特許第6880946号(P6880946)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6880946
(24)【登録日】2021年5月10日
(45)【発行日】2021年6月2日
(54)【発明の名称】配電盤
(51)【国際特許分類】
   H02B 11/133 20060101AFI20210524BHJP
   H02B 1/16 20060101ALI20210524BHJP
【FI】
   H02B11/133 A
   H02B1/16 Z
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-73896(P2017-73896)
(22)【出願日】2017年4月3日
(65)【公開番号】特開2018-182788(P2018-182788A)
(43)【公開日】2018年11月15日
【審査請求日】2020年3月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】北村 高晃
【審査官】 内田 勝久
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−081267(JP,A)
【文献】 特開2001−136614(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第101136539(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02B 1/00 − 1/38
H02B 1/46 − 11/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続端子と、被接続部と、前記接続端子及び前記被接続部の接続状態を切り換え可能となるように移動する引出形遮断器と、前記被接続部を接地状態及び非接地状態に切り換え可能な接地用開閉器と、を筐体の内部に備え、
前記筐体に備えられた接地用挿入口に、接地用操作ハンドルを挿入して操作することにより、前記接地用開閉器を介して前記被接続部の接地状態及び非接地状態を切り換える配電盤であって、
前記接地用操作ハンドルを前記接地用挿入口に挿入不能とする挿入不能位置及び前記接地用操作ハンドルを前記接地用挿入口に挿入可能とする挿入可能位置に移動可能な接地用シャッターと、前記引出形遮断器の移動とともに移動するシャッター係止部と、を備え、
前記シャッター係止部は、前記引出形遮断器の移動により前記接続端子と前記被接続部とが非接続状態となった場合、前記挿入可能位置への前記接地用シャッターの到達を可能とする位置に配置され、前記接続端子と前記被接続部とが接続状態となった場合、前記挿入可能位置への前記接地用シャッターの到達を不能とする位置に配置され
前記筐体は、遮断器用操作ハンドルが挿入される遮断器用挿入口と、前記遮断器用挿入口に遮断器用操作ハンドルを挿入不能とする挿入不能位置及び前記遮断器用操作ハンドルを前記遮断器用挿入口に挿入可能とする挿入可能位置に移動可能な遮断器用シャッターと、前記接地用挿入口を介して前記接地用操作ハンドルの先端部が挿入可能となる筒状部と、を備え、
前記筒状部は、前記接地用開閉器を介して前記被接続部を前記接地状態とする接地位置と、前記被接続部を前記非接地状態とする非接地位置とに移動可能であり、
前記筒状部には、前記筒状部の移動とともに移動可能に係止板が固定され、
前記係止板は、前記筒状部が前記接地位置にある場合は、前記遮断器用シャッターの移動経路上にあり、前記遮断器用シャッターの前記挿入可能位置への到達を不能とし、前記筒状部が前記非接地位置にある場合は、前記遮断器用シャッターの前記挿入可能位置への到達を可能とする位置にあることを特徴とする配電盤。
【請求項2】
前記接地用シャッターには、前記シャッター係止部が係止される係止部が突出するように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の配電盤。
【請求項3】
接続端子と、被接続部と、前記接続端子及び前記被接続部の接続状態を切り換え可能となるように移動する引出形遮断器と、前記被接続部を接地状態及び非接地状態に切り換え可能な接地用開閉器と、を筐体の内部に備え、
前記筐体に備えられた接地用挿入口に、接地用操作ハンドルを挿入して操作することにより、前記接地用開閉器を介して前記被接続部の接地状態及び非接地状態を切り換える配電盤であって、
前記筐体は、遮断器用操作ハンドルが挿入される遮断器用挿入口と、前記遮断器用挿入口に遮断器用操作ハンドルを挿入不能とする挿入不能位置及び前記遮断器用操作ハンドルを前記遮断器用挿入口に挿入可能とする挿入可能位置に移動可能な遮断器用シャッターと、前記接地用挿入口を介して前記接地用操作ハンドルの先端部が挿入可能となる筒状部と、を備え、
前記筒状部は、前記接地用開閉器を介して前記被接続部を前記接地状態とする接地位置と、前記被接続部を前記非接地状態とする非接地位置とに移動可能であり、
前記筒状部には、前記筒状部の移動とともに移動可能に係止板が固定され、
前記係止板は、前記筒状部が前記接地位置にある場合は、前記遮断器用シャッターの移動経路上にあり、前記遮断器用シャッターの前記挿入可能位置への到達を不能とし、前記筒状部が前記非接地位置にある場合は、前記遮断器用シャッターの前記挿入可能位置への到達を可能とする位置にあることを特徴とする配電盤。
【請求項4】
筒状の本体部を備え、
前記筒状部は、前記本体部の外周に嵌合し、前記本体部に対して前記本体部の中心軸に沿った方向に移動可能に設けられ、前記本体部の中心軸に沿った方向の前記接地用挿入口側に付勢され、外周面に凸部を有し、
前記筒状部の外周には、環状のロック板が嵌合されており、
前記ロック板の内周には、前記凸部が嵌合される切欠き状の第一の凹部と第二の凹部とが同一円周上に形成され、
前記ロック板は、前記接地用挿入口を介して前記接地用操作ハンドルを前記筒状部に挿入して前記付勢方向とは逆方向に前記筒状部を押圧した際に前記第一の凹部又は第二の凹部に嵌合されている凸部の嵌合が外れるように、前記本体部に対して固定されており、
前記凸部は、前記筒状部が前記接地位置にある場合は、前記第二の凹部に嵌合し、前記筒状部が前記非接地位置にある場合は、前記第一の凹部に嵌合し、それぞれの状態が保持されることを特徴とする請求項に記載の配電盤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インタロック機構を備えた配電盤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、配電盤には、開閉扉付きの筐体の内部に引出形遮断器を移動可能に備えたものがある(例えば、特許文献1参照)。この配電盤では、引出形遮断器を移動させることにより、電源と負荷側機器との接続状態を切り換えるようにしている。また、配電盤には、インタロック機構が備えられている。インタロック機構は、電源と負荷側機器とが接続状態または接続途中状態となる位置に引出形遮断器があるときに開閉扉が開かないようにするものである。配電盤は、このようにすることで、電源と負荷側機器とが接続状態または接続途中状態であるときに万一短絡事故が発生しても配電盤外部の人体を保護することが出来る。
【0003】
また、配電盤には、負荷側機器を接地状態と非接地状態とに切り換え可能な接地用開閉器を筐体内に備えたものがある(例えば、特許文献2参照)。配電盤は、筐体内に引出形遮断器を備えているとともに、筐体に開閉扉を備えている。この配電盤においては、負荷側機器が接地状態のとき、接地用開閉器の操作口をシャッターで塞ぎ、鍵で施錠することによりこの状態を保持することが可能である。配電盤は、施錠した鍵を使用して、配電盤の扉を開くようにすれば、接地状態の場合のみに配電盤の扉を開くことが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−220070号公報
【特許文献2】国際公開第2014/010110号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述した特許文献1及び特許文献2に記載の配電盤は、引出形遮断器と筐体の扉とのインタロック、もしくは、接地用開閉器と筐体の扉とのインタロックを考慮したものであって、引出形遮断器と接地用開閉器とのインタロックを考慮したものではなかった。即ち、特許文献1及び特許文献2に記載の配電盤には、接地用開閉器を接地状態とした際に、誤って遮断器が運転位置に移動しないようにするという配慮、あるいは、遮断器が運転位置のときに誤って接地用開閉器が接地状態にならないようにするという配慮等は無かった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、引出形遮断器と接地用開閉器とのインタロックを実現する配電盤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る配電盤は、接続端子と、被接続部と、前記接続端子及び前記被接続部の接続状態を切り換え可能となるように移動する引出形遮断器と、前記被接続部を接地状態及び非接地状態に切り換え可能な接地用開閉器と、を筐体の内部に備え、前記筐体に備えられた接地用挿入口に、接地用操作ハンドルを挿入して操作することにより、前記接地用開閉器を介して前記被接続部の接地状態及び非接地状態を切り換える配電盤であって、前記接地用操作ハンドルを前記接地用挿入口に挿入不能とする挿入不能位置及び前記接地用操作ハンドルを前記接地用挿入口に挿入可能とする挿入可能位置に移動可能な接地用シャッターと、前記引出形遮断器の移動とともに移動するシャッター係止部と、を備え、前記シャッター係止部は、前記引出形遮断器の移動により前記接続端子と前記被接続部とが非接続状態となった場合、前記挿入可能位置への前記接地用シャッターの到達を可能とする位置に配置され、前記接続端子と前記被接続部とが接続状態となった場合、前記挿入可能位置への前記接地用シャッターの到達を不能とする位置に配置されることを特徴とする。
【0008】
本発明に係る配電盤においては、前記接地用シャッターには、前記シャッター係止部が係止される係止部が突出するように形成されているとよい。
【0009】
本発明に係る配電盤においては、前記筐体は、遮断器用操作ハンドルが挿入される遮断器用挿入口と、前記遮断器用挿入口に遮断器用操作ハンドルを挿入不能とする挿入不能位置及び前記遮断器用操作ハンドルを前記遮断器用挿入口に挿入可能とする挿入可能位置に移動可能な遮断器用シャッターと、前記接地用挿入口を介して前記接地用操作ハンドルの先端部が挿入可能となる筒状部と、を備え、前記筒状部は、前記接地用開閉器を介して前記被接続部を前記接地状態とする接地位置と、前記被接続部を前記非接地状態とする非接地位置とに移動可能であり、前記筒状部には、前記筒状部の移動とともに移動可能に係止板が固定され、前記係止板は、前記筒状部が前記接地位置にある場合は、前記遮断器用シャッターの移動経路上にあり、前記遮断器用シャッターの前記挿入可能位置への到達を不能とし、前記筒状部が前記非接地位置にある場合は、前記遮断器用シャッターの前記挿入可能位置への到達を可能とする位置にあるとよい。
【0010】
本発明に係る配電盤は、接続端子と、被接続部と、前記接続端子及び前記被接続部の接続状態を切り換え可能となるように移動する引出形遮断器と、前記被接続部を接地状態及び非接地状態に切り換え可能な接地用開閉器と、を筐体の内部に備え、前記筐体に備えられた接地用挿入口に、接地用操作ハンドルを挿入して操作することにより、前記接地用開閉器を介して前記被接続部の接地状態及び非接地状態を切り換える配電盤であって、前記筐体は、遮断器用操作ハンドルが挿入される遮断器用挿入口と、前記遮断器用挿入口に遮断器用操作ハンドルを挿入不能とする挿入不能位置及び前記遮断器用操作ハンドルを前記遮断器用挿入口に挿入可能とする挿入可能位置に移動可能な遮断器用シャッターと、前記接地用挿入口を介して前記接地用操作ハンドルの先端部が挿入可能となる筒状部と、を備え、前記筒状部は、前記接地用開閉器を介して前記被接続部を前記接地状態とする接地位置と、前記被接続部を前記非接地状態とする非接地位置とに移動可能であり、前記筒状部には、前記筒状部の移動とともに移動可能に係止板が固定され、前記係止板は、前記筒状部が前記接地位置にある場合は、前記遮断器用シャッターの移動経路上にあり、前記遮断器用シャッターの前記挿入可能位置への到達を不能とし、前記筒状部が前記非接地位置にある場合は、前記遮断器用シャッターの前記挿入可能位置への到達を可能とする位置にあることを特徴とする。
【0011】
本発明に係る配電盤においては、筒状の本体部を備え、前記筒状部は、前記本体部の外周に嵌合し、前記本体部に対して前記本体部の中心軸に沿った方向に移動可能に設けられ、前記本体部の中心軸に沿った方向の前記接地用挿入口側に付勢され、外周面に凸部を有し、前記筒状部の外周には、環状のロック板が嵌合されており、前記ロック板の内周には、前記凸部が嵌合される切欠き状の第一の凹部と第二の凹部とが同一円周上に形成され、
前記ロック板は、前記接地用挿入口を介して前記接地用操作ハンドルを前記筒状部に挿入して前記付勢方向とは逆方向に前記筒状部を押圧した際に前記第一の凹部又は第二の凹部に嵌合されている凸部の嵌合が外れるように、前記本体部に対して固定されており、前記凸部は、前記筒状部が前記接地位置にある場合は、前記第二の凹部に嵌合し、前記筒状部が前記非接地位置にある場合は、前記第一の凹部に嵌合し、それぞれの状態が保持されるとよい。
【発明の効果】
【0012】
上述の構成によれば、接続端子と被接続部とが接続状態となる位置に引出形遮断器がある場合には、接地用ハンドルの接地用挿入口への挿入が接地用シャッターによって不能とされている。更に、シャッター係止部が接地用シャッターの挿入可能位置への移動を妨げるので、接地用挿入口を挿入可能状態とすることができない。従って、接続端子と被接続部とが接続状態となる位置に引出形遮断器がある場合には、被接続部の切り替え操作を行うことができない。
【0013】
また、上述の構成によれば、被接続部が接地状態にある場合は、遮断器用シャッターが挿入不能位置から挿入可能位置へ移動する経路に係止板が存在し、遮断器用シャッターの挿入可能位置への移動を不能とする。従って、被接続部が接地状態にある場合は、引出形遮断器の切り替え操作を行うことができない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本発明の実施の形態である配電盤の正面図である。
図2図2は、図1におけるA−A線断面図である。
図3図3は、図1におけるB−B線断面図である。
図4図4は、図1に示した配電盤のインタロック機構を示す要部拡大断面側面図である。
図5図5は、図1に示した配電盤の接地用シャッターが挿入可能位置にある場合の説明図である。
図6図6は、図1に示した配電盤の接地用シャッターが挿入不能位置にある場合の説明図である。
図7図7は、図2におけるC−C線断面図である。
図8図8は、図1に示した配電盤の遮断器用シャッターと係止板の位置関係を示す要部拡大断面正面図である。
図9図9は、図1に示した配電盤の接地用操作軸の前端部を示す要部拡大断面側面図である。
図10図10は、図1に示した配電盤の接地用操作軸の前端部を示す要部拡大断面側面図である。
図11図11は、図1に示した配電盤の接地用操作軸の前端部に接地用操作ハンドルを挿入して押圧した状態を示す要部拡大断面側面図である。
図12図12は、図9におけるE−E線断面図である。
図13図13は、図9におけるF−F線断面図である。
図14図14は、図1に示した配電盤の係止板を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る配電盤の好適な実施形態について図1図14に基づいて詳細に説明する。この実施形態では、説明の便宜上、配電盤の正面側を前側、背面側を後側として説明する。
【0016】
配電盤1は、筐体2と、接地用開閉器5と、接地用操作軸6と、を備えている。筐体2は、直方体状の箱体であり、前面に扉2bを備えている。筐体2の扉2bには、遮断器用挿入口11と、遮断器用シャッター7とが配設され、筐体2には、接地用挿入口12と、接地用シャッター8とが配設されている。遮断器用挿入口11は、遮断器用操作ハンドルが挿入される部分である。接地用挿入口12は、接地用操作ハンドルHが挿入される部分である。
【0017】
遮断器用シャッター7は、板状に形成されている。遮断器用シャッター7は、扉2bに対して左右方向にスライド移動可能に備えられている。遮断器用シャッター7は、遮断器用挿入口11を閉塞する位置(挿入不能位置)と開放する位置(挿入可能位置)とに移動可能に設けられている。挿入不能位置は、遮断器用操作ハンドルを遮断器用挿入口11に挿入不能とする位置である。挿入可能位置は、遮断器用操作ハンドルを遮断器用挿入口11に挿入可能とする位置である。
【0018】
接地用シャッター8は、板状に形成されている。接地用シャッター8は、筐体2に対して左右方向にスライド移動可能に備えられている。接地用シャッター8は、接地用挿入口12を閉塞する位置(挿入不能位置)と開放する位置(挿入可能位置)とに移動可能に設けられている。挿入不能位置は、接地用操作ハンドルHを接地用挿入口12に挿入不能とする位置である。挿入可能位置は、接地用操作ハンドルHを接地用挿入口12に挿入可能とする位置である。接地用シャッター8の背面には、図4に示すように、係止用凸部71(係止部)が背面側に突出するように形成されている。係止用凸部71は、接地用シャッターの上部の一部を後方に折り曲げた形状に形成されている。
【0019】
筐体2内には、手前側に載置台2aが配設され、奥側上方に、被接続部3が配設され、その下方に、接地用開閉器5が配設されている。載置台2a上には、引出形遮断器4が載置されている。載置台2aには、載置台2aの上部から垂下されるように固定部25が配設されている。
【0020】
被接続部3は、筐体2内の載置台2aよりも上方であって引出形遮断器4よりも後方に備えられている。被接続部3は、後述する接続端子15,16が着脱可能にプラグインされる開口部を有している。開口部は、筐体2の前面に向けて開口している。被接続部3は、負荷側被接続部13と電源側被接続部14とを有している。負荷側被接続部13の上に電源側被接続部14が配設されている。負荷側被接続部13は、外部の負荷側機器と電気的に接続される部分である。電源側被接続部14は、外部の電源と接続される部分である。
【0021】
引出形遮断器4は、直方体状の台部4aと、台部4aの前端部から上方に向けて延在した部分4bとを備えている。台部4aの下面四隅にはそれぞれ車輪17が設けられている。引出形遮断器4は、車輪17を介して筐体2の載置台2aに載置され、前後に移動することが可能である。引出形遮断器4の上方に向けて延在した部分4bの背面側には、2つの接続端子として負荷側接続端子15及び電源側接続端子16が設けられている。
【0022】
負荷側接続端子15と、電源側接続端子16とは、それぞれ接続部が後方を向くように配設されている。負荷側接続端子15は、負荷側被接続部13に対向するように設けられ、電源側接続端子16は、電源側被接続部14に対向するように設けられている。引出形遮断器4が載置台2a上の前方に設定した断路位置に配置された場合には、被接続部4と接続端子15,16との間が離隔した状態にある。一方、引出形遮断器4を後方の運転位置に移動させると、負荷側接続端子15が負荷側被接続部13に接続し、電源側接続端子16が電源側被接続部14に接続される。
【0023】
引出形遮断器4が断路位置の際の台部4aの底部下方には、図4に示すように、インタロック機構である第一インタロック部材22と第二インタロック部材23(シャッター係止部)と回転板24とが設置され、引き出し型遮断器4が運転位置に移動した際引き出し型遮断器の底板21がインタロック部材22を下方に押圧して動作する構成としている。
【0024】
第一インタロック部材22は、直方体状に形成されている。第一インタロック部材22は、図4に示すように、上下方向に延在し、一定範囲内を上下動可能に固定部25に配設されている。第一インタロック部材22は、上限に位置する場合、その上部が、載置台2aの上面より上方に突出するように配設されている。第一インタロック部材22は、上方に付勢されている。引出形遮断器4が断路位置から運転位置へ移動すると、その過程で引き出し型遮断器4の底板21が第一インタロック部材22の上面を下方に押圧し、第一インタロック部材22を下方に移動させる。引出形遮断器4が運転位置から断路位置に移動すると、引き出し型遮断器4の底板21も後方から前方に移動し、第一インタロック部材22は、底板21の押圧から開放され、上限まで移動する。
【0025】
第二インタロック部材23は、棒状に形成され、第一インタロック部材22の前側に配置されている。第二インタロック部材23は、前後方向に延在し、一定範囲内を前後方向に移動可能に固定部25に配設されている。第二インタロック部材23は、後端部が回転板24を介して第一インタロック部材22と連結されている。第二インタロック部材23の前端部は、引出形遮断器4が運転位置のとき、接地用シャッター8の移動経路に存在する。第二インタロック部材23の前端部は、引出形遮断器4が運転位置のとき、接地用シャッター8の挿入可能位置への到達を不能とする位置に配置される。第二インタロック部材23は、引出形遮断器4が断路位置にあるとき、第二インタロック部材23全体が、接地用シャッター8の移動経路から退避した位置に存在する。第二インタロック部材23は、引出形遮断器4が断路位置にあるとき、接地用シャッター8の挿入可能位置への到達を可能とする位置に配置される。
【0026】
回転板24は、第一インタロック部材22の前側であって、第二インタロック部材23の後側に配設されている。回転板24には、第一支軸31と第二支軸32と回転軸33とが、互いに平行に設けられている。第一支軸31、第二支軸32及び回転軸33は、第一支軸31及び回転軸33を結ぶ直線と、第二支軸32及び回転軸33を結ぶ直線と、が略90度で交差する位置に配設されている。回転板24は、第一支軸31を介して第一インタロック部材22と連結され、第二支軸32を介して第二インタロック部材23の後端部と連結されている。回転板24は、回転軸33を中心に回転する。回転板24は、回転軸33によって筐体2の固定部25に軸支されている。回転板24が、回転軸33を中心に回転するのに伴い、第一支軸31は上下動し、第二支軸32は前後動する。従って、回転板24が回転するのに伴い、第一インタロック部材22は上下動し、第二インタロック部材23は前後動する。
【0027】
接地用開閉器5は、被接続部3を接地状態及び非接地状態に切り換えるものである。ここで、接地状態とは、負荷側被接続部13が接地された状態をいい、非接地状態とは、負荷側被接続部13が接地されてない非接地の状態をいう。接地用開閉器5が「開」の状態のときは非接地状態であり、「閉」のときは接地状態である。接地用開閉器5は、接地用挿入口12に接地用操作ハンドルHを挿入して操作する。
【0028】
接地用操作軸6は、載置台2aの上面よりも下側に配設され、前後方向に延在している。接地用操作軸6の後端部は、接地用開閉器5と接続されている。接地用操作軸6を回転させると接地用開閉器5が開閉する。接地用操作軸6の前側端部には、接地用挿入口12を介して接地用操作ハンドルHが着脱可能な筒状の嵌合部40(本体部)が形成されている。嵌合部40の外周には、接地用操作軸6と一体に回転可能に筒状部41が嵌合されている。
【0029】
筒状部41は、図10図11に示すように、嵌合部40に対して嵌合部40の中心軸に沿った方向に移動可能に設けられている。筒状部41は、嵌合部40の中心軸に沿った方向の接地用挿入口12側にバネ44によって付勢されている。筒状部41は、接地用操作軸6の前側方向にバネ44によって付勢されている。筒状部41の前側開口には、接地用挿入口12を介して接地用操作ハンドルHの先端部が挿入可能である。筒状部41は、接地用開閉器5を介して被接続部3を接地状態とする接地位置と、被接続部3を非接地状態とする非接地位置とに回転移動可能である。
【0030】
筒状部41の前側端部には、板状の係止板42が固定されている。係止板42は、筒状部41の外周から径外方向へ突出するように配設されている。係止板42の表面には、「接地」と「OFF」との表示がされた表示部45が形成されている。表示部45は、前方に向けて配設されている。筒状部41の外周には、突起43(凸部)が2つ設けられている。突起43は、筒状部41が非接地位置では、筒状部41の中心軸を中心として左右方向に対称となるように設けられている。筒状部41の外周には、矩形で環状の第一ロック板51と第二ロック板52とが嵌合されている。
【0031】
第一ロック板51には、図12に示すように、筒状部41が嵌合される嵌合孔61が形成されている。第一ロック板51の内周には、突起43が嵌合される保持用凹部62,63,64,65が形成されている。保持用凹部62,63,64,65は、嵌合孔61内周から外側に向かって切り欠かれた形状に形成されている。保持用凹部62,63,64,65は、十字方向に4つ、第一保持用凹部62(第二の凹部)、第二保持用凹部63(第一の凹部)、第三保持用凹部64(第二の凹部)、第四保持用凹部65(第一の凹部)が設けられている。保持用凹部62,63,64,65は、同一円周上に設けられている。第一ロック板51は、筐体2のロック板固定部53に固定されている。
【0032】
第二ロック板52には、図13に示すように、筒状部41が嵌合される嵌合孔66が形成されている。第二ロック板52の内周には、突起43が挿入される第二凹部67が形成されている。第二凹部67は、嵌合孔66内周から外側に向かって切り欠かれた形状に形成されている。第二凹部67は、中心角が90度の円弧状に切り欠かれた形状である。第二凹部67は、接地用操作軸6の中心軸を中心とした対称な位置に2か所形成されている。第二ロック板52は、筐体2のロック板固定部53に固定されている。
【0033】
(作用)
引出形遮断器4が運転位置にあるときには、被接続部3は、非接地状態である。また、接地用シャッター8は、挿入不能位置にある。そして、第二インタロック部材23が、接地用シャッター8の挿入可能位置への移動を妨げる位置にある。即ち、図3及び図6に示すように、第二インタロック部材23の前端部が、接地用シャッター8の係止用凸部71の移動経路に存在し、接地用シャッター8の挿入可能位置への移動を不能としている。従って、引出形遮断器4が運転位置にあるときには、被接続部3を接地状態とすることができない。よって、誤って接地することを防止することができる。
【0034】
この状態から、遮断器用ツマミ72を操作して、遮断器用シャッター7を挿入可能位置へ移動させ、遮断器用挿入口11に遮断器用操作ハンドルを挿入する。その状態で、遮断器用操作ハンドルを回転させると、引出形遮断器4が後方の運転位置から前方の断路位置に移動する。その際には、引き出し型遮断器4の底板21で下方へ押圧していた第一インタロック部材22が上方へバネにより復帰する。それに伴い、回転板24が回転軸33を中心に図3において時計回りに回転し、第二インタロック部材23が後方に移動する。従って、引出形遮断器4が断路位置にある場合は、第二インタロック部材23が、図4に示すように、接地用シャッター8から離れた位置にあり、接地用ツマミ73を操作して接地用シャッター8を挿入不能位置から挿入可能位置へ移動させることができる。
【0035】
この状態で、遮断器用操作ハンドルを抜き出し、遮断器用ツマミ72を操作して遮断器用シャッター7を挿入不能位置に移動する。その後に、接地用シャッター8を挿入不能位置から挿入可能位置へ移動させ、接地用操作ハンドルHを接地用挿入口12に挿入する。非接地状態では、突起43が第一ロック板51にある保持用凹部63,65により嵌合されており、接地状態に操作できないが、接地用操作ハンドルHを挿入方向へ突起43を第二ロック板52の位置まで押圧すると、突起43と保持用凹部63,65との嵌合が外れ、接地用操作軸6を90°右回転することが可能となる。第二ロック板52の位置まで押圧すると突起43は第二凹部67に挿入された状態となり、この状態では、接地用操作軸6を最大90度右回転させることが可能となる。接地用操作ハンドルHを挿入方向へ押圧した状態で、接地用操作ハンドルHを回転させて接地用操作軸6を90度回転させると、接地用開閉器が「閉」となり、被接続部3が接地状態となる。このとき、筒状部41は接地位置となり、係止板42の端部が、図7において2点鎖線で示すように、遮断器用シャッター7の移動経路に存在する状態となる。この状態では、遮断器用シャッター7は、挿入可能位置へ到達不能である。この状態では、表示部45の接地という表示が表示位置に配置される。
【0036】
従って、被接続部3が接地状態のときに、誤って、引出形遮断器4を運転位置とすることを防止することができ、地絡を防止することができる。また、この時、接地用操作ハンドルHを挿入方向に押圧することをやめると、筒状部41が前側に付勢されているので、突起43が保持用凹部62,64に嵌合することとなり、接地用操作ハンドルH及び接地用操作軸6を回転することができなくなる。従って、この状態が保たれることになる。
【0037】
この状態から、引出形遮断器4を運転位置に移動させるには、再び、接地用操作ハンドルHを接地用挿入口12に挿入し、接地用操作ハンドルHを挿入方向へ押圧しながら、先程とは逆回りに90度左回転させる。そうすると、接地用開閉器5が「開」となり、被接続部3が非接地状態となる。また、筒状部41も非接地位置に位置することとなり、係止板42も90度回転し、図7において実線で示すように、遮断器用シャッター7と干渉しない位置に存在することとなる。即ち、係止板42が、遮断器用シャッター7の挿入可能位置への到達を可能とする位置にある。この状態では、表示部45のOFFという表示が表示位置に配置される。
【0038】
そして、接地用操作ハンドルHを取り外し、接地用シャッター8を挿入不能位置に移動させる。この状態で、遮断器用シャッター7を挿入可能位置に移動させる。そして、遮断器用操作ハンドルを遮断器用挿入口11に挿入し、先程とは逆方向に回転させると、引出形遮断器4が断路位置から運転位置へと移動する。この移動に伴い、引き出し型遮断器4の底板21が第一インタロック部材22を下方に押圧する。第一インタロック部材22は、下方へ移動し、それに伴い回転板24が回転し、第二インタロック部材23が前方に移動する。よって、第二インタロック部材23は、接地用シャッター8の挿入可能位置への移動を妨げる位置に移動する。即ち、接地用シャッター8が挿入可能位置へ移動する際に係止用凸部71が通る経路上に、第二インタロック部材23の前端部が位置する。従って、接地用シャッター8を挿入可能位置へ移動させようとすると、接地用シャッター8の係止用凸部71に第二インタロック部材23の前端部が当接し、接地用シャッター8を挿入可能位置へ移動させることができない。従って、引出形遮断器4が運転位置に位置する場合、被接続部3を接地状態とすることができず、短絡を防止することができる。
【符号の説明】
【0039】
1 配電盤
2 筐体
3 被接続部
4 引出形遮断器
5 接地用開閉器
6 接地用操作軸
7 遮断器用シャッター
8 接地用シャッター
11 遮断器用挿入口
12 接地用挿入口
13 負荷側被接続部
14 電源側被接続部
15 負荷側接続端子
16 電源側接続端子
21 インタロック用凸部
23 第二インタロック部材
42 係止板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14