(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
オペレータの利用する入力端末から、機器に対し、予測結果に応じて装置の故障発生を防止する作業を実行した旨の記録データが入力されると、当該機器に対応する予測レベルの識別子をリセット用データとしてリセット用データ記憶手段に記憶させるリセット手段を更に備え、
前記故障予測手段は、新たな予測レベルを求める場合、前記故障予測データに含まれる現在の予測レベルのうち、前記リセット用データに含まれる識別子の予測レベルを、故障発生の可能性及び故障発生を防止する作業の必要性が低い初期値に置き換え、前記アラームデータに含まれる異常現象の発生回数のうち、前記リセット用データに含まれる識別子と対応する異常現象の発生回数を0回に置き換える
ことを特徴とする請求項1に記載の故障予測装置。
前記故障予測手段による機器の予測レベルと、前記故障予測データに含まれる当該機器について求められた所定期間の予測レベルと、予測レベルの特定に利用した異常現象の発生回数の履歴を含むデータを、予測結果としてオペレータの利用する出力端末に出力する結果出力手段
を更に備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の故障予測装置。
前記リセット手段は、オペレータの利用する入力端末から、いずれかの機器に対し予測レベルのリセットを操作するリセット信号が入力されると、前記故障予測データに含まれる当該リセット信号で指定された機器の予測レベルを、故障発生の可能性及び故障発生を防止する作業の必要性が低い初期値に更新するとともに、前記アラームデータに含まれる当該機器の過去の異常現象の発生回数を0回に更新する
ことを特徴とする請求項2に記載の故障予測装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したように、従来は、高精度の故障予測を行い、かつ、この故障予測から統一した対応を可能とすることが困難であった。
【0009】
上記課題に鑑み、高精度の故障予測を行い、その結果に応じて統一した対応をさせることができる故障予測装置、故障予測方法及び故障予測プログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、第1の発明は、複数の機器で構成される装置の故障発生を予測する故障予測装置であって、各機器からセンサの計測値を少なくとも入力し、当該入力されたデータが所定の異常判定条件に該当するときに異常現象として収集管理する外部装置から、所定期間毎の前記各機器における異常現象の発生回数の履歴を取得し、アラームデータとしてアラームデータ記憶手段に記憶させる取得手段と、各機器で故障が発生する可能性の程度及び当該機器で発生した異常現象に起因する故障発生を防止するオペレータの作業の必要性の程度を段階的に表す予測レベルの、各機器における異常現象の発生回数に応じた遷移の条件を、状態遷移データとして記憶する状態遷移データ記憶手段と、機器毎に予測された予測レベルを蓄積して故障予測データとして記憶する故障予測データ記憶手段と、前記故障予測データに含まれる現在の予測レベル及び前記アラームデータに含まれる異常現象の発生回数に対し、前記状態遷移データに従って、機器毎に、新たな予測レベルを故障発生の予測結果として求める故障予測手段と、前記故障予測手段で得られた予測結果で、前記故障予測データを更新する予測データ更新手段とを備えることを特徴とする。
【0011】
また、第2の発明は、オペレータの利用する入力端末から、機器に対し、予測結果に応じて装置の故障発生を防止する作業を実行した旨の記録データが入力されると、当該機器に対応する予測レベルの識別子をリセット用データとしてリセット用データ記憶手段に記憶させるリセット手段を更に備え、前記故障予測手段は、新たな予測レベルを求める場合、前記故障予測データに含まれる現在の予測レベルのうち、前記リセット用データに含まれる識別子の予測レベルを、故障発生の可能性及び故障発生を防止する作業の必要性が低い初期値に置き換え、前記アラームデータに含まれる異常現象の発生回数のうち、前記リセット用データに含まれる識別子と対応する異常現象の発生回数を0回に置き換えることを特徴とする。
【0012】
また、第3の発明は、前記故障予測手段は、前記故障予測データに含まれない新たな機器の故障予測をする際、故障発生の可能性及び故障発生を防止する作業の必要性が低い初期値を当該機器の現在の予測レベルとして使用することを特徴とする。
【0013】
また、第4の発明は、前記故障予測データは、機器の識別子と、期間と、当該期間に発生した異常現象の履歴から求めた前記機器の予測レベルとを関連付けるデータであって、前記予測データ更新手段は、新たな予測レベルと、当該予測レベルを特定した新たな発生期間とを追加して、前記故障予測データを更新することを特徴とする。
【0014】
また、第5の発明は、前記故障予測手段による機器の予測レベルと、前記故障予測データに含まれる当該機器について求められた所定期間の予測レベルと、予測レベルの特定に利用した異常現象の発生回数の履歴を含むデータを、予測結果としてオペレータの利用する出力端末に出力する結果出力手段を更に備えることを特徴とする。
【0015】
また、第6の発明は、前記リセット手段は、オペレータの利用する入力端末から、いずれかの機器に対し予測レベルのリセットを操作するリセット信号が入力されると、前記故障予測データに含まれる当該リセット信号で指定された機器の予測レベルを、故障発生の可能性及び故障発生を防止する作業の必要性が低い初期値に更新するとともに、前記アラームデータに含まれる当該機器の過去の異常現象の発生回数を0回に更新することを特徴とする。
【0016】
また、第7の発明は、前記取得手段は、オペレータの利用する入力端末から、シミュレーションに利用するアラームの発生回数のシミュレーションデータを取得すると、当該シミュレーションデータで前記アラームデータを更新することを特徴とする。
【0017】
また、第8の発明は、複数の機器で構成される装置の故障発生を予測する故障予測方法であって、各機器からセンサの計測値を少なくとも入力し、当該入力されたデータが所定の異常判定条件に該当するときに異常現象として収集管理する外部装置から、所定期間毎の前記各機器における異常現象の発生回数の履歴を取得し、アラームデータとしてアラームデータ記憶手段に記憶させるステップと、故障予測データ記憶手段に記憶される故障予測データに含まれる各機器で故障が発生する可能性の程度及び当該機器で発生した異常現象に起因する故障発生を防止するオペレータの作業の必要性の程度を段階的に表す現在の予測レベルと、前記アラームデータに含まれる異常現象の発生回数とに対し、状態遷移データ記憶手段に記憶される各機器における異常現象の発生回数に応じた予測レベルの遷移の条件である状態遷移データに従って、機器毎に、新たな予測レベルを故障発生の予測結果として求めるステップと、得られた予測結果で、前記故障予測データを更新するステップとを備えることを特徴とする。
【0018】
また、各機器からセンサの計測値を少なくとも入力し、当該入力されたデータが所定の異常判定条件に該当するときに異常現象として収集管理する外部装置から、複数の機器で構成される装置の故障発生を予測する故障予測プログラムであって、所定期間毎の前記各機器における異常現象の発生回数の履歴を取得し、アラームデータとしてアラームデータ記憶手段に記憶させる取得手段と、故障予測データ記憶手段に記憶される故障予測データに含まれる各機器で故障が発生する可能性の程度及び当該機器で発生した異常現象に起因する故障発生を防止するオペレータの作業の必要性の程度を段階的に表す現在の予測レベルと、前記アラームデータに含まれる異常現象の発生回数とに対し、状態遷移データ記憶手段に記憶される各機器における異常現象の発生回数に応じた予測レベルの遷移の条件である状態遷移データに従って、機器毎に、新たな予測レベルを故障発生の予測結果として求める故障予測手段と、前記故障予測手段で得られた予測結果で、前記故障予測データを更新する予測データ更新手段とを情報処理装置に実現させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、高精度の故障予測を行い、その結果に応じて統一した対応をさせることができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本発明の実施形態に係る故障予測装置について説明する。本発明に係る故障予測装置は、複数の機器で構成される対象装置の故障発生を予測し、この予測結果を、点検保守員等のオペレータに提供するものである。この予測結果に基づき、オペレータが装置を構成する機器の修繕等の対応を行うことで、装置における故障を未然に防ぐことができる。また、故障予測装置10は、装置20の各機器20a〜20zのアラームのシミュレーション値を入力すると、各アラームの発生時のシミュレーション結果を得ることができる。
【0022】
図1を用い、故障予測装置10が、複数の機器20a〜20zを備える装置20の故障を予測するものとして説明する。故障が予測される対象の装置20は、各機器20a〜20zにおける異常現象の発生履歴を収集するアラームデータ収集管理装置30と接続される。また、故障予測装置10は、アラームデータ収集管理装置30から受信する異常現象の発生履歴であるアラームデータに基づき、対象の装置20の故障を予測する。さらに、故障予測装置10は、オペレータに利用される出力端末40と接続され、故障予測の結果を、出力端末40に送信する。また、故障予測装置10は、オペレータに利用される入力端末50と接続され、種々のデータやリクエストを入力端末50から受信する。
【0023】
ここで、「異常現象」とは、対象の装置20が故障したと直ちに判断することができないとしても、装置20を構成する機器20a〜20zが正常に動作していない現象を指すものとする。この異常現象が複数回発生した場合、又は長時間に渡って発生した場合には、装置20が故障することもあるので、異常現象の発生を故障の予兆と考えることができる。例えば、機器20a〜20zの動作が一定時間内に完了しない場合、異常現象と考えることができる。また例えば、センサの計測値が制限値を超えた場合、異常現象と考えることができる。さらに、2台の機器に関するセンサの計測値が所定範囲内であるにも関わらず、2台の機器に関するセンサの計測値の合計が所定範囲を超えた場合、異常現象と考えることができる。
【0024】
〈アラームデータ収集管理装置〉
アラームデータ収集管理装置30は、故障予測の対象である装置20と接続され、この装置20を構成する各機器20a〜20zにおいて発生する異常現象を検出し、発生した異常現象の種別及び発生時刻の履歴を記憶装置に記憶して管理する。また、アラームデータ収集管理装置30は、アラームデータとして、所定期間に発生した各異常現象の発生回数を故障予測装置10に送信する。
【0025】
また、アラームデータ収集管理装置30は、装置20からセンサの計測値等を入力し、予め定められる異常の条件に該当するとき、異常現象として収集管理する。例えば、アラームデータ収集管理装置30は、故障予測装置10から受信するリクエスト信号に応答し、アラームデータを故障予測装置10に送信する。又は、アラームデータ収集管理装置30は、定期的なタイミングでアラームデータを故障予測装置10に送信する。
【0026】
〈出力端末・入力端末〉
出力端末40は、例えば、オペレータが故障予測装置10で得られた故障予測を確認するために利用する、表示ディスプレイやプリンタである。
【0027】
入力端末50は、例えば、オペレータがデータや操作信号の入力に利用する、キーボード、マウス、タッチパネル、操作ボタンである。
【0028】
なお、出力端末40と入力端末50は、一体の装置であってもよい。また、複数のオペレータがそれぞれ異なる出力端末及び入力端末を保持することもあるため、出力端末40と入力端末50とはそれぞれ複数台存在してもよい。
【0029】
〈故障予測装置〉
故障予測装置10は、
図1に示すように、所定期間毎の各機器20a〜20zにおける異常現象の発生回数の履歴を取得する取得手段11aと、機器20a〜20z毎の各機器で故障が発生する可能性の程度及び当該機器で発生した異常現象に起因する故障発生を防止するオペレータの作業の必要性の程度を段階的に表す予測レベルを故障発生の予測結果として求める故障予測手段11bと、得られた予測結果で、故障予測データ12cを更新する予測データ更新手段11cと、故障予測手段11bで得られた予測結果を、出力端末40に出力する結果出力手段11dと、入力端末50から、予測結果に応じて故障発生を防止する作業を実行した旨の記録データが入力されると、該当する予測レベルの識別子をリセット用データ12dとして記憶装置12に記憶するリセット手段11eとを備える。なお、本実施形態では,予測レベルをアルファベット又は数字で表現して作業形態を定義するものとする。この定義により保守点検員等のオペレーションの統一を図っている。
【0030】
故障予測装置10は、CPU11や記憶装置12を備える情報処理装置である。この故障予測装置10は、記憶装置12に記憶される故障予測プログラムPが読み出されて実行されることで、CPU11が取得手段11a、故障予測手段11b、予測データ更新手段11c、結果出力手段11d、リセット手段11e及び変更手段11fとしての処理を実行する。
【0031】
また、記憶装置12は、故障予測プログラムPの他、アラームデータ12a、状態遷移データ12b及び故障予測データ12c及びリセット用データ12dを記憶する。ここで、「リセット用データ12d」は、例えば、故障予測データ12cの予測レベル欄を識別するための識別子(以下、「予測レベル識別子」という)をいう。
【0032】
なお、故障予測装置10は、1台の情報処理装置で構成される必要はなく、複数台の情報処理装置で構成されてもよい。例えば、各データ12a〜12cは、CPU11とは異なる情報処理装置を構成する外部のサーバ装置で記憶されてもよく、また、各データ12a〜12cは、それぞれ異なる複数台のサーバ装置で記憶されてもよい。
【0033】
《アラームデータ》
アラームデータ12aは、例えば、
図2(a)に示すように、「期間」と、当該期間において装置20の機器20a〜20zで各異常現象(第1アラーム〜第nアラーム)が発生した「回数」とが関連付けられるデータである。
図2(a)に示す例では、期間として、1日が設定されている。したがって、例えば、『2015年12月15日』には、「第1アラーム」と規定される異常現象が『1回』発生し、「第2アラーム」と規定される異常現象が『6回』発生し、「第3アラーム」及び「第nアラーム」は発生していないことが分かる。また、『2015年12月14日』には、「第2アラーム」と規定される異常現象が『3回』発生し、「第nアラーム」と規定される異常現象が『2回』発生し、「第1アラーム」及び「第3アラーム」は発生していないことが分かる。
【0034】
《状態遷移データ》
状態遷移データ12bは、対象の装置を特定する「装置の識別子」と、装置が有する機器を特定する「機器の識別子」と、当該機器の予測レベルの遷移を規定する「状態変化」と、予測レベルの遷移を求めるための条件を特定する「論理」と、その論理に利用される各異常現象(第1アラーム〜第nアラーム)の真となる発生件数(ゼロは対象外)と、その論理に利用される「監視期間」及び「監視期間内発生件数」とが関連付けられるデータである。
【0035】
なお、
図1において、アラームデータ収集管理装置30に接続される装置20は1台のみであり、状態遷移データ12bは、この1台の装置20(識別子『装置A』)の予測レベルの遷移を規定するデータである。アラームデータ収集管理装置30には、複数台の装置20が接続されていてもよく、また、故障予測装置10に複数台のアラームデータ収集管理装置30が接続されていてもよい。このように装置20が複数存在する場合、状態遷移データ12bは、各装置20の予測レベルの遷移を規定する。
【0036】
《故障予測データ》
故障予測データ12cは、例えば、
図3(a)に示すように、「期間」と、当該期間に発生した異常現象(アラーム)の履歴から求めた「予測レベル」とが関連付けられるデータである。
図3(a)に示す例では、期間として、1日単位が設定されている。
【0037】
例えば、『2015年12月14日』以前に発生したアラームと『2015年12月14日』の予測レベルにより,『2015年12月15日』の予測レベルが求められる。「第1予測レベル」は『0』、「第2予測レベル」は『2』、「第3予測レベル」は『0』、「第m予測レベル」は『1』であることが分かる。仮に、第1予測レベルが機器aに関する故障の可能性、第2予測レベルが機器bに関する故障の可能性、第3予測レベルが機器cに関する故障の可能性、第m予測レベルが機器zに関する故障の可能性であるとき、機器a及び機器cは、故障発生の可能性がない状態である。
【0038】
《取得手段》
取得手段11aは、異常現象の履歴を収集管理するアラームデータ収集管理装置30から、アラームデータを取得する。このとき、取得手段11aは、新たなアラームデータの送信を要求するリクエスト信号をアラームデータ収集管理装置30に送信し、これに応じて送信されるアラームデータを受信する。
【0039】
例えば、取得手段11aは、定期的なタイミング(例えば、1日毎、3時間毎等)で、アラームデータを取得する。または、取得手段11aは、異常現象発生の通知が発生したことによりアラームデータ収集管理装置30においてデータが更新されたタイミングで、アラームデータを取得してもよい。
【0040】
取得手段11aは、アラームデータ収集管理装置30から取得した新たなアラームデータを追加して、記憶装置12に記憶されるアラームデータ12aを更新する。このとき、取得手段11aは、取得した新たなアラームデータと記憶装置12にすでに記憶されるアラームデータ12aを比較し、前回、アラームデータ12aを更新した後に発生した履歴を追加して、アラームデータ12aを更新する。
【0041】
例えば、
図2(a)に示すような『2015年11月1日〜2015年12月15日』のアラームの履歴を含むアラームデータ12aが記憶装置12に記憶される場合に、取得手段11aが、『2015年11月1日〜2015年12月16日』の間に発生したアラームの履歴であるアラームデータを取得したとする。アラームデータ12aは、『2015年12月15日』までの履歴をすでに含むため、取得手段11aは、
図2(b)に示すように、『2015年12月16日』のアラームの履歴のみを追加してアラームデータ12aを更新する。
【0042】
なお、取得手段11aは、リクエスト信号を送信する際、既にアラームデータ12aが含む期間を指定し、それ以降に発生したアラームの履歴に関するアラームデータの送信を要求するリクエスト信号を送信してもよい。この場合、取得手段11aは、受信したアラームデータを追加してアラームデータ12aを更新する。
【0043】
《故障予測手段》
故障予測手段11bは、記憶装置12からアラームデータ12aを読み出すとともに、状態遷移データ12b及び故障予測データ12cを読み出し、アラームデータ12a,故障予測データ12c及び状態遷移データ12bを用いて、各機器20a〜20zで故障が発生する可能性の程度及び各機器20a〜20zで発生した異常現象に起因する故障発生を防止するオペレータの作業の必要性の程度を表す予測レベルを求める。
【0044】
例えば、故障予測手段11bは、定期的なタイミングで、新たな予測レベルを求める。また例えば、故障予測手段11bは、取得手段11aが記憶装置12のアラームデータ12aを更新するタイミングで、新たな予測レベルを求める。
【0045】
具体的には、故障予測手段11bは、アラームデータ12aで記憶される各アラームの発生回数が、状態遷移データ12bにおいて各機器と関連付けられる論理の条件に該当する場合、当該機器の予測レベルを論理に従って遷移させる。
【0046】
《予測データ更新手段》
予測データ更新手段11cは、故障予測手段11bで新たな予測レベルが求められると、新たな予測レベルを追加して、記憶装置12で記憶される故障予測データ12cを更新する。
【0047】
例えば、
図3(a)に示すように『2015年11月1日〜2015年12月15日』までの予測結果を含む故障予測データ12cが記憶装置12に記憶される場合に、故障予測手段11bが、『2015年12月16日』に発生したアラームの履歴を含むアラームデータを利用して新たな予測レベルを求めたとする。この場合、予測データ更新手段11cは、
図3(b)に示すように、『2015年12月16日』に発生したアラームの履歴で求めた新たな予測レベルを追加して故障予測データ12cを更新する。
【0048】
ここで、仮に、リセット用データ12dとして、いずれかの予測レベルの識別子が記憶される場合、故障予測手段11bは、新たな予測レベルを求める際に、当該予測レベル識別子のレベルは「0」とし、また、当該予測レベルに対応する異常現象の発生回数を「0回」に置き換える。すなわち、故障予測手段11bは、故障予測データ12cに含まれない新たな機器の故障予測をする際、故障発生の可能性及び故障発生を防止する作業の必要性が低い初期値を当該機器の現在の予測レベルとして使用する。
【0049】
《結果出力手段》
結果出力手段11dは、故障予測手段11bで新たな予測レベルが求められると、新たな予測レベルを含む予測結果を出力端末40に送信する。このとき、結果出力手段11dは、記憶装置12に記憶される故障予測データ12cから、過去の所定期間(例えば、過去3週間分)の予測レベルを抽出し、新たに求めた予測レベルに加え、抽出した過去の予測レベルを含む予測結果を出力することができる。
【0050】
例えば、結果出力手段11dは、予測結果に、
図4に示すように、所定期間に発生した「アラームの発生回数」及び当該期間に求められた「予測レベル」を結果データとして出力端末40に出力することができる。
図4に示す例は、「2015年11月26日〜2015年12月16日」に発生した第1〜第nアラームの「発生回数」と、これにより求められた「予測レベル」(第1〜第m予測レベル)とを含む結果データの一例である。オペレータは、所定期間におけるアラームの発生の履歴及び求めた予測レベルの変動を把握することができる。したがって、出力端末40に出力される結果データを参照するオペレータは、装置の状況の把握に利用することができる。なお、結果データは、オペレータが状況の把握に利用が十分な期間(例えば、3週間)の履歴及び予測レベルを含むことが好ましい。また、オペレータは、単に、最新の予測レベルのみを参照することで、故障発生の可能性の程度及び異常現象に起因する故障発生を防止するオペレータの作業の必要性の程度を知ることができる。したがって、オペレータの経験や知識に依存せず、どのオペレータであっても統一した対応をすることができる。
【0051】
《リセット手段》
リセット手段11eは、入力端末50から、故障予測手段11bでアラームが発生した機器に対する対応がされた対応記録データを受信すると、以降の演算において、故障予測データ12cのうち関連する予測レベルを「0」にリセットするとともに、関連するアラームの発生回数を「0」にリセットして演算するよう、予測レベルの識別子をリセット用データ12dとして記憶する。なお、リセット手段11eは,予測レベルを求めるためのアラームの発生回数及び予測レベルを「0」にリセットするが、出力端末に表示するアラームの発生回数,予測レベルは「0」にリセットされることはない。すでに表示したアラームの発生回数及び予測レベルは実績を示すため、変更はされない。
【0052】
図3(b)の故障予測データ12c及び
図2(b)のアラームデータ12aが記憶装置に記憶される場合について説明する。
図3(b)に示す故障予測データ12cは、「第2予測レベル」が「3」であり、結果出力手段11dは、この「第2予測レベル」の値を含む結果データを出力端末40に送信する。例えば、オペレータは、この結果データに応じ、装置20に対して、「第2予測レベル」と関連する対応を実行することで、故障への未然の対応がされる。また、対応の後、オペレータは、入力端末50を操作して対応記録データを入力する。リセット手段11eは、入力端末50から対応記録データを受信すると、リセット用データ12dとして、予測レベルの識別子「第2予測レベル」を記憶する。このリセット用データ12dにより、以降の故障予測の処理では、この「第2予測レベル」の値を『0』にリセットして演算する。
【0053】
また、「第2予測レベル」が「第2アラーム」に応じて決まるものであるとする。このとき、
図2(b)に示すようなアラームデータ12aの「第2アラーム」の発生回数を『0』にリセットする。なお、各予測レベルは、複数のアラームに起因するものであってもよく、この場合、複数のアラームの発生回数が『0』にリセットされる。このように、リセット手段11eが対応済みのアラームに関する全ての予測レベル及びアラームの履歴をリセットすることで、これらを用いて後に求める予測レベルは、対応済みの機器で過去に発生したアラームの影響を受けることがない。なお、リセット手段11eは,予測レベルを求めるためのアラームの発生回数及び予測レベルを「0」にリセットするが、出力端末に表示するアラームの発生回数,予測レベルは「0」にリセットされることはない。すでに表示したアラームの発生回数及び予測レベルは実績を示すため、変更はされない。
【0054】
さらに、リセット手段11eは、入力端末50から、予測レベルの値を『0』にリセットして演算することを要求するリセット信号を受信した場合、リセット用データ12dとして、記憶装置12に予測レベルの識別子を記憶する。予測レベルの値の変更を要求するリセット信号は、リセットする予測レベルの識別子を含む。
【0055】
また、リセット手段11eは、入力端末50からアラームデータ12aの発生回数の変更を要求するリセット信号を受信した場合、アラームデータ12aの発生回数を変更することができる。発生回数の変更を要求するリセット信号は、リセットするアラームの識別子を含む。なお、リセット信号は、予測レベルの値とアラームの発生回数の両方の変更を要求するため、予測レベルの識別子及びアラームの識別子の両方を含んでいてもよい。
【0056】
《変更手段》
変更手段11fは、入力端末50から状態遷移データ12bのパラメータの変更を要求するリクエスト信号が入力されると、この変更リクエストに従って、記憶装置12の状態遷移データ12bを変更する。例えば、状態遷移データ12bの論理の一部の値を変更するリクエスト信号が入力されると、各値を変更し、その後の処理では、変更後の条件で故障予測の処理が実行される。リクエスト信号は、変更するパラメータの項目及び値を含む。
【0057】
〈故障予測処理〉
図5に示すフローチャートを参照して、故障予測装置10において実行される故障予測処理について説明する。まず、取得手段11aは、アラームデータ収集管理装置30からアラームデータを取得する(S1)。また、取得手段11aは、取得したアラームデータを記憶装置12にアラームデータ12aとして記憶する(S2)。
【0058】
次に、故障予測手段11bは、記憶装置12のアラームデータ12a、状態遷移データ12b及び故障予測データ12cを用いて、故障予測を実行する(S3)。このとき、対象の装置20について過去に故障予測がされたことがないため、故障予測手段11bは、故障予測データ12cの各予測レベルが、初期値の『0』であるものとして故障予測を実行する。すなわち、故障予測手段11bは、故障予測データ12cに含まれない新たな機器の故障予測をする際、故障発生の可能性及び故障発生を防止する作業の必要性が低い初期値を当該機器の現在の予測レベルとして使用する。
【0059】
予測データ更新手段11cは、ステップS3で求めた予測結果を、記憶装置12に故障予測データ12cとして記憶する(S4)。結果出力手段11dは、ステップS3で求めた予測結果を含む結果データを出力端末40に出力する(S5)。
【0060】
ステップS5で出力端末40に出力した予測結果に応じてオペレータによって対応がされた対応記録データを受信すると(S6でYES)、リセット手段11eは、該当する予測レベルの識別子を、リセット用データ12dとして記憶装置12に記憶する(S7)。
【0061】
ステップS5で出力した予測結果に対し対応記録データを受信しない場合(S6でNO)、又は、ステップS7でリセット用データ12dが記憶された後、取得手段11aは、再びアラームデータ収集管理装置30からアラームデータを取得する(S8)。また、取得手段11aは、取得したアラームデータを記憶装置12に追加してアラームデータ12aを更新する(S9)。
【0062】
続いて、故障予測手段11bは、記憶装置12のアラームデータ12a、状態遷移データ12b及び故障予測データ12cを用いて、故障予測を実行する(S10)。ここで、故障予測装置10が利用する故障予測データ12cの各予測レベルは、過去に求められた値である。
【0063】
予測データ更新手段11cは、ステップS10で求めた予測結果で、記憶装置12の故障予測データ12cを更新する(S11)。また、結果出力手段11dは、ステップS10で求めた予測結果を出力端末40に出力する(S12)。
【0064】
故障予測装置10は、故障予測を終了するまで、ステップS6〜S12の処理を繰り返す(S13)。
【0065】
このように、異常の履歴であるアラームデータ12aと現在の予測レベルを用い、状態遷移データ12bに従って新たな予測レベルを求めることで、信頼性の高い予測結果を得ることができる。
【0066】
なお、アラームデータ収集管理装置30は、例えば、故障予測の対象の装置20の運用開始時からアラームを蓄積する。また、故障予測装置10は、運用開始と同時に故障予測をする必要はなく、運用開始後のある期間が経過後に設置し、設置以前にアラームデータ収集管理装置30で蓄積されたアラームデータを利用して故障予測を開始することができる。また、アラームデータ収集管理装置30は故障予測とは独立して動作する。したがって、故障予測装置10がメンテナンス等で停止される期間があったとしても、故障予測装置10は、動作が再開されたときに、停止期間中のアラームデータをアラームデータ収集管理装置30から入力することで、最新の故障予測を実行することができる。
【0067】
〈変更処理〉
図6に示すフローチャートを参照して、故障予測装置10において実行されるパラメータの変更処理について説明する。まず、変更手段11fは、入力端末50から状態遷移データ12bのパラメータの変更を要求するリクエスト信号を受信する(S21)。変更手段11fは、フォルダに状態遷移データファイルを入れることによって,リクエスト信号が入ったとみなすことができる。
【0068】
変更手段11fは、記憶装置12から状態遷移データ12bを読み出し、リクエスト信号において、変更が要求されるレコードを選択する(S22)。また、変更手段11fは、ステップS22で選択したレコードにおいて、リクエスト信号で変更が要求されるパラメータ値を更新して状態遷移データ12bを変更する(S23)。
【0069】
また、変更手段11fは、リクエスト信号で変更が要求される全てのレコードについて変更が終了するまで、ステップS22〜S23の処理を繰り返す(S24)。
【0070】
例えば、記憶装置12に状態遷移データ12bが記憶され、リクエスト信号においてパラメータ値が変更されることが要求されているとする。この場合、変更手段11fは、状態遷移データ12bを変更する。
【0071】
このように、状態遷移データ12bのパラメータ値を変更可能にすることで、対象の装置20において機器の追加や入れ替え等により故障予測の対象の機器が変更された場合、機器の変更に応じてパラメータを変更することができる。したがって、機器の変更に応じて柔軟に対応することができ、また、信頼性の高い予測結果を得ることができる。
【0072】
〈シミュレーション〉
図1に示すように、故障予測装置10は、入力端末50からシミュレーションデータが入力されることより、装置20における各アラームの発生時の予測レベルの遷移のシミュレーションを実行することもできる。
【0073】
図7に示すフローチャートを参照して、故障予測装置10において実行されるシミュレーション処理について説明する。まず、取得手段11aは、入力端末50を介して入力されたシミュレーションデータを取得する(S31)。また、取得手段11aは、取得したシミュレーションデータをアラームデータ12aとして記憶装置12に記憶する(S32)。このシミュレーションデータは、アラームの履歴に代えて使用するシミュレーション値を含む。
【0074】
次に、故障予測手段11bは、記憶装置12のアラームデータ12a、状態遷移データ12b及び故障予測データ12cを用いて、故障予測を実行する(S33)。ここでは、シミュレーション用の値で構成されるアラームデータ12aを用いて予測レベルを求めるため、求められる予測結果が、シミュレーションの結果である。このとき、シミュレーションデータの入力とともに、入力端末50を介して、シミュレーションに使用される予測レベルが入力されていた場合、故障予測手段11bは、その値を利用する。また、シミュレーション用の予測レベルが入力されていない場合、初期値の予測レベルを使用することもできるし、過去の故障予測において求められた予測レベルを使用することもできる。
【0075】
予測データ更新手段11cは、ステップS33で求めた予測結果で、記憶装置12の故障予測データ12cを更新する(S34)。これにより、シミュレーション結果の予測レベルが、故障予測データ12cとして記憶装置12に記憶される。
【0076】
また、結果出力手段11dは、ステップS33で求めた予測結果を、出力端末40に出力する(S35)。これにより、シミュレーション結果の予測レベルが、出力端末40に出力される。
【0077】
故障予測装置10は、シミュレーション処理を継続する場合、新たなシミュレーションデータによりステップS31〜S35の処理を繰り返す(S36でNO)。また、シミュレーション処理を終了する場合、処理を終了する(S36でYES)。その後は、シミュレーションの結果に応じて、状態遷移データ12bのパラメータ値を変更する変更処理が実行されてもよい。また、通常の故障予測処理が実行されてもよい。ただし、シミュレーションと通常の故障予測処理は別データとして管理される。
【0078】
以上、各実施形態を用いて本発明を詳細に説明したが、本発明は本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載及び特許請求の範囲の記載と均等の範囲により決定されるものである。