(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
図3は、本発明の一実施形態に係る印刷装置1の斜視図である。印刷装置1は、被印刷媒体に印刷を行うサーマルヘッドを備える印刷装置であり、例えば、長尺状の被印刷媒体Mに、シングルパス方式で印刷を行うラベルプリンタである。
【0014】
以降では、インクリボンを使用する熱転写方式のラベルプリンタを例にして説明するが、印刷方式は特に限定されない。例えば、感熱紙を使用する感熱方式であってもよい。被印刷媒体Mは、例えば、接着層を有する基材と、接着層を覆うように剥離可能に基材に貼付された剥離紙と、を有するテープ部材である。被印刷媒体Mは、離型紙なしのテープ部材であってもよい。
【0015】
印刷装置1には、
図3に示すように、キューブ形状の装置筐体20の上面に、蓋部10と、複数のボタン(ボタン21、ボタン22a、ボタン22b、ボタン22c、ボタン22d)が設けられている。ボタン21は、蓋部10の開閉ボタンである。ボタン22aからボタン22dは、それぞれ電源ボタン、無線通信ボタン、フィードボタン、カットボタンである。また、図示しないが、装置筐体20には、電源コード接続端子、外部機器接続端子等が設けられている。
【0016】
蓋部10は、開閉可能に配置されている。蓋部10は、ボタン21が押下されることで開かれて、蓋部10の開放によりカセット収容部30(
図5から
図7参照)を外部に露出させる。蓋部10には、蓋部10が閉じた状態でもカセット収容部30にテープカセット40(
図4参照)が収納されているか否かを目視で確認可能とするために、窓11が形成されている。また、装置筐体20の側面には、排出口20aが形成されている。印刷装置1内で印刷が行われた被印刷媒体Mは、排出口20aから装置外へ排出される。なお、排出口20aは、被印刷媒体Mの印刷面が、印刷装置1が載置された面と直交するように被印刷媒体Mを排出する。
【0017】
図4は、テープカセット40の斜視図である。テープカセット40は、印刷装置1のカセット収容部30に交換可能に収容される。テープカセット40は、
図4に示すように、サーマルヘッド被挿入部45、支持部46、切欠き部47、凹部48が形成された、被印刷媒体MとインクリボンRを収容するカセットケース41を有する。カセットケース41には、テープコア42とインクリボン供給コア43とインクリボン巻取りコア44が設けられている。
【0018】
被印刷媒体Mは、カセットケース41内部のテープコア42にロール状に巻かれている。また、熱転写用のインクリボンRは、その先端がインクリボン巻取りコア44に巻きつけられた状態で、カセットケース41内部のインクリボン供給コア43にロール状に巻かれている。さらに、凹部48には解除スイッチ49が設けられている。解除スイッチ49が押下されることで、被印刷媒体Mの搬送を妨げるロック機構が解除され、被印刷媒体Mの搬送が可能となる。
【0019】
図5は、蓋部10が開放された状態における印刷装置1の側面図である。
図6及び
図7は、蓋部10が開放された状態における印刷装置1の斜視図である。
図8及び
図9は、蓋部10が開放された状態における印刷装置1の平面図である。
図6及び
図8には、テープカセット40がカセット収容部30に収容されていない状態が、
図7及び
図9には、テープカセット40がカセット収容部30に収容されている状態が、示されている。
【0020】
印刷装置1は、
図5から
図9に示すように、被印刷媒体Mを内蔵したテープカセット40を収容するカセット収容部30を備えている。カセット収容部30は、蓋部10の開放により外部に露出する。
【0021】
蓋部10は、
図6及び
図7に示すように、上述した窓11に加えて、凸部12と、押さえ部13と、ピン14を備えて、装置筐体20に設けられた支軸23によって軸支されている。蓋部10は、ボタン21を押下してロック機構が解除されると、被印刷媒体Mの搬送方向と直交している支軸23回りに回転する。これにより、蓋部10の排出口20a側が支軸23上方に向かって移動して、蓋部10が起立して開状態になる。
【0022】
凸部12は、カセット収容部30に設けられた開口部32に対応する形状を有している。開口部32については後述する。凸部12は、蓋部10が閉じられているときに開口部32に対向するように設けられている。
【0023】
押さえ部13は、蓋部10を閉じる際にカセット収容部30に収容されたテープカセット40の上面を押さえる部材である。押さえ部13は弾性部材を含んでいて、その弾性部材の弾性力によって様々な厚さを有するテープカセット40に過度な圧力が加わらないよう押圧力が調整される。また、押さえ部13は、蓋部10を開くときには、収縮した弾性部材の弾性力によって蓋部10を持ち上げる役割も担っている。
【0024】
ピン14は、蓋部10が閉じられているときに装置筐体20に設けられた開閉検出部24に係合するように、設けられている。ピン14が開閉検出部24に係合することで、開閉検出部24が電気的に蓋部10の閉状態を検出する。印刷装置1は、電源がONになると電動でサーマルヘッド25をプラテンローラ26に押し付けるように動作するが、開閉検出部24が蓋部10の開状態を検出している場合には、サーマルヘッド25をプラテンローラ26に押し付ける動作を行わない。
【0025】
カセット収容部30には、
図6から
図9に示すように、サーマルヘッド25と、プラテンローラ26が設けられている。サーマルヘッド25は、被印刷媒体Mに印刷を行う印刷ヘッドであり、通電状態が独立に制御される複数の発熱素子25a(
図15参照)を有する。また、サーマルヘッド25には、サーミスタ50(
図15参照)が埋め込まれている。サーミスタ50は、サーマルヘッド25の温度を測定する測定手段として機能する。プラテンローラ26は、サーマルヘッド25との間に被印刷媒体Mを挟み込みながら被印刷媒体Mを搬送する搬送ローラである。プラテンローラ26は、被印刷媒体Mを排出口20aに向けて搬送方向に搬送する。サーマルヘッド25とプラテンローラ26は、後述する第1の方向に整列して設けられている。
【0026】
カセット収容部30には、
図8に示すように、さらに、インクリボン巻取り駆動軸27と、テープコア係合軸28と、複数の受け部29と、複数のテープ幅検出スイッチ29aと、第1の空間形成部31と、開口部32と、段差33と、突起34と、リブ35と、第2の空間形成部36が設けられている。
【0027】
テープカセット40はカセット収容部30のうちの段差33で区画される領域に収容される。例えば、段差33は、下段を構成するカセット収容部30の底面から1〜2cm程度の位置に上段を有している。テープカセット40がカセット収容部30に収納された状態では、テープカセット40の支持部46が受け部29に支持されて、サーマルヘッド25がテープカセット40のサーマルヘッド被挿入部45に挿入されている。また、テープコア係合軸28には、テープカセット40のテープコア42が係合し、インクリボン巻取り駆動軸27には、インクリボン巻取りコア44が係合する。
【0028】
受け部29は、段差33の上段から起立して形成されている。このため、テープカセット40は、テープ幅の広い比較的大きなテープカセットである場合を除き、カセット収容部30のうちの段差33の上段よりも上側の空間に収容される。なお、段差33の上段よりも下側にまでテープカセットが及ぶのは、例えば、そのテープカセットが36mm以上の幅のテープカセットである場合である。また、突起34によって、テープカセット40の凹部48に設けられた解除スイッチ49が押下され、ロック機構が解除される。さらに、リブ35により段差33で区画される領域内でのテープカセット40のガタツキを抑えられる。
【0029】
複数のテープ幅検出スイッチ29aは、テープカセット40の形状に基づいて被印刷媒体Mの幅を検出する検出部である。テープ幅検出スイッチ29aは、複数の受け部29のいずれかの上面に設けられている。テープ幅の異なる複数のテープカセット40は、複数のテープ幅検出スイッチ29aをそれぞれ異なる組み合わせで押下するように構成されている。印刷装置1は、押下されたテープ幅検出スイッチ29aの組み合わせから、テープカセット40の種類を特定し、被印刷媒体Mの幅(テープ幅)を検出する。
【0030】
カセット収容部30が備える第1の空間形成部31と開口部32と第2の空間形成部36は、テープカセット40を印刷装置1から容易に取り出すための構造であり、テープカセット40に指を掛けるための空間をカセット収容部30内に確保するのに資する構造である。より詳細に説明すると、蓋部10が開いているときで、且つ、テープカセット40の第1の側端部、第2の側端部及び第3の側端部がそれぞれ、第1の指、第2の指及び第3の指によって支持された状態でテープカセット40をカセット収容部30から取り出すときに、第1の空間形成部31、開口部32、第2の空間形成部36は、それぞれ次のような特徴を有している。なお、テープカセット40の側端部には、テープカセットの側面に加えて、エッジの部分も含まれる。また、例えば、
図4に示される、支持部46、切欠き部47、凹部48等も側端部に含まれる。
【0031】
第1の空間形成部31は、第1の側端部の少なくとも一部とカセット収容部30との間に第1の指の少なくとも一部が挿入される第1の空間31aを形成するように構成される。より具体的には、第1の空間形成部31は、例えば、
図7及び
図9に示すように、テープカセット40がカセット収容部30に収容された状態で、カセット収容部30に収容されたテープカセット40の側面40aとカセット収容部30の第1の内壁との間に第1の空間31aを形成する。
【0032】
ここで、カセット収容部30の第1の内壁とは、カセット収容部30にテープカセット40が収容されているときに、テープカセット40の側面40aと対向するカセット収容部30の面であり、カセット収容部30の第1の空間形成部31を構成する。側面40aは、テープカセット40の第1の側端部であり、第1の方向に向けられたテープカセット40の側面である。第1の方向は、サーマルヘッド25が被印刷媒体Mをプラテンローラ26に押し付ける方向であり、サーマルヘッド25とプラテンローラ26は、第1の方向に沿って整列している。また、側面40aの少なくとも一部とカセット収容部30の第1の内壁との間に形成される第1の空間31aは、テープカセット40を取り出す際にテープカセット40に指を掛けるために指の少なくとも一部が挿入される空間である。第1の空間の幅、即ち、側面40aとカセット収容部30との間の第1の方向の距離は、少なくとも標準的な大人の指が第1間接まで入るような長さがあることが望ましく、1〜2cm程度以上あることが望ましい。一例として、第1の空間の幅は、2.5cmである。また、第1の空間31aは、後述する第2の空間46と連続してL字状に設けられていることが望ましい。
【0033】
開口部32は、カセット収容部30に収容されたテープカセット40の第2の側端部の少なくとも一部を印刷装置1の外部に露出させることによって、露出された第2の側端部の少なくとも一部を第2の指によって支持するための開口部である。より具体的には、開口部32は、例えば、
図7及び
図9に示すように、カセット収容部30に収容されたテープカセット40の側面40bを蓋部10が開いているときに外部に露出させる。
【0034】
ここで、側面40bは、テープカセット40の第2の側端部であり、第1の方向とは異なる方向(以降、第2の方向と記す。)に向けたられたテープカセット40の側面である。第2の方向は、第1の方向と反対の方向であることが望ましい。開口部32は、蓋部10の開状態において、テープカセット40bの第2の方向側に装置外につながった開放空間を形成する。この開放空間も、第1の空間と同様に、テープカセット40を取り出す際にテープカセット40に指を掛けるために指の少なくとも一部が挿入される空間である。
【0035】
一例として、開口部32は、
図5に示すテーパー形状を呈している部分を除いて2〜4cm程度の深さを有し、開口部32の平坦な下面は、カセット収容部30の底面から1〜2cm程度の高さを有する。比較的狭いテープ幅(例えば、9mm以下のテープ幅)のテープカセット40が収容されている場合には、開口部32の下面は、テープカセット40の下面よりも低い位置に位置する。このため、開口部32から挿入した指を、テープカセット40の下面又は下面と側面40bとの間のエッジ部分に掛けて、テープカセット40を支えることができる。テープ幅が最も広いテープ幅(例えば、46mm幅)のテープカセット40が収容されている場合であっても、開口部32の下面はそのテープカセット40の中心よりも下側に位置する。このため、テープカセット40の中心よりも下側に当てた指によってテープカセット40の安定した支持が可能である。
【0036】
第2の空間形成部36は、第3の側端部の少なくとも一部とカセット収容部30との間に第3の指の少なくとも一部が挿入される第2の空間36aを形成する。より具体的には、カセット収容部30は、例えば、
図7及び
図9に示すように、テープカセット40の側面40cとカセット収容部30の第2の内壁との間に第2の空間36aを形成するようにカセット収容部30を収容する。つまり、カセット収容部30には、第2の空間36aを形成するように、テープカセット40を位置決めする構造物(サーマルヘッド25、インクリボン巻取り駆動軸27、受け部29など)が設けられている。
【0037】
ここで、カセット収容部30の第2の内壁とは、カセット収容部30にテープカセット40が収容されているときに、テープカセット40の側面40cと対向するカセット収容部30の面であり、カセット収容部30の第2の空間形成部36を構成する。側面40cは、テープカセット40の第3の側端部であり、第1の方向と第2の方向の両方と異なる方向(以降、第3の方向と記す。)に向けられたテープカセット40の側面である。第3の方向は、被印刷媒体Mの搬送方向と反対の方向であることが望ましく、第1の方向及び第2の方向と直交する方向であることが更に望ましい。即ち、排出口20aは、被印刷媒体Mを、テープカセット40の第1の側端部、第2の側端部、及び第3の側端部の全てと異なる第4の側端部側から印刷装置1外部に排出することが望ましい。また、側面40cとカセット収容部30の間に形成される第2の空間は、テープカセット40を取り出す際にテープカセット40に指を掛けるために指の少なくとも一部が挿入される空間である。第2の空間の幅、即ち、側面40cとカセット収容部30の間の第3の方向の距離は、少なくとも標準的な大人の指が第1間接まで入るような長さがあることが望ましく、1〜2cm程度以上あることが望ましい。第2の空間の幅は、一例として、1.5cmである。この場合、2cmの幅の第1の空間と1.5cmの幅の第2の空間により形成されるL字形状の空間は、コーナー部分で3cm弱程度の幅を有する。
【0038】
図10及び
図11は、印刷装置1からテープカセット40を取り出す様子を示した図である。印刷装置1では、カセット収容部30内において、テープカセット40の周囲の3方向に空間が形成されている。このため、
図10及び
図11に示すように、印刷装置1の利用者はテープカセット40を取り出す際に3方向からテープカセット40に指を掛けることができる。これにより、テープカセット40を傾けることなく持ち上げることができるため、テープカセット40を印刷装置1から容易に取り出すことができる。
【0039】
また、印刷装置1では、第1の方向と第2の方向が反対の方向になるように、第1の空間形成部31と開口部32が設けられている。このため、
図10及び
図11に示すように、印刷装置1の利用者はテープカセット40の互いに反対を向いた2つの側面(側面40a、側面40b)に指を掛けて、テープカセット40をしっかりと挟み込むことができる。これにより、テープカセット40を安定して持ち上げることができるため、テープカセット40を印刷装置1からさらに容易に取り出すことができる。
【0040】
また、印刷装置1では、
図7及び
図9に示されるように、第1の空間31aは、第2の空間36aと連続してL字状に設けられている。別の言い方をすると、第1の空間31aと第2の空間36aはL字形状を有し、それぞれが空間的に隣接して連続している。このため、開口部32により形成された空間に親指を入れてテープカセット40に親指を掛けたユーザーが、第1の空間31aと第2の空間36aによって形成されるL字型の連続空間に残りの指を自由に配置することができる。このような指の配置の自由度の高さは、使い勝手が手の大きさに左右されにくいなどのメリットがあり、多くのユーザーにとってテープカセット40を持ち上げやすく取り出しやすい構造を提供することができる。特に連続空間を構成するそれぞれの空間に1本以上指を掛けることで、計3本以上の指で3つ以上の異なる方向からテープカセット40を支えることができる。このため、テープカセット40を安定した姿勢で取り出すことができる。
【0041】
また、印刷装置1では、カセット収容部30から第3の方向の位置に支軸23が設けられている。第1の方向と第2の方向が反対方向である場合には、
図10及び
図11に示すように、印刷装置1の利用者は、第1の方向に向けられた側面40aと第2の方向に向けられた側面40bの一方に親指を掛け他方向に中指又は薬指を掛けてテープカセット40を挟み込み、さらに、第3の方向に向けられた側面40cに人差し指を掛けテープカセット40を持ち上げることが想定される。従って、テープカセット40を取り出す際には、印刷装置1の利用者は、第3の方向とは反対方向に位置することが想定される。支軸23が第3の方向に位置することで、開いた蓋部10が支軸23上に起立することになる。このような利用者と蓋部10の位置関係であれば、テープカセット40を取り出す際に蓋部10が邪魔にならないため、テープカセット40を印刷装置1からさらに容易に取り出すことができる。
【0042】
さらに、印刷装置1では、第3の方向が搬送方向と反対の方向であり、テープカセット40から見て搬送方向と反対の方向に指を入れるための空間が設けられている。一般にテープカセット40の搬送方向側には被印刷媒体Mのカット機構など特定の構造物が配置されるのに対して、搬送方向と反対側のスペースは比較的自由に利用することができる。従って、第3の方向を搬送方向と反対の方向にすることで、特定の構造物を配置するためのスペースが少なくなる、装置筐体20が大きくなってしまう、等の事態を避けることができる。
【0043】
さらに、印刷装置1では、蓋部10の凸部12は、開口部32に対応する形状を有し、且つ、蓋部10が閉じられているときに開口部32に対向するように設けられている。このため、蓋部10が閉じられているときに凸部12が占める空間をテープカセット40の第2の側面40bを露出させる空間として利用することができる。これにより、印刷装置1を大型化することなくテープカセット40を取り出す際に指を掛ける空間を設けることができる。また、蓋部10が閉じているときには側面40bが露出していないため、ゴミなどが印刷中に印刷装置1内部に入ってしまうことを抑制することができる。
【0044】
さらに、印刷装置1では、テープカセットは、その種類によらず、被印刷媒体Mの幅方向の中心が一定の位置となるように収容される。このため、開口部32の高さをこの一定の位置程度またはそれ以下とすることで、印刷装置1は、テープカセットの種類によらず、カセット収容部30に収容したテープカセットの側面を露出させることができる。
【0045】
図12から
図14は、それぞれテープ幅6mmのテープカセット60、テープ幅24mmのテープカセット70、テープ幅46mmのテープカセット80が収容された印刷装置1の斜視図である。一般に、テープ幅6mm程度の幅の狭いテープからテープ幅46mm程度の幅の広いテープにまで対応可能な印刷装置では、幅の狭いテープが内蔵されたテープカセットをカセット収容部に挿入する或いはカセット収容部から取り出す場合には、印刷装置内部の深い位置にまで指を挿入することが要求される。印刷装置1では、
図12から
図14に示すように、テープカセットの種類によらず、開口部32からテープカセットの側面(側面60b、側面70b、側面80b)が露出されるため、テープカセットの種類によらず、テープカセットを印刷装置1から容易に取り出すことができる。
【0046】
以上では、テープカセット40の取り出しやすさを中心に説明したが、印刷装置1によれば、テープカセット40をカセット収容部30に容易に収容することもできる。印刷装置1では、テープカセット40を指で支えた状態でカセット収容部30の深い位置にまでテープカセット40の姿勢を変えずに移動させることができる。このため、テープカセット40がカセット収容部30に設けられた受け部29に完全に支持されるまでテープカセット40を持ち続けることができる。このため、利用者は、テープカセット40を容易に且つ確実にカセット収容部30に収容することができる。
【0047】
図15は、印刷装置1の制御ブロック図である。印刷装置1は、上述した構成に加えて、制御部2、通信インターフェース3、ROM(Read Only Memory)4、RAM(Random Access Memory)5、ヘッド駆動回路51、搬送用モータ駆動回路52、ステッピングモータ53、カッターモータ駆動回路54、カッターモータ55、フルカット機構56、ハーフカット機構57を備える。なお、制御部2、ROM4、及びRAM5は、印刷装置1のコンピュータを構成する。
【0048】
制御部2は、例えばCPU(Central Processing Unit)などのプロセッサ2aを含む。制御部2は、ROM4に記憶されているプログラムをRAM5に展開し実行することで、印刷装置1の各部の動作を制御する。通信インターフェース3は、有線又は無線により外部装置との間でデータを授受する。
【0049】
ROM4は、被印刷媒体Mに印刷を行う印刷プログラム、印刷プログラムの実行に必要な各種データ(例えば、フォント等)を記憶する。なお、ROM4は、制御部2によって読取り可能なプログラムが記憶された記憶媒体としても機能する。
【0050】
RAM5は、印刷についての情報(以降、印刷情報と記す)を記憶する入力データメモリとして機能する。また、RAM5は、印刷情報に基づいて生成される、被印刷媒体に形成すべき印刷内容のパターンを示すデータ(以降、印刷データと記す)を記憶する印刷データメモリとしても機能する。
【0051】
ヘッド駆動回路51は、印刷データとストローブ信号に基づいて発熱素子25aへの通電を行う。サーマルヘッド25は、主走査方向に配列された複数の発熱素子25aを有する印刷ヘッドである。サーマルヘッド25は、制御部2から送出されたストローブ信号がONである期間(即ち、通電期間)に印刷データに応じて発熱素子25aをヘッド駆動回路51が選択的に通電することで、発熱素子25aでインクリボンRを加熱して熱転写により被印刷媒体Mに一ラインずつ印刷を行う。
【0052】
搬送用モータ駆動回路52は、ステッピングモータ53を駆動する。ステッピングモータ53は、プラテンローラ26を駆動する。プラテンローラ26は、ステッピングモータ53の動力によって回転し、被印刷媒体Mの長手方向(副走査方向、搬送方向)に被印刷媒体Mを搬送する。
【0053】
カッターモータ駆動回路54は、カッターモータ55を駆動する。フルカット機構56及びハーフカット機構57は、カッターモータ55の動力によって動作し、被印刷媒体Mをフルカット又はハーフカットする。フルカットとは、被印刷媒体Mの基材を剥離紙とともに幅方向に沿って切断する動作のことであり、ハーフカットは、基材のみを幅方向に沿って切断する動作のことである。カッターモータ駆動回路54は、例えば、ボタン22dが押下されるとカッターモータ55を駆動してフルカット機構56に被印刷媒体Mをフルカットさせてもよい。
【0054】
上述した実施形態は、発明の理解を容易にするために具体例を示したものであり、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。印刷装置は、特許請求の範囲の記載を逸脱しない範囲において、さまざまな変形、変更が可能である。
【0055】
上述した実施形態では、第3の方向が搬送方向と反対の方向である例を示したが、第3の方向は搬送方向と直交する方向であってもよく、第1の方向又は第2の方向が搬送方向と同じ方向であってもよい。上述した実施形態では、印刷装置1は印刷データを外部装置から受信して印刷を行うが、印刷装置1は印刷データを入力するための入力部や表示部を備えてもよい。
【0056】
以下、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[付記1]
印刷装置であって、
被印刷媒体を内蔵したテープカセットを収容するカセット収容部と、
開放により前記カセット収容部を外部に露出させる蓋部と、を備え、
前記カセット収容部は、
前記蓋部が開いているとき、前記テープカセットの第1の側端部、第2の側端部及び第3の側端部がそれぞれ、第1の指、第2の指及び第3の指によって支持された状態で前記テープカセットを前記カセット収容部から取り出す際に、
前記第1の側端部の少なくとも一部と前記カセット収容部との間に前記第1の指の少なくとも一部が挿入される第1の空間を形成する第1の空間形成部と、
前記カセット収容部に収容された前記テープカセットの前記第2の側端部の少なくとも一部を前記印刷装置の外部に露出させることによって、前記露出された前記第2の側端部の少なくとも一部を前記第2の指によって支持するための開口部と、
前記第3の側端部の少なくとも一部と前記カセット収容部との間に前記第3の指の少なくとも一部が挿入される第2の空間を形成する第2の空間形成部と、
を備える、
ことを特徴とする印刷装置。
【0057】
[付記2]
付記1に記載の印刷装置において、
前記蓋部は、前記蓋部が閉じられているときに前記開口部に対向するように設けられた、前記開口部に対応する形状を有する凸部を備える
ことを特徴とする印刷装置。
【0058】
[付記3]
付記1又は付記2に記載の印刷装置において、
前記第1の空間は、前記第2の空間と連続してL字状に設けられている
ことを特徴とする印刷装置。
【0059】
[付記4]
付記1から付記3のいずれかに記載の印刷装置において、さらに、
前記被印刷媒体に印刷を行う印刷ヘッドと、
前記印刷ヘッドとの間に前記被印刷媒体を挟み込みながら前記被印刷媒体を搬送する搬送ローラと、
前記被印刷媒体を、前記テープカセットの前記第1の側端部、前記第2の側端部、及び前記第3の側端部の全てと異なる前記第4の側端部側から前記印刷装置外部に排出する排出口と、
を備えることを特徴とする印刷装置。
【0060】
[付記5]
付記4に記載の印刷装置において、
前記排出口は、前記被印刷媒体の印刷面が、前記印刷装置が載置された面と直交するように前記被印刷媒体を排出することを特徴とする印刷装置。
【0061】
[付記6]
付記1乃至付記5のいずれかに記載の印刷装置において、
前記蓋部は、前記蓋部が閉まる際に前記カセット収容部に収容された前記テープカセットの上面を押さえる押さえ部を有することを特徴とする印刷装置。