(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係る管接合装置は、主に2つの管を摩擦攪拌接合する際に使用するものである。以下に、2つの金属管を接合する場合を一例として、本発明に係る管接合装置の実施の形態を説明する。
【0015】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る管接合装置100を金属管内に設置した状態の模式図である。
図1は、端面81、91が突き合わされた金属管80、90の内部に設置された管接合装置100を模式的に表したものである。金属管80、90は、例えば、管軸83、93が水平方向となるように配置されている。ただし、管軸83、93の配置は、水平方向に限定されるものではなく、設置される環境によって金属管80、90の姿勢は適宜変更できる。以下の説明においては、特に、金属管80を既設金属管80、金属管90を新設金属管90として説明する場合がある。既設金属管80は、既に設置された金属管に一方の端部が接合され、固定されている。新設金属管90は、既設金属管80に接合される金属管であり、接合前の状態では両端が固定されていない。なお、金属管80、90は本発明の「管」に相当し、既設金属管80は本発明の「既設管」、新設金属管90は本発明の「新設管」に相当するものである。
【0016】
管接合装置100は、例えば地下に埋設されるパイプラインに用いられる金属管80、90を接合するために使用される。実施の形態1において、金属管80、90は、鋼管が用いられ、管内圧力に対する強度や耐震性を考慮し、例えば板厚10mm以上の比較的厚肉のものが使用されている。
【0017】
管接合装置100は、金属管80、90の内部に設置され、金属管80、90の内部から接合部99を接合するものである。管接合装置100によれば、外部に設置する器具等を必要とせずに金属管80、90を接合できるため、金属管80、90の接合作業時に接合部99の周辺に大きな空間を設ける必要がない。例えば、地中に埋設されるパイプラインの接合において、接合部99の周辺のみを広く掘削して作業空間を確保する必要がなく、パイプラインの敷設に掛かる作業時間を減少させることができる。
【0018】
管接合装置100は、接合ツール40が設けられた装置本体70を備える。接合ツール40は、先端部にプローブ41を備える。プローブ41は、高速で回転し接合部99に押し込まれ、接合部99を構成する材料とプローブ41との摩擦熱を利用して接合するものである。装置本体70には、回転機構74が設けられている。回転機構74は、接合ツール40を装置本体70の周りに回転させるものである。回転機構74を装置本体70の周りに回転させることにより、接合ツール40に備えられたプローブ41は、接合部99に押し込まれた状態で接合部99に沿って移動する。プローブ41を金属管80、90の円周方向に接合部99に沿って一周回転させることにより、接合部99は摩擦攪拌接合により接合される。
【0019】
装置本体70は、金属管80の内周面82に接触するローラー50及び金属管80の内周面82に荷重をかけるように構成されている第3クランプ機構30を備える。ローラー50は、金属管80の内径に合わせて装置本体70から外側に突出して設けられている。ローラー50が金属管80の内周面82に接触し、転動することにより、装置本体70は、金属管80の内部を管軸83に沿った方向に容易に移動することができる。第3クランプ機構30は、装置本体70から外側に向かってクランプヘッド31が進退自在に構成されている。クランプヘッド31を金属管80の内周面82に押し付けることにより、装置本体70を金属管80の内部に固定することができる。
【0020】
また、装置本体70は、接合ツール40の近傍に第1クランプ機構10を備える。第1クランプ機構10は、金属管80の接合される端面81に可能な限り近い位置に設けられるのが望ましい。第1クランプ機構10は、装置本体70から外側に突出し進退自在なクランプヘッド11を備える。更に言うと、クランプヘッド11は、回転機構74の回転軌道の半径方向に向かって進退自在に構成されている。クランプヘッド11は、装置本体70を中心として円周方向に均等に配置されている。第1クランプ機構10は、クランプヘッド11を金属管80の内周面82に押し付け、装置本体70を金属管80の内部に固定するものである。望ましくは、第1クランプ機構10は、回転機構74の回転中心と金属管80の管軸83が一致する様に装置本体70を固定する。また、クランプヘッド11は、金属管80の端面81に近い位置の内周面82に接触させ、金属管80の内周面82に荷重を加えることにより、金属管80の接合される端部の形状を矯正する。この金属管80の端部の形状矯正工程については後述する。
【0021】
管接合装置100は、装置本体70から金属管80の管軸83に沿った方向に進退自在な軸方向移動部71を有する。換言すると、軸方向移動部71は、装置本体70に対し、回転機構74の回転中心軸に沿った方向に移動自在に構成されている。
【0022】
軸方向移動部71は、第2クランプ機構20を備える。第2クランプ機構20は、軸方向移動部71から外側に突出し進退自在なクランプヘッド21を備える。更に言うと、クランプヘッド21は、回転機構74の回転軌道の半径方向に向かって進退自在に構成されている。クランプヘッド21は、クランプヘッド21を金属管90の内周面92に押し付け、軸方向移動部71に対し金属管90を固定するものである。軸方向移動部71は、第2クランプ機構20に金属管90を固定したまま、第2クランプ機構20を第1クランプ機構10に近づく方向に移動させることができる。管接合装置100は、図示しない駆動部を備え、駆動部は、軸方向移動部71を第2クランプ機構20が第1クランプ機構10に近づけたり遠ざけたりするように移動させる。また、
図1に示されるように、金属管80の端面81と金属管90の端面91とが接触した状態においては、駆動部は、端面同士を押し付ける方向に荷重をかけられるように、装置本体70に軸方向移動部71を引きつける方向に荷重を発生させる。なお、第2クランプ機構20もクランプヘッド21を金属管90の端面91に近い位置の内周面92に接触させ、金属管90の内周面92に荷重を加えることにより、金属管90の接合される端部の形状を矯正する。
【0023】
第2クランプ機構20が第1クランプ機構10に近づく側に移動し、金属管80の端面81と金属管90の端面91とが接触して端面81と端面91との間に互いに押し付けあう荷重がかかっているときには、第2クランプ機構20の中心が、第1クランプ機構10の中心軸と同軸上に位置する様に構成されているのが望ましい。また、第2クランプ機構20の中心軸と第1クランプ機構の中心軸とが同軸上に位置する様に構成されていてもよい。例えば、装置本体70に軸方向移動部71の移動を支持する案内を備え、軸方向移動部71が第1クランプ機構10の中心軸に対しに平行に移動するように構成されている。
【0024】
管接合装置100の金属管90側には管接合装置100を駆動するための電源等を供給するためのケーブル72が接続されている。ケーブル72は、軸方向移動部71側から金属管90の他方の端部に向かって延び、外部に引き出されている。
【0025】
次に、金属管80、90の端部の形状矯正について説明する。
図2は、
図1のA−A断面を示す模式図である。第1クランプ機構10は、ロッド12の先端に取り付けられたクランプヘッド11を、金属管80の内周面82に接触させ、荷重を加えるものである。クランプヘッド11の外周面は、円筒面を任意の数に分割した形状になっている。実施の形態1においては、クランプヘッド11の外周面は、金属管80の内周面82と同じ半径の円筒面を12分割した形状になっている。第1クランプ機構10は、例えば油圧などによりクランプヘッド11を金属管80の内周面に向かって押し付け、内周面82の全周にわたって均一に荷重をかける。なお、第2クランプ機構20も
図2に示される第1クランプ機構10の構造と同様に構成されている。すなわち、
図1のB−B断面も
図2と同様である。
【0026】
図3は、クランプヘッド11と金属管80との接触部の模式図である。
図3は、管軸に沿った方向から金属管80の端面81の一部を見た状態の図である。
図3(a)は、第1クランプ機構10が金属管80の内周面82に接触する前の状態を示している。
図3(b)は、第1クランプ機構10のクランプヘッド11が内周面82に接触した状態、
図3(c)は、クランプヘッド11から内周面82に荷重がかかり、内周面82の形状が矯正された状態を示す。
【0027】
金属管80は、例えば溶接鋼管が用いられる。溶接鋼管は、製造都合上、断面形状が真円に形成されず、内周面82が真円に対し突出している部分と凹んでいる部分とがある。溶接鋼管は、鋼帯を幅方向に円形に変形させ、鋼帯幅方向の端部同士を溶接して形成される。そのため、溶接部の残留応力等の影響等による変形を除去するために溶接鋼管は形状が矯正される。その矯正に用いられる治具の形状により、金属管80の内周面82を詳細に見ると、例えば多角形状にゆがんでいる。
【0028】
図3(a)に示されるような断面形状のまま金属管80と金属管90とを接合した場合、接合部99の内周面及び外周面に段差(食違い)が生じる。接合部99の内周面及び外周面に段差が生じたまま接合すると、金属管80、90の管板厚方向の接合深さ(のど厚)が不均一になり金属管80、90の円周方向の位置によって接合強度にばらつきが生じる。また、接合後に残った段差を起点にして接合した金属管80、90の破損などのおそれがある。従って、実施の形態1に係る管接合装置100のように、金属管80及び金属管90の端部の円筒形状を矯正しつつ、接合部99を摩擦攪拌接合することにより、接合部99に生じる食違いを抑え、良好な継手品質を確保することができる。
【0029】
図3に示されるように、クランプヘッド11の外周面13は、円筒面を円周方向に任意の数で分割した形状になっている。実施の形態1においては、外周面13は、金属管80の内径と等しい円筒面になるように形成されている。
図3(b)に示されるように、クランプヘッド11の外周面13が金属管80の内周面82に接触した状態で内周面82に荷重がかけられていない状態では、クランプヘッド11の外周面13と金属管80の内周面82との間には、接触部84と隙間部85とが形成されている。ここで、第1クランプ機構10は、油圧等の力でクランプヘッド11を金属管80の内周面82に押し付けていく。クランプヘッド11は、金属管80よりも剛性が高く構成されているため、金属管80の内周面82は、次第にクランプヘッド11の外周面13に倣い形状が矯正される。
【0030】
図2に示されるように、クランプヘッド11は、金属管80の内周面82に沿って全周にわたって極力隙間なく複数のクランプヘッド11が並んでいるのが望ましいが、この形態だけに限定されるものではない。各クランプヘッド11は、隣合ったクランプヘッド11との間に所定の間隔を置いて設置されていても良い。また、
図2においては、クランプヘッド11は、円周方向に12等分に配置されているが、この分割数も適宜設定できる。
【0031】
なお、第2クランプ機構20も第1クランプ機構10と同様に構成されており、金属管90の端部の形状がクランプヘッド21の外周面23に倣い矯正される。
【0032】
図4〜
図8は、実施の形態1に係る管接合装置100を使用した金属管接合方法の説明図である。
図4〜
図8を用いて、実施の形態1に係る管接合装置100を使用した金属管接合方法について説明する。
【0033】
図4に示されるように、まず管接合装置100は、既設金属管80の内部に設置される。既設金属管80は、
図4に示されている一方の端面81を新設金属管90の端面91に突き合わせることにより接合部99を形成する。既設金属管80の図示されていない他方の端面は、他の金属管に接合されている。
【0034】
管接合装置100は、装置本体70から外側に突出して設置されるローラー50を備えているため、既設金属管80内部において内周面82にローラー50が接し転動することによって、管軸に沿った方向に移動自在である。このとき、管接合装置100は、プローブ41の先端が既設金属管80の端面81と管軸方向における位置が合うように調節される。
【0035】
プローブ41の先端が適正な位置に配置されたところで、装置本体70に設けられている第3クランプ機構30を既設金属管80の内周面82に接触させ荷重を加える。これにより、装置本体70は、既設金属管80の内周面82に固定される。新設金属管90は、既設金属管80の端面81から突出している軸方向移動部71を端面91側から挿入され、新設金属管90の端面91が既設金属管80の端面81に対向する様に配置されている。新設金属管90は、設置される環境に応じて、例えば、吊り下げた状態で支持したり、又は台の上に支持されるなどして、移動自在に支持されている。
【0036】
図5に示されるように、装置本体70が適正な位置に固定されたところで、第1クランプ機構10を作動させる。第1クランプ機構10は、クランプヘッド11を既設金属管80の内周面82に接触させ荷重をかける。第1クランプ機構10が内周面82を押す荷重は、例えば第3クランプ機構30が内周面82を押す荷重よりも高く設定されており、これにより、第1クランプ機構10の中心が既設金属管80の管軸83上に位置する様に管接合装置100が位置決めされる。管接合装置100が位置決めされると同時に、既設金属管80の内周面82は、クランプヘッド11の外周面13に沿って形状が矯正される。
図4及び
図5に示される管接合装置100を既設金属管80内に設置する工程を管接合装置設置工程と呼ぶ。
【0037】
なお、管接合装置設置工程において、第1クランプ機構10が作動しクランプヘッド11から内周面82に荷重がかかったら、第3クランプ機構30はクランプを解除しても良い。または、クランプヘッド11から内周面82に荷重をかける直前に第3クランプ機構30は荷重を解除しても良い。また、管接合装置100は、装置本体70に第3クランプ機構30を設けずに第1クランプ機構10を設けても良い。第1クランプ機構10は、既設金属管80の端部の形状を矯正するとともに、既設金属管80と装置本体70との位置決めを行うことができれば、ローラー50及び第3クランプ機構30は、実施の形態1に示された形態に限定されず、その他の形態をとることができる。
【0038】
次に、新設金属管90を管接合装置100に固定する。この工程を、新設金属管固定工程と呼ぶ。
図6に示されるように、軸方向移動部71に設けられた第2クランプ機構20を作動させる。第2クランプ機構20も、第1クランプ機構10と同様な構造になっており、クランプヘッド21を新設金属管90の内周面92に接触させ荷重を加える。新設金属管90は、例えば吊り下げられて支持されており、移動自在に支持されている。そのため、クランプヘッド21が内周面92に接触し荷重が加えられることにより、第2クランプ機構20の中心は新設金属管90の管軸93上に来るように新設金属管90の位置が決まる。新設金属管90の位置が決まると同時に、新設金属管90の内周面92は、クランプヘッド21の外周面23に沿って形状が矯正される。
【0039】
管接合装置100に対する新設金属管90の位置が決まると、既設金属管80の端面81と新設金属管90の端面91とを接触させる。この工程を、接合部加圧工程と呼ぶ。
図7に示されるように、管接合装置100は、駆動部により軸方向移動部71を駆動し、第2クランプ機構20を第1クランプ機構10に近づける方向に移動させる。すると、既設金属管80の端面81と新設金属管90の端面91とが接触するが、駆動部は、端面81と端面91とが接触しても軸方向移動部71を駆動しつづけ、所定の荷重で端面81と端面91とを互いに加圧させる。
【0040】
次に、既設金属管80の端面81と新設金属管90の端面91とを押し付けたまま、摩擦攪拌接合を行う。この工程を摩擦攪拌接合工程と呼ぶ。
図8に示されるように、接合ツール40は、プローブ41を金属管80、90の内側から外側に向けて移動させ、プローブ41をプローブ41の中心軸周りに高速回転させると共に、プローブ41を接合部99に押し込む。このとき、
図8に示されるように、接合部99は、プローブ41を押し込まれた位置において、接合部99を開く方向に荷重がかかる。つまり、
図8に示される矢印1の方向に荷重がかかる。既設金属管80は、既に他の金属管に接合されているため、固定されているが、新設金属管90は、自由に移動できる状態であるため、
図8に示される矢印2の方向に倒れるように移動しようとする。
【0041】
しかし、既設金属管80と新設金属管90とは、第1クランプ機構10及び第2クランプ機構20により円周方向に固定され、更に軸方向移動部71と装置本体70との間に第2クランプ機構20を第1クランプ機構10に近づける方向に荷重がかけられている。従って、接合部99に沿ってプローブ41が移動して接合部99を開く方向に荷重がかかったとしても、既設金属管80と新設金属管90とは端面81と端面91とを押し付け合ったまま保持される。これにより、既設金属管80と新設金属管90とは、端面81と端面91とを突き合わせた当初の位置関係のまま、摩擦攪拌接合される。
【0042】
接合ツール40は、プローブ41を接合部99に押し込んだままの状態で、回転機構74により接合部99に沿って金属管80、90の円周方向に一周回転する。これにより、接合部99は、摩擦攪拌接合により接合される。回転機構74の回転中心は、例えば第1クランプ機構10の中心と第2クランプ機構20の中心とを結んだ仮想線上に位置する様に構成されているのが望ましい。この構成により、プローブ41は、金属管80、90の内周面82、92に沿って接合部99への押し込み量を変動させることなく移動することができる。
【0043】
<作用効果>
上記のように、管接合装置100は、金属管80、90内に設置され、管内から接合部99を摩擦攪拌接合するものである。これにより、接合部99周辺の外周側の領域に装置等を配置することなく2つの管の接合が可能となり、例えば地中に埋設される管においては掘削する範囲を削減することができる。また、管接合装置100は、金属管80を第1クランプ機構10に固定し、金属管90を第2クランプ機構20に固定することにより、金属管80の管軸83と金属管90の管軸93とを同軸上に位置する様に位置決めすることができる。これにより、金属管80と金属管90とを位置決めする支持構造を金属管80、90の周囲に設置する必要がない。また、金属管80、90の内周面82、92を用いて位置決めするため、接合部99を形成する金属管80の端面81と金属管90の端面91とを精度良く突き合わせることができる。さらに、第1クランプ機構10のクランプヘッド11は、金属管80の内周面82に接触し荷重をかけることにより、金属管80の端部の断面形状が真円に近づくように矯正される。第2クランプ機構20のクランプヘッド21も同様に金属管90の端部の断面形状を矯正する。これにより、金属管80と金属管90との接合部99は、段差を抑えることができ、管板厚方向の接合深さ(のど厚)のばらつきも抑えられ良好な継手品質を確保することができる。
【0044】
金属管80の端面81と金属管90の端面91とを突き合わせるにあたり、軸方向移動部71を装置本体70側に移動させる。軸方向移動部71の移動により、第2クランプ機構20は、第1クランプ機構10側に近づき、端面81と端面91とが接触する。端面81と端面91とが接触した後も、軸方向移動部71は装置本体70側に移動するように駆動され、端面81と端面91とは互いに加圧された状態に保持される。これにより、接合部99にプローブ41が押し込まれた際の接合部99を開こうとする向きの荷重に対向することができ、金属管80と金属管90とは、端面81と端面91との接触状態を保持しながら摩擦攪拌接合することができる。特に、パイプライン等において使用される比較的厚肉の鋼管を接合する際には、プローブ41の押し込み荷重も高くなるため、接合部99を開く力は大きくなるが、管接合装置100を使用することにより、端面81と端面91との接触状態を保持が可能となる。なお、実施の形態1においては、金属管80、90を一例として説明したが、管の材質は金属のみに限定するものではない。
【0045】
実施の形態2.
実施の形態2は、実施の形態1の管接合装置100を用いた金属管80、90の接合方法に対し、さらにクランプバンド60を用いて金属管80、90を接合するものである。以下、実施の形態2について、実施の形態1からの変更点を中心に説明する。実施の形態2で特に記述しない項目については実施の形態1と同様とし、同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
【0046】
図9及び
図10は、本発明の実施の形態2に係る管接合装置100を使用した金属管接合方法の説明図である。
図11は、
図9及び
図10のクランプバンド60を管軸83、93方向から見た状態の図である。
図9は、
図7に対しクランプバンド60を金属管80、90の外面に追加したものである。
図10は、
図8に対しクランプバンド60を金属管80、90の外面に追加して設置したものである。
【0047】
図9に示されるように、管接合装置100に対する新設金属管90の位置が決まり、既設金属管80の端面81と新設金属管90の端面91とを接触させる接合部加圧工程が完了したところで、接合部99の外周にクランプバンド60が取り付けられる。クランプバンド60は、既設金属管80が第1クランプ機構10により加圧されている部分及び新設金属管90が第2クランプ機構20により加圧されている部分の管の外周面を囲う様に設けられている。なお、クランプバンド60の取り付けは、接合部加圧工程が完了する前に行っても良い。
【0048】
図11に示されるように、クランプバンド60は、円筒を中心軸に沿って分割されたものを組み合わせて構成されている。実施の形態2においては、クランプバンド60は、2分割されたバンド部品61、62を組み合わせて構成されているが、更に多数に分割されていても良い。一方のバンド部品61は、両端部に、平面部を中心軸に平行にして設けられた平板部63を有している。他方のバンド部品62も、一方のバンド部品61と同様に構成されている。バンド部品61、62は、平板部63と平板部64との平面部を接触させて、固定部材65により固定されている。
【0049】
図12は、
図9の接合部99周辺の拡大図である。
図12において接合ツール40は表示を省略している。クランプバンド60は、内周面66、67を既設金属管80及び新設金属管90の外周面に接する程度、又は微小な隙間を持って取り付けられる。クランプバンド60の内周面66、67の内径寸法は、例えば既設金属管80及び新設金属管90の外径寸法に対し微小に大きくなるように設定されている。このように設定されることにより、
図12(a)のように食違いが生じている接合部99を、
図12(b)に示されるように、クランプバンドを設置した状態で、クランプで荷重をかけることにより食違いを矯正することができる。クランプバンド60は、円筒形状を中心軸に沿って2分割したバンド部品61、62から構成されており、平板部63と平板部64とを固定部材65を締め付けて接続して使用する。
【0050】
<作用効果>
既設金属管80及び新設金属管90は、接合部99の外周側にクランプバンド60が設置されたまま接合部99にプローブ41が押し込まれ、摩擦攪拌接合が行われる。既設金属管80及び新設金属管90は、内周側から第1クランプ機構10及び第2クランプ機構20により形状が矯正され、さらに外周側からクランプバンド60で囲われている。クランプバンド60は、内周側から第1クランプ機構10及び第2クランプ機構20により加圧され径方向に拡大しようとする既設金属管80及び新設金属管90を所定の範囲内に抑える役割を果たす。さらには、既設金属管80及び新設金属管90には内周側及び内周側から加圧されるため、プローブ41が接合部99に押し込まれ接合部99を開こうとする力が掛かっても、接合部99は、接触した状態を維持することができる。つまり、図
10に示される矢印2の方向に倒れるように移動しようとする新設金属管90を当初の位置に保持することができる。