(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記所定の計測値は、上記荷重検出手段によって検出された上記吊荷荷重と、吊下可能な最大吊荷荷重に対する当該吊荷荷重の割合である負荷率とを更に含む請求項7に記載のクレーン車。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の好ましい実施形態が、適宜図面が参照されつつ説明される。なお、本実施形態は、本発明の一態様にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で実施態様が変更されてもよいことは言うまでもない。
【0031】
図1は、本実施形態に係るラフテレーンクレーン10の概略図である。
図2は、ラフテレーンクレーン10の機能ブロック図である。
【0032】
本実施形態に係るラフテレーンクレーン10は、
図1が示すように、下部走行体20と、上部作業体30とを備える。ラフテレーンクレーン10は、特許請求の範囲に記載された「クレーン車」に相当する。但し、クレーン車の具体例はラフテレーンクレーン10に限定されず、例えば、オールテレーンクレーン等であってもよい。
【0034】
下部走行体20(特許請求の範囲に記載された「走行体」に相当)は、左右二対の前輪21、22と、左右二対の後輪23、24とを有する(
図1では、右側のみを図示)。前輪21、22及び後輪23、24は、トランスミッション(図示省略)を介して伝達されるエンジン(図示省略)の駆動力によって回転される。下部走行体20は、後述するキャビン36内に設置されたステアリング、アクセルペダル、ブレーキペダル等が作業者によって操作されることによって走行する。
【0035】
また、下部走行体20は、その前方側に設けられた左右一対のアウトリガ25と、下部走行体20の後方側に設けられた左右一対のアウトリガ26とを有する(
図1では、右側のみを図示)。アウトリガ25、26は、下部走行体20から左右方向に張り出した位置において地面に接地する接地状態と、地面から離間した状態で下部走行体20に格納される格納状態とに状態変化が可能である。ただし、アウトリガ25、26は、下部走行体20から左右方向に張り出さない位置において地面に接地することも可能である。上部作業体30の動作時にアウトリガ25、26を接地状態とすることにより、ラフテレーンクレーン10の姿勢が安定する。一方、アウトリガ25、26は、下部走行体20の走行時に格納状態とされる。
【0037】
上部作業体30は、旋回台31と、ブーム32と、フック34と、キャビン36とを備える。旋回台31は、旋回ベアリング(図示省略)を介して下部走行体20に旋回可能に支持されている。ブーム32は、旋回台31に支持されており、起伏及び伸縮が可能になっている。フック34は、ブーム32の先端部から下方に延出されたロープ38に吊り下げられている。キャビン36には、操作部56(
図2参照)及び上部作業体30を動作させるための各種操作レバー61〜64(
図2参照)が設けられている。操作部56は、下部走行体20を走行させるための各種操作部、及び操作パネル等を含む。
【0038】
旋回台31は、旋回モータ41(
図2参照)によって旋回される。旋回モータ41は、特許請求の範囲に記載された「旋回アクチュエータ」に相当する。ブーム32は、起伏シリンダ42によって起伏され、伸縮シリンダ43(
図2参照)によって伸縮される。起伏シリンダ42は、特許請求の範囲に記載された「起伏アクチュエータ」に相当し、伸縮シリンダ43は、特許請求の範囲に記載された「伸縮アクチュエータ」に相当する。フック34は、ウインチによるロープ38の巻き取り及び繰り出しによって昇降される。ウインチは、ウインチモータ46(
図2参照)によって回転される。ウインチモータ46は、特許請求の範囲に記載された「ウインチアクチュエータ」に相当する。以下では、旋回モータ41、起伏シリンダ42、伸縮シリンダ43、及びウインチモータ46を単に「アクチュエータ」と称する場合がある。旋回モータ41、起伏シリンダ42、伸縮シリンダ43、ウインチモータ46、及びアウトリガ25、26を動作させるアクチュエータは、例えば、油圧式のアクチュエータである。すなわち、ラフテレーンクレーン10は、供給する作動油の方向及び流量を制御することによって、各アクチュエータを駆動させる。但し、本発明のアクチュエータは油圧式に限定されず、電動式等であってもよい。
【0039】
上記各種操作レバー61〜64(
図2参照)は、各アクチュエータに対応しており、具体的には、例えば、旋回台31の旋回を行うための旋回操作レバー61、ブーム32の伸縮を行うための伸縮操作レバー63、ブーム32の起伏を行うための起伏操作レバー62、ロープ38の巻き取り及び繰り出しを行うためのウインチ操作レバー64を含む。旋回操作レバー61は、特許請求の範囲に記載された「旋回操作部」に相当し、伸縮操作レバー63は、特許請求の範囲に記載された「ブーム伸縮操作部」に相当し、起伏操作レバー62は、特許請求の範囲に記載された「ブーム起伏操作部」に相当し、ウインチ操作レバー64は、特許請求の範囲に記載された「ウインチ操作部」に相当する。以下では、これらを総称して、単に「操作レバー」と称することがある。
【0041】
ラフテレーンクレーン10には、動画の撮影が可能な複数のデジタルカメラ71A、71B、71C、71D、71E、71F、71G、71H、71I(
図2参照)が設置されている。以下では、デジタルカメラ71A、71B、71C、71D、71E、71F、71G、71H、71Iを総称してデジタルカメラ71と称することがある。デジタルカメラ71の配置は、次のとおりである。
【0042】
デジタルカメラ71Aは、下部走行体20の前端部に固定されている。デジタルカメラ71Aは、下部走行体20の前端部から前方を撮影する。
【0043】
デジタルカメラ71Bは、下部走行体20の後端部に固定されている。デジタルカメラ71Bは、下部走行体20の後端部から後方を撮影する。
【0044】
デジタルカメラ71Cは、下部走行体20の前方左端部に設けられている。デジタルカメラ71Cは、下部走行体20の前方左端部から後方(ラフテレーンクレーン10の左側部)を撮影する。具体的には、デジタルカメラ71Cは、キャビン36から見てラフテレーンクレーン10の左側部が写るように設置されたバックミラー(サイドミラー)に固定されている。
【0045】
デジタルカメラ71Dは、キャビン36の左端部に固定されている。デジタルカメラ71Dは、キャビン36の左端部から左方を撮影する。
【0046】
デジタルカメラ71Eは、キャビン36の右端部に固定されている。デジタルカメラ71Eは、キャビン36の右端部から右方を撮影する。
【0047】
デジタルカメラ71Fは、ドラムの上端部に固定されている。デジタルカメラ71Fは、ドラムの上端部からドラムを撮影する。
【0048】
デジタルカメラ71Gは、ブーム32の先端部左側面に固定されている。デジタルカメラ71Gは、ブーム32の先端部左側面から左方を撮影する。デジタルカメラ71Gは、作業時に下方が撮影されるように、作業時にブーム32の起伏角度に応じて自動的に撮影向きが下向きに変更される。
【0049】
デジタルカメラ71Hは、ブーム32の先端部右側面に固定されている。デジタルカメラ71Hは、ブーム32の先端部右側面から右方を撮影する。デジタルカメラ71Hは、作業時に下方が撮影されるように、作業時にブーム32の起伏角度に応じて自動的に撮影向きが下向きに変更される。
【0050】
デジタルカメラ71Iは、ドライブレコーダ用のデジタルカメラであり、キャビン36内に固定されている。デジタルカメラ71Iは、キャビン36内から前方を撮影する。
【0052】
図2に示されるように、ラフテレレーンクレーン10は、制御部50を備える。制御部50は、ラフテレーンクレーン10の動作を制御する。制御部50は、記憶部58に記憶されたプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)によって実現されてもよいし、ハードウェア回路によって実現されてもよいし、これらの組み合わせであってもよい。
【0053】
制御部50は、歪検出器48、リガー浮きセンサ55、過巻センサ57、旋回角センサ51、起伏角センサ52、ブーム長さセンサ53、レバー操作量センサ59、エンジン回転数センサ60、及び操作部56から出力される各種信号を取得する。また、制御部50は、取得した各種信号に基づいて、旋回モータ41、起伏シリンダ42、伸縮シリンダ43、及びウインチモータ46を制御する。
【0054】
また、制御部50は、デジタルカメラ71から出力される画像データを受信し、記憶部58に記憶する。
【0055】
操作部56は、ラフテレーンクレーン10を動作させるための操作を受け付ける。操作部56は、受け付けた操作に応じた操作信号を出力する。すなわち、制御部50は、操作部56を通じて受け付けた操作に基づいて、下部走行体20を走行させ、上部作業体30を動作させる。
【0057】
起伏シリンダ42に歪検出器48が取り付けられている。歪検出器48は、ブーム32(
図1参照)にかかる負荷量を検出する。歪検出器48は、特許請求の範囲に記載された「荷重検出手段」に相当する。歪検出器48は、ブーム32にかかる負荷量(すなわち、フック34に吊り下げられた吊荷の荷重)に応じた検出信号を出力する。
【0059】
リガー浮きセンサ55は、アウトリガ25、26(
図1参照)が接地状態にあるときに、アウトリガ25、26の接地点のいずれかが地面から離間していること(地面から浮いていること)を検知するセンサである。リガー浮きセンサ55は、特許請求の範囲に記載された「浮上検知手段」に相当する。リガー浮きセンサ55は、浮上っているアウトリガ25、26があるか否かに応じた検出信号を出力する。
【0061】
過巻センサ57は、ブーム32(
図1参照)の先端からのフック34(
図1参照)までの吊下長さが「過巻長さ」以下になったことを検知するセンサである。過巻センサ57は、特許請求の範囲に記載された「過巻検知手段」に相当する。「過巻長さ」とは、吊下長さが所定長さ以下になったときの状態を示す概念であり、フック34がブーム32の先端に近づき過ぎて危険な状態になったときの吊下長さが、「過巻長さ」とされる。過巻センサ57は、吊下長さが過巻長さ以下であるか否かに応じた検出信号を出力する。
【0063】
レバー操作量センサ59は、全ての操作レバーについて、操作向き及び操作量を検出するセンサである。レバー操作量センサ59は、レバーの種類、操作向き及び操作量に応じた検出信号を出力する。
【0065】
旋回角センサ51は、旋回台31(
図1参照)の旋回角度(例えば、下部走行体20の前進方向を0°としたときの時計回り方向の角度)を検出するセンサである。旋回角センサ51は、旋回台31の旋回角度に応じた検出信号を出力する。
【0067】
起伏角センサ52は、ブーム32(
図1参照)の起伏角度(水平方向とブーム32とのなす角)を検出するセンサである。起伏角センサ52は、ブーム32の起伏角度に応じた検出信号を出力する。
【0069】
ブーム長さセンサ53は、ブーム32(
図1参照)の長さを検出するセンサである。ブーム長さセンサ53は、ブーム32の長さに応じた検出信号を出力する。
【0071】
エンジン回転数センサ60は、下部走行体20に搭載されたエンジン(不図示)の回転数を検出するセンサである。エンジン回転数センサ60は、エンジンの回転数に応じた検出信号を出力する。エンジン回転数センサ60は、特許請求の範囲に記載された「回転数取得部」に相当する。
【0073】
ラフテレーンクレーン10では、
図3〜
図12が示すように、画像データ記録処理が実行される。制御部50は、
図3が示す画像データ記録処理を繰り返し実行する。
【0074】
画像データ記録処理において、まず、ラフテレーンクレーン10の電源がオンされたとき(いわゆるPTOがオンされたとき)、過負荷防止装置の電源がオンされる。制御部50は、過負荷防止装置の電源がオンされるまで(S11:No)、電源がオンされているか否かを判断する(S11)。
【0075】
制御部50は、操作部56によって許容作業範囲の設定が受け付けられたか否かを判断する(S12)。
【0076】
許容作業範囲は、アウトリガ25、26の張出量、旋回台31の旋回範囲、ブーム32の最大伸長、ブーム32の起伏範囲、及び最大吊荷荷重によって決定される。これらの設定パラメータによって決定される許容作業範囲内において旋回台31及びブーム32の移動が許容される。決定された許容作業範囲は、作業半径、作業揚程、旋回台31の旋回範囲、ブーム32の伸縮範囲、及びブーム32の起伏範囲によって表される。この作業範囲の境界に旋回台31及びブーム32が達したときは、例えば、旋回モータ41、起伏シリンダ42、及び伸縮シリンダ43が停止されることにより、旋回台31及びブーム32の移動が停止される。許容作業範囲の設定は、上記設定パラメータを操作者が操作部56に入力することによって設定される。
【0077】
制御部50は、作業範囲の設定が受け付けられたときは(S12:Yes)、アウトリガ25、26の張出量、旋回台31の旋回範囲、ブーム32の最大伸長、ブーム32の起伏範囲、及び最大吊荷荷重に関する信号を操作部56から受信し、許容作業範囲を定義するパラメータとして、作業半径、作業揚程、旋回台31の旋回範囲、ブーム32の伸縮範囲、及びブーム32の起伏範囲を算出する。これら許容作業範囲を定義するパラメータは、記憶部58に記憶される(S13)。
【0078】
制御部50は、許容作業範囲の設定が受け付けられていないときは(S12:No)、ステップS13の処理をスキップして、負荷率取得処理(S14)の処理を実行する。
【0079】
負荷率取得処理の詳細は、
図4に示される。負荷率は、実際の制御においては、常時取得されることが好ましい。
【0080】
制御部50は、操作者が操作レバーを操作したことによるレバー操作量センサ59からの出力信号を受信する(S15)。ここで、レバー操作量センサ59が検出するレバー操作量は、微小時間におけるレバー操作量であり、ステップS14〜S20までの処理は、常時繰り返される。
【0081】
制御部50は、アクチュエータ駆動処理を実行する(S16)。アクチュエータ駆動処理は、操作された操作レバーに対応するアクチュエータを駆動し、変化した旋回台31の旋回角度、ブーム32の長さ、及びブーム32の起伏角度を取得する処理である。アクチュエータ駆動処理の詳細は、
図5に示される。アクチュエータ駆動処理で取得した角度及び長さは、
図11に示される記録開始第4判定処理で使用される。
【0082】
制御部50は、緊急停止処理を実行する(S17)。緊急停止処理において、制御部50は、旋回台31の旋回角度、ブーム32の起伏角度、又はブーム32の長さが許容作業範囲の範囲端に達したことに応じて、範囲端に達したアクチュエータに停止信号を送信することにより、その作業動作を停止させる。
【0083】
制御部50は、駆動速度取得処理を実行する(S18)。駆動速度取得処理は、旋回台31、ブーム32、又はフック34の駆動速度を取得する処理である。駆動速度取得処理の詳細は、
図6に示される。駆動速度取得処理で取得した駆動速度は、
図12に示される記録開始第5判定処理で使用される。
【0084】
制御部50は、記録開始判定処理を実行する(S19)。記録開始判定処理は、デジタルカメラ71の画像データの記録の開始及び終了を行う処理である。記録開始判定処理の詳細は、
図7に示される。
【0085】
制御部50は、過負荷防止装置の電源がオフされているか否かを判断する(S20)。
【0086】
制御部50は、過負荷防止装置の電源がオフされていないときは(S20:No)、ステップS14に戻り、ステップS14からの処理を繰り返す。
【0087】
制御部50は、過負荷防止装置の電源がオフされたときは(S20:Yes)、画像データ記録処理を終了する。
【0089】
図4は、
図3に示す画像データ記録処理においてステップS14で実行される負荷率取得処理の流れを示すフローチャートである。
【0090】
負荷率取得処理において、制御部50は、フック34に吊り下げられた吊荷の吊荷荷重を取得する(S21)。吊荷荷重は、例えば、起伏シリンダ42に取り付けられた歪検出器48から、ブーム32にかかる負荷量に応じた検出信号を受信することにより取得される。
【0091】
制御部50は、記憶部58に記憶されている定格荷重(吊下可能な最大吊荷荷重)を読み出す(S22)。
【0092】
制御部50は、ステップS21で取得した吊荷荷重をステップS22で取得された定格荷重で除算した値を百分率表示することにより、負荷率を算出し、記憶部58に記憶し(S23)、負荷率取得処理を終了する。
【0094】
図5は、
図3に示す画像データ記録処理においてステップS16で実行されるアクチュエータ駆動処理の流れを示すフローチャートである。
【0095】
アクチュエータ駆動処理において、制御部50は、
図3のステップS15で受信したレバー操作量センサ59からの出力信号に基づいて、旋回台31の旋回動作についての駆動向き及び駆動速度を示す駆動信号を旋回モータ41に送信し、旋回モータ41を駆動する(S31)。これにより、旋回台31が旋回される。レバー操作量センサ59の出力信号において、旋回操作についての操作量が0であれば旋回動作は行われない。
【0096】
制御部50は、旋回角センサ51からの出力信号を受信して、旋回台31の新たな旋回角度を取得し、記憶部58に記憶する(S32)。
【0097】
制御部50は、レバー操作量センサ59からの出力信号に基づいて、ブーム32の起伏動作についての駆動向き及び駆動速度を示す駆動信号を起伏シリンダ42に送信し、起伏シリンダ42を駆動する(S33)。これにより、ブーム32が起伏される。レバー操作量センサ59の出力信号において、ブーム32の起伏操作についての操作量が0であればブーム32の起伏動作は行われない。
【0098】
制御部50は、起伏角センサ52からの出力信号を受信して、ブーム32の新たな起伏角度を取得し、記憶部58に記憶する(S34)。
【0099】
制御部50は、レバー操作量センサ59からの出力信号に基づいて、ブーム32の伸縮動作についての駆動向き及び駆動速度を示す駆動信号を伸縮シリンダ43に送信し、伸縮シリンダ43を駆動する(S35)。これにより、ブーム32が伸縮される。レバー操作量センサ59の出力信号において、ブーム32の伸縮操作についての操作量が0であればブーム32の伸縮動作は行われない。
【0100】
制御部50は、ブーム長さセンサ53からの出力信号を受信して、ブーム32の新たな長さを取得し、記憶部58に記憶する(S36)。
【0102】
図6は、
図3に示す画像データ記録処理においてステップS18で実行される駆動速度取得処理の流れを示すフローチャートである。
【0103】
駆動速度取得処理において、制御部50は、
図3のステップS15で受信したレバー操作量センサ59からの出力信号に基づいて、各操作レバーについての操作向き及び操作量を取得し記憶部58に記憶する(S41)。
【0104】
制御部50は、エンジン回転数センサ60から受信した信号から、エンジンの回転数を取得し記憶部58に記憶する(S42)。
【0105】
制御部50は、各操作レバーに対応する操作についての操作向き及び操作量と、エンジン回転数とから、各操作についての駆動向き及びその駆動速度を算出して、記憶部58に記憶し(S43)、駆動速度取得処理を終了する。
【0107】
図7は、
図3に示す画像データ記録処理においてステップS19で実行される記録開始判定処理の流れを示すフローチャートである。
【0108】
記録開始処理において、制御部50は、記録開始第1判定処理を実行する(S51)。記録開始第1判定処理の詳細は
図8に示される。
【0109】
制御部50は、記録開始第2判定処理を実行する(S52)。記録開始第2判定処理の詳細は
図9に示される。
【0110】
制御部50は、記録開始第3判定処理を実行する(S53)。記録開始第3判定処理の詳細は
図10に示される。
【0111】
制御部50は、記録開始第4判定処理を実行する(S54)。記録開始第4判定処理の詳細は
図11に示される。
【0112】
制御部50は、記録開始第5判定処理を実行し(S55)、記録開始判定処理を終了する。記録開始第5判定処理の詳細は
図12に示される。
【0114】
図8は、
図7に示す記録開始判定処理においてステップS51で実行される記録開始第1判定処理の流れを示すフローチャートである。
【0115】
記録開始第1判定処理において、制御部50は、記憶部58から負荷率を読み出し、負荷率が所定の閾値、例えば、90%より大きいか否かを判断する(S61)。以下では、負荷率が90%より大きいことを「第1条件」と称する。第1条件と、第1条件が満たされたときに起動されるデジタルカメラ71(デジタルカメラ71A〜71I)との対応は
図13に示される。
【0116】
制御部50は、負荷率が所定の閾値より大きいと判断したときは(S61:Yes)、記憶部58に記憶されている負荷率フラグが0か否かを判断する(S62)。負荷率フラグは、負荷率が所定の閾値を超えた後、最初に記録開始第1判定処理が実行されたときには0が代入されており、その後は1が代入される。負荷率フラグは、負荷率が所定の閾値以下になった後、最初に記録開始第1判定処理が実行されたときには1が代入されており、その後は0が代入される。
【0117】
制御部50は、負荷率フラグが0であるときは(S62:Yes)、記憶部58に記憶されている負荷率フラグに1を代入する(S63)。
【0118】
制御部50は、第1条件に関連付けられて記憶部58に記憶されているデジタルカメラ71(例えば、デジタルカメラ71A〜71I)に起動信号及び録画開始信号を送信して、当該デジタルカメラ71を起動させると共に、当該デジタルカメラ71で撮影した動画の画像データを記憶部58に記憶することを開始させる(S64)。ただし、常時起動されているデジタルカメラ71や、他の条件が満たされたことにより既に起動されているデジタルカメラ71については、起動する必要はない。他の条件が満たされたことにより画像データの記録が既に開始されているデジタルカメラ71については、画像データの記録を開始する必要はない。
【0119】
制御部50は、画像データの記録に同期させて、すなわち、画像データの時間経過に対応付けて(特許請求の範囲に記載された「同時に」に相当)、記憶部58への負荷率の記憶を開始し(S65)、記録開始第1判定処理をリターンする。
【0120】
ステップS62の処理において、制御部50は、負荷率フラグが0でないときは(S62:No)、ステップS63〜S65の処理をスキップして、記録開始第1判定処理をリターンする。
【0121】
ステップS61の処理において、制御部50は、負荷率が所定の閾値以下であると判断したときは(S61:No)、記憶部58に記憶されている負荷率フラグが1か否かを判断する(S66)。
【0122】
制御部50は、負荷率フラグが1のときは(S66:Yes)、記憶部58に記憶されている負荷率フラグに0を代入する(S67)。
【0123】
制御部50は、第1条件に関連付けられて記憶部58に記憶されているデジタルカメラ71に終了信号及び記録停止信号を送信して、画像データの記録を終了させ、デジタルカメラ71を停止させると共に、負荷率の記録を停止し(S68)、記録開始第1判定処理をリターンする。ただし、常時起動されているデジタルカメラ71については停止する必要はない。また、他の条件が満たされているデジタルカメラ71については画像データの記録を終了する必要はない。
【0124】
ステップS66において、制御部50は、負荷率フラグが1でないときは(S66:No)、ステップS67及びS68をスキップして、記録開始第1判定処理をリターンする。
【0126】
図9は、
図7に示す記録開始判定処理においてステップS52で実行される記録開始第2判定処理の流れを示すフローチャートである。
【0127】
記録開始第2判定処理において、制御部50は、リガー浮きセンサ55から受信している信号に基づいて、アウトリガ25、26のいずれかが浮き上っているか(地面から離間しているか)否かを判断する(S71)。以下では、アウトリガ25、26のいずれかが浮上っていることを「第2条件」と称する。第2条件と、第2条件が満たされたときに起動されるデジタルカメラ71(デジタルカメラ71A〜71I)との対応は
図13に示される。
【0128】
制御部50は、アウトリガ25、26が浮上っていると判断したときは(S71:Yes)、記憶部58に記憶されている浮上りフラグが0か否かを判断する(S72)。浮上りフラグは、アウトリガが浮上った後、最初に記録開始第2判定処理が実行されたときには0が代入されており、その後は1が代入される。浮上りフラグは、アウトリガ25、26の浮上りが解消された後、最初に記録開始第2判定処理が実行されたときには1が代入されており、その後は0が代入される。
【0129】
制御部50は、浮上りフラグが0であるときは(S72:Yes)、記憶部58に記憶されている浮上りフラグに1を代入する(S73)。
【0130】
制御部50は、第2条件に関連付けられて記憶部58に記憶されているデジタルカメラ71(デジタルカメラ71A〜71I)に起動信号及び録画開始信号を送信して、当該デジタルカメラ71を起動させると共に、当該デジタルカメラ71で撮影した動画の画像データを記憶部58に記憶することを開始させる(S74)。ただし、常時起動されているデジタルカメラ71や、他の条件が満たされたことにより既に起動されているデジタルカメラ71については、起動する必要はない。他の条件が満たされたことにより画像データの記録が既に開始されているデジタルカメラ71については、画像データの記録を開始する必要はない。
【0131】
制御部50は、画像データの記録に同期させて、記憶部58への負荷率の記憶を開始し(S75)、記録開始第2判定処理をリターンする。
【0132】
ステップS72の処理において、制御部50は、浮上りフラグが0でないときは(S72:No)、ステップS73〜S75の処理をスキップして、記録開始第2判定処理をリターンする。
【0133】
ステップS71の処理において、制御部50は、アウトリガ25、26が浮上っていないと判断したときは(S71:No)、記憶部58に記憶されている浮上りフラグが1か否かを判断する(S76)。
【0134】
制御部50は、浮上りフラグが1のときは(S76:Yes)、記憶部58に記憶されている浮上りフラグに0を代入する(S77)。
【0135】
制御部50は、第2条件に関連付けられて記憶部58に記憶されているデジタルカメラ71に終了信号及び記録停止信号を送信して、画像データの記録を終了させ、デジタルカメラ71を停止させると共に、負荷率の記録を停止し(S78)、記録開始第2判定処理をリターンする。ただし、常時起動されているデジタルカメラ71については停止する必要はない。また、他の条件が満たされているデジタルカメラ71については画像データの記録を終了する必要はない。
【0136】
ステップS76において、制御部50は、浮上りフラグが1でないときは(S76:No)、ステップS77及びS78をスキップして、記録開始第2判定処理をリターンする。
【0138】
図10は、
図7に示す記録開始判定処理においてステップS53で実行される記録開始第3判定処理の流れを示すフローチャートである。
【0139】
記録開始第3判定処理において、制御部50は、過巻センサ57から受信している信号に基づいて、過巻状態であるか否かを判断する(S81)。過巻状態とは、フック34が所定の位置に達するまでフック34が上昇した状態である。フック34は、ロープ38が巻き上げられた場合、ブーム32が伸長された場合、及び、ブーム32が倒伏された場合に上昇する。
【0140】
制御部50は、過巻状態であると判断したときは(S81:Yes)、操作レバーが危険側に操作されたか否かを判断する(S82)。危険側の操作とは、フック34が更に上昇する向きの操作であり、具体的は、ウインチ操作レバー64をウインチの巻上側へ操作すること、伸縮操作レバー63をブーム32の伸長側へ操作すること、及び、起伏操作レバー62をブーム32の倒伏側へ操作することである。以下では、過巻状態において、フック34が更に上昇する向きの操作が行われたことを「第3条件」と称する。第3条件と、第3条件が満たされたときに起動されるデジタルカメラ71(デジタルカメラ71G、71H、71I)との対応は
図13に示される。
【0141】
制御部50は、操作レバーが危険側に操作されたと判断したときは(S82:Yes)、記憶部58に記憶されている過巻フラグが0か否かを判断する(S83)。過巻フラグは、過巻状態で操作レバーが危険側に操作された後、最初に記録開始第3判定処理が実行されたときには0が代入されており、その後は1が代入される。過巻フラグは、過巻状態が解除された後、最初に記録開始第3判定処理が実行されたときには1が代入されており、その後は0が代入される。
【0142】
制御部50は、過巻フラグが0であるときは(S83:Yes)、記憶部58に記憶されている過巻フラグに1を代入する(S84)。
【0143】
制御部50は、第3条件に関連付けられて記憶部58に記憶されているデジタルカメラ71(デジタルカメラ71G、71H、71I)に起動信号及び録画開始信号を送信して、当該デジタルカメラ71を起動させると共に、当該デジタルカメラ71で撮影した動画の画像データを記憶部58に記憶することを開始させる(S85)。ただし、常時起動されているデジタルカメラ71や、他の条件が満たされたことにより既に起動され画像データの記録が開始されているデジタルカメラ71については、画像データの記録を開始する必要はない。
【0144】
制御部50は、画像データの記録に同期させて、危険側に操作された操作レバーの操作量を、記憶部58へ記録することを開始し(S86)、記録開始第3判定処理をリターンする。
【0145】
ステップS83の処理において、制御部50は、過巻フラグが0でないときは(S83:No)、ステップS84〜S86の処理をスキップして、記録開始第3判定処理をリターンする。
【0146】
ステップS82の処理において、制御部50は、操作レバーが危険側に操作されていときは(S82:No)、ステップS83〜S86の処理をスキップして、記録開始第3判定処理をリターンする。
【0147】
ステップS81の処理において、制御部50は、過巻状態でないと判断したときは(S81:No)、記憶部58に記憶されている過巻フラグが1か否かを判断する(S87)。
【0148】
制御部50は、過巻フラグが1のときは(S87:Yes)、記憶部58に記憶されている過巻フラグに0を代入する(S88)。
【0149】
制御部50は、第3条件に関連付けられて記憶部58に記憶されているデジタルカメラ71に終了信号及び記録致死信号を送信して、画像データの記録を終了させ、デジタルカメラ71を停止させると共に、危険側に操作された操作レバーの操作量の記録を停止し(S89)、記録開始第3判定処理をリターンする。ただし、常時起動されているデジタルカメラ71については停止する必要はない。また、他の条件が満たされているデジタルカメラ71については、画像データの記録を終了する必要はない。
【0150】
ステップS87において、制御部50は、過巻フラグが1でないときは(S87:No)、ステップS88及びS89をスキップして、記録開始第3判定処理をリターンする。
【0152】
図11は、
図7に示す記録開始判定処理においてステップS54で実行される記録開始第4判定処理の流れを示すフローチャートである。
【0153】
記録開始第4判定処理において、制御部50は、許容作業範囲を定義する各パラメータに対する記録開始位置を記憶部58から読み出す(S91)。
【0154】
記録開始位置は、例えば、予め操作者が操作部56に入力することによって記憶部58に記憶されている。記録開始位置は、許容作業範囲を定義する各パラメータの範囲端手前の所定の距離又は角度であり、具体的には、例えば、作業半径の最大作業半径から1m手前、作業揚程について最大作業揚程から1m手前、旋回台31の旋回範囲について右回り及び左回りそれぞれの旋回角度端から5°手前、ブーム32の伸縮範囲について最大伸長長さ及び最大縮小長さそれぞれの伸縮範囲端から1m手前、ブーム32の起伏角度について最大起立角度及び最大倒伏角度それぞれの起伏範囲端から5°手前である。ブーム32の起伏におけるブーム32先端の移動量は、ブーム32の長さによって異なるので、起伏角度についての記録開始位置は、ブーム32の長さに応じて異なる角度が設定されるようにしてもよい。
【0155】
制御部50は、作業半径、作業揚程、旋回台31の旋回角度、ブーム32の長さ、及びブーム32の起伏角度のいずれかが、記録開始位置に達したか否かを判断する(S92)。旋回台31の旋回角度、ブーム32の長さ、及びブーム32の起伏角度は、アクチュエータ駆動処理によって記憶部58に記憶された値が読み出される。作業半径及び作業揚程は、ブーム32の長さ、及びブーム32の起伏角度から算出される。以下では、作業半径、作業揚程、旋回台31の旋回角度、ブーム32の長さ、及びブーム32の起伏角度のいずれかが、記録開始位置に達したことを「第4条件」と称する。第4条件と、第4条件が満たされたときに起動されるデジタルカメラ71(71A〜71I)との対応は
図13に示される。
【0156】
制御部50は、作業半径、作業揚程、旋回台31の旋回角度、ブーム32の長さ、及びブーム32の起伏角度のいずれかが、記録開始位置に達したと判断したときは(S92:Yes)、記憶部58に記憶されている作業範囲フラグが0か否かを判断する(S93)。作業範囲フラグは、作業半径、作業揚程、旋回台31の旋回角度、ブーム32の長さ、及びブーム32の起伏角度のいずれかが記録開始位置に達した後、最初に記録開始第4判定処理が実行されたときには0が代入されており、その後は1が代入される。作業範囲フラグは、作業半径、作業揚程、旋回台31の旋回角度、ブーム32の長さ、及びブーム32の起伏角度のいずれもが記録開始位置に達していない状態となった後、最初に記録開始第4判定処理が実行されたときには1が代入されており、その後は0が代入される。
【0157】
制御部50は、作業範囲フラグが0であるときは(S93:Yes)、記憶部58に記憶されている作業範囲フラグに1を代入する(S94)。
【0158】
制御部50は、第4条件に関連付けられて記憶部58に記憶されているデジタルカメラ71(71A〜71I)に起動信号及び録画開始信号を送信して、当該デジタルカメラ71を起動させると共に、当該デジタルカメラ71で撮影した動画の画像データを記憶部58に記憶することを開始させる(S95)。ただし、常時起動されているデジタルカメラ71や、他の条件が満たされたことにより既に起動されているデジタルカメラ71については、起動する必要はない。また、他の条件が満たされたことにより画像データの記録が既に開始されているデジタルカメラ71については、画像データの記録を開始する必要はない。
【0159】
制御部50は、画像データの記録に同期させて、作業半径、作業揚程、旋回台31の旋回角度、ブーム32の長さ、及びブーム32の起伏角度を、記憶部58へ記憶することを開始し(S96)、記録開始第4判定処理をリターンする。
【0160】
ステップS93の処理において、制御部50は、作業範囲フラグが0でないときは(S93:No)、ステップS94〜S96の処理をスキップして、記録開始第4判定処理をリターンする。
【0161】
ステップS92の処理において、制御部50は、作業半径、作業揚程、旋回台31の旋回角度、ブーム32の長さ、及びブーム32の起伏角度のいずれかが、記録開始位置に達していないと判断したときは(S92:No)、記憶部58に記憶されている作業範囲フラグが1か否かを判断する(S97)。
【0162】
制御部50は、作業範囲フラグが1のときは(S97:Yes)、記憶部58に記憶されている作業範囲フラグに0を代入する(S98)。
【0163】
制御部50は、第4条件に関連付けられて記憶部58に記憶されているデジタルカメラ71に終了信号及び記録停止信号を送信して、画像データの記録を終了させ、デジタルカメラ71を停止させると共に、作業半径、作業揚程、旋回台31の旋回角度、ブーム32の長さ、及びブーム32の起伏角度の記録を停止し(S99)、記録開始第4判定処理をリターンする。ただし、常時起動されているデジタルカメラ71については停止する必要はない。また、他の条件が満たされているデジタルカメラ71については、画像データの記録を終了する必要はない。
【0164】
ステップS97において、制御部50は、作業範囲率フラグが1でないときは(S97:No)、ステップS98及びS99をスキップして、記録開始第4判定処理をリターンする。
【0166】
図12は、
図7に示す記録開始判定処理においてステップS55で実行される記録開始第5判定処理の流れを示すフローチャートである。
【0167】
記録開始第5判定処理において、制御部50は、受け付けた操作に対する駆動速度、すなわち、旋回台31の旋回速度、ブーム32の伸縮速度、ブーム32の起伏速度、又はフック34の移動速度と、各駆動速度に対する上限速度とを記憶部58から読み出し、各駆動速度がそれぞれに対応する上限速度を越えているか否かを判断する(S101)。各駆動速度に対する上限速度は、予め記憶部58に記憶されているものとする。以下では、いずれかの操作に対する駆動速度が対応する上限速度を越えていることを「第5条件」と称する。
【0168】
第5条件と、第5条件が満たされたときに起動されるデジタルカメラ71(デジタルカメラ71D、71E、71G、71H)との対応は、
図13に示される。具体的には、第5条件において、旋回台31の旋回速度が上限速度を超えたときは、デジタルカメララ71D、71E、71G、71Hの画像データが記録される。ブーム32の伸縮或いは起伏、又はフック34の移動速度が上限速度を超えたときは、デジタルカメラ71G、71Hの画像データが記録される。
【0169】
制御部50は、各駆動速度のいずれかが上限速度を超えていると判断したときは(S101:Yes)、記憶部58に記憶されている速度フラグが0か否かを判断する(S102)。速度フラグは、各駆動速度のいずれかが上限速度を超えた後、最初に記録開始第5判定処理が実行されたときには0が代入されており、その後は1が代入される。速度フラグは、各駆動速度のいずれも上限速度を超えていない状態となった後、最初に記録開始第5判定処理が実行されたときには1が代入されており、その後は0が代入される。
【0170】
制御部50は、速度フラグが0であるときは(S102:Yes)、記憶部58に記憶されている速度フラグに1を代入する(S103)。
【0171】
制御部50は、第5条件に関連付けられて記憶部58に記憶されているデジタルカメラ71(デジタルカメラ71D、71E、71G、71H)を起動信号及び録画開始信号を送信して、当該デジタルカメラ71を起動させると共に、当該デジタルカメラ71で撮影した動画の画像データを記憶部58に記憶することを開始させる(S104)。ただし、常時起動されているデジタルカメラ71や、他の条件が満たされたことにより既に起動されているデジタルカメラ71については、起動する必要はない。また、他の条件が満たされたことにより画像データの記録が既に開始されているデジタルカメラ71については、画像データの記録を開始する必要はない。
【0172】
制御部50は、画像データの記録に同期させて、記憶部58に記憶されているレバー操作量、エンジン回転数、吊荷荷重、及び、負荷率を、記憶部58へ記憶することを開始し(S105)、記録開始第5判定処理をリターンする。
【0173】
ステップS102の処理において、制御部50は、速度フラグが0でないときは(S102:No)、ステップS103〜S105の処理をスキップして、記録開始第5判定処理をリターンする。
【0174】
ステップS101の処理において、制御部50は、各駆動速度のいずれも上限速度を超えていないと判断したときは(S101:No)、記憶部58に記憶されている速度フラグが1か否かを判断する(S106)。
【0175】
制御部50は、速度フラグが1のときは(S106:Yes)、記憶部58に記憶されている速度フラグに0を代入する(S107)。
【0176】
制御部50は、第5条件に関連付けられて記憶部58に記憶されているデジタルカメラ71に終了信号及び記録停止信号を送信して、画像データの記録を終了させ、デジタルカメラ71を停止させると共に、駆動速度、吊荷荷重、及び負荷率の記録を停止し(S108)、記録開始第5判定処理をリターンする。ただし、常時起動されているデジタルカメラ71については停止する必要はない。また、他の条件が満たされているデジタルカメラ71については、画像データの記録を終了する必要はない。
【0177】
ステップS106において、制御部50は、速度フラグが1でないときは(S106:No)、ステップS107及びS108をスキップして、記録開始第5判定処理をリターンする。
【0179】
以上のように、ラフテレーンクレーン10において、所定の計測値が所定の条件を満たしたときに、デジタルカメラ71の画像データの記録が開始される。この記録と同時に、所定の計測値が記録される。そのため、作業中の事故について発生状況をコスト安価に分析することができる
【0180】
具体的には、例えば、負荷率が計測され、負荷率が90%に達したときにデジタルカメラ71の画像データの記憶が開始される。同時に、負荷率も記録される。そのため、例えば、過負荷によってラフテレーンクレーン10が転倒した場合に、記録された画像データを転倒後に分析することにより、クレーン車の転倒状況と、その前後における負荷率の変動が取得される。
【0181】
アウトリガ25、26と地面との離間状態が計測され、アウトリガ25、26が地面から浮上ったときにデジタルカメラ71の画像データの記録が開始される。同時に、アウトリガ25、26と地面との離間状態に関する情報と、負荷率とが記憶される。そのため、過負荷によってラフテレーンクレーン10が転倒した場合に、記録された画像データを事故後に分析することにより、クレーン車の転倒状況と、その前後におけるアウトリガ25、26の離間状態及び負荷率の変動が取得される。
【0182】
伸縮操作レバー63、起伏操作レバー62、ウインチ操作レバー64の操作向き及び操作量と、過巻状態とが計測され、過巻状態になった状態において、伸縮操作レバー63、起伏操作レバー62、ウインチ操作レバー64のいずれかが危険側に操作されたときにデジタルカメラ71の画像データの記録が開始される。同時に、過巻状態にあるか否かの情報と、伸縮操作レバー63、起伏操作レバー62、及びウインチ操作レバー64の操作向き及び操作量とが記録される。そのため、過巻きによって吊荷が落下した場合に、記録された画像データを事故後に分析することにより、吊荷の落下状況と、その前後における上記各操作レバーの操作向き及び操作量等の変動が取得される。
【0183】
作業半径、作業揚程、旋回台31の旋回角度、ブーム32の長さ、及びブーム32の起伏角度が、許容作業範囲の範囲端手前の所定の距離又は角度に達したときに、デジタルカメラ71の画像データの記録が開始される。同時に、作業半径、作業揚程、旋回台31の旋回角度と、ブーム32の長さと、ブーム32の起伏角度とが記録される。そのため、障害物へブーム32が接触した場合に、記録された画像データを事故後に分析することにより、障害物へのブーム32の接触状況、及びその前後における作業半径、作業揚程、旋回台31の旋回角度、ブーム32の長さ、及びブーム32の起伏角度が取得される。
【0184】
旋回台31の旋回速度、ブーム32の伸縮速度、ブーム32の起伏速度、又はフック34の移動速度が上限速度になったときに、デジタルカメラ71の画像データの記録が開始される。同時に、旋回台31の旋回速度、ブーム32の伸縮速度、ブーム32の起伏速度、及びフック34の移動速度、吊荷荷重、及び負荷率が記録される。そのため、速度超過によって吊荷が落下した場合に、記録した画像データを事故後に分析することにより、吊荷の落下状況と、その前後における旋回台31の旋回速度、ブーム32の伸縮速度、ブーム32の起伏速度、及びフック34の移動速度の変動が取得される。
【0185】
旋回台31の旋回速度、ブーム32の伸縮速度、ブーム32の起伏速度、及びフック34の移動速度は、旋回操作レバー61、伸縮操作レバー63、起伏操作レバー62、ウインチ操作レバー64の操作向き及び操作量と、エンジンの回転数とに基づいて算出される。
【0186】
ラフテレーンクレーン10は、9台のデジタルカメラ71を備えている。デジタルカメラ71の画像データの記録が開始される条件である第1条件から第5条件と、各条件が満たされたことに応じて画像データの記録が開始されるデジタルカメラ71との対応関係が記憶部58に記憶されている。そのため、デジタルカメラ71の記録開始条件に応じた特定のカメラのみの画像データが記録されるので、適切な画像が記録されるともに、記憶容量及び消費電力が抑制される。
【0187】
デジタルカメラ71は、ドライブレコーダ、及びラフテレーンクレーン10の俯瞰画像を撮影するために設置されたデジタルカメラであるので、本願発明を実施するために新たにデジタルカメラを設置しなくてもよい。
【0189】
前述の実施形態では、ブーム32の先端に、ジブが装着されていない状態のラフテレーンクレーン10を用いたが、ラフテレーンクレーン10には、ジブが装着されていてもよい。ジブは、固定長のジブであってもよいし、伸縮可能なジブであってもよい。ジブが装着さている場合には、第4条件に関して、許容作業範囲の設定パラメータと、許容作業範囲を定義するパラメータに、ジブのチルト範囲(ブーム32とジブとの間の起伏角度の範囲)と、ジブの伸縮範囲とを加えるとよい。ジブのチルト角度とジブの長さを画像データの記録と同時に記録するとよい。
【0190】
ジブが装着されている場合には、フック34の場合と同様に、ジブの先端からロープによって吊り下げられるフックの過巻きについても、デジタルカメラ71の画像データの記録開始条件とするとよい。この場合には、第3条件の危険側操作として、サブウインチ(ジブのフック用のウインチ)の巻上操作、ジブの倒伏側へのチルト操作、ジブ伸長側へのジブ伸縮操作を加えるとよい。これらの操作量を画像データの記録と同時に記録するとよい。
【0191】
前述の実施形態では、フック34にかかる吊荷荷重を測定するために、起伏シリンダ42に歪検出器48が取り付けられ、歪検出器48にかかる負荷量を検出することにより、吊荷荷重が測定されたが、フック34にかかる吊荷荷重を直接測定するような荷重センサがフック34などに設けられていてもよい。
【0192】
前述の実施形態では、リガー浮きセンサ55により、アウトリガ25、26が地面から離間しているか否かが検知されたが、離間距離を測定可能なセンサをアウトリガ25、26に取り付け、第2条件によってデジタルカメラ71の記録が開始された後、離間距離を記録するようにしてもよい。