(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
下記の成分(A)を0.2〜20質量%、成分(B)を5〜40質量%、成分(C)を25〜80質量%、成分(D)を0.5〜15質量%含有することを特徴とする油性クレンジング料。
(A)下記一般式(1)で示されるアルキレンオキシド誘導体
(B)ポリオキシエチレン基と炭素数12〜22の炭化水素基を有し、HLBが6〜15である非イオン性界面活性剤
(C)25℃で液状の油剤
(D)水
Z−[O−(AO)m−(EO)n−H]x ・・・・式(1)
(式中、Zは炭素数が2〜14であり、かつ水酸基の数xが2〜9の化合物から全ての水酸基を除いた残基、AOは炭素数3〜4のオキシアルキレン基であり、EOはオキシエチレン基である。mはAOの水酸基当たりの平均付加モル数であり、10〜50である。nはEOの水酸基当たりの平均付加モル数であり、5〜50である。AOとEOの合計含有量に占めるEOの質量比率は25〜35質量%であり、AOとEOはブロック状に結合している。)
【背景技術】
【0002】
メークアップ化粧料を除去するために使用されるクレンジング料には、クリーム、乳液、ローション、オイル等の形態が存在する。一般にO/ W型の乳液タイプや、界面活性剤とアルコールによって化粧料を除去するローションタイプは、油性成分の配合量が少ないので、化粧料に対する洗浄力が低い。そのため近年では、洗浄力を高めるために、油性成分が高配合されたオイルタイプのクレンジング料が好まれる傾向にある。
しかしながら、クレンジング料に一般的に配合される油性成分は粘性が低く、ポンプ容器から適量を取り出しにくく、手に取った後も手からの垂れ落ちが起こり、適切な部位に適量を塗布することが困難であるといった課題があった。
【0003】
粘性を向上させるために、これまでいくつかの提案がなされている。例えば、12−ヒドロキシステアリン酸およびパルミチン酸デキストリンなどのデキストリン脂肪酸エステルを用いたオイルゲル化粧料(特許文献1)、N−ラウロイル‐L−グルタミン酸ジブチルアミドなどのN−アシルアミノ酸誘導体(特許文献2)などが提案されている。これらは油中でも強力に相互作用する水素結合によってもたらされる増粘機構を利用したものであり、少量で油剤をゲル化でき、使用時の垂れ落ちが起き難いものの、流動性の低いゲルを形成することによりポンプ容器からの吐出性が悪化したり、製剤の透明性が損なわれるという課題があった。
【0004】
これらの状況に鑑み、ブロック型アルキレンオキシド誘導体である特定のポリアルキレングリコール誘導体、特定の非イオン性界面活性剤、油剤、および水を含有する化粧料組成物も開示されている(特許文献3)。この組成物は、構造回復性を有し、透明であり、塗布時の滑らかさ、肌への馴染みが良好であるが、容器から取り出す際やメークアップ化粧料と馴染ませている際に糸曳きが生じて使用性が悪化する場合があるといった課題があった。
【0005】
一方、特定のブロック型アルキレンオキシド誘導体、水素結合部位を有する油性ゲル化剤、および油分を含んだゲル状組成物も開示されている(特許文献4)。この組成物は、優れたゲル形成能により使用時の垂れ落ちが無く、曳糸性が少なく、優れた使用感触が得られるが、油剤および溶解させたメークアップ化粧料を水ですすいだ後に油分が残存してべたつきが生じる場合があった。
このように、油性クレンジング料において、洗浄性、すすぎ性が良好で、容器から取り出し易く、手に取った後に手からの垂れ落ちや糸曳きが起こり難く、透明である油性クレンジング料の開発には至っていなかった。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について説明する。
本発明の油性クレンジング料は、以下に説明する成分(A)〜成分(D)を含有する。なお、成分(A)〜成分(D)の合計含有量は100質量%である。
【0012】
〔成分(A)〕
本発明にかかる成分(A)は、下記一般式(1)で示されるアルキレンオキシド誘導体である。成分(A)は塗布時の垂れ落ちを防止すると共に、洗浄力、水で洗い流す際のすすぎ性を改善する。
【0013】
Z−[O−(AO)
m−(EO)
n−H]
x ・・・・式(1)
【0014】
式中、Zは炭素数が2以上、好ましくは2〜20、特に好ましくは2〜14であり、かつ2〜9個の水酸基を有する化合物から全ての水酸基を除いた残基であり、xはZの化合物の水酸基の数で2〜9である。
2〜9個の水酸基を有する化合物としては、x=2であればエチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、x=3であればグリセリン、トリメチロールプロパン、x=4であればエリスリトール、ペンタエリスリトール、ソルビタン、ジグリセリン、アルキルグリコシド、x=5であればキシリトール、x=6であればジペンタエリスリトール、ソルビトール、イノシトール、x=8であればショ糖、トレハロース、x=9であればマルチトール等が挙げられる。また、2〜9個の水酸基を有する化合物として、これらの混合物を用いても良い。
xは好ましくは3〜6であり、特に好ましくは4である。xが1の場合、逆ミセルを架橋することが困難となり垂れ落ち防止効果が得られ難くなることがある。またxが大きすぎる場合、十分な垂れ落ち防止効果が得られず、糸曳きを生じることがある。
【0015】
式中、AOは炭素数3〜4のオキシアルキレン基であり、2種のAOが一般式(1)中に含まれていてもよい。一般式(1)中に2種のAOが含まれる場合は、ランダム状付加でもブロック状付加でもよい。
AOとしては、炭素数3ではオキシプロピレン基、炭素数4ではオキシブチレン基が例示できるが、AOを1,2−ブチレンオキシド由来のオキシ(1−エチルエチレン)基にすることで、洗浄力、すすぎ性、垂れ落ち防止効果をさらに向上できる。
mはAOの水酸基当たりの平均付加モル数であり、10〜50であり、好ましくは15〜40、特に好ましくは20〜30である。mが小さすぎる場合、十分な垂れ落ち防止効果が得られ難く、洗浄力も不十分となることがある。mが大きすぎる場合、糸曳きを生じたり、すすぎ性が低下することがある。
【0016】
式中、EOはオキシエチレン基であり、nはEOの水酸基当たりの平均付加モル数であり、n×xは一般式(1)の全EO付加モル数である。平均付加モル数nは5〜50であり、好ましくは10〜25である。nが小さすぎる場合、成分(B)のポリオキシエチレン鎖との相互作用が不十分で十分な垂れ落ち防止効果が得られ難くなることがあり、nが大きすぎる場合、油との相溶性が低下して透明性が損なわれることがある。
【0017】
AOとEOの合計含有量に占めるEOの質量比率は10〜50質量%であり、好ましくは20〜40質量%、特に好ましくは25〜35質量%である。質量比率が小さすぎる場合、成分(B)のポリオキシエチレン鎖との相互作用が十分得られず、垂れ落ち防止効果が不十分となることがある。また、質量比率が大きすぎる場合、EO鎖の比率が大きくなるため、結晶性が高くなり、透明な油性クレンジング料が得られ難くなることがある。
【0018】
一般式(1)において、AOとEOはZに対してこの順でブロック状に結合している。Zに対してEO−AOの順に結合すると、曳糸性が出たり、すすぎ性が低下することがある。また、AOとEOがランダム状に結合している場合も、目的とする油性クレンジング料を得ることが困難となる。
【0019】
一般式(1)で示されるアルキレンオキシド誘導体は、公知の方法で製造することができる。例えば、水酸基を2〜9個有する化合物に、アルカリまたは酸触媒下、炭素数3〜4のオキシアルキレンおよびオキシエチレンをこの順に付加重合することによって得ることができる。
【0020】
成分(A)の含有量は、油性クレンジング料の全質量に対して、0.2〜20質量%であり、好ましくは1〜15質量%であり、特に好ましくは5〜10質量%である。成分(A)の含有量が少なすぎる場合、求める洗浄力、すすぎ性、垂れ落ち防止効果が得られ難くなることがある。また、成分(A)の含有量が多すぎる場合、曳糸性が生じたり、塗布時にべたつき感が生じたりすることがある。
なお、成分(A)は2種以上を混合して使用してもよい。
【0021】
〔成分(B)〕
本発明にかかる成分(B)は、ポリオキシエチレン基(EO鎖)と炭素数12〜22の炭化水素基を有し、HLBが6〜15である非イオン性界面活性剤であり、皮膚から除去したメークアップ化粧料を乳化して水で洗い流し、すすぎ性を改善すると共に、成分(A)と相互作用して垂れ落ち防止効果を付与する。
なお、ポリオキシエチレンを以下ではPOEと表記することもある。
【0022】
HLBとは、Hydrophile-Lipophile Balance の略であり、界面活性剤の親水基および親油基のバランスを数値化した概念である。一般に、HLBは0から20の範囲内の数値で示され、数値のより大きい方が親水性がより高いことを示す。HLBは、下記(a)または(b)の式により算出できる。
(a)POEアルキルエーテル型非イオン性界面活性剤
HLB=オキシエチレン基の質量分率/5
(b)多価アルコール脂肪酸エステル型非イオン性界面活性剤
HLB=20(1−S/A)
S:エステルのけん化価、 A:脂肪酸の酸価
(出展:「新版 界面活性剤ハンドブック」、工学図書株式会社)
【0023】
HLBが小さすぎる場合、垂れ落ち防止効果と洗浄後のすすぎ性が低下することがあり、HLBが高すぎる場合、油剤との相溶性が低下し、透明性が損なわれることがあり、また良好なすすぎ性が得られ難くなることがある。
このような観点から成分(B)のHLBは、8〜14が好ましく、9〜13が特に好ましい。
【0024】
炭素数12〜22の炭化水素基としては、例えば、ラウリル基、トリデシル基、ミリスチル基、パルミチル基、セチル基、イソパルミチル基、ステアリル基、イソステアリル基、オレイル基、オクチルドデシル基、ベヘニル基等が挙げられ、これらの炭化水素基を2種以上含む混合アルキル基であってもよい。その中でも、相溶性や透明性の観点から、炭素数12〜22の分岐飽和炭化水素基、または不飽和炭化水素基が好ましい。このような親油基として、特に好ましいのは、オレイル基、イソパルミチル基、イソステアリル基である。炭化水素基の炭素数が小さすぎる場合、すすぎ性が低下することがあり、炭素数が大きすぎる場合、透明性が損なわれることがある。
【0025】
成分(A)は、成分(B)が油中で形成する逆ミセルを架橋することによって、塗布時の垂れ落ち防止効果を付与できる。成分(A)と成分(B)の相互作用の観点から、成分(B)のポリオキシエチレン基の重合度(EO付加モル数)lと成分(A)のEOの水酸基当たりの平均付加モル数nとの比率(l/n)が、0.5〜3.0の範囲内であることが好ましく、この範囲内であると成分(A)と成分(B)の相互作用が促進され、垂れ落ち防止効果がさらに改善する。
【0026】
成分(B)は、エステル型、エーテル型、直鎖型、多鎖型の何れでも構わない。また、エステル化率も特に限定されない。
成分(B)としては、例えば、POE(ポリオキシエチレン)オレイルエーテル、POEイソパルミチルエーテル、POEイソステアリルエーテル、モノオレイン酸POE、モノイソステアリン酸POE、ジオレイン酸POE、ジイソステアリン酸POE、モノオレイン酸POEソルビトール、ジオレイン酸POEソルビトール、トリオレイン酸POEソルビトール、テトラオレイン酸POEソルビトール、ペンタオレイン酸POEソルビトール、ヘキサオレイン酸POEソルビトール、モノイソステアリン酸POEソルビトール、ジイソステアリン酸POEソルビトール、トリイソステアリン酸POEソルビトール、テトライソステアリン酸POEソルビトール、ペンタイソステアリン酸POEソルビトール、ヘキサイソステアリン酸POEソルビトール、モノオレイン酸POEグリセリル、ジオレイン酸POEグリセリル、トリオレイン酸POEグリセリル、モノイソステアリン酸POEグリセリル、ジイソステアリン酸POEグリセリル、トリイソステアリン酸POEグリセリル、モノオレイン酸POEソルビタン、セスキオレイン酸POEソルビタン、トリオレイン酸POEソルビタン、モノイソステアリン酸POEソルビタン、セスキイソステアリン酸POEソルビタン、トリイソステアリン酸POEソルビタン、モノヤシ油脂肪酸POEグリセリルなどが例示できる。
【0027】
これらのうち、透明性を良好にするためには25℃で液状であることが好ましく、また、成分(D)である水との水和をより強力にするためにはエステル型が好ましい。したがって、成分(B)として好ましくは、モノオレイン酸POE、モノイソステアリン酸POE、ジオレイン酸POE、ジイソステアリン酸POE、テトラオレイン酸POEソルビトール、テトライソステアリン酸POEソルビトール、トリイソステアリン酸POEグリセリル、モノイソステアリン酸POEグリセリル、モノオレイン酸POEソルビタン、モノイソステアリン酸POEソルビタン、モノヤシ油脂肪酸POEグリセリルなどが例示できる。洗浄後のさっぱり感を良好にするためには多鎖型であることがさらに好ましい。このような多鎖型の非イオン性界面活性剤としては、例えば、テトラオレイン酸POEソルビトール、テトライソステアリン酸POEソルビトール、トリイソステアリン酸POEグリセリル、モノイソステアリン酸POEグリセリル、モノオレイン酸POEソルビタン、モノヤシ油脂肪酸POEグリセリルが挙げられる。
【0028】
成分(B)の含有量は、油性クレンジング料の全質量に対して、5〜40質量%であり、好ましくは5〜30質量%であり、特に好ましくは10〜25質量%である。成分(B)の含有量が少なすぎる場合、求める垂れ落ち防止効果や洗浄後のすすぎ性が低下することがある。また、成分(B)の含有量が多すぎる場合、塗布時にべたつき感が生じることがある。
なお、成分(B)は2種以上を混合して使用してもよい。
【0029】
〔成分(C)〕
本発明にかかる成分(C)は、25℃で液状の油剤である。
25℃で液状の油剤としては、エステル油やトリグリセリド等の極性油、炭化水素油やシリコーン油等の非極性油が挙げられ、中でもエステル油やトリグリセリド等の極性油を含有することが好ましく、極性油と非極性油を併用することがさらに好ましい。
【0030】
25℃で液状のエステル油としては、オレイン酸エチル、リノール酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、イソステアリン酸イソプロピル、2−エチルヘキサン酸セチル、2−エチルヘキサン酸イソセチル、2−エチルへキサン酸ステアリル、2−エチルへキサン酸イソステアリル、パルミチン酸セチル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、イソステアリン酸2−ヘキシルデシル、イソステアリン酸イソステアリル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸イソステアリル、ミリスチン酸イソセチル、ラウリン酸ヘキシル、オレイン酸デシル、オレイン酸オクチルドデシル、ピバリン酸イソステアリル、イソステアリン酸イソプロピル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸2−エチルヘキシル、イソノナン酸イソデシル、イソノナン酸イソトリデシル、エルカ酸オクチルドデシル、ジデカン酸ネオペンチルグリコール、テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル、リンゴ酸ジイソステアリル、トリエチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、アジピン酸ジデシル、イソステアリン酸コレステリル、イソステアリン酸バチル、モノヒドロキシステアリン酸硬化ヒマシ油、ラノリン脂肪酸イソステアリル、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリン脂肪酸オクチルドデシル、リシノレイン酸セチル、コハク酸ジオクチル、乳酸セチル、ジカプリル酸プロピレングリコール、ジカプリン酸プロピレングリコール、ジノナン酸プロピレングリコール、ジ(カプリル・カプリン酸)プロピレングリコール、ジイソステアリン酸プロピレングリコール、ジオレイン酸プロピレングリコールなどが例示できる。かかるエステル油として、これらの1種または2種以上を用いることができる。
好ましいエステル油としては、例えば、2−エチルヘキサン酸セチル、2−エチルヘキサン酸イソセチル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸2−ヘキシルデシル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソステアリル、ミリスチン酸イソセチル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸2−エチルヘキシル、イソノナン酸イソデシル、イソノナン酸イソトリデシルが挙げられる。
【0031】
25℃で液状のトリグリセリドとしては、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、2−エチルヘキサン酸、イソトリデカン酸、イソパルミチン酸、イソステアリン酸、エイコサン酸、オレイン酸など炭素数6以上の高級脂肪酸とグリセリンとのトリグリセリド;オリーブ油、ヒマワリ油、サフラワー油、ヒマシ油、ツバキ油などの動植物油脂類;などが例示できる。かかるトリグリセリドとして、これらの1種または2種以上を用いることができる。
好ましいトリグリセリドとしては、例えば、グリセリンとカプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、2−エチルヘキサン酸などの炭素数6〜10の高級脂肪酸、又はこれらの混合物とのトリグリセリド、例えばトリ(カプリル/カプリン酸)グリセリド、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリルが挙げられる。
【0032】
25℃で液状の炭化水素油としては、流動パラフィン、水添ポリイソブテン、水添ポリデセン、スクワラン、スクワレン、プリスタン、軽質イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、重質流動イソパラフィン、流動イソパラフィン、テトラデセン、イソヘキサデカン、イソドデカン、α−オレフィンオリゴマーなどが例示できる。
好ましい炭化水素油としては、例えば、流動パラフィン、水添ポリイソブテン、スクワランである。かかる炭化水素油として、これらの1種または2種以上を用いることができる。
【0033】
25℃で液状のシリコーン油としては、ジメチコン、シクロメチコン、フェニルジメチコンなどが例示できる。好ましいシリコーン油としては、例えば、デカメチルシクロペンタシロキサンなどのシクロメチコンである。かかるシリコーン油として、これらの1種または2種以上を用いることができる。
【0034】
成分(C)の含有量は、油性クレンジング料の全質量に対して、25〜80質量%であり、好ましくは35〜75質量%であり、特に好ましくは40〜60質量%である。成分(C)の含有量が少なすぎる場合、洗浄性が不十分となることがあり、成分(C)の含有量が多すぎる場合、すすぎ性が低下することがある。
【0035】
〔成分(D)〕
本発明にかかる成分(D)は水である。本発明の油性クレンジング料において成分(D)は、成分(B)の非イオン性界面活性剤の油中での逆ミセル形成を促進することで垂れ落ち防止効果を付与することができる。水としては、一般に化粧品、医薬部外品、医薬品に用いられるものであれば、特には限定されない。例えば、蒸留水やイオン交換水などの精製水、生理食塩水、リン酸緩衝水溶液等を用いることができる。
【0036】
成分(D)の含有量は、油性クレンジング料の全質量に対して、0.1〜15質量%であり、好ましくは1〜10質量%であり、特に好ましくは2〜6質量%である。成分(D)の含有量が少なすぎる場合、求める垂れ落ち防止効果が得られ難いことがあり、成分(D)の含有量が多すぎる場合、洗浄性が低下したり、製剤の透明性を損なうことがある。
【0037】
本発明の油性クレンジング料は、さらに必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲内で、化粧品に一般的に用いられている各種成分、例えば、ビタミン類、紫外線吸収剤、水溶性高分子、酸化防止剤、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性界面活性剤、他の非イオン界面活性剤、金属イオン封鎖剤、エタノール、カルボキシビニルポリマーなどの増粘剤、防腐剤、色素、粉体類などを配合することができる。
【実施例】
【0038】
以下、実施例および比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。
まず、本発明にかかる成分(A)の合成例を示す。なお、水酸基価は、JIS K1557−1に準じて測定した。
【0039】
[合成例]
合成例1:ポリオキシエチレン(60モル)ポリオキシブチレン(88モル)ペンタエリスリトールエーテル(化合物1)
ペンタエリスリトール45g、トルエン50g、水酸化カリウム6gをオートクレーブ中に仕込み、オートクレーブ中の空気を乾燥窒素で置換した後、撹拌しながら、110℃にて滴下装置から1,2−ブチレンオキシド2072gを滴下して4時間撹拌した。引き続き、110℃にてエチレンオキシド888gを滴下し、1時間撹拌した。その後、オートクレーブ内から反応物を取り出し、塩酸で中和して、pH6〜7とし、含有するトルエンおよび水分を除去するため、115℃にて1時間の減圧処理を行い、最後に濾過をして塩を除去し、ポリオキシエチレン(60モル)ポリオキシブチレン(88モル)ペンタエリスリトールエーテル(化合物1)を得た。
化合物1の水酸基価は、1,2−ブチレンオキシド反応後が35mgKOH/g、エチレンオキシド反応後が25mgKOH/gであった。
【0040】
合成例2:ポリオキシエチレン(32モル)ポリオキシブチレン(60モル)ジグリセリルエーテル(化合物2)
ジグリセリン45g、水酸化カリウム5gをオートクレーブ中に仕込み、オートクレーブ中の空気を乾燥窒素で置換した後、撹拌しながら、120℃にて滴下装置から1,2−ブチレンオキシド1171gを滴下して4時間撹拌した。引き続き、120℃にてエチレンオキシド382gを滴下し、1時間撹拌した。その後、オートクレーブ内から反応物を取り出し、塩酸で中和して、pH6〜7とし、含有する水分を除去するため、100℃にて1時間の減圧処理を行い、最後に濾過をして塩を除去し、ポリオキシエチレン(32モル)ポリオキシブチレン(60モル)ジグリセリルエーテル(化合物2)を得た。
化合物2の水酸基価は、1,2−ブチレンオキシド反応後が50mgKOH/g、エチレンオキシド反応後が38mgKOH/gであった。
【0041】
上記合成例1および2に準じて、下記表1に示す組成のアルキレンオキシド誘導体を合成した。表1中、化合物1
,2,5,7は本発明にかかる成分(A)であり、
化合物3,4,6,8は参考成分(A´´)であり、化合物9〜13は比較対照成分(A´)である。なお、表1中のx、mおよびnは、一般式(1)におけるx、mおよびnを表す。ただし、化合物10および11は、一般式(1)においてZに対するAOとEOの結合順序が異なる。
【0042】
【表1】
【0043】
<実施例1〜
5、参考例1〜4および比較例1〜9>
表2に示す成分と組成で、常法に従い油性クレンジング料を調製し、洗浄性、すすぎ性(洗浄後のさっぱり感)、塗布のしやすさ(垂れ落ち防止効果)、曳糸性、透明性について評価した。
【0044】
<調製方法>
表2に示す成分を70℃で均一に溶解させた後、撹拌しながら25℃まで冷却した。
【0045】
<評価法>
(a)洗浄性
化粧品原料開発に従事するパネラー5名の上腕内側部に、口紅(INTEGRATE GRACY 、資生堂社製)を直径2cmの円になるよう均一に塗布し、25℃、相対湿度50%の恒温恒湿室にて30分乾燥させた。本発明品および比較品のそれぞれ50mgを5秒間指でなじませ、口紅の落ち具合をパネラー各人が下記評価基準にて4段階に評価し、評点をつけた。5名のパネラーの評価の平均が2.0以上3.0未満を「○」(良好)、1.0以上2.0未満を「△」(可)、1.0未満を「×」(不良)と評価した。ただし、2名以上のパネラーが0点の評点をつけた場合は「×」(不良)と評価した。
3:口紅との馴染みが良好である。
2:口紅との馴染みがやや良好である。
1:口紅との馴染みがやや不良である。
0:口紅との馴染みが不良である。
【0046】
(b)すすぎ性
上記(a)の評価を行った後、ぬるま湯で5秒間洗い流した直後の状態をパネラー各人が下記評価基準にて5段階に評価し、評点をつけた。5名のパネラーの評価の平均が3.0以上を「◎」(優良)、2.0以上3.0未満を「○」(良好)、1.0以上2.0未満を「△」(可)、1.0未満を「×」(不良)と評価した。ただし、2名以上のパネラーが0点の評点をつけた場合は「×」(不良)と評価した。
4:油分が完全に洗い流され、非常にさっぱりした感触である。
3:油分がほとんど洗い流され、さっぱりした感触である。
2:油分が多少残っており、ややべたつく感触である。
1:油分がかなり残っており、べたつく感触である。
0:油分を全く洗い流すことができず、かなりべたつく感触である。
【0047】
(c)塗布のしやすさ
本発明品および比較品のそれぞれ20gを30mL容のガラス容器に充填し、ポンプ(エムポンプL−40、東静容器社製)を使用して、肌に吐出した際の吐出性と垂れ落ちの無さをパネラー各人が下記評価基準にて5段階に評価し、評点をつけた。5名のパネラーの評価の平均が3.0以上を「◎」(優良)、2.0以上3.0未満を「○」(良好)、1.0以上2.0未満を「△」(可)、1.0未満を「×」(不良)と評価した。ただし、2名以上のパネラーが0点の評点をつけた場合は「×」(不良)と評価した。
4:垂れ落ちが全く無く、適量を適切な部位に塗布できる。
3:垂れ落ちがほとんど無く、適量を適切な部位に塗布できる。
2:やや垂れ落ちが感じられるが、適切な部位に塗布できる。
1:垂れ落ちは無いが、ポンプからの吐出性が悪く、適量を塗布することが困難である。
0:垂れ落ちがひどく、適量を適切な部位に塗布できない。
【0048】
(d)曳糸性(糸曳きのなさ)
上記(c)の評価を行う際、ポンプからの吐出時や肌に馴染ませたときの曳糸性をパネラー各人が下記絶対評価基準にて4段階に評価し、評点をつけた。5名のパネラーの評価の平均が2.0以上を「○」(良好)、1.0以上2.0未満を「△」(可)、1.0未満を「×」(不良)と評価した。ただし、2名以上のパネラーが0点の評点をつけた場合は「×」(不良)と評価した。
3:全く糸曳きがみられない。
2:やや糸曳きが見られるが、すぐに糸曳きがなくなる。
1:糸曳きが見られ、肌に馴染ませる際も糸曳きがなくならない。
0:糸曳きが強く、適切な部位に製剤を塗布できない。
【0049】
(e)透明性
上記(c)の評価を行う際、ガラス製ポンプ容器に充填された本発明品および比較品の25℃における外観を目視で下記のとおり評価した。
○:透明である。
×:分離もしくは白濁がある。
【0050】
【表2】
【0051】
実施例1〜
5の油性クレンジング料は、洗浄性、すすぎ性(洗浄後のさっぱり感)、塗布のしやすさ(垂れ落ち防止効果)、曳糸性、透明性のいずれにおいても良好または優良であった。
【0052】
一方、比較例1の油性クレンジング料は、一般式(1)におけるxが本発明規定の範囲外のアルキレンオキシド誘導体を用いているため、洗浄性が不十分であり、すすぎ性、塗布のしやすさが不良であった。
比較例2の油性クレンジング料は、一般式(1)においてZに対してEO−AOの順に付加重合されたアルキレンオキシド誘導体を用いているため、すすぎ性、塗布のしやすさが不良であった。
比較例3の油性クレンジング料は、一般式(1)においてZに対してEO−AOの順に付加重合され、EO質量%が本発明規定の範囲外のアルキレンオキシド誘導体を用いているため、すすぎ性、曳糸性が不良であった。
比較例4の油性クレンジング料は、一般式(1)においてnおよびEO質量%が本発明規定の範囲外のアルキレンオキシド誘導体を用いているため、洗浄性、曳糸性が不十分であり、透明性が不良であった。
比較例5の油性クレンジング料は、一般式(1)においてmおよびnが本発明規定の範囲外のアルキレンオキシド誘導体を用いているため、洗浄性、すすぎ性、塗布のしやすさが不十分であった。
【0053】
比較例6の油性クレンジング料は、成分(A)に代えてパルミチン酸デキストリンを用いているため、すすぎ性、塗布のしやすさが不十分であり、透明性が不良であった。
比較例7の油性クレンジング料は、成分(A)に代えてジブチルラウロイルグルタミドを用いているため、すすぎ性が不十分であり、塗布のしやすさ、透明性が不良であった。
比較例8の油性クレンジング料は、成分(A)の含有量が本発明規定の範囲外であるため、洗浄性が不十分であり、すすぎ性、塗布のしやすさが不良であった。
比較例9の油性クレンジング料は、成分(B)に代えてHLBが本発明規定の範囲外である非イオン性界面活性剤を用いているため、すすぎ性、塗布のしやすさ、透明性が不良であった。