(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1座席と前記第1座席の前方または後方に位置する第2座席との間に位置する第3座席に対して配置された第1スピーカへ、前記第1座席に対して配置されたマイクの出力信号に応じた第1音信号を出力する第1出力部と、
前記第2座席に対して配置された第2スピーカへ、前記第1音信号に応じた第2音信号を、前記第1音信号の出力タイミングよりも遅いタイミングで出力する第2出力部と、を含み、
前記第1座席と、前記第2座席と、前記第3座席と、前記マイクは、車両の車室に配置され、
前記車両は、ドアを有する側部を有し、
前記第1スピーカおよび前記第2スピーカは、前記側部に配置され、
前記第1音信号が示す音の音量は、前記第2音信号が示す音の音量よりも小さい
ことを特徴とする音信号処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら本発明に係る実施の形態を説明する。なお、図面において各部の寸法および縮尺は実際のものと適宜異なる。また、以下に記載する実施の形態は、本発明の好適な具体例である。このため、本実施形態には、技術的に好ましい種々の限定が付されている。しかしながら、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
【0009】
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る音信号処理装置3を含む会話アシストシステム1を示した図である。会話アシストシステム1は、自動車等の車両100で使用される。
車両100の車室100aには、3列シートを構成する座席51〜56と、フロントライトドア71と、フロントレフトドア72と、リアライトドア73と、リアレフトドア74が配置されている。
【0010】
座席51および52は、1列目の座席である。座席51は運転席である。座席52は助手席である。座席53および54は、2列目の座席である。座席55および56は、3列目の座席である。座席51〜56は、共通の方向を向いている。座席51〜56の各々では、例えば、布または革が素材として用いられている。座席51〜56の各々は吸音性を有する。
【0011】
座席51および52は、第1座席の一例である。座席55および56は、第1座席の後方に位置する第2座席の一例である。座席53および54は、第1座席と第2座席との間に位置する第3座席の一例である。
【0012】
会話アシストシステム1は、マイク11〜12と、スピーカ21〜26と、音信号処理装置3とを含む。
【0013】
マイク11は、座席51および52に対して配置されている。本実施形態では、マイク11は、車室100aの天井のうち、座席51と座席52の間の領域と対向する部分(天井部分)に配置されている。マイク11は、座席51に座る使用者の声と、座席52に座る使用者の声とを集音し、集音した声に応じた出力信号M1を出力する。なお、マイク11の位置は、座席51および52に対して配置されていれば適宜変更可能である。
【0014】
マイク12は、座席53〜56の各々の使用者の声を集音し、集音した声に応じた出力信号M2を出力する。本実施形態では、マイク12は、車室100aの天井のうち、座席53〜56に囲まれた領域と対向する部分(天井部分)に配置されている。なお、マイク12の位置は、座席53および54寄りでも、座席55および56寄りでもよい。また、マイク12は、指向性マイクでもよく、例えばマイク12の指向方向をスピーカが存在しない方向にすることでハウリングを改善することが可能になる。
【0015】
スピーカ21は座席51に対して配置され、スピーカ22は座席52に対して配置されている。本実施形態では、スピーカ21は、フロントライトドア71に配置され、スピーカ22は、フロントレフトドア72に配置されている。スピーカ21の位置は、座席51に対して配置されていれば適宜変更可能である。スピーカ22の位置は、座席52に対して配置されていれば適宜変更可能である。
【0016】
スピーカ23は座席53に対して配置され、スピーカ24は座席54に対して配置されている。スピーカ23および24の各々は、第1スピーカの一例である。本実施形態では、スピーカ23は、リアライトドア73に配置され、スピーカ24は、リアレフトドア74に配置されている。スピーカ23の位置は、座席53に座る使用者の位置よりも前方であることが望ましいが、座席53に対して配置されていれば適宜変更可能である。スピーカ24の位置は、座席54に座る使用者の位置よりも前方であることが望ましいが、座席54に対して配置されていれば適宜変更可能である。
【0017】
スピーカ25は座席55に対して配置され、スピーカ26は座席56に対して配置されている。スピーカ25および26の各々は、第2スピーカの一例である。本実施形態では、スピーカ25は、リアライトドア73の後方に配置され、スピーカ26は、リアレフトドア74の後方に配置されている。スピーカ25の位置は、座席55に対して配置されていれば適宜変更可能である。スピーカ26の位置は、座席56に対して配置されていれば適宜変更可能である。
【0018】
音信号処理装置3は、マイク11の出力信号M1とマイク12の出力信号M2とを受け取り、スピーカ21〜26を制御する。
図2は、音信号処理装置3の一例を示した図である。音信号処理装置3は、記憶部8と処理部9とを含む。記憶部8は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体である。記憶部8は、音信号処理装置3を制御するプログラムを記憶する。処理部9は、CPU(Central Processing Unit)等のコンピュータである。処理部9は、記憶部8に記憶されたプログラムを読み取り実行することによって、第1出力部91と、第2出力部92と、第3出力部93とを実現する。
【0019】
第1出力部91は、1列目の座席51および52に対応するマイク11の出力信号M1に応じた第1音信号S1を生成する。例えば、第1出力部91は、出力信号M1を増幅して第1音信号S1を生成する。第1出力部91は、2列目の座席に対応するスピーカ23および24に第1音信号S1を出力する。スピーカ23および24は、第1音信号S1に応じた音を出力する。
【0020】
第2出力部92は、第1音信号S1に応じた第2音信号S2を、3列目の座席に対応するスピーカ25および26へ、第1音信号S1の出力タイミングよりも遅いタイミングで出力する。スピーカ25および26は、第2音信号S2に応じた音を出力する。また、第1音信号S1に応じてスピーカ23および24から出力される音の音量が、第2音信号S2に応じてスピーカ25および26から出力される音の音量よりも小さくなるように、第2出力部92は、スピーカ25および26へ第2音信号S2を出力する。第2出力部92は、増幅部92aと遅延部92bとを含む。
【0021】
増幅部92aは、第1音信号S1を増幅して第2音信号S2を生成する。例えば、増幅部92aは、第2音信号S2に応じた音が、第1音信号S1に応じた音に対して3〜8dB(デシベル)の関係となるように、第1音信号S1を増幅する。なお、第1音信号S1に対する増幅度は、3〜8dBに限らず適宜変更可能である。
【0022】
遅延部92bは、第2音信号S2を所定時間遅延し、遅延後の第2音信号S2を、スピーカ25および26に出力する。所定時間は、例えば、1〜2msec(ミリ秒)である。所定時間は、1〜2msecに限らず、2列目の座席の使用者に、先行音効果(スピーカ25および26から出力された音が、その音を時間的に先に出力したスピーカ23および24から出力されたと感じさせる効果)を生じさせる時間であればよい。
【0023】
第3出力部93は、3列目の座席55および56に対応するマイク12の出力信号M2を用いて、1列目の座席51に対応するスピーカ21と、1列目の座席52に対応するスピーカ22とを制御する。第3出力部93は、増幅部93aと逆相信号生成部93bとを含む。
【0024】
増幅部93aは、出力信号M2を増幅して第3音信号S3を生成する。増幅部93aは、第3音信号S3を、スピーカ21と逆相信号生成部93bとに出力する。逆相信号生成部93bは、第3音信号S3とは逆位相の第4音信号S4を生成する。逆相信号生成部93bは、第4音信号S4をスピーカ22に出力する。
スピーカ21とスピーカ22が互いに逆位相の音を出すことで、それぞれの音がマイク11に到達したときに互いに打ち消し合いキャンセルされる。このため、ハウリングが起こり難くなる。
【0025】
次に、動作を説明する。
図3は、会話アシストシステム1の動作を説明するためのフローチャートである。
第1出力部91は、マイク11の出力信号M1を受け取ると、出力信号M1を増幅して第1音信号S1を生成する(ステップS1)。続いて、第1出力部91は、第1音信号S1を、第2出力部92と、スピーカ23および24とに出力する(ステップS2)。スピーカ23および24の各々は、第1音信号S1を受け取ると、第1音信号S1に応じた音を出力する(ステップS3)。
【0026】
一方、第2出力部92では、増幅部92aは、第1音信号S1を受け取ると、第1音信号S1を増幅して第2音信号S2を生成する(ステップS4)。続いて、増幅部92aは、第2音信号S2を遅延部92bに出力する。遅延部92bは、第2音信号S2を受け取ると、第2音信号S2を所定時間遅延し(ステップS5)、遅延後の第2音信号S2を、スピーカ25および26に出力する(ステップS6)。スピーカ25および26の各々は、遅延後の第2音信号S2を受け取ると、第2音信号S2に応じた音を出力する(ステップS7)。
【0027】
本実施形態によれば、2列目の座席の使用者は、3列目の座席に対応するスピーカ25および26から出力された1列目の座席の使用者の声を、先行音効果によって、2列目の座席に対応するスピーカ23および24から出力された声と感じることができる。このため、2列目の座席の使用者が、1列目の座席の使用者の声を、3列目の座席に対応するスピーカ25および26から聞いていると感じた場合に覚える違和感を抑制することが可能になる。
【0028】
また、2列目の座席に対応するスピーカ23および24から出力される音の音量が、3列目の座席に対応するスピーカ25および26から出力される音の音量よりも小さい。このため、1列目の座席に対応するマイク11と、2列目の座席に対応するスピーカ23および24との間でハウリングが生じ難くすることが可能になる。また、1列目の座席の使用者の声は、スピーカ23〜26の各々から出力されるので、スピーカ23および24から出力される音の音量が小さくても、2列目の座席の使用者は、1列目の座席の使用者の声を、会話アシストシステム1の有するスピーカを通じて聞き取ることが可能になる。
【0029】
<第2実施形態>
図4は、本発明の第2実施形態に係る音信号処理装置3Aを示した図である。音信号処理装置3Aは、受付部10aとノイズ音検出マイク10bと制御部94とを有する点で、音信号処理装置3と異なる。
【0030】
受付部10aは、例えば、操作ボタンまたはタッチパネルであり、使用者による操作を受け付ける。
受付部10は、例えば、座席53の使用者および座席54の使用者のいずれもいない旨の第1情報と、座席53の使用者および座席54の使用者のいずれかがいる旨の第2情報と、を受け付ける。受付部10は、第1情報を受け付けると、第1情報を制御部94に出力し、第2情報を受け付けると、第2情報を制御部94に出力する。
また、受付部10は、例えば、座席55の使用者および座席56の使用者のいずれもいない旨の第3情報と、座席55の使用者および座席56の使用者のいずれかがいる旨の第4情報と、を受け付ける。受付部10は、第3情報を受け付けると、第3情報を制御部94に出力し、第4情報を受け付けると、第4情報を制御部94に出力する。
【0031】
ノイズ音検出マイク10bは、車室100aに配置され、車室100aにおけるノイズ音(例えば、ロードノイズおよびエンジン音ノイズ)を検出する。なお、車室100aにおけるノイズ音は、ロードノイズおよびエンジン音ノイズに限らない。ノイズ音検出マイク10bは、ノイズ音の検出結果を制御部94に出力する。
【0032】
制御部94は、第1制御部および第2制御部の一例である。例えば、制御部94は、座席53の使用者および座席54の使用者の有無に応じて、第1音信号S1のスピーカ23および24への出力を禁止するか否かを制御する。また、制御部94は、車室100aにおけるノイズ音に応じて、第1音信号S1のスピーカ23および24への出力を禁止するか否かを制御する。
【0033】
制御部94は、スイッチ94aおよび94bと、出力制御部94cとを含む。
スイッチ94aは、第1出力部91と、スピーカ23および24と、の間に設けられている。スイッチ94bは、第1出力部91と第2出力部92との間に設けられている。
【0034】
出力制御部94cは、受付部10aから第1情報(座席53の使用者および座席54の使用者のいずれもいない旨の第1情報)を受け取ると、スイッチ94aをオフにして第1音信号S1のスピーカ23および24への出力を禁止する。このため、座席53の使用者および座席54の使用者のいずれもいない状況で、スピーカ23とスピーカ24から必要性の低い音を出力することを抑制可能になる。
【0035】
また、出力制御部94cは、受付部10aから第2情報(座席53の使用者および座席54の使用者のいずれかがいる旨の第2情報)を受け取ると、スイッチ94aをオンにして第1音信号S1のスピーカ23および24への出力を許容し、かつ、スイッチ94bをオンにして第1音信号S1の第2出力部92への出力を許容する。このため、2列目の座席53および54の使用者は、スピーカ25および26から出力された1列目の座席51および52の使用者の声を、先行音効果によってスピーカ23および24から出力されたと感じることができる。
【0036】
出力制御部94cは、受付部10aから第1情報を受け取った状況で第3情報(座席55の使用者および座席56の使用者のいずれもいない旨の第3情報)を受け取ると、スイッチ94bをオフにして第1音信号S1のスピーカ25および26への出力を禁止する。このため、座席53〜56の使用者のいずれもいない状況で、座席53〜56に対応するスピーカ23〜26から必要性の低い音を出力することを抑制可能になる。
【0037】
出力制御部94cは、受付部10aから第2情報を受け取った状況で第3情報を受け取ると、スイッチ94aおよび94bをオンにしたままとする。なお、出力制御部94cは、第3情報を受け取ると、スイッチ94bをオフにしてもよい。
【0038】
出力制御部94cは、受付部10aから第4情報(座席55の使用者および座席56の使用者のいずれかがいる旨の第4情報)を受け取ると、スイッチ94bをオンにする。このため、3列目の座席55および56の使用者は、スピーカ25および26から出力された1列目の座席51および52の使用者の声を聞くことができる。
【0039】
また、出力制御部94cは、ノイズ音検出マイク10bからノイズ音の検出結果を受け取ると、ノイズ音が閾値以上であるか否かを判断する。ノイズ音が閾値未満である場合、つまり、車室100a内が静かで音信号処理装置3の実行する会話アシストの必要性が低い場合、出力制御部94cは、スイッチ94aおよび94bをオフする。
【0040】
<変形例>
以上の各実施態様は多様に変形され得る。具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様は相矛盾しない限り適宜に併合され得る。
【0041】
<変形例1>
各実施形態は、1列目の座席の使用者の声を2列目および3列目の座席の使用者に伝えるシステム(1列目優先システム)であったが、3列目の座席の使用者の声を1列目および2列目の座席の使用者に伝えるシステム(3列目優先システム)となるように各実施形態が変形されてもよい。
例えば、マイク11とマイク12とが前後逆になり、スピーカ21および22と、スピーカ25および26とが前後逆になる。この場合、座席55および56が第1座席の一例となり、座席51および52が第1座席の前方に位置する第2座席の一例となる。
【0042】
<変形例2>
座席51および52の少なくとも一方の前方に座席が配置されてもよい。座席51と座席53との間に座席が配置されてもよい。座席52と座席54との間に座席が配置されてもよい。座席53と座席55との間に座席が配置されてもよい。座席54と座席56との間に座席が配置されてもよい。座席55および56の少なくとも一方の後方に座席が配置されてもよい。一つの座席列(例えば、1列目の座席)に含まれる座席の数は適宜変更可能である。
【0043】
<変形例3>
図2または
図4において、遅延部92bは、増幅部92aの後段ではなく増幅部92aの前段に位置してもよい。
【0044】
<変形例4>
図2または
図4において、スピーカ23および24のいずれか一方の前段に、逆相信号生成部93bと同様の逆位相信号生成部が設けられてもよい。また、
図2または
図4において、スピーカ25および26のいずれか一方の前段に、逆相信号生成部93bと同様の逆位相信号生成部が設けられてもよい。
【0045】
<変形例5>
出力制御部94cは、ノイズ音が閾値以上である場合、ノイズ音が大きいほど増幅部92aの増幅度を大きくしてもよい。また、出力制御部94aは、スイッチ94aおよび94bの両方をオフにする代わりに、第1出力部91の動作を停止してもよい。
【0046】
<変形例6>
受付部10aとノイズ音検出マイク10bのいずれかが省略されてもよい。
【0047】
<変形例7>
座席53および54に圧力センサが配置され、この圧力センサの出力が特定値以上の圧力を示す場合(例えば、座席53または54に使用者が座った場合)、出力制御部94cは、第2情報を受け取ったときと同様に動作してもよい。また、この圧力センサの出力が特定値未満の圧力を示す場合(例えば、座席53および54のいずれにも使用者が座っていない場合)、出力制御部94cは、第1情報を受け取ったときと同様に動作してもよい。
【0048】
また、座席55および56に圧力センサが配置され、この圧力センサの出力が特定値以上の圧力を示す場合(例えば、座席55または56に使用者が座った場合)、出力制御部94cは、この圧力センサの出力を、第4情報の代わりに用いてもよい。また、この圧力センサの出力が特定値未満の圧力を示す場合(例えば、座席55および56のいずれにも使用者が座っていない場合)、出力制御部94cは、この圧力センサの出力を、第3情報の代わりに用いてもよい。
【0049】
<変形例8>
処理部9がプロクラムを読み取り実行することによって実現される要素の全部または一部は、例えばFPGA(field programmable gate array)またはASIC(Application Specific IC)等の電子回路によりハードウェアで実現されてもよい。
【0050】
<各実施形態および各変形例の少なくとも1つから把握される態様>
上述した各実施形態および各変形例の少なくとも1つから以下の態様が把握される。
本発明に係る音信号処理装置の一態様は、第1座席と前記第1座席の前方または後方に位置する第2座席との間に位置する第3座席に対して配置された第1スピーカへ、前記第1座席に対して配置されたマイクの出力信号に応じた第1音信号を出力する第1出力部と、前記第2座席に対して配置された第2スピーカへ、前記第1音信号に応じた第2音信号を、前記第1音信号の出力タイミングよりも遅いタイミングで出力する第2出力部と、を含むことを特徴とする。
この態様によれば、第1座席と第2座席の間の第3座席の使用者は、第1座席に対して配置されたマイクの出力信号に応じた音を、第3座席に対して配置された第1スピーカから聞いた後、第2座席に対して配置された第2スピーカから聞くことになる。このため、第3座席の使用者は、先行音効果により、第2スピーカから聞こえてくる音も第1スピーカから聞こえてくるように感じ、第3座席の使用者が違和感を覚え難くすることが可能になる。よって、3列以上の座席を持つ車両において会話をアシストできない状況の発生を抑制することが可能になる。
【0051】
上述した音信号処理装置の一態様において、前記第1音信号が示す音の音量は、前記第2音信号が示す音の音量よりも小さいことが望ましい。
この態様によれば、第1スピーカが第2スピーカよりも大きい音量で音を出力する場合に比べて、ハウリングを抑制することが可能になる。
【0052】
上述した音信号処理装置の一態様において、前記第1座席と前記第2座席と前記第3座席は車室に配置され、前記第2座席は前記第1座席の後方に位置することが望ましい。
この態様によれば、第3座席の使用者は、先行音効果により、後方の第2スピーカから聞こえてくる前方の第1座席の使用者の声も、第3座席に対応する第1スピーカから聞こえてくるように感じ違和感を覚え難くすることが可能になる。
【0053】
本発明に係る音信号処理装置の他の態様は、第1座席と前記第1座席の前方または後方に位置する第2座席との間に位置する第3座席に対して配置された第1スピーカへ、前記第1座席に対して配置されたマイクの出力信号に応じた第1音信号を出力する第1出力部と、前記第1音信号に応じて前記第1スピーカから出力される音の音量が、前記第2座席に対して配置された第2スピーカから出力される音の音量よりも小さくなるように、前記第2スピーカへ前記第1音信号に応じた第2音信号を出力する第2出力部と、を含むことを特徴とする。
この態様によれば、第1スピーカが第2スピーカよりも大きい音量で音を出力する場合に比べて、マイクと第1スピーカとの間でハウリングが生じ難くすることが可能になる。よって、3列以上の座席を持つ車両において会話をアシストできない状況の発生を抑制することが可能になる。
【0054】
上述した音信号処理装置の一態様において、前記第3座席の使用者の有無に応じて、前記第1音信号の前記第1スピーカへの出力を禁止するか否かを制御する第1制御部を含むことが望ましい。
この態様によれば、例えば、第3座席の使用者がいない場合には、必要性が低い第3座席の使用者への第1スピーカからの音の出力を抑制することが可能になる。
【0055】
上述した音信号処理装置の一態様において、前記第1座席と前記第2座席と前記第3座席は、車室に配置され、前記車室におけるノイズ音に応じて、前記第1音信号の前記第1スピーカへの出力を禁止するか否かを制御する第2制御部を含むことが望ましい。
この態様によれば、例えば、車室におけるノイズ音が小さく、マイクとスピーカを利用しなくても、第1座席の使用者の声を、第3座席の使用者が聞き取れる場合、必要性が低い第3座席の使用者への第1スピーカからの音の出力を抑制することが可能になる。