特許第6880864号(P6880864)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6880864エネルギー管理システムおよびエネルギー管理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6880864
(24)【登録日】2021年5月10日
(45)【発行日】2021年6月2日
(54)【発明の名称】エネルギー管理システムおよびエネルギー管理方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/06 20120101AFI20210524BHJP
【FI】
   G06Q50/06
【請求項の数】13
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2017-50950(P2017-50950)
(22)【出願日】2017年3月16日
(65)【公開番号】特開2018-156231(P2018-156231A)
(43)【公開日】2018年10月4日
【審査請求日】2020年2月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】竜田 尚登
(72)【発明者】
【氏名】白井 英登
(72)【発明者】
【氏名】松井 哲郎
(72)【発明者】
【氏名】村上 賢哉
【審査官】 塩田 徳彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−061853(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/174928(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0079756(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 − 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設におけるエネルギー情報を管理するエネルギー管理システムであって、
前記施設におけるエネルギー消費に関連する複数の関連パラメータの系列データを取得するデータ取得部と、
前記系列データに基づいて、2つの関連パラメータの間の相関強度を算出する相関算出部と、
前記相関算出部が算出した前記相関強度に基づく提示情報をユーザーに提示する提示部と
を備え、
前記データ取得部は、前記施設に入力されるエネルギー量を含む入力量、および、前記施設が生成する生成物量を含む出力量の系列データから、前記施設の効率値の系列データを算出して第1の関連パラメータの前記系列データとし、
前記相関算出部は、前記第1の関連パラメータと、前記第1の関連パラメータとは異なる1つ以上の第2の関連パラメータとの前記相関強度を算出し、
前記相関算出部は、前記第2の関連パラメータどうしの前記相関強度を更に算出し、
前記第1の関連パラメータに対する前記相関強度が予め設定された条件を満たす前記第2の関連パラメータを抽出するパラメータ処理部を更に備え、
前記提示部は、前記パラメータ処理部が抽出した前記第2の関連パラメータを前記ユーザーに提示するエネルギー管理システム。
【請求項2】
施設におけるエネルギー情報を管理するエネルギー管理システムであって、
前記施設におけるエネルギー消費に関連する複数の関連パラメータの系列データを取得するデータ取得部と、
前記系列データに基づいて、2つの関連パラメータの間の相関強度を算出する相関算出部と、
前記相関算出部が算出した前記相関強度に基づく提示情報をユーザーに提示する提示部と
を備え、
前記データ取得部は、前記施設に入力されるエネルギー量を含む入力量、および、前記施設が生成する生成物量を含む出力量の系列データから、前記施設の効率値の系列データを算出して第1の関連パラメータの前記系列データとし、
前記相関算出部は、前記第1の関連パラメータと、前記第1の関連パラメータとは異なる1つ以上の第2の関連パラメータとの前記相関強度を算出し、
前記相関算出部は、前記第2の関連パラメータどうしの前記相関強度を更に算出し、
前記第1の関連パラメータの目標値と、1つ以上の前記第2の関連パラメータとが指定された場合に、前記第1の関連パラメータを前記目標値とした場合の、それぞれの前記第2の関連パラメータの仮想値を前記相関強度に基づいて算出するパラメータ処理部を更に備え、
前記提示部は、前記パラメータ処理部が算出した前記第2の関連パラメータの仮想値を前記ユーザーに提示するエネルギー管理システム。
【請求項3】
前記パラメータ処理部は、前記第1の関連パラメータの目標値が入力された場合に、前記第1の関連パラメータを前記目標値とするために制御すべき1つ以上の前記第2の関連パラメータを、前記相関強度に基づいて指定する
請求項に記載のエネルギー管理システム。
【請求項4】
前記パラメータ処理部は、前記第1の関連パラメータとの間の前記相関強度が高い前記第2の関連パラメータを優先して指定する
請求項に記載のエネルギー管理システム。
【請求項5】
前記パラメータ処理部は、それぞれの前記第2の関連パラメータについて、前記相関強度が予め定められた閾値より高い他の前記第2の関連パラメータの個数を算出し、算出した他の前記第2の関連パラメータの個数が少ない前記第2の関連パラメータを優先して選択する
請求項に記載のエネルギー管理システム。
【請求項6】
前記パラメータ処理部が算出した前記仮想値に基づいて前記施設に含まれる設備を制御する制御部を更に備える
請求項からのいずれか一項に記載のエネルギー管理システム。
【請求項7】
いずれかの前記第2の関連パラメータの設定値が入力され、前記第2の関連パラメータを前記設定値とした場合の前記第1の関連パラメータの仮想値を、前記第1の関連パラメータおよび前記第2の関連パラメータの前記相関強度に基づいて算出するパラメータ処理部を更に備え、
前記提示部は、前記パラメータ処理部が算出した前記第1の関連パラメータの前記仮想値を前記ユーザーに提示する
請求項に記載のエネルギー管理システム。
【請求項8】
前記パラメータ処理部は、
前記第2の関連パラメータを前記設定値とした場合の、他の前記第2の関連パラメータの仮想値を、前記第2の関連パラメータどうしの前記相関強度に基づいて算出し、
前記第2の関連パラメータを前記設定値とし、他の前記第2の関連パラメータを前記仮想値とした場合の、前記第1の関連パラメータの前記仮想値を算出する
請求項に記載のエネルギー管理システム。
【請求項9】
前記提示部は、他の前記第2の関連パラメータの前記仮想値を前記ユーザーに提示する
請求項に記載のエネルギー管理システム。
【請求項10】
施設におけるエネルギー情報を管理するエネルギー管理システムであって、
前記施設におけるエネルギー消費に関連する複数の関連パラメータの系列データを取得するデータ取得部と、
前記系列データに基づいて、2つの関連パラメータの間の相関強度を算出する相関算出部と
を備え、
前記データ取得部は、それぞれの前記関連パラメータの前記系列データにおける各データと対応付けて、データの測定時における環境パラメータを更に取得し、
前記相関算出部は、前記2つの関連パラメータの前記系列データのうち、前記環境パラメータが予め定められた条件を満たすデータに基づいて、前記相関強度を算出するエネルギー管理システム。
【請求項11】
施設におけるエネルギー情報を管理するエネルギー管理システムであって、
前記施設におけるエネルギー消費に関連する複数の関連パラメータの系列データを取得するデータ取得部と、
前記系列データに基づいて、2つの関連パラメータの間の相関強度を算出する相関算出部と、
ネットワークを介してクライアント端末と接続され、前記クライアント端末から前記関連パラメータの系列データを受信し、前記相関算出部が算出した前記相関強度に基づく情報を前記クライアント端末に送信する送受信部
を備えるエネルギー管理システム。
【請求項12】
ネットワークを介してクライアント端末と接続され、前記クライアント端末から前記関連パラメータの系列データを受信し、前記パラメータ処理部が算出した前記関連パラメータの前記仮想値を前記クライアント端末に送信する送受信部を更に備える
請求項からのいずれか一項に記載のエネルギー管理システム。
【請求項13】
前記クライアント端末に前記仮想値を送信する前の前記施設の効率値と、前記仮想値を送信した後の前記施設の効率値との差分に基づいて、前記クライアント端末のユーザーに対する課金額を算出する金額算出部を更に備える
請求項12に記載のエネルギー管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エネルギー管理システムおよびエネルギー管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
施設のエネルギーを管理または評価するシステムとして、評価対象プロセスブロックの省エネルギーポテンシャルを評価するシステムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1 特開2016−91068号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の技術では、プロセスブロック単位で省エネルギーポテンシャルが高いものを特定できる。しかし、施設におけるエネルギー消費に関連するパラメータ間の関係を評価することはできない。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1の態様においては、施設におけるエネルギー情報を管理するエネルギー管理システムであって、施設におけるエネルギー消費に関連する複数の関連パラメータの系列データを取得するデータ取得部と、系列データに基づいて、2つの関連パラメータの間の相関強度を算出する相関算出部とを備えるエネルギー管理システムを提供する。
【0005】
本発明の第2の態様においては、施設におけるエネルギー情報を管理するエネルギー管理方法であって、施設におけるエネルギー消費に関連する複数の関連パラメータの系列データを取得するデータ取得段階と、系列データに基づいて、2つの関連パラメータの間の相関強度を算出する相関算出段階とを備えるエネルギー管理方法を提供する。
【0006】
上記の発明の概要は、本発明の特徴の全てを列挙したものではない。これらの特徴群のサブコンビネーションも発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の一つの実施形態に係るエネルギー管理システム100の概要を説明する図である。
図2】エネルギー管理システム100の構成の一例である。
図3A】関連パラメータ間の相関強度を説明する図である。
図3B】所定の環境条件Xに適合するデータに基づいて算出した相関強度の一例を示す図である。
図4】関連パラメータDおよびEの系列データの一例を示す図である。
図5】パラメータ処理部14が生成し、提示部16が提示する提示情報の一例を示す図である。
図6】相関算出部12の動作の他の例を示す図である。
図7】エネルギー管理システム100の他の構成例を示す図である。
図8】提示部16が提示する提示情報の他の例を示す図である。
図9図8に示したエネルギー管理システム100の動作例を示すフローチャートである。
図10】エネルギー管理システム100の他の動作例を示すフローチャートである。
図11】エネルギー管理システム100の他の動作例を示すフローチャートである。
図12】エネルギー管理システム100の他の動作例を示すフローチャートである。
図13】エネルギー管理システム100の他の動作例を示すフローチャートである。
図14】エネルギー管理システム100の他の動作例を示すフローチャートである。
図15】エネルギー管理システム100の他の構成例を示す図である。本
図16】エネルギー管理システム100の使用態様の他の例を示す図である。
図17】エネルギー管理システム100の構成例を示す図である。
図18】本発明の複数の態様が全体的または部分的に具現化されてよいコンピュータ2200の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0009】
図1は、本発明の一つの実施形態に係るエネルギー管理システム100の概要を説明する図である。エネルギー管理システム100は、施設200におけるエネルギー情報を管理する。エネルギー情報とは、施設200におけるエネルギー消費に関連する情報である。エネルギー消費に関連する情報は、当該情報が変動した場合に施設200におけるエネルギー消費に影響を与えるか、または、施設200におけるエネルギー消費の変動に伴って変動する情報である。例えば当該情報には、施設200におけるエネルギー効率や、エネルギーを消費する各設備220の動作状況、動作制御値等を含む。
【0010】
本明細書では、施設200に与えられる電力等のエネルギーまたは原材料等を、施設200への入力と称する。施設200に与えられるエネルギーまたは原材料等の量を、所定の変換式を用いて変換した値を施設200への入力量と称する。また、施設200が生成する製品等の生成物、施設200から排出される再利用可能なエネルギーおよび原料、ならびに廃棄物等を、施設200の出力と称する。施設200の各出力の量を、所定の変換式を用いて変換した値を施設200の出力量と称する。また、入力量に対する出力量の比を、施設200のエネルギー効率値と称する。例えば、蒸気を生成する施設200において、施設200に供給される燃料および水が施設200の入力であり、施設200が生成する蒸気および排ガスが施設200の出力である。
【0011】
施設200は、1つ以上の設備220および1つ以上の制御部210を備える。それぞれの設備220は、エネルギーまたは材料等が入力され、中間生成物またはエネルギー等を出力する。それぞれの設備220には、他の設備220が出力する中間生成物またはエネルギー等が入力されてよい。
【0012】
それぞれの制御部210は、対応する設備220を制御する。制御部210は、例えばコンピュータ等の端末である。制御部210は、設備220毎に設けられてよい。制御部210は、エネルギー管理システム100またはオペレーター等の指示に基づいて、設備220の動作を規定する各パラメータを制御する。例えば制御部210は、設備220の動作の開始、中断、終了等の動作タイミング、エネルギー等の入力量、設備220に含まれるバルブの開閉度合い、開閉速度等の、制御可能な各パラメータ等を制御する。また、制御部210は、対応する設備220の動作状況を示す各パラメータを取得してよい。例えば制御部210は、対応する設備220の特定箇所の温度、圧力、湿度、設備220内を流れる気体または液体の流量等のパラメータを取得する。設備220において制御可能なパラメータおよび取得可能なパラメータであって、設備220におけるエネルギー消費に関連するパラメータを関連パラメータと称する。
【0013】
エネルギー管理システム100は、施設200の各制御部210と通信する。エネルギー管理システム100は、各制御部210から、各設備220の関連パラメータの系列データを取得する。系列データは、異なる条件で測定された2つ以上のデータを含む。例えば系列データは、異なる2つ以上のタイミングで測定された時系列データである。
【0014】
エネルギー管理システム100は、施設200における2つ以上の関連パラメータの系列データを取得する。エネルギー管理システム100は、系列データに基づいて、2つの関連パラメータ間の相関強度を算出する。相関強度とは、2つの系列データの間で、変動の仕方の相関度合いを示す値である。本明細書では、相関強度として、+1から−1の間で変動する相関係数を用いる。この場合、2つの系列データの変動の態様が近似するほど相関強度は+1に近づき、2つの系列データの変動の態様が正反対になるほど相関強度は−1に近づき、2つの系列データの変動の態様に関連が少ないほど相関強度は0に近づく。
【0015】
エネルギー管理システム100は、関連パラメータ間の相関強度を算出する。このため、ある関連パラメータが変動した場合に、他の関連パラメータがどうのように変動するかを容易に推定することができる。エネルギー管理システム100は、算出した各関連パラメータの相関強度をユーザーに提示してよく、相関強度に基づく関連パラメータ等の処理結果をユーザーに提示してよく、当該処理結果に基づいて制御部210等を制御してもよい。
【0016】
図2は、エネルギー管理システム100の構成の一例である。本例のエネルギー管理システム100は、データ取得部10、相関算出部12、パラメータ処理部14および提示部16を備える。データ取得部10は、それぞれの制御部210と通信して、各関連パラメータの系列データを取得する。データ取得部10は、それぞれの系列データを、関連パラメータと対応付けて記憶してよい。
【0017】
また、データ取得部10は、それぞれの系列データに対応する環境パラメータを更に取得してもよい。環境パラメータは、各設備220におけるエネルギー消費に影響を与え得る、外部環境の状態を示すパラメータである。環境パラメータは、系列データの各データを測定したときの施設200の外気温、湿度、風速、風向き、降雨量、日照量等の天候データを含んでよく、系列データの各データを測定したときの時刻を示す時期データを含んでよく、系列データの各データを測定したときの各設備220のオペレーターを識別する操作者情報を含んでもよい。データ取得部10は、それぞれの系列データの各データに対応付けて、環境パラメータを記憶してよい。
【0018】
相関算出部12は、2つの関連パラメータの間の相関強度を算出する。相関算出部12は、データ取得部10が取得した複数の関連パラメータにおける全ての組み合わせに対して、相関強度を算出してよい。相関算出部12は、データ取得部10が新たに系列データを取得する毎に、関連パラメータ間の相関強度を算出してよい。相関算出部12は、算出した相関強度を、関連パラメータに対応付けて記憶してよい。また、相関算出部12は、エネルギー管理システム100のユーザー等から指定された関連パラメータ間の相関強度を算出してもよい。相関算出部12は、相関強度を算出すべき関連パラメータの系列データを、データ取得部10から取得する。
【0019】
パラメータ処理部14は、相関算出部12が算出した相関強度に基づいて、所定の処理を行う。例えばパラメータ処理部14は、ユーザー等に指定された関連パラメータに対する相関強度が予め設定された条件を満たす他の関連パラメータを抽出する。パラメータ処理部14は、指定された関連パラメータに対する相関強度の絶対値が、予め定められた閾値以上である他の関連パラメータを抽出してよい。これにより、指定された関連パラメータとの関連が大きい他の関連パラメータを抽出できる。また、パラメータ処理部14は、特定の関連パラメータに対する相関強度の大きさの順番で、他の関連パラメータを抽出してリスト化した情報を生成してもよい。
【0020】
パラメータ処理部14が抽出した情報により、指定された関連パラメータを所定値に変動させた場合に、どの関連パラメータがどの程度追従して変動するかを容易に推定できる。また、指定された関連パラメータを所定の目標値にするために、どの関連パラメータをどの程度変動させるべきかを容易に推定できる。
【0021】
提示部16は、相関算出部12が算出した相関強度に基づく提示情報をユーザーに提示する。提示情報は、相関強度の数値、および、関連パラメータを識別する情報の少なくとも一方を含んでよい。本例の提示部16は、パラメータ処理部14が抽出した関連パラメータを、エネルギー管理システム100のユーザーに提示する。
【0022】
提示部16は、関連パラメータに関する情報を表示するモニターを有してよい。モニターは、エネルギー管理システム100の操作者が操作する端末に付随する小型の装置であってよく、施設200内の複数の従業者が同時に観察できる大型の装置であってもよい。他の例では、提示部16は、関連パラメータに関する情報を印刷する印刷部を有してよく、関連パラメータに関する情報を音声で通知するスピーカーを有してよく、関連パラメータに関する情報をユーザーに知らしめる他の手段を有してもよい。
【0023】
本例のエネルギー管理システム100によれば、関連パラメータどうしの相関を示す相関強度を算出できる。また、相関強度に応じた情報をユーザーに提示するので、ユーザーによるエネルギー管理を支援できる。
【0024】
データ取得部10は、施設200に入力されるエネルギー量を含む入力量、および、施設200が生成する生成物量を含む出力量の系列データを取得してよい。データ取得部10は、入力量および出力量の系列データから、施設200の効率値の系列データを算出してよい。例えば入力量に対する出力量の比を、施設200の効率値としてよい。本明細書では、施設200の効率値を第1の関連パラメータとする。また、施設200の効率値以外の関連パラメータを第2の関連パラメータとする。
【0025】
相関算出部12は、第1の関連パラメータと、それぞれの第2の関連パラメータとの相関強度を算出する。つまり、施設200における第2の関連パラメータが、施設200の効率値にどのように相関しているかを示す値を、第2の関連パラメータ毎に算出する。これにより、施設200の効率値を所定の目標値に設定した場合に、第2の関連パラメータがどのように変動するかを容易に推定できる。また、施設200の効率値を所定の目標値にするために、第2の関連パラメータをどのように変動させればよいかを容易に推定できる。
【0026】
データ取得部10、相関算出部12およびパラメータ処理部14は、一つのコンピュータにより構成されてよく、複数の分散配置されたコンピュータにより構成されてもよい。当該コンピュータには、当該コンピュータをデータ取得部10、相関算出部12およびパラメータ処理部14として機能させるためのプログラムが記憶されていてよく、記録媒体を介して当該プログラムが提供されてよく、通信回線を介して当該プログラムが提供されてもよい。
【0027】
図3Aは、関連パラメータ間の相関強度を説明する図である。図3Aにおいては、第1の関連パラメータと、3つの第2の関連パラメータ(A、B、C)との間の相関強度を説明する。図3Aの各グラフにおける各軸は、所定の期間における各関連パラメータの平均値を示している。各グラフにおける各プロットは、同一の期間における各関連パラメータの平均値の関係を示している。
【0028】
一方の関連パラメータの値に対して、他方の関連パラメータの値の分散が小さいほど、相関強度は大きくなる。図3Aの例では、第1の関連パラメータの各値に対して、第2の関連パラメータAの値がほぼ一義的に定まっている。このため、第1の関連パラメータに対する第2の関連パラメータAの相関強度は大きい。
【0029】
第2の関連パラメータBについては、第1の関連パラメータの値が増大するほど減少する負の相関が見て取れるが、第2の関連パラメータAに比べると、第2の関連パラメータBの値の分散が大きい。このため、第1の関連パラメータに対する第2の関連パラメータBの相関強度は、比較的に大きくなるものの、第2の関連パラメータAの相関強度よりは小さくなる。
【0030】
第2の関連パラメータCについては、第1の関連パラメータの値に関わらず、広い範囲に値が分布する。このため、第1の関連パラメータに対する第2の関連パラメータCの相関強度は小さい。
【0031】
相関算出部12は、一方の関連パラメータの各値に対する、他方の関連パラメータの値の分散に基づいて、相関強度を算出してよい。当該分散は、同一の期間で測定されたそれぞれの系列データから算出できる。それぞれの関連パラメータの値は、異なる期間で測定された系列データから算出してもよい。例えば、ある関連パラメータが変動してから、他の関連パラメータが変動するまでに所定の遅延時間が存在する場合、相関算出部12は、当該遅延時間に応じて異なる期間の系列データを用いてよい。相関算出部12には、それぞれの関連パラメータ間の遅延時間が予め設定されていてよく、過去の系列データから遅延時間を算出してもよい。相関算出部12は、2つの関連パラメータ間の過去の系列データにおいて、遅延時間を変化させて相関強度を算出し、相関強度が最大となる遅延時間を抽出してよい。
【0032】
なお、関連パラメータの相関強度は、気温等の環境パラメータに応じて変動する場合がある。相関算出部12は、それぞれの系列データのうち、指定された環境条件に適合する環境パラメータと対応するデータを抽出して、抽出したデータから相関強度を算出してもよい。これにより、相関強度をより高精度に算出することができる。
【0033】
図3Bは、所定の環境条件Xに適合するデータに基づいて算出した相関強度の一例を示す図である。図3Bは、第1の関連パラメータに対する第2の関連パラメータBの相関強度を示している。
【0034】
相関算出部12は、系列データのうち、指定される環境条件Xに適合するデータを抽出する。この結果、図3Aの中断に示したグラフよりも、図3Bに示したグラフのプロット数は減少する。環境条件Xは、ユーザー等により指定されてよい。
【0035】
相関算出部12は、抽出したデータに基づいて相関強度を算出する。本例では、環境条件Xを絞り込むことで、第2の関連パラメータBの相関強度が上昇している。環境条件Xは、気温等の所定の環境パラメータの範囲を指定してよく、データを測定した期間、季節等の時期範囲を指定してよく、各設備220のオペレーター等を指定してもよい。このような処理により、所定の環境条件における相関強度を精度よく算出できる。
【0036】
図4は、関連パラメータDおよびEの系列データの一例を示す図である。図4において横軸は時刻を示し、縦軸は各パラメータの値を示している。本例のデータ取得部10は、各時刻における関連パラメータの値を示す時系列データを取得する。時系列データには、各時刻における所定の環境パラメータの値も対応付けられていることが好ましい。
【0037】
相関算出部12は、系列データに含まれるデータについて、所定の期間T毎に平均値を算出してよい。図4においては、期間Tを離散的に示しているが、期間Tは、時系列データの全範囲を走査するように設定されてよい。各期間Tは、含まれる時刻が重複してよい。
【0038】
相関算出部12は、2つの関連パラメータの平均値を、図3Aおよび図3Bに示すようにプロットした場合の分散に基づいて、関連パラメータ間の相関強度を算出する。なお、それぞれの期間毎のデータには、環境パラメータが対応付けられていてよい。図3Bに示したように、相関算出部12は、指定される環境条件に適合するデータだけから、相関強度を算出してよい。
【0039】
図5は、パラメータ処理部14が生成し、提示部16が提示する提示情報の一例を示す図である。本例の提示部16は、第1の関連パラメータとの相関強度の絶対値が大きいものから順番に配列された、第2の関連パラメータのリストを提示する。これにより、施設200の効率値に与える影響が大きい第2の関連パラメータを、ユーザーに提示することができる。図5の例では、燃料および水から蒸気を生成するボイラ施設における第2の関連パラメータを示している。パラメータ処理部14は、相関強度の絶対値が予め定められた閾値より大きい条件で、第2の関連パラメータのリストを生成してよい。
【0040】
図6は、相関算出部12の動作の他の例を示す図である。本例の相関算出部12は、第1の関連パラメータと第2の関連パラメータの相関強度に加えて、第2の関連パラメータどうしの相関強度を算出する。図6の例においては、第2の関連パラメータをP1、P2、P3、・・・とする。
【0041】
相関算出部12は、2つの第2の関連パラメータの系列データに基づいて相関強度を算出する。相関強度の算出方法は、第1の関連パラメータに対する相関強度の算出と同様である。相関算出部12は、第2の関連パラメータどうしの相関強度においても、指定された環境条件に対応する値を算出してよい。
【0042】
第2の関連パラメータどうしの相関強度を算出することで、例えば、第1の関連パラメータを所定の目標値にする目的で、いずれかの第2の関連パラメータの値を変動させた場合に、当該第2の関連パラメータに追従して変動する他の第2の関連パラメータを抽出することができる。これにより、より詳細に施設200の動作を管理できる。
【0043】
図7は、エネルギー管理システム100の他の構成例を示す図である。本例のエネルギー管理システム100においては、パラメータ処理部14に対して所定の関連パラメータの目標値が入力される。当該目標値は、ユーザー等により入力されてよい。パラメータ処理部14は、当該目標値に応じた処理を行う。データ取得部10、相関算出部12および提示部16は、図1から図6において説明したエネルギー管理システム100と同一である。
【0044】
図8は、提示部16が提示する提示情報の他の例を示す図である。本例の提示部16は、モニター20を有する。本例のモニター20には、名称指定領域22、期間指定領域24、変動パラメータ指定領域26、目標値指定領域(本例では、変動量指定領域28、変動方向指定領域30)、パラメータ値表示領域32および表示パラメータ指定領域34が表示される。
【0045】
名称指定領域22には、ユーザー等により指定された、管理対象の施設200の名称が表示される。モニター20が表示する各指定領域には、プルダウンリスト形式でユーザーに内容を選択させるためのプルダウンボタン(例えば、図8における三角形のボタン)が設けられてよい。相関算出部12は、指定された施設200に対応する関連パラメータの系列データを、データ取得部10から抽出してよい。
【0046】
期間指定領域24には、ユーザー等により指定された、系列データの測定期間が表示される。モニター20は、期間指定領域24に加えてまたは代えて、期間以外の環境条件を指定および表示する領域を有してよい。相関算出部12は、これらの領域で指定された環境条件に適合する系列データに基づいて、各関連パラメータ間の相関強度を算出する。
【0047】
変動パラメータ指定領域26は、ユーザー等により指定された関連パラメータを識別する情報を表示する。当該パラメータに対して、ユーザー等により目標値が設定される。変動量指定領域28は、変動パラメータ指定領域26において指定された関連パラメータの変動量を表示する。本例における変動量は、期間指定領域24において指定された期間の関連パラメータの値に対する、変動の比率を指定する。変動方向指定領域30は、変動量指定領域28で指定された変動量が、上昇変動か、下降変動かを表示する。これにより、指定された関連パラメータの目標値が定まる。他の例では、モニター20は、変動量指定領域28および変動方向指定領域30に加えて、または、代えて、目標値の絶対値を入力および表示する領域を有してもよい。
【0048】
パラメータ値表示領域32は、ユーザー等により指定された関連パラメータの、所定の期間における系列データを表示する。本例のパラメータ値表示領域32は、表示パラメータ指定領域34においてユーザー等が指定した関連パラメータの系列データを表示する。他の例では、パラメータ値表示領域32は、変動パラメータ指定領域26で指定された関連パラメータに対する相関強度に応じて、パラメータ処理部14が抽出した関連パラメータの系列データを表示してもよい。例えばパラメータ値表示領域32は、指定された関連パラメータに対する相関強度が大きいものから順番に選択して、それぞれのパラメータ値表示領域32に表示させる。
【0049】
また、パラメータ値表示領域32は、系列データの測定値と、系列データの仮想値(または目標値)を表示する。例えば、変動パラメータ指定領域26において指定された関連パラメータ(図8の例では「効率」パラメータ)については、系列データの測定値と、指定された目標値とを表示する。図8の例では、測定値を実線で示し、測定値よりも10%効率が向上した目標値を点線で示している。
【0050】
変動パラメータ指定領域26において指定された関連パラメータ以外の関連パラメータ(図8の例では、各設備の蒸気圧、ガス流量、蒸気流量、温度)については、系列データの測定値と、系列データの仮想値を表示する。系列データの仮想値は、系列データの測定値と、「効率」パラメータの変動率と、当該関連パラメータと「効率」パラメータとの相関強度とから算出される。パラメータ処理部14は、当該関連パラメータの系列データの仮想値を、系列データの測定値、当該変動率および当該相関強度の積に応じて算出してよい。図8の例では、各関連パラメータの測定値を実線で示し、仮想値を点線で示している。
【0051】
このような構成により、ユーザーが指定した関連パラメータ(例えば「効率」パラメータ)を、指定された目標値にした場合に、他の関連パラメータがどのように変動するかを推測できる。このため、施設200をより詳細に管理することができる。
【0052】
図9は、図8に示したエネルギー管理システム100の動作例を示すフローチャートである。ステップS300において、エネルギー管理システム100には、第1の関連パラメータ(施設200の効率値)の目標値が入力される。また、ステップS302において、第1の関連パラメータを当該目標値とした場合の、仮想値を算出する対象の第2の関連パラメータが指定される。S300およびS302は、ユーザー等から情報が入力されてよい。S300およびS302の順番は、いずれが先であってもよい。
【0053】
また、仮想値を算出する対象の第2の関連パラメータは、第1の関連パラメータに対する関連強度に基づいて、パラメータ処理部14が指定してもよい。例えばパラメータ処理部14は、第1の関連パラメータに対する関連強度が大きいものから順番に所定の個数まで、第2の関連パラメータを指定する。
【0054】
ステップS304において相関算出部12は、第1の関連パラメータと、指定された第2の関連パラメータの系列データの実績値を、データ取得部10から取得する。実績値は、実際に測定された測定値または実際に用いられた制御設定値を示す系列データであってよい。相関算出部12は、指定された第2の関連パラメータのそれぞれと、第1の関連パラメータとの相関強度を、当該系列データから算出する。
【0055】
ステップS306においてパラメータ処理部14は、それぞれの関連パラメータの系列データの実績値と、相関強度に基づいて、第2の関連パラメータの仮想値を算出する。一例として、パラメータ処理部14は、第1の関連パラメータを目標値に設定した場合の、第1の関連パラメータの変動率を算出する。パラメータ処理部14は、当該変動率にそれぞれの第2の関連パラメータの相関強度を乗算した値に基づいて、仮想変動率を算出する。パラメータ処理部14は、それぞれの第2の関連パラメータの系列データの実績値に、それぞれの仮想変動率を乗算した値に基づいて、仮想系列データを算出する。
【0056】
ステップS308において提示部16は、パラメータ処理部14が算出したそれぞれの第2の関連パラメータの仮想系列データをユーザーに提示する。提示部16は、仮想系列データの平均値等を提示してもよい。このような処理により、第1の関連パラメータを目標値とした場合の、第2の関連パラメータの仮想値を算出して提示できる。
【0057】
図10は、エネルギー管理システム100の他の動作例を示すフローチャートである。本例のエネルギー管理システム100は、図9において説明した動作例に加えて、ステップS303を更に備える。他のステップの動作は、図9において説明した動作例と同様である。
【0058】
本例のエネルギー管理システム100は、S303において、気温等の環境条件が指定される。環境条件はユーザー等により指定されてよい。S300、S302およびS303の処理は、いずれを先に行ってもよい。
【0059】
ステップS304において相関算出部12は、第1の関連パラメータと、指定された第2の関連パラメータの系列データの実績値を、データ取得部10から取得する。本例の実績値は、図9において説明した実績値のうち、指定された環境条件に適合するデータを指す。S306以降の処理は、図9の例と同様である。
【0060】
このような処理により、環境条件に応じたより適切な相関強度を算出できる。なお、環境条件は、ユーザーが指定するのではなく、エネルギー管理システム100が指定してもよい。例えばエネルギー管理システム100は、現在の気温等の環境条件を測定して、現在の環境条件に基づく相関強度を算出してもよい。またエネルギー管理システム100は、天気予報等の予測手段に基づいて将来の気温等の環境条件を設定して、将来の環境条件に基づく相関強度を算出してもよい。
【0061】
図11は、エネルギー管理システム100の他の動作例を示すフローチャートである。本例のエネルギー管理システム100は、図9または図10において説明した動作例に加えて、ステップS310およびS312を更に備える。他のステップの動作は、図9または図10において説明した動作例と同様である。
【0062】
本例において、それぞれの第2の関連パラメータには、許容される変動範囲を示す制約条件が設定される。当該制約条件は、例えば設備の性能等に基づいて定められる。S310においてパラメータ処理部14は、算出した仮想値が、対応する制約条件の許容範囲内か否かを判定する。許容範囲内の場合、エネルギー管理システム100は処理を終了する。
【0063】
算出した仮想値が許容範囲外の場合、パラメータ処理部14は、ステップS310においてその旨を提示部16に提示させる。提示部16は、仮想値が許容範囲外となった第2の関連パラメータの表示の態様を、他の第2の関連パラメータの表示の態様と異ならせる。一例として提示部16は、仮想値が許容範囲外となった第2の関連パラメータの表示の色を変更し、または、表示を点滅させる。これにより、ユーザーの注意を喚起することができる。
【0064】
図12は、エネルギー管理システム100の他の動作例を示すフローチャートである。図9から図11の例においては、第1の関連パラメータを目標値に設定したときの、第2の関連パラメータの仮想値を算出したが、本例では、第2の関連パラメータを仮想値に設定したときの、第1の関連パラメータの仮想値を算出する。
【0065】
本例のエネルギー管理システム100は、図9から図11に示した例と同様に、ステップS300において第1の関連パラメータの目標値を設定する。ステップS312において、パラメータ処理部14は、第1の関連パラメータとの相関強度が最も大きい第2の関連パラメータを選択する。ステップS314において、パラメータ処理部14は、第1の関連パラメータの値が目標値に近づくように、選択した第2の関連パラメータの仮想値を、当該第2の関連パラメータの制約条件の許容範囲内で定める。例えば第1の関連パラメータの値を増加させたい場合において、第2の関連パラメータが第1の関連パラメータに対して正の相関強度を有する場合、パラメータ処理部14は、第2の関連パラメータの値を、制約条件の許容範囲内において増大させる。
【0066】
ステップS316において、パラメータ処理部14は、第2の関連パラメータの値を増大させたことによる、第1の関連パラメータの仮想値を算出する。パラメータ処理部14は、第2の関連パラメータと第1の関連パラメータとの間の相関強度と、第2の関連パラメータの値の変動率との積を、第1の関連パラメータの現在値に乗算した値に基づいて仮想値を算出してよい。
【0067】
ステップS318において、算出した第1の関連パラメータの仮想値と、目標値との差異が所定値以下か否かを判定する。当該差異が所定値より大きい場合、ステップS312において、次に相関強度が大きい第2の関連パラメータを選択する。パラメータ処理部14は、算出した第1の関連パラメータの仮想値が、目標値に対して予め定められた誤差範囲内となるまで、S312からS318の処理を繰り返す。
【0068】
ステップS318において算出した誤差が所定値以下となった場合、いままでに選択した第2の関連パラメータと、それぞれの第2の関連パラメータの仮想値と、第1の関連パラメータの仮想値とを提示部16において提示する。このような処理により、第1の関連パラメータを目標値に設定したい場合に、制御すべき第2の関連パラメータの種類と、その値の候補をユーザーに提示できる。
【0069】
制御すべき第2の関連パラメータの種類と、その値の候補の抽出は、上述したものに限定されない。第1の関連パラメータと第2の関連パラメータとの間の相関強度に基づいて、多様な方法で抽出してよい。
【0070】
また、S312においては、パラメータ処理部14は、第1の関連パラメータとの間の相関強度の絶対値が大きい第2の関連パラメータを優先して指定した。これに対してパラメータ処理部14は、他の基準を用いて第2の関連パラメータを指定してもよい。
【0071】
図13は、エネルギー管理システム100の他の動作例を示すフローチャートである。本動作例においては、図12に示した動作例におけるS312の処理に代えて、S320の処理を有する。S312およびS320は、第2の関連パラメータを指定する処理である。他の処理は、図12に示した動作例と同様である。
【0072】
S320においてパラメータ処理部14は、それぞれの第2の関連パラメータについて、相関強度が予め定められた閾値より高い他の第2の関連パラメータの個数を算出する。例えば、図6の例において、相関強度の絶対値の閾値を0.5とすると、第2の関連パラメータP1において、相関強度が閾値より高い他の第2の関連パラメータの個数は、P2、P3、P5の3個である。同様に、第2の関連パラメータP2において、相関強度が閾値より高い他の第2の関連パラメータの個数は、P1、P3の2個である。同様に、第2の関連パラメータP3において、相関強度が閾値より高い他の第2の関連パラメータの個数は、P1、P2の2個である。同様に、第2の関連パラメータP4において、相関強度が閾値より高い他の第2の関連パラメータの個数は、0個である。同様に、第2の関連パラメータP5において、相関強度が閾値より高い他の第2の関連パラメータの個数は、P1、P3、P6の3個である。同様に、第2の関連パラメータP6において、相関強度が閾値より高い他の第2の関連パラメータの個数は、P5の1個である。
【0073】
S320においてパラメータ処理部14は、第2の関連パラメータP4を選択する。S314において第2の関連パラメータP4の仮想値を設定する。また、S316において、第2の関連パラメータP4の仮想値に対応する第1の関連パラメータの仮想値を算出する。S318において、第1の関連パラメータの仮想値の、目標値に対する誤差が所定値より大きい場合、S320からの処理を繰り返す。
【0074】
例えばパラメータ処理部14は、関連する他の第2の関連パラメータの個数が2番目に少ない、第2の関連パラメータP6を選択する。関連する他の第2の関連パラメータの個数が同数である場合、パラメータ処理部14は、第1の関連パラメータに対する相関強度の絶対値がより大きいほうを優先的に指定してよい。
【0075】
このような処理により、第1の関連パラメータを目標値に設定したい場合に、制御すべき第2の関連パラメータの種類と、その値の候補をユーザーに提示できる。また、他の第2の関連パラメータへの影響が少ない第2の関連パラメータを優先して、仮想値を算出できる。
【0076】
図14は、エネルギー管理システム100の他の動作例を示すフローチャートである。本例のエネルギー管理システム100は、第2の関連パラメータの値を設定した場合の第1の関連パラメータの仮想値を算出する。また、エネルギー管理システム100は、第2の関連パラメータの値を設定した場合に、他の第2の関連パラメータの仮想値も合わせて算出し、他の第2の関連パラメータの値の変動分による、第1の関連パラメータの変動分を更に算出する。
【0077】
ステップS322において、第2の関連パラメータのうちのいずれかが、変動パラメータとして選択され、設定値が指定される。変動パラメータおよび設定値は、ユーザー等が指定してよい。
【0078】
ステップS324において、パラメータ処理部14は、変動パラメータとして選択された第2の関連パラメータに対する相関強度が閾値以上である他の第2の関連パラメータを抽出する。
【0079】
ステップS326において、パラメータ処理部14は、変動パラメータとして選択された第2の関連パラメータを設定値とした場合の、他の第2の関連パラメータの仮想値を、第2の関連パラメータどうしの相関強度に基づいて算出する。例えばパラメータ処理部14は、変動パラメータにおける値の変動率と相関強度との積を、他の第2の関連パラメータの実績値に乗算した値に基づいて仮想値を算出する。
【0080】
ステップS328において、パラメータ処理部14は、変動パラメータの第2の関連パラメータを設定値とし、他の第2の関連パラメータを仮想値とした場合の、第1の関連パラメータの仮想値を算出する。例えばパラメータ処理部14は、変動パラメータにおける値の変動率と、第1の関連パラメータに対する相関強度との積、ならびに、他の第2の関連パラメータにおける値の変動率と、第1の関連パラメータに対する相関強度との積を、第1の関連パラメータの実績値に乗算した値に基づいて仮想値を算出してよい。
【0081】
ステップS330において、それぞれの第2の関連パラメータの設定値、仮想値、および、第1の関連パラメータの設定値を提示部16において提示する。このような動作により、いずれかの第2の関連パラメータの設定値を変更した場合の、第1の関連パラメータの値の変動を、より詳細に分析できる。
【0082】
例えば、冷媒により庫内を冷却する冷凍機と、冷凍機全体を冷却する冷却器とを備える施設200を考える。施設200における入力は、冷凍機および冷却器を動作させる電力等のエネルギーであり、出力は、冷凍機の庫内に出力される冷気または庫内の温度である。
【0083】
冷凍機が消費する電力は、施設200の消費電力に占める割合が比較的に大きく、冷凍機を制御する第2の関連パラメータは、施設200の効率値との相関強度が比較的に大きい。施設200の効率を調整すべく、冷凍機の庫内を冷却する冷媒等の流量を、第2の関連パラメータとして調整すると、冷凍機自体の温度も他の第2の関連パラメータとして変動する。冷却器は、冷凍機自体の温度に基づいて、冷凍機全体を冷却する冷媒の流量を調整する。このため、冷凍機の庫内を冷却する冷媒等の流量を変動させると、これに伴い、冷却器が流す冷媒等の流量を変動する。
【0084】
冷却器の動作の変動も、施設200の消費電力に影響を与えるので、施設200の効率値が変動する場合がある。冷却器における第2の関連パラメータの変動は、冷凍機における第2の関連パラメータの変動と、これらのパラメータ間の相関強度とから見積もることができる。冷却器における第2の関連パラメータの変動が、施設200の効率値に与える影響は、第2の関連パラメータと、効率値との間の相関強度から見積もることができる。このため、図14に示した動作により、いずれかの第2の関連パラメータの設定値を変更した場合の、第1の関連パラメータの値の変動を、より詳細に分析できる。
【0085】
図15は、エネルギー管理システム100の他の構成例を示す図である。本例のエネルギー管理システム100は、図1から図14において説明したエネルギー管理システム100の構成に対して、制御部18を更に備える。他の構成は、図1から図14において説明したエネルギー管理システム100と同様である。
【0086】
制御部18は、パラメータ処理部14が算出した、それぞれの第2の関連パラメータの仮想値に基づいて、施設200に含まれる設備220を制御する。制御部18は、第2の関連パラメータの仮想値から、設備220に入力すべき制御値を決定するための変換情報を記憶してよい。変換情報は、第2の関連パラメータの仮想値の各値と、設備220に入力すべき制御値とを対応付けたテーブルであってよく、関数であってもよい。このような構成により、施設200の効率値を向上させることができる。
【0087】
図16は、エネルギー管理システム100の使用態様の他の例を示す図である。本例のエネルギー管理システム100は、ネットワーク160を介して、1つ以上のクライアント端末230と接続される。一例としてネットワーク160は、インターネットを含む。
【0088】
クライアント端末230は、それぞれの顧客の施設200に対応して設けられる。クライアント端末230は、施設200におけるそれぞれの関連パラメータの系列データを取得して、エネルギー管理システム100に送信する。クライアント端末230は、それぞれの系列データに対応する環境パラメータを更に取得して、エネルギー管理システム100に送信する。また、クライアント端末230は、図1から図15において説明した、ユーザーが入力または指定する各種の情報を、エネルギー管理システム100に送信してよい。また、クライアント端末230は、提示部16および制御部18の少なくとも一方として機能してよい。
【0089】
図17は、エネルギー管理システム100の構成例を示す図である。本例のエネルギー管理システム100は、図1から図16において説明したエネルギー管理システム100の構成に対して、送受信部50、金額算出部60および事例データベース62を備える。また、エネルギー管理システム100は、提示部16を備えなくともよい。他の構成は、図1から図16において説明したいずれかのエネルギー管理システム100と同様である。
【0090】
送受信部50は、ネットワーク160を介してクライアント端末230と接続され、クライアント端末230から関連パラメータの系列データ等を受信する。データ取得部10、相関算出部12およびパラメータ処理部14は、取得した系列データ等から、図1から図16において説明した例と同様に動作する。パラメータ処理部14は、相関算出部12が算出した相関強度に基づく各種の情報を、送受信部50に通知する。
【0091】
送受信部50は、パラメータ処理部14から受け取った各種の情報を、クライアント端末230に送信する。送受信部50は、図5図6に示すような相関強度に関する情報を送信してよく、図8から図15において説明した各関連パラメータの設定値、目標値、仮想値に関する情報を送信してよく、設備220を制御するための情報を送信してもよい。
【0092】
送受信部50は、クライアント端末230に、各関連パラメータの設定値、目標値、仮想値の少なくとも一つを含む情報を送信する前の施設200の効率値と、これらの情報を送信した後の施設200の効率値とを示す情報を、クライアント端末230から受信する。つまり、送受信部50は、エネルギー管理システム100からクライアント端末に情報を提供した前後の、施設200の効率の改善度合いを示す情報を受信する。施設200の効率値は、例えば1月程度の期間にわたって測定された値を用いてよい。
【0093】
金額算出部60は、クライアント端末230に関連パラメータの設定値等の情報を送信する前後の施設200の効率値の差分に基づいて、クライアント端末230のユーザーに対する課金額を算出する。金額算出部60は、施設200における効率の改善度合いが大きいほど、大きな課金額を算出する。
【0094】
また、パラメータ処理部14は、クライアント端末230から受信した系列データ等に基づいて、当該施設200における第1の関連パラメータ(効率値)の改善目標値を算出してよい。パラメータ処理部14は、それぞれの第2の関連パラメータの実績値と、制約条件とを比較して、第1の関連パラメータを改善できる余地を算出してよい。例えば、パラメータ処理部14は、第2の関連パラメータの実績値と制約条件の限界値との差分に、第1の関連パラメータに対する相関強度を乗算した値に基づいて、第1の関連パラメータの改善余地を算出してよい。金額算出部60は、当該改善目標値を達成できたか否かにより、課金額を変動させてよい。
【0095】
事例データベース62は、それぞれのクライアント端末230に提示した、関連パラメータの設定値等の事例を蓄積する。事例データベース62は、それぞれの事例に対して、施設200において効率が改善した改善度合いを示す情報を記憶する。パラメータ処理部14は、関連パラメータの少なくとも一部が一致する施設200において、事例データベース62における事例において、改善度合いが所定値より大きい事例を抽出してよい。パラメータ処理部14は、改善度合いが大きい過去の事例において値を変動させている関連パラメータを、今回の事例においても優先的に選択して値を変動させてよい。事例データベース62には、複数のクライアント端末230に対する事例が蓄積できるので、より適切な関連パラメータの設定値等を、それぞれのクライアント端末230に提示できる。
【0096】
また、送受信部50は、施設200における効率値の改善度合いが大きい事例を抽出して、1つ以上のクライアント端末230に送信してもよい。この場合、送受信部50は、効率値の改善度合いに基づいて順位を付した、事例のリストをクライアント端末230に送信してよい。事例のリストには、変動させた第2の関連パラメータのリストと、各パラメータの値が含まれてよい。
【0097】
図1から図17において説明した提示部16は、施設200の効率(第1の関連パラメータ)の目標値と、現在の実績値とをリアルタイムに表示してよい。また、第1の関連パラメータとの相関強度が高い1つ以上の第2の関連パラメータの現在の実績値をリアルタイムに表示してよい。
【0098】
また、本発明の様々な実施形態は、フローチャートおよびブロック図を参照して記載されてよく、ここにおいてブロックは、(1)操作が実行されるプロセスの段階または(2)操作を実行する役割を持つ装置のセクションを表わしてよい。特定の段階およびセクションが、専用回路、コンピュータ可読媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプログラマブル回路、および/またはコンピュータ可読媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプロセッサによって実装されてよい。専用回路は、デジタルおよび/またはアナログハードウェア回路を含んでよく、集積回路(IC)および/またはディスクリート回路を含んでよい。プログラマブル回路は、論理AND、論理OR、論理XOR、論理NAND、論理NOR、および他の論理操作、フリップフロップ、レジスタ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブルロジックアレイ(PLA)等のようなメモリ要素等を含む、再構成可能なハードウェア回路を含んでよい。
【0099】
コンピュータ可読媒体は、適切なデバイスによって実行される命令を格納可能な任意の有形なデバイスを含んでよく、その結果、そこに格納される命令を有するコンピュータ可読媒体は、フローチャートまたはブロック図で指定された操作を実行するための手段を作成すべく実行され得る命令を含む、製品を備えることになる。コンピュータ可読媒体の例としては、電子記憶媒体、磁気記憶媒体、光記憶媒体、電磁記憶媒体、半導体記憶媒体等が含まれてよい。コンピュータ可読媒体のより具体的な例としては、フロッピー(登録商標)ディスク、ディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EPROMまたはフラッシュメモリ)、電気的消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EEPROM)、静的ランダムアクセスメモリ(SRAM)、コンパクトディスクリードオンリメモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、ブルーレイ(RTM)ディスク、メモリスティック、集積回路カード等が含まれてよい。
【0100】
コンピュータ可読命令は、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ(ISA)命令、マシン命令、マシン依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、またはSmalltalk、JAVA(登録商標)、C++等のようなオブジェクト指向プログラミング言語、および「C」プログラミング言語または同様のプログラミング言語のような従来の手続型プログラミング言語を含む、1または複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで記述されたソースコードまたはオブジェクトコードのいずれかを含んでよい。
【0101】
コンピュータ可読命令は、汎用コンピュータ、特殊目的のコンピュータ、若しくは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサまたはプログラマブル回路に対し、ローカルにまたはローカルエリアネットワーク(LAN)、インターネット等のようなワイドエリアネットワーク(WAN)を介して提供され、フローチャートまたはブロック図で指定された操作を実行するための手段を作成すべく、コンピュータ可読命令を実行してよい。プロセッサの例としては、コンピュータプロセッサ、処理ユニット、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ等を含む。
【0102】
図18は、本発明の複数の態様が全体的または部分的に具現化されてよいコンピュータ2200の例を示す。コンピュータ2200にインストールされたプログラムは、コンピュータ2200に、本発明の実施形態に係る装置に関連付けられる操作または当該装置の1または複数のセクションとして機能させることができ、または当該操作または当該1または複数のセクションを実行させることができ、および/またはコンピュータ2200に、本発明の実施形態に係るプロセスまたは当該プロセスの段階を実行させることができる。そのようなプログラムは、コンピュータ2200に、本明細書に記載のフローチャートおよびブロック図のブロックのうちのいくつかまたはすべてに関連付けられた特定の操作を実行させるべく、CPU2212によって実行されてよい。
【0103】
本実施形態によるコンピュータ2200は、CPU2212、RAM2214、グラフィックコントローラ2216、およびディスプレイデバイス2218を含み、それらはホストコントローラ2210によって相互に接続されている。コンピュータ2200はまた、通信インタフェース2222、ハードディスクドライブ2224、DVD−ROMドライブ2226、およびICカードドライブのような入/出力ユニットを含み、それらは入/出力コントローラ2220を介してホストコントローラ2210に接続されている。コンピュータはまた、ROM2230およびキーボード2242のようなレガシの入/出力ユニットを含み、それらは入/出力チップ2240を介して入/出力コントローラ2220に接続されている。
【0104】
CPU2212は、ROM2230およびRAM2214内に格納されたプログラムに従い動作し、それにより各ユニットを制御する。グラフィックコントローラ2216は、RAM2214内に提供されるフレームバッファ等またはそれ自体の中にCPU2212によって生成されたイメージデータを取得し、イメージデータがディスプレイデバイス2218上に表示されるようにする。
【0105】
通信インタフェース2222は、ネットワークを介して他の電子デバイスと通信する。ハードディスクドライブ2224は、コンピュータ2200内のCPU2212によって使用されるプログラムおよびデータを格納する。DVD−ROMドライブ2226は、プログラムまたはデータをDVD−ROM2201から読み取り、ハードディスクドライブ2224にRAM2214を介してプログラムまたはデータを提供する。ICカードドライブは、プログラムおよびデータをICカードから読み取り、および/またはプログラムおよびデータをICカードに書き込む。
【0106】
ROM2230はその中に、アクティブ化時にコンピュータ2200によって実行されるブートプログラム等、および/またはコンピュータ2200のハードウェアに依存するプログラムを格納する。入/出力チップ2240はまた、様々な入/出力ユニットをパラレルポート、シリアルポート、キーボードポート、マウスポート等を介して、入/出力コントローラ2220に接続してよい。
【0107】
プログラムが、DVD−ROM2201またはICカードのようなコンピュータ可読媒体によって提供される。プログラムは、コンピュータ可読媒体から読み取られ、コンピュータ可読媒体の例でもあるハードディスクドライブ2224、RAM2214、またはROM2230にインストールされ、CPU2212によって実行される。これらのプログラム内に記述される情報処理は、コンピュータ2200に読み取られ、プログラムと、上記様々なタイプのハードウェアリソースとの間の連携をもたらす。装置または方法が、コンピュータ2200の使用に従い情報の操作または処理を実現することによって構成されてよい。
【0108】
例えば、通信がコンピュータ2200および外部デバイス間で実行される場合、CPU2212は、RAM2214にロードされた通信プログラムを実行し、通信プログラムに記述された処理に基づいて、通信インタフェース2222に対し、通信処理を命令してよい。通信インタフェース2222は、CPU2212の制御下、RAM2214、ハードディスクドライブ2224、DVD−ROM2201、またはICカードのような記録媒体内に提供される送信バッファ処理領域に格納された送信データを読み取り、読み取られた送信データをネットワークに送信し、またはネットワークから受信された受信データを記録媒体上に提供される受信バッファ処理領域等に書き込む。
【0109】
また、CPU2212は、ハードディスクドライブ2224、DVD−ROMドライブ2226(DVD−ROM2201)、ICカード等のような外部記録媒体に格納されたファイルまたはデータベースの全部または必要な部分がRAM2214に読み取られるようにし、RAM2214上のデータに対し様々なタイプの処理を実行してよい。CPU2212は次に、処理されたデータを外部記録媒体にライトバックする。
【0110】
様々なタイプのプログラム、データ、テーブル、およびデータベースのような様々なタイプの情報が記録媒体に格納され、情報処理を受けてよい。CPU2212は、RAM2214から読み取られたデータに対し、本開示の随所に記載され、プログラムの命令シーケンスによって指定される様々なタイプの操作、情報処理、条件判断、条件分岐、無条件分岐、情報の検索/置換等を含む、様々なタイプの処理を実行してよく、結果をRAM2214に対しライトバックする。また、CPU2212は、記録媒体内のファイル、データベース等における情報を検索してよい。例えば、各々が第2の属性の属性値に関連付けられた第1の属性の属性値を有する複数のエントリが記録媒体内に格納される場合、CPU2212は、第1の属性の属性値が指定される、条件に一致するエントリを当該複数のエントリの中から検索し、当該エントリ内に格納された第2の属性の属性値を読み取り、それにより予め定められた条件を満たす第1の属性に関連付けられた第2の属性の属性値を取得してよい。
【0111】
上で説明したプログラムまたはソフトウェアモジュールは、コンピュータ2200上またはコンピュータ2200近傍のコンピュータ可読媒体に格納されてよい。また、専用通信ネットワークまたはインターネットに接続されたサーバーシステム内に提供されるハードディスクまたはRAMのような記録媒体が、コンピュータ可読媒体として使用可能であり、それによりプログラムを、ネットワークを介してコンピュータ2200に提供する。
【0112】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0113】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0114】
10・・・データ取得部、12・・・相関算出部、14・・・パラメータ処理部、16・・・提示部、18・・・制御部、20・・・モニター、22・・・名称指定領域、24・・・期間指定領域、26・・・変動パラメータ指定領域、28・・・変動量指定領域、30・・変動方向指定領域、32・・・パラメータ値表示領域、34・・・表示パラメータ指定領域、50・・・送受信部、60・・・金額算出部、62・・・事例データベース、100・・エネルギー管理システム、160・・・ネットワーク、200・・・施設、210・・・制御部、220・・・設備、230・・・クライアント端末、2200・・・コンピュータ、2201・・・DVD−ROM、2210・・・ホストコントローラ、2212・・・CPU、2214・・・AM、2216・・・グラフィックコントローラ、2218・・・ディスプレイデバイス、2220・・・入/出力コントローラ、2222・・・通信インタフェース、2224・・・ハードディスクドライブ、2226・・・DVD−ROMドライブ、2230・・・ROM、2240・・・入/出力チップ、2242・・・キーボード
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
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図12
図13
図14
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図16
図17
図18