特許第6881176号(P6881176)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6881176
(24)【登録日】2021年5月10日
(45)【発行日】2021年6月2日
(54)【発明の名称】包装箱、および、ブランクシート
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/44 20060101AFI20210524BHJP
   B65D 5/66 20060101ALI20210524BHJP
   B65D 5/02 20060101ALI20210524BHJP
   B65D 21/036 20060101ALI20210524BHJP
【FI】
   B65D5/44 H
   B65D5/66 301J
   B65D5/02 K
   B65D21/036
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-177525(P2017-177525)
(22)【出願日】2017年9月15日
(65)【公開番号】特開2019-51965(P2019-51965A)
(43)【公開日】2019年4月4日
【審査請求日】2020年1月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 治紀
【審査官】 内田 茉李
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−254750(JP,A)
【文献】 特開2009−298453(JP,A)
【文献】 実公平05−005150(JP,Y2)
【文献】 登録実用新案第3208118(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0307227(US,A1)
【文献】 特開2003−285828(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/44
B65D 5/02
B65D 5/66
B65D 21/036
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装箱であって、
底板と、
長さ面に連設される外フラップと、幅面に連設される内フラップとを備え、前記底板と対向する開口を覆う天板と、を備え、
前記長さ面と前記幅面とには、
前記長さ面と前記幅面との稜と直交する第1切断予定線を備え、
前記外フラップと前記内フラップには、
前記長さ面と前記外フラップとが対向し、かつ、前記幅面と前記内フラップとが対向するように折り重ねられた状態で、前記第1切断予定線と対向する第2切断予定線を備え、
前記第1切断予定線の各端部と前記第2切断予定線の各端部とが、折り目線で接続され、
前記外フラップは、罫線を介して前記長さ面に連設されており、
前記罫線と前記第2切断予定線との距離は、前記罫線と前記第1切断予定線との距離よりも大きい
包装箱。
【請求項2】
前記第1切断予定線は、前記稜で二等分されている
請求項1に記載の包装箱。
【請求項3】
前記第1切断予定線の長さは、前記第2切断予定線の長さ以上である
請求項2に記載の包装箱。
【請求項4】
2つの前記第1切断予定線と、
2つの前記第2切断予定線と、を備え、
前記2つの第1切断予定線は、前記開口と対向する方向から見て対角に位置する
請求項1〜3のいずれか一項に記載の包装箱。
【請求項5】
包装箱を製造するためのブランクシートであって、
底板と、
長さ面に連設される外フラップと、幅面に連設される内フラップとを備え、前記底板と対向する開口を覆う天板と、を備え、
前記長さ面と前記幅面とには、
前記包装箱における前記長さ面と前記幅面との稜と直交する第1切断予定線を備え、
前記外フラップと前記内フラップとは、
前記長さ面と前記外フラップとが対向し、かつ、前記幅面と前記内フラップとが対向するように折り重ねられた状態で、前記第1切断予定線と対向する第2切断予定線を備え、
前記第1切断予定線の各端部と前記第2切断予定線の各端部とが、折り目線で接続され、
前記外フラップは、罫線を介して前記長さ面に連設されており、
前記罫線と前記第2切断予定線との距離は、前記罫線と前記第1切断予定線との距離よりも大きい
ブランクシート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装箱、および、該包装箱を構成するブランクシートに関する。
【背景技術】
【0002】
包装箱の一例であるA式段ボール箱は、底板および天板を有する直方体形状を有する。A式段ボール箱は、周囲を囲う4つの側板と、各側板の底辺に連設されたフラップで構成される底板と、各側板の天辺に連設されたフラップで構成される天板とを備える。天板は、長さ面に連設された一対の外フラップの突き合わせによって封止される。この類の包装箱では、商品の展示および陳列を可能とする構成が提案されている(例えば、特許文献1〜3を参照)。特許文献1〜3に記載の包装箱では、天板の一部を残して天板が切り取られ、残された天板の一部を支持部として、他の包装箱が積み重ねられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−112723号公報
【特許文献2】特開2003−246319号公報
【特許文献3】特開2016−190645号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、特許文献1〜3に記載の包装箱のように、天板の一部が切り取られると、段ボール箱としての強度の低下が懸念されたり、切り取られた天板の廃棄に手間が生じたりする。他方、天板の一部を切り取ることなく天板の各フラップを開封すると、他の包装箱を積み重ねるための支持部が包装箱から無くなってしまい、また、包装箱の外側に広がる各フラップが包装箱の占有空間を不要に拡大させてしまう。
本発明の目的は、開封された包装箱における積み重ねと、占有空間の拡大の抑制とを可能にした包装箱、および、ブランクシートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する包装箱は、底板と、長さ面(以下、長側板ともいう)に連設される外フラップと、幅面(以下、幅側板ともいう)に連設される内フラップとを備え、前記底板と対向する開口を覆う天板と、を備える。前記長さ面と前記幅面とには、前記長さ面と前記幅面との稜と直交する第1切断予定線を備え、前記外フラップと前記内フラップには、前記長さ面と前記外フラップとが対向し、かつ、前記幅面と前記内フラップとが対向するように折り重ねられた状態で、前記第1切断予定線と対向する第2切断予定線を備え、前記第1切断予定線の各端部と前記第2切断予定線の各端部とが、折り目線で接続されている。
【0006】
上記課題を解決するブランクシートは、底板と、長さ面に連設される外フラップと、幅面に連設される内フラップとを備え、前記底板と対向する開口を覆う天板と、を備える。前記長さ面と前記幅面とには、前記包装箱における前記長さ面と前記幅面との稜と直交する第1切断予定線を備え、前記外フラップと前記内フラップには、前記長さ面と前記外フラップとが対向し、かつ、前記幅面と前記内フラップとが対向するように折り重ねられた状態で、前記第1切断予定線と対向する第2切断予定線を備え、前記第1切断予定線の各端部と前記第2切断予定線の各端部とが、折り目線で接続されている。
【0007】
上記各構成によれば、包装箱の天板が開封されて、各フラップが折り返されると、第1切断予定線と第2切断予定線とが対向する。この状態で、包装箱の内側に向けて稜を押し込むように、第1切断予定線と第2切断予定線とが切断されると、稜を挟む各側板の隅部、および、それと対向する各フラップの隅部が、折り目線で折り曲げられる。そして、稜を挟む各側板の隅部と、各フラップとの隅部とで形成されていた角は、包装箱の内側に押し込まれた谷折り状の屈曲部(支持部)へと変形する。結果として、天板の開封された包装箱の上に、支持部に支持される他の包装箱を積み重ねることが可能となる。この際、各フラップの隅部が、折り目線で折り曲げられた状態で固定され、包装箱の内側に位置し続ける。それゆえに、長さ面と外フラップとが対向した状態、および、幅面と内フラップとが対向した状態が保たれ、各フラップが包装箱の外側に広がることが抑制される。したがって、上記各構成によれば、開封された包装箱における積み重ねと、占有空間の拡大の抑制とが可能となる。
【0008】
上記包装箱において、前記第1切断予定線は、前記稜で二等分されてもよい。この構成によれば、各側板での隅部の長さを、互いに等しくすること、および、各フラップでの隅部の長さを、互いに等しくすることが可能となる。結果として、積み重ねられた他の包装箱による荷重を、各側板に対してほぼ均等に分散することが可能であって、一方の側板に過大な負荷を強いることを抑えることが可能ともなる。
【0009】
上記包装箱において、前記第1切断予定線の長さは、前記第2切断予定線の長さ以上であってもよい。この構成によれば、第1切断予定線の全てを第2切断予定線と対向させることが可能となる。それゆえに、各隅部が内側に押し込まれるとき、フラップにおける隅部は、それの一部が側板に押し戻されることなく、より円滑に内側に折り曲げられる。
【0010】
上記包装箱において、2つの前記第1切断予定線と、2つの前記第2切断予定線と、を備え、前記2つの第1切断予定線は、前記開口と対向する方向から見て対角に位置してもよい。この構成によれば、開口と対向する方向から見て、包装箱の内側に窪む谷折り状の支持部が、対角に位置する。それゆえに、谷折り状の支持部が1箇所である構成と比べて、積み上げられる包装箱の位置の安定性を高めることが可能である。また、谷折り状の支持部が3箇所以上である構成と比べて、包装箱そのものの強度が低下することを抑えることが可能ともなる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】包装箱の構造を示す斜視図。
図2】包装箱の部分構造を示す斜視図。
図3】包装箱を製造するためのブランクシートを示す平面図。
図4】包装箱の支持部が開口の内側に折り込まれる過程を示す斜視図。
図5】包装箱の支持部が開口の内側に折り込まれたときの構造を示す斜視図。
図6】包装箱の支持部が開口の内側に折り込まれた包装箱が積み重ねられたときの斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1から図6を参照して包装箱1、および、ブランクシート2の一実施形態について説明する。以下の説明では、包装箱1の一例としてA式段ボール箱を示す。
【0013】
[包装箱1]
図1が示すように、包装箱1における4枚の側板のなかで、長さ面を長側板とし、幅面を幅側板とする。一対の長側板は、前板12、および、後板13である。一対の幅側板は、左板14、および、右板15である。包装箱1は、底板11と、4枚の側板12,13,14,15と、天板16とを備える。各側板12,13,14,15は、天縁12U,13U,14U,15Uを備える。4つの天縁12U,13U,14U,15Uは、底板11と対向する開口11Tを区画する。なお、底板11から天板16に向けた方向が、高さ方向である。左板14から右板15に向けた方向が、長さ方向である。前板12から後板13に向けた方向が、幅方向である。
【0014】
天板16は、一対の外フラップ16F1,16F3、および、一対の内フラップ16F2,16F4によって開口11Tの全体を覆う。各外フラップ16F1,16F3、および、各内フラップ16F4,16F2は、各側板12,13,14,15の天縁12U,13U,14U,15Uに連設されている。
【0015】
各外フラップ16F1,16F3は、開口11Tを覆うように天縁12U,13Uで折り曲げられ、フラップ端部16E1,16E3を突き合わせる。各内フラップ16F4,16F2は、開口11Tの一部を覆うように天縁14U,15Uで折り曲げられ、外フラップ16F1,16F3を内側から支持する。
【0016】
4つの側板12,13,14,15は、4つの稜12R,13R,14R,15Rを構成する。稜12Rは、前板12と右板15とから構成され、稜12Rは、後板13と左板14とから構成される。稜14Rは、前板12と左板14とから構成され、稜15Rは、後板13と右板15とから構成される。2つの支持構造20は、これら4つの稜12R,13R,14R,15Rのうち、対角に位置する2つの稜12R,13Rに位置する。一方の支持構造20は、稜12R、および、各天縁12U,15Uが構成する角に位置する。他方の支持構造20は、稜13R、および、各天縁13U,14Uが構成する角に位置する。
【0017】
[支持構造20]
一方の支持構造20と、他方の支持構造20とは、支持構造20を構成する側板が異なる一方で、支持構造20を構成する各隅部の大きさや形状は、各支持構造20において互いにほぼ等しい。以下では、稜12Rを含む一方の支持構造20について詳細に説明し、稜13Rを含む他方の支持構造20に関しては、重複する構成の説明を割愛する。
【0018】
図2が示すように、前板12は、前板12の右上隅に、側板隅部12Aを備える。側板隅部12Aの高さ方向は、長さ方向に延びる切断予定線212と、天縁12Uとによって区画されている。側板隅部12Aの長さ方向は、折り目線232と稜12Rとによって区画されている。側板隅部12Aは、切断予定線212、折り目線232、天縁12U、および、稜12Rによって囲まれた矩形状を有する。
【0019】
右板15は、右板15の前上隅に、側板隅部15Aを備える。側板隅部15Aの高さ方向は、幅方向に延びる切断予定線215と天縁15Uとによって区画されている。側板隅部15Aの幅方向は、折り目線245と稜12Rとによって区画されている。側板隅部15Aは、切断予定線215、折り目線245、天縁15U、および、稜12Rによって囲まれた矩形状を有する。
【0020】
2つの側板隅部12A,15Aは、1つの稜12Rで連設されている。側板隅部12Aを区画する切断予定線212と、側板隅部15Aを区画する切断予定線215とは、稜12Rを介して連続する1本の第1切断予定線21である。
【0021】
外フラップ16F1は、外フラップ16F1の前上隅に、フラップ隅部12Bを備える。フラップ隅部12Bの長さ方向は、幅方向に延びる折り目線236によって区画されている。フラップ隅部12Bの幅方向は、切断予定線222と天縁12Uとによって区画されている。フラップ隅部12Bは、切断予定線222、折り目線236、および、天縁12Uによって囲まれた矩形状を有する。側板隅部12Aとフラップ隅部12Bとは、天縁12Uを介して連設されている。また、側板隅部12Aを区画する折り目線232と、フラップ隅部12Bを区画する折り目線236とは、天縁12Uで連続する1本の折り目線23である。
【0022】
内フラップ16F2は、内フラップ16F2の前上隅に、フラップ隅部15Bを備える。フラップ隅部15Bの長さ方向は、幅方向に延びる切断予定線225と天縁15Uとによって区画されている。フラップ隅部15Bの幅方向は、折り目線246によって区画されている。フラップ隅部15Bは、切断予定線225、折り目線246、および、天縁15Uによって囲まれた矩形状を有する。側板隅部15Aとフラップ隅部15Bとは、天縁15Uを介して連設されている。また、側板隅部15Aを区画する折り目線245と、フラップ隅部15Bを区画する折り目線246とは、天縁15Uで連続する1本の折り目線24である。
【0023】
なお、各切断予定線21,22は、切断を予定する部分に沿って断続的に設けられた切れ目であり、切れ目の形状は、例えば、点状、直線状、くの字状、L字状などの任意の形状に設定可能である。
【0024】
一方の支持構造20は、これら各側板隅部12A,15A、および、各フラップ隅部12B,15Bから構成される。天板16が開封されるとき、一対の外フラップ16F1,16F3、および、一対の内フラップ16F2,16F4は、天縁12U,13U,14U,15Uを旋回軸として、各側板12,13,14,15の外側に折り返される。そして、一対の外フラップ16F1,16F3、および、一対の内フラップ16F2,16F4が、各側板12,13,14,15の外面と対向する位置まで折り返されるとき、側板隅部12Aとフラップ隅部12Bとが互いに重り、側板隅部15Aとフラップ隅部15Bとが互いに重なる。
【0025】
[ブランクシート]
次に、包装箱1を製造するためのブランクシート2について説明する。
図3に示すように、1枚のブランクシート2において、帯状の継ぎしろ17、矩形状の前板12、右板15、後板13、および、左板14は、この順に連設されている。継ぎしろ17は、縦罫線17Cを介して前板12に連設されている。前板12は、縦罫線12Cを介して右板15に連設され、右板15は、縦罫線15Cを介して後板13に連設され、後板13は、縦罫線13Cを介して左板14に連設されている。なお、縦罫線12Cは、包装箱1において稜12Rを構成し、縦罫線15Cは、包装箱1において稜15Rを構成する。また、縦罫線13Cは、包装箱1において稜13Rを構成し、縦罫線17Cは、包装箱1において稜14Rを構成する。
【0026】
外フラップ11F1は、横罫線12DCを介して前板12に連設されている。外フラップ16F1は、横罫線12UCを介して前板12に連設されている。外フラップ11F3は、横罫線13DCを介して後板13に連設されている。外フラップ16F3は、横罫線13UCを介して後板13に連設されている。内フラップ11F2は、横罫線15DCを介して右板15に連設されている。内フラップ16F2は、横罫線15UCを介して右板15に連設されている。内フラップ11F4は、横罫線14DCを介して左板14に連設されている。内フラップ16F4は、横罫線14UCを介して左板14に連設されている。なお、横罫線12UC,13UC,14UC,15UCは、包装箱1において、天縁12U,13U,14U,15Uを構成する。
【0027】
一方の支持構造20を構成する側板隅部12Aと側板隅部15Aとは、縦罫線12Cを介して連設されている。一方の支持構造20を構成する側板隅部12Aとフラップ隅部12Bとは、横罫線12UCを介して連設されている。一方の支持構造20を構成する側板隅部15Aとフラップ隅部15Bとは、横罫線15UCを介して連設されている。
【0028】
なお、一方の支持構造20と同じく、他方の支持構造20を構成する側板隅部13Aと側板隅部14Aとは、縦罫線13Cを介して連設されている。他方の支持構造20を構成する側板隅部14Aとフラップ隅部13Bとは、横罫線13UCを介して連設されている。他方の支持構造20を構成する側板隅部14Aとフラップ隅部14Bとは、横罫線14UCを介して連設されている。
【0029】
次に、一方の支持構造20を例として、支持構造20を構成する側板隅部12A,13A,14A,15Aのサイズ、および、支持構造20を構成するフラップ隅部12B,13B,14B,15Bのサイズを説明する。なお、外フラップ11F1から外フラップ16F1に向けた方向が、上記高さ方向に相当する。また、外フラップ11F1から内フラップ11F2に向けた方向が、上記長さ方向、および、幅方向に相当する。
【0030】
2つの側板12,15は、第1切断予定線21を備える。第1切断予定線21は、切断を予定する部分に沿って断続的に設けられた切れ目であり、切れ目の形状は、例えば、点状、直線状、くの字状、L字状などの任意の形状に設定可能である。第1切断予定線21は、各横罫線12UC,15UCから高さ方向に離れている。第1切断予定線21は、各横罫線12UC,15UCと互いに平行であり、各側板12,15との間で連続し、第1切断予定線21と直交する縦罫線12Cによって、各切断予定線212,215に区画されている。
【0031】
各横罫線12UC,15UCと第1切断予定線21との距離は、第1高さH11である。第1高さH11は、高さ方向における外フラップ16F1の長さや、高さ方向における内フラップ16F2の長さよりも短い。長さ方向において、第1切断予定線21の長さは、第1距離L1である。第1切断予定線21のうち、前板12での長さL11は、切断予定線212の長さであり、第1距離L1のほぼ半分である。第1切断予定線21のうち、右板15での長さL12は、切断予定線215の長さであり、第1距離L1のほぼ半分である。すなわち、第1切断予定線21のうち、前板12での長さL11と、右板15での長さL12とは、ほぼ等しい。
【0032】
2つのフラップ16F1,16F2は、第2切断予定線22を備える。第2切断予定線22は、各横罫線12UC,15UCから高さ方向に離れている。第2切断予定線22は、各横罫線12UC,15UCと互いに平行であり、各フラップ16F1,16F2との間で途切れ、切断予定線222と切断予定線225とに分割されている。
【0033】
各横罫線12UC,15UCと各第2切断予定線22との距離は、第2高さH12である。第2高さH12は、第1高さH11とほぼ等しい。長さ方向において、第2切断予定線22の長さは、第2距離L2であり、第1距離L1とほぼ等しい。第2切断予定線22のうち、外フラップ16F1での長さL21は、切断予定線222の長さであり、外フラップ16F1と内フラップ16F2との間隙の分だけ、長さL11よりも若干短い。第2切断予定線22のうち、内フラップ16F2での長さL22は、切断予定線225の長さであり、外フラップ16F1と内フラップ16F2との間隙の分だけ、長さL12よりも若干短い。
【0034】
前板12、および、外フラップ16F1は、高さ方向に延びる1本の折り目線23を備える。折り目線23と縦罫線12Cとは、互いに平行であり、折り目線23は、前板12と外フラップ16F1との間で連続している。折り目線23は、前板12に位置する第1切断予定線21の端と、外フラップ16F1に位置する第2切断予定線22の端とを結ぶ。高さ方向において、折り目線23の長さは、第1高さH11と第2高さH12との合計である。すなわち、折り目線23は、横罫線12UCによって、折り目線232と折り目線236とに二等分される。
【0035】
右板15、および、内フラップ16F2は、高さ方向に延びる1本の折り目線24を備える。折り目線24と縦罫線12Cとは、互いに平行であり、折り目線24は、右板15と内フラップ16F2との間で連続している。折り目線24は、右板15に位置する第1切断予定線21の端と、内フラップ16F2に位置する第2切断予定線22の端とを結ぶ。高さ方向において、折り目線24の長さは、第1高さH11と第2高さH12との合計である。すなわち、折り目線24は、横罫線12UCによって、折り目線245と折り目線246とに二等分される。
【0036】
前板12の側板隅部12Aは、前板12において、第1切断予定線21(212)と、折り目線23(232)と、横罫線12UCと、縦罫線12Cとによって区画される。外フラップ16F1のフラップ隅部12Bは、外フラップ16F1において、第2切断予定線22(222)と、折り目線23(236)と、横罫線12UCとによって区画される。
【0037】
右板15の側板隅部15Aは、右板15において、第1切断予定線21(215)と、折り目線24(245)と、横罫線15UCと、縦罫線12Cとによって区画される。内フラップ16F2のフラップ隅部15Bは、内フラップ16F2において、第2切断予定線22(225)と、折り目線24(246)と、横罫線15UCとによって区画される。
【0038】
なお、後板13の側板隅部13Aは、側板隅部12Aと同じく、後板13において、切断予定線と、横罫線13UCと、縦罫線13Cとによって区画される。外フラップ16F3のフラップ隅部13Bは、外フラップ16F3において、切断予定線と、折り目線と、横罫線13UCとによって区画される。また、左板14の側板隅部14Aは、左板14において、切断予定線と、折り目線と、横罫線14UCと、縦罫線13Cとによって区画される。内フラップ16F4のフラップ隅部14Bは、内フラップ16F4において、切断予定線と、折り目線と、横罫線14UCとによって区画される。
【0039】
[作用]
支持構造20から支持部30を形成する手順について説明する。なお、一方の支持構造20と、他方の支持構造20とは、支持構造20を構成する側板が異なる一方で、支持構造20を構成する各隅部の大きさや形状は、互いにほぼ等しい。以下では、前板12の一部と、右板15の一部とを含む支持構造20での手順について詳細に説明する。
【0040】
図4に示すように、天板16が開封された包装箱1では、外フラップ16F1が前板12の外面(長さ面)と対向するように、外フラップ16F1が折り重ねられる。また、内フラップ16F2が右板15の外面(幅面)と対向するように、内フラップ16F2が折り重ねられる。これによって、第1切断予定線21と第2切断予定線22とが、互いに対向する。
【0041】
次いで、外フラップ16F1のフラップ隅部12Bと、前板12の側板隅部12Aとが、包装箱1の内側に向けて、手HDなどによって押し込まれる。また、内フラップ16F2のフラップ隅部15Bと、右板15の側板隅部15Aとが、包装箱1の内側に向けて、手HDなどによって押し込まれる。
【0042】
このとき、外フラップ16F1のフラップ隅部12Bは、切断予定線222で外フラップ16F1から切り離され、折り目線236で折り曲げられる。また、前板12の側板隅部12Aは、切断予定線212で前板12から切り離されて、折り目線232で折り曲げられる。同様に、内フラップ16F2のフラップ隅部15Bは、切断予定線225で内フラップ16F2から切り離され、折り目線246で内側に折り曲げられる。また、右板15の側板隅部15Aは、切断予定線215で右板15から切り離されて、折り目線245で内側に折り曲げられる。
【0043】
この際、側板隅部12Aと側板隅部15Aとは、稜12Rを介して連設されている。また、側板隅部12Aとフラップ隅部12Bとは、天縁12Uを介して連設され、側板隅部15Aとフラップ隅部15Bとは、天縁15Uを介して連設されている。結果として、フラップ隅部12Bは、折り目線236を回転軸として、側板隅部12Aと共に包装箱1の内側に移動する。フラップ隅部15Bもまた、折り目線246を回転軸として、側板隅部15Aと共に包装箱1の内側に移動する。これによって、側板隅部12A,15Aとフラップ隅部12B,15Bとで形成されていた角である支持構造20は、包装箱1の内側に押し込まれた谷折り状の屈曲部である支持部30へと変形する。
【0044】
なお、封緘された包装箱1において、側板隅部12Aと側板隅部15Aとのなす角は、ほぼ90°であるが、支持部30が形成される途中において、側板隅部15Aと側板隅部12Aとのなす角は、一時的に180°に変わる。すなわち、側板隅部12Aと側板隅部15Aとは、一時的にほぼ同一平面に並ぶ。この点、上述した包装箱1は、全体形状が一時的に弾性変形したり、側板隅部15Aや側板隅部12Aが撓んだりすることで、一時的な変形を可能としている。
【0045】
図5が示すように、図中の紙面手前側に位置する支持部30は、包装箱1の内側に押し込まれた谷折り状の屈曲部である。そして、各フラップ隅部12B,15Bを外側に戻す程度の力が作用しない限り、また、各側板隅部12A,15Aを外側に戻す程度の力が作用しない限り、その形状を好適に維持する。
【0046】
この際、各側板隅部12A,15Aの基端や、各フラップ隅部12B,15Bの基端は、折り目線23,24であり、各側板12,15や、各フラップ16F1,16F2に直接支持されている。すなわち、支持部30は、別々の折り目線23,24で、別々の側板12,15に支持されている。また、この支持部30では、側板隅部12Aとフラップ隅部12Bとが、天縁12Uで、上に向けて山折りされており、側板隅部15Aとフラップ隅部15Bとが、天縁15Uで、上に向けて山折りされている。上に向けた山折りの段ボールは、下に向けた応力Fに対して、屈曲などの変形を生じ難い。結果として、下に向けた応力Fが支持部30に作用するとしても、支持部30において形状を保つことが可能となる。
【0047】
なお、図中の紙面奥側に位置する支持部30もまた、包装箱1の内側に押し込まれた谷折り状を有し、各側板隅部13A,14Aを外側に戻す程度の力が作用しない限り、その形状を好適に維持する。そして、下に向けた応力Fが支持部30に作用するとしても、支持部30において形状を保つことが可能となる。
【0048】
図6が示すように、支持部30が形成された下包装箱1Aに、上包装箱1Bが積み上げられたとき、下包装箱1Aは、各天縁12U,15U,13U,14U、および、2つの支持部30で、上包装箱1Bの底板11を支持する。この際、下包装箱1Aの各支持部30が、下包装箱1Aの内側に張り出しているため、上包装箱1Bの底板11と、下包装箱1Aの開口11Tとが多少ずれたとしても、下包装箱1Aが上包装箱1Bを支持することは可能である。
【0049】
以上説明したように、本実施形態によれば、以下に記載する効果が得られる。
(1)包装箱1の内側に押し込まれた谷折り状の支持部30が、稜12Rを挟む各側板隅部12A,15Aと、各フラップ隅部12B,15Bとで形成される。結果として、天板16の開封された包装箱1の上に、支持部30に支持される他の包装箱1を積み重ねることが可能となる。
【0050】
(2)さらに、各フラップ隅部12B,15Bが、折り目線23,24で折り曲げられた状態で、包装箱1の内側に位置し続ける。それゆえに、各側板12,15と各フラップ16F1,16F2とが対向した状態が保たれ、各フラップ16F1,16F2が包装箱1の外側に広がることが抑制される。したがって、開封された包装箱1の占有する空間が拡大することを抑制できる。
【0051】
(3)支持部30において、側板隅部12Aとフラップ隅部12Bとは、上に向けて山折りとなるように重ねられる。側板隅部15Aとフラップ隅部15Bもまた、上に向けて山折りとなるように重ねられる。それゆえに、下に向けた応力Fが支持部30に作用するとしても、支持部30において形状を保つことが可能となる。
【0052】
(4)第1切断予定線21が稜12Rで二等分されているため、各側板隅部12A,15Aの長さを、互いに等しくすること、および、各フラップ隅部12B,15Bの長さを、互いに等しくすることが可能となる。結果として、上包装箱1Bによる荷重を、各側板12,15に対してほぼ均等に分散することが可能であって、一方の側板に過大な負荷を強いることを抑えることが可能ともなる。そして、上包装箱1Bの姿勢を展示や陳列に適した姿勢に保つことが可能ともなる。
【0053】
(5)第1切断予定線21の長さと、第2切断予定線22の長さとがほぼ等しいため、第1切断予定線21の全てを第2切断予定線22と対向させることが可能となる。それゆえに、各フラップ隅部12B,15Bが内側に押し込まれるとき、フラップ隅部12B,15Bの一部が側板12,15に押し戻されることなく、フラップ隅部12B,15Bの全てを、より円滑に内側に折り曲げることが可能ともなる。
【0054】
なお上記実施形態は、以下の態様で実施することもできる。
[切断予定線]
・切断予定線212の長さL11と、切断予定線215の長さL12とは、互いに異なる大きさに変更することも可能である。また、切断予定線222の長さL21と、切断予定線225の長さL22とは、互いに異なる大きさに変更することも可能である。
【0055】
・切断予定線212の長さL11と、切断予定線222の長さL21とは、互いに等しい大きさに変更することも可能であり、互いに異なる大きさに変更することも可能である。また、切断予定線215の長さL12と、切断予定線225の長さL22とは、互いに等しい大きさに変更することも可能であり、互いに異なる大きさに変更することも可能である。なお、切断予定線212の長さL11が、切断予定線222の長さL21よりも大きい構成では、上記(5)に準じた効果を得ることが可能ともなる。また、切断予定線215の長さL12が、切断予定線225の長さL22よりも大きい構成では、上記(5)に準じた効果を得ることが可能ともなる。
・さらに、第1切断予定線21の第1距離L1と、第2切断予定線22の第2距離L2とは、互いに異なる大きさに変更することも可能である。
【0056】
・第1高さH11と第2高さH12とは、互いに異なる大きさに変更することも可能である。なお、第2高さH12が第1高さH11よりも大きい構成であれば、各フラップ隅部12B,15Bが第1切断予定線21に乗り上がるように、支持部30が形成される。結果として、各フラップ隅部12B,15Bと、各側板12,15との摩擦を、支持部30において高めることが可能であるから、支持部30の形状を保つことが容易となる。
【0057】
[支持部30]
・包装箱1は、開口11Tと対向する方向から見て、少なくとも1箇所の角に、支持部30を備えていればよく、3箇所以上の支持部30を備える構成に変更することも可能である。
・包装箱1は、長さ面と幅面の大きさが同じであってもよい。すなわち、包装箱1は、開口11Tと対向する方向から見て、正方形であってもよい。
【符号の説明】
【0058】
1…包装箱、1A…下包装箱、1B…上包装箱、2…ブランクシート、11…底板、11F1,11F3,16F1,16F3…外フラップ、11F2,11F4,16F2,16F4…内フラップ、11T…開口、12…前板、12A,13A,14A,15A…側板隅部、12B,13B,14B,15B…フラップ隅部、12C,13C,15C,17C…縦罫線、12DC,12UC,13DC,13UC,14DC,14UC,15DC,15UC…横罫線、12R,13R,14R,15R…稜、12U,13U,14U,15U…天縁、13…後板、14…左板、15…右板、16…天板、16E1,16E3…フラップ端部、20…支持構造、21…第1切断予定線、22…第2切断予定線、23,24…折り目線、30…支持部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6