特許第6881123号(P6881123)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6881123
(24)【登録日】2021年5月10日
(45)【発行日】2021年6月2日
(54)【発明の名称】ケーブル終端接続構造
(51)【国際特許分類】
   H02G 15/064 20060101AFI20210524BHJP
【FI】
   H02G15/064
【請求項の数】8
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2017-141539(P2017-141539)
(22)【出願日】2017年7月21日
(65)【公開番号】特開2019-22402(P2019-22402A)
(43)【公開日】2019年2月7日
【審査請求日】2020年4月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145872
【弁理士】
【氏名又は名称】福岡 昌浩
(74)【代理人】
【識別番号】100187643
【弁理士】
【氏名又は名称】白鳥 昌宏
(74)【代理人】
【識別番号】100195006
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 勇蔵
(72)【発明者】
【氏名】三根 章詞
【審査官】 木村 励
(56)【参考文献】
【文献】 特開平5−199639(JP,A)
【文献】 実開平4−97434(JP,U)
【文献】 実開昭59−135026(JP,U)
【文献】 特開平6−233440(JP,A)
【文献】 特開2013−143823(JP,A)
【文献】 実開昭55−67627(JP,U)
【文献】 特開2005−333754(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 15/064
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端から軸方向に段階的に剥がされた電力ケーブルが終端接続されるケーブル終端接続構造であって、
鉛直方向に沿って立設された状態で、前記電力ケーブルが下方から挿入され、前記電力ケーブルとの間に絶縁媒体が充填される碍管と、
前記碍管の鉛直上端部に設けられ、前記電力ケーブルの一端側を固定する上側固定部と、
前記碍管の鉛直下端部に固定され、前記電力ケーブルとの間が封止された状態を維持しながら前記電力ケーブルの軸方向の伸縮を許容するフランジと、
前記フランジの鉛直下側に設けられ、前記電力ケーブルを鉛直下側に軸方向に沿って引っ張る引張機構と、
を有する
ケーブル終端接続構造。
【請求項2】
前記電力ケーブルは、その周囲の電界を緩和する絶縁筒が外嵌された状態で前記碍管内に挿入される
請求項1に記載のケーブル終端接続構造。
【請求項3】
前記引張機構は、
前記フランジの鉛直下面に接し、前記電力ケーブルの軸方向に沿って伸縮するバネ部と、
前記バネ部を挟んで前記フランジと反対側に設けられ、前記バネ部を圧縮した状態で前記バネ部の下端と前記電力ケーブルとを固定するバネ固定部と、
を有し、
前記バネ部の反発力を前記バネ固定部に伝達させ、前記電力ケーブルを軸方向に沿って引っ張るよう構成される
請求項1又は2に記載のケーブル終端接続構造。
【請求項4】
前記引張機構は、
前記フランジの鉛直下面に接し、前記電力ケーブルの軸方向に沿って伸縮するバネ部と、
前記バネ部を挟んで前記フランジと反対側に設けられ、前記バネ部を圧縮した状態で前記バネ部の下端を前記電力ケーブルに係止するバネ係止部と、
前記電力ケーブルの軸方向に対する前記バネ係止部の係止位置を調整し、前記バネ部の反発力を調整するバネ調整部と、
を有し、
前記バネ部の反発力を前記バネ係止部および前記バネ調整部に伝達させ、前記電力ケーブルを軸方向に沿って引っ張るよう構成される
請求項1又は2に記載のケーブル終端接続構造。
【請求項5】
前記引張機構は、前記電力ケーブルの軸方向の伸び出し量に対する、該引張機構が前記電力ケーブルを引っ張る引張力の低下率を徐々に小さくしていくよう構成される
請求項1〜4のいずれか1項に記載のケーブル終端接続構造。
【請求項6】
前記引張機構は、前記電力ケーブルの軸方向の伸び出し量に対する、該引張機構が前記電力ケーブルを引っ張る引張力の低下率を徐々に大きくしていくよう構成される
請求項1〜4のいずれか1項に記載のケーブル終端接続構造。
【請求項7】
前記引張機構は、電力ケーブル100に対して荷重を付与することにより前記電力ケーブルを鉛直下側に軸方向に沿って引っ張るよう構成される
請求項1又は2に記載のケーブル終端接続構造。
【請求項8】
一端から軸方向に段階的に剥がされた電力ケーブルが終端接続されるケーブル終端接続構造であって、
鉛直方向に沿って立設された状態で、前記電力ケーブルが下方から挿入され、前記電力ケーブルとの間に絶縁媒体が充填される碍管と、
前記碍管の鉛直上端部に固定され、前記電力ケーブルとの間が封止された状態を維持しながら前記電力ケーブルの軸方向の伸縮を許容する上側シール部と、
前記碍管の鉛直下端部を、前記電力ケーブルが挿通された状態で塞ぐフランジと、
前記上側シール部の鉛直上側に設けられ、前記電力ケーブルを鉛直上側に軸方向に沿って引っ張る引張機構と、
を有する
ケーブル終端接続構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブル終端接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
電力ケーブルと架空送電線等とを接続するために、ケーブル終端接続構造(気中終端接続部、気中終端接続箱)が設けられることがある(例えば、特許文献1)。電力ケーブルは、碍管内に挿入され、碍管内の電力ケーブルとの間には、絶縁媒体が充填される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−5500号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、碍管内での電力ケーブルの撓みを抑制することができる技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、
一端から軸方向に段階的に剥がされた電力ケーブルが終端接続されるケーブル終端接続構造であって、
鉛直方向に沿って立設された状態で、前記電力ケーブルが下方から挿入され、前記電力ケーブルとの間に絶縁媒体が充填される碍管と、
前記碍管の鉛直上端部に設けられ、前記電力ケーブルの一端側を固定する上側固定部と、
前記碍管の鉛直下端部に固定され、前記電力ケーブルとの間が封止された状態を維持しながら前記電力ケーブルの軸方向の伸縮を許容するフランジと、
前記フランジの鉛直下側に設けられ、前記電力ケーブルを鉛直下側に軸方向に沿って引っ張る引張機構と、
を有する
ケーブル終端接続構造が提供される。
【0006】
本発明の他の態様によれば、
一端から軸方向に段階的に剥がされた電力ケーブルが終端接続されるケーブル終端接続構造であって、
鉛直方向に沿って立設された状態で、前記電力ケーブルが下方から挿入され、前記電力ケーブルとの間に絶縁媒体が充填される碍管と、
前記碍管の鉛直上端部に固定され、前記電力ケーブルとの間が封止された状態を維持しながら前記電力ケーブルの軸方向の伸縮を許容する上側固定部と、
前記碍管の鉛直下端部を、前記電力ケーブルが挿通された状態で塞ぐフランジと、
前記上側固定部の鉛直上側に設けられ、前記電力ケーブルを鉛直上側に軸方向に沿って引っ張る引張機構と、
を有する
ケーブル終端接続構造が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、碍管内での電力ケーブルの撓みを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1実施形態に係る電力ケーブルの軸方向と直交する断面図である。
図2】本発明の第1実施形態に係るケーブル終端接続構造を示す断面図である。
図3】電力ケーブルの軸方向の伸び出し量に対する、引張機構が電力ケーブルを引っ張るケーブル引張力を示す図である。
図4】本発明の第2実施形態に係るケーブル終端接続構造を示す断面図である。
図5】本発明の第3実施形態に係るケーブル終端接続構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<発明者の得た知見>
まず、従来のケーブル終端接続構造において発明者が見出した新規課題について説明する。
【0010】
従来のケーブル終端接続構造は、例えば、碍管と、フランジと、を有する。碍管は、鉛直方向に沿って立設される。碍管内には、下方から電力ケーブルが挿入され、碍管内の電力ケーブルとの間には、絶縁媒体が充填される。フランジは、碍管の下端部に固定される。フランジは、電力ケーブルとの間が封止された状態を維持しながら電力ケーブルの軸方向の伸縮を許容するよう構成される。
【0011】
従来のケーブル終端接続構造において、電力ケーブルが通電され、ジュール熱によって電力ケーブルが軸方向に伸長すると、フランジと電力ケーブルとの間が封止された状態を維持しながら、電力ケーブルの一部が碍管内から外側へ伸び出す。
【0012】
しかしながら、従来のケーブル終端接続構造において、フランジよりも下側の構成によっては、碍管内からの電力ケーブルの伸び出しが阻害される可能性がある。例えば、フランジよりも下側で電力ケーブルを固定するクリートの付近において、電力ケーブルを構成するケーブルコアとケーブル金属被との間に摩擦力が大きいと、その摩擦力によって、碍管内からの電力ケーブルの伸び出しが阻害される可能性がある。
【0013】
碍管内からの電力ケーブルの伸び出しが阻害されると、碍管内の電力ケーブルが碍管の軸方向の長さよりも長く伸長した伸長分(余長分)を碍管内から外へ逃がすことができなくなる。このため、碍管内で電力ケーブルが撓む可能性がある。碍管内で特に電力ケーブルのうちケーブル外部半導電層の一端よりも上側が撓むと、電力ケーブルの周囲における電界分布が偏ってしまう可能性がある。
【0014】
以下で説明する本発明は、本発明者が見出した上記した新規課題に基づくものである。
【0015】
<本発明の第1実施形態>
(1)ケーブル終端接続構造
本発明の第1実施形態に係るケーブル終端接続構造について、図1図3を用いて説明する。図1は、本実施形態に係る電力ケーブルの軸方向と直交する断面図である。図2は、本実施形態に係るケーブル終端接続構造を示す断面図である。図3は、電力ケーブルの軸方向の伸び出し量に対する、引張機構が電力ケーブルを引っ張るケーブル引張力を示す図である。
【0016】
なお、以下の説明において、電力ケーブル100または碍管200の「軸方向」とは、電力ケーブル100または碍管200の中心軸の方向のことをいい、「長手方向」と言い換えることができる。また、電力ケーブル100または碍管200の「径方向」とは、電力ケーブル100または碍管200の中心軸から外周に向かう方向のことをいい、場合によっては「短手方向」と言い換えることができる。また、電力ケーブル100または碍管200の「周方向」とは、電力ケーブル100または碍管200の、外周または内周に沿った方向のことをいう。
【0017】
また、以下の説明において、電力ケーブル100の軸方向の伸び出し量とは、電力ケーブル100の軸方向の伸び出し長と言い換えることができる。また、バネ部520の圧縮量とは、バネ部520の圧縮長と言い換えることができる。
【0018】
図2に示すように、本実施形態のケーブル終端接続構造(気中終端接続部、気中終端接続箱)10は、一端から軸方向に段階的に剥がされた電力ケーブル100を終端接続し、電力ケーブル100と架空送電線(不図示)等とを接続するよう構成され、例えば、碍管200と、導体固定部320と、フランジ620と、引張機構50と、防護管340と、を有している。
【0019】
(電力ケーブルおよび付属部材)
まず、図1および図2を用い、ケーブル終端接続構造10において終端接続される電力ケーブル100およびその付属部材について説明する。
【0020】
図1に示すように、電力ケーブル100は、高電圧の地中送電線として用いられるCVケーブル(Crosslinked polyethylene insulated PVC sheathed cable、XLPEケーブルともいう)として構成され、例えば、中心軸から外周に向けて、ケーブル導体110、ケーブル内部半導電層120、ケーブル絶縁体130、ケーブル外部半導電層140、ケーブル金属被(ケーブル金属遮蔽層)150、およびケーブルシース160を有している。
【0021】
なお、電力ケーブル100の公称電圧は、例えば、66kV以上500kV以下である。ただし、電力ケーブル100の公称電圧は一例であって、この範囲に限定されるものではない。上記公称電圧以外の電力ケーブルに対して本実施形態のケーブル終端接続構造10を適用しても、本実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0022】
図2に示すように、電力ケーブル100は、一端から軸方向に段階的に剥がされている(段剥ぎされている)。すなわち、ケーブル導体110、ケーブル絶縁体130およびケーブル外部半導電層140は、電力ケーブル100の一端側からこの順で露出している。段階的に剥がされた電力ケーブル100には、例えば、導体引出棒310と、絶縁筒(ストレスリリーフコーン、プレモールド絶縁体)400と、金属筒(油止金具)640と、が付属(装着)されている。電力ケーブル100は、ケーブル終端接続構造10において、鉛直方向に沿って立ち上げられることとなる。
【0023】
導体引出棒310は、一端に架空送電線等が接続されるよう構成されている。導体引出棒310の一端と反対の基端側には、露出したケーブル導体110の一端が圧縮接続されている。ケーブル導体110の一端と導体引出棒310との接続部には、これらの間を封止するシール部(符号不図示)が設けられている。
【0024】
絶縁筒400は、電力ケーブル100の周囲の電界を緩和するよう構成されている。すなわち、絶縁筒400は、電力ケーブル100の外周に外嵌され(電力ケーブル100の外周を囲むように設けられ)、露出したケーブル外部半導電層140の一端周辺の電界を緩和するよう構成されている。具体的には、絶縁筒400は、例えば、軸方向の一方に設けられる絶縁体420と、軸方向の他方に設けられる半導電層440と、を有し、これらが一体として筒状にモールド成形されることにより構成されている。絶縁体420は、例えば、絶縁性ゴムからなっている。絶縁性ゴムとしては、例えば、エチレンプロピレンゴムまたはシリコーンゴムが挙げられる。一方、半導電層440は、例えば、半導電性ゴムからなっている。半導電性ゴムとしては、例えば、エチレンプロピレンゴムまたはシリコーンゴムとカーボンブラックとを含むものが挙げられる。また、半導電層440は、テーパ形状を有しており、絶縁筒400のうち半導電層440側の他端から絶縁体420側の一端に向かう方向に絶縁筒400の内周面から徐々に離れて拡径するように設けられている。絶縁筒400が電力ケーブル100の外周に外嵌されるとき、絶縁体420は、露出したケーブル絶縁体130の外周面と接し、半導電層440は、露出したケーブル外部半導電層140の外周面と接する。また、半導電層440は、ケーブル外部半導電層140の一端からケーブル導体110の一端に向かう方向に電力ケーブル100の外周から徐々に離れて拡径するように配置される。これにより、露出したケーブル外部半導電層140の周辺において、等電位線を均等に分布させ、電界集中を抑制することができる。
【0025】
金属筒640は、露出したケーブル外部半導電層140のうち絶縁筒400の鉛直下側において、電力ケーブル100を囲むように設けられている。金属筒640の軸方向の下端および上端には、それぞれ、金属筒シール部(符号不図示)が設けられている。金属筒シール部のそれぞれは、金属筒640と電力ケーブル100との間に後述する絶縁媒体20が浸入することを抑制するよう構成され、例えば、粘着層付き封止テープまたは収縮性封止チューブ等からなっている。金属筒640は、金属筒シール部のそれぞれによって、ケーブル外部半導電層140との間(の間隙)が封止された状態で、ケーブル外部半導電層140に固定されている。
【0026】
(碍管)
碍管200は、段階的に剥がされた電力ケーブル100の周辺の絶縁性を確保するよう構成されている。碍管200は、例えば、磁器またはポリマにより構成されている。
【0027】
碍管200は、鉛直方向に沿って立設され、架台(不図示)等に固定されている。碍管200内には、導体引出棒310の一部と、段階的に剥がされた電力ケーブル100と、絶縁筒400と、金属筒640の一部とが挿入されている。電力ケーブル100は、碍管200に沿って直線状に配置され、碍管200の軸方向から見て、碍管200の中心に配置されている。
【0028】
碍管200内のうち、碍管200の内周面と、電力ケーブル100、絶縁筒400および金属筒640のそれぞれとの間には、絶縁媒体20が充填されている。絶縁媒体20は、例えば、絶縁油または絶縁ガスである。絶縁媒体20が絶縁油である場合、碍管200内の絶縁媒体20の圧力(油圧)は、例えば、大気圧以上0.5MPa以下である。なお、この場合、碍管200内の全体に亘って絶縁媒体20としての絶縁油が充填されているのではなく、その鉛直上側一部に例えば空気を含む気体層(符号不図示)が設けられている。このような気体層が設けられることにより、絶縁油の膨張や収縮による圧力変化を気体層により吸収させることができる。なお、気体層は、例えば、施工時に大気圧で、通電時に0.3MPa程度となるように調整される。一方で、絶縁媒体20が絶縁ガスである場合、碍管200内の絶縁媒体20の圧力(ガス圧)は、例えば、大気圧以上0.5MPa以下である。なお、この場合、絶縁ガスとしては、例えば、六フッ化硫黄(SF)ガスである。
【0029】
また、碍管200は、径方向に拡径した複数の鍔部(ひだ部)210を有している。複数の鍔部210は、碍管200の軸方向に所定の間隔で配置されている。これにより、導体引出棒310とアースとの間の絶縁距離(沿面距離)が確保されている。
【0030】
(導体固定部および付属部材)
導体固定部320は、碍管200の鉛直上端部に設けられ、導体引出棒310(電力ケーブル100のケーブル導体110の一端側)を固定している。導体固定部320は、碍管200の軸方向から見て、導体引出棒310を碍管200の中心に固定している。
【0031】
また、導体固定部320の上側には、上部覆い330が設けられている。これにより、雨水が導体固定部320と導体引出棒310との接続部を介して碍管200内に浸入することが抑制されている。
【0032】
(フランジ)
フランジ620は、碍管200の鉛直下側を塞ぐよう構成されている。フランジ620は、例えば、リング状(円筒リング状)に構成され、中心に開口を有している。フランジ620は、碍管200の鉛直下端部に碍管200の周方向に沿って配置され、ボルト(符号不図示)によって碍管200の鉛直下端部に固定されている。フランジ620は、例えば、中心軸が碍管200の中心軸と一致するよう配置されている。
【0033】
また、フランジ620は、電力ケーブル100の外周を囲み、電力ケーブル100との間が封止された状態で設けられている。具体的には、例えば、フランジ620の開口の内径は、金属筒640の外径よりも若干大きくなっている。フランジ620の内周面には、該内周面の周方向に沿ってパッキン(Oリングともいう、不図示)が嵌合されている。また、パッキンは、電力ケーブル100の外周を囲み、金属筒640の外周面に密着している。これにより、フランジ620と電力ケーブル100との間が金属筒640およびパッキンを介して(油密に)封止されている。このような構成により、フランジ620は、電力ケーブル100との間が封止された状態を維持しながら、電力ケーブル100の軸方向の伸縮を許容するようになっている。
【0034】
なお、上述のように、電力ケーブル100がフランジ620の中心の開口内に密に配置されることにより、電力ケーブル100の中心軸は、碍管200の中心軸と一致することとなる。つまり、絶縁筒400等が装着された電力ケーブル100は、碍管200の軸方向から見て、碍管200の中心に配置されることとなる。また、電力ケーブル100および絶縁筒400は、それぞれ、碍管200の内周面から所定間隔だけ離れ、碍管200の内周面と非接触に配置されることとなる。
【0035】
(引張機構)
引張機構50は、フランジ620の鉛直下側に設けられ、電力ケーブル100を鉛直下側に軸方向に沿って引っ張るよう構成されている。本実施形態の引張機構50は、例えば、バネ部520と、バネ固定部540と、を有している。
【0036】
バネ部520は、例えば、フランジ620の鉛直下面に接し、電力ケーブル100の軸方向に伸縮するよう構成されている。具体的には、バネ部520は、例えば、いわゆるコイルバネ(圧縮バネ)により構成されている。バネ部520は、フランジ620の鉛直下面に垂直な方向に沿って配置され、電力ケーブル100の軸方向に沿って伸縮するようになっている。例えば、フランジ620の鉛直下面には、円状の凹溝(不図示)が設けられ、該鉛直下面の凹溝内には、バネ部520の上端が嵌合している。これにより、バネ部520の上端が横方向にずれないようになっている。
【0037】
バネ固定部540は、バネ部520を挟んでフランジ620と反対側に設けられ、バネ部520を圧縮した状態で、バネ部520の下端と電力ケーブル100とを固定している。具体的には、バネ固定部540は、例えば、略円筒状に構成され、バネ部520を挟んでフランジ620と反対側において電力ケーブル100を囲むように設けられている。バネ固定部540の軸方向の下端および上端には、接着部(符号不図示)が設けられている。バネ固定部540の接着部は、例えば、所定の接着剤等からなっている。バネ固定部540は、接着部のそれぞれによって、ケーブル外部半導電層140に接着されて固定されている。なお、バネ固定部540の接着部は、少なくとも接着性を有していればよく、封止性を有していなくてもよい。
【0038】
また、バネ固定部540は、例えば、径方向に拡径した拡径部542を有している。例えば、バネ固定部540の拡径部542の鉛直上面には、円状の凹溝(不図示)が設けられ、該拡径部542の凹溝内には、バネ部520の下端が嵌合している。これにより、バネ部520の下端が横方向にずれないようになっている。
【0039】
このような構成により、バネ部520は、軸方向に圧縮された状態で、フランジ620の鉛直下面とバネ固定部540の拡径部542の鉛直上面との間に挟持されている。これにより、引張機構50は、バネ部520の反発力をバネ固定部540に伝達させ、電力ケーブル100を鉛直下側に軸方向に沿って引っ張る引張力を生じさせるようになっている。
【0040】
本実施形態では、バネ部520は、複数設けられている。複数のバネ部520は、互いに等しいバネ定数を有し、バネ固定部540の軸方向(電力ケーブル100の軸方向)から見て、バネ固定部540の中心開口(符号不図示)の径方向の外側に該中心開口を挟んで(すなわち電力ケーブル100を挟んで)対称に配置されている。具体的には、バネ部520は、例えば、4つ設けられ、4つのバネ部520は、平面視でバネ固定部540の中心を中心とする正方形の角部に相当する位置にそれぞれ配置されている。これにより、複数のバネ部520により電力ケーブル100を均等に引っ張ることができ、電力ケーブル100を引っ張った際の電力ケーブル100の傾斜を抑制することができる。
【0041】
また、本実施形態の引張機構50は、例えば、図3のAに示すように、電力ケーブル100の軸方向の伸び出し量に対する、該引張機構50が電力ケーブル100を引っ張る引張力(ケーブル引張力)の低下率(すなわち図3の傾き)が一定となるよう構成されている。つまり、バネ部520は、例えば、圧縮量に対してバネ定数が一定である線形バネ特性を有している。電力ケーブル100を軸方向に伸び出した場合の引張機構50の挙動については詳細を後述する。
【0042】
(防護管)
図2に示すように、防護管340は、露出したケーブル外部半導電層140や引張機構50を保護するよう構成されている。具体的には、防護管340は、例えば、略筒状の金属管として構成され、フランジ620の鉛直下側で露出したケーブル外部半導電層140と引張機構50とを覆うように設けられている。防護管340の上側は、例えば、ボルト(符号不図示)によってフランジ620に固定されている。一方、防護管340の下側と電力ケーブル100との間は、防護管シール部(符号不図示)によって封止されている。
【0043】
なお、防護管340の鉛直下端から、電力ケーブル100の一端と反対側に所定距離離れた位置には、電力ケーブル100のケーブル金属被150の一端を固定するクリート(不図示)が設けられている。クリートと防護管との間では、電力ケーブル100が蛇行するように設けられている。これにより、碍管200内から電力ケーブル100が伸び出した際に、電力ケーブル100の伸長分を、クリートと防護管との間における電力ケーブル100の蛇行部分で吸収させることができる。
【0044】
(2)電力ケーブルが軸方向に伸縮した場合について
次に、電力ケーブル100が軸方向に伸長した場合について説明する。
【0045】
ここで、本実施形態の引張機構50は、上述のように、バネ部520の反発力をバネ固定部540に伝達させ、電力ケーブル100を鉛直下側に軸方向に沿って引っ張る引張力を生じさせるようになっている。電力ケーブル100が通電されていないときには、電力ケーブル100の張力と引張機構50の引張力とが釣り合い、電力ケーブル100は静止している。
【0046】
電力ケーブル100が通電されると、ジュール熱によって電力ケーブル100が軸方向に伸長する。電力ケーブル100が軸方向に伸長すると、引張機構50の引張力によって電力ケーブル100が碍管200内から外側に向けて伸び出し始める。これにより、電力ケーブル100が碍管200の軸方向の長さよりも長く伸長した伸長分(余長分)を碍管200内から外側に出すことができる。
【0047】
このとき、フランジ620は、電力ケーブル100との間が封止された状態を維持しながら、電力ケーブル100の軸方向の伸び出しを許容する。具体的には、電力ケーブル100が軸方向に伸長したとき、フランジ620の内周面に嵌合したパッキンと金属筒640の外周面とが密着した状態で、金属筒640が該パッキン内を電力ケーブル100の軸方向に沿って滑るように動く。金属筒640が滑るように動くことで、金属筒640と電力ケーブル100との間を封止する金属筒シール部に対して、過剰な力が加わることを抑制することができ、金属筒シール部の破断を抑制することができる。これにより、フランジ620と電力ケーブル100との間が封止された状態を維持しながら、電力ケーブル100の一部を碍管200内から軸方向に伸び出させることができる。
【0048】
電力ケーブル100が碍管200内から軸方向に伸び出すと、碍管200内からの電力ケーブル100の軸方向の伸び出し量が大きくなるにしたがって、バネ部520の圧縮量が徐々に小さくなる。バネ部520の圧縮量が小さくなると、バネ部520の圧縮量が小さくなるにしたがってバネ部520の反発力が小さくなる。上述のようにバネ部520の反発力によって引張機構50が電力ケーブル100を引っ張る引張力が生じているため、バネ部520の反発力が小さくなると、引張機構50が電力ケーブル100を引っ張る引張力が小さくなる。電力ケーブル100の張力と引張機構50の引張力とが釣り合ったとき、電力ケーブル100は静止する。
【0049】
このとき、本実施形態の引張機構50では、図3のAに示すように、碍管200内からの電力ケーブル100の軸方向の伸び出し量に対する引張機構50が電力ケーブル100を引っ張る引張力の低下率が一定になっている。碍管200内からの電力ケーブル100の軸方向の伸び出し量が大きくなり、バネ部520の圧縮量が小さくなるにしたがって、バネ部520の反発力が線形に小さくなるとともに、引張機構50が電力ケーブル100を引っ張る引張力も線形に小さくなる。このように引張機構50の引張力が線形性を有していることにより、バネ部520の圧縮量または電力ケーブル100の軸方向の伸び出し量に基づいて、電力ケーブル100に対してどの程度の引張力が印加されているかを容易に把握することができる。
【0050】
以上のようにして、引張機構50の引張力によって電力ケーブル100が碍管200の長さよりも長く伸長した伸長分を碍管200内から外側に出すことで、碍管200内での電力ケーブル100の撓みを抑制し、碍管200内の電力ケーブル100を直線状に維持することができる。
【0051】
次に、電力ケーブル100が軸方向に収縮した場合について説明する。
【0052】
電力ケーブル100が通電され、ジュール熱によって電力ケーブル100が軸方向に伸び出した後、電力ケーブル100の通電を終了させると、電力ケーブル100が冷やされて、電力ケーブル100が伸び出した状態から収縮することがある。電力ケーブル100が軸方向に収縮すると、電力ケーブル100が碍管200内から外側に伸び出していた伸長分が碍管200の内に引き戻される。
【0053】
このとき、フランジ620は、電力ケーブル100との間が封止された状態を維持しながら、電力ケーブル100の軸方向の収縮を許容する。具体的には、電力ケーブル100が軸方向に縮んだとき、金属筒640は、電力ケーブル100が軸方向に伸長した場合と反対の方向に、パッキン内を滑るように動く。これにより、電力ケーブル100が軸方向に伸長した場合と同様の原理により、金属筒640と電力ケーブル100との間を封止する金属筒シール部の破断を抑制することができる。その結果、フランジ620と電力ケーブル100との間が封止された状態を維持しながら、電力ケーブル100を軸方向に収縮させ、電力ケーブル100が碍管200内から外側に伸び出していた伸長分を碍管200内に引き戻すことができる。
【0054】
電力ケーブル100が軸方向に収縮すると、碍管200内からの電力ケーブル100の軸方向の伸び出し量が小さくなるにしたがって、バネ部520の圧縮量が徐々に大きくなる。バネ部520の圧縮量が大きくなると、バネ部520の圧縮量が大きくなるにしたがって、バネ部520の反発力が大きくなり、引張機構50が電力ケーブル100を引っ張る引張力が大きくなる。電力ケーブル100の張力と引張機構50の引張力とが釣り合ったとき、電力ケーブル100は静止する。
【0055】
以上のようにして、引張機構50によって電力ケーブル100を軸方向に引っ張りつつ、電力ケーブル100が碍管200内から外側に伸び出していた伸長分を碍管200内に引き戻すことで、電力ケーブル100が碍管200内に過剰に引き戻されることを抑制することができる。これにより、電力ケーブル100が軸方向に収縮した場合であっても、碍管200内での碍管200内での電力ケーブル100の撓みを抑制することができる。
【0056】
(3)ケーブル終端接続構造の製造方法(ケーブル終端接続方法)
次に、本実施形態に係るケーブル終端接続構造の製造方法について説明する。
【0057】
まず、終端接続する電力ケーブル100を用意する。電力ケーブル100を一端から軸方向に段階的に剥がし、ケーブル導体110、ケーブル絶縁体130およびケーブル外部半導電層140を、電力ケーブル100の一端側からこの順で露出させる。
【0058】
電力ケーブル100を段階的に剥がしたら、電力ケーブル100を軸方向に沿って引っ張ることとなる引張機構50の少なくとも一部を電力ケーブル100に設ける。具体的には、段階的に剥がされた電力ケーブル100の外周に、バネ固定部540を外嵌させる。このとき、最終的にケーブル終端接続構造10が製造された際に、引張機構50のバネ部520の反発力によって電力ケーブル100を鉛直下側に軸方向に沿って引っ張る引張力を生じさせるように、露出したケーブル外部半導電層140の基端付近の所定位置に、バネ固定部540を配置する。バネ固定部540を所定位置に配置したら、バネ固定部540の軸方向の下端および上端にバネ固定部540の接着部を形成し、バネ固定部540とケーブル外部半導電層140とを接着して固定する。なお、本実施形態では、バネ部520は後で配置する。
【0059】
引張機構50の少なくとも一部を電力ケーブル100に設けたら、電力ケーブル100との間を封止した状態を維持しながら電力ケーブル100の軸方向の伸縮を許容するように、フランジ620を電力ケーブル100の外周に外嵌させる。具体的には、まず、電力ケーブル100の外周に金属筒640を外嵌させ、露出したケーブル外部半導電層140のうちバネ固定部540よりも電力ケーブル100の一端側に金属筒640を配置する。金属筒640を所定位置に配置したら、金属筒640の軸方向の下端および上端にそれぞれ金属筒シール部を形成し、金属筒640およびケーブル外部半導電層140との間を封止する。電力ケーブル100の外周に金属筒640を固定したら、フランジ620の内周面にパッキンを嵌合させ、金属筒640の外周面にパッキンを密着させながら、金属筒640の外周にフランジ620を外嵌させる。
【0060】
電力ケーブル100にフランジ620を装着したら、電力ケーブル100の外周に絶縁筒400を外嵌させ、絶縁筒400をケーブル外部半導電層140の一端付近に配置する。また、ケーブル導体110の一端を導体引出棒310の基端側に圧縮接続する。
【0061】
次に、碍管200内に電力ケーブル100を挿入する。碍管200内に電力ケーブル100を挿入したら、導体固定部320により碍管200の上端部にケーブル導体110の一端側を固定する。ケーブル導体110の一端側を固定したら、碍管200を鉛直方向に立設させ、碍管200を架台に固定する。
【0062】
次に、碍管200の鉛直下端部に碍管200の周方向に沿ってフランジ620をボルトによって固定する。これにより、碍管200の鉛直下端側の開口がフランジ620によって封止される(塞がれる)。
【0063】
このとき、電力ケーブル100を鉛直下方向に軸方向に沿って引っ張るよう引張機構50を構成する。具体的には、フランジ620を碍管200の鉛直下端部に固定したら、バネ部520を、軸方向に圧縮した状態で、フランジ620の鉛直下面とバネ固定部540の拡径部542の鉛直上面との間に挟持させる。これにより、バネ部520の反発力をバネ固定部540に伝達させ、電力ケーブル100を鉛直下側に軸方向に沿って引っ張る引張力を生じさせることができる。
【0064】
次に、碍管200内に充填する絶縁媒体20が絶縁油である場合、例えば、碍管200内の真空引きを行うことなく、碍管200の鉛直上側から碍管200内の電力ケーブル100との間に絶縁媒体20としての絶縁油を充填する。この場合、碍管200内の全体に絶縁媒体20としての絶縁油を充填せず、碍管200内の鉛直上側の一部に、空気を含む気体層を形成する。一方で、碍管200内に充填する絶縁媒体20が絶縁ガスである場合、例えば、まず、碍管200の鉛直上側から碍管200内を真空引きする。碍管200内が充分に排気されたら、碍管200の鉛直上側から碍管200内の電力ケーブル100との間に絶縁媒体20としての絶縁ガスを充填する。
【0065】
以上により、本実施形態のケーブル終端接続構造10が製造される。
【0066】
(4)本実施形態に係る効果
本実施形態によれば、以下に示す1つ又は複数の効果を奏する。
【0067】
(a)引張機構50は、フランジ620の鉛直下側に設けられ、電力ケーブル100を鉛直下側に軸方向に沿って引っ張るよう構成されている。引張機構50の引張力によって電力ケーブル100が碍管200の長さよりも長く伸長した伸長分を碍管200内から外側に出すことで、碍管200内での電力ケーブル100の撓みを抑制し、碍管200内の電力ケーブル100を直線状に維持することができる。これにより、碍管200内で、特に電力ケーブル100のうちケーブル外部半導電層140の一端よりも上側が撓むことを抑制することができる。また、碍管200内での絶縁筒400の傾斜を抑制し、碍管200内の絶縁筒400の位置を、碍管200の軸方向から見て碍管200の中心に維持することができる。その結果、段階的に剥がされた電力ケーブル100周辺の電界分布が偏ることを抑制し、局所的な電界集中を抑制することができる。
【0068】
(b)引張機構50は、フランジ620の鉛直下側に設けられている。これにより、引張機構50に高電圧が印加されることを抑制することができる。
【0069】
ここで、参考までに、引張機構が碍管の鉛直上側に設けられケーブル導体を鉛直上側に引っ張るよう構成されている場合について考える。この場合、高電圧が印加されるケーブル導体を引っ張るため、引張機構が高電圧となってしまう可能性がある。
【0070】
これに対し、本実施形態では、引張機構50がフランジ620の鉛直下側に設けられており、すなわち、電力ケーブル100のうちケーブル外部半導電層140によって電気的に遮蔽されている領域に設けられている。これにより、引張機構50が高電圧となることを抑制することができる。すなわち、引張機構50を電気的に安全に構成することができる。
【0071】
(c)また、引張機構50がフランジ620の鉛直下側に設けられていることで、電力ケーブル100の自重を利用しつつ電力ケーブル100を鉛直下側に軸方向に沿って引っ張ることができる。これにより、引張機構50による引張力を小さくすることができる。その結果、引張機構50を小型化および軽量化することができる。
【0072】
(d)引張機構50は、バネ部520とバネ固定部540とを有し、バネ部520の反発力をバネ固定部540に伝達させ、電力ケーブル100を鉛直下側に軸方向に沿って引っ張る引張力を生じさせるようになっている。これにより、後述の引張機構50が錘部554を有する場合と比較して、引張機構50を容易に小型化および軽量化することができる。
【0073】
(e)引張機構50を小型化および軽量化することで、引張機構50を狭い空間内に構築することができる。その結果、ケーブル終端接続構造10を全体として小型化および軽量化することができる。
【0074】
また、引張機構50を小型化および軽量化することで、現場においてケーブル終端接続構造10を容易に施工(製造)することができる。その結果、ケーブル終端接続構造10を短期間で設置することができる。
【0075】
(5)本実施形態の変形例
上述の実施形態は、必要に応じて、以下に示す変形例のように変更することができる。以下、上述の実施形態と異なる要素についてのみ説明し、上述の実施形態で説明した要素と実質的に同一の要素には、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0076】
(変形例1)
図3のBに示すように、変形例1の引張機構50は、例えば、電力ケーブル100の軸方向の伸び出し量に対する、該引張機構50が電力ケーブル100を引っ張る引張力の低下率を徐々に小さくしていくよう構成されている。つまり、バネ部520は、例えば、圧縮量が小さくなるにしたがってバネ定数の低下率が徐々に小さくなる非線形バネ特性を有している。具体的には、バネ部520は、例えば、中心軸を一致させた状態で並列に配置され、軸方向の長さが互いに異なる複数のコイルバネを有している。
【0077】
変形例1によれば、電力ケーブル100の軸方向の伸び出し量に対する、該引張機構50が電力ケーブル100を引っ張る引張力の低下率を徐々に小さくする。この場合、電力ケーブル100が碍管200内から外側に伸び出し始めたときには、電力ケーブル100とフランジ620との静止摩擦力(正確には金属筒640とフランジ620のパッキンとの静止摩擦力)が大きいため、大きな引張力で電力ケーブル100を引っ張ることができる。一方で、電力ケーブル100が碍管200内から外側にある程度伸び出した後には、引張力を徐々に弱めていくことができる。これにより、電力ケーブル100が過度に引っ張られることを抑制することができる。このように、電力ケーブル100が伸び出した状況に応じて引張力を変化させることができる。
【0078】
(変形例2)
図3のCに示すように、変形例2の引張機構50は、例えば、電力ケーブル100の軸方向の伸び出し量に対する、該引張機構50が電力ケーブル100を引っ張る引張力の低下率を徐々に大きくしていくよう構成されている。つまり、バネ部520は、例えば、圧縮量が小さくなるにしたがってバネ定数の低下率が徐々に大きくなる非線形バネ特性を有している。具体的には、バネ部520は、例えば、中心軸を一致させた状態で直列に配置される複数のコイルバネを有している。複数のコイルバネのバネ定数は、互いに異なっていてもよいし、互いに等しくてもよい。なお、バネ部520は、円錐コイルバネであってもよい。
【0079】
変形例2によれば、電力ケーブル100の軸方向の伸び出し量に対する、該引張機構50が電力ケーブル100を引っ張る引張力の低下率を徐々に大きくする、言い換えれば、電力ケーブル100の軸方向の伸び出し量が小さい範囲では、該引張機構50が電力ケーブル100を引っ張る引張力の低下率を小さくする。これにより、電力ケーブル100が碍管200内から外側に伸び出し始めてから所定量伸び出すまでの間に、ほぼ一定の引張力で電力ケーブル100を引っ張ることができる。その結果、電力ケーブル100に過負荷が加わることを抑制しつつ、碍管200内での電力ケーブル100の撓みを安定的に抑制することができる。
【0080】
<本発明の第2実施形態>
上述の実施形態では、引張機構50がバネ部520を有する場合について説明したが、以下の第2実施形態のように、引張機構50はバネ部を有していなくてもよい。第2実施形態においても、上述の実施形態と異なる要素についてのみ説明する。
【0081】
図4は、本実施形態に係るケーブル終端接続構造を示す断面図である。
図4に示すように、本実施形態の引張機構50は、電力ケーブル100に対して荷重を付与することにより電力ケーブル100を鉛直下側に軸方向に沿って引っ張るよう構成されている。具体的には、引張機構50は、例えば、筒状部552と、錘部554と、を有している。
【0082】
筒状部552は、第1実施形態の金属筒640に相当する部分である。すなわち、筒状部552は、筒状に構成され、露出したケーブル外部半導電層140のうち絶縁筒400の鉛直下側において、電力ケーブル100を囲むように設けられている。筒状部552の軸方向の下端および上端には、それぞれ、筒状部シール部(符号不図示)が設けられている。筒状部552とフランジ620との間は、フランジ620の内周面に嵌合したパッキンを介して(油密に)封止されている。
【0083】
錘部554は、例えば、少なくとも電力ケーブル100とフランジ620との静止摩擦力(正確には筒状部552とフランジ620のパッキンとの静止摩擦力)以上の重力を電力ケーブル100に対して付与する荷重を有している。錘部554は、例えば、筒状部552と一体として構成され、筒状部552の外周面から径方向に拡径して構成されている。錘部554の荷重は、筒状部552の中心に対して均等に分布している。また、錘部554は、例えば、筒状部552のうちフランジ620よりも鉛直下側に配置されている。このような構成により、錘部554を電力ケーブル100に対して付与することにより、電力ケーブル100を鉛直下側に軸方向に沿って引っ張るようになっている。
【0084】
本実施形態によれば、引張機構50が電力ケーブル100に対して荷重を付与することにより電力ケーブル100を鉛直下側に軸方向に沿って引っ張るよう構成されていることで、常に一定の重力によって電力ケーブル100を引っ張ることができる。その結果、電力ケーブル100に過負荷が加わることを抑制しつつ、碍管200内での電力ケーブル100の撓みを安定的に抑制することができる。
【0085】
<本発明の第3実施形態>
上述の実施形態では、引張機構50のバネ固定部540がバネ部520の下端と電力ケーブル100とを固定している場合について説明したが、以下の第3実施形態のように、引張機構50の構成を変更してもよい。第3実施形態においても、上述の実施形態と異なる要素についてのみ説明する。
【0086】
図5は、本実施形態に係るケーブル終端接続構造を示す断面図である。
図5に示すように、本実施形態の引張機構50は、電力ケーブル100を引っ張る引張力を調整可能に構成され、例えば、バネ部520と、バネ係止部560と、バネ調整部570と、を有している。
【0087】
バネ係止部560は、例えば、バネ部520を挟んでフランジ620と反対側に設けられ、バネ部520を圧縮した状態でバネ部520の下端を電力ケーブル100に係止するよう構成されている。具体的には、バネ係止部560は、例えば、リング状に構成され、電力ケーブル100の外周を囲むように設けられている。バネ係止部560の鉛直上面には、バネ部520の下端が固定されている。一方で、バネ係止部560は、直接的に電力ケーブル100に固定されておらず、後述のバネ調整部570を介してバネ部520の下端を間接的に電力ケーブル100に係止するようになっている。
【0088】
バネ調整部570は、電力ケーブル100の軸方向に対するバネ係止部560の係止位置を調整し、バネ部520の反発力を調整するよう構成されている。具体的には、バネ調整部570は、例えば、いわゆるラックアンドピニオン方式として構成され、筒状部572と、ギア部574と、歯車576と、モータ部578と、を有している。
【0089】
筒状部572は、第1実施形態の金属筒640に相当する部分である。すなわち、筒状部572は、筒状に構成され、露出したケーブル外部半導電層140のうち絶縁筒400の鉛直下側において、電力ケーブル100を囲むように設けられている。筒状部572の軸方向の下端および上端には、それぞれ、筒状部シール部(符号不図示)が設けられている。筒状部572とフランジ620との間は、フランジ620の内周面に嵌合したパッキンを介して(油密に)封止されている。
【0090】
ギア部574は、筒状部572の外周面に筒状部572の軸方向に沿って設けられている。ギア部574は、筒状部572が電力ケーブル100の外周に外嵌されることにより、電力ケーブル100の外周に該電力ケーブル100の軸方向に沿って設けられている。
【0091】
本実施形態では、ギア部574は、例えば、複数設けられている。ギア部574の数は、バネ部520の数と等しく、複数のギア部574のそれぞれは、複数のバネ部520のそれぞれと電力ケーブル100との間に配置されている。これにより、バネ部520の反発力を、隣り合うギア部574に容易に伝達させることができ、引張機構50の引張力によって電力ケーブル100がねじれることを抑制することができる。
【0092】
歯車576は、ギア部574に係合し、回転するように構成されている。本実施形態では、歯車576は、例えば、複数設けられ、複数の歯車576のそれぞれは、複数のギア部574のそれぞれに係合している。
【0093】
モータ部578は、バネ係止部560(の鉛直下側)に設けられ、歯車576を回転させることで、電力ケーブル100の軸方向に対するバネ係止部560の係止位置を調整するよう構成されている。本実施形態では、モータ部578は、複数の歯車576のそれぞれに対応するように複数設けられている。モータ部578のそれぞれは、防護管340の外側まで延線されたケーブル(符号不図示)を介して後述の制御部700に接続されている。
【0094】
このような構成により、引張機構50は、バネ部520の反発力を、バネ係止部560、バネ調整部570の歯車576およびギア部574にこの順で伝達させ、電力ケーブル100を鉛直下側に軸方向に沿って引っ張る引張力を生じさせるようになっている。また、引張機構50は、モータ部578により歯車576を回転させることで、電力ケーブル100に対するバネ係止部560の係止位置を調整し、電力ケーブル100の軸方向の引張力を調整できるようになっている。
【0095】
また、本実施形態では、ケーブル終端接続構造10は、例えば、制御部700を有している。制御部700は、例えば、電力ケーブル100が通電される際の電流に基づいてバネ調整部570を制御するよう構成されている。具体的には、制御部700は、例えば、電力ケーブル100が通電される際の電流が大きくなるにしたがって、電力ケーブル100の軸方向に対するバネ係止部560の係止位置を鉛直上側に移動させ、バネ部520の反発力の少なくとも低下を抑制するよう制御する。なお、制御部700は、例えば、電力ケーブル100が通電される際の電流が大きくなるにしたがって、電力ケーブル100の軸方向に対するバネ係止部560の係止位置を鉛直上側に移動させ、バネ部520の反発力が大きくなるよう制御してもよい。
【0096】
本実施形態によれば、バネ調整部570により電力ケーブル100の軸方向に対するバネ係止部560の係止位置を調整し、バネ部520の反発力を調整することで、引張機構50が電力ケーブル100を引っ張る引張力を任意に変更することができる。これにより、電力ケーブル100の状況に応じて、碍管200内での電力ケーブル100の撓みを抑制することができる。
【0097】
また、本実施形態によれば、制御部700は、電力ケーブル100が通電される際の電流が大きくなるにしたがって、バネ部520の反発力の少なくとも低下を抑制するよう制御する。これにより、電力ケーブル100の電流が大きくなったとしても、すなわち、ジュール熱により電力ケーブル100の軸方向の伸び出し量が大きくなったとしても、引張機構50が電力ケーブル100を引っ張る引張力の低下を抑制することができる。例えば、引張力を常に一定に保つことができる。その結果、碍管200内での電力ケーブル100の撓みを安定的に抑制することができる。
【0098】
<本発明の他の実施形態>
以上、本発明の実施形態について具体的に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0099】
上述の実施形態では、バネ部520が複数設けられ、複数のバネ部520が電力ケーブル100を挟んで対称に配置されている場合について説明したが、電力ケーブルの直径よりも大きい直径を有するバネ部が1つだけ設けられ、バネ部の開口内に電力ケーブルが挿通されていてもよい。
【0100】
上述の実施形態では、引張機構50がバネ部520の反発力により電力ケーブル100を鉛直下側に軸方向に沿って引っ張る場合について説明したが、引張機構は、例えば、フランジの鉛直下側に位置する防護管または架台に下端が固定され、電力ケーブルの軸方向に沿って伸縮するバネ部と、バネ部を引っ張った状態でバネ部の上端と電力ケーブルとを固定するバネ固定部と、を有し、バネ部の引張力をバネ固定部に伝達させ、電力ケーブルを軸方向に沿って引っ張るよう構成されていてもよい。
【0101】
上述の実施形態では、バネ部520がコイルバネとして構成されている場合について説明したが、バネ部は他のバネで構成されていてもよい。例えば、バネ部は板バネであってもよい。
【0102】
上述の実施形態では、引張機構50がバネ部520を有する場合について説明したが、引張機構が電力ケーブルを軸方向に沿って引っ張るよう構成されていれば、バネ部を有する構成に限定されるものではない。具体的には、引張機構のバネ部は、例えば、エアシリンダまたは油圧シリンダ等の圧力シリンダに置き換えてもよい。この場合、引張機構は、例えば、フランジの鉛直下面に接し、気体または液体の圧力媒体によって電力ケーブルの軸方向に沿って伸縮する圧力シリンダと、圧力シリンダを挟んでフランジと反対側に設けられ、バネ部を圧縮した状態でバネ部の下端と電力ケーブルとを固定するバネ固定部と、圧力シリンダに圧縮媒体を供給することで、圧力シリンダの反発力を調整する圧力媒体供給部と、を有していてもよい。さらに、この場合、ケーブル終端接続構造は、例えば、圧力媒体供給部を制御する制御部を有し、制御部は、電力ケーブルが通電される際の電流が大きくなるにしたがって、圧力シリンダの反発力の少なくとも低下を抑制するよう圧力媒体供給部を制御するよう構成されていてもよい。なお、引張機構は、上述の場合に限らず、他の動力伝達方式により構成されていてもよい。
【0103】
上述の第3実施形態では、バネ調整部570は、いわゆるラックアンドピニオン方式として構成されている場合について説明したが、この場合に限られない。例えば、バネ係止部の内周面が雌ネジを有し、バネ調整部の筒状部の外周面が雄ネジを有し、これら同士が螺合していてもよい。この場合、バネ係止部を周方向に回転させることで、電力ケーブルの軸方向に対するバネ係止部の係止位置を調整し、バネ部の反発力を調整することができる。
【0104】
上述の実施形態では、引張機構50が、フランジ620の鉛直下側に設けられ、電力ケーブル100を鉛直下側に軸方向に沿って引っ張るよう構成されている場合について説明したが、引張機構は、碍管の鉛直上側に設けられていてもよい。この場合、ケーブル終端接続構造は、例えば、鉛直方向に沿って立設された状態で、電力ケーブルが下方から挿入され、電力ケーブルとの間に絶縁媒体が充填される碍管と、碍管の鉛直上端部に固定され、電力ケーブルとの間が封止された状態を維持しながら電力ケーブルの軸方向の伸縮を許容する上側シール部と、碍管の鉛直下端部を、電力ケーブルが挿通された状態で塞ぐフランジと、上側シール部の鉛直上側に設けられ、電力ケーブルを鉛直上側に軸方向に沿って引っ張る引張機構と、を有していてもよい。
【0105】
上述の実施形態では、製造方法の一例を説明したが、製造方法における各工程の順番は、可能な限り入れ替えても良い。
【0106】
<本発明の好ましい態様>
以下、本発明の好ましい態様を付記する。
【0107】
(付記1)
一端から軸方向に段階的に剥がされた電力ケーブルが終端接続されるケーブル終端接続構造であって、
鉛直方向に沿って立設された状態で、前記電力ケーブルが下方から挿入され、前記電力ケーブルとの間に絶縁媒体が充填される碍管と、
前記碍管の鉛直上端部に設けられ、前記電力ケーブルの一端側を固定する上側固定部と、
前記碍管の鉛直下端部に固定され、前記電力ケーブルとの間が封止された状態を維持しながら前記電力ケーブルの軸方向の伸縮を許容するフランジと、
前記フランジの鉛直下側に設けられ、前記電力ケーブルを鉛直下側に軸方向に沿って引っ張る引張機構と、
を有する
ケーブル終端接続構造。
【0108】
(付記2)
前記電力ケーブルは、その周囲の電界を緩和する絶縁筒が外嵌された状態で前記碍管内に挿入される
付記1に記載のケーブル終端接続構造。
【0109】
(付記3)
一端から軸方向に段階的に剥がされた電力ケーブルが、その周囲の電界を緩和する絶縁筒が外嵌された状態で終端接続されるケーブル終端接続構造であって、
鉛直方向に沿って立設された状態で、前記電力ケーブルおよび前記絶縁筒が下方から挿入され、前記電力ケーブルおよび前記絶縁筒のそれぞれとの間に絶縁媒体が充填される碍管と、
前記碍管の鉛直上端部に設けられ、前記電力ケーブルの一端側を固定する上側固定部と、
前記碍管の鉛直下端部に固定され、前記電力ケーブルとの間が封止された状態を維持しながら前記電力ケーブルの軸方向の伸縮を許容するフランジと、
前記フランジの鉛直下側に設けられ、前記電力ケーブルを鉛直下側に軸方向に沿って引っ張る引張機構と、
を有する
ケーブル終端接続構造。
【0110】
(付記4)
前記絶縁筒は、前記碍管内で前記碍管と非接触に配置される
付記2又は3に記載のケーブル終端接続構造。
【0111】
(付記5)
前記引張機構は、前記電力ケーブルを鉛直下側に軸方向に沿って引っ張ることで、前記碍管内の前記絶縁筒の位置を維持する
付記2〜4のいずれか1つに記載のケーブル終端接続構造。
【0112】
(付記6)
前記引張機構は、
前記フランジの鉛直下面に接し、前記電力ケーブルの軸方向に沿って伸縮するバネ部と、
前記バネ部を挟んで前記フランジと反対側に設けられ、前記バネ部を圧縮した状態で前記バネ部の下端と前記電力ケーブルとを固定するバネ固定部と、
を有し、
前記バネ部の反発力を前記バネ固定部に伝達させ、前記電力ケーブルを軸方向に沿って引っ張るよう構成される
付記1〜5のいずれか1つに記載のケーブル終端接続構造。
【0113】
(付記7)
前記引張機構は、
前記フランジの鉛直下面に接し、前記電力ケーブルの軸方向に沿って伸縮するバネ部と、
前記バネ部を挟んで前記フランジと反対側に設けられ、前記バネ部を圧縮した状態で前記バネ部の下端を前記電力ケーブルに係止するバネ係止部と、
前記電力ケーブルの軸方向に対する前記バネ係止部の係止位置を調整し、前記バネ部の反発力を調整するバネ調整部と、
を有し、
前記バネ部の反発力を前記バネ係止部および前記バネ調整部に伝達させ、前記電力ケーブルを軸方向に沿って引っ張るよう構成される
付記1〜5のいずれか1つに記載のケーブル終端接続構造。
【0114】
(付記8)
前記バネ調整部は、
前記電力ケーブルの外周に該電力ケーブルの軸方向に沿って設けられるギア部と、
前記ギア部に係合する歯車と、
前記バネ係止部に設けられ、前記歯車を回転させることで、前記電力ケーブルの軸方向に対する前記バネ係止部の係止位置を調整するモータ部と、
を有する
付記7に記載のケーブル終端接続構造。
【0115】
(付記9)
前記バネ調整部を制御する制御部を有し、
前記制御部は、前記電力ケーブルが通電される際の電流が大きくなるにしたがって、前記バネ部の反発力の少なくとも低下を抑制するよう前記バネ調整部を制御する
付記7又は8に記載のケーブル終端接続構造。
【0116】
(付記10)
前記引張機構は、前記電力ケーブルの軸方向の伸び出し量に対する、該引張機構が前記電力ケーブルを引っ張る引張力の低下率を徐々に小さくしていくよう構成される
付記1〜9のいずれか1つに記載のケーブル終端接続構造。
【0117】
(付記11)
前記引張機構は、前記電力ケーブルの軸方向の伸び出し量に対する、該引張機構が前記電力ケーブルを引っ張る引張力の低下率を徐々に大きくしていくよう構成される
付記1〜9のいずれか1つに記載のケーブル終端接続構造。
【0118】
(付記12)
前記引張機構は、電力ケーブル100に対して荷重を付与することにより前記電力ケーブルを鉛直下側に軸方向に沿って引っ張るよう構成される
付記1〜5のいずれか1つに記載のケーブル終端接続構造。
【0119】
(付記13)
一端から軸方向に段階的に剥がされた電力ケーブルが終端接続されるケーブル終端接続構造であって、
鉛直方向に沿って立設された状態で、前記電力ケーブルが下方から挿入され、前記電力ケーブルとの間に絶縁媒体が充填される碍管と、
前記碍管の鉛直上端部に固定され、前記電力ケーブルとの間が封止された状態を維持しながら前記電力ケーブルの軸方向の伸縮を許容する上側シール部と、
前記碍管の鉛直下端部を、前記電力ケーブルが挿通された状態で塞ぐフランジと、
前記上側シール部の鉛直上側に設けられ、前記電力ケーブルを鉛直上側に軸方向に沿って引っ張る引張機構と、
を有する
ケーブル終端接続構造。
【0120】
(付記14)
一端から軸方向に段階的に剥がされた電力ケーブルを終端接続するケーブル終端接続構造の製造方法であって、
前記電力ケーブルを軸方向に沿って引っ張ることとなる引張機構の少なくとも一部を前記電力ケーブルに設ける工程と、
前記電力ケーブルとの間を封止した状態を維持しながら前記電力ケーブルの軸方向の伸縮を許容するようにフランジを前記電力ケーブルの外周に外嵌させ、前記フランジを前記引張機構よりも前記電力ケーブルの一端側に配置する工程と、
碍管内に前記電力ケーブルを挿入し、前記碍管を鉛直方向に沿って立設させる工程と、
前記碍管の鉛直上端部の上側固定部に前記電力ケーブルの一端側を固定する工程と、
前記碍管の鉛直下端部に前記フランジを固定し、前記電力ケーブルを鉛直下側に軸方向に沿って引っ張るよう前記引張機構を構成する工程と、
前記碍管内のうち前記電力ケーブルとの間に絶縁媒体を充填する工程と、
を有する
ケーブル終端接続構造の製造方法。
【符号の説明】
【0121】
10 ケーブル終端接続構造
20 絶縁媒体
50 引張機構
100 電力ケーブル
110 ケーブル導体
120 ケーブル内部半導電層
130 ケーブル絶縁体
140 ケーブル外部半導電層
150 ケーブル金属被
160 ケーブルシース
200 碍管
210 鍔部
310 導体引出棒
320 導体固定部
340 防護管
400 絶縁筒
420 絶縁体
440 半導電層
520 バネ部
540 バネ固定部
542 拡径部
552 筒状部
554 錘部
560 バネ係止部
570 バネ調整部
572 筒状部
574 ギア部
576 歯車
578 モータ部
620 フランジ
640 金属筒
700 制御部
図1
図2
図3
図4
図5