(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記再帰性反射光学要素は、透明材料からなる直径10〜200μmの球と、前記球の表面の30〜70%を被覆する連続した金属蒸着層からなる反射層とから構成される、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
前記エラストマー組成物は前記球の表面における前記反射層の被覆率が異なる複数の再帰性反射光学要素を含み、前記被覆率は30〜50%の範囲内に分布している、請求項2に記載の空気入りタイヤ。
前記エラストマー組成物は前記球の直径が異なる複数の再帰性反射光学要素を含み、前記直径は30〜150μmの範囲内に分布している、請求項2または3に記載の空気入りタイヤ。
前記透明エラストマーが、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブチルゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、ウレタンゴムおよびシリコーンゴムからなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、夜間やトンネル内などで照度が低い場合は、周囲とタイヤのコントラストが低く、タイヤが画像認識の特徴点として機能しないという問題があった。
そこで、本発明では、夜間やトンネル内などで照度が低い場合でも、画像認識の特徴点として機能することができる空気入りタイヤを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、透明エラストマーと前記透明エラストマー中に分散した再帰性反射光学要素とを含むエラストマー組成物を空気入りタイヤの表面に配置することにより、前記課題を解決できることを見いだし、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、透明エラストマーと前記透明エラストマー中に分散した再帰性反射光学要素とを含むエラストマー組成物を表面に配置した空気入りタイヤである。
【0007】
本発明は、次の実施態様を含む。
[1]透明エラストマーと前記透明エラストマー中に分散した再帰性反射光学要素とを含むエラストマー組成物の層を外表面の少なくとも一部に有する空気入りタイヤ。
[2]前記再帰性反射光学要素は、透明材料からなる直径10〜200μmの球と、前記球の表面の30〜70%を被覆する連続した金属蒸着層からなる反射層とから構成される、[1]に記載の空気入りタイヤ。
[3]前記エラストマー組成物は前記球の表面における前記反射層の被覆率が異なる複数の再帰性反射光学要素を含み、前記被覆率は30〜50%の範囲内に分布している、[2]に記載の空気入りタイヤ。
[4]前記エラストマー組成物は前記球の直径が異なる複数の再帰性反射光学要素を含み、前記直径は30〜150μmの範囲内に分布している、[2]または[3]に記載の空気入りタイヤ。
[5]前記再帰性反射要素は前記透明エラストマー中に不規則に分散している、[1]〜[4]のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
[6]前記再帰性反射光学要素の前記エラストマー組成物における体積分率が50%未満である、[1]〜[5]のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
[7]前記透明エラストマーが、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブチルゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、ウレタンゴムおよびシリコーンゴムからなる群から選ばれる少なくとも1種である、[1]〜[6]のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
[8]前記エラストマー組成物が過酸化物架橋剤によって架橋されている、[1]〜[7]のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
[9]前記エラストマー組成物がシランカップリング剤を含む、[1]〜[8]のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
[10]前記エラストマー組成物のJIS K 5600−4−1の方法B(隠ぺい率試験紙)による隠ぺい率が70%以下である、[1]〜[9]のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
[11]前記エラストマー組成物が酸変性ポリマーを含む、[1]〜[10]のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
[12]前記エラストマー組成物がフェノール系老化防止剤を含む、[1]〜[11]のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
[13]前記エラストマー組成物の層が非接地部に配置された、[1]〜[12]のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
【発明の効果】
【0008】
本発明の空気入りタイヤは、夜間やトンネル内などで照度が低い場合でも、画像認識の特徴点として機能することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の空気入りタイヤは、その外表面の少なくとも一部にエラストマー組成物の層を有する。
図1は、本発明の1つの実施形態の空気入りタイヤの断面図である。空気入りタイヤ1は、その外表面3の少なくとも一部にエラストマー組成物の層2を有する。
図1では、エラストマー組成物の層2はトレッド部4の溝5の底6、ショルダー部7およびサイドウォール部8に配置されているが、本発明はその態様に限定されない。エラストマー組成物の層2は、好ましくは、非接地部に配置される。非接地部とは空気入りタイヤの外表面のうち路面と接触しない部分をいう。非接地部としては、トレッド部4の溝5の底6、ショルダー部7、サイドウォール部8、ビード部9の各々の外表面が挙げられるが、エラストマー組成物の層2は、より好ましくは、トレッド部の溝の底6、ショルダー部7およびサイドウォール部8の少なくとも1つの外表面に配置され、さらに好ましくは、トレッド部の溝の底6、ショルダー部7およびサイドウォール部8のすべての外表面に配置される。
【0011】
エラストマー組成物は、透明エラストマーと再帰性反射光学要素とを含む。
【0012】
透明エラストマーとは、透明なエラストマーをいう。透明とは、光が入射したときにその光の少なくとも一部を通すことをいう。エラストマーは、透明である限りにおいて限定されないが、好ましくはスチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブチルゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、ウレタンゴムおよびシリコーンゴムからなる群から選ばれる少なくとも1種であり、より好ましくはスチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴムである。
【0013】
透明エラストマーの隠ぺい率は、透明である限りにおいて限定されないが、好ましくは70%以下であり、より好ましくは0〜50%であり、さらに好ましくは0〜30%である。隠ぺい率は、JIS K 5600−4−1の方法B(隠ぺい率試験紙)により測定する。透明エラストマーの隠ぺい率が高すぎると、エラストマー組成物の層に光が入射したときに、光が透明エラストマーに吸収されるため、反射光が弱くなる。
【0014】
再帰性反射光学要素とは、入射した光を反射して光源の方向に戻す機能(再帰性反射機能)を有する部材をいう。再帰性反射光学要素は、再帰性反射機能を有する限り限定されないが、好ましくは、透明材料からなる球の表面の一部に反射層を有するものであり、より好ましくは、透明材料からなる直径10〜200μmの球と、前記球の表面の30〜70%を被覆する連続した金属蒸着層からなる反射層とから構成されるものである。
【0015】
図2は、再帰性反射光学要素の一例を示す図である。再帰性反射光学要素11は球12と反射層13とから構成されている。再帰性反射光学要素11に光源からの光を照射すると、入射光14は球の表面を通過するときに屈折し、裏側の反射面15で反射して、再び球の表面を通過するときに屈折して、反射光16は光源に戻る。
【0016】
透明材料は、光を照射したときにその光の少なくとも一部を通す限り、限定されないが、好ましくは、ガラス、アクリル樹脂、ポリカーボナート等を例示することができ、より好ましくはガラスである。透明材料は、ガラス、アクリル樹脂、ポリカーボナート等を主成分とする場合、本発明の効果を阻害しない範囲において、主成分以外の添加剤を含有してもよい。
【0017】
透明材料の隠ぺい率は、再帰性反射機能を有する限り限定されないが、好ましくは70%以下であり、より好ましくは0〜50%であり、さらに好ましくは0〜30%である。隠ぺい率は、JIS K 5600−4−1の方法B(隠ぺい率試験紙)により測定する。透明材料の隠ぺい率が高すぎると、球に光が入射したときに、光が透明材料に吸収されるため、反射光が弱くなる。
【0018】
透明材料の屈折率は、再帰性反射機能を有する限り限定されないが、好ましくは1.2〜2.5であり、より好ましくは1.5〜2.4であり、さらに好ましくは1.8〜2.3である。屈折率が低すぎると、反射光が入射光と同じ方向に帰らず再帰性反射性能が低下し、逆に高すぎても反射光が入射光と同じ方向に帰らず再帰性反射性能が低下する。
【0019】
球は、再帰性反射機能を有する限り真球である必要はないが、真球であることが好ましい。
球の直径は、再帰性反射機能を有する限り限定されないが、好ましくは10〜200μmであり、より好ましくは30〜150μmであり、さらに好ましくは30〜100μmである。直径が小さすぎると、再帰性反射性能が低下する場合あり、逆に大きすぎると、エラストマー組成物の疲労耐久性が低下する場合がある。
エラストマー組成物に含まれる再帰性反射光学要素の球の直径は、均一である必要はなく、むしろ種々の直径の再帰性反射光学要素が混在していることが好ましい。より好ましくは、直径は30〜150μmの範囲内に分布している。種々の直径の再帰性反射光学要素が混在していると、エラストマー組成物に含まれる再帰性反射光学要素の充填率を増加させることが出来るという利点がある。
【0020】
反射層は、再帰性反射機能を有する限り限定されないが、好ましくは金属蒸着層からなる。蒸着層を構成する金属は、反射機能を有する限り限定されないが、好ましくはアルミニウム、銀、クロム、ニッケル、亜鉛、金、プラチナ等であり、より好ましくはアルミニウムである。
【0021】
反射層は連続していることが好ましい。反射層は連続しているとは、反射層に分断や欠落がないことをいう。
【0022】
球の表面における反射層の被覆率は、再帰性反射機能を有する限り限定されないが、好ましくは30〜70%であり、より好ましくは30〜50%であり、さらに好ましくは40〜50%であり、最も好ましくは50%である。被覆率が小さすぎると、反射層の面積が少なくなるため再帰性反射性能が低下し、逆に大きすぎると、入射光の入る開口面が少なくなるため再帰性反射性能が低下する。反射層の被覆率とは、球の全表面積に対する反射層の面積の比率をいう。
エラストマー組成物に含まれる再帰性反射光学要素の反射層の被覆率は、均一である必要はなく、むしろ種々の反射層の被覆率の再帰性反射光学要素が混在していることが好ましい。より好ましくは、被覆率は30〜50%の範囲内に分布している。種々の反射層の被覆率の再帰性反射光学要素が混在していると、再帰性反射光学要素がエラストマー組成物中に不規則に分散している場合に再帰性反射性能の低下を抑制できるという利点がある。
【0023】
再帰性反射光学要素は市販されており、本発明において市販品を使用することができる。再帰性反射光学要素の市販品としては、ユニチカ株式会社製「ユニビーズ」金属蒸着品(UB−24MSJ)等が挙げられる。
【0024】
再帰性反射光学要素は透明エラストマー中に分散している。再帰性反射光学要素は不規則に分散していることが好ましい。不規則とは、再帰性反射光学要素の向き(反射層が存在しない球の表面が向く方向)が一定ではなく、かつ再帰性反射光学要素と再帰性反射光学要素の間隔が一定ではないことをいう。再帰性反射光学要素を向きを揃えて配置してなる再帰性反射シートは、光の入射角が大きい場合は反射率が悪いが、再帰性反射光学要素を向きを揃えずに透明エラストマー中に分散させることにより、光の入射角が大きくても再帰性反射を行うことができる。
【0025】
再帰性反射光学要素のエラストマー組成物における体積分率は、再帰性反射機能を有する限り限定されないが、好ましくは50%未満であり、より好ましくは1%以上50%未満であり、さらに好ましくは15〜30%である。再帰性反射光学要素の体積分率が小さすぎると、再帰性反射性能が不十分である場合があり、逆に大きすぎると、エラストマー成分が少なくなり疲労耐久性が低下する場合がある。
【0026】
エラストマー組成物は架橋されていることが好ましい。架橋剤は、本発明の効果を阻害しない限り限定されないが、好ましくは過酸化物架橋剤である。過酸化物架橋剤によって架橋することにより、エラストマー組成物の透明性低下が抑制できるという利点がある。過酸化物架橋剤としては、ケトンパーオキサイド系架橋剤、パーオキシケタール系架橋剤、ハイドロパーオキサイド系架橋剤、ジアルキルパーオキサイド系架橋剤、ジアシルパーオキサイド系架橋剤、パーオキシエステル系架橋剤、パーオキシジカーボネート系架橋剤等が挙げられるが、なかでも1,3−ビス(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイドが好ましい。過酸化物架橋剤を配合する場合、過酸化物架橋剤の配合量は、透明エラストマー100質量部を基準として、好ましくは0.1〜10.0質量部であり、より好ましくは0.1〜5.0質量部であり、さらに好ましくは0.2〜3.0質量部である。
【0027】
エラストマー組成物は好ましくはシランカップリング剤を含む。シランカップリング剤を含むことにより、再帰性反射光学要素とエラストマー成分との親和性が向上し疲労耐久性が向上するという利点がある。シランカップリング剤としては、ビニルシラン系カップリング剤、エポキシシラン系カップリング剤、メタクリルシラン系カップリング剤、メルカプトシラン系カップリング剤、サルファーシラン系カップリング剤等が挙げられるが、なかでもビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3−メルカプトプロピル(トリメトキシシラン)、3−メルカプトプロピル(トリエトキシシラン)が好ましい。シランカップリング剤を配合する場合、シランカップリング剤の配合量は、再帰性反射光学要素100質量部を基準として、好ましくは1〜30質量部であり、より好ましくは3〜25質量部であり、さらに好ましくは5〜20質量部である。
【0028】
エラストマー組成物は好ましくは酸変性ポリマーを含む。酸変性ポリマーを含むことにより、再帰性反射光学要素とエラストマー成分との親和性が向上し疲労耐久性が向上するという利点がある。酸変性ポリマーとしては、酸変性ジエンゴム、酸変性ポリオレフィン等が挙げられるが、なかでもマレイン酸変性エチレン−ブテン共重合体、マレイン酸変性エチレン−プロピレン共重合体、マレイン酸変性エチレン−オクテン共重合体、マレイン酸変性エチレン−エチルアクリレート共重合体が好ましい。酸変性ポリマーを配合する場合、酸変性ポリマーの配合量は、透明エラストマー100質量部を基準として、好ましくは1〜100質量部であり、より好ましくは5〜70質量部であり、さらに好ましくは5〜50質量部である。
【0029】
エラストマー組成物は好ましくはフェノール系老化防止剤を含む。フェノール系老化防止剤を含むことにより、エラストマー組成物の透明性を低下させずに老化防止効果を得られるという利点がある。フェノール系老化防止剤としては、モノフェノール系老化防止剤、ビスフェノール系老化防止剤、ポリフェノール系老化防止剤が挙げられるが、なかでも2,2′−メチレン−ビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2′−メチレン−ビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4′−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,5−ジ−tert−ブチルハイドロキノン、2,5−ジ−tert−アミルハイドロキノン、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、モノ(又はジ、又はトリ)(α−メチルベンジル)フェノールが好ましい。フェノール系老化防止剤を配合する場合、フェノール系老化防止剤の配合量は、透明エラストマー100質量部を基準として、好ましくは0.2〜5.0質量部であり、より好ましくは0.5〜4.0質量部であり、さらに好ましくは0.5〜3.0質量部である。
【0030】
エラストマー組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲で、上記成分以外に、オイル、加工助剤、等の添加剤を含んでもよい。
【0031】
エラストマー組成物の隠ぺい率は、透明である限りにおいて限定されないが、好ましくは70%以下であり、より好ましくは0〜50%であり、さらに好ましくは0〜30%である。隠ぺい率は、JIS K 5600−4−1の方法B(隠ぺい率試験紙)により測定する。エラストマー組成物の隠ぺい率が高すぎると、エラストマー組成物の層に光が入射したときに、光がエラストマー組成物に吸収されるため、反射光が弱くなる。
【0032】
エラストマー組成物の層の厚さは、本発明の効果を奏する限り限定されないが、好ましくは0.05〜2.0mmであり、より好ましくは0.05〜1.0mmであり、さらに好ましくは0.1〜0.5mmである。層の厚さが薄すぎると、再帰性反射性能が不十分である場合があり、逆に厚すぎると、タイヤに配置した場合にタイヤの走行性能に影響を与える場合がある。
【0033】
本発明の空気入りタイヤの製造方法は、本発明の効果を奏する限り限定されないが、たとえば次のようにして製造することができる。
透明エラストマー、再帰性反射光学要素、必要に応じて過酸化物架橋剤、シランカップリング剤、酸変性ポリマー、フェノール系老化防止剤、その他の添加剤を、慣用の方法により、混合し、混練して、エラストマー組成物を調製する。エラストマー組成物を慣用の方法によりシート状に成形し、エラストマー組成物シートを作製する。インナーライナー、カーカス、トレッドなどのタイヤ部材を成形ドラム上に配置し、常法により積層してグリーンタイヤを作製する。グリーンタイヤの非接地部にエラストマー組成物シートを貼り付け、常法により加硫し、空気入りタイヤを製造する。
【実施例】
【0034】
(1)原材料
実施例に用いた原材料は次のとおりである。
SBR(スチレンブタジエンゴム): 日本ゼオン株式会社製「Nipol」(登録商標)1502、比重0.94g/cm
3
BR(ブタジエンゴム): 日本ゼオン株式会社製「Nipol」(登録商標)BR1220、比重0.94g/cm
3
IR(イソプレンゴム): 日本ゼオン株式会社製「Nipol」(登録商標)IR2200、比重0.91g/cm
3
再帰性反射光学要素: ユニチカ株式会社製金属蒸着ビーズ「UB−24MSJ」、直径45〜63μm、金属蒸着層被覆率50%、比重4.2g/cm
3
ガラスビーズ: ユニチカ株式会社製「ユニビーズ」UB−46M、直径63〜90μm、比重4.2g/cm
3
過酸化物架橋剤A: 化薬アクゾ株式会社製「パーカドックス14」、1,3−ビス(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、比重1.08g/cm
3
過酸化物架橋剤B: 化薬アクゾ株式会社製「カヤヘキサYD−E85」、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、比重0.89g/cm
3
硫黄: 細井化学工業製株式会社製「油処理イオウ」、比重1.57g/cm
3
加硫促進剤: 大内新興化学工業株式会社製「ノクセラーDM」、比重1.50g/cm
3
酸化亜鉛: 正同化学工業株式会社製「亜鉛華3号」、比重5.60g/cm
3
ステアリン酸: 千葉脂肪酸株式会社製「工業用ステアリン酸」、比重0.92g/cm
3
シランカップリング剤: 信越化学工業株式会社製「KBE−846」、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、比重1.07g/cm
3
酸変性ポリマー: 三井化学株式会社製マレイン酸変性エチレン−ブテン共重合体「タフマー」(登録商標)MH7010、比重0.87g/cm
3
オイル: 昭和シェル石油株式会社製パラフィン系オイル「プロセスオイル123」、比重0.87g/cm
3
老化防止剤: 川口化学工業株式会社製「アンテージW−400」、2,2′−メチレン−ビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、比重1.06g/cm
3
【0035】
(2)エラストマー組成物の調製
表1に示す原料のうち過酸化物架橋剤、硫黄、加硫促進剤を除く原料を、株式会社神戸製鋼所製B型バンバリーミキサー(1.8L)を用いて5分間混合した後、この混合物に過酸化物架橋剤、硫黄、加硫促進剤を8インチの試験用練りロール機(関西ロール株式会社製)で4分間混練してエラストマー組成物を得た。
【0036】
(3)エラストマー組成物シートの作製
調製したエラストマー組成物を8インチの試験用練りロール機(関西ロール株式会社製)を用いてシートを作製した。エラストマー組成物シートの厚みは1mmとした。
【0037】
(4)タイヤの成形
インナーライナー、カーカス、サイドトレッド、キャップトレッドなどのタイヤ部材を成形ドラム上に配置し、常法により積層してグリーンタイヤを作製した。タイヤのサイドウォールからショルダーおよびキャップトレッド溝底となる部分のグリーンタイヤ外表面に前記(2)で作製したエラストマー組成物シートを貼り付け、通常の加硫成形方法により加硫し、サイドウォールからショルダー部およびキャップトレッド溝底部にエラストマー組成物が配置された195/65R15サイズの空気入りタイヤを製造した。
【0038】
(5)隠ぺい率の評価
エラストマー組成物について隠ぺい率を評価した。隠ぺい率の試験方法は、JIS K 5600−4−1の方法B(隠ぺい率試験紙)に従った。作製したエラストマー組成物シートを隠ぺい率試験紙上に配置し、試験片の白地部分と黒地部分の各4か所について、JIS Z 8722による三刺激値Yを測定し、それぞれの平均値YW(白地上)およびYB(黒地上)を求めた。次に各4か所の平均値YWおよびYBから試験片の隠ぺい率YB/YWを百分率で計算し、隠ぺい率とした。結果を表1に示す。
【0039】
(6)再帰性反射性能の評価
空気入りタイヤについて再帰性反射性能を評価した。評価方法は次のとおりである。
作製した空気入りタイヤを15×6JJのリムに組み付け、内圧200kPaとなるように空気を充填した。暗所にて空気入りタイヤを直立させ、空気入りタイヤからの距離が10m、入射角が40度となるように投光器を設置し、観測角1度として目視にてサイドウォール部の再帰性反射光を確認した。十分な再帰性反射光が観測された場合は○、再帰性反射をするが反射光が弱い場合を△、再帰性反射を示さない場合は×とした。
結果を表1に示す。
【0040】
(7)疲労耐久性の評価
空気入りタイヤについて疲労耐久性を評価した。評価方法は次のとおりである。
作製した空気入りタイヤをリム15×6JJ、内圧200kPaとして、排気量1800ccのFF乗用車に装着し、実路上を3,000km走行後の空気入りタイヤを目視にて確認し、タイヤサイドトレッド部の再帰性反射部材に大量のビーズ脱落やクラックのあるものを×、ビーズ脱落はあるがクラック発生が少ないものを△、ビーズ脱落が少なくクラックが無いものを○として評価した。
結果を表1に示す。
【0041】
以上の結果から、実施例1〜6の金属蒸着ビーズを配合し、過酸化物架橋剤で架橋したエラストマー組成物を配置したタイヤは良好な再帰性反射性能を示し、実施例7の金属蒸着ビーズを配合したが、硫黄系で加硫したエラストマー組成物を配置したタイヤはやや劣る再帰性反射性能を示した。比較例1の通常のガラスビーズを配合したエラストマー組成物を配置したタイヤは再帰性反射を示さなかった。
また、シランカップリング剤および酸変性ポリマーを配合し、金属蒸着ガラスビーズを適量配合した実施例2〜5は耐久性も良好であり、より好ましい結果が得られた。
【0042】
【表1】