黄原子又は2価の酸素原子のいずれかを示す。)。
【0041】
一般式(6)のRaにおけるアルキル基は、直鎖もしくは分枝の鎖状構造、及び、環状構造(例えばシクロアルキル基等)いずれを有していてもよい。
また、一般式(6)におけるアルキル基及びRaにおけるアリール基中の水素原子は、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子、メトキシ基、フェノキシ基等のアルコキシル基、又はシアノ基等で置換されていてもよい。
アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、1−エチルプロピル基、2,2−ジメチルプロピル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、及びトリフルオロメチル基等が挙げられる。
アリール基の具体例としては、フェニル基、キシリル基、メシチル基、ナフチル基、フェノキシフェニル基、エチルフェニル基、o−,m−又はp−フルオロフェニル基、ジクロロフェニル基、ジシアノフェニル基、トリフルオロフェニル基、メトキシフェニル基、及びo−,m−又はp−トリル基等が挙げられる。更にアルコキシル基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、及びtert−ブトキシ基等が挙げられる。
【0042】
一般式(6)のXにおける炭素数1〜50の2価の有機基の具体例としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基などのアルキレン基、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、トリメチルシクロヘキシレン基などのシクロアルキレン基、ビフェニルイルメチレン基、ジメチルメチレン−フェニレン−ジメチルメチレン基、フルオレンジイル基、及びフタリドジイル基等の芳香環を有する2価の有機基が挙げられる。該2価の有機基中の水素原子は、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子、メトキシ基、フェノキシ基等のアルコキシル基、シアノ基等で置換されていてもよい。
【0043】
一般式(6)のXにおける窒素数1〜10の2価の有機基としては、−N−R−N−で表される基(Rは、有機基)、イミノ基、ポリイミド基等が挙げられる。
【0044】
また、一般式(6)中のXの有機基として、例えば、下記一般式(7)又は下記一般式(8)で表される構造であるものが挙げられる。
【0046】
ここで、式中、Ar
2はベンゼンテトライル基、ナフタレンテトライル基又はビフェニルテトライル基を示し、uが2以上の場合、互いに同一であっても異なっていてもよい。Rb、Rc、Rf、及びRgは各々独立に、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、トリフルオロメチル基、又はフェノール性ヒドロキシ基を少なくとも1個有するアリール基を示す。Rd及び、Reは各々独立に、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数1〜4のアルコキシル基、又はヒドロキシ基のいずれか一種から選択される。uは0〜5の整数を示す。
【0048】
ここで、式中、Ar
3はベンゼンテトライル基、ナフタレンテトライル基又はビフェニルテトライル基を示し、vが2以上の場合、互いに同一であっても異なっていてもよい。Ri、及びRjは各々独立に、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、ベンジル基、炭素数1〜4のアルコキシル基、ヒドロキシ基、トリフルオロメチル基、又はシアナト基が少なくとも1個置換されたアリール基を示す。vは0〜5の整数を示すが、vが異なる化合物の混合物であってもよい。
【0049】
さらに、一般式(6)中のXとしては、下記式で表される2価の基が挙げられる。
【0051】
ここで式中、zは4〜7の整数を示す。Rkは各々独立に、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を示す。
【0052】
一般式(7)のAr
2及び一般式(8)のAr
3の具体例としては、一般式(7)に示す2個の炭素原子、又は一般式(8)に示す2個の酸素原子が、1,4位又は1,3位に結合するベンゼンテトライル基、上記2個の炭素原子又は2個の酸素原子が4,4‘位、2,4’位、2,2‘位、2,3’位、3,3‘位、又は3,4’位に結合するビフェニルテトライル基、及び、上記2個の炭素原子又は2個の酸素原子が、2,6位、1,5位。1,6位、1,8位、1,3位、1,4位、又は2,7位に結合するナフタレンテトライル基が挙げられる。
【0053】
一般式(7)のRb、Rc、Rd、Re、Rf及びRg、並びに一般式(8)のRi、Rjにおけるアルキル基及びアリール基は、上記一般式(6)におけるものと同義である。
【0054】
上記一般式(6)で表されるシアナト置換芳香族化合物の具体例としては、シアナトベンゼン、1−シアナト−2−,1−シアナト−3−,又は1−シアナト−4−メチルベンゼン、1−シアナト−2−,1−シアナト−3−,又は1−シアナト−4−メトキシベンゼン、1−シアナト−2,3−,1−シアナト−2,4−,1−シアナト−2,5−,1−シアナト−2,6−,1−シアナト−3,4−又は1−シアナト−3,5−ジメチルベンゼン、シアナトエチルベンゼン、シアナトブチルベンゼン、シアナトオクチルベンゼン、シアナトノニルベンゼン、2−(4−シアナフェニル)−2−フェニルプロパン(4−α−クミルフェノールのシアネート)、1−シアナト−4−シクロヘキシルベンゼン、1−シアナト−4−ビニルベンゼン、1−シアナト−2−又は1−シアナト−3−クロロベンゼン、1−シアナト−2,6−ジクロロベンゼン、1−シアナト−2−メチル−3−クロロベンゼン、シアナトニトロベンゼン、1−シアナト−4−ニトロ−2−エチルベンゼン、1−シアナト−2−メトキシ−4−アリルベンゼン(オイゲノールのシアネート)、メチル(4−シアナトフェニル)スルフィド、1−シアナト−3−トリフルオロメチルベンゼン、4−シアナトビフェニル、1−シアナト−2−又は1−シアナト−4−アセチルベンゼン、4−シアナトベンズアルデヒド、4−シアナト安息香酸メチルエステル、4−シアナト安息香酸フェニルエステル、1−シアナト−4−アセトアミノベンゼン、4−シアナトベンゾフェノン、1−シアナト−2,6−ジ−tert−ブチルベンゼン、1,2−ジシアナトベンゼン、1,3−ジシアナトベンゼン、1,4−ジシアナトベンゼン、1,4−ジシアナト−2−tert−ブチルベンゼン、1,4−ジシアナト−2,4−ジメチルベンゼン、1,4−ジシアナト−2,3,4−トリメチルベンゼン、1,3−ジシアナト−2,4,6−トリメチルベンゼン、1,3−ジシアナト−5−メチルベンゼン、1−シアナト又は2−シアナトナフタレン、1−シアナト4−メトキシナフタレン、2−シアナト−6−メチルナフタレン、2−シアナト−7−メトキシナフタレン、2,2’−ジシアナト−1,1’−ビナフチル、1,3−、1,4−、1,5−、1,6−、1,7−、2,3−、2,6−又は2,7−ジシアナトシナフタレン、2,2’−又は4,4’−ジシアナトビフェニル、4,4’−ジシアナトオクタフルオロビフェニル、2,4’−又は4,4’−ジシアナトジフェニルメタン、ビス(4−シアナト−3,5−ジメチルフェニル)メタン、1,1−ビス(4−シアナトフェニル)エタン、1,1−ビス(4−シアナトフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−シアナト−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(2−シアナト−5−ビフェニルイル)プロパン、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−シアナト−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−シアナトフェニル)ブタン、1,1−ビス(4−シアナトフェニル)イソブタン、1,1−ビス(4−シアナトフェニル)ペンタン、1,1−ビス(4−シアナトフェニル)−3−メチルブタン、1,1−ビス(4−シアナトフェニル)−2−メチルブタン、1,1−ビス(4−シアナトフェニル)−2,2−ジメチルプロパン、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)ペンタン、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)ヘキサン、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)−3−メチルブタン、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)−4−メチルペンタン、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)−3,3−ジメチルブタン、3,3−ビス(4−シアナトフェニル)ヘキサン、3,3−ビス(4−シアナトフェニル)ヘプタン、3,3−ビス(4−シアナトフェニル)オクタン、3,3−ビス(4−シアナトフェニル)−2−メチルペンタン、3,3−ビス(4−シアナトフェニル)−2−メチルヘキサン、3,3−ビス(4−シアナトフェニル)−2,2−ジメチルペンタン、4,4−ビス(4−シアナトフェニル)−3−メチルヘプタン、3,3−ビス(4−シアナトフェニル)−2−メチルヘプタン、3,3−ビス(4−シアナトフェニル)−2,2−ジメチルヘキサン、3,3−ビス(4−シアナトフェニル)−2,4−ジメチルヘキサン、3,3−ビス(4−シアナトフェニル)−2,2,4−トリメチルペンタン、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−シアナトフェニル)フェニルメタン、1,1−ビス(4−シアナトフェニル)−1−フェニルエタン、ビス(4−シアナトフェニル)ビフェニルメタン、1,1−ビス(4−シアナトフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−シアナトフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−シアナト−3−イソプロピルフェニル)プロパン、1,1−ビス(3−シクロヘキシル−4−シアナトフェニル)シクロヘキサン、ビス(4−シアナトフェニル)ジフェニルメタン、ビス(4−シアナトフェニル)−2,2−ジクロロエチレン、1,3−ビス[2−(4−シアナトフェニル)−2−プロピル]ベンゼン、1,4−ビス[2−(4−シアナトフェニル)−2−プロピル]ベンゼン、1,1−ビス(4−シアナトフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、4−[ビス(4−シアナトフェニル)メチル]ビフェニル、4,4−ジシアナトベンゾフェノン、1,3−ビス(4−シアナトフェニル)−2−プロペン−1−オン、ビス(4−シアナトフェニル)エーテル、ビス(4−シアナトフェニル)スルフィド、ビス(4−シアナトフェニル)スルホン、4−シアナト安息香酸−4−シアナトフェニルエステル(4−シアナトフェニル−4−シアナトベンゾエート)、ビス−(4−シアナトフェニル)カーボネート、1,3−ビス(4−シアナトフェニル)アダマンタン、1,3−ビス(4−シアナトフェニル)−5,7−ジメチルアダマンタン、1,3−ビス(3−メチル−4−シアナトフェニル)−5,7−ジメチルアダマンタン、3,3−ビス(4−シアナトフェニル)イソベンゾフラン−1(3H)−オン(フェノールフタレインのシアネート)、3,3−ビス(4−シアナト−3−メチルフェニル)イソベンゾフラン−1(3H)−オン(o−クレゾールフタレインのシアネート)、9,9’−ビス(4−シアナトフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−シアナト−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(2−シアナト−5−ビフェニルイル)フルオレン、トリス(4−シアナトフェニル)メタン、1,1,1−トリス(4−シアナトフェニル)エタン、1,1,3−トリス(4−シアナトフェニル)プロパン、α,α,α’−トリス(4−シアナトフェニル)−1−エチル−4−イソプロピルベンゼン、1,1,2,2−テトラキス(4−シアナトフェニル)エタン、テトラキス(4−シアナトフェニル)メタン、2,4,6−トリス(N−メチル−4−シアナトアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(N−メチル−4−シアナトアニリノ)−6−(N−メチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、ビス(N−4−シアナト−2−メチルフェニル)−4,4’−オキシジフタルイミド、ビス(N−3−シアナト−4−メチルフェニル)−4,4’−オキシジフタルイミド、ビス(N−4−シアナトフェニル)−4,4’−オキシジフタルイミド、ビス(N−4−シアナト−2−メチルフェニル)−4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタルイミド、トリス(3,5−ジメチル−4−シアナトベンジル)イソシアヌレート、2−フェニル−3,3−ビス(4−シアナトフェニル)フタルイミジン、2−(4−メチルフェニル)−3,3−ビス(4−シアナトフェニル)フタルイミジン、2−フェニル−3,3−ビス(4−シアナト−3−メチルフェニル)フタルイミジン、1−メチル−3,3−ビス(4−シアナトフェニル)インドリン−2−オン、及び、2−フェニル−3,3−ビス(4−シアナトフェニル)インドリン−2−オン、及びこれらのプレポリマーが挙げられる。
【0055】
この中でも、耐熱性、及び誘電率、誘電正接に優れるという観点から、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)プロパンのプレポリマーが好ましい。
【0056】
これらのシアン酸エステル化合物は、1種単独又は2種以上混合して用いることができる。
【0057】
また、上記一般式(6)で表される化合物の別の具体例としては、フェノールノボラック樹脂及びクレゾールノボラック樹脂(公知の方法により、フェノール、アルキル置換フェノール又はハロゲン置換フェノールと、ホルマリンやパラホルムアルデヒドなどのホルムアルデヒド化合物とを、酸性溶液中で反応させたもの)、トリスフェノールノボラック樹脂(ヒドロキシベンズアルデヒドとフェノールとを酸性触媒の存在下に反応させたもの)、フルオレンノボラック樹脂(フルオレノン化合物と9,9−ビス(ヒドロキシアリール)フルオレン類とを酸性触媒の存在下に反応させたもの)、フェノールアラルキル樹脂、クレゾールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂及びビフェニルアラルキル樹脂(公知の方法により、Ar
2−(CH
2Y)
2(Ar
2はフェニル基を示し、Yはハロゲン原子を示す。以下、この項において同様。)で表されるようなビスハロゲノメチル化合物とフェノール化合物とを酸性触媒若しくは無触媒で反応させたもの、Ar
2−(CH
2OR)
2で表されるようなビス(アルコキシメチル)化合物とフェノール化合物とを酸性触媒の存在下に反応させたもの、又は、Ar
2−(CH
2OH)
2で表されるようなビス(ヒドロキシメチル)化合物とフェノール化合物を酸性触媒の存在下に反応させたもの、あるいは、芳香族アルデヒド化合物とアラルキル化合物とフェノール化合物とを重縮合させたもの)、フェノール変性キシレンホルムアルデヒド樹脂(公知の方法により、キシレンホルムアルデヒド樹脂とフェノール化合物とを酸性触媒の存在下に反応させたもの)、変性ナフタレンホルムアルデヒド樹脂(公知の方法により、ナフタレンホルムアルデヒド樹脂とヒドロキシ置換芳香族化合物を酸性触媒の存在下に反応させたもの)、フェノール変性ジシクロペンタジエン樹脂、ポリナフチレンエーテル構造を有するフェノール樹脂(公知の方法により、フェノール性ヒドロキシ基を1分子中に2つ以上有する多価ヒドロキシナフタレン化合物を、塩基性触媒の存在下に脱水縮合させたもの)等のフェノール樹脂を、上述と同様の方法によりシアネート化したもの等、並びにこれらのプレポリマー等が挙げられる。これらは、特に制限されるものではない。これらのシアン酸エステル化合物は、1種単独又は2種以上混合して用いることができる。また、これらのシアン酸エステル化合物を上記一般式(6)で表されるシアン酸エステル化合物と共に用いることが、耐熱性、誘電率、誘電正接に優れることから好ましい。
【0058】
この中でも、フェノールノボラック型シアン酸エステル化合物、ナフトールアラルキル型シアン酸エステル化合物、ビフェニルアラルキル型シアン酸エステル化合物、ナフチレンエーテル型シアン酸エステル化合物、キシレン樹脂型シアン酸エステル化合物、アダマンタン骨格型シアン酸エステル化合物が好ましく、ナフトールアラルキル型シアン酸エステル化合物が、耐熱性の点から、特に好ましい。
【0059】
これらのシアン酸エステル化合物の製造方法としては、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。かかる製法の例としては、所望の骨格を有するヒドロキシ基含有化合物を入手又は合成し、当該ヒドロキシ基を公知の手法により修飾してシアネート化する方法が挙げられる。ヒドロキシ基をシアネート化する手法としては、例えば、Ian Hamerton,“Chemistry and Technology of Cyanate Ester Resins,”Blackie Academic & Professionalに記載の手法が挙げられる。
【0060】
これらのシアン酸エステル化合物を用いた樹脂硬化物は、ガラス転移温度、低熱膨張性、めっき密着性等に優れた特性を有する。
本実施形態の樹脂組成物において、シアン酸エステル化合物の含有量は、特に限定されないが、耐熱性、誘電率、誘電正接に優れるという観点から、樹脂組成物中の樹脂固形分100質量部に対して、好ましくは0.1質量部〜50質量部であり、より好ましくは0.2質量部〜40質量部であり、更に好ましくは0.3質量部〜20質量部であり、更により好ましくは0.5質量部〜10質量部であり、より更により好ましくは1質量部〜5質量部である。
【0061】
<エポキシ樹脂>
エポキシ樹脂としては、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する化合物であれば、公知のものを適宜使用することができ、その種類は特に限定されない。その具体例としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールE型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、キシレンノボラック型エポキシ樹脂、多官能フェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフタレン骨格変性ノボラック型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、3官能フェノール型エポキシ樹脂、4官能フェノール型エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂、フェノールアラルキルノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキルノボラック型エポキシ樹脂、アラルキルノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ポリオール型エポキシ樹脂、リン含有エポキシ樹脂、グリシジルアミン、ブタジエンなどの二重結合をエポキシ化した化合物、水酸基含有シリコーン樹脂類とエピクロルヒドリンとの反応により得られる化合物、及びこれらのハロゲン化物が挙げられる。
この中でも、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、多官能フェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂が、難燃性、耐熱性の面で好ましい。
これらエポキシ樹脂は、1種単独又は2種以上を適宜混合して使用することも可能である。
【0062】
エポキシ樹脂の含有量は、特に制限されず、樹脂組成物中の樹脂固形分100質量部に対して、好ましくは0.1質量部〜50質量部であり、より好ましくは0.2質量部〜45質量部であり、より好ましくは5質量部〜40質量部であり、更により好ましくは10質量部〜25質量部であり、より更により好ましくは15質量部〜25質量部であり、最も好ましくは12質量部〜20質量部である。エポキシ樹脂の含有量が上記範囲内であることにより、難燃性及び耐熱性がより向上する傾向にある。
【0063】
<フェノール樹脂>
フェノール樹脂としては、1分子中に2個以上のヒドロキシル基を有するフェノール樹脂であれば、一般に公知のものを使用できる。例えば、ビスフェノールA型フェノール樹脂、ビスフェノールE型フェノール樹脂、ビスフェノールF型フェノール樹脂、ビスフェノールS型フェノール樹脂、フェノールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック型フェノール樹脂、グリシジルエステル型フェノール樹脂、アラルキルノボラック型フェノール樹脂、ビフェニルアラルキル型フェノール樹脂、クレゾールノボラック型フェノール樹脂、多官能フェノール樹脂、ナフトール樹脂、ナフトールノボラック樹脂、多官能ナフトール樹脂、アントラセン型フェノール樹脂、ナフタレン骨格変性ノボラック型フェノール樹脂、フェノールアラルキル型フェノール樹脂、ナフトールアラルキル型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、ビフェニル型フェノール樹脂、脂環式フェノール樹脂、ポリオール型フェノール樹脂、リン含有フェノール樹脂、重合性不飽和炭化水素基含有フェノール樹脂及び水酸基含有シリコーン樹脂類等が挙げられるが、特に制限されるものではない。これらのフェノール樹脂の中では、ビフェニルアラルキル型フェノール樹脂、ナフトールアラルキル型フェノール樹脂、リン含有フェノール樹脂、水酸基含有シリコーン樹脂が難燃性の点で好ましい。これらのフェノール樹脂は、1種単独又は2種以上を適宜混合して使用することも可能である。
【0064】
フェノール樹脂の含有量は、特に制限されず、樹脂組成物中の樹脂固形分100質量部に対して、好ましくは0.1質量部〜50質量部であり、より好ましくは0.2質量部〜45質量部であり、更に好ましくは0.3質量部〜40質量部である。フェノール樹脂の含有量が上記範囲内であることにより、耐熱性がより向上する傾向にある。
【0065】
<オキセタン樹脂>
オキセタン樹脂としては、一般に公知のものを使用できる。例えば、オキセタン、2−メチルオキセタン、2,2−ジメチルオキセタン、3−メチルオキセタン、3,3−ジメチルオキセタン等のアルキルオキセタン、3−メチル−3−メトキシメチルオキセタン、3,3−ジ(トリフルオロメチル)パーフルオキセタン、2−クロロメチルオキセタン、3,3−ビス(クロロメチル)オキセタン、ビフェニル型オキセタン、OXT−101(東亞合成製、商品名)、OXT−121(東亞合成製、商品名)等が挙げられる、特に制限されるものではない。これらは、1種単独で又は2種以上を適宜混合して使用することも可能である。
【0066】
オキセタン樹脂の含有量は、特に制限されず、樹脂組成物中の樹脂固形分100質量部に対して、好ましくは0.1質量部〜50質量部であり、より好ましくは0.2質量部〜45質量部であり、更に好ましくは0.3質量部〜40質量部である。オキセタン樹脂の含有量が上記範囲内であることにより、耐熱性がより向上する傾向にある。
【0067】
<ベンゾオキサジン化合物>
ベンゾオキサジン化合物としては、1分子中に2個以上のジヒドロベンゾオキサジン環を有する化合物であれば、一般に公知のものを用いることができる。例えば、ビスフェノールA型ベンゾオキサジンBA−BXZ(小西化学製、商品名)ビスフェノールF型ベンゾオキサジンBF−BXZ(小西化学製、商品名)、ビスフェノールS型ベンゾオキサジンBS−BXZ(小西化学製、商品名)、フェノールフタレイン型ベンゾオキサジン等が挙げられるが、特に制限されるものではない。これらは、一種又は2種以上を適宜混合して使用することも可能である。
【0068】
ベンゾオキサジン化合物の含有量は、特に制限されず、樹脂組成物中の樹脂固形分100質量部に対して、好ましくは0.1質量部〜50質量部であり、より好ましくは0.2質量部〜45質量部であり、更に好ましくは0.3質量部〜40質量部である。ベンゾオキサジン化合物の含有量が上記範囲内であることにより、耐熱性がより向上する傾向にある。
【0069】
<エチレン性不飽和基を有する化合物>
本実施形態の樹脂組成物には、熱硬化性及び活性エネルギー線による硬化性(例えば紫外線による光硬化性等)を高めるために、エチレン性不飽和基を有する化合物を併用することも可能である。本実施形態に用いるエチレン性不飽和基を有する化合物は、1分子中に1個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物であれば、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基等を有する化合物が挙げられる。これらは一種又は2種以上を適宜混合して使用することも可能である。
【0070】
(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレートモノメチルエーテル、フェニルエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、グリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレンジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリス(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアヌレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、アジピン酸エポキシジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールエチレンオキサイドジ(メタ)アクリレート、水素化ビスフェノールエチレンオキサイド(メタ)アクリレート、ビスフェノールジ(メタ)アクリレート、ε−カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸ネオペングリコールジ(メタ)アクリレート、ε−カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ε−カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリエチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、及びそのエチレンオキサイド付加物、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、及びそのエチレンオキサイド付加物、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、及びそのエチレンオキサイド付加物等が挙げられる。
【0071】
この他にも、(メタ)アクリロイル基とウレタン結合を同一分子内に併せ持つウレタン(メタ)アクリレート類、同様に(メタ)アクリロイル基とエステル結合を同一分子内に併せ持つポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ樹脂から誘導され、(メタ)アクリロイル基を併せ持つエポキシ(メタ)アクリレート類、これらの結合が複合的に用いられている反応性オリゴマー等も挙げられる。
【0072】
上記ウレタン(メタ)アクリレート類とは、水酸基含有(メタ)アクリレートとポリイソシアネート、必要に応じて用いられるその他アルコール類との反応物である。例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート等のグリセリン(メタ)アクリレート類、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等の糖アルコール(メタ)アクリレート類と、トルエンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、水添キシレンジイソシアネート、ジシクロヘキサンメチレンジイソシアネート、及びそれらのイソシアヌレート、ビュレット反応物等のポリイソシアネート等を反応させ、ウレタン(メタ)アクリレート類となる。
【0073】
上記エポキシ(メタ)アクリレート類とは、エポキシ基を有する化合物と(メタ)アクリル酸とのカルボキシレート化合物である。例えば、フェノールノボラック型エポキシ(メタ)アクリレート、クレゾールノボラック型エポキシ(メタ)アクリレート、トリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエンフェノール型エポキシ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA型エポキシ(メタ)アクリレート、ビスフェノールF型エポキシ(メタ)アクリレート、ビフェノール型エポキシ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAノボラック型エポキシ(メタ)アクリレート、ナフタレン骨格含有エポキシ(メタ)アクリレート、グリオキサール型エポキシ(メタ)アクリレート、複素環式エポキシ(メタ)アクリレート、及びこれらの酸無水物変性エポキシ(メタ)アクリレート、前記一般式(1)で表される化合物等が挙げられる。
【0074】
前記一般式(1)中、複数のR
1は、各々独立に、水素原子又はメチル基を表す。その中でも、光硬化反応の反応性を向上させる観点から水素原子を含むことが好ましく、より好ましくはR
1の全てが水素原子である。
【0075】
複数のR
2は、各々独立に、水素原子又はメチル基を表す。その中でも、硬化物の耐熱性を向上させる観点からメチル基を含むことが好ましく、より好ましくはR
2の全てがメチル基である。
【0076】
複数のR
3は、各々独立に、前記式(2)で表される置換基、前記式(3)で表される置換基又はヒドロキシ基を表す。その中でも、耐熱性を向上させる観点から、ヒドロキシル基を含むことが好ましい。また、本実施形態では、複数のR
3のうち、前記式(2)で表される置換基を含む化合物を用いることも、現像性を向上させる観点から、好ましい。本実施形態では、複数のR
3のうち、前記式(3)で表される置換基を含む化合物を用いることも、耐熱性を向上させる観点から、好ましい。前記式(3)中、R
4は水素原子又はメチル基を表す。その中でも、光硬化反応の反応性を向上させる観点から、水素原子であることが好ましい。
【0077】
複数のR
3は、現像性を向上させる観点から、全てのR
3の置換基のうち、前記式(2)で表される置換基の比率が20%以上85%以下、前記式(3)で表される置換基の比率が5%以上70%以下、ヒドロキシ基の比率が10%以上75%以下であることが好ましい。
前記一般式(1)で表される化合物としては、以下の化合物(A1)〜(A5)のいずれか一種以上を含むことが、光硬化反応の反応性、硬化物の耐熱性及び現像性を向上させることができるため好ましく、少なくとも化合物(A1)を含むことがより好ましく、(A1)〜(A5)のいずれか2種以上を含むこともより好ましく、化合物(A1)及び化合物(A2)〜(A5)のいずれか1種以上を含むことがさらに好ましい。化合物(A)としては、少なくとも化合物(A2)及び(A3)を含むことも好ましい。
【0083】
前記一般式(1)で表される化合物の酸価は、現像性を向上させる観点から、30mgKOH/g以上であり、より現像性が向上することから、50mgKOH/g以上であることが好ましい。また、活性エネルギー線で硬化させた後に現像液による溶解を防止する観点から、前記一般式(1)で表される化合物の酸価は、120mgKOH/g以下であり、より溶解を防止できることから、110mgKOH/g以下であることが好ましい。なお、本実施形態における「酸価」は、JISK 0070:1992に準じた方法で測定される値を示す。
【0084】
酸無水物変性エポキシアクリレートとしては、酸変性ビスフェノールF型エポキシアクリレートが挙げられる。
これらは市販品を使用しても良く、前記一般式(1)で表されるものとしては、例えば、日本化薬(株)製の、KAYARAD(登録商標)ZCR−6001H、KAYARAD(登録商標)ZCR−6002H、KAYARAD(登録商標)ZCR−6006H、KAYARAD(登録商標)ZCR−6007H、KAYARAD(登録商標)ZCA−601H(以上、商品名)等が挙げられる。また、酸変性ビスフェノールF型エポキシアクリレートとしては、日本化薬(株)製のKAYARAD(登録商標)ZFR−1553H(商品名)が挙げられる。
【0085】
ビニル基を有する化合物としては、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ビニル基を有する2官能性フェニレンエーテルオリゴマー等のビニルエーテル類が挙げられる。スチレン類としては、スチレン、メチルスチレン、エチルスチレン、ジビニルベンゼン、α−メチルスチレン、及びこれらのオリゴマー等が挙げられる。その他ビニル化合物としては、トリアリルイソシアヌレート、トリメタアリルイソシアヌレート、ビスアリルナジイミド等が挙げられる。
【0086】
これらの中でも、ビニル基を有する2官能性フェニレンエーテルオリゴマー、α−メチルスチレンのオリゴマー、酸変性ビスフェノールF型エポキシ(メタ)アクリレート、前記一般式(1)で表される化合物、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、クレゾールノボラック型エポキシ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA型エポキシ(メタ)アクリレート、ナフタレン骨格含有エポキシ(メタ)アクリレート、ビスアリルナジイミドからなる群より選択される少なくとも一種以上であることが好ましい。ビニル基を有する2官能性フェニレンエーテルオリゴマー、α−メチルスチレンのオリゴマー、酸変性ビスフェノールF型エポキシ(メタ)アクリレート、前記一般式(1)で表される化合物及びジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートからなる群より選択される一種以上であることが、良好な耐熱性、誘電率、誘電正接が得られる点から、より好ましい。
【0087】
熱硬化性が求められる場合には、ビニル基を有する2官能性フェニレンエーテルオリゴマー及び/又はα−メチルスチレンのオリゴマーが、良好に熱硬化し、良好な微細配線の埋め込み性及び半田耐熱性、誘電率、誘電正接に優れることから好ましい。光硬化性が求められる場合には、酸変性ビスフェノールF型エポキシ(メタ)アクリレート、前記一般式(1)で表される化合物及びジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートからなる群より選択される少なくとも一種以上を含むことが、良好な微細配線の埋め込み性及び半田耐熱性と、誘電率、誘電正接及び現像性にも優れるため好ましく、前記一般式(1)で表される化合物を用いることが、さらに耐熱性に優れるためより好ましい。このような種類のエチレン性不飽和基を有する化合物を含むことにより、得られる硬化物の耐熱性がより向上する傾向にある。
これらのエチレン性不飽和基を有する化合物は、一種又は2種以上を適宜混合して使用することも可能である。また、これらのエチレン性不飽和基を有する化合物は、構造異性体及び立体異性体などの異性体を含んでいてもよく、互いに構造が異なる化合物を2種以上適宜組み合わせて用いてもよい。
【0088】
エチレン性不飽和基を有する化合物の含有量は、特に制限されず、樹脂組成物中の樹脂固形分100質量部に対して、好ましくは0.1質量部〜90質量部であり、より好ましくは0.2質量部〜85質量部である。エチレン性不飽和基を有する化合物が上記範囲内であることにより、半田耐熱性がより向上する傾向にある。特に、熱硬化性が求められる場合には、良好に熱硬化し、良好な微細配線の埋め込み性及び半田耐熱性、誘電率、誘電正接が得られることから、エチレン性不飽和基を有する化合物の含有量は、樹脂組成物中の樹脂固形分100質量部に対して、好ましくは5質量部〜90質量部であり、より好ましくは7質量部〜85質量部であり、更に好ましくは10質量部〜83質量部である。また、光硬化性が求められる場合には、良好な微細配線の埋め込み性及び半田耐熱性と、誘電率、誘電正接及び現像性が得られることから、エチレン性不飽和基を有する化合物の含有量は、樹脂組成物中の樹脂固形分100質量部に対して、好ましくは5質量部〜90質量部であり、より好ましくは7質量部〜85質量部であり、更に好ましくは10質量部〜80質量部であり、更により好ましくは10質量部〜73質量部である。
【0089】
<シリカ被覆フッ素樹脂粒子(A)以外の充填材(C)>
本実施形態の樹脂組成物には、本実施形態の特性を損なわれない範囲において、シリカ被覆フッ素樹脂粒子(A)以外の充填材(C)(以下、他の充填材(C)という)を含有していてもよい。他の充填材(C)を併用することで、硬化物の難燃性、耐熱性、熱膨張特性など所望する特性を向上させることができる。
【0090】
他の充填材(C)としては、絶縁性を有するものであれば、特に限定されないが、例えば、天然シリカ、溶融シリカ、合成シリカ、アモルファスシリカ、アエロジル、中空シリカ等のシリカ類、ホワイトカーボン、チタンホワイト、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム等の酸化物、窒化ホウ素、凝集窒化ホウ素、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム加熱処理品(水酸化アルミニウムを加熱処理し、結晶水の一部を減じたもの)、ベーマイト、水酸化マグネシウム等の金属水和物、酸化モリブデンやモリブデン酸亜鉛等のモリブデン化合物、ホウ酸亜鉛、錫酸亜鉛、アルミナ、クレー、カオリン、タルク、焼成クレー、焼成カオリン、焼成タルク、マイカ、E−ガラス、A−ガラス、NE−ガラス、C−ガラス、L−ガラス、D−ガラス、S−ガラス、M−ガラスG20、ガラス短繊維(Eガラス、Tガラス、Dガラス、Sガラス、Qガラス等のガラス微粉末類を含む。)、中空ガラス、球状ガラスなど無機系の充填材の他、スチレン型、ブタジエン型、アクリル型などのゴムパウダー、コアシェル型のゴムパウダー、並びにシリコーンレジンパウダー、シリコーンゴムパウダー、シリコーン複合パウダーなど有機系の充填材などが挙げられる。その中でも、シリカ、水酸化アルミニウム、ベーマイト、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、及び硫酸バリウムからなる群から選択される一種以上であることが好ましい。これらは一種又は2種以上を適宜混合して使用することも可能である。
これらの他の充填材(C)は、後述のシランカップリング剤などで表面処理されていてもよい。
【0091】
特に、硬化物の耐熱性を向上させるという観点から、シリカが好ましく、溶融シリカがとりわけ好ましい。シリカの具体例としては、デンカ(株)製のSFP−130MC等、(株)アドマテックス製のSC2050―MB、SC2050―MNU、SC1050−MLE、YA010C−MFN、YA050C−MJA等が挙げられる。
【0092】
他の充填材(C)の平均粒子径は特に限定されないが、樹脂組成物中の他の充填材(C)の分散性を良好にするという観点から、メジアン径として15μm以下が好ましい。また、樹脂組成物中の他の充填材(C)の分散性を良好にするという観点から、メジアン径は、0.005μm以上が好ましい。
【0093】
なお、本明細書における「メジアン径」とは、ある粒子径を基準として粉体の粒度分布を2つに分けた場合に、より粒径が大きい側の粒子の個数又は質量と、より粒径が小さい側の個数又は質量とが、全粉体の夫々50%を占めるような粒子径を意味する。メジアン径は、湿式レーザー回折・散乱法により測定される。
【0094】
本実施形態の樹脂組成物において、他の充填材(C)の含有量は、特に限定されないが、硬化物の耐熱性を向上させるという観点から、樹脂組成物100質量部に対して、5質量部以上とすることが好ましく、10質量部以上とすることがより好ましく、20質量部以上とすることが更に好ましい。また、樹脂組成物の現像性や微細配線の埋め込み性を良好にするという観点から、樹脂組成物100質量部に対して、400質量部以下とすることが好ましく、350質量部以下とすることがより好ましく、300質量部以下とすることが更に好ましく、100質量部以下とすることが更により好ましい。
【0095】
<シランカップリング剤及び湿潤分散剤>
本実施形態の樹脂組成物には、本実施形態の特性が損なわれない範囲において、シランカップリング剤及び/又は湿潤分散剤を含有していてもよい。シランカップリング剤及び/又は湿潤分散剤を併用することで、充填材の分散性、樹脂と充填材の接着強度など所望する特性を向上させることができる。
【0096】
シランカップリング剤としては、一般に充填材の表面処理に使用されているシランカップリング剤であれば、特に限定されるものではない。具体例としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランなどのビニルシラン系、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノシラン系;γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のエポキシシラン系;γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のアクリルシラン系;N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、N−(ビニルベンゼン)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩等のカチオニックシラン系;フェニルシラン系のシランカップリング剤等が挙げられる。これらのシランカップリング剤は、1種単独又は2種以上を適宜組み合わせて使用することも可能である。
【0097】
本実施形態の樹脂組成物において、シランカップリング剤の含有量は、特に限定されないが、通常、樹脂組成物100質量部に対して、0.1〜10質量部である。
【0098】
湿潤分散剤としては、塗料用に使用されている分散安定剤であれば、特に限定されるものではない。具体例としては、例えば、ビッグケミー・ジャパン(株)製のDISPERBYK(登録商標)−110、111、118、180、161、BYK(登録商標)−W996、W9010、W903等の湿潤分散剤が挙げられる。これら湿潤分散剤は、1種単独又は2種以上を適宜混合して使用することも可能である。
本実施形態の樹脂組成物において、湿潤分散剤の含有量は、特に限定されないが、通常、樹脂組成物100質量部に対して、0.1〜10質量部である。
【0099】
<難燃剤(D)>
本実施形態の樹脂組成物には、本実施形態の特性を損なわれない範囲において、難燃剤(D)を含有していてもよい。難燃剤(D)を併用することで、硬化物の難燃性、耐熱性、熱膨張特性など所望する特性を向上させることができる。
【0100】
難燃剤(D)としては、絶縁性を有するものであれば、一般に公知のものを用いることができる。例えば、臭素化ポリカーボネート、デカブロモジフェニルエタン、4,4−ジブロモビフェニル、エチレンビステトラブロモフタルイミド等の臭素化有機化合物が挙げられるが、特に制限されるものではない。これらは、1種単独又は2種以上を適宜混合して使用することも可能である。
本実施形態の樹脂組成物において、難燃剤(D)の含有量は、特に限定されないが、通常、樹脂組成物中の樹脂組成物100質量部に対して、0.1〜10質量部であり、好ましくは1〜10質量部である。
【0101】
<光硬化開始剤(E)>
本実施形態の樹脂組成物には、樹脂成分(B)として紫外線などによる光硬化可能な樹脂成分(マレイミド化合物、エポキシ樹脂、エチレン性不飽和基を有する化合物、フェノール樹脂、オキセタン樹脂等)を用いる場合には、その光硬化性を向上させるため、本実施形態の特性が損なわれない範囲において、光硬化開始剤(E)を含有していてもよい。
光硬化開始剤(E)としては、特に限定されないが、一般に光硬化性樹脂組成物に用いられる分野で公知のものを使用することができる。
【0102】
例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン類、過酸化ベンゾイル、ラウロイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、パラクロロベンゾイルパーオキサイド、ジ−tert−ブチル−ジ−パーフタレート等で例示される有機過酸化物、アセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−フェニルプロパン−1−オン、ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシンクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン等のアセトフェノン類、2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、2−クロロアントラキノン、2−アミルアントラキノン等のアントラキノン類、2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン等のチオキサントン類、アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等のケタール類、ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、4,4’−ビスメチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン類、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド等のホスフィンオキサイド類、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]等のオキシムエステル類等のラジカル型光硬化開始剤や、p−メトキシフェニルジアゾニウムフロロホスホネート、N,N−ジエチルアミノフェニルジアゾニウムヘキサフロロホスホネート等のルイス酸のジアゾニウム塩、ジフェニルヨードニウムヘキサフロロホスホネート、ジフェニルヨードニウムヘキサフロロアンチモネート等のルイス酸のヨードニウム塩、トリフェニルスルホニウムヘキサフロロホスホネート、トリフェニルスルホニウムヘキサフロロアンチモネート等のルイス酸のスルホニウム塩、トリフェニルホスホニウムヘキサフロロアンチモネート等のルイス酸のホスホニウム塩、その他のハロゲン化物、トリアジン系開始剤、ボーレート系開始剤、及びその他の光酸発生剤等のカチオン系光重合開始剤が挙げられる。
【0103】
その中でも、多層プリント配線板用途に適した反応性があり、金属導体に対する信頼性が高いという観点から、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(BASFジャパン(株)製、Irgacure(登録商標)369)等のアセトフェノン類のラジカル型光硬化開始剤が好ましい。
【0104】
これらの光硬化開始剤(E)は、1種単独又は2種以上を適宜混合して使用することも可能であり、ラジカル系とカチオン系の双方の開始剤を併せて用いても良い。
【0105】
本実施形態の樹脂組成物における光硬化開始剤(E)の含有量は、特に限定されないが、樹脂組成物を活性エネルギー線で十分に硬化させ、耐熱性を向上させるという観点から、樹脂組成物中の樹脂固形分100質量部に対して、0.1質量部以上とすることが好ましく、0.2質量部以上とすることがより好ましく、0.3質量部以上とすることが更に好ましく、1質量部以上とすることが更により好ましい。また、光硬化後の熱硬化を阻害し耐熱性を低下させるという観点から、樹脂組成物中の樹脂固形分100質量部に対して、30質量部以下とすることが好ましく、25質量部以下とすることがより好ましく、20質量部以下とすることが更に好ましく、10質量部以下とすることが更により好ましい。
【0106】
<熱硬化促進剤>
本実施形態の樹脂組成物においては、本実施形態の特性が損なわれない範囲において、熱硬化促進剤を併用することも可能である。熱硬化促進剤としては、特に限定されないが、例えば、過酸化ベンゾイル、ラウロイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、パラクロロベンゾイルパーオキサイド、ジ−tert−ブチル−ジ−パーフタレート等で例示される有機過酸化物;アゾビスニトリル等のアゾ化合物;N,N−ジメチルベンジルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチルトルイジン、2−N−エチルアニリノエタノール、トリ−n−ブチルアミン、ピリジン、キノリン、N−メチルモルホリン、トリエタノールアミン、トリエチレンジアミン、テトラメチルブタンジアミン、N−メチルピペリジンなどの第3級アミン類;フェノール、キシレノール、クレゾール、レゾルシン、カテコールなどのフェノール類;ナフテン酸鉛、ステアリン酸鉛、ナフテン酸亜鉛、オクチル酸亜鉛、オレイン酸錫、ジブチル錫マレート、ナフテン酸マンガン、ナフテン酸コバルト、アセチルアセトン鉄などの有機金属塩;これら有機金属塩をフェノール、ビスフェノールなどの水酸基含有化合物に溶解してなるもの;塩化錫、塩化亜鉛、塩化アルミニウムなどの無機金属塩;ジオクチル錫オキサイド、その他のアルキル錫、アルキル錫オキサイドなどの有機錫化合物;1,2−ジメチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、2,4,5−トリフェニルイミダゾール等のイミダゾール化合物などが挙げられる。
【0107】
これら熱硬化促進剤は、1種単独又は2種以上を適宜混合して使用することも可能である。
本実施形態の樹脂組成物において、熱硬化促進剤の含有量は、特に限定されないが、通常、樹脂組成物中の樹脂組成物100質量部に対して、0.1〜10質量部である。
【0108】
<有機溶剤>
本実施形態の樹脂組成物には、必要に応じて溶剤を含有していてもよい。例えば、有機溶剤を用いると、樹脂組成物の調製時における粘度を調整することができる。溶剤の種類は、樹脂組成物中の樹脂の一部又は全部を溶解可能なものであれば、特に限定されない。その具体例としては、特に限定されないが、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルセルソルブ等のケトン類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジメチルホルムアミド等のアミド類;プロピレングリコールモノメチルエーテル及びそのアセテートが挙げられる。
これら有機溶剤は、1種単独又は2種以上を適宜混合して使用することも可能である。
【0109】
<その他の成分>
本実施形態の樹脂組成物には、本実施形態の特性が損なわれない範囲において、これまでに挙げられていない熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂及びそのオリゴマー、エラストマー類等の種々の高分子化合物;これまでに挙げられていない難燃性の化合物;添加剤等の併用も可能である。これらは一般に使用されているものであれば、特に限定されるものではない。例えば、難燃性の化合物では、メラミンやベンゾグアナミン等の窒素含有化合物、オキサジン環含有化合物、及びリン系化合物のホスフェート化合物、芳香族縮合リン酸エステル、含ハロゲン縮合リン酸エステル等が挙げられる。添加剤としては、紫外線吸収剤、酸化防止剤、蛍光増白剤、光増感剤、染料、顔料、増粘剤、滑剤、消泡剤、表面調整剤、光沢剤、重合禁止剤等が挙げられる。これらの成分は、1種単独又は2種以上を適宜混合して使用することも可能である。
本実施形態の樹脂組成物において、その他の成分の含有量は、特に限定されないが、通常、樹脂組成物100質量部に対して、それぞれ0.1〜10質量部である。
【0110】
本実施形態の樹脂組成物は、シリカ被覆フッ素樹脂粒子(A)、樹脂成分(B)及び所望に応じて上述したその他の任意成分を適宜混合することにより調製される。本実施形態の樹脂組成物は、後述する本実施形態のプリプレグ、及び樹脂シートを作製する際のワニスとして、好適に使用することができる。
<樹脂組成物の製造方法>
本実施形態の樹脂組成物の製造方法は、特に限定されず、例えば、上述した各成分を順次溶剤に配合し、十分に攪拌する方法が挙げられる。
【0111】
樹脂組成物の製造時には、必要に応じて各成分を均一に溶解又は分散させるための公知の処理(攪拌、混合、混練処理等)を行うことができる。具体的には、適切な攪拌能力を有する攪拌機を付設した攪拌槽を用いて攪拌分散処理を行うことにより、樹脂組成物に対するシリカ被覆フッ素樹脂粒子(A)の分散性を向上させることができる。上記の攪拌、混合、混練処理は、例えば、超音波ホモジナイザー等の分散を目的とした攪拌装置、三本ロール、ボールミル、ビーズミル、サンドミル等の混合を目的とした装置、又は、公転又は自転型の混合装置等の公知の装置を用いて適宜行うことができる。また、本実施形態の樹脂組成物の調製時においては、必要に応じて有機溶剤を使用することができる。有機溶剤の種類は、樹脂組成物中の樹脂を溶解可能なものであれば、特に限定されず、その具体例は、上述したとおりである。
<用途>
【0112】
本実施形態の樹脂組成物は、絶縁性の樹脂組成物が必要とされる用途に使用することができ、特に限定されないが、感光性フィルム、支持体付き感光性フィルム、プリプレグ等の絶縁樹脂シート、回路基板(積層板用途、多層プリント配線板用途等)、ソルダーレジスト、アンダーフィル材、ダイボンディング材、半導体封止材、穴埋め樹脂、部品埋め込み樹脂等の用途に使用することができる。中でも、多層プリント配線板の絶縁層用樹脂組成物やソルダーレジストとして好適に使用することができる。
【0113】
<プリプレグ>
本実施形態のプリプレグは、上述した本実施形態の樹脂組成物を基材に含浸又は塗布させたものである。プリプレグの製造方法は、本実施形態の樹脂組成物と基材とを組み合わせてプリプレグを製造する方法であれば、特に限定されない。具体的には、本実施形態の樹脂組成物を基材に含浸又は塗布させた後、120〜220℃で2〜15分程度乾燥させる方法等によって半硬化させることで、本実施形態のプリプレグを製造することができる。このとき、基材に対する樹脂組成物の付着量、すなわち半硬化後のプリプレグの総量に対する樹脂組成物量(充填材を含む。)は、20〜99質量%の範囲であることが好ましい。
【0114】
本実施形態のプリプレグを製造する際に使用する基材としては、各種プリント配線板材料に用いられている公知のものを使用することができる。例えば、Eガラス、Dガラス、Lガラス、Sガラス、Tガラス、Qガラス、UNガラス、NEガラス、球状ガラス等のガラス繊維、クォーツ等のガラス以外の無機繊維、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル等の有機繊維、液晶ポリエステル等の織布が挙げられるが、これらに特に限定されるものではない。基材の形状としては、織布、不織布、ロービング、チョップドストランドマット、サーフェシングマット等が知られているが、いずれであっても構わない。基材は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、基材の厚みは、特に限定されないが、積層板用途であれば0.01〜0.2mmの範囲が好ましく、特に超開繊処理や目詰め処理を施した織布が、寸法安定性の観点から好適である。さらに、エポキシシラン処理、アミノシラン処理などのシランカップリング剤などで表面処理したガラス織布は吸湿耐熱性の観点から好ましい。また、液晶ポリエステル織布は、電気特性の面から好ましい。
【0115】
<金属箔張積層板>
本実施形態の金属箔張積層板は、上述したプリプレグを少なくとも1枚以上重ね、その片面もしくは両面に金属箔を配して積層成形したものである。具体的には、前述のプリプレグを一枚あるいは複数枚重ね、その片面もしくは両面に銅やアルミニウムなどの金属箔を配置して、積層成形することにより作製することができる。ここで使用する金属箔は、プリント配線板材料に用いられているものであれば、特に限定されないが、圧延銅箔や電解銅箔等の銅箔が好ましい。また、金属箔の厚みは、特に限定されないが、2〜70μmが好ましく、3〜35μmがより好ましい。成形条件としては、通常のプリント配線板用積層板及び多層板の手法が適用できる。例えば、多段プレス機、多段真空プレス機、連続成形機、オートクレーブ成形機などを使用し、温度180〜350℃、加熱時間100〜300分、面圧20〜100kg/cm
2で積層成形することにより本発明の金属箔張積層板を製造することができる。また、上記のプリプレグと、別途作製した内層用の配線板とを組み合わせて積層成形することにより、多層板とすることもできる。多層板の製造方法としては、例えば、上述したプリプレグ1枚の両面に35μmの銅箔を配置し、上記条件にて積層形成した後、内層回路を形成し、この回路に黒化処理を実施して内層回路板を形成し、その後、この内層回路板と上記のプリプレグとを交互に1枚ずつ配置し、さらに最外層に銅箔を配置して、上記条件にて好ましくは真空下で積層成形することにより、多層板を作製することができる。
【0116】
<樹脂シート>
他方、本実施形態の樹脂シートは、上記の本実施形態の樹脂組成物を溶剤に溶解させた溶液を支持体に塗布し乾燥することで得ることができる。ここで用いる支持体としては、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体フィルム、並びにこれらのフィルムの表面に離型剤を塗布した離型フィルム、ポリイミドフィルム等の有機系のフィルム基材、銅箔、アルミ箔等の導体箔、ガラス板、SUS板、FRP等の板状のものが挙げられるが、特に限定されるものではない。
【0117】
さらに、本実施形態における樹脂シートにおいて、その樹脂組成物層は、保護フィルムで保護されていてもよい。
樹脂組成物層側を保護フィルムで保護することにより、樹脂組成物層表面へのゴミ等の付着やキズを防止することができる。保護フィルムとしては上記の樹脂フィルムと同様の材料により構成されたフィルムを用いることができる。保護フィルムの厚さは特に限定されないが、1μm〜50μmの範囲であることが好ましく、5μm〜40μmの範囲であることがより好ましい。厚さが1μm未満では、保護フィルムの取り扱い性が低下する傾向があり、50μmを超えると廉価性に劣る傾向がある。なお、保護フィルムは、樹脂組成物層と支持体との接着力に対して、樹脂組成物層と保護フィルムとの接着力の方が小さいものが好ましい。
【0118】
塗布方法としては、例えば、本実施形態の樹脂組成物を溶剤に溶解させた溶液を、バーコーター、ダイコーター、ドクターブレード、ベーカーアプリケーター等で支持体上に塗布することで支持体と樹脂シートが一体となった積層シートを作製する方法が挙げられる。また、乾燥後に、積層シートから支持体を剥離又はエッチングすることで、樹脂シート単独となる単層シートとすることもできる。なお、上記の本実施形態の樹脂組成物を溶剤に溶解させた溶液を、シート状のキャビティを有する金型内に供給し乾燥する等してシート状に成形することで、支持体を用いることなく単層シートを得ることもできる。
【0119】
なお、本実施形態の樹脂シート(単層あるいは積層シート)の作製において、溶剤を除去する際の乾燥条件は、特に限定されないが、低温であると樹脂組成物中に溶剤が残り易く、高温であると樹脂組成物の硬化が進行することから、20℃〜200℃の温度で1〜90分間が好ましい。また、本実施形態の樹脂シート(単層あるいは積層シート)の樹脂層の厚みは、本実施形態の樹脂組成物の溶液の濃度と塗布厚みにより調整することができ、特に限定されないが、一般的には塗布厚みが厚くなると乾燥時に溶剤が残り易くなることから、0.1〜500μmが好ましい。
【0120】
<プリント配線板>
本実施形態の金属箔張積層板及び樹脂シートは、プリント配線板として好適に使用することができる。プリント配線板は、常法にしたがって製造することができ、その製造方法は特に限定されない。以下、金属箔張積層板を用いたプリント配線板の製造方法の一例を示す。まず、上述した銅張積層板等の金属箔張積層板を用意する。次に、金属箔張積層板の表面にエッチング処理を施して内層回路の形成を行い、内層基板を作製する。この内層基板の内層回路表面に、必要に応じて接着強度を高めるための表面処理を行い、次いでその内層回路表面に上述したプリプレグ又は所要枚数重ね、さらにその外側に外層回路用の金属箔を積層し、加熱加圧して一体成形する。このようにして、内層回路と外層回路用の金属箔との間に、基材及び熱硬化性樹脂組成物の硬化物からなる絶縁層が形成された多層の積層板が製造される。次いで、この多層の積層板にスルーホールやバイアホール用の穴あけ加工を施した後、この穴の壁面に内層回路と外層回路用の金属箔とを導通させるめっき金属皮膜を形成し、さらに外層回路用の金属箔にエッチング処理を施して外層回路を形成することで、プリント配線板が製造される。
【0121】
上記の製造例で得られるプリント配線板は、絶縁層と、この絶縁層の表面に形成された導体層とを有し、絶縁層が上述した本実施形態の樹脂組成物を含む構成となる。すなわち、上述した本実施形態のプリプレグ(基材及びこれに含浸又は塗布された本実施形態の樹脂組成物)、上述した本実施形態の金属箔張積層板の樹脂組成物の層(本発明の樹脂組成物からなる層)が、本実施形態の樹脂組成物を含む絶縁層から構成されることになる。
【0122】
以下、樹脂シートを用いたプリント配線板の製造方法の一例を示す。本実施形態の樹脂シートは、プリント配線板の層間絶縁層として好適に使用することができ、上述した樹脂シートを1枚以上重ねて硬化して得ることができる。具体的には以下の方法により製造することができる。
【0123】
本実施形態の樹脂シートの樹脂組成物層側を回路基板の片面又は両面に成形する。成型条件としては、通常のプリント配線板用積層板及び多層板の手法が適用でき、真空ラミネートにより成形することもできる。回路基板としては、例えば、ガラスエポキシ基板、金属基板、セラミック基板、シリコン基板、半導体封止樹脂基板、ポリエステル基板、ポリイミド基板、BTレジン基板、熱硬化型ポリフェニレンエーテル基板等が挙げられる。なお、ここで回路基板とは、上記のような基板の片面又は両面にパターン加工された導体層(回路)が形成された基板をいう。また、導体層と絶縁層とを交互に積層してなる多層プリント配線板において、該多層プリント配線板の最外層の片面又は両面がパターン加工された導体層(回路)となっている基板も、ここでいう回路基板に含まれる。なお、導体層表面には、黒化処理、銅エッチング等により予め粗化処理が施されていてもよい。成型工程において、樹脂シートが保護フィルムを有している場合には該保護フィルムを剥離除去した後、必要に応じて樹脂シート及び回路基板をプレヒートし、樹脂組成物層を加圧及び加熱しながら回路基板に圧着する。本実施形態の樹脂シートにおいては、真空ラミネート法により減圧下で回路基板にラミネートする方法が好適に用いられる。
【0124】
ラミネート工程の条件は、特に限定されるものではないが、例えば、圧着温度(ラミネート温度)を好ましくは50℃〜140℃とし、圧着圧力を好ましくは1kgf/cm2〜15kgf/cm2、圧着時間を好ましくは5秒間〜300秒間とし、空気圧を20mmHg以下とする減圧下でラミネートするのが好ましい。また、ラミネート工程は、バッチ式であってもロールを用いる連続式であってもよい。真空ラミネート法は、市販の真空ラミネーターを使用して行うことができる。市販の真空ラミネーターとしては、例えば、ニッコー・マテリアルズ(株)製2ステージビルドアップラミネーター等を挙げることができる。
【0125】
穴加工処理は、ビアホール、スルーホール等の形成のために実施される。穴加工処理は、NCドリル、炭酸ガスレーザー、UVレーザー、YAGレーザー、プラズマ等の公知の方法のうち何れか1種を用い、或いは必要により2種以上を組み合わせて行う。樹脂シートが光硬化性樹脂組成物の場合は露光、現像により穴加工処理を実施することもできる。
【0126】
穴加工処理前又は処理後に必要に応じてポストベーク工程を実施し絶縁層(硬化物)を形成する。ポストベーク工程としては、高圧水銀ランプによる紫外線照射工程やクリーンオーブンを用いた加熱工程等が挙げられる。紫外線を照射させる場合は必要に応じてその照射量を調整することができ、例えば0.05J/cm
2〜10J/cm
2程度の照射量で照射を行うことができる。また加熱の条件は、樹脂組成物中の樹脂成分の種類、含有量などに応じて適宜選択すればよいが、好ましくは150℃〜220℃で20分間〜180分間の範囲、より好ましくは160℃〜200℃で30分間〜150分間の範囲で選択される。
【0127】
絶縁層表面に導体層が有る場合、穴の壁面に内層回路と外層回路用の金属箔とを導通させるめっき金属皮膜を形成し、さらに外層回路用の金属箔にエッチング処理を施して外層回路を形成することで、プリント配線板が製造される。
【0128】
絶縁層表面に導体層が無い場合、次に、乾式めっき又は湿式めっきによりや絶縁層表面に導体層を形成する。乾式めっきとしては、蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の公知の方法を使用することができる。蒸着法(真空蒸着法)は、例えば、支持体を真空容器内に入れ、金属を加熱蒸発させることにより絶縁層上に金属膜形成を行うことができる。スパッタリング法も、例えば、支持体を真空容器内に入れ、アルゴン等の不活性ガスを導入し、直流電圧を印加して、イオン化した不活性ガスをターゲット金属に衝突させ、叩き出された金属により絶縁層上に金属膜形成を行うことができる。
【0129】
湿式めっきの場合は、形成された絶縁層の表面に対して、膨潤液による膨潤処理、酸化剤による粗化処理及び中和液による中和処理をこの順に行うことによって絶縁層表面を粗化する。膨潤液による膨潤処理は、絶縁層を50℃〜80℃で1分間〜20分間膨潤液に浸漬させることで行われる。膨潤液としてはアルカリ溶液が挙げられ、該アルカリ溶液としては、水酸化ナトリウム溶液、水酸化カリウム溶液等が挙げられる。市販されている膨潤液としては、例えば、上村工業(株)製のアップデス(登録商標)MDS−37等を挙げることができる。
酸化剤による粗化処理は、絶縁層を60℃〜80℃で5分間〜30分間酸化剤溶液に浸漬させることで行われる。酸化剤としては、例えば、水酸化ナトリウムの水溶液に過マンガン酸カリウムや過マンガン酸ナトリウムを溶解したアルカリ性過マンガン酸溶液、重クロム酸塩、オゾン、過酸化水素/硫酸、硝酸等を挙げることができる。また、アルカリ性過マンガン酸溶液における過マンガン酸塩の濃度は5質量%〜10質量%とするのが好ましい。市販されている酸化剤としては、例えば、上村工業(株)製アップデス(登録商標)MDE−40、アップデス(登録商標)ELC−SH等のアルカリ性過マンガン酸溶液が挙げられる。中和液による中和処理は、30℃〜50℃で1分間〜10分間中和液に浸漬させることで行われる。中和液としては、酸性の水溶液が好ましく、市販品としては、上村工業(株)製のアップデス(登録商標)MDN−62が挙げられる。
【0130】
次いで、無電解めっきと電解めっきとを組み合わせて導体層を形成する。また導体層とは逆パターンのメッキレジストを形成し、無電解めっきのみで導体層を形成することもできる。その後のパターン形成の方法として、例えば、サブトラクティブ法、セミアディティブ法などを用いることができる。
【0131】
<半導体装置>
本実施形態の半導体装置は、本実施形態の樹脂組成物を含む層間絶縁層を備え、具体的には以下の方法により製造することができる。本実施形態の多層プリント配線板の導通箇所に、半導体チップを実装することにより半導体装置を製造することができる。ここで、導通箇所とは、多層プリント配線板における電気信号を伝える箇所のことであって、その場所は表面であっても、埋め込まれた箇所であってもいずれでも構わない。また、半導体チップは半導体を材料とする電気回路素子であれば特に限定されない。
【0132】
本実施形態の半導体装置を製造する際の半導体チップの実装方法は、半導体チップが有効に機能しさえずれば、特に限定されないが、具体的には、ワイヤボンディング実装方法、フリップチップ実装方法、バンプなしビルドアップ層(BBUL)による実装方法、異方性導電フィルム(ACF)による実装方法、非導電性フィルム(NCF)による実装方法、などが挙げられる。
【0133】
また、本実施形態の樹脂シートを半導体チップにラミネートすることによっても、半導体装置を製造することができる。ラミネート後は前述の多層プリント配線板と同様の方法を用いて製造することができる。
【実施例】
【0134】
以下、合成例、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例になんら限定されるものではない。
【0135】
〔合成例1〕
(シアン酸エステル化合物の合成)
1−ナフトールアラルキル樹脂(新日鉄住金化学株式会社製)300g(OH基換算1.28mol)及びトリエチルアミン194.6g(1.92mol)(ヒドロキシ基1molに対して1.5mol)をジクロロメタン1800gに溶解させ、これを溶液1とした。
【0136】
塩化シアン125.9g(2.05mol)(ヒドロキシ基1molに対して1.6mol)、ジクロロメタン293.8g、36%塩酸194.5g(1.92mol)(ヒドロキシ基1モルに対して1.5モル)、水1205.9gを、撹拌下、液温−2〜−0.5℃に保ちながら、溶液1を30分かけて注下した。溶液1注下終了後、同温度にて30分撹拌した後、トリエチルアミン65g(0.64mol)(ヒドロキシ基1molに対して0.5mol)をジクロロメタン65gに溶解させた溶液(溶液2)を10分かけて注下した。溶液2注下終了後、同温度にて30分撹拌して反応を完結させた。
その後反応液を静置して有機相と水相を分離した。得られた有機相を水1300gで5回洗浄した。水洗5回目の廃水の電気伝導度は5μS/cmであり、水による洗浄により、除けるイオン性化合物は十分に除けられたことを確認した。
水洗後の有機相を減圧下で濃縮し、最終的に90℃で1時間濃縮乾固させて目的とするナフトールアラルキル型のシアン酸エステル化合物(SNCN)(橙色粘性物)を331g得た。得られたSNCNの質量平均分子量Mwは600であった。また、SNCNのIRスペクトルは2250cm
−1(シアン酸エステル基)の吸収を示し、且つ、ヒドロキシ基の吸収は示さなかった。
【0137】
〔合成例2〕
(ビニル基を有する2官能性フェニレンエーテルオリゴマー体の合成)
攪拌装置、温度計、空気導入管、じゃま板のついた12Lの縦長反応器にCuBr23.88g(17.4mmol)、N,N’−ジ−t−ブチルエチレンジアミン0.75g(4.4mmol)、n−ブチルジメチルアミン28.04g(277.6mmol)、トルエン2600gを仕込み、反応温度40℃にて攪拌を行い、あらかじめ2300gのメタノールに溶解させた2,2’,3,3’,5,5’−ヘキサメチル−(1,1’−ビフェノール)−4,4’−ジオール129.3g(0.48mol)、2,6−ジメチルフェノール233.7g(1.92mol)、2,3,6−トリメチルフェノール64.9g(0.48mol)、N,N’−ジ−t−ブチルエチレンジアミン0.51g(2.9mmol)、n−ブチルジメチルアミン10.90g(108.0mmol)の混合溶液を、窒素と空気とを混合して酸素濃度8%に調製した混合ガスを5.2L/minの流速でバブリングを行いながら230分かけて滴下し、攪拌を行った。滴下終了後、エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム19.89g(52.3mmol)を溶解した水1500gを加え、反応を停止した。水層と有機層を分液し、有機層を1Nの塩酸水溶液、次いで純水で洗浄した。得られた溶液をエバポレーターで50wt%に濃縮し、2官能性フェニレンエーテルオリゴマー体のトルエン溶液を836.5g得た。2官能性フェニレンエーテルオリゴマー体の数平均分子量は986、重量平均分子量は1530、水酸基当量が471であった。
【0138】
(ビニル化合物の合成)
攪拌装置、温度計、還流管を備えた反応器に2官能性フェニレンエーテルオリゴマー体のトルエン溶液836.5g、ビニルベンジルクロライド(商品名CMS−P、AGCセイミケミカル(株)製)162.6g、塩化メチレン1600g、ベンジルジメチルアミン12.95g、純水420g、30.5wt% NaOH水溶液178.0gを仕込み、反応温度40℃で攪拌を行った。24時間攪拌を行った後、有機層を1Nの塩酸水溶液、次いで純水で洗浄した。得られた溶液をエバポレーターで濃縮し、メタノール中へ滴下して固形化を行い、濾過により固体を回収、真空乾燥してビニル化合物503.5gを得た。ビニル化合物の数平均分子量は1187、重量平均分子量は1675、ビニル基当量は590g/ビニル基であった。
【0139】
〔実施例1〕
(樹脂組成物及びプリプレグの作成)
シリカ被覆フッ素樹脂粒子(A)として、シリカコートPTFEフィラーのメチルエチルケトン(以下、MEKと略す場合がある)スラリー(0.5μmPTFE−YA(商品名)、一次粒子の体積平均粒子径0.5μm、不揮発分20質量%、(株)アドマテックス製)250質量部(不揮発分換算で50質量部)、シアン酸エステル化合物として、合成例1で得られたSNCN2.1質量部、2,2-ビス(4−シアナトフェニル)プロパンのプレポリマー(CA210(商品名)、シアネート当量139、三菱瓦斯化学(株)製)6.6質量部、エポキシ樹脂として、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂(E153(商品名)、エポキシ当量400、2級水酸基量0.3meq/g、DIC(株)製)10.6質量部、エチレン性不飽和基を有する化合物として、合成例2で得られたビニル化合物(数平均分子量は1187、ビニル基当量は590g/ビニル基)77.5質量部、α−メチルスチレンオリゴマー(KA3085(商品名)、質量平均分子量:664、米国Eastman Chemical Company製)3.2質量部、その他の充填材(C)として、ビニルシラン処理シリカのMEKスラリー(SC2050MNU(商品名)、メジアン径0.5μm、不揮発分70質量%、(株)アドマテックス製)71.4質量部(不揮発分換算で50質量部)を混合してワニス(樹脂組成物の溶液)を得た。このワニスをメチルエチルケトンで希釈し、厚さ0.1mmのEガラス織布に含浸塗工し、160℃で5分間加熱乾燥して、樹脂含有量50質量%のプリプレグを得た。
【0140】
(内層回路基板の作成)
最小配線ピッチが10μmの内層回路を形成したガラス布基材BT樹脂両面銅張積層板(銅箔厚さ12μm、厚み0.2mm、三菱瓦斯化学(株)製CCL(登録商標)−HL832NS(商品名))の両面をメック(株)製CZ8100(商品名)にて銅表面の粗化処理を行って内層回路基板を得た
【0141】
(金属箔張積層体の作成)
前記プリプレグを内層回路基板上下に配置し、12μm厚の電解銅箔(3EC−M3−VLP(商品名)、三井金属(株)製)を上下に配置し、圧力30kgf/cm
2、温度220℃で120分間の積層成型を行うことで内層回路基板と樹脂組成物層と銅箔が積層された金属箔張積層体を得た。
【0142】
(評価用硬化物の作製)
前記プリプレグを4枚重ねて12μm厚の電解銅箔(3EC−M3−VLP(商品名)、三井金属(株)製)を上下に配置し、圧力30kgf/cm
2、温度220℃で120分間の積層成型を行い、絶縁層厚さ0.4mmの金属箔張積層板を得た。得られた金属箔張積層板の全金属箔をエッチング除去し、評価用硬化物を得た。
【0143】
〔実施例2〕
シリカ被覆フッ素樹脂粒子(A)として、一次粒子の体積平均粒子径が3.0μmのシリカコートPTFEフィラーのMEKスラリー(PTFE−YA4(商品名)、一次粒子の体積平均粒子径3.0μm、不揮発分40質量%、(株)アドマテックス製)を125質量部(不揮発分換算で50質量部)用いた以外は実施例1と同様にしてワニスを調製し、プリプレグ、金属箔張積層体、評価用硬化物を得た。
【0144】
〔実施例3〕
シリカ被覆フッ素樹脂粒子(A)として、シリカコートPTFEフィラーのMEKスラリー(0.5μmPTFE−YA(商品名)、一次粒子の体積平均粒子径0.5μm、不揮発分20質量%、(株)アドマテックス製)250質量部(不揮発分換算で50質量部)、シアン酸エステル化合物として、合成例1で得られたSNCN2.0質量部、2,2-ビス(4−シアナトフェニル)プロパンのプレポリマー(CA210(商品名)、シアネート当量139、三菱瓦斯化学(株)製)6.2質量部、エポキシ樹脂として、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂(E153(商品名)、エポキシ当量400、2級水酸基量0.3meq/g、DIC(株)製)10.0質量部、エチレン性不飽和基を有する化合物としてとして、合成例2で得られたビニル化合物(数平均分子量は1187、ビニル基当量は590g/ビニル基)72.8質量部、α−メチルスチレンオリゴマー(KA3085(商品名)、質量平均分子量:664、米国Eastman Chemical Company製)3.0質量部、その他の充填材(C)として、ビニルシラン処理シリカのMEKスラリー(SC2050MNU(商品名)、メジアン径0.5μm、不揮発分70質量%、(株)アドマテックス製)71.4質量部(不揮発分換算で50質量部)、難燃剤(D)として、臭素化ポリカーボネート(FG8500(商品名)、帝人(株)製、臭素含量58重量%)6質量部を混合してワニスを得た。以降は実施例1と同様にして、プリプレグ、金属箔張積層体、評価用硬化物を得た。
【0145】
〔実施例4〕
(樹脂組成物及び樹脂シートの作成)
シリカ被覆フッ素樹脂粒子(A)として、シリカコートPTFEフィラーのMEKスラリー(0.5μmPTFE−YA(商品名)、一次粒子の体積平均粒子径0.5μm、不揮発分20質量%、(株)アドマテックス製)250質量部(不揮発分換算で50質量部)、シアン酸エステル化合物として、合成例1で得られたSNCN2.1質量部、2,2-ビス(4−シアナトフェニル)プロパンのプレポリマー(CA210(商品名)、シアネート当量139、三菱瓦斯化学(株)製)6.6質量部、エポキシ樹脂として、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂(E153(商品名)、エポキシ当量400、2級水酸基量0.3meq/g,DIC(株)製)10.6質量部、エチレン性不飽和基を有する化合物として、合成例2で得られたビニル化合物(数平均分子量は1187、ビニル基当量は590g/ビニル基)77.5質量部、α−メチルスチレンオリゴマー(KA3085(商品名)、質量平均分子量:664、米国Eastman Chemical Company製)3.2質量部、その他の充填材(C)として、ビニルシラン処理シリカのMEKスラリー(SC2050MNU(商品名)、メジアン径0.5μm、不揮発分70質量%、(株)アドマテックス製)71.4質量部(不揮発分換算で50質量部)を混合してワニスを得た。これらのワニスを厚さ12μmの電解銅箔(3EC−M2S−VLP(商品名)、三井金属(株)製)上に塗布し、120℃で5分間加熱乾燥して、銅箔を支持体とし樹脂組成物層の厚さが40μmである樹脂シートを得た。
【0146】
(金属箔張積層体の作成)
前記銅箔を支持体とした樹脂シートの樹脂面を実施例1で用いた内層回路基板上に配置し、圧力30kgf/cm
2、温度220℃で120分間の積層成型を行うことで内層回路基板と樹脂組成物層と銅箔が積層された金属箔張積層体を得た。
【0147】
(評価用硬化物の作製)
得られた金属箔張積層体の全金属箔をエッチング除去し、評価用硬化物を得た。
【0148】
〔比較例1〕
シリカ被覆フッ素樹脂粒子(A)の代わりにPTFE分散液(EXP.FD−030(商品名)、メジアン径0.5μm、不揮発分40質量%、DIC(株)製)を125質量部(不揮発分換算で50質量部)用いた以外は実施例3と同様にしてワニスを調製し、プリプレグ、金属箔張積層体、評価用硬化物を得た。
【0149】
〔比較例2〕
シリカ被覆フッ素樹脂粒子(A)を用いず、その他の充填材(C)として、ビニルシラン処理シリカのMEKスラリー(SC2050MNU(商品名)、メジアン径0.5μm、不揮発分70質量%、(株)アドマテックス製)を142.9質量部(不揮発分換算で100質量部)用いた以外は実施例1と同様にしてワニスを調製し、プリプレグ、金属箔張積層体、評価用硬化物を得た。
【0150】
〔実施例5〕
シリカ被覆フッ素樹脂粒子(A)として、シリカコートPTFEフィラーのMEKスラリー(0.5μmPTFE−YA(商品名)、一次粒子の体積平均粒子径0.5μm、不揮発分20質量%、(株)アドマテックス製)250質量部(不揮発分換算で50質量部)、マレイミド化合物として、マレイミド化合物(BMI−2300(商品名)、大和化成工業(株)製)3.5質量部、エポキシ樹脂として、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(NC3000H(商品名)、日本化薬(株)製)19.8質量部、エチレン性不飽和基を有する化合物として、酸変性ビスフェノールF型エポキシアクリレート化合物のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、PMAと略す場合がある。)溶液(KAYARAD(登録商標)ZFR−1553H(商品名)、不揮発分68質量%、酸価:70mgKOH/g、日本化薬(株)製)77.6質量部(不揮発分換算で52.8質量部)、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(KAYARAD(登録商標)DPHA(商品名)、日本化薬(株)製)18.9質量部、光硬化開始剤(E)として、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(Irgacure(登録商標)369(商品名)、BASFジャパン(株)製)5質量部を配合し、超音波ホモジナイザーで攪拌してワニス(樹脂組成物の溶液)を得た。これらのワニスを厚さ38μmのPETフィルム(ユニピール(登録商標)TR1−38、ユニチカ(株)製、商品名)上に塗布し、80℃で7分間加熱乾燥して、PETフィルムを支持体とし樹脂組成物層の厚さが40μmである樹脂シートを得た。
【0151】
(評価用積層体の作製)
前記PETフィルムを支持体とした樹脂シートの樹脂面を実施例1で用いた内層回路基板上に配置し、真空ラミネーター(ニッコー・マテリアルズ(株)製)を用いて、30秒間真空引き(5.0MPa以下)を行った後、圧力10kgf/cm
2、温度70℃で30秒間の積層成形を行った。さらに圧力10kgf/cm
2、温度70℃で60秒間の積層成形を行うことで内層回路基板と樹脂組成物層と支持体が積層された積層体を得た。得られた積層体に200mJ/cm
2の紫外線を照射する露光工程を施し、支持体をはがし取って、1質量%の炭酸ナトリウム水溶液で現像し、評価用積層体とした。
【0152】
(評価用硬化物の作製)
前記樹脂シートに200mJ/cm
2の紫外線を照射し、さらに180℃、120分間加熱処理するポストベーク工程を施した後、支持体をはがし取って評価用硬化物とした。
【0153】
〔実施例6〕
シリカ被覆フッ素樹脂粒子(A)として、シリカコートPTFEフィラーのMEKスラリー(0.5μmPTFE−YA(商品名)、一次粒子の体積平均粒子径0.5μm、不揮発分20質量%、(株)アドマテックス製)100質量部(不揮発分換算で20質量部)、マレイミド化合物(BMI−2300(商品名)、大和化成工業(株)製)3.5質量部、エポキシ樹脂として、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(KAYARAD(登録商標)NC3000H(商品名)、日本化薬(株)製)19.8質量部、エチレン性不飽和基を有する化合物として、酸変性ビスフェノールF型エポキシアクリレート化合物のPMA溶液(KAYARAD(登録商標)ZFR−1553H(商品名)、不揮発分68質量%、酸価:70mgKOH/g、日本化薬(株)製)77.6質量部(不揮発分換算で52.8質量部)、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(KAYARAD(登録商標)DPHA(商品名)、日本化薬(株)製)18.9質量部、その他の充填材(C)として、エポキシシラン処理シリカのMEKスラリー(SC2050MB(商品名)、メジアン径0.5μm、不揮発分70質量%、(株)アドマテックス製)42.9質量部(不揮発分換算で30質量部)、光硬化開始剤(E)として、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(Irgacure(登録商標)369(商品名)、BASFジャパン(株)製)5質量部を配合し、超音波ホモジナイザーで攪拌してワニスを得た。以降は実施例5と同様にして樹脂シート、評価用積層体、評価用硬化物を得た。
【0154】
〔実施例7〕
シリカ被覆フッ素樹脂粒子(A)として、一次粒子の体積平均粒子径が3.0μmのシリカコートPTFEフィラーのMEKスラリー(PTFE−YA4(商品名)、一次粒子の体積平均粒子径3.0μm、不揮発分40質量%、(株)アドマテックス製)を125質量部(不揮発分換算で50質量部)用いた以外は実施例5と同様にしてワニスを調製し、樹脂シート、評価用積層体、評価用硬化物を得た。
【0155】
〔実施例8〕
エチレン性不飽和基を有する化合物として、酸変性ビスフェノールF型エポキシアクリレート化合物のPMA溶液(KAYARAD(登録商標)ZFR−1553H(商品名)、不揮発分68質量%、酸価:70mgKOH/g、日本化薬(株)製)の代わりに、式(4)で表されるTrisP−PAエポキシアクリレート化合物のPMA溶液(KAYARAD(登録商標)ZCR−6007H(商品名)、不揮発分65質量%、酸価:70mgKOH/g、日本化薬(株)製)を81.2質量部(不揮発分換算で52.8質量部)用いた以外は実施例5と同様にしてワニスを調製し、樹脂シート、評価用積層体、評価用硬化物を得た。
なお、前記KAYARAD(登録商標)ZCR−6007Hは、上記化合物(A1)及び上記化合物(A2)〜(A5)のいずれか一種以上を含む混合物である。
【0156】
〔比較例3〕
シリカ被覆フッ素樹脂粒子(A)の代わりにPTFE分散液(EXP.FD−030(商品名)、メジアン径0.5μm、不揮発分40質量%、DIC(株)製)を125質量部(不揮発分換算で50質量部)用いた以外は実施例5と同様にしてワニスを調製し、樹脂シート、評価用積層体、評価用硬化物を得た。
【0157】
〔比較例4〕
シリカ被覆フッ素樹脂粒子(A)を用いず、その他の充填材(C)として、エポキシシラン処理シリカのMEKスラリー(SC2050MB(商品名)、メジアン径0.5μm、不揮発分70質量%、(株)アドマテックス製)を71.4質量部(不揮発分換算で50質量部)用いた以外は実施例5と同様にしてワニスを調製し、樹脂シート、評価用積層体、評価用硬化物を得た。
【0158】
〔物性測定評価〕
金属箔張積層体、評価用積層体及び評価用硬化物を、以下の方法により測定し、評価した。それらの結果をまとめて表1〜3に示す。
【0159】
<配線埋め込み性>
金属箔張積層体50mm×50mmのサンプルの片面の半分以外の全銅箔をエッチング除去した試験片、もしくは評価用積層体50mm×50mmの試験片を、プレッシャークッカー試験機(平山製作所製、PC−3型)で121℃、2気圧で5時間処理後、260℃のはんだ中に60秒浸漬した後の外観変化を目視で観察し、以下の基準で評価した。
◎:試験片5個中、フクレ発生が認められない。
○:試験片5個中、1個でフクレ発生が認められる。
×:試験片5個中、2個以上でフクレ発生が認められる。
【0160】
<半田耐熱性>
金属箔張積層体50mm×50mmの試験片、もしくは評価用積層体50mm×50mmの試験片を、280℃はんだに30分間フロートさせて、外観異常の有無を目視で観察し、以下の基準で評価した。
○:試験片5個中、フクレ発生が認められない。
×:試験片5個中、1個以上でフクレ発生が認められる。
【0161】
<誘電率、誘電正接>
評価用硬化物の試験片を、空洞共振器摂動法(Agilent(登録商標)8722ES、アジレントテクノロジー社製)にて10GHzの誘電率、及び誘電正接を測定した。
【0162】
<現像性>
評価用積層体の現像面を目視で観察した後、SEMにて観察(倍率1000倍)し、残渣の有無を下記基準で評価した。
○:30mm角の範囲に現像残渣はなく、現像性が優れている。
×:30mm角の範囲に現像残渣があり、現像性が劣っている。
【0163】
<耐熱性(ガラス転移温度)>
評価用硬化物をDMA装置(TAインスツルメント社製動的粘弾性測定装置DMAQ800(商品名))を用いて10℃/分で昇温し、LossModulusのピーク位置をガラス転移温度(Tg)とした。
【0164】
【表1】
【0165】
【表2】
【0166】
【表3】
【0167】
表1、表2及び表3から明らかなように、実施例1〜8は配線埋め込み性、及び耐熱性に優れており、誘電率、誘電正接が良好である。その中でも、実施例1、実施例4及び実施例5が配線埋め込み性、誘電率が良好である。実施例8はさらに耐熱性(Tg)が高く良好である。これに対し、比較例1〜4は配線埋め込み性、耐熱性及び誘電率のいずれかが不十分である。従って、本発明によれば、誘電率、誘電正接、微細配線埋め込み性、耐熱性、現像性を優れたものとする樹脂組成物、それを用いたプリプレグ、金属箔張積層板、樹脂シート、プリント配線板及び半導体装置が得られる。