【実施例1】
【0010】
図1は本発明による実施例1の航空管制システムのワイヤレスヘッドセットに接続して使用される子機端末の電子機器を示す概略斜視図である。
図2は
図1の線AAにおける電子機器を示す概略断面図である。
図3は
図1の電子機器を示す概略分解斜視図である。
【0011】
図1〜
図3に示すように、実施例の電子機器の筐体10は略長方体形状を有している。筐体10は、それぞれが有する長方形状の開口部において互いに嵌合された筐体本体11と蓋体12から構成されている。
図2に示すように、筐体本体11及び蓋体12からなる筐体10の内側に回路基板13と構成部材14が積層されて収容される。筐体本体11は、回路基板13を支持し、外観カバーとして機能する樹脂製のフロントカバーである。蓋体12は、壁面等への取り付け側として機能する樹脂製のリアカバーである。
【0012】
図3に示すように、筐体本体11の底壁(フロントカバー前面)には、液晶ディスプレイ等の表示部や操作コンソールのための開口OPが形成される。回路基板13の実装面には、受動部品、能動部品、機構部品等(図示せず、機構部品である押釦スイッチ15のみを説明の簡略化のために記載する)が実装されている。構成部材14は、回路基板13上に表面実装された押釦スイッチ15を押圧するための可動部KTを有した樹脂製の一体成型部材である。構成部材14は、その一部が筐体本体11の底壁と回路基板13に挟持されて、筐体本体11の側壁に沿って配置され、可動部KTと押釦スイッチ15が対向するように構成されている。
【0013】
図2、3に示すように、筐体本体11の側壁近傍の底壁には、案内手段として2本のロッド形状部11Pa、11Pbが垂直に立った状態で設けられ(すなわち立設され)ている。互いに平行なロッド形状部11Pa、11Pbは該側壁に平行であり、回路基板13と構成部材14の筐体本体11に対する位置決め機能を有する。回路基板13には、回路基板自体の位置決めのための2つの孔13Ha、13Hbがロッド形状部11Pa、11Pbに嵌るように回路基板の一辺の近傍に設けられている。位置決め孔13Ha、13Hbの間の回路基板13の縁部上に例えば3つの押釦スイッチ15が表面実装されている。回路基板13は、位置決め孔13Ha、13Hbによってロッド形状部11Pa、11Pbに嵌合されたとき、筐体本体11に対して位置決めされ、同時に3個の押釦スイッチ15も位置決めされる。ロッド形状部11Pa、11Pbの長手方向が回路基板13と構成部材14の積層方向(案内方向)となる。
【0014】
図4は本実施例の電子機器の筐体本体11と構成部材14を示す概略分解斜視図である。
図5は構成部材14を示す概略斜視図である。構成部材14は、本体11の内壁及び回路基板13の間に挟持され、これらにより圧される挟持部14Sa、14Sbと、該挟持部の間に設けられ且つ押圧方向に可動で且つ押釦スイッチ15のそれぞれに対向する可動部KTとを有する。各可動部KTは押釦スイッチ15を押圧する突出部14Pを有する。さらに、挟持部14Sa、14Sbはロッド形状部11Pa、11Pbに嵌合される貫通孔14Ha、14Hbを有する。これらにより、
図2に示すように、構成部材14は、筐体本体11のロッド形状部11Pa、11Pbの2箇所に挟持部14Sa、14Sbの貫通孔14Ha、14Hbを介して嵌合されたとき、積層方向に交差する方向における位置が定まる。
【0015】
図4、5に示すように、構成部材14の挟持部14Sa、14Sbの貫通孔14Ha、14Hbは押圧方向に長い長孔である。各貫通孔には、挟持部14Sa、14Sbの先端側にロッド形状部の収まる円弧の周囲壁とその根元側の案内壁との間にロッド形状部固定用の垣根部14HHが対向して設けられている。各貫通孔の円弧の周囲壁と垣根部14HHにより、挟持部の嵌合時、筐体本体11の各ロッド形状部が保持される。
【0016】
図4、5に示すように、構成部材14の貫通孔14Ha、14Hbの縁部(挟持部14Sa、14Sbの根元)には爪14Na、14Nbが設けられている。さらに、筐体本体11には、爪14Na、14Nbに対応する係止部11Sa、11Sb(リブ11LBの側面)が設けられ、挟持部の嵌合時、爪14Na、14Nbが係止部11Sa、11Sbに当接して、構成部材14全体が押圧方向に動かないように構成されている。
【0017】
図4、5に示すように、構成部材14の挟持部14Sa、14Sbの間に設けられた突出部14Pの各々は、これを中心に設けられた円弧形状の長孔に囲まれた可動部KTの押圧部である。可動部KTは、円弧形状の長孔以外の首部で固定されている故に、外圧が加われば可動部KT自体の弾性により首部の周りに押圧方向に撓んで変形し、突出部14Pの各々が押圧方向に可動となる。
図5に示すように、可動部KTの各突出部14Pの裏側(外部に露出する側)には突出部14Pとは反対に突出するレバーキートップ部KTTが設けられ、外圧を受けるように構成されている。
【0018】
さらに、
図4、5に示すように、構成部材14の挟持部14Sa、14Sbの間には、突出部14Pの列を挟むように本体側縁部Ebと蓋側縁部Ecが設けられ、挟持部の嵌合時、本体側縁部Ebと蓋側縁部Ecはそれぞれ筐体本体11と蓋体12に当接する。さらに、図
6に示すように、挟持部の嵌合時、構成部材14全体が押圧方向に動かないように、筐体本体11には、構成部材14の本体側縁部Ebに当接する爪11Nが設けられている。
【0019】
図6〜
図8を用いて電子機器の製造工程を説明する。
【0020】
図6は本実施例の電子機器の筐体本体11の平面図である。
図7は本実施例の電子機器の筐体本体に構成部材を嵌合した場合の平面図である。
図8は本実施例の電子機器の製造工程を説明する概略断面図である。
図8は
図7の線AAにおける電子機器を示す概略断面図である。
【0021】
図6に示すように、筐体本体11と構成部材14を用意する。
図7に示すように、構成部材14をロッド形状部11Pa、11Pbに嵌合する。ここで、筐体本体11に、構成部材14を嵌合して組込む際は、
図8(a)に示すように、筐体本体11の係止部11Sに構成部材14を嵌め込むため、ロッド形状部11Pa、11Pbに対し、構成部材14を斜めに傾けながら、貫通孔14Ha、14Hbをスライドさせて嵌め込む。すなわち、貫通孔14Ha、14Hbの垣根部14HHがロッド形状部11Pa、11Pbに接触しつつ嵌め込む。また、その際、レバーキートップ部KTTを筐体本体11の側壁から逃がしながら、筐体本体11の側壁に開設された操作開口11OP(
図4)に対して、潜り込ませるようにして通すようにする。嵌合後、
図8(b)に示すように、構成部材14は、その爪14Na、14Nbが筐体本体11の係止部11Sa、11Sbに当接し、更に、その本体側縁部Ebが筐体本体11の爪11Nに当接するので、構成部材14全体は押圧方向に動かない。なお、構成部材14は、そのレバーキートップ部KTTが筐体本体11の側壁に開設された操作開口11OP(
図4)を緩く閉塞するようにして配置される。
【0022】
図8(b)(c)に示すように、回路基板13を、その位置決め孔13Ha、13Hbを介してロッド形状部11Pa、11Pbに嵌合して、筐体本体11上の構成部材14の挟持部14Sa、14Sb上に積層する。なお、筐体本体11上の構成部材14の挟持部14Sa、14Sbの上面と筐体本体11のボス11Bの上面とが同一平面に位置するように予め構成されている。さらに、回路基板13には、各ボス11Bに圧入されている雌ネジ11Fsに対応する開口13SOが予め形成されている(
図3)。
【0023】
図8(c)(d)に示すように、蓋体12を、筐体本体11上に嵌合させる。嵌合時、構成部材14の蓋側縁部Ecは蓋体12の係止部12Sに当接する。その後、蓋体12の開口12SO(
図3)から、回路基板13の開口13SOを介して、筐体本体11のボス11Bの雌ネジ11Fsに対し、複数本の雄ネジMsで固定する。なお、蓋体12にも、筐体本体11のボス11Bに対応する開口12SOが貫通するボス12Bが予め形成されている。これにより、回路基板13を、構成部材14の挟持部14Sa、14Sbと筐体本体11のボス11Bの上に載せて雄ネジMsを捩じ込むと、構成部材14は筐体本体11の係止部(リブ11LB上面)と回路基板13とにより挟み付けられる状態になる。すなわち、回路基板13が所定位置に固定されると共に、構成部材14も筐体本体11の係止部11S、蓋体12の係止部12Sで所定位置に固定される。
【0024】
図9を用いて筐体の動作を説明する。
図9は
図1の線BBにおける電子機器を示す概略断面図である。
【0025】
図9に示すように、表面実装された押釦スイッチ15は回路基板13の先端部に固定され、筐体本体11側には、押釦スイッチ15に対峙するように構成部材14が固定配置されている。回路基板13の押釦スイッチ15を押圧時は、構成部材14を矢印方向(押圧方向)へ押すことにより、樹脂製の構成部材14が撓み、突出部14Pが押釦スイッチ15を押圧する。構成部材14の押圧時でも、回路基板13と構成部材14は共に、それらの位置決め孔、貫通孔で筐体本体11のロッド形状部11Pa、11Pbに案内され積層されている故に、動くことなく、押釦スイッチ15と構成部材14の位置関係が確保される。更に、構成部材14の押圧時に、樹脂の撓みで構成部材14が付勢されていても、構成部材14の爪14Na、14Nbと筐体本体11の爪11Nで全体は固定されている。
【0026】
以上の説明から明らかなように、本実施例によれば、筐体本体11に設けたロッド形状部11Pa、11Pbに、押釦スイッチ15を押圧する構成部材14の挟持部14Sa、14Sbを嵌合させ位置ずれを防止すると共に、構成部材14を挟み込みながら、回路基板13の押釦スイッチ15の位置を規制することができる。また、構成部材14の押圧時に、樹脂の撓みで構成部材14全体が付勢されないように、爪14Na、14Nb、爪11Nで位置決め、固定できる。更に、水平方向(押圧方向)に操作する押釦スイッチ15に対し、垂直方向に装置全体の積層組立を可能とした効果も得られる。更に、構成部材14に押圧力が与えられても、押釦スイッチ15が回路基板13から脱離することを防止することができる。なお、上記実施例では、樹脂製筐体の一体成型のロッド形状部を説明したが、変形例として金属製ロッド形状部を別体として筐体本体11に固着することで形成することもできる。さらに、筐体本体11と蓋体12の係止部11S、12Sで構成部材14を固定されるならば、一本のロッド形状部のみを用いるように構成できる。また、上記実施例では、1枚の回路基板13を用いた例を説明したが、変形例として、それぞれにロッド形状部に嵌合できる位置決め孔を設けた複数の回路基板を用いるように構成できる。