【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成27年度〜平成29年度、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「次世代洋上直流送電システム開発事業」の委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
水底に布設されるケーブルと、前記ケーブルの外周を囲み前記ケーブルに沿って数珠繋ぎに連結される複数の防護管と、を有する防護管付きケーブルの製造システムであって、
前記複数の防護管のそれぞれを長手方向に沿った半割面で半割りした半管状部材の一方として構成され、長手方向の両端にそれぞれ嵌合部を有する複数の下管と、前記半管状部材の他方として構成され、長手方向の両端にそれぞれ嵌合部を有する複数の上管と、前記ケーブルと、を貯蔵する貯蔵領域と、
前記複数の下管をそれぞれの内側が鉛直上側に向くように配置し、前記複数の下管のうちの長手方向に隣接する一対の下管の前記嵌合部同士を嵌合させ、前記複数の下管を長手方向に沿って搬送する下管連結機構と、
前記複数の下管の内側上に前記ケーブルを載置し、前記ケーブルを前記複数の下管とともに長手方向に沿って搬送するケーブル載置機構と、
前記複数の上管のうちの長手方向に隣接する一対の上管の前記嵌合部同士を嵌合させ、前記複数の上管を前記複数の下管とともに前記ケーブルを囲むように配置することで、前記防護管付きケーブルを作製し、前記防護管付きケーブルを長手方向に沿って搬送する上管連結機構と、を有し、
前記下管連結機構では、
前記複数の下管を長手方向に沿って搬送しながら、前記複数の下管の搬送高さが高い位置から低い位置に不連続に変化する段差を利用して、長手方向に隣接する前記一対の下管の前記嵌合部同士を自己整合的に嵌合させる
防護管付きケーブルの製造システム。
水底に布設されるケーブルと、前記ケーブルの外周を囲み前記ケーブルに沿って数珠繋ぎに連結される複数の防護管と、を有する防護管付きケーブルの製造システムであって、
前記複数の防護管のそれぞれを長手方向に沿った半割面で半割りした半管状部材の一方として構成され、長手方向の両端にそれぞれ嵌合部を有する複数の下管と、前記半管状部材の他方として構成され、長手方向の両端にそれぞれ嵌合部を有する複数の上管と、前記ケーブルと、を貯蔵する貯蔵領域と、
前記複数の下管をそれぞれの内側が鉛直上側に向くように配置し、前記複数の下管のうちの長手方向に隣接する一対の下管の前記嵌合部同士を嵌合させ、前記複数の下管を長手方向に沿って搬送する下管連結機構と、
前記複数の下管の内側上に前記ケーブルを載置し、前記ケーブルを前記複数の下管とともに長手方向に沿って搬送するケーブル載置機構と、
前記複数の上管のうちの長手方向に隣接する一対の上管の前記嵌合部同士を嵌合させ、前記複数の上管を前記複数の下管とともに前記ケーブルを囲むように配置することで、前記防護管付きケーブルを作製し、前記防護管付きケーブルを長手方向に沿って搬送する上管連結機構と、を有し、
前記上管連結機構では、
前記複数の上管を長手方向に沿って搬送しながら、前記複数の上管の搬送高さが高い位置から低い位置に不連続に変化する段差を利用して、長手方向に隣接する前記一対の上管の前記嵌合部同士を自己整合的に嵌合させる
防護管付きケーブルの製造システム。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<本発明の一実施形態>
(1)防護管付きケーブルおよび防護管
本発明の一実施形態に係る防護管付きケーブル10および防護管200について、
図1および
図2を用いて説明する。
図1は、本実施形態に係る防護管付きケーブルの長手方向に直交する概略断面図である。
図2(a)は、本実施形態に係る下管または上管を示す概略正面図であり、(b)は、(a)のA−A’線概略断面図であり、(c)は、(b)のB−B’線概略断面図であり、(d)は、本実施形態に係る下管または上管を示す概略上面図である。
【0018】
なお、以下において、ケーブル100または防護管200等の「長手方向」とは、ケーブル100または防護管200等の「軸方向」と言い換えることができる。また、ケーブル100または防護管200等の「径方向」とは、ケーブル100または防護管200等の中心軸から外周に向かう方向のことをいい、場合によっては、ケーブル100または防護管200等の「短手方向」と言い換えることができる。また、ケーブル100または防護管200等の「周方向」とは、ケーブル100または防護管200等の外周面に沿った方向のことをいう。
【0019】
図1に示すように、本実施形態の防護管付きケーブル10は、ケーブル100と、防護管200と、を有している。防護管200は、ケーブル100の外周を囲むように配置されている。また、防護管200は複数設けられ、複数の防護管200は、ケーブル100に沿って(
図1の紙面に交差する方向に)数珠繋ぎに連結されている。防護管付きケーブル10は、複数の防護管200が上記のように連結されてケーブル100に取り付けられた状態で水底に布設されるようになっている。なお、本実施形態でいう「水底」とは、海底、河底、または湖底などを意味している。
【0020】
(ケーブル)
本実施形態のケーブル100は、水底に布設される高圧ケーブルとして構成され、具体的には、例えば、架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル(CVケーブル:Crosslinked polyethylene insulated PVC sheathed cable)として構成されている。
【0021】
(防護管)
図1に示すように、本実施形態の防護管200は、ケーブル100を囲み、ケーブル100を防護するよう構成されている。防護管200は、例えば、鋳鉄等の金属からなっている。
【0022】
また、防護管200は、例えば、長手方向に沿った半割面222で半割り(2分割)した2つの半管状部材により構成されている。2つの半管状部材のうち、鉛直下側に配置される管を「下管(下側半割管)210u」とし、鉛直上側に配置される管を「上管(上側半割管)210t」とする。
【0023】
図2(a)〜(d)に示すように、下管210uは、例えば、胴体部220と、嵌合部230と、接合鍔部242と、支持鍔部246と、を有している。
【0024】
胴体部220は、例えば、円筒管を長手方向に沿った半割面222で半割りした半管状に構成されている。胴体部220は、その中空部内にケーブル100が挿通可能に構成されており、胴体部220の内径は、防護対象のケーブル100の外径よりも若干大きくなっている。
【0025】
嵌合部230は、胴体部220の長手方向の両端にそれぞれ設けられている。胴体部220の長手方向の一端に嵌合部230の一方として設けられる部分を「第1嵌合部232」とし、胴体部220の長手方向の他端に嵌合部230の他方として設けられる部分を「第2嵌合部234」とする。
【0026】
第1嵌合部232は、例えば、中空の略半球状に構成されている。第1嵌合部232は、その中空部内にケーブル100が干渉せずに挿通可能に構成されており、第1嵌合部232の中心(半球の中心点)から内周面までの内径は、例えば、胴体部220の内径より大きくなっている。
【0027】
第2嵌合部234は、第1嵌合部232に被せられて嵌合されるよう構成されている。具体的には、第2嵌合部234は、例えば、第1嵌合部232と同様に、中空の略半球状に構成されている。また、第2嵌合部234の中心から内周面までの内径は、例えば、第1嵌合部232の外径(第1嵌合部232の中心から外周面までの外径)と略等しいか、或いは、第1嵌合部232の外径よりも若干大きくなっている。これにより、第2嵌合部234は、第1嵌合部232に嵌合するとともに、第1嵌合部232の外周面に沿って回転することができるようになっている。その結果、複数の防護管200を連結した状態で、防護管付きケーブル10を屈曲させることが可能となる。
【0028】
本実施形態では、第1嵌合部232および第2嵌合部234は、複数の防護管200が数珠繋ぎに連結された際に、複数の防護管200同士を互いに引っ張る張力(それら自身の荷重を支持する張力)が加わっても外れないように互いに嵌合されるよう構成されている。具体的には、第1嵌合部232および第2嵌合部234は、それぞれ、上記張力に耐えうる剛性を有している。また、第2嵌合部234のうちの胴体部220の長手方向の端部(下管210uの長手方向の端部)に開設された開口の直径は、第1嵌合部232の外径よりも小さくなっている。これにより、第1嵌合部232および第2嵌合部234は、上記張力が加わっても外れないようになっている。
【0029】
接合鍔部242は、下管210uと上管210tとが接合される接合部(接合片)として構成されている。具体的には、例えば、接合鍔部242は、胴体部220の周方向の両端にそれぞれ設けられている。それぞれの接合鍔部242は、胴体部220の外周端から外側に向けて径方向に延在し、胴体部220の半割面222と同一の平坦面を構成している。また、それぞれの接合鍔部242は、下管210uと上管210tとを接合するボルト(不図示)が挿入されるボルト孔243を有している。ボルト孔243は、例えば、1つの接合鍔部242当たりに、複数設けられている。例えば、一方の接合鍔部242は、胴体部220の中心軸を挟んで他方の接合鍔部242と対称に構成されている。すなわち、一方の接合鍔部242におけるボルト孔243の数は、他方の接合鍔部242におけるボルト孔243の数と等しく、また、一方の接合鍔部242の長手方向におけるボルト孔243の位置は、他方の接合鍔部242の長手方向におけるボルト孔243の位置と等しくなっている。
【0030】
本実施形態の下管210uは、その内側が鉛直上側に向いた状態で自立可能に構成されており、例えば、支持鍔部246を有している。支持鍔部246は、下管210uの胴体部220を鉛直下側から支持するよう構成されている。これにより、防護管付きケーブル10の製造工程において、下管210uをその内側が鉛直上側に向いた状態で安定的に載置して搬送することができる。また、防護管付きケーブル10の布設時に、防護管付きケーブル10を下管210uの支持鍔部246によって支持することができ、防護管付きケーブル10を水底に直接着底させることができる。
【0031】
支持鍔部246は、例えば、胴体部220の周方向の両端の間(例えば胴体部220の中央付近)に設けられている。支持鍔部246は、例えば、胴体部220の外周面から外側に向けて半割面222に交差する方向(例えば、半割面222に垂直な方向)に延在している。また、支持鍔部246は、例えば、第1嵌合部232のうちの胴体部220側の端部付近から、第2嵌合部234のうちの半割面222から最も離れた最端部(球の最頂部)まで、胴体部220の長手方向に沿って延在している。支持鍔部246は、第1嵌合部232と重なる位置には設けられていないため、当該支持鍔部246は、連結対象の下管210uの第2嵌合部234が第1嵌合部232に嵌合した際に、第2嵌合部234に干渉しないようになっている。
【0032】
ここで、本実施形態では、支持鍔部246のうちの半割面222から遠い側の端部は、例えば、第2嵌合部234のうちの半割面222から最も離れた最端部と同一面を構成するか、或いは、第2嵌合部234のうちの上記最端部から(半割面222に垂直な方向に)突出している。支持鍔部246のうちの半割面222から遠い側の端部よりも、第2嵌合部234のうちの上記最端部が突出していると、下管210uをその内側が鉛直上側に向いた状態で載置したときに、下管210uが支持鍔部246によって支持されず、第2嵌合部234のうちの上記最端部で支持されることとなる。第2嵌合部234は上記のように半球状に構成されているため、下管210uが第2嵌合部234のうちの上記最端部で支持されると、下管210uが不安定となり、周方向に転がってしまう可能性がある。これに対し、本実施形態では、支持鍔部246のうちの半割面222から遠い側の端部よりも、第2嵌合部234のうちの上記最端部が突出していないことで、下管210uをその内側が鉛直上側に向いた状態で載置したときに、下管210uを支持鍔部246によって支持することができる。これにより、下管210uを安定的に載置することができ、下管210uが周方向に転がってしまうことを抑制することができる。ここでは、支持鍔部246のうちの半割面222から遠い側の端部は、例えば、第2嵌合部234のうちの半割面222から最も離れた最端部と同一面を構成している。これにより、下管210uを支持鍔部246および第2嵌合部234の両方で支持することができ、より安定的に載置することができる。
【0033】
また、本実施形態では、支持鍔部246は、例えば、胴体部220の周方向の中央を挟んで一対設けられている。これにより、一対の支持鍔部246により下管210uをバランスよく支持することができる。ここでは、一対の支持鍔部246は、例えば、胴体部220の周方向の中央を挟んで対称に配置されている。これにより、一対の支持鍔部246の間の中央に下管210uの重心を配置することができ、一対の支持鍔部246による支持の安定性を向上させることができる。また、一対の支持鍔部246により下管210uをその半割面222が水平となるように支持することができる。
【0034】
一方、上管210tは、その内側が鉛直下側に向いた状態で、防護対象のケーブル100を挟んで下管210uと反対側に配置され、下管210uとともにケーブル100を囲むよう構成されている。
【0035】
本実施形態では、上管210tは、例えば、下管210uと同様に構成され、胴体部220と、嵌合部230と、接合鍔部242と、支持鍔部246と、を有している。これにより、下管210uと上管210tとを同一の金型で製造することができ、防護管200の製造コストを低減することができる。また、上管210tにも支持鍔部246が設けられていることで、防護管付きケーブル10の布設時に、防護管付きケーブル10が周方向に回転して上管210tが鉛直下側に配置された場合であっても、防護管付きケーブル100を上管210tの支持鍔部246によって支持することができ、防護管付きケーブル10を水底に直接着底させることができる。
【0036】
以上のような構成を有する下管210uおよび上管210tがケーブル100に取り付けられた防護管付きケーブル10では、一方の下管210uの第1嵌合部232に他方の下管210uの第2嵌合部234が被せられて嵌合されることで、複数の下管210uが長手方向に沿って数珠繋ぎに連結される。また、下管210uの内側上にケーブル100が載置され、上管210tが下管210uとともにケーブル100を囲むよう配置される。また、一方の上管210tの第1嵌合部232に他方の上管210tの第2嵌合部234が被せられて嵌合されることで、複数の上管210tが長手方向に沿って数珠繋ぎに連結される。さらに、それぞれの下管210uの接合鍔部242とそれぞれの上管210tの接合鍔部242とが対向して当接し、接合鍔部242のボルト孔243にボルトが挿入されナット(不図示)で固定されることで、それぞれの下管210uとそれぞれの上管210tとが互いに接合される。
【0037】
(2)防護管付きケーブルの製造システム
次に、本発明の一実施形態に係る防護管付きケーブルの製造システム(以下、単に「製造システム」ともいう)30について、
図3〜
図7を用いて説明する。
図3は、本実施形態に係る布設船を示す概略構成図である。
図4は、本実施形態に係る防護管付きケーブルの製造システムを示す概略上面図である。
図5は、本実施形態に係る防護管付きケーブルの製造システムを示す概略側面図である。
図6(a)は、下管搬送路の一部を示す概略上面図であり、(b)は、下管搬送路の一部を示す概略正面図であり、(c)は、下管搬送路の一部を示す概略側面図である。
図7(a)は、上管搬送路の一部を示す概略上面図であり、(b)は、上管搬送路の一部を示す概略正面図であり、(c)は、上管搬送路の一部を示す概略側面図である。
【0038】
なお、以下において、ケーブル100の「搬送方向」とは、ケーブル100が長手方向に沿って搬送される方向のことをいう。また、製造システム30において、各部材が供給される側を「上流側」とし、各部材が搬出される側を「下流側」とする。具体的には、例えば、ケーブル貯蔵領域410からケーブル100が供給される側を「上流側」とし、製造システム30から防護管付きケーブル10が搬出される側を「下流側」とする。
【0039】
また、ここで、製造システム30における方向を定義する。水平方向をX方向およびY方向とする。このうち、ケーブル100または防護管付きケーブル10の搬送方向を+Y方向とし、Y方向に垂直な方向をX方向とする。また、鉛直方向をZ方向とし、重力の方向と反対の鉛直上方向を+Z方向とする。
【0040】
(布設船)
図3に示すように、本実施形態の布設船40は、製造システム30で製造された防護管付きケーブル10を水底に向けて繰り出して布設するよう構成され、例えば、製造システム30と、シュータ450と、を有している。つまり、本実施形態の製造システム30は、布設船40の一部を構成している。
【0041】
本実施形態の製造システム30は、ケーブル100を長手方向に搬送しながらケーブル100に対して複数の防護管200を数珠繋ぎに取り付けることで、防護管付きケーブル10を連続的に作製するよう構成され、例えば、ケーブル貯蔵領域410と、やぐら420と、ケーブルガイド430と、防護管貯蔵領域440と、下管連結機構(下管連結領域)31と、ケーブル載置機構(ケーブル載置領域)32と、上管連結機構(上管連結領域)33と、を有している。
【0042】
ケーブル貯蔵領域410は、例えば、ケーブル100を巻回して貯蔵するケーブルコイルとして構成されている。ケーブル貯蔵領域410は、例えば、布設船40上の略中央に配置されている。
【0043】
やぐら420は、ケーブル貯蔵領域410の鉛直上方に設けられ、ケーブル貯蔵領域410から供給されるケーブル100をケーブル貯蔵領域410の鉛直上側に持ち上げて支持するよう構成されている。
【0044】
ケーブルガイド430は、やぐら420から布設船40の船尾側に向けてケーブル100を案内するよう構成され、やぐら420の頂部から布設船40の船尾側に向けて鉛直斜め下方向に延在している。
【0045】
下管連結機構31、ケーブル載置機構32および上管連結機構33は、ケーブルガイド430よりも布設船40の船尾側に設けられ、ケーブルガイド430から供給されるケーブル100に対して防護管200を取り付けるよう構成されている。これらの機構については、後述する。
【0046】
防護管貯蔵領域440は、例えば、下管連結機構31、ケーブル載置機構32および上管連結機構33の鉛直下側に配置され、防護管200を構成する下管210uおよび上管210tを貯蔵するよう構成されている。
【0047】
シュータ450は、例えば、布設船40の船尾に設けられ、防護管付きケーブル10を水上から水底に向けて繰り出して布設するよう構成されている。なお、布設船40または製造システム30には、シュータ450よりも上流側にウインチ(不図示)やブレーキ(不図示)が設けられていてもよい。布設船40のシュータ450、ウインチまたはブレーキにより、防護管付きケーブル10の繰り出し速度が調整され、これと同時に、製造システム30におけるケーブル100または防護管付きケーブル10の搬送速度が調整されることとなる。
【0048】
(3)下管連結機構、ケーブル載置機構および上管連結機構
図4および
図5に示すように、本実施形態の製造システム30では、例えば、下管連結機構31、ケーブル載置機構32および上管連結機構33が、上流側から下流側に向けて、且つ、鉛直下側から鉛直上側に向けてこの順で配置されている。
【0049】
(下管連結機構)
下管連結機構31は、複数の下管210uをそれぞれの内側が鉛直上側に向くように配置し、複数の下管210uのうちの長手方向に隣接する一対の下管210uの嵌合部230同士を嵌合させ、複数の下管210uを長手方向に沿って搬送するよう構成されている。具体的には、下管連結機構31は、例えば、下管供給路320と、下管搬送路310と、主搬送路360の一部と、を有している。なお、このうち、主搬送路360は、下管連結機構31の一部を構成しているだけでなく、ケーブル載置機構32の一部および上管連結機構33の一部も兼ねて構成している。
【0050】
下管供給路320は、例えば、防護管貯蔵領域440からホイスト(不図示)を用いて供給される複数の下管210uを下管搬送路310に向けて搬送するよう構成されている。具体的には、下管供給路320は、例えば、ベルトコンベアとして構成され、電力によって複数の下管210uを水平方向に搬送できるようになっている。また、下管供給路320は、鉛直上側から見て下管搬送路310に対して交差する方向に配置され、ここでは、例えば、下管搬送路310の長手方向に対して垂直な方向(+X方向)に沿って配置されている。また、下管供給路320は、下管搬送路310のうち下管供給路320に最も近い位置よりも鉛直上側に設けられ、当該下管供給路320の下流端から下管搬送路310に向けて複数の下管210uを順次落とし込むようになっている。
【0051】
下管搬送路310は、下管供給路320から供給される複数の下管210uを主搬送路360に向けて搬送するよう構成されている。本実施形態では、下管搬送路310は、電力を用いずに、複数の下管210uをそれらの自重によって搬送可能に構成されている。具体的には、下管搬送路310は、例えば、上流側から下流側に向けて鉛直斜め下方向に延在して設けられている。下管搬送路310は、例えば、複数の下管用搬送ローラ311を有している。複数の下管用搬送ローラ311は、それぞれの中心軸が鉛直上側から見て下管搬送路310の長手方向に垂直な方向に向くように配置され、下管搬送路310の長手方向に沿って所定の間隔で配置されている。これにより、下管搬送路310において、複数の下管210uをそれらの自重によって搬送することができる。
【0052】
ここで、
図6(a)〜(c)に示すように、下管搬送路310が有する複数の下管用搬送ローラ311は、例えば、複数の下管用水平ローラ312と、複数の下管用傾斜ローラ313と、を有している。複数の下管用水平ローラ312は、例えば、それぞれの中心軸が水平方向に向くように配置され、下管搬送路310の長手方向に沿って所定の間隔で配置されている。複数の下管用水平ローラ312により、複数の下管210uをそれぞれの内側が鉛直上側に向くように載置しながら搬送することができる。複数の下管用傾斜ローラ313のうちの一対の下管用傾斜ローラ313は、隣り合う2つの下管用水平ローラ312の間に配置されている。また、一対の下管用傾斜ローラ313は、下管搬送路310の搬送方向から見て、それらの鉛直上側がV字上に開いた状態で配置されている。また、一対の下管用傾斜ローラ313は、下管搬送路310の中央を挟んで対称に配置されており、一対の下管用傾斜ローラ313のそれぞれの水平方向に対する傾斜角度は、互いに等しくなっている。一対の下管用傾斜ローラ313により、複数の下管210uを当該一対の下管用傾斜ローラ313の配置中心に安定的に案内することができる。なお、複数の下管用傾斜ローラ313は、必ずしも下管搬送路310の全体に亘って設けられている必要はなく、下管搬送路310の下流端側の少なくとも一部に設けられていればよい。
【0053】
下管連結機構31の一部を構成する主搬送路360の一部は、下管搬送路310から搬送される複数の下管210uを下流側に向けて搬送するように構成されている。具体的には、主搬送路360は、下管搬送路310の下流端から下流側に向けて鉛直下側に所定距離だけ離れた位置に設けられている。言い換えれば、主搬送路360のうち下管搬送路310の下流端に最も近い部分は、下管搬送路310の下流端よりも鉛直下側に配置されている。また、主搬送路360は、下管搬送路310に沿って設けられており、鉛直上側から見て下管搬送路310と同一の直線上に配置されている。これにより、下管搬送路310の下流端から主搬送路360に向けて複数の下管210uを順次落とし込むことができる。本実施形態では、この際に、複数の下管210uの搬送高さが下管搬送路310の下流端から主搬送路360に向けて高い位置から低い位置に不連続に変化する段差を利用して、長手方向に隣接して搬送される一対の下管210uの嵌合部230同士を自己整合的に嵌合させることができる。
【0054】
本実施形態では、主搬送路360の鉛直上側に、ストッパ314が設けられている。ストッパ314は、主搬送路360上で一時的に重なる一対の下管210uのうち、下側の下管210u(後述の下流側下管211u)の移動を許容しつつ、上側の下管210u(後述の上流側下管212u)の移動を規制するよう構成されている。具体的には、ストッパ314は、主搬送路360の鉛直上側に1つ分の下管210uが搬送可能な間隔をあけて配置されている。これにより、上記した下流側下管211uの移動を許容することができる。一方で、鉛直上側から見て、下管搬送路310の下流端とストッパ314との距離は、例えば、下管210uの長手方向の長さよりも短くなっている。これにより、上記した上流側下管212uの移動を規制することができる。なお、ストッパ314は、例えば、ローラとして構成され、その中心軸が水平方向に向き、且つ、鉛直上側から見て主搬送路360の長手方向に垂直な方向に向けて配置されている。これにより、下流側下管211uが上流側下管212uに対して相対的に移動した際に上流側下管212uを落下させ易くすることができ、下流側下管211uの嵌合部230と上流側下管212uの嵌合部230とを容易に嵌合させることができる。
【0055】
本実施形態では、下管連結機構31の一部を構成する主搬送路360の一部は、例えば、複数の下管210uを、シュータ450による防護管付きケーブル10の繰り出し力によって下流側に引っ張ることで搬送するよう構成されている。具体的には、下管連結機構31の一部を構成する主搬送路360の一部は、例えば、上流側から下流側に向けて鉛直斜め上方向に傾斜して設けられている。また、主搬送路360は、例えば、複数の主搬送ローラ361を有している。複数の主搬送ローラ361は、それぞれの中心軸が水平方向に向き、且つ、鉛直上側から見て下管搬送路310の長手方向に垂直な方向に向くように配置され、下管搬送路310の長手方向に沿って所定の間隔で配置されている。このように主搬送路360が構成されていると、主搬送路360上の複数の下管210uにはそれら自身の重力によって主搬送路360の上流側に向けて落下する力が加わるが、複数の下管210uを、長手方向に沿って数珠繋ぎに連結された状態で、シュータ450による防護管付きケーブル10の繰り出し力によって下流側に引っ張ることで、複数の下管210uを、互いに引っ張る張力を負担させながら、主搬送路360に沿って搬送することができる。
【0056】
なお、下管連結機構31の一部を構成する主搬送路360の一部では、複数の主搬送ローラ361は、下管搬送路310と同様に、例えば、複数の主水平ローラ(符号不図示)と、複数の主傾斜ローラ(符号不図示)と、を有していてもよい。この場合、複数の主傾斜ローラのうちの一対の主傾斜ローラは、隣り合う2つの主水平ローラの間に配置されている。また、一対の主傾斜ローラは、下管搬送路310の搬送方向から見て、それらの鉛直上側がV字上に開いた状態で配置されている。一対の主傾斜ローラにより、複数の下管210uを当該一対の主傾斜ローラの配置中心に安定的に案内することができ、主搬送路360で搬送される下管210uと、下管搬送路310の下流端から落とし込まれる下管210uとを安定的に嵌合させることができる。なお、複数の主傾斜ローラは、必ずしも主搬送路360の全体に亘って設けられている必要はなく、主搬送路360のうち下管搬送路310の下流端に近い側の少なくとも一部に設けられていればよい。
【0057】
以上のような構成を有する下管連結機構31を用いた下管連結工程については、後述する。
【0058】
(ケーブル載置機構)
ケーブル載置機構32は、複数の下管210uの内側上にケーブル100を載置し、ケーブル100を複数の下管210uとともに長手方向に沿って搬送するよう構成されている。具体的には、ケーブル載置機構32は、例えば、ケーブル搬送路330と、主搬送路360の一部と、を有している。
【0059】
ケーブル搬送路330は、シュータ450による防護管付きケーブル10の繰り出し力によって引っ張られることでケーブル貯蔵領域410からやぐら420およびケーブルガイド430を介して供給されるケーブル100を、主搬送路360に向けて搬送するよう構成されている。ケーブル搬送路330は、例えば、下管連結機構31の下管搬送路310の鉛直上側に配置され、鉛直上側から見て下管搬送路310と同一の直線上に配置されている。これにより、ケーブル搬送路330に沿って搬送されるケーブル100を、鉛直上側から見て、下管連結機構31で搬送される複数の下管210uと同一の方向に搬送することができる。
【0060】
また、ケーブル搬送路330は、例えば、ケーブル100の搬送方向(+Y方向)に沿って、上流側から下流側に向けて鉛直斜め下方向に延在して設けられている。ケーブル搬送路330は、例えば、複数のケーブル用搬送ローラ331を有している。複数のケーブル用搬送ローラ331は、それぞれの中心軸が水平方向に向き、且つ、鉛直上側から見てケーブル搬送路330の長手方向に垂直な方向に向くように配置され、ケーブル搬送路330の長手方向に沿って所定の間隔で配置されている。これにより、ケーブル搬送路330は、ケーブル100を鉛直下側から支持しつつ主搬送路360に向けて案内できるようになっている。
【0061】
ケーブル載置機構32の一部を構成する主搬送路360の一部は、ケーブル搬送路330から搬送されるケーブル100を複数の下管210uの内側上に載置しながら下流側に向けて搬送するように構成されている。具体的には、主搬送路360は、ケーブル搬送路330の下流端から下流側に向けて鉛直下側に所定距離だけ離れた位置に設けられている。言い換えれば、主搬送路360のうち下管搬送路310の下流端に最も近い部分は、ケーブル搬送路330の下流端よりも鉛直下側に配置されている。例えば、ケーブル搬送路330の下流端と、主搬送路360のうち下管搬送路310の下流端に最も近い部分との間には、少なくとも下管210uが搬送可能な間隔があけられている。また、主搬送路360は、ケーブル搬送路330に沿って設けられており、鉛直上側から見てケーブル搬送路330と同一の直線上に配置されている。これにより、ケーブル搬送路330の下流端から主搬送路360に向けてケーブル100を落とし込み、主搬送路360に沿って搬送される複数の下管210uの内側上にケーブル100を載置しながら下流側に向けて搬送することができる。
【0062】
本実施形態では、ケーブル載置機構32の一部を構成する主搬送路360の一部は、例えば、複数の下管210uの内側上に載置されたケーブル100を、シュータ450による防護管付きケーブル10の繰り出し力によって下流側に引っ張ることで搬送するよう構成されている。具体的には、ケーブル載置機構32の一部を構成する主搬送路360の一部は、下管連結機構31の一部と同様に、例えば、上流側から下流側に向けて鉛直斜め上方向に傾斜して設けられている。また、ケーブル載置機構32の一部を構成する主搬送路360の一部にも、下管連結機構31の一部と同様に、複数の主搬送ローラ361が設けられている。このように主搬送路360が構成されていると、主搬送路360上の複数の下管210uおよびケーブル100にはそれら自身の重力によって主搬送路360の上流側に向けて落下する力が加わるが、複数の下管210uの内側上に載置されたケーブル100を、シュータ450による防護管付きケーブル10の繰り出し力によって下流側に引っ張ることで、主搬送路360に沿って搬送することができる。
【0063】
以上のような構成を有するケーブル載置機構32を用いたケーブル載置工程については、後述する。
【0064】
(上管連結機構)
上管連結機構33は、複数の上管210tのうちの長手方向に隣接する一対の上管210tの嵌合部230同士を嵌合させ、複数の上管210tを複数の下管210uとともにケーブル100を囲むように配置することで、防護管付きケーブル10を作製し、防護管付きケーブル10を長手方向に沿って搬送するよう構成されている。具体的には、上管連結機構33は、例えば、上管供給路350と、上管搬送路340と、主搬送路360の一部と、を有している。
【0065】
上管供給路350は、例えば、防護管貯蔵領域440からホイスト(不図示)を用いて供給される複数の上管210tを上管搬送路340に向けて搬送するよう構成されている。具体的には、上管供給路350は、例えば、ベルトコンベアとして構成され、電力によって複数の上管210tを水平方向に搬送できるようになっている。また、上管供給路350は、鉛直上側から見て上管搬送路340に対して交差する方向に配置され、ここでは、例えば、上管搬送路340の長手方向に対して垂直な方向(+X方向)に沿って配置されている。また、上管供給路350は、上管搬送路340のうち上管供給路350に最も近い位置よりも鉛直上側に設けられ、当該上管供給路350の下流端から上管搬送路340に向けて複数の上管210tを順次落とし込むようになっている。
【0066】
上管搬送路340は、上管供給路350から供給される複数の上管210tを主搬送路360に向けて搬送するよう構成されている。本実施形態では、上管搬送路340は、電力を用いずに、複数の上管210tをそれらの自重によって搬送可能に構成されている。具体的には、上管搬送路340は、例えば、上流側から下流側に向けて鉛直斜め下方向に延在して設けられている。上管搬送路340は、例えば、複数の上管用搬送ローラ341を有している。複数の上管用搬送ローラ341は、それぞれの中心軸が鉛直上側から見て上管搬送路340の長手方向に垂直な方向に向くように配置され、上管搬送路340の長手方向に沿って所定の間隔で配置されている。これにより、上管搬送路340は、複数の上管210tをそれらの自重によって搬送できるようになっている。
【0067】
ここで、
図7(a)〜(c)に示すように、上管搬送路340が有する複数の上管用搬送ローラ341は、例えば、複数の上管用水平ローラ342と、複数の上管用傾斜ローラ343と、を有している。複数の上管用水平ローラ342は、例えば、それぞれの中心軸が水平方向に向くように配置され、上管搬送路340の長手方向に沿って所定の間隔で配置されている。複数の上管用水平ローラ342により、複数の上管210tをそれぞれの内側が鉛直下側に向くように載置しながら搬送することができる。複数の上管用傾斜ローラ343のうちの一対の上管用傾斜ローラ343は、隣り合う2つの上管用水平ローラ342の間に配置されている。また、一対の上管用傾斜ローラ343は、上管搬送路340の搬送方向から見て、それらの鉛直上側がV字上に開いた状態で配置されている。また、一対の上管用傾斜ローラ343は、上管搬送路340の中央を挟んで対称に配置されており、一対の上管用傾斜ローラ343のそれぞれの水平方向に対する傾斜角度は、互いに等しくなっている。一対の上管用傾斜ローラ343により、複数の上管210tを当該一対の上管用傾斜ローラ343の間に安定的に案内することができる。また、一対の上管用傾斜ローラ343の間隔は、上管搬送路340の上流側から下流側に向けて徐々に狭くなっている。なお、上管搬送路340の最も下流側では、上管搬送路340の搬送方向から見て、複数の上管用水平ローラ342の搬送高さでの、一対の上管用傾斜ローラ343の間隔が、上管210tの短手方向の幅(上管210tの一方の接合鍔部242の端部から他方の接合鍔部242の端部までの幅)と等しくなっている。これにより、複数の上管210tを当該一対の上管用傾斜ローラ343の配置中心に徐々に案内することができる。なお、複数の上管用傾斜ローラ343は、必ずしも上管搬送路340の全体に亘って設けられている必要はなく、上管搬送路340の下流端側の少なくとも一部に設けられていればよい。
【0068】
上管連結機構33の一部を構成する主搬送路360の一部は、上管搬送路340から搬送される複数の上管210tを、複数の下管210uとともにケーブル100を囲むように配置しつつ、下流側に向けて搬送するよう構成されている。具体的には、主搬送路360は、上管搬送路340の下流端から下流側に向けて鉛直下側に所定距離だけ離れた位置に設けられている。言い換えれば、主搬送路360のうち上管搬送路340の下流端に最も近い部分は、上管搬送路340の下流端よりも鉛直下側に配置されている。例えば、上管搬送路340の下流端と、主搬送路360のうち上管搬送路340の下流端に最も近い部分との間には、複数の下管210uの内側上に載置されたケーブル100が搬送可能な間隔があけられている。また、主搬送路360は、上管搬送路340に沿って設けられており、鉛直上側から見て上管搬送路340と同一の直線上に配置されている。これにより、上管搬送路340の下流端から主搬送路360に向けて複数の上管210tを順次落とし込み、落とし込んだ上管210tを下管210uとともにケーブル100を囲むように配置することができる。本実施形態では、この際に、複数の上管210tの搬送高さが上管搬送路340の下流端から主搬送路360に向けて高い位置から低い位置に不連続に変化する段差を利用して、長手方向に隣接して搬送される一対の上管210t同士を自己整合的に嵌合させることができる。
【0069】
本実施形態では、上管搬送路340の下流端と主搬送路360との間に、支点ローラ344が設けられている。支点ローラ344は、上管搬送路340の下流端から主搬送路360に向けて複数の上管210tを順次落とし込む際に、てこの原理の支点となって、複数の上管210tのうちの主搬送路360に先に落とし込む上管210t(後述の下流側上管211t)を起き上がらせるよう構成されている。これにより、長手方向に隣接して搬送される一対の上管210tを安定的に嵌合させることができる。この点については、後述する。
【0070】
本実施形態では、上管連結機構33の一部を構成する主搬送路360の一部は、例えば、複数の上管210tを複数の下管210uとともにケーブル100を囲むように配置した防護管付きケーブル10を、シュータ450の繰り出し力によって下流側に引っ張ることで搬送するよう構成されている。具体的には、上管連結機構33の一部を構成する主搬送路360の一部は、例えば、上流側から下流側に向けて鉛直斜め上方向に傾斜し、下流側に向けて徐々に水平方向に沿うように設けられている。また、上管連結機構33の一部を構成する主搬送路360の一部にも、下管連結機構31の一部およびケーブル載置機構32の一部と同様に、複数の主搬送ローラ361が設けられている。このように主搬送路360が構成されていると、主搬送路360上の防護管付きケーブル10にはそれら自身の重力によって主搬送路360の上流側に向けて落下する力が加わるが、防護管付きケーブル10を、シュータ450の繰り出し力によって下流側に引っ張ることで、主搬送路360に沿って搬送することができる。
【0071】
以上のような構成を有する上管連結機構33を用いた上管連結工程については、後述する。
【0072】
(4)防護管付きケーブルの製造方法
次に、
図3〜
図9を用い、本実施形態の防護管付きケーブルの製造方法について説明する。なお、防護管付きケーブルの製造方法は、防護管付きケーブルの布設方法と考えることもできる。
【0073】
(ステップ1:準備工程)
まず、布設船40上の略中央に配置されたケーブル貯蔵領域410に、ケーブル100を巻回して準備する。
【0074】
また、布設船40上の、下管連結機構31、ケーブル載置機構32および上管連結機構33の鉛直下側に配置された防護管貯蔵領域440に、防護管200を構成する下管210uおよび上管210tを準備する。
【0075】
(ステップ2:下管連結工程)
次に、ステップ2の下管連結工程において、下管連結機構31を用い、複数の下管210uをそれぞれの内側が鉛直上側に向くように配置し、複数の下管210uのうちの長手方向に隣接する一対の下管210uの嵌合部230同士を嵌合させ、複数の下管210uを長手方向に沿って搬送する。この際に、複数の下管210uの搬送高さが下管搬送路310の下流端から主搬送路360に向けて高い位置から低い位置に不連続に変化する段差を利用して、長手方向に隣接して搬送される一対の下管210uの嵌合部230同士を自己整合的に嵌合させる。
【0076】
具体的には、
図4および
図5に示すように、まず、防護管貯蔵領域440からホイストを用いて下管供給路320に向けて、複数の下管210uを供給する。このとき、例えば、下管供給路320上に、複数の下管210uを、それぞれの内側が鉛直下側に向くとともに、それぞれの中心軸が下管供給路320に垂直な方向に沿うように(すなわち下管搬送路310の長手方向に沿うように)載置する。なお、このとき、下管210uの第2嵌合部234が上流側となるように配置する。上記のように複数の下管210uを下管供給路320上に載置する一方で、ベルトコンベアとして構成される下管供給路320を駆動させることにより、下管供給路320上に載置された複数の下管210uを、下管供給路320に沿って下管210uの短手方向に所定の間隔で搬送する。このように、下管供給路320上に、複数の下管210uをそれぞれの内側が鉛直下側に向くように載置して搬送することで、それぞれの下管210uを短手方向に搬送するときの振動に起因して、それぞれの下管210uが周方向に転がってしまうことを抑制することができる。
【0077】
複数の下管210uのそれぞれが下管供給路320の下流端に到達したら、複数の下管210uを、所定の時間を空けて順次、下管供給路320の下流端から下管搬送路310上に落とし込む。このとき、下管供給路320と下管搬送路310との間の不連続な段差を利用して、複数の下管210uを、順次、それぞれの鉛直上下を反転させながら下管搬送路310上に落とし込む。これにより、下管搬送路310上に、複数の下管210uをそれぞれの内側が鉛直上側に向くように載置する。このとき、複数の下管210uのそれぞれを一対の支持鍔部246によって支持させることで自立させる。また、このとき、複数の下管210uを、それぞれの長手方向の向きを変えずに下管搬送路310上に落とし込むことで、下管搬送路310上に、複数の下管210uをそれぞれの中心軸が下管搬送路310の長手方向に沿うように載置する。
【0078】
上述のように、下管搬送路310は上流側から下流側に向けて鉛直斜め下方向に延在して設けられているため、複数の下管210uを下管搬送路310上に順次落とし込んだら、複数の下管210uをそれらの自重によって下管搬送路310に沿って搬送する。このとき、複数の下管210uのうち、長手方向に隣接する一対の下管210u同士を、それぞれの長手方向の端部(嵌合部230の端部)を当接させながら、下管搬送路310に沿って搬送する。
【0079】
なお、複数の下管210uを下管搬送路310に沿って搬送するとき、複数の下管210uのそれぞれを一対の支持鍔部246によって自立させながら長手方向に沿って搬送する。
【0080】
また、このとき、複数の下管210uを下管搬送路310における一対の下管用傾斜ローラ313によって搬送することで、複数の下管210uを当該一対の下管用傾斜ローラ313の配置中心に安定的に案内することができる。
【0081】
次に、
図8(a)に示すように、複数の下管210uのそれぞれが下管搬送路310の下流端に到達したら、複数の下管210uを、順次、下管搬送路310の下流端から主搬送路360上に落とし込む。このとき、複数の下管210uのうち、主搬送路360上に先に落とし込む下管210uを「下流側下管211u」とし、下流側下管211uの次に主搬送路360上に落とし込む下管210uを「上流側下管212u」とする。
【0082】
下流側下管211uが主搬送路360上に落とし込まれたら、
図8(b)に示すように、下管搬送路310に沿って搬送される複数の下管210uの自重によって、上流側下管212uを下管搬送路310の下流端から突き出させ、当該上流側下管212uの第1嵌合部232を、下流側下管211uに対して当接させる。
【0083】
図8(c)に示すように、下管搬送路310に沿って搬送される複数の下管210uの自重によって、さらに上流側下管212uを押し出すことで、当該上流側下管212uの第1嵌合部232を、ストッパ314に当接させる。これにより、上流側下管212uの移動を規制することができる。
【0084】
一方で、主搬送路360上では、複数の下管210uを、シュータ450による防護管付きケーブル10の繰り出し力によって下流側に引っ張ることで搬送する。これにより、下流側下管211uを上流側下管212uに対して相対的に主搬送路360の下流側に搬送する。
【0085】
図8(d)に示すように、上流側下管212uの移動を規制した状態で、下流側下管211uを上流側下管212uに対して相対的に搬送することで、上流側下管212uの第1嵌合部232が下流側下管211uに当接する位置を下流側下管211uの下流側に相対的にずらす。鉛直上側から見て、上流側下管212uの第1嵌合部232が下流側下管211uの第2嵌合部234と重なったとき、上流側下管212uの第1嵌合部232を、上流側下管212uの自重によって下流側下管211uの第2嵌合部234内に落とし込む。これにより、下流側下管211uの第2嵌合部234と上流側下管212uの第1嵌合部232とを嵌合させる。
【0086】
このようにして、下管搬送路310と主搬送路360との間の不連続な段差を利用して、下流側下管211uの第2嵌合部234と上流側下管212uの第1嵌合部232とを自己整合的に嵌合させることができる。上記した下流側下管211uおよび上流側下管212u以降もこれらと同様にして、複数の下管210uのうちの長手方向に隣接する一対の下管210uの嵌合部230同士を、順次、嵌合させる。
【0087】
主搬送路360上で複数の下管210uが互いに嵌合されたら、複数の下管210uを、長手方向に沿って数珠繋ぎに連結された状態で、シュータ450による防護管付きケーブル10の繰り出し力によって下流側に引っ張ることで、複数の下管210uを、互いに引っ張る張力を負担させながら、主搬送路360に沿って搬送する。
【0088】
なお、複数の下管210uが主搬送路360に沿って搬送される際にも、複数の下管210uのそれぞれを一対の支持鍔部246によって自立させながら長手方向に沿って搬送する。
【0089】
(ステップ3:ケーブル載置工程)
次に、ステップ3のケーブル載置工程において、ケーブル載置機構32を用い、複数の下管210uの内側上にケーブル100を載置し、ケーブル100を複数の下管210uとともに長手方向に沿って搬送する。
【0090】
具体的には、
図4および
図5に示すように、シュータ450による防護管付きケーブル10の繰り出し力によってケーブル100を引っ張ることで、ケーブル貯蔵領域410からやぐら420およびケーブルガイド430を介してケーブル載置機構32のケーブル搬送路330に向けて、ケーブル100を供給する。
【0091】
ケーブル搬送路330上にケーブル100が供給されたら、ケーブル100をケーブル搬送路330に沿って主搬送路360に向けて案内する。
【0092】
ケーブル100がケーブル搬送路330の下流端に到達したら、ケーブル搬送路330の下流端から主搬送路360に向けてケーブル100を落とし込む。ケーブル100が主搬送路360上に落とし込まれたら、主搬送路360に沿って搬送される複数の下管210uの内側上にケーブル100を載置しながら下流側に向けて搬送する。
【0093】
このとき、シュータ450による防護管付きケーブル10の繰り出し力によってケーブル100を引っ張ることで、ケーブル100と複数の下管210uとの摩擦力によって、ケーブル100を複数の下管210uとともに主搬送路360に沿って搬送する。
【0094】
なお、ケーブル100が複数の下管210uとともに主搬送路360に沿って搬送される際にも、ケーブル100が載置された複数の下管210uのそれぞれを、一対の支持鍔部246によって自立させながら長手方向に沿って搬送する。
【0095】
(ステップ4:上管連結工程)
次に、ステップ4の上管連結工程において、上管連結機構33を用い、複数の上管210tのうちの長手方向に隣接する一対の上管210tの嵌合部230同士を嵌合させ、複数の上管210tを複数の下管210uとともにケーブル100を囲むように配置することで、防護管付きケーブル10を作製し、防護管付きケーブル10を長手方向に沿って搬送する。この際に、複数の上管210tの搬送高さが上管搬送路340の下流端から主搬送路360に向けて高い位置から低い位置に不連続に変化する段差を利用して、長手方向に隣接して搬送される一対の上管210t同士を自己整合的に嵌合させる。
【0096】
具体的には、
図4および
図5に示すように、まず、防護管貯蔵領域440からホイストを用いて上管供給路350に向けて、複数の上管210tを供給する。このとき、例えば、上管供給路350上に、複数の上管210tを、それぞれの内側が鉛直下側に向くとともに、それぞれの中心軸が上管供給路350に垂直な方向に沿うように(すなわち上管搬送路340の長手方向に沿うように)載置する。なお、このとき、上管210tの第2嵌合部234が上流側となるように配置する。上記のように複数の上管210tを上管供給路350上に載置する一方で、ベルトコンベアとして構成される上管供給路350を駆動させることにより、上管供給路350上に載置された複数の上管210tを、上管供給路350に沿って上管210tの短手方向に所定の間隔で搬送する。このように、上管供給路350上に、複数の上管210tをそれぞれの内側が鉛直下側に向くように載置して搬送することで、それぞれの上管210tを短手方向に搬送するときの振動に起因して、それぞれの上管210tが周方向に転がってしまうことを抑制することができる。
【0097】
複数の上管210tのそれぞれが上管供給路350の下流端に到達したら、複数の上管210tを、所定の時間を空けて順次、上管供給路350の下流端から上管搬送路340上に落とし込む。このとき、下管210uとは異なり、複数の上管210tを、順次、それぞれの鉛直上下を反転させずに上管搬送路340上に落とし込む。これにより、上管搬送路340上に、複数の上管210tをそれぞれの内側が鉛直上側に向くように載置する。また、このとき、複数の上管210tを、それぞれの長手方向の向きを変えずに上管搬送路340上に落とし込むことで、上管搬送路340上に、複数の上管210tをそれぞれの中心軸が上管搬送路340の長手方向に沿うように載置する。
【0098】
上述のように、上管搬送路340は上流側から下流側に向けて鉛直斜め下方向に延在して設けられているため、複数の上管210tを上管搬送路340上に順次落とし込んだら、複数の上管210tをそれらの自重によって上管搬送路340に沿って搬送する。このとき、複数の上管210tのうち、長手方向に隣接する一対の上管210t同士を、それぞれの長手方向の端部(嵌合部230の端部)を当接させながら、上管搬送路340に沿って搬送する。
【0099】
このとき、複数の上管210tを上管搬送路340における一対の上管用傾斜ローラ343によって搬送することで、複数の上管210tを当該一対の上管用傾斜ローラ343の配置中心に安定的に案内することができる。
【0100】
複数の上管210tのそれぞれが上管搬送路340の下流端に達したら、複数の上管210tを、順次、上管搬送路340の下流端から主搬送路360上に落とし込む。このとき、複数の上管210tのうち、主搬送路360上に先に落とし込む上管210tを「下流側上管211t」とし、下流側上管211tの次に主搬送路360上に落とし込む上管210tを「上流側上管212t」とする。
【0101】
図9(a)に示すように、上管搬送路340の下流端から主搬送路360に向けて下流側上管211tを落とし込む際に、下流側上管211tよりも下流側の上管210tの第2嵌合部234によって下流側上管211tの第1嵌合部232を抑えながら、支点ローラ344をてこの原理の支点として、下流側上管211tの第2嵌合部234側を起き上がらせる。これにより、該下流側上管211tを、上流側上管212tよりも急な角度で鉛直斜め下方向に傾斜させる。
【0102】
下流側上管211tを急な角度で傾斜させたら、
図9(b)に示すように、上管搬送路340に沿って搬送される複数の上管210tの自重によって、上流側上管212tを上管搬送路340の下流端に向けて移動させ、当該上流側上管212tの第1嵌合部232を、傾斜した下流側上管211tの内側に対して当接させる。
【0103】
一方で、主搬送路360上では、上流側上管212tの第1嵌合部232を下流側上管211tの内側に対して当接させた状態で、下流側上管211tを上流側上管212tに対して相対的に主搬送路360の下流側に搬送する。
【0104】
図9(c)に示すように、下流側上管211tを上流側上管212tに対して相対的に主搬送路360の下流側に搬送することで、上流側上管212tの第1嵌合部232が下流側上管211tに当接する位置を下流側上管211tの下流側に相対的にずらす。鉛直上側から見て、下流側上管211tの第2嵌合部234が上流側上管212tの第1嵌合部232と重なったとき、下流側上管211tの第2嵌合部234を、下流側上管211tの自重によって、上流側上管212tの第1嵌合部232に被せるように落とし込む。これにより、下流側上管211tの第2嵌合部234と上流側上管212tの第1嵌合部232とを嵌合させる。
【0105】
このようにして、上管搬送路340と主搬送路360との間の不連続な段差を利用して、下流側上管211tの第2嵌合部234と上流側上管212tの第1嵌合部232とを自己整合的に嵌合させることができる。上記した下流側上管211tおよび上流側上管212t以降もこれらと同様にして、複数の上管210tのうちの長手方向に隣接する一対の上管210tの嵌合部230同士を、順次、嵌合させる。
【0106】
主搬送路360上で複数の上管210tが互いに嵌合されたら、複数の上管210tを、長手方向に沿って数珠繋ぎに連結された状態で、シュータ450による防護管付きケーブル10の繰り出し力によって下流側に引っ張ることで、複数の上管210tを、互いに引っ張る張力を負担させながら、主搬送路360に沿って搬送する。これにより、複数の上管210tを、順次、複数の下管210uとともにケーブル100を囲むように配置することができる。
【0107】
主搬送路360上で複数の上管210tを複数の下管210uとともにケーブル100を囲むように配置したら、それぞれの下管210uの接合鍔部242とそれぞれの上管210tの接合鍔部242とを対向して当接させ、例えば作業員によって、接合鍔部242のボルト孔243にボルトを挿入しナットで固定することで、それぞれの下管210uとそれぞれの上管210tとを互いに接合させる。
【0108】
以上のステップ2〜ステップ4により、防護管付きケーブル10が作製される。ステップ2〜ステップ4を連続的に行うことで、防護管付きケーブル10を連続的に作製することができる。
【0109】
防護管付きケーブル10が作製されたら、シュータ450の繰り出し力によって下流側に引っ張ることで、防護管付きケーブル10を長手方向に沿って搬送する。
【0110】
なお、防護管付きケーブル10が長手方向に沿って搬送される際にも、防護管付きケーブル10のうちの複数の下管210uのそれぞれを、一対の支持鍔部246によって自立させながら長手方向に沿って搬送する。
【0111】
(ステップ5:布設工程)
次に、ステップ5の布設工程において、シュータ450を用い、防護管付きケーブル10を布設船40の船尾から水底に向けて繰り出して布設する。このとき、複数の防護管200に対してそれらを互いに引っ張る張力(それら自身の荷重を支持する張力)を負担させながら、防護管付きケーブル10を水底に向けて布設する。また、このとき、防護管付きケーブル10を水底に直接着底させる。
【0112】
所定距離に亘って防護管付きケーブル10を布設したら、一連の防護管付きケーブル10の製造工程(防護管付きケーブル10の布設工程)を終了させる。
【0113】
(5)本実施形態に係る効果
本実施形態によれば、以下に示す1つ又は複数の効果を奏する。
【0114】
(a)ステップ2の下管連結工程では、複数の下管210uを長手方向に沿って搬送しながら、複数の下管210uの搬送高さが高い位置から低い位置に不連続に変化する段差を利用して、長手方向に隣接する一対の下管210uの嵌合部230同士を自己整合的に嵌合させる。これにより、長手方向に隣接する一対の下管210uの嵌合部230同士を嵌合させる際に、作業員がホイストやリフタ等の電動機を操作する作業を不要とすることができる。その結果、複数の防護管200を効率よく数珠繋ぎに連結することができる。
【0115】
このように複数の防護管200を効率よく数珠繋ぎに連結することで、防護管付きケーブル10の製造工程に係る時間を短縮することができる。これにより、防護管付きケーブル10を布設船40から水底に向かって早く繰り出すことができる。その結果、防護管付きケーブル10を所定距離に亘って布設する全体としての時間を短縮することが可能となる。
【0116】
(b)ステップ2の下管連結工程では、下管搬送路310と主搬送路360との間の不連続な段差を利用して、上流側下管212uの第1嵌合部232を、上流側下管212uの自重によって下流側下管211uの第2嵌合部234内に落とし込む。これにより、下流側下管211uの第2嵌合部234と上流側下管212uの第1嵌合部232とを自己整合的に嵌合させることができる。このように、下管210u自身の重力を嵌合力として用いることで、長手方向に隣接する一対の下管210uの嵌合部230同士を嵌合させる際に電力を不要とすることができる。また、作業員が介在した下管210uの嵌合位置調整を不要とすることができる。これにより、防護管付きケーブル10の製造コストを低減することができる。その結果、防護管付きケーブル10の布設コストを低減することができる。
【0117】
(c)ステップ2の下管連結工程では、下管搬送路310に設けられた一対の下管用傾斜ローラ313によって、複数の下管210uを搬送する。これにより、複数の下管210uを当該一対の下管用傾斜ローラ313の配置中心に安定的に案内することができ、下管搬送路310における下管210uの搬送位置精度を向上させることができる。その結果、下管搬送路310と主搬送路360との間の不連続な段差において、下流側下管211uの第2嵌合部234と上流側下管212uの第1嵌合部232とを嵌合させる精度を向上させることができる。
【0118】
(d)ステップ4の上管連結工程では、複数の上管210tを長手方向に沿って搬送しながら、複数の上管210tの搬送高さが高い位置から低い位置に不連続に変化する段差を利用して、長手方向に隣接する一対の上管210tの嵌合部230同士を自己整合的に嵌合させる。これにより、長手方向に隣接する一対の上管210tの嵌合部230同士を嵌合させる際に、作業員がホイストやリフタ等の電動機を操作する作業を不要とすることができる。その結果、上記したステップ2の下管連結工程と同様にして、複数の防護管200を効率よく数珠繋ぎに連結することができる。
【0119】
(e)ステップ4の上管連結工程では、上管搬送路340と主搬送路360との間の不連続な段差を利用して、下流側上管211tを、てこの原理によって、上流側上管212tよりも急な角度で鉛直斜め下方向に傾斜させ、下流側上管211tの第2嵌合部234を、下流側上管211tの自重によって、上流側上管212tの第1嵌合部232に被せるように落とし込む。これにより、下流側上管211tの第2嵌合部234と上流側上管212tの第1嵌合部232とを自己整合的に嵌合させることができる。このように、てこの原理や上管210t自身の重力を嵌合力として用いることで、長手方向に隣接する一対の上管210tの嵌合部230同士を嵌合させる際に電力を不要とすることができる。また、作業員が介在した上管210tの嵌合位置調整を不要とすることができる。これにより、防護管付きケーブル10の製造コストを低減することができる。その結果、防護管付きケーブル10の布設コストを低減することができる。
【0120】
(f)ステップ4の上管連結工程では、上管搬送路340に設けられた一対の上管用傾斜ローラ343によって、複数の上管210tを搬送する。これにより、複数の上管210tを当該一対の上管用傾斜ローラ343の配置中心に安定的に案内することができ、上管搬送路340における上管210tの搬送位置精度を向上させることができる。その結果、上管搬送路340と主搬送路360との間の不連続な段差において、下流側上管211tの第2嵌合部234と上流側上管212tの第1嵌合部232とを嵌合させる精度を向上させることができる。
【0121】
(g)ステップ5の布設工程では、複数の防護管200に対してそれらを互いに引っ張る張力を負担させながら、防護管付きケーブル10を水底に向けて布設する。これにより、布設工程において、複数の防護管200を連結する連結部材(吊りワイヤ等)を不要とすることができる。
【0122】
ここで、防護管付きケーブルを水底に向けて布設する際には、例えば、複数の防護管を、吊りワイヤによって連結した状態とすることがあった。この場合、防護管付きケーブルを水底に向けて布設する際に、複数の防護管を吊りワイヤによって吊り下げることで、ケーブルに加わる防護管の重量を軽減し、ケーブルの損傷等を抑制していた。しかしながら、複数の防護管を吊りワイヤによって連結する際には、多くの人手が必要となっていた。このため、複数の防護管を連結する際の作業効率が悪く、その作業に時間がかかっていた。その結果、防護管付きケーブルを水底に向けて早く繰り出すことが困難であった。また、吊りワイヤの部材費や、吊りワイヤを取り付けるための人件費がかかっていた。その結果、防護管付きケーブルの製造コストが増大する傾向にあった。
【0123】
これに対し、本実施形態では、上述のように、複数の防護管200に対してそれらを互いに引っ張る張力を負担させることで、複数の防護管200を連結する連結部材を不要とすることができる。これにより、連結部材の取り付けに係る作業そのものを不要とすることができ、防護管付きケーブル10の製造工程に係る時間を短縮することができる。その結果、防護管付きケーブル10を布設船40から水底に向かって早く繰り出すことができる。また、連結部材の部材費や、連結部材を取り付けるための人件費を削減することができる。その結果、防護管付きケーブル10の製造コストを低減することができる。
【0124】
(h)ステップ5の布設工程では、上述のように、複数の防護管200を連結する連結部材(吊りワイヤ等)を不要とすることで、防護管付きケーブル10を水底に直接着底させることができる。
【0125】
ここで、上述のように、複数の防護管を吊りワイヤによって連結する場合、例えば、防護管付きケーブルを水底に着底させる際に、防護管付きケーブルを支持台によって支持させることがあった。これにより、吊りワイヤが防護管付きケーブルの下敷きとなることを抑制し、防護管の損傷や吊りワイヤの破断を抑制していた。しかしながら、上記のように支持台を用いる場合では、複数の防護管を支持台によって支持させる作業が必要となっていた。さらには、防護管付きケーブルを着底させた後に、支持台を回収する必要があった。このため、支持台の支持作業や回収作業に多くの人手が必要となるとともに、それらの作業に時間がかかっていた。その結果、防護管付きケーブルを所定距離に亘って布設する全体としての時間が長くなっていた。また、支持台の部材費や、複数の防護管を支持台によって支持させる作業や支持台を回収する作業に係る人件費がかかっていた。その結果、防護管付きケーブルの布設コストが増大する傾向にあった。
【0126】
これに対し、本実施形態では、上述のように、複数の防護管200を連結する連結部材(吊りワイヤ等)を不要とすることで、防護管付きケーブル10を水底に直接着底させることができ、防護管付きケーブル10を支持する支持台を不要とすることができる。これにより、複数の防護管200を支持台によって支持させる作業や支持台を回収する作業そのものを不要とすることができる。その結果、防護管付きケーブル10を所定距離に亘って布設する全体としての時間を短縮することができる。また、支持台の部材費や、複数の防護管200を支持台によって支持させる作業や支持台を回収する作業に係る人件費を削減することができる。その結果、防護管付きケーブル10の布設コストを低減することができる。
【0127】
(i)少なくとも複数の下管210uのそれぞれとして、それぞれの内側が鉛直上側に向いた状態で自立可能に構成される管を用いることで、各工程において、複数の下管210uのそれぞれを自立させて安定的に搬送することができる。
【0128】
ここで、上述のように、防護管付きケーブルを支持台によって支持させる場合、防護管付きケーブルの製造工程において、防護管を支持台に支持させることで、下管または防護管付きケーブルを安定的に搬送していた。しかしながら、上記のように支持台を用いる場合では、複数の防護管を支持台によって支持させる作業が必要となることに起因して、防護管付きケーブルを所定距離に亘って布設する全体としての時間が長くなり、防護管付きケーブルの布設コストが増大する傾向にあった。
【0129】
これに対し、本実施形態では、少なくとも下管210uを自立可能に構成することで、上記した支持台を用いなくても、各工程において、複数の下管210uのそれぞれを自立させて安定的に搬送することができる。その結果、防護管付きケーブル10を所定距離に亘って布設する全体としての時間を短縮することができ、防護管付きケーブル10の布設コストを低減することができる。
【0130】
さらに、本実施形態では、少なくとも下管210uを自立可能に構成することで、防護管付きケーブル10を水底に直接着底させ、水底に安定的に載置することも可能となる。
【0131】
<本発明の他の実施形態>
以上、本発明の実施形態について具体的に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0132】
上述の実施形態では、下管210uと上管210tとが同様に構成されている場合について説明したが、下管210uと上管210tとは互いに異なっていてもよい。つまり、下管210uのみが、支持鍔部246を有していてもよい。ただし、下管210uと上管210tとが同様に構成されているほうが、下管210uと上管210tとを同一の金型で製造することができ、防護管200の製造コストを低減することができる点で好ましい。
【0133】
上述の実施形態では、下管搬送路310が複数の下管210uをそれらの自重によって搬送可能に構成されている場合について説明したが、下管搬送路310は、ベルトコンベアとして構成され、電力によって複数の下管210uを主搬送路360に向けて搬送できるように構成されていてもよい。この場合、下管搬送路310は、水平方向に沿って設けられていてもよい。しかしながら、下管搬送路310が複数の下管210uをそれらの自重によって搬送可能に構成されているほうが、防護管付きケーブル10の製造コストを低減することができる点で好ましい。
【0134】
上述の実施形態では、ケーブル搬送路330が、シュータ450による防護管付きケーブル10の繰り出し力によって引っ張られるケーブル100を、主搬送路360に向けて搬送するよう構成されている場合について説明したが、ケーブル搬送路330は、ベルトコンベアとして構成され、電力によってケーブル100を主搬送路360に向けて搬送できるように構成されていてもよい。この場合、ケーブル搬送路330は、水平方向に沿って設けられていてもよい。
【0135】
上述の実施形態では、上管搬送路340が複数の上管210tをそれらの自重によって搬送可能に構成されている場合について説明したが、上管搬送路340は、ベルトコンベアとして構成され、電力によって複数の上管210tを主搬送路360に向けて搬送できるように構成されていてもよい。この場合、上管搬送路340は、水平方向に沿って設けられていてもよい。しかしながら、上管搬送路340が複数の上管210tをそれらの自重によって搬送可能に構成されているほうが、防護管付きケーブル10の製造コストを低減することができる点で好ましい。
【0136】
上述の実施形態では、主搬送路360が、シュータ450による防護管付きケーブル10の繰り出し力によって、複数の下管210uや防護管付きケーブル10を下流側に引っ張ることで搬送するよう構成されている場合について説明したが、主搬送路360は、ベルトコンベアとして構成され、電力によって複数の下管210uや防護管付きケーブル10を下流側に向けて搬送できるように構成されていてもよい。
【0137】
上述の実施形態では、主搬送路360の鉛直上側に、ストッパ314が設けられている場合について説明したが、上流側下管212uの第1嵌合部232を、下流側下管211uに対して当接させた際に、上流側下管212uがこれ以上押し出されることがない場合などのように、ストッパ314を用いなくても上流側下管212uの移動を規制することができる場合は、必ずしもストッパ314は設けられていなくてもよい。
【0138】
上述の実施形態では、上管搬送路340の下流端と主搬送路360との間に、支点ローラ344が設けられている場合について説明したが、上管搬送路340の下流端における上管用搬送ローラ341が、てこの原理の支点となりうる場合などのように、支点ローラ344を用いなくても下流側上管211tの第2嵌合部234側を起き上がらせることができる場合は、必ずしも支点ローラ344は設けられていなくてもよい。
【0139】
上述の実施形態では、ステップ2の上管連結工程において、長手方向に隣接する一対の下管210uの嵌合部230同士を自己整合的に嵌合させることと、ステップ4の下管連結工程において、長手方向に隣接する一対の上管210tの嵌合部230同士を自己整合的に嵌合させることとの両方を行う場合について説明したが、ステップ2の上管連結工程において、長手方向に隣接する一対の下管210uの嵌合部230同士を自己整合的に嵌合させることと、ステップ4の下管連結工程において、長手方向に隣接する一対の上管210tの嵌合部230同士を自己整合的に嵌合させることとのうちのいずれか一方のみを行うようにしてもよい。
【0140】
<本発明の好ましい態様>
以下、本発明の好ましい態様を付記する。
【0141】
(付記1)
水底に布設されるケーブルと、前記ケーブルの外周を囲み前記ケーブルに沿って数珠繋ぎに連結される複数の防護管と、を有する防護管付きケーブルの製造方法であって、
前記複数の防護管のそれぞれを長手方向に沿った半割面で半割りした半管状部材の一方として構成され、長手方向の両端にそれぞれ嵌合部を有する複数の下管と、前記半管状部材の他方として構成され、長手方向の両端にそれぞれ嵌合部を有する複数の上管と、前記ケーブルと、を準備する工程と、
前記複数の下管をそれぞれの内側が鉛直上側に向くように配置し、前記複数の下管のうちの長手方向に隣接する一対の下管の前記嵌合部同士を嵌合させ、前記複数の下管を長手方向に沿って搬送する下管連結工程と、
前記複数の下管の内側上に前記ケーブルを載置し、前記ケーブルを前記複数の下管とともに長手方向に沿って搬送するケーブル載置工程と、
前記複数の上管のうちの長手方向に隣接する一対の上管の前記嵌合部同士を嵌合させ、前記複数の上管を前記複数の下管とともに前記ケーブルを囲むように配置することで、前記防護管付きケーブルを作製し、前記防護管付きケーブルを長手方向に沿って搬送する上管連結工程と、を有し、
前記下管連結工程では、
前記複数の下管を長手方向に沿って搬送しながら、前記複数の下管の搬送高さが高い位置から低い位置に不連続に変化する段差を利用して、長手方向に隣接する前記一対の下管の前記嵌合部同士を自己整合的に嵌合させる
防護管付きケーブルの製造方法。
【0142】
(付記2)
前記下管連結工程では、
下流側に向けて鉛直斜め下方向に延在する下管搬送路上に、前記複数の下管を、それぞれの内側が鉛直上側に向くとともに、それぞれの中心軸が前記下管搬送路の長手方向に沿うように、順に載置し、前記複数の下管をそれらの自重によって前記下管搬送路に沿って搬送し、
前記下管搬送路の下流端から下流側に向けて鉛直下側に所定距離だけ離れた位置に前記下管搬送路に沿って設けられる主搬送路上に、前記下管搬送路の下流端から前記複数の下管を順次落とし込み、
前記複数の下管のうちの前記主搬送路上に先に落とし込む下流側下管に対して、前記複数の下管のうちの前記下流側下管の次に前記主搬送路上に落とし込む上流側下管の前記嵌合部を当接させ、
前記下流側下管を前記上流側下管に対して相対的に前記主搬送路の下流側に搬送し、前記上流側下管の前記嵌合部が前記下流側下管に当接する位置を前記下流側下管の下流側に相対的にずらし、前記下流側下管の前記嵌合部と前記上流側下管の前記嵌合部とを嵌合させる
付記1に記載の防護管付きケーブルの製造方法。
【0143】
(付記3)
前記下管連結工程では、
前記下管搬送路に設けられ、前記下管搬送路の搬送方向から見て鉛直上側をV字状に開いて配置された一対の下管用傾斜ローラによって、前記複数の下管を搬送する
付記2に記載の防護管付きケーブルの製造方法。
【0144】
(付記4)
水底に布設されるケーブルと、前記ケーブルの外周を囲み前記ケーブルに沿って数珠繋ぎに連結される複数の防護管と、を有する防護管付きケーブルの製造方法であって、
前記複数の防護管のそれぞれを長手方向に沿った半割面で半割りした半管状部材の一方として構成され、長手方向の両端にそれぞれ嵌合部を有する複数の下管と、前記半管状部材の他方として構成され、長手方向の両端にそれぞれ嵌合部を有する複数の上管と、前記ケーブルと、を準備する工程と、
前記複数の下管をそれぞれの内側が鉛直上側に向くように配置し、前記複数の下管のうちの長手方向に隣接する一対の下管の前記嵌合部同士を嵌合させ、前記複数の下管を長手方向に沿って搬送する下管連結工程と、
前記複数の下管の内側上に前記ケーブルを載置し、前記ケーブルを前記複数の下管とともに長手方向に沿って搬送するケーブル載置工程と、
前記複数の上管のうちの長手方向に隣接する一対の上管の前記嵌合部同士を嵌合させ、前記複数の上管を前記複数の下管とともに前記ケーブルを囲むように配置することで、前記防護管付きケーブルを作製し、前記防護管付きケーブルを長手方向に沿って搬送する上管連結工程と、を有し、
前記上管連結工程では、
前記複数の上管を長手方向に沿って搬送しながら、前記複数の上管の搬送高さが高い位置から低い位置に不連続に変化する段差を利用して、長手方向に隣接する前記一対の上管の前記嵌合部同士を自己整合的に嵌合させる
防護管付きケーブルの製造方法。
【0145】
(付記5)
前記上管連結工程では、
下流側に向けて鉛直斜め下方向に延在する上管搬送路上に、前記複数の上管を、それぞれの内側が鉛直下側に向くとともに、それぞれの中心軸が前記上管搬送路の長手方向に沿うように、順に載置し、前記複数の上管をそれらの自重によって前記上管搬送路に沿って搬送し、
前記上管搬送路の下流端から下流側に向けて鉛直下側に所定距離だけ離れた位置に前記上管搬送路に沿って設けられる主搬送路に向けて、前記上管搬送路の下流端から前記複数の上管のそれぞれの下流端側を順次落とし込み、
前記複数の上管のうちの前記主搬送路に先に落とし込む下流側上管を、前記複数の上管のうちの前記下流側上管の次に前記主搬送路に落とし込む上流側上管よりも急な角度で鉛直斜め下方向に傾斜させ、傾斜した前記下流側上管の内側に対して前記上流側上管の前記嵌合部を当接させ、
前記下流側上管を前記上流側上管に対して相対的に前記主搬送路の下流側に搬送し、前記上流側上管の前記嵌合部が前記下流側上管に当接する位置を前記下流側上管の下流側に相対的にずらし、前記下流側上管の前記嵌合部と前記上流側上管の前記嵌合部とを嵌合させる
付記4に記載の防護管付きケーブルの製造方法。
【0146】
(付記6)
前記上管連結工程では、
前記上管搬送路に設けられ、前記上管搬送路の搬送方向から見て鉛直上側をV字状に開いて配置された一対の上管用傾斜ローラによって、前記複数の上管を搬送する
付記5に記載の防護管付きケーブルの製造方法。
【0147】
(付記7)
前記複数の防護管に対してそれらを互いに引っ張る張力を負担させながら、前記防護管付きケーブルを水底に向けて布設する布設工程をさらに有する
付記1〜6のいずれか1つに記載の防護管付きケーブルの製造方法。
【0148】
(付記8)
前記布設工程では、
前記防護管付きケーブルを水底に直接着底させる
付記7に記載の防護管付きケーブルの製造方法。
【0149】
(付記9)
前記準備工程では、
少なくとも前記複数の下管のそれぞれとして、それぞれの内側が鉛直上側に向いた状態で自立可能に構成される管を準備し、
前記下管連結工程、前記ケーブル載置工程および前記上管連結工程では、
前記複数の下管のそれぞれを自立させながら長手方向に沿って搬送する
付記1〜8のいずれか1つに記載の防護管付きケーブルの製造方法。
【0150】
(付記10)
水底に布設されるケーブルと、前記ケーブルの外周を囲み前記ケーブルに沿って数珠繋ぎに連結される複数の防護管と、を有する防護管付きケーブルの製造システムであって、
前記複数の防護管のそれぞれを長手方向に沿った半割面で半割りした半管状部材の一方として構成され、長手方向の両端にそれぞれ嵌合部を有する複数の下管と、前記半管状部材の他方として構成され、長手方向の両端にそれぞれ嵌合部を有する複数の上管と、前記ケーブルと、を貯蔵する貯蔵領域と、
前記複数の下管をそれぞれの内側が鉛直上側に向くように配置し、前記複数の下管のうちの長手方向に隣接する一対の下管の前記嵌合部同士を嵌合させ、前記複数の下管を長手方向に沿って搬送する下管連結機構と、
前記複数の下管の内側上に前記ケーブルを載置し、前記ケーブルを前記複数の下管とともに長手方向に沿って搬送するケーブル載置機構と、
前記複数の上管のうちの長手方向に隣接する一対の上管の前記嵌合部同士を嵌合させ、前記複数の上管を前記複数の下管とともに前記ケーブルを囲むように配置することで、前記防護管付きケーブルを作製し、前記防護管付きケーブルを長手方向に沿って搬送する上管連結機構と、を有し、
前記下管連結機構では、
前記複数の下管を長手方向に沿って搬送しながら、前記複数の下管の搬送高さが高い位置から低い位置に不連続に変化する段差を利用して、長手方向に隣接する前記一対の下管の前記嵌合部同士を自己整合的に嵌合させる
防護管付きケーブルの製造システム。
【0151】
(付記11)
水底に布設されるケーブルと、前記ケーブルの外周を囲み前記ケーブルに沿って数珠繋ぎに連結される複数の防護管と、を有する防護管付きケーブルの製造システムであって、
前記複数の防護管のそれぞれを長手方向に沿った半割面で半割りした半管状部材の一方として構成され、長手方向の両端にそれぞれ嵌合部を有する複数の下管と、前記半管状部材の他方として構成され、長手方向の両端にそれぞれ嵌合部を有する複数の上管と、前記ケーブルと、を貯蔵する貯蔵領域と、
前記複数の下管をそれぞれの内側が鉛直上側に向くように配置し、前記複数の下管のうちの長手方向に隣接する一対の下管の前記嵌合部同士を嵌合させ、前記複数の下管を長手方向に沿って搬送する下管連結機構と、
前記複数の下管の内側上に前記ケーブルを載置し、前記ケーブルを前記複数の下管とともに長手方向に沿って搬送するケーブル載置機構と、
前記複数の上管のうちの長手方向に隣接する一対の上管の前記嵌合部同士を嵌合させ、前記複数の上管を前記複数の下管とともに前記ケーブルを囲むように配置することで、前記防護管付きケーブルを作製し、前記防護管付きケーブルを長手方向に沿って搬送する上管連結機構と、を有し、
前記上管連結機構では、
前記複数の上管を長手方向に沿って搬送しながら、前記複数の上管の搬送高さが高い位置から低い位置に不連続に変化する段差を利用して、長手方向に隣接する前記一対の上管の前記嵌合部同士を自己整合的に嵌合させる
防護管付きケーブルの製造システム。
【0152】
(付記12)
水底に布設されるケーブルの外周を囲み、前記ケーブルに沿って数珠繋ぎに連結される防護管であって、
長手方向に沿った半割面で半割りした半管状部材の一方として構成され、長手方向の両端にそれぞれ嵌合部を有する下管と、
前記半割状部材の他方として構成され、長手方向の両端にそれぞれ嵌合部を有する上管と、を有し、
少なくとも前記下管は、その内側が鉛直上側に向いた状態で自立可能に構成される
防護管。
【0153】
(付記13)
前記下管は、
前記半割面で半割りした半管状に構成される胴体部と、
前記胴体部の長手方向の一端に前記嵌合部の一方として設けられる第1嵌合部と、
前記胴体部の長手方向の他端に前記嵌合部の他方として設けられ、前記第1嵌合部に被せられて嵌合される第2嵌合部と、
前記胴体部の周方向の両端の間に設けられ、前記胴体部の外周面から外側に向けて前記半割面に交差する方向に延在する支持鍔部と、を有し、
前記支持鍔部のうちの前記半割面から遠い側の端部は、前記第2嵌合部のうちの前記半割面から最も離れた最端部と同一面を構成するか、或いは、前記第2嵌合部の前記最端部から突出している
付記12に記載の防護管。
【0154】
(付記14)
前記支持鍔部は、前記胴体部の周方向の中央を挟んで一対設けられる
付記13に記載の防護管。
【0155】
(付記15)
前記第1嵌合部および前記第2嵌合部は、前記複数の防護管が数珠繋ぎに連結された際に前記複数の防護管同士を互いに引っ張る張力が加わっても外れないように互いに嵌合される
付記13又は14に記載の防護管。
【0156】
(付記16)
水底に布設されるケーブルと、
前記ケーブルの外周を囲み、前記ケーブルに沿って数珠繋ぎに連結される複数の防護管と、を有し、
前記防護管は、
長手方向に沿った半割面で半割りした半管状部材の一方として構成され、長手方向の両端にそれぞれ嵌合部を有する下管と、
前記半割状部材の他方として構成され、長手方向の両端にそれぞれ嵌合部を有する上管と、を有し、
少なくとも前記下管は、その内側が鉛直上側に向いた状態で自立可能に構成される
防護管付きケーブル。