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特許6881157監視システム、監視装置、情報処理方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6881157
(24)【登録日】2021年5月10日
(45)【発行日】2021年6月2日
(54)【発明の名称】監視システム、監視装置、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   A62B 35/00 20060101AFI20210524BHJP
   G08B 21/24 20060101ALI20210524BHJP
   G08B 25/04 20060101ALI20210524BHJP
   G08B 25/08 20060101ALI20210524BHJP
   G08B 21/02 20060101ALI20210524BHJP
【FI】
   A62B35/00 J
   G08B21/24
   G08B25/04 K
   G08B25/08 A
   G08B21/02
【請求項の数】18
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2017-161233(P2017-161233)
(22)【出願日】2017年8月24日
(65)【公開番号】特開2019-37449(P2019-37449A)
(43)【公開日】2019年3月14日
【審査請求日】2020年5月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】日本製鉄株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090273
【弁理士】
【氏名又は名称】國分 孝悦
(72)【発明者】
【氏名】原田 稔
【審査官】 田邉 学
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−104339(JP,A)
【文献】 特開2006−313425(JP,A)
【文献】 特開平04−232488(JP,A)
【文献】 特開2017−093515(JP,A)
【文献】 特開2016−200481(JP,A)
【文献】 特開2017−102538(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62B 35/00
G08B 21/02
G08B 21/24
G08B 25/04
G08B 25/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
安全帯と、管理装置と、を含む監視システムであって、
前記安全帯は、
作業者の身体に装着される装着部と、
前記装着部に一方の先端が取り付けられた命綱と、
前記命綱の他方の先端に設置されたフック部と、
前記命綱の前記他方の先端の近傍に設置されている第1の通信装置と、
を有し、
前記管理装置は、
前記第1の通信装置から発信された信号に基づいて、前記第1の通信装置の高さ方向の位置を特定する特定手段と、
前記特定手段により特定された前記第1の通信装置の高さ方向の位置に基づいて、前記フック部が親綱に掛けられていないことを検知する検知手段と、
前記検知手段により前記フック部が親綱に掛けられていないことが検知された場合、前記フック部が親綱に掛けられていないことを示す警告情報を出力する出力手段と、
を有する監視システム。
【請求項2】
前記特定手段は、前記第1の通信装置から発信された信号に基づいて、前記第1の通信装置の高さ方向の位置を特定し、前記第1の通信装置と異なる前記安全帯のユーザが携帯する第2の通信装置から発信された信号に基づいて、前記第2の通信装置の高さ方向の位置を特定し、
前記検知手段は、前記特定手段により特定された前記第1の通信装置の高さ方向の位置と、前記第2の通信装置の高さ方向の位置と、に基づいて、前記フック部が親綱に掛けられていないことを検知する請求項1記載の監視システム。
【請求項3】
前記第2の通信装置は、前記装着部に設置されている請求項2記載の監視システム。
【請求項4】
前記第2の通信装置は、前記安全帯を装着するユーザの足元に設置されている請求項2記載の監視システム。
【請求項5】
前記検知手段は、前記特定手段により特定された前記第1の通信装置の高さ方向の位置と前記第2の通信装置の高さ方向の位置との差分と、予め定められた第1の閾値と、に基づいて、前記フック部が親綱に掛けられていないことを検知する請求項2乃至4何れか1項記載の監視システム。
【請求項6】
前記検知手段は、更に、前記特定手段により特定された前記第1の通信装置の高さ方向の位置と前記第2の通信装置の高さ方向の位置との差分と、前記第1の閾値と異なる予め定められた第2の閾値と、に基づいて、前記安全帯を装着したユーザの踏み外しを検知し、
前記出力手段は、更に、前記検知手段により前記ユーザの踏み外しが検知された場合、前記ユーザの踏み外しを示す警告情報を出力する請求項5記載の監視システム。
【請求項7】
前記特定手段は、前記第2の通信装置から発信された信号に基づいて、前記安全帯を装着したユーザの存在するエリアを特定し、
前記検知手段は、前記特定手段により特定された前記ユーザの存在するエリアが予め定められたエリアである場合、前記特定手段により特定された前記第1の通信装置の高さ方向の位置に基づいて、前記フック部が親綱に掛けられていないことを検知する請求項2乃至6何れか1項記載の監視システム。
【請求項8】
前記特定手段は、更に、前記第2の通信装置から発信された信号に基づいて、前記安全帯を装着したユーザが利用する親綱を特定し、前記安全帯と異なる他の安全帯に含まれる通信装置から発信された信号に基づいて、前記他の安全帯を装着したユーザが利用する親綱を特定し、
前記出力手段は、更に、前記特定手段により特定された前記安全帯を装着したユーザが利用する親綱と、前記特定手段により特定された前記他の安全帯を装着したユーザが利用する親綱と、が同一である場合、複数のユーザによる一つの親綱の利用が禁止されていることを示す警告情報を出力する請求項2乃至7何れか1項記載の監視システム。
【請求項9】
前記特定手段は、前記第1の通信装置から発信された信号に基づいて、前記安全帯を装着したユーザの存在するエリアを特定し、
前記検知手段は、前記特定手段により特定された前記ユーザの存在するエリアが予め定められたエリアである場合、前記特定手段により特定された前記第1の通信装置の高さ方向の位置に基づいて、前記フック部が親綱に掛けられていないことを検知する請求項1乃至8何れか1項記載の監視システム。
【請求項10】
前記特定手段は、更に、前記第1の通信装置から発信された信号に基づいて、前記安全帯を装着したユーザが利用する親綱を特定し、前記安全帯と異なる他の安全帯に含まれる通信装置から発信された信号に基づいて、前記他の安全帯を装着したユーザが利用する親綱を特定し、
前記出力手段は、更に、前記特定手段により特定された前記安全帯を装着したユーザが利用する親綱と、前記特定手段により特定された前記他の安全帯を装着したユーザが利用する親綱と、が同一である場合、複数のユーザによる一つの親綱の利用が禁止されていることを示す警告情報を出力する請求項1乃至9何れか1項記載の監視システム。
【請求項11】
前記特定手段は、前記第1の通信装置から発信された信号に基づいて、前記第1の通信装置の高さ方向の位置を特定し、前記第1の通信装置と異なる前記安全帯のユーザが位置するエリアに設置された第3の通信装置から発信された信号に基づいて、前記第3の通信装置の高さ方向の位置を特定し、
前記検知手段は、前記特定手段により特定された前記第1の通信装置の高さ方向の位置と、前記第3の通信装置の高さ方向の位置と、に基づいて、前記フック部が親綱に掛けられていないことを検知する請求項1記載の監視システム。
【請求項12】
前記第3の通信装置は、前記安全帯を装着するユーザの位置するエリアのフロアに設置されている請求項11記載の監視システム。
【請求項13】
前記安全帯は、2つの前記命綱と、2つの前記第1の通信装置と、を含み、2つの前記命綱のそれぞれの前記他方の先端の近傍に前記第1の通信装置が設置され、
前記特定手段は、更に、2つの前記第1の通信装置から発信された信号に基づいて、前記第1の通信装置それぞれの間の距離を特定し、
前記検知手段は、予め定められた期間内に、前記特定手段により周期的に特定された前記第1の通信装置それぞれの間の距離のうち、最大のものと最小のものとの差分と、予め定められた閾値と、に基づいて、前記フック部が親綱に掛けられていないことを検知する請求項1乃至12何れか1項記載の監視システム。
【請求項14】
前記出力手段は、前記検知手段により前記フック部が親綱に掛けられていないことが検知された場合、前記安全帯を装着するユーザが携帯する端末装置に、前記フック部が親綱に掛けられていないことを示す警告情報を出力する請求項1乃至13何れか1項記載の監視システム。
【請求項15】
前記第1の通信装置は、前記命綱の前記他方の先端の近傍である、前記フック部、又は、前記命綱上の位置であり、前記他方の先端からの距離が予め定められた値以下となる位置に設置されている請求項1乃至14何れか1項記載の監視システム。
【請求項16】
安全帯の装着部に一方の先端が取り付けられた命綱の他方の先端の近傍に設置された通信装置から発信された信号に基づいて、前記通信装置の高さ方向の位置を特定する特定手段と、
前記特定手段により特定された前記通信装置の高さ方向の位置に基づいて、前記安全帯のフック部が親綱に掛けられていないことを検知する検知手段と、
前記検知手段により前記フック部が親綱に掛けられていないことが検知された場合、前記フック部が親綱に掛けられていないことを示す警告情報を出力する出力手段と、
を有する監視装置。
【請求項17】
監視装置が実行する情報処理方法であって、
安全帯の装着部に一方の先端が取り付けられた命綱の他方の先端の近傍に設置された通信装置から発信された信号に基づいて、前記通信装置の高さ方向の位置を特定する特定ステップと、
前記特定ステップで特定された前記通信装置の高さ方向の位置に基づいて、前記安全帯のフック部が親綱に掛けられていないことを検知する検知ステップと、
前記検知ステップで前記フック部が親綱に掛けられていないことが検知された場合、前記フック部が親綱に掛けられていないことを示す警告情報を出力する出力ステップと、
を含む情報処理方法。
【請求項18】
コンピュータに、
安全帯の装着部に一方の先端が取り付けられた命綱の他方の先端の近傍に設置された通信装置から発信された信号に基づいて、前記通信装置の高さ方向の位置を特定する特定ステップと、
前記特定ステップで特定された前記通信装置の高さ方向の位置に基づいて、前記安全帯のフック部が親綱に掛けられていないことを検知する検知ステップと、
前記検知ステップで前記フック部が親綱に掛けられていないことが検知された場合、前記フック部が親綱に掛けられていないことを示す警告情報を出力する出力ステップと、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視システム、監視装置、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
高所での作業において、安全性を確保するため安全帯の利用は必須である。しかし、安全帯が適切に使用されずに、高所からの墜落等の災害が発生する場合がある。そこで、安全帯が適切に使用されているか否かを監視する技術がある。
例えば、特許文献1には、安全帯の命綱の巻取り装置から命綱が所定長さ引き出された状態であることを検出して周期的な電波発信を行うアクティブ型RFIDタグからの電波を受信できない場合に、安全帯が適切に利用されていないとして警報を発する技術が開示されている。
また、特許文献2には、安全帯の腰ベルトとつながる命綱の他端に取付けられたフックの一部に固定されたカメラにより、フックの引掛け部の画像を管理端末側の表示装置に表示させる技術が開示されている。
また、特許文献3には、安全帯のベルトと結合したロープの端のフックのロープの長さの略中間部に付設したセンサで傾斜状態を検出することで、フック側のロープの端がロープの他方の端よりも高い(又は同じ)か、低いか、に応じて、正常/異常を判断する技術が開示されている。
また、特許文献4には、フック上の反射体により反射された発光部からの光を受光部により受光し、受光した反射光に基づいて、フックが何かにかかっていることを検出する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4992729号公報
【特許文献2】特開2017−51271号公報
【特許文献3】特開2015−204996号公報
【特許文献4】特開2015−204997号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の技術は、命綱が巻き取りタイプではない安全帯について、利用できず、安全帯が適切に利用されているか否かを監視できない。また、特許文献2、4の技術では、フックが何かに掛けられていることが分かるが、適切な場所に掛けられているか否かを把握することができない。また、特許文献3の技術では、フックの高さがベルト位置の高さ以上であることは分かるが、フックが適切な場所に掛けられているか否かを把握することができない。
そこで、より精度のよい安全帯の使用状況の監視の実現が要望されていた。本発明は、より精度のよい安全帯の使用状況の監視の実現を支援することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の監視システムは、安全帯と、管理装置と、を含む監視システムであって、前記安全帯は、作業者の身体に装着される装着部と、前記装着部に一方の先端が取り付けられた命綱と、前記命綱の他方の先端に設置されたフック部と、前記命綱の前記他方の先端の近傍に設置されている第1の通信装置と、を有し、前記管理装置は、前記第1の通信装置から発信された信号に基づいて、前記第1の通信装置の高さ方向の位置を特定する特定手段と、前記特定手段により特定された前記第1の通信装置の高さ方向の位置に基づいて、前記フック部が親綱に掛けられていないことを検知する検知手段と、前記検知手段により前記フック部が親綱に掛けられていないことが検知された場合、前記フック部が親綱に掛けられていないことを示す警告情報を出力する出力手段と、を有する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、より精度のよい安全帯の使用状況の監視の実現を支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、監視システムのシステム構成の一例を示す図である。
図2図2は、監視装置等のハードウェア構成の一例を示す図である。
図3図3は、監視装置の機能構成等の一例を示す図である。
図4図4は、安全帯の概要の一例を示す図である。
図5図5は、安全帯の使用状況の一例を示す図である。
図6図6は、監視システムの処理の一例を示すシーケンス図である。
図7図7は、監視装置の処理の一例を示すフローチャートである。
図8図8は、各種情報を管理するテーブルの一例を示す図である。
図9図9は、隣接する親綱にフック部を付け替える際の作業者の動作の概要の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<実施形態>
以下、本発明の一実施形態について図面に基づいて説明する。
【0009】
(本実施形態の処理の概要)
高所での作業の際に、安全のため、作業者は安全帯を装着する。安全帯を着用した作業者は、高所に存在する作業エリアにおいて、安全帯に設置されているフック部を高所に存在する作業エリアに設置されている親綱に掛ける。これにより作業者は、高所に存在する作業エリアから落下しても安全帯により保持される。安全帯のフック部が親綱に掛けられている場合、フック部の高さ方向の位置は、親綱が設置されている高さ方向の位置と同程度となる。このことから、発明者らは、安全帯の命綱のフック部が設置されている方の先端の近傍の高さ方向の位置が、適切な位置から乖離している場合、フック部が親綱に掛けられていないと仮定できるとの知見を得た。
そこで、本実施形態の監視システムは、作業者が装着している安全帯の命綱の先端の近傍に設置された通信装置から発信された信号に基づいて、その通信装置の高さ方向の位置を特定する。そして、監視システムは、特定した通信装置の高さ方向の位置が、フック部が親綱に掛けられている場合に命綱の先端の近傍が存在するとされる高さ方向の位置と乖離している場合、命綱の先端に設置されたフック部が親綱に掛けられていないことを検知する。監視システムは、フック部が親綱に掛けられていないことを検知した場合、安全帯を装着している作業者が携帯する端末装置等の予め定められた送信先に、警告情報を送信する。
【0010】
(監視システムのシステム構成)
図1は、本実施形態の監視システムのシステム構成の一例を示す図である。
監視システムは、監視装置100、安全帯101、信号通信装置104、アンテナ105、端末装置106、端末装置107を含む。安全帯101は、命綱を2つ含み、それぞれの命綱の先端のフック部に、それぞれ通信装置102a、通信装置102bが設置される。以下では、通信装置102a及び通信装置102bを、通信装置102と総称する。また、安全帯101は、腰ベルト部に、通信装置103が設置される。通信装置102は、第1の通信装置の一例である。通信装置103は、第2の通信装置の一例である。
監視装置100は、安全帯101の使用状況を監視するパーソナルコンピュータ(PC)、サーバ装置、タブレット装置等の情報処理装置である。安全帯101は、高所での作業を行う作業者が装着する安全帯である。通信装置102、103は、電波信号等の無線信号を通信する通信装置であり、例えば、アクティブ型のRFIDタグ、GPSセンサ等である。本実施形態では、通信装置102、103は、周期的に電波信号を発信するアクティブ型のRFIDタグとする。
【0011】
信号通信装置104は、通信装置102、103から発信された信号を受信する受信装置であり、例えば、RFIDタグリーダ等である。監視システムは、信号通信装置104を複数含む。アンテナ105は、監視装置100と端末装置106、107等の他の装置との間の無線通信に利用されるアンテナである。
端末装置106は、安全帯101を装着した作業者が携帯するスマートホン、タブレット装置等の端末装置である。端末装置107は、予め定められたユーザが携帯するスマートホン、タブレット装置等の端末装置である。
【0012】
(監視システムの各要素のハードウェア構成)
図2(a)は、監視装置100のハードウェア構成の一例を示す図である。監視装置100は、CPU201、主記憶装置202、補助記憶装置203、入出力I/F204、ネットワークI/F205を含む。各要素は、システムバス206を介して、相互に通信可能に接続されている。
CPU201は、監視装置100を制御する中央演算装置である。主記憶装置202は、CPU201のワークエリアやデータの一時的な記憶場所として機能するRandom Access Memory(RAM)等の記憶装置である。補助記憶装置203は、各種プログラム、各種設定情報、各種テーブル情報、各種閾値情報等を記憶するRead Only Memory(ROM)、ハードディスクドライブ(HDD)、ソリッドステートドライブ(SSD)等の記憶装置である。
【0013】
入出力I/F204は、外部の装置との間での情報の入出力に利用されるインターフェースである。監視装置100は、入出力I/F204やネットワークI/F205等を介して、信号通信装置104と接続される。ネットワークI/F205は、外部の装置との間でのネットワークを介した通信に利用されるインターフェースである。監視装置100は、ネットワークI/F205を介して、アンテナ105と接続される。CPU201は、ネットワークI/F205、アンテナ105を介して、端末装置106、107等の外部の装置との間で、通信を行う。
CPU201が、補助記憶装置203に記憶されたプログラムに基づき処理を実行することで、図3で後述する監視装置100の機能、図6で後述するシーケンス図の処理における監視装置100の処理、及び図7で後述するフローチャートの処理等が実現される。
【0014】
図2(b)は、端末装置106のハードウェア構成の一例を示す図である。
端末装置106は、CPU211、主記憶装置212、補助記憶装置213、ネットワークI/F214、入力部215、出力部216を含む。各要素は、システムバス217を介して、相互に通信可能に接続されている。
CPU211は、端末装置106を制御する中央演算装置である。主記憶装置212は、CPU211のワークエリアやデータの一時的な記憶場所として機能するRAM等の記憶装置である。補助記憶装置213は、各種プログラム、各種設定情報等を記憶するROM、HDD、SSD等の記憶装置である。
ネットワークI/F214は、外部の装置との間でのネットワークを介した通信に利用されるインターフェースである。入力部215は、作業者からの入力を受付けるハードボタン、タッチパネルの操作部等の入力部である。出力部216は、作業者に情報を提示するタッチパネルの表示部、スピーカ等の出力部である。
【0015】
CPU211が、補助記憶装置213に記憶されたプログラムに基づき処理を実行することで、図3で後述する端末装置106の機能、及び図6で後述するシーケンス図の処理における端末装置106の処理等が実現される。
本実施形態では、端末装置107のハードウェア構成は、端末装置106と同様である。
端末装置107のCPUが、端末装置107の補助記憶装置に記憶されたプログラムに基づき処理を実行することで、図3で後述する端末装置107の機能、及び図6で後述するシーケンス図の処理における端末装置107の処理等が実現される。
【0016】
(監視システムの各要素の機能構成)
図3は、監視装置の機能構成等の一例を示す図である。
監視装置100は、受信部301、位置情報管理部302、作業エリア管理部303、利用状況判定部304、送信部305、ログ管理部306を含む。
受信部301は、入出力I/F204に接続された信号通信装置104を介して、通信装置102、103から周期的に発信される信号を受信する。
位置情報管理部302は、受信部301により受信された信号に基づいて、通信装置102、103それぞれの位置を特定する。そして、位置情報管理部302は、特定した位置の情報を、主記憶装置202、補助記憶装置203等に記憶する。
【0017】
作業エリア管理部303は、位置情報管理部302により特定された通信装置102の位置に基づいて、安全帯101を装着した作業者が現在作業を行っている作業エリアを特定する。安全帯101を装着した作業者が作業を行い得る領域は、予め複数の作業エリアに分割されている。即ち、作業エリア管理部303は、安全帯101を装着した作業者が、これらの作業エリアの中の何れの作業エリアで、現在作業を行っているかを特定する。作業エリア管理部303は、特定した作業エリアの情報を、補助記憶装置203に記憶する。
利用状況判定部304は、作業エリア管理部303により特定された作業エリアに基づいて、安全帯101の利用状況の判定を要するか否かを判定する。そして、利用状況判定部304は、安全帯101の利用状況の判定を要すると判定した場合、位置情報管理部302により、特定された通信装置102、103それぞれの位置に基づいて、安全帯101のフック部が親綱に掛けられているか否かを判定することで、安全帯101のフック部が親綱に掛けられていないことを検知する。
送信部305は、利用状況判定部304により、安全帯101のフック部が親綱に掛けられていないことが検知された場合、ネットワークI/F205とアンテナ105とを介して、警告を示す警告情報を、予め定められた送信先に送信する。本実施形態では、送信部305は、警告情報を、端末装置106と端末装置107とに送信する。
ログ管理部306は、安全帯101が使用されている際に、安全帯101の使用に関するデータをログデータとして、補助記憶装置203等に記憶し、管理する。安全帯101の使用に関するデータとは、例えば、安全帯101の使用状態(正常に使用されている状態、使用されていない状態等)を示す情報、通信装置102、103それぞれの位置の情報等である。
【0018】
端末装置106は、受信部311、通知部312を含む。
受信部311は、ネットワークI/F214を介して、送信部305により送信された警告情報を受信する。
通知部312は、受信部311により受信された警告情報を出力することで、警告情報を端末装置106の作業者に通知する。
【0019】
(安全帯の概要)
図4(a)は、フック部403が親綱404に掛けられている際の安全帯101の概要の一例を示す図である。安全帯101は、装着部401と命綱402a、bとフック部403a、bとを有する。以下では、命綱402a、bを、命綱402と総称する。また、以下では、フック部403a、bを、フック部403と総称する。装着部401は、作業者の身体に沿って配され、作業者の身体を締め付ける部分であり、例えば、作業者の身体にまかれるベルト、作業者が着る服等である。命綱402の基端(一端)には、装着部401が取り付けられ、先端(他端)には、フック部403が着脱不能に取り付けられる。図4(a)、図4(b)に示す例では、装着部401は、肩ベルト部、腰ベルト部及び腿ベルト部を有する。肩ベルト部は、作業者の、腰から胸、胸から肩、肩から背中、背中から腰のルートに沿って配される。腰ベルト部は、作業者の、腰回りに沿って配される。腿ベルト部は、作業者の腿回りに沿って配される。図4(a)、図4(b)の例では、命綱402の基端が、装着部401の肩ベルトに取り付けられている様子が示される。
通信装置102は、命綱402の先端の近傍に設置される。本実施形態では、通信装置102は、フック部403に設置されることとする。しかし、例えば、通信装置102は、命綱402の先端の近傍の位置として、命綱402上の位置であり、命綱402の先端からの命綱402に沿った距離が200mm以内の位置に設置されることとしてもよい。
通信装置102の設置によってフック部403としての機能が阻害されないように、通信装置102はフック部403に設置される。例えば、フック部403の命綱402との接続部分の近傍に通信装置102を設置することができる。通信装置102を設置するために、例えば、通信装置102を設置するための機構をフック部403に形成することができる。この機構は、通信装置102がフック部403に対して着脱不能に設置されるように構成しても、着脱可能に設置されるように構成してもよい。
【0020】
通信装置103は、装着部401に設置され、高さ方向の位置が、作業者が高所で作業する際の親綱404の高さ方向の位置と、異なる位置に設置される。本実施形態では、装着部の腰ベルト部に設置される。しかし、通信装置103は、装着部401の腿ベルト部に設置されることとしてもよい。通信装置103の設置によって装着部401としての機能が阻害されないように、通信装置103は設置される。通信装置103を設置するために、例えば、通信装置103を設置するための機構を装着部401に形成することができる。この機構は、通信装置102がフック部403に対して着脱不能に設置されるように構成しても、着脱可能に設置されるように構成してもよい。
また、通信装置102、103の設置に係る構成以外は、公知の安全帯で実現することができる。また、公知の安全帯をそのまま用いて安全帯101を構成するようにしてもよい。このようにする場合、通信装置102、103を安全帯101とは別のバンドに取り付け、そのバンドを命綱402の先端の近傍の位置や装着部401の腰ベルト部等に巻き付けることにより通信装置102、103を設置してもよい。また、通信装置102、103を、接着剤等を用いて貼り付けることで設置してもよい。
本実施形態では、安全帯101は、2つの命綱402と2つのフック部403とを含むこととする。しかし、安全帯101は、1つの命綱402と1つのフック部403とを含むこととしてもよい。
親綱404は、高所に存在する作業エリアで作業する作業者の腰の高さ方向の位置として想定される位置よりも高い位置にあると仮定できる。図4(a)の例では、親綱404に掛けられた命綱402の先端の近傍の位置(通信装置102の高さ方向の位置)は、作業者の腰部の高さ方向の位置(通信装置103の高さ方向の位置)よりも高いことが示されている。
図4(b)は、利用されていない安全帯101の概要の一例を示す図である。安全帯101の背面部には、フック部403を掛けるための機構が設けられており、フック部403を利用しない際には、フック部403をこの機構に掛けることで収納することなる。図4(b)の例では、通信装置102と通信装置103との高さ方向の位置は、同程度であることが示されている。
【0021】
(作業者の動作の概要)
続いて、安全帯101を装着した作業者が高所作業を行う際にとる動作の一例を説明する。図5は、安全帯101を装着した作業者の動作の概要の一例を示す図である。
作業者は、安全帯101を装着した後、図5(a)に示すように、作業領域における地上部の作業エリアに入り、フロア501に位置する。次に、作業者は、階段やエレベータ等を利用して、図5(b)に示すように、高所に存在する作業エリアに入り、フロア502に位置するようになる。
その後、作業者は、安全帯101の片方の命綱402のフック部403を親綱404に掛けることで、図5(c)に示される状態となり、もう片方のフック部403を親綱404に掛けることで、図5(d)に示される状態となる。図5(c)に示されるように、命綱402のフック部403が親綱404に掛けられ始めた状態が、安全帯101の利用が開始された状態となる。作業者は、図5(d)の状態になった後で、高所での作業を開始することとなる。
作業者は、高所に存在する作業エリアでの作業を終えると、安全帯101の片方の命綱402のフック部403を親綱404から外し、図5(e)に示される状態となり、もう片方のフック部403を親綱404から外すことで、図5(f)に示される状態となる。そして、作業者は、階段やエレベータ等を利用して、地上部の作業エリアに移動することで、図5(g)に示される状態となり、その後、作業領域から出ていく。
以下では、安全帯101を装着した作業者は、以上のような動作を行うとして、その際の監視システムの処理について説明する。
【0022】
(監視システムの処理の概要)
図6は、監視システムの処理の一例を示すシーケンス図である。図6を用いて、本実施形態の監視システムの処理の概要を説明する。
S601において、通信装置102と通信装置103とは、信号を発信する。通信装置102と通信装置103とは、例えば、電波信号を発信する。
S602において、受信部301は、入出力I/F204に接続された信号通信装置104を介して、S601で発信された信号を受信する。
【0023】
S603において、位置情報管理部302は、S602で受信した信号に基づいて、通信装置102、通信装置103それぞれの位置を特定する。
位置情報管理部302は、例えば、以下のような処理により、通信装置102、通信装置103それぞれの位置を特定する。位置情報管理部302は、1つの信号通信装置104を介して、受信された信号の強度に基づいて、通信装置102、通信装置103それぞれが、その信号通信装置104からどの程度の距離に存在するかを特定する。位置情報管理部302は、この処理を複数の信号通信装置104それぞれについて、行うことで、複数の信号通信装置104それぞれからどの程度の距離に通信装置102、通信装置103それぞれが存在するかを特定する。
そして、位置情報管理部302は、特定した複数の信号通信装置104それぞれからどの程度の距離に通信装置102、通信装置103それぞれが存在するかを示す情報に基づいて、通信装置102、通信装置103それぞれの位置を特定する。位置情報管理部302は、例えば、通信装置102、通信装置103それぞれについて、複数の信号通信装置104それぞれからの距離を特定し、特定した複数の信号通信装置104それぞれからの距離と、複数の信号通信装置104それぞれの位置と、に基づいて、三角測量等の測量法を用いて、通信装置102、通信装置103それぞれの位置を特定する。
【0024】
また、位置情報管理部302は、例えば、以下のような処理により、通信装置102、通信装置103それぞれの位置を特定してもよい。通信装置102、通信装置103それぞれが、S601で、信号の発信時刻を示す信号を発信したとする。位置情報管理部302は、1つの信号通信装置104を介して、受信した信号の内容が示す時刻(信号が通信装置102、103から発信された時刻)と、その信号を受信した時刻と、の差分に基づいて、通信装置102、通信装置103それぞれが、その信号通信装置104からどの程度の距離に存在するかを特定する。信号の発信時刻と、信号の受信時刻と、の差分は、信号の伝搬に係った時間となる。そのため、位置情報管理部302は、例えば、信号の伝搬に係った時間と、信号の速度(光速)と、から信号を発信した対象から、信号を受信した対象への距離を特定できる。位置情報管理部302は、この処理を複数の信号通信装置104それぞれについて、行うことで、複数の信号通信装置104それぞれからどの程度の距離に通信装置102、通信装置103それぞれが存在するかを特定する。
そして、位置情報管理部302は、特定した複数の信号通信装置104それぞれからどの程度の距離に通信装置102、通信装置103それぞれが存在するかを示す情報に基づいて、通信装置102、通信装置103それぞれの位置を特定する。
【0025】
また、位置情報管理部302は、例えば、以下のような処理により、通信装置102、通信装置103それぞれの位置を特定してもよい。信号通信装置104それぞれが、例えば、通信装置102、通信装置103それぞれが発信する信号を受信するアレイセンサを含むとする。例えば、アレイセンサに含まれるセンサのうち、最も早く信号を受信したセンサは、最も信号の発信対象に近く、最も遅く信号を受信したセンサは、最も信号の発信対象に遠いと推定される。このように、信号を発信する対象とアレイセンサとの位置関係によって、アレイセンサ内の各センサが、同一時刻に発信された信号を受信する時間がずれることとなる。このように、信号を発信する対象とアレイセンサとの位置関係と、アレイセンサ内の各センサが信号を受信する時刻同士の差分と、には、相関がある。そこで、位置情報管理部302は、例えば、1つの信号通信装置104を介して、アレイセンサに含まれるセンサそれぞれが信号を受信した時刻の差分に基づいて、MUSIC(Multiple Signal Classification)法等の既存の電波到来方向の推定方法を用いて、通信装置102、通信装置103それぞれが、その信号通信装置104からどの方向に存在するかを特定する。
位置情報管理部302は、この処理を複数の信号通信装置104それぞれについて、行うことで、複数の信号通信装置104それぞれからどの方向に通信装置102、通信装置103それぞれが存在するかを特定する。そして、位置情報管理部302は、特定した複数の信号通信装置104それぞれからどの方向に通信装置102、通信装置103それぞれが存在するかを示す情報に基づいて、通信装置102、通信装置103それぞれの位置を特定する。
なお、位置情報管理部302は、必要な精度や分解能を満たせば、TDOA(Time Difference Of Arrival)方式等、通信装置102、103の位置(座標(x、y、z))を検出できる他の方式を用いてもよい。
S603における位置情報管理部302による処理は、安全帯101のフック部403に設置された通信装置102の高さ方向の位置を特定する特定処理の一例である。
【0026】
S604において、作業エリア管理部303は、S603で特定された通信装置103の位置に基づいて、安全帯101を装着した作業者が存在する作業エリアを特定する。
S605において、利用状況判定部304は、S604で特定された作業エリアに基づいて、安全帯の利用状況の判定処理を実行するか否かを判定する。
S606において、利用状況判定部304は、S605で安全帯の利用状況の判定処理を実行すると判定した場合、S603で特定された通信装置102、通信装置103それぞれの位置から、通信装置102、通信装置103それぞれの高さ方向の位置を特定する。そして、利用状況判定部304は、通信装置102の高さ方向の位置から、通信装置103の高さ方向の位置を引いた値を、通信装置103に対する通信装置102の高さとして特定する。
利用状況判定部304は、特定した通信装置103に対する通信装置102の高さの値が、予め定められた閾値以上である場合、フック部403が親綱404に掛けられていると判断する。この閾値は、例えば、作業者の腰の高さ方向の位置と、親綱404の高さ方向の位置と、の差分に基づいて決定される。
また、利用状況判定部304は、特定した通信装置103に対する通信装置102の高さの値が、予め定められた閾値未満である場合、フック部403が親綱404に掛けられていないことを検知する。S606における利用状況判定部304による処理は、フック部403が親綱404に掛けられていないことを検知する検知処理の一例である。
【0027】
S607において、送信部305は、S606でフック部403が親綱404に掛けられていないことが検知された場合、ネットワークI/F205とアンテナ105とを介して、警告を示す警告情報を予め定められた送信先に送信する。図6の例では、送信部305は、警告情報を、予め定められた送信先として、端末装置106に送信する。しかし、送信部305は、警告情報を、予め定められた送信先として、端末装置107に送信することとしてもよいし、端末装置106及び端末装置107に送信することとしてもよい。
S608において、端末装置106、107のうち予め定められた送信先の端末装置の受信部311は、ネットワークI/F214を介して、S607で送信された警告情報を受信する。
S609において、通知部312は、出力部216を介して、S608で受信された警告情報を出力することで、安全帯101を装着した作業者に通知する。通知部312は、例えば、出力部216である表示部に警告情報を表示することで出力する。また、通知部312は、例えば、出力部216であるスピーカを用いて警告情報を示す警告音を発音させたり、出力部216である振動装置を用いて警告を示す振動を発生させたりすることで、警告情報を出力することとしてもよい。
S607〜S609における送信部305、及び通知部312による処理は、警告情報を出力する出力処理の一例である。
本実施形態では、監視システムは、警告情報を、安全帯101を装着する作業者が携帯する端末装置106に送信し、端末装置106に出力させることとした。これにより、監視システムは、安全帯101を装着する作業者に直接、警告情報を通知できるため、より作業者の安全性を向上できる。
通信装置102と通信装置103とは、周期的に信号を発信し続ける。通信装置102と通信装置103とから信号が発信される度に、監視システムは、図6の処理を繰り返すこととなる。
【0028】
(監視装置の処理の詳細)
続いて、監視システムの処理における監視装置100の処理の詳細について説明する。
図7は、監視装置の処理の一例を示すフローチャートである。
S701において、受信部301は、入出力I/F204に接続された信号通信装置104を介して、通信装置102、通信装置103それぞれから発信された信号を受信する。
S702において、位置情報管理部302は、S701で受信した信号に基づいて、通信装置102、通信装置103それぞれの位置を特定する。
【0029】
S703において、位置情報管理部302は、S702で特定した位置の情報を、主記憶装置202、補助記憶装置203等に記憶される通信装置102、通信装置103それぞれの位置を管理する位置管理テーブル801に入力することで、位置管理テーブル801を更新する。
図8(a)は、位置管理テーブル801の一例を示す図である。図8(a)の例では、位置管理テーブル801は、「安全帯No」、「通信装置No」、「腰/フック」、「座標x」、「座標y」、「座標z」の項目を含む。「安全帯No」の項目は、安全帯を識別するナンバーを示す。「通信装置No」の項目は、通信装置を識別するナンバーを示す。「腰/フック」の項目は、対応する通信装置が安全帯の腰ベルト部に設置されているか、フック部403に設置されているかを示す。図8(a)の例では、「腰/フック」の項目の値が1ならば、対応する通信装置が安全帯の腰ベルト部に設置されていることを示し、2ならば、対応する通信装置が安全帯のフック部403に設置されていることを示す。「座標x」、「座標y」、「座標z」の項目は、対応する通信装置が予め定められた座標系における度の座標に位置するかを示す。「座標x」及び「座標y」の項目は、水平方向の位置を特定する座標を示し、「座標z」の項目は、高さ方向の位置を特定する座標を示す。「安全帯No」、「通信装置No」、「腰/フック」の値は、予め定められている。
位置情報管理部302は、S702で特定した位置の情報を、対応する「座標x」、「座標y」、「座標z」の項目に格納することにより位置管理テーブル801を更新することとなる。
【0030】
S704において、作業エリア管理部303は、S703で更新された位置管理テーブル801に基づいて、安全帯101を装着した作業者が存在する作業エリアを特定する。より具体的には、作業エリア管理部303は、以下のような処理を行う。
作業エリア管理部303は、位置管理テーブル801から、安全帯101の通信装置103の位置の情報(「座標x」、「座標y」、「座標z」の項目の値)を取得する。通信装置103は、作業者の腰部付近に設置されている。そのため、通信装置103の高さ方向の位置と作業者がいる作業エリアのフロアの高さ方向の位置とは、異なっている。そこで、作業エリア管理部303は、主記憶装置202、補助記憶装置203等に記憶される各種の定数を管理する定数テーブル802から、作業者の腰位置の高さを取得する。そして、作業エリア管理部303は、通信装置103の「座標z」の値から取得した高さを引くことで、予め定められた座標系における作業者が存在するフロアの高さを特定する。
【0031】
図8(b)は、定数テーブル802の一例を示す図である。図8(b)の例では、定数テーブル802は、「高所規定高さ」、「在席判定時間」、「警告判定時間」、「親綱フック高さ」、「腰位置高さ」の項目を含む。各項目の値は、予め定められている。「高所規定高さ」の項目は、作業において命綱402の利用を要する高所とされるのは、フロアの高さがどの値以上の作業エリアであるかを示す。「在席判定時間」の項目は、作業者がある作業エリアにどの程度の期間、留まったら(存在し続けたら)その作業エリアに在席していることとみなすかを示す。ここで、在席とは、作業者が作業エリアで作業を行っている状態を示す。即ち、作業者が移動のためある作業エリアを通過した場合、その作業エリアに作業者は存在しているが、在席していないということとなる。「警告判定時間」の項目は、高所とされる作業エリアに在席を始めて、どの程度の期間、命綱402の利用を開始しなければ、警告情報を送信するかを示す。
「親綱フック高さ」の項目は、作業者の腰部に対する安全帯のフック部403の高さがどの値以上であれば、フック部403が親綱404に掛けられているかを示す。「親綱フック高さ」の項目は、第1の閾値の一例である。「腰位置高さ」の項目は、作業者が存在する作業エリアのフロアに対して、作業者の腰の高さがどの程度かを示す。
即ち、作業エリア管理部303は、通信装置103の「座標z」の値から、定数テーブル802の「腰位置高さ」の項目の値を引くことで、予め定められた座標系における作業者が存在するフロアの高さを特定することとなる。
【0032】
そして、作業エリア管理部303は、位置管理テーブル801から取得した通信装置103の「座標x」、「座標y」の値と、特定した作業者が存在する作業エリアのフロアの高さと、に基づいて、主記憶装置202、補助記憶装置203等に記憶される作業エリアを管理するエリア管理テーブル803から、作業者が存在する作業エリアを特定する。
図8(c)は、エリア管理テーブル803の一例を示す図である。図8(c)の例では、エリア管理テーブル803は、「エリアNo」、「始点座標x」、「始点座標y」、「始点座標z」、「終点座標x」、「終点座標y」、「終点座標z」、「判定要否」の項目を含む。「エリアNo」、「始点座標x」、「始点座標y」、「始点座標z」、「終点座標x」、「終点座標y」、「終点座標z」、「判定要否」の値は、予め定められている。「エリアNo」の項目は、作業エリアを識別するナンバーを示す。
「始点座標x」、「始点座標y」、「始点座標z」、「終点座標x」、「終点座標y」、「終点座標z」の項目は、対応する作業エリアが予め定められた座標系において占める領域を示す。即ち、対応する作業エリアは、点(1)(「始点座標x」、「始点座標y」、「始点座標z」)、点(2)(「始点座標x」、「終点座標y」、「始点座標z」)、点(3)(「終点座標x」、「終点座標y」、「始点座標z」)、点(4)(「終点座標x」、「始点座標y」、「始点座標z」)、点(5)(「始点座標x」、「始点座標y」、「終点座標z」)、点(6)(「始点座標x」、「終点座標y」、「終点座標z」)、点(7)(「終点座標x」、「終点座標y」、「終点座標z」)、点(8)(「終点座標x」、「始点座標y」、「終点座標z」)の8つの点を頂点とする直方体の領域となる。
図8(c)に示すエリア管理テーブル803に設定される座標の座標系と、図8(a)に示す位置管理テーブル801に設定される座標の座標系と、は、同じ座標系である。図8(c)に示すエリア管理テーブル803では、「エリアNo」が「101」の作業エリアの「始点座標x」、「始点座標y」、「始点座標z」の位置を原点とする。図8(a)に示す位置管理テーブル801の「座標x」、「座標y」、「座標z」の原点も、この原点と同じである。
【0033】
「判定要否」の項目は、対応する作業エリアが安全帯の利用状況の判定処理を要する作業エリアであるか否かを示す。図8(c)の例では、「判定要否」の項目が1である場合、対応する作業エリアが安全帯の利用状況の判定処理を要する作業エリアであることを示し、0である場合、対応する作業エリアが安全帯の利用状況の判定処理を要しない作業エリアであることを示す。
高所での作業においては、安全帯の利用状況の判定処理を要することとなる。しかし、作業エリアが高所であった場合でも、作業エリアが壁でおおわれている等の場合、落下の危険性がない。そのような場合、作業エリア管理部303は、入出力I/F204に接続された入力装置を介したユーザの操作に基づいて、エリア管理テーブル803内の落下の危険性がない作業エリアに対応する「判定要否」の項目の値は、予め0に設定されている。また、監視装置100は、入出力I/F204に接続されたキーボード等の入力装置を介した入力に基づいて、エリア管理テーブル803内の落下の危険性がない作業エリアに対応する「判定要否」の項目の値を0に更新してもよい。これにより、監視システムは、その作業エリアについて、安全帯の利用状況の判定処理を行わずにすみ、無駄な処理の負担を軽減できる。
作業エリア管理部303は、位置管理テーブル801から取得した通信装置103の「座標x」、「座標y」の値と、特定した作業者が存在する作業エリアのフロアの高さと、で示される位置を含む作業エリアを、エリア管理テーブル803から特定する。
【0034】
そして、作業エリア管理部303は、例えば、特定した作業エリアに安全帯101の作業者が定数テーブル802の「在席判定時間」の項目の値以上存在している場合、特定した作業エリアを識別する情報を、主記憶装置202、補助記憶装置203等に記憶される作業者を管理する作業者管理テーブル804に入力する。
図7に示されるように、監視装置100は、S706、S710、S713、S715の何れか1つの処理が完了したら、再度、S701の処理から処理を再開する。即ち、監視装置100は、S701から、S706、S710、S713、S715の何れか1つまでの処理を、一巡の処理として、この一巡の処理を繰り返すこととなる。
作業エリア管理部303は、例えば、今回の一巡の処理におけるS704で特定した作業エリアが、前回の一巡の処理におけるS704の処理の際に特定した作業エリアと異なる場合、今回の一巡の処理におけるS704の処理で作業エリアを特定した時刻を、主記憶装置202等に記憶する。そして、作業エリア管理部303は、以降の一巡の処理におけるS704の処理の度に、特定した作業エリアが前回の一巡の処理におけるS704で特定した作業エリアと同じである場合、作業エリアを特定した時刻と、主記憶装置202等に記憶した時刻と、の差分を作業者がその作業エリアに存在している期間として特定する。そして、作業エリア管理部303は、特定した期間が、定数テーブル802の「在席判定時間」が示す期間以上である場合、作業者が特定した作業エリアに在席しているものとして、特定した作業エリアを識別する情報を、作業者管理テーブル804に入力する。また、作業エリア管理部303は、特定した作業エリアを識別する情報を作業者管理テーブル804に入力した時刻を、作業者がその作業エリアに在席を開始した時刻である在席開始時刻として、主記憶装置202等に記憶する。
【0035】
図8(d)は、作業者管理テーブル804の一例を示す図である。作業者管理テーブル804は、「作業者No」、「作業者名」、「管理者名」、「利用安全帯No」、「在席エリアNo」、「利用中判定」、「タイムカウント」、「通知先」の項目を含む。「作業者No」、「作業者名」、「管理者名」、「利用安全帯No」、「通知先」の項目は、予め値が設定されている項目である。「在席エリアNo」、「利用中判定」、「タイムカウント」の項目は、値が動的に更新されていく項目である。「作業者No」の項目は、作業者を識別するナンバーを示す。「作業者名」の項目は、作業者の名前を示す。「管理者名」の項目は、対応する作業者を管理する立場の者の名前を示す。「利用安全帯No」の項目は、対応する作業者が装着している安全帯を識別するナンバーを示す。「在席エリアNo」の項目は、対応する作業者が在席している作業エリアを示す。「利用中判定」の項目は、対応する安全帯が利用か否か、又は利用が不要であるかを示す。例えば、「利用中判定」の項目の値が、0ならば、安全帯が未使用であることを示し、1ならば、安全帯が使用中であることを示し、99ならば、安全帯の利用が不要であることを示す。「タイムカウント」の項目は、高所である作業エリアに作業者が在席している際に、フック部403が親綱404に掛けられていない時間を示す。「通知先」の項目は、フック部403が親綱404に掛けられていないことが検知された場合に送信される警告情報の送信先を示す。
作業エリア管理部303は、例えば、特定した作業エリアを識別する情報(例えば、作業エリアを識別する番号である識別ナンバー)を、作業者管理テーブル804で、安全帯101の作業者に対応する「在席エリアNo」の項目に入力する。
【0036】
また、作業エリア管理部303は、位置情報管理部302により特定された通信装置103の位置を含む作業エリアを、安全帯101を装着する作業者が存在する作業エリアとして特定してもよい。
また、作業エリア管理部303は、通信装置103の位置でなく、通信装置102の位置に基づいて、安全帯101を装着する作業者の作業エリアを特定してもよい。作業エリア管理部303は、例えば、位置情報管理部302により特定された通信装置102の位置を含む作業エリアを、安全帯101を装着する作業者が存在する作業エリアとして特定してもよい。
【0037】
S705において、利用状況判定部304は、S704で特定した作業エリアに基づいて、安全帯101の利用状況の判定処理を要するか否かを判定する。利用状況判定部304は、例えば、エリア管理テーブル803におけるS704で特定した作業エリアに対応する「判定要否」の項目の値が1である場合、安全帯101の利用状況の判定処理を要すると判定し、S707の処理に進む。安全帯101の利用状況の判定処理を要すると判定された状況は、例えば、図5(b)〜(f)が示すような状況である。
また、利用状況判定部304は、例えば、エリア管理テーブル803におけるS704で特定した作業エリアに対応する「判定要否」の項目の値が0である場合、安全帯101の利用状況の判定処理を要しないと判定し、S706の処理に進む。そして、利用状況判定部304は、作業者管理テーブル804における安全帯101に対応する「利用中判定」の項目の値を99に更新する。安全帯101の利用状況の判定処理を要しないと判定された状況は、例えば、図5(a)、(g)が示すような状況である。S705の処理により、監視システムは、不要な利用状況の判定処理を行わなくてよくなり、処理の負担を軽減できる。
S706において、ログ管理部306は、安全帯101の使用に関するデータを現在時刻と対応付けて、ログデータとして補助記憶装置203に記憶する。ログ管理部306は、例えば、ログデータとして、安全帯101を使用する作業者を識別する情報、S702で特定された通信装置102、103それぞれの位置の情報、S704で特定された作業エリアを識別する情報を記憶する。また、ログ管理部306は、例えば、S704の判定の結果から得られる情報として、安全帯101の使用状態が使用状況の判定処理を要しない状態であることを示す情報等をログデータとして記憶することとしてもよい。そして、ログ管理部306は、S701の処理に進む。
S707において、利用状況判定部304は、S703で更新された位置管理テーブル801から、通信装置102それぞれの高さ方向の位置(「座標z」の値)から、通信装置103の高さ方向の位置(「座標z」の値)を引くことで、通信装置103に対する通信装置102それぞれの高さを取得する。
【0038】
S708において、利用状況判定部304は、S707で取得した通信装置103に対する通信装置102それぞれの高さに基づいて、フック部403が親綱404に掛けられているか否かを判定する。利用状況判定部304は、例えば、通信装置102の何れかの通信装置103に対する高さが、定数テーブル802の「親綱フック高さ」の項目の値以上である場合、フック部403それぞれが親綱404に掛けられているとして、S709の処理に進む。そして、利用状況判定部304は、作業者管理テーブル804における安全帯101に対応する「利用中判定」の項目の値を1に更新する。
1つの通信装置102の通信装置103に対する高さが、定数テーブル802の「親綱フック高さ」の項目の値以上である状況は、例えば、図5(c)、(e)が示す状況である。2つの通信装置102の通信装置103に対する高さが、定数テーブル802の「親綱フック高さ」の項目の値以上である状況は、例えば、図5(d)が示す状況である。即ち、作業者が、高所の作業エリアに入った後、図5(c)、(e)が示すような状況になれば、安全帯101の利用が開始されたこととなる。
【0039】
図9は、隣接する親綱404にフック部403を付け替える際の作業者の動作の概要の一例を示す図である。親綱404は、親綱404a、404bを総称するものである。図9では、各時刻t1〜t5において、同一の作業者が、フック部403を親綱404a、404bに対しどのように付け替えているかの様子を示す。本実施形態では、通信装置102は、フック部403に設置されており、位置情報管理部302により特定される通信装置102の位置は、フック部403の位置とみなすことができる。そのため、図9における通信装置102の位置は、フック部403の位置である。図9において、親綱404a、404bは、支柱901に設置されており、離隔した位置にある。
時刻t1において、作業者は、安全帯101の両方のフック部403を親綱404aに掛けている。その後、時刻t2において、作業者は、支柱901に近づくと、一方のフック部403b(支柱901に近い位置にある方のフック部403b)を親綱404aから外す。その後、時刻t3において、作業者は、支柱901に達すると、親綱404aから外した一方のフック部403bを親綱404bに掛ける。その後、作業者は、他方のフック部403aを親綱404aから外す(図9の時刻t3における通信装置102aの傍らに示す破線で示す矢印を参照)。その状態のまま作業者が親綱404bに沿って支柱901から離れる方向に移動した状態が時刻t4に示す状態である。その後、時刻t5において、作業者は、親綱から外れている一方のフック部403aを親綱404bに掛ける。本実施形態では、図9に示すような状況を想定して、2つの命綱402を含む安全帯101を用いる。必ずしも、2つのフック部403が同時に親綱404に掛けられている必要はなく、何れか1つが親綱404に掛けられていれば、作業者の墜落を防止できる。
【0040】
また、利用状況判定部304は、例えば、通信装置103に対する全ての通信装置102の高さが、定数テーブル802の「親綱フック高さ」の項目の値未満である場合、安全帯101の利用が開始されていないとして、S711の処理に進む。そして、利用状況判定部304は、作業者管理テーブル804における安全帯101に対応する「利用中判定」の項目の値を0に更新する。
通信装置103に対する全ての通信装置102の高さが、定数テーブル802の「親綱フック高さ」の項目の値未満である状況は、例えば、図5(b)、(f)が示す状況である。即ち、作業者が、高所の作業エリアに入った後、図5(b)、(f)が示すような状況のままでいれば、安全帯101の利用が開始されていないこととなる。
本実施形態では、利用状況判定部304は、通信装置102の通信装置103に対する高さに基づいて、フック部403が親綱404に掛けられ、安全帯101が利用されているか否かを判定することとした。これにより、利用状況判定部304は、親綱404の高さ方向の位置が不明な場合でも、安全帯101のフック部403が親綱404に掛けられていないことを検知できる。
【0041】
S709において、利用状況判定部304は、作業者管理テーブル804の安全帯101を装着した作業者に対応する「タイムカウント」の項目の値を初期化する。利用状況判定部304は、作業者管理テーブル804の安全帯101を装着した作業者に対応する「タイムカウント」の項目に、値がないことを示すNULL値等の値を入力することで、初期化する。利用状況判定部304は、作業者管理テーブル804の安全帯101を装着した作業者に対応する「タイムカウント」の項目を空欄とすることで、初期化してもよい。
S710において、ログ管理部306は、安全帯101の使用に関するデータを現在時刻と対応付けて、ログデータとして補助記憶装置203に記憶する。ログ管理部306は、例えば、ログデータとして、安全帯101を使用する作業者を識別する情報、S702で特定された通信装置102、103それぞれの位置の情報、S704で特定された作業エリアを識別する情報を記憶する。また、ログ管理部306は、例えば、S708でフック部403が親綱404に掛けられていると判定されたことで得られた情報として、安全帯101の使用状態が、安全帯101が正常に使用されている状態であることを示す情報等をログデータとして記憶することとしてもよい。そして、ログ管理部306は、S701の処理に進む。
S711において、利用状況判定部304は、現在の時刻から、主記憶装置202等に記憶されている在席開始時刻を引いた差分の値を、高所の作業エリアに在席を開始して安全帯101のフック部403が親綱404に掛けられないまま経過した時間として、作業者管理テーブル804の安全帯101を装着した作業者に対応する「タイムカウント」の項目の値に入力する。
【0042】
S712において、利用状況判定部304は、例えば、作業者管理テーブル804の安全帯101を装着した作業者に対応する「タイムカウント」の項目の値が、定数テーブル802の「警告出力判定時間」以上である場合、フック部403が親綱404に掛けられていないことを検知し、S714の処理に進む。この状況は、図5(b)、(f)が示すような状況のままで、一定の時間が経過したような状況である。
また、利用状況判定部304は、例えば、作業者管理テーブル804の安全帯101を装着した作業者に対応する「タイムカウント」の項目の値が、定数テーブル802の「警告出力判定時間」未満である場合、S713の処理に進む。
S708、S709、S711、S712の処理は、S606の処理の詳細である。
S713において、ログ管理部306は、安全帯101の使用に関するデータを現在時刻と対応付けて、ログデータとして補助記憶装置203に記憶する。ログ管理部306は、例えば、ログデータとして、安全帯101を使用する作業者を識別する情報、S702で特定された通信装置102、103それぞれの位置の情報、S704で特定された作業エリアを識別する情報を記憶する。また、ログ管理部306は、例えば、S708でフック部403が親綱404に掛けられていないと判定されたことで得られた情報として、安全帯101の使用状態が、安全帯101が使用されていない状態であることを示す情報等をログデータとして記憶することとしてもよい。そして、ログ管理部306は、S701の処理に進む。
S714において、送信部305は、フック部403が親綱404に掛けられていないことを警告するための警告情報を、作業者管理テーブル804の安全帯101の作業者に対応する「通知先」の項目に入力されている送信先に送信する。本実施形態では、送信部305は、端末装置106、107に対して、その送信先の端末装置に警告情報を送信する。
端末装置106、107は、監視装置100から送信された警告情報をそれぞれのユーザに通知することとなる。
S715において、ログ管理部306は、安全帯101の使用に関するデータを現在時刻と対応付けて、ログデータとして補助記憶装置203に記憶する。ログ管理部306は、例えば、ログデータとして、安全帯101を使用する作業者を識別する情報、S702で特定された通信装置102、103それぞれの位置の情報、S704で特定された作業エリアを識別する情報を記憶する。また、ログ管理部306は、例えば、S708でフック部403が親綱404に掛けられていないと判定されたことで得られた情報として、安全帯101の使用状態が、安全帯101が使用されていない状態であることを示す情報等をログデータとして記憶することとしてもよい。そして、ログ管理部306は、S701の処理に進む。
ログ管理部306は、例えば、S706、S710、S713、S715でログ管理部306により記憶されたログデータを、表示部に表示する等して、出力することができる。ユーザは、出力されたログデータを確認して、作業者毎の安全帯101の使用状況を振り返り、分析することができるようになる。
【0043】
(効果)
以上、本実施形態では、監視システムは、安全帯101の命綱402の先端の近傍に設置された通信装置102と、安全帯101の腰ベルト部に設置された通信装置103と、のそれぞれから発信された信号に基づいて、通信装置102、103それぞれの位置を特定する。監視システムは、通信装置102、103それぞれの高さ方向の位置の差分を取得することで、通信装置102の通信装置103に対する高さを特定する。そして、監視システムは、特定した高さが、定数テーブル802の「親綱フック高さ」の項目の値以上である場合、フック部403が親綱404に掛けられていると判定する。また、監視システムは、特定した高さが、定数テーブル802の「親綱フック高さ」の項目の値未満である場合、フック部403が親綱404に掛けられていないことを検知して、警告情報を出力する。
これにより、監視システムは、より精度のよい安全帯の使用状況の監視を実現できる。
また、本実施形態の安全帯101は、命綱402の先端の近傍に通信装置102が設置されることで、監視装置100による通信装置102の位置の特定を可能とし、監視装置100による安全帯101の使用状況のより精度のよい監視の実現を支援することができる。
【0044】
(変形例1)
本実施形態では、安全帯101は、2つの命綱402を含み、それぞれの命綱402の先端の近傍に通信装置102が設置されることとした。即ち、安全帯101は、通信装置102として、通信装置102aと通信装置102bとを含むこととした。しかし、安全帯101は、1つの命綱402と含み、その命綱402の先端の近傍に通信装置102が1つ設置されることとしてもよい。また、安全帯101は、3つ以上の命綱402を含み、それぞれの命綱402の先端の近傍に通信装置102が設置されることとしてもよい。
(変形例2)
本実施形態では、監視システムは、通信装置102の通信装置103に対する高さに基づいて、フック部403が親綱404に掛けられているか否かを判定した。しかし、例えば、作業者が存在する作業エリアにおいて、作業者が存在できるフロアが1つしかなく、そのフロアの高さが既知である等の場合、予め定められた座標系における親綱404の高さ方向の位置を特定される。このような場合、監視システムは、通信装置103を含まないこととして、以下のような処理を行うこととしてもよい。
即ち、利用状況判定部304は、位置管理テーブル801から通信装置102の「座標z」の項目の値を取得し、取得した値と、予め特定される親綱404の高さ方向の位置の値と、の差分が予め定められた閾値以下である場合、安全帯101のフック部403が親綱404に掛けられていると判定してもよい。また、利用状況判定部304は、その差分が予め定められた閾値より大きい場合、安全帯101のフック部403が親綱404に掛けられていないと判定してもよい。この閾値は、例えば、親綱404に掛けられたフック部403の高さ方向の位置と、親綱404の高さ方向の位置と、の差分として想定される値に基づいて決定される。
【0045】
(変形例3)
本実施形態では、通信装置103は、安全帯101に含まれており、安全帯101の腰ベルト部に設置されていることとした。しかし、通信装置103は、安全帯101に含まれず、安全帯101を装着する作業者の足元等に設置されることとしてもよい。
例えば、通信装置103は、安全帯101を装着する作業者の靴に設置することで、作業者の足元に装着されることとする。その場合、監視システムは、作業者の足元に対する安全帯101のフック部403の高さに基づいて、フック部403が親綱404に掛けられているか否かを判定することとなる。作業者の腰の高さ方向の位置は、作業者によって異なるが、作業者の足元の高さ方向の位置は、どの作業者でも同程度である。即ち、安全帯101のフック部403が親綱404に掛けられている場合、作業者の腰の位置の高さ方向の位置に対する安全帯101のフック部403の高さは、作業者により大きく異なる可能性があるが、作業者の足元の高さ方向の位置に対する安全帯101のフック部403の高さは、作業者によらず概ね一定となる。そのため、監視システムは、通信装置103を作業者の靴に設置することで、より精度よく、フック部403が親綱404に掛けられているか否かを判定することができる。
【0046】
また、通信装置103は、作業者が作業する作業エリアに設置されることとしてもよい。例えば、通信装置103は、作業エリアにおける作業者が位置するフロアに設置されてもよい。この場合、監視システムは、通信装置102の作業エリアのフロアに設置された通信装置103に対する高さを特定し、特定した高さに基づいて、フック部403が親綱404に掛けられているか否かを判定することとなる。作業者が作業する作業エリアに設置される通信装置103は、第3の通信装置の一例である。
この場合も、通信装置103の高さ方向の位置は、作業者に依らないため、監視システムは、通信装置103を作業エリアのフロアに設置することで、より精度よく、フック部403が親綱404に掛けられているか否かを判定することができる。
また、通信装置103は、作業エリアのフロア以外の場所(例えば、壁等)に設置されることとしてもよい。
【0047】
(変形例4)
安全帯を装着し、親綱404にフック部403を掛けて作業する作業者が作業している場合、安全帯の命綱402は、たわんでいる。作業者が、作業エリアのフロアや階段等を踏み外し、落下しそうになると、安全帯の命綱402が落下を防止することとなるが、この際、命綱402は、ピンと張られることとなる。そのため、作業者が作業をしている状態よりも、安全帯の命綱402により作業者の落下が防止されている状態の方が、作業者の腰部の通信装置103の高さ方向の位置と、通信装置102の高さ方向の位置と、の差が大きくなる。
そこで、監視装置100は、以下のような処理により、安全帯101を装着した作業者の踏み外しを検知することとしてもよい。例えば、利用状況判定部304は、位置管理テーブル801から、安全帯101のフック部403に設置された通信装置102の「座標z」の値と、安全帯101の腰ベルト部に設置された通信装置103の「座標z」の値と、を取得する。
【0048】
そして、利用状況判定部304は、通信装置102の「座標z」の値から、通信装置103の「座標z」の値を引いた値を、通信装置103に対する通信装置102の高さとして取得する。
利用状況判定部304は、取得した通信装置103に対する通信装置102の高さが、定数テーブル802の「親綱フック高さ」の項目の値よりも大きな予め定められた閾値以上である場合、安全帯101を装着した作業者の踏み外しが発生したことを検知する。この予め定められた閾値は、第2の閾値の一例である。この閾値は、例えば、足を踏み外して宙釣りの状態になった作業者の腰の高さ方向の位置と、その状態における親綱404の高さ方向の位置と、の差分に基づいて、決定される。
そして、送信部305は、安全帯101を装着した作業者の踏み外しが発生したことを示す警告情報を、端末装置107等の予め定められた送信先に送信する。
これにより、監視システムは、作業者の踏み外しが発生した場合に、適切に警告情報を発することで、より作業者の安全性を向上させることができる。
【0049】
(変形例5)
例えば、安全帯101の肩ベルト部、作業者の作業着の肩部等の作業者の肩部付近に、フック部403を掛ける機構が存在する場合が有りうる。そのような場合、安全帯101の2つのフック部403がその機構に掛けられている場合、フック部403の高さが、作業者の腰部よりも高くなり、利用状況判定部304が、S708で親綱404にフック部403が掛けられていると判定してしまうことが起こり得る。また、作業者が不正を行おうとして、安全帯101の肩ベルト部等にフック部403をガムテープ等で張り付ける場合にも、同様に、フック部403の高さが、作業者の腰部よりも高くなり、利用状況判定部304が、S708で親綱404にフック部403が掛けられていると判定してしまうことが起こり得る。
親綱404に掛けられた安全帯101の2つのフック部403は、安全帯101を装着した作業者の移動に位置がそれぞれ変動する。そのため、2つのフック部403の相対的な位置関係は、変動すると仮定できる。この仮定より、発明者らは、2つのフック部403の距離が不変なままで、予め定められた閾値以上の期間が経過した場合、フック部403が親綱404に掛けられていない可能性があることを検知できるとの知見を得た。
そこで、監視システムは、以下のような処理を行うこととしてもよい。
【0050】
位置情報管理部302は、通信装置102それぞれについて、S603、S702と同様の処理で、位置を特定する。そして、位置情報管理部302は、特定した通信装置102それぞれの位置に基づいて、通信装置102aと通信装置102bとの距離を特定する。位置情報管理部302は、同様の処理を、周期的に行い、周期的に、通信装置102aと通信装置102bとの距離を特定する。
利用状況判定部304は、現在時刻の直前の予め定められた期間内に、位置情報管理部302により特定された通信装置102aと通信装置102bとの距離のうち、最大のものと最小のものとの差分が予め定められた閾値以下である場合、フック部403が親綱404に掛けられていないことを検知する。この予め定められた期間は、例えば、作業者が作業エリア内で或る作業からその次の作業に移る際に移動するのに要する時間として想定される時間に基づいて決定される。また、この閾値は、例えば、フック部403を親綱404に掛けた状態で作業者が作業する場合の通信装置102aと通信装置102bとの距離として想定される距離に基づいて決定される。そして、送信部305は、フック部403が親綱404に掛けられていないことを示す警告情報を、予め定められた送信先に送信する。送信部305は、例えば、警告情報を、端末装置106に送信する。そして、端末装置106は、警告情報を出力し、作業者に通知する。
これにより、監視システムは、不正や忘れにより、フック部403が親綱404に掛けられていないことを検知できる。
以上のことは、通信装置102a、102bと通信装置103との距離についても同じである。このようにする場合の処理は、例えば、以上の説明において、通信装置102aと通信装置102bとの距離を、通信装置102a、102bの少なくとも一方と通信装置103との距離に置き換えればよい。この場合、安全帯の命綱の数は1つでも複数でもよいことになる。
【0051】
(変形例6)
高所での作業において、安全帯101のフック部403を、親綱404に掛けることとなる。複数の作業者が一つの親綱404にフック部403を掛けた場合、例えば、1人の作業者が足を踏み外し落下しそうになると、親綱404がその作業者に引っ張られてしまう。その際の親綱404に引っ張られる形で、他の作業者も足を踏み外したりする危険がある。そのため、1つの親綱404にフック部403を掛ける作業者の人数を、1人にすることが求められる。
そこで、監視システムは、以下のような処理を行うこととしてもよい。
まず、監視システムは、例えば、安全帯101に設置された通信装置(通信装置102、103)に基づいて、安全帯101を装着する作業者が利用する親綱404を特定する。位置情報管理部302は、例えば、S603、S702と同様の処理で、通信装置103の位置を特定する。補助記憶装置203は、作業領域に設置された各親綱404について、親綱404を利用する作業者が位置する可能性がある領域である親綱領域の情報である親綱領域情報を予め記憶しているとする。作業エリア管理部303は、親綱領域情報に基づいて、位置情報管理部302により特定された通信装置103の位置を含む親綱領域に対応する親綱404を特定する。
【0052】
作業エリア管理部303は、同様の処理で、安全帯101と異なる他の安全帯を装着する作業者が利用する親綱404を特定する。この他の安全帯は、安全帯101と同様の安全帯であり、安全帯101と同様にフック部には、通信装置102と同様の通信装置が設置されており、腰ベルト部に通信装置103と同様の通信装置が設置される。
そして、送信部305は、作業エリア管理部303により特定された安全帯101を装着する作業者が利用する親綱404と、他の安全帯を装着する作業者が利用する親綱404と、が同一である場合、複数のユーザによる一つの親綱404の利用が禁止されていることを示す警告情報を予め定められた送信先に送信する。送信部305は、例えば、端末装置106に警告情報を送信する。端末装置106は、送信された警告情報を出力し、作業者に通知する。
これにより、監視システムは、複数の作業者が親綱404を同時に利用する可能性を低減させ、作業者の安全性を更に向上させることができる。
【0053】
(変形例7)
本実施形態では、通信装置102、103は、アクティブ型のRFIDタグであるとして、信号を周期的に発信することとした。そして、監視システムは、通信装置102、103から発信される信号を、信号通信装置104を介して受信し、受信した信号に基づいて、通信装置102、103の位置を特定した。
しかし、通信装置102、103は、GPS信号等の信号を受信することができる通信装置であるとしてもよい。予め定められた位置に設置された信号通信装置104が信号を発信し、通信装置102、103が、信号通信装置104から発信された信号を受信し、自身の位置を特定し、特定した位置の情報を、監視装置100に送信することとしてもよい。
通信装置102、103それぞれは、例えば、複数の信号通信装置104それぞれの発信した信号を受信し、受信した信号の強度に基づいて、自身が、信号通信装置104それぞれからどの程度の距離に存在するかを特定する。そして、通信装置102、103それぞれは、自身が、信号通信装置104それぞれの位置と、信号通信装置104それぞれからどの程度の距離に存在するかと、に基づいて、自身の位置を特定する。通信装置102、103それぞれは、特定した自身の位置を監視装置100に送信する。監視装置100は、受信した通信装置102、103それぞれの位置の情報に基づいて、フック部403が親綱404に掛けられているか否かを判定する。
【0054】
(変形例8)
また、例えば、上述した監視システムの機能の一部又は全てをハードウェアとして監視装置100に実装してもよい。
本実施形態では、監視装置100は、単体の情報処理装置であるとした。しかし、監視装置100は、通信可能に接続された複数の情報処理装置から構成されることとしてもよい。その場合、複数の情報処理装置のCPUそれぞれが、複数の情報処理装置の補助記憶装置等に記憶されたプログラムにしたがって、連携して処理を実行することで、図3の機能、図5の処理における監視装置100の処理、図6の処理等が実現される。
また、以上説明した本発明の実施形態は、コンピュータがプログラムを実行することによって実現してもよい。また、前記プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体及び前記プログラム等のコンピュータプログラムプロダクトも本発明の実施形態として適用することができる。記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等を用いることができる。
また、以上説明した本発明の実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。即ち、本発明はその技術思想、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0055】
100 監視装置
101 安全帯
102 通信装置
103 通信装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9