特許 6880881 ヘッドフォン

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】特許公報(B2)

(11)【特許番号】6880881

(24)【登録日】2021年5月10日

(45)【発行日】2021年6月2日

(54)【発明の名称】ヘッドフォン

(51)【国際特許分類】

   H04R 1/10 20060101AFI20210524BHJP

   H04R 3/00 20060101ALI20210524BHJP

   G10K 11/178 20060101ALI20210524BHJP

【ＦＩ】

   H04R1/10 101B

   H04R3/00 310

   G10K11/178 130

【請求項の数】2

【全頁数】9

(21)【出願番号】特願2017-54343(P2017-54343)

(22)【出願日】2017年3月21日

(65)【公開番号】特開2018-157485(P2018-157485A)

(43)【公開日】2018年10月4日

【審査請求日】2020年1月24日

(73)【特許権者】

【識別番号】000004075

【氏名又は名称】ヤマハ株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】100125689

【弁理士】

【氏名又は名称】大林 章

(74)【代理人】

【識別番号】100128598

【弁理士】

【氏名又は名称】高田 聖一

(74)【代理人】

【識別番号】100121108

【弁理士】

【氏名又は名称】高橋 太朗

(72)【発明者】

【氏名】小林 力

【審査官】 大石 剛

(56)【参考文献】

【文献】 特開２０１１−２０３６５４（ＪＰ，Ａ）

【文献】 特開２０１６−２１１９８２（ＪＰ，Ａ）

(58)【調査した分野】（Int.Cl.，ＤＢ名）

Ｇ１０Ｋ １１／１７８

Ｈ０４Ｒ １／１０

Ｈ０４Ｒ ３／００

(57)【特許請求の範囲】

【請求項1】

入力信号の音響特性を調整する調整部と、
前記調整部により音響特性が調整された信号に基づいて発音する発音体と、
現在位置を取得する位置取得部と、
前記位置取得部により取得された現在位置と予め定められた所定地点との距離に応じて、前記調整部により調整される音響特性を変更する音響特性変更部と、
を具備し、
前記調整部は、
入力信号の音響特性のうちの音量を調整し、
前記音響特性変更部は、
前記位置取得部により取得された現在位置が前記所定地点を含む所定範囲内になったか否かを判別し、
前記現在位置が前記所定範囲内になったと判別したとき、前記距離が小さくになるにつれて前記音量を段階的に小さく変更する
ことを特徴とするヘッドフォン。

【請求項2】

周辺音を収音して、当該周辺音の収音信号を出力するマイクを備え、
前記調整部は、
前記入力信号と前記収音信号との加算した信号の音響特性を調整する、
ことを特徴とする請求項１に記載のヘッドフォン。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、ヘッドフォンに関する。

【背景技術】

【0002】

近年、スマートフォンのような携帯型の外部機器が普及している。ユーザーは、ヘッドフォンを装着して、当該外部機器から出力される音楽等をユーザー自身が設定した音量で聴く場合が多い。また、周辺音を低減してユーザーに音楽等を聴かせる、いわゆるノイズキャンセル式のヘッドフォンも普及しつつある（特許文献１参照）。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0003】

【特許文献1】特開２０１７−００５４１３号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

このようなノイズキャンセル式のヘッドフォンに限られず、一般的なヘッドフォンを装着してユーザーが音楽等を電車などで移動しながら聴取していると、没入し過ぎなどにより、降車駅をうっかり乗り過ごす可能性がある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的の一つは、ヘッドフォンを装着してユーザーが、たとえ目を瞑って音楽等を聴いていたとしても、目標地点へ接近を知ることができる技術を提供することにある。

【課題を解決するための手段】

【0005】

上記目的を達成するために、本発明の一態様に係るヘッドフォンは、入力信号の音響特性を調整する調整部と、前記調整部により音響特性が調整された信号に基づいて発音する発音体と、現在位置を取得する位置取得部と、前記位置取得部により取得された現在位置と予め定められた所定地点との距離に応じて、前記調整部により調整される音響特性を変更する音響特性変更部と、を具備する構成を特徴とする。

【図面の簡単な説明】

【0006】

【図1】実施形態に係るヘッドフォンを示す図である。

【図2】ヘッドフォンの構成を示すブロック図である。

【図3】ヘッドフォンの動作例を示す図である。

【図4】変形例に係るヘッドフォンの動作例を示す図である。

【発明を実施するための形態】

【0007】

以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図１は、第１実施形態に係るヘッドフォン１を示す図である。この図に示されるように、ヘッドフォン１は、略円筒形状で左耳用のヘッドフォンユニット５Ｌと、同じく右耳用のヘッドフォンユニット５Ｒと、当該ヘッドフォンユニット５Ｌおよび５Ｒ同士を連結するヘッドバンド３と、を有する。

【0008】

ヘッドバンド３は、弾力性を備える金属や樹脂などにより、長手方向に円弧を描く外形に形成されたものである。ヘッドフォンユニット５Ｌおよび５Ｒの各々において、ヘッドバンド３における円弧の内側に、円環状で弾力性を有するイヤーパッド１０がそれぞれ設けられている。

【0009】

ヘッドフォンユニット５Ｌにおいて、発音体１２Ｌがイヤーパッド１０における円環のほぼ中心に設けられる。ヘッドフォンユニット５Ｌにおける円筒の側面では、マイク１４Ｌ、ダイヤル１６ａおよび位置取得部２２が設けられ、当該側面からはコード１８が引き出されている。
なお、コード１８は、外部機器から供給されるステレオ信号を入力する。本実施形態では、ステレオ信号を、コード１８を介して有線で入力する構成としているが、赤外線や無線などによりワイヤレスで受信する構成としても良い。
また、ヘッドフォンユニット５Ｒにおいて、発音体１２Ｒがイヤーパッド１０における円環のほぼ中心に設けられ、マイク１４Ｒが円筒の側面に設けられている。

【0010】

発音体１２Ｌおよび１２Ｒは、それぞれ電気的な信号を物理的な振動の音に変換して出力するものであり、典型的にはスピーカーが用いられる。
マイク１４Ｌは、ヘッドフォンユニット５Ｌの周辺音を収音する。マイク１４Ｒも同様であり、ヘッドフォンユニット５Ｒの周辺音を収音する。

【0011】

ダイヤル１６ａは、ユーザーによって設定される音量調整用のつまみである。なお、図の例では、ダイヤル１６ａをユーザーが回転させることで音量が設定されるが、例えば音量上昇用のプッシュボタンと下降用のプッシュボタンとを設けて、当該プッシュボタンの押下回数または押下時間により音量を設定する構成としても良い。
また、本実施形態において、発音体１２Ｌおよび１２Ｒから出力される音量（音響特性の一例）は、後述するように、ダイヤル１６ａへの設定にかかわらず変更される場合がある。

【0012】

ヘッドフォン１を装着する際に、ユーザーは、ヘッドフォンユニット５Ｌおよび５Ｒを持ってヘッドバンド３の円弧を広げつつ、イヤーパッド１０の各々をそれぞれ自身の耳介に被せる。ヘッドフォンユニット５Ｌおよび５Ｒの各々に取り付けられたイヤーパッド１０には、ヘッドバンド３の弾力性によって端部同士を近づけようとする復元力が発生するので、ユーザーの頭部に側圧を与える。この側圧によって、ヘッドフォン１は装着時において所定の位置で保持される。

【0013】

図２は、ヘッドフォン１の電気的な構成を示すブロック図である。この図に示されるように、ヘッドフォン１は、発音体１２Ｌ、１２Ｒ、マイク１４Ｌ、１４Ｒ、コード１８、音量変更部２０、位置取得部２２、目標地点設定部２４、調整部３０、加算器５１Ｌ、５１Ｒ、増幅器５４Ｌ、５４Ｒ、５５Ｌおよび５５Ｒを含む。

【0014】

ヘッドフォン１においては、ステレオ信号における左チャネルの信号処理と右チャネルの信号処理とは、ほぼ同じである。そこでまず、左チャネルを処理するための系について先に説明する。
コード１８を介して入力されたステレオ信号のうち、左チャネル用の信号Ｌinは、加算器５１Ｌにおける一方の入力端に供給される。加算器５１Ｌにおける他方の入力端には、信号Ｌamが供給される。
加算器５１Ｌは、信号Ｌinと信号Ｌamとを加算して、調整部３０に供給する。調整部３０は、乗算器３２Ｌ、３２Ｒおよび係数出力部３４を含み、このうちの乗算器３２Ｌは、加算器５１Ｌによる加算信号に、係数出力部３４から供給される係数を乗じて増幅器５４Ｌに供給する。増幅器５４Ｌは、乗算器３２Ｌによる乗算信号を、所定の増幅率で増幅して発音体１２Ｌに供給する。
係数出力部３４は、ダイヤル１６ａによって設定された音量に対応した係数を出力する。なお、係数出力部３４は、後述するように音量変更部２０からの指示があった場合、ダイヤル１６ａの設定にかかわらず、係数を小さく変更する。

【0015】

一方、マイク１４Ｌは、ヘッドフォンユニット５Ｌの周辺音を収音して、当該収音信号を増幅器５５Ｌに供給する。増幅器５５Ｌは、マイク１４Ｌによる収音信号を増幅し、信号Ｌamとして加算器５１Ｌにおける他方の入力端に供給する。

【0016】

ステレオ信号における右チャネルを処理するための系についても、左チャネルと同様である。すなわち、加算器５１Ｒは、コード１８を介して入力されたステレオ信号のうち、右チャネル用の信号Ｒinと信号Ｒamと加算し、調整部３０における乗算器３２Ｒは、加算器５１Ｒによる加算信号に、係数出力部３４から供給される係数を乗じ、増幅器５４Ｒは、乗算器３２Ｒによる乗算信号を、所定の増幅率で増幅して発音体１２Ｒに供給する。一方、マイク１４Ｒは、ヘッドフォンユニット５Ｒの周辺音を収音し、増幅器５５Ｒは、マイク１４Ｒによる収音信号を増幅して、信号Ｒamとして加算器５１Ｒにおける他方の入力端に供給する。
なお、増幅器５４Ｌの増幅率と増幅器５４Ｒの増幅率とは基本的にほぼ同一に設定されるが、左右のバランスを変更する必要があれば、異なる増幅率に設定しても良い。

【0017】

位置取得部２２は、ヘッドフォン１の現在位置を所定間隔（例えば１０秒）毎に取得して、当該現在位置の情報を音量変更部２０に供給する。位置取得部２２は、典型的には、複数の航法衛星から航法信号を受信して現在位置を取得するＧＰＳ（Global Positioning System）受信器である。なお、位置取得部２２は、ＧＰＳに限られず、なんらかの方法により現在位置の情報を取得できれば良く、例えばＷｉ−Ｆｉ（登録商標）でアクセスする基地局の位置情報を、当該基地局からの電界強度で補正することにより取得しても良い。

【0018】

目標地点設定部２４は、ユーザーにより設定された目標地点の情報を音量変更部２０に供給する。目標地点設定部２４における目標地点の設定の具体例については、例えばスマートフォンなどの端末装置において表示された地図に対し、ユーザーが指定した地点の情報を通信により転送して目標地点設定部２４に設定しても良いし、緯度・経度を指定しても良い。

【0019】

音量変更部２０は、現在位置と目標地点との距離に基づいて、係数出力部３４に対し次のような指示をする。詳細には、音量変更部２０は、第１に、位置取得部２２から現在位置の情報が供給されたときに、当該現在位置と目標地点設定部２４から供給される情報で規定される目標地点との距離を算出し、第２に、当該距離がしきい値以下である否かを判別し、第３に、当該距離がしきい値以下でないと判別したとき、係数出力部３４に対してダイヤル１６ａで設定された係数の出力を指示する一方、第４に、当該距離がしきい値以下であると判別したとき、係数出力部３４に対し、ダイヤル１６ａで設定された係数を、より小さくして出力するように指示する。

【0020】

次に、ヘッドフォン１の動作について説明する。ここでは、ヘッドフォン１を装着したユーザーが電車に乗って、目標地点として降車予定駅を設定した場合を例にとる。

【0021】

図３は、ヘッドフォン１の動作を説明するための図である。
図において、Ｘは、現在位置と目標地点との距離の時間的な変化を示す。実際には、電車は加減速を繰り返すが、ここでは説明を簡略化するため、等速で運動するものとしている。このため、ヘッドフォン１を装着するユーザーが、時間ゼロにおいて目標地点から距離ａに位置する駅にて当該電車に乗ったとき、距離Ｘは、時間経過（当該電車による移動）に伴って、距離ａから直線的に減少する特性となる。なお、係数出力部３４は、ダイヤル１６ａによって設定された係数として、ｍを出力しているものとする。

【0022】

現在位置と目標地点との距離Ｘがしきい値ｂを超えていれば、音量変更部２０は、係数出力部３４に対してダイヤル１６ａに応じた係数ｍの出力を指示するので、発音体１２Ｌおよび１２Ｒから出力される音は、それぞれ次のようなものとなる。すなわち、発音体１２Ｌからは、信号Ｌinとマイク１４Ｌによる収音信号との加算信号に基づく音が、ダイヤル１６ａで設定された音量で出力され、同様に、発音体１２Ｒからは、信号Ｒinとマイク１４Ｒによる収音信号との加算信号に基づく音が、ダイヤル１６ａで設定された音量で出力される。
このため、ヘッドフォン１を装着したユーザーは、周辺音とともに、外部機器から供給されるステレオ信号に基づくステレオ音を自身で設定した音量で聴くことになる。

【0023】

ユーザーが乗車している電車が、目標地点である降車予定駅に近づくと、距離Ｘがしきい値ｂ以下になる。ここで、時刻ｔ１において当該距離Ｘがしきい値ｂ以下になると、すなわち、現在位置が目標地点を含む範囲内ｃになると、音量変更部２０は、係数出力部３４に対し、ダイヤル１６ａで設定された係数を小さくして出力するように指示する。なお、図では、半分のｍ／２となるように指示された例である。
発音体１２Ｌからは、信号Ｌinとマイク１４Ｌによる収音信号との加算信号に基づく音が、ユーザーによりダイヤル１６ａで設定された音量よりも小さい音量で出力され、同様に、発音体１２Ｒからは、信号Ｒinとマイク１４Ｒによる収音信号との加算信号に基づく音が、ユーザーによりダイヤル１６ａで設定された音量よりも小さい音量で出力される。

【0024】

このため、ヘッドフォン１を装着したユーザーは、聴いていたステレオ音の音量が小さくなることから、たとえ目を瞑り、音楽に没入したとしても、目標地点である降車予定駅への接近を知ることになる。このため、当該ユーザーの乗り過ごしを防止することができる。

【0025】

次に、本発明の第２実施形態に係るヘッドフォン１について説明する。第２実施形態に係るヘッドフォン１は、第１実施形態における音量変更部２０の動作を次のように変更したものである。
すなわち、音量変更部２０は、位置取得部２２から供給された情報で規定される現在位置と目標地点設定部２４から供給される情報で規定される目標地点との距離Ｘが小さくになるにつれて、係数出力部３４に対して係数を段階的に変更して出力するように指示する。

【0026】

詳細には、音量変更部２０は、係数出力部３４に対し、現在位置と目標位置との間の距離Ｘがしきい値ｂ以下となったときに、ダイヤル１６ａで設定された係数ｍの半分で出力するように指示し、第２に、当該距離Ｘがしきい値ｂ／２以下となったときに、係数ｍを１／４で出力するように指示し、第３に、当該距離Ｘがしきい値ｂ／４以下となったときに、係数ｍを１／８で出力するように指示する。
このため、図４に示されるように、ユーザーが乗車している電車が、目標地点である降車予定駅に近づき、時刻ｔ１において当該距離がしきい値ｂ以下になると、係数が半分のｍ／２で出力され、時刻ｔ２において当該距離がしきい値ｂ／２以下になると、係数がより小さいｍ／４で出力され、時刻ｔ３において当該距離がしきい値ｂ／４以下になると、係数がさらに小さいｍ／４で出力される。

【0027】

したがって、ヘッドフォン１を装着したユーザーは、聴いていたステレオ音の音量が段階的に小さくなることから、目標地点への接近度合いを知ることができる。
なお、第２実施形態では、３段階で音量を変更したが、段階数については２以上であれば良い。

【0028】

本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、例えば次に述べるような各種の応用・変形が可能である。なお、次に述べる応用・変形の態様は、任意に選択された一または複数を適宜に組み合わせることもできる。

【0029】

実施形態では、マイク１４Ｌによる収音信号を増幅した信号Ｌamを加算器５１Ｌで信号Ｌinと加算し、マイク１４Ｒによる収音信号を増幅した信号Ｒamを加算器５１Ｒで信号Ｒinと加算する構成としたが、マイク１４Ｌまたは１４Ｒの一方のみでも良い。すなわち、マイク１４Ｌまたは１４Ｒの一方のみの収音信号の増幅信号を、加算器５１Ｌで信号Ｌinと加算し、加算器５１Ｒで信号Ｒinと加算する構成としても良い。

【0030】

さらにいえば、ヘッドフォン１においては、ユーザーに周辺音を知覚させるためにマイク１４Ｌおよび１４Ｒを有する構成としたが、ユーザーに目標地点への接近を知らせるという観点からいえば、必ずしも周辺音を知覚させる必要がない。このため、マイク１４Ｌおよび１４Ｒを省略しても良い。

【0031】

一方、マイク１４Ｌおよび１４Ｒを有する構成において、現在位置と目標地点との間の距離がしきい値以下となったとき、ステレオの音量ではなく、周辺音の音量を調整する構成としても良い。具体的には、現在位置と目標地点との間の距離がしきい値以下となったときに、マイク１４Ｌおよび１４Ｒによる収音信号への乗算係数を大きく変更して、喧噪やアナウンスなどの周辺音をより明確に知覚させる構成としても良い。
また、ステレオの音量と周辺音の音量との双方の音量を調整する構成としても良い。具体的には、現在位置と目標地点との間の距離がしきい値以下となったときに、信号ＬinおよびＲinへの乗算係数を小さく変更するとともに、マイク１４Ｌおよび１４Ｒによる収音信号への乗算係数を大きく変更して、周辺音をステレオ音よりも明確に知覚させる構成としても良い。

【0032】

また、ヘッドフォン１におけるマイク１４Ｌおよび１４Ｒについては、ユーザーに周辺音を知覚させるのではなく、周辺音をキャンセルさせる（ノイズキャンセリング）機能に用いても良い。具体的には、マイク１４Ｌによる収音信号を逆相化（極性を反転化）させて、当該逆相信号と信号Ｌinと加算し、マイク１４Ｒによる収音信号を逆相化させて、当該逆相信号と信号Ｒinと加算する構成としても良い。この構成によれば、ユーザーに知覚される周辺音を低減させることができる。

【0033】

目標地点への接近を音量の変更以外の手法によってユーザーに知らせる構成としても良い。例えば、上述したようにヘッドフォン１にノイズキャンセル機能を持たせる場合において、ノイズキャンセル機能を有効にした状態で音楽等を聴いているときに、現在位置と目標地点との間の距離がしきい値以下になれば、音楽等の音量を小さく変更するとともに、ノイズキャンセルの機能をオフする構成としても良い。この構成によれば、音楽等の音量変更とともにノイズキャンセルの機能のオフによって、周辺音が相対的に大きくなるので、ユーザーは、目標地点への接近を知ることができる。
また、信号ＬinおよびＲinを信号処理する回路を持たせて、目標地点への接近を当該回路のオンまたはオフへの切り替えによって知らせる構成としても良い。例えば、歪みを付与する回路を持たせて、信号ＬinおよびＲinに歪みを付与することでユーザーに目標地点への接近を知らせる構成としても良い。

【0034】

また、音量変更部２０、位置取得部２２および目標地点設定部２４を、ヘッドフォン１に持たせるのではなく、例えばスマートフォンなどの端末装置の機能を用いる構成としても良い。この構成では、端末装置から音量変更の指示があった場合に、音量等を変更してユーザーに目標地点への接近を知らせれば良い。

【0035】

上述した実施形態において、目標地点への接近をユーザーに知覚させる、という観点より以下の態様が把握される。

【0036】

まず、入力信号の音響特性を調整する調整部と、前記調整部により音響特性が調整された信号に基づいて発音する発音体と、現在位置を取得する位置取得部と、前記位置取得部により取得された現在位置と予め定められた所定地点との距離に応じて、前記調整部により調整される音響特性を変更する音響特性変更部と、を具備するヘッドフォンが把握される。上記ヘッドフォンによれば、ユーザーは、音響特性が変更されることで目標地点へ接近を知ることができる。

【0037】

上記ヘッドフォンにおいて、前記調整部は、入力信号の音響特性のうちの音量を調整し、前記音響特性変更部は、前記位置取得部により取得された現在位置が前記所定地点を含む所定範囲内になったか否かを判別し、前記現在位置が前記所定範囲内になったと判別したとき、前記音量を変更する構成としても良い。この構成によれば、ユーザーは、音量が変更されることで目標地点へ接近を知ることができる。

【0038】

上記構成において、前記音響特性変更部は、前記現在位置が前記所定範囲内になったと判別したときに、前記距離が小さくになるにつれて前記音量を段階的に変更しても良い。
これにより、ユーザーは、目標地点への接近度合いを音量の段階的な変化により知ることができる。

【0039】

上記ヘッドフォンにおいて、周辺音を収音して、当該周辺音の収音信号を出力するマイクを備え、前記調整部は、前記入力信号と前記収音信号との加算した信号の音響特性を調整する構成としても良い。上記構成によれば、ユーザーは、入力信号に基づく音と周辺音との加算音の音響特性が変更されることで目標地点へ接近を知ることができる。

【符号の説明】

【0040】

１…ヘッドフォン、３…ヘッドバンド、５Ｌ、５Ｒ…ヘッドフォンユニット、１０…イヤーパッド、１２Ｌ、１２Ｒ…発音体、１４Ｌ、１４Ｒ…マイク、２０…音量変更部、２２…位置取得部、２４…目標地点設定部、３０…調整部。

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】