(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記テーパー部は、少なくとも一つの窪み部、及び/又は少なくとも一つの突起部を備えることを特徴とする請求項4から請求項6のいずれか一項に記載の圧搾溝の形成装置。
液透過性の表面シートを前記吸収体に重ね、前記表面シートに前記凸部を当接させ、前記凸部で前記表面シート及び前記吸収体を圧搾して前記表面シート及び前記吸収体に前記圧搾溝を形成することを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の圧搾溝の形成装置。
前記凸部は、最小断面積となる断面において、第1側面部と、前記第1側面部に対向する第2側面部と、前記第1側面部と前記第2側面部との間に配置される天面部と、前記第1側面部と前記天面部とを連続的に接続するテーパー部と、を備え、
前記ベルトの回転に伴って、前記吸収体に、前記テーパー部により圧搾された仮プレス領域と、前記天面部により圧搾された圧搾領域とを形成する、前記吸収体を圧搾するステップと、
前記テーパー部により圧搾された仮プレス領域が、非圧搾領域と前記天面部により圧搾された圧搾領域との間を滑らかに繋ぐように復元するステップと、
をさらに含むことを特徴とする請求項10から請求項12のいずれか一項に記載の圧搾溝の形成方法。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の実施形態について、
図1から
図12を参照しながら詳細に説明する。ただし、本発明は本実施形態の態様に限定されるものではない。
【0026】
なお、本明細書および特許請求の範囲の記載において、「圧搾溝」とは、エンボス加工により吸収体を圧縮することで形成される溝を指すものとして参照される。吸収体のうち圧搾溝が形成されている部位は、それ以外の部位と比較して高い密度となっている。
【0027】
また、本明細書の記載において、MD方向は吸収体の製造工程における吸収体の搬送方向を表し、CD方向は当該MD方向に直交する方向を表す。
【0028】
<おむつの概要>
図1は、本発明の実施形態に係るおむつの一例を示す正面側から見た斜視図であり、
図2は、
図1に示されるおむつの展開した状態をトップシート側から見た模式的な平面図であり、
図3は、
図2に示されるおむつの分解斜視図である。ここで、
図2のおむつ及び
図3の吸収体については、説明の便宜上、部分的に破断した状態をそれぞれ示している。
【0029】
図1に示すように、本実施形態に係るおむつの一例として、展開型の使い捨ておむつについて説明する。おむつ10は、前身頃領域10Fと、後身頃領域10Rと、これら前身頃領域10F及び後身頃領域10Rをつなぐ股下領域10Cとを備えている。また、着用時に前身頃領域10Fと後身頃領域10Rとで着用者のウエストの部分を取り囲むウエスト周り開口部10Wが形成されている。同様に、前身頃領域10F及び後身頃領域10Rの下端部と股下領域10Cとで着用者の両脚の太股部分を取り囲む左右一対の脚周り開口部10Lが形成されている。
【0030】
おむつ10の着用時に、前身頃領域10Fは着用者の腹側に位置し、後身頃領域10Rは着用者の背側に位置する。そして、着用時に股下領域10Cは、着用者の股下を覆い、左右一対の脚周り開口部10Lに、着用者の脚がそれぞれ通された形となる。したがって、脚周り開口部10Lは、着用者の両脚の付け根から太股あたりのいずれかに位置することとなる。
【0031】
おむつ10は、股下領域10Cと共に前身頃領域10F及び後身頃領域10Rを覆うように設けられたカバーシート11と、カバーシート11の後身頃領域10Rの左右両端縁部に接着された左右一対のファスニングテープ10Aと、カバーシート11の前身頃領域10Fに接着されたフロントパッチシート10Bとをさらに備えている。ファスニングテープ10Aはフロントパッチシート10Bに対して繰り返し剥離可能に接合され、この接合状態においては、脚周り開口部10L及びウエスト周り開口部10Wが形成されている。
【0032】
仮想線Pは、おむつ中央部において腹側から股下部分を通って背側に向かって延びるものである。具体的には、仮想線Pは、例えば、おむつのウエスト側を上、股下側を下として定義すると、おむつ表面に沿って、かつ上下方向に延びると共に、股下部分を経由して、背側においても上下方向に延びるものである。
【0033】
図2及び
図3に示すように、おむつ10は、外側から順に、良好な手触りを得るために薄い不織布にて形成されるカバーシート11と、液不透過性を有するバックシート(裏面シート)12と、吸収体13と、液透過性を有するトップシート(表面シート)14と、疎水性のシート部材で構成された一対の立体ギャザー(サイドシート)15とを重ねた積層構造を有しているものである。
【0034】
カバーシート11は、股下領域10Cの左右両側にそれぞれ脚周り開口部10Lとなる一対の切欠き部11Nが形成されている。カバーシート11と、後述する一対の立体ギャザー15との間には、脚周りギャザーを形成するための一対の糸ゴム16がそれぞれ伸張状態で接着されている。
【0035】
バックシート12は、一側でカバーシート11に接合されるとともに、他側で吸収体13を介してトップシート14に接合される。また、バックシート12のうち、後身頃領域10Rの上端部に対応する領域には、バックシート12の幅方向に沿って延び、着用者に対してウエスト周りに適度な着用感を与えるための弾性シート10Dが接合されている。
【0036】
吸収体13は、主にパルプとパルプ中に略均一に分散配置されているSAPとで構成された吸収性コア17を、ティシュや不織布等の被覆部材(コアラップ)18によって包んだマット状のものである。吸収性コア17を被覆部材18により包むことで形成される継ぎ目は、例えば、
図3に示すように、吸収体13の上面であって前後方向(
図2における仮想線Pの延在方向)に延びるように形成される。この吸収体13には、SAPの割合が比較的多い、つまり、目付(単位面積当りの重さ)が多いロング用、及び、SAPの割合が比較的少ない、つまり、目付が少ないショート用がある。本実施形態の吸収体13は、前身頃領域10F、股下領域10C、後身頃領域10Rに亘るように、細長い形状をしている。ここで、前後方向(
図2における仮想線Pの延在方向)に直交する方向を左右方向とすると、本実施形態の吸収体13は、前後左右の長さが異なる矩形のものである(
図2及び
図3では、前後の長さが左右の長さより長くなっている)。
【0037】
なお、本実施形態の吸収体13の形状はこれに限らず、例えば、前後左右の長さが同程度の略正方形のもの、前後端の角が丸く落とされているもの、前後に延びる楕円形のもの、円形のもの等、さまざまな形状を含む。また、吸収体13の股下部分には、一対の脚周り開口部10Lに対応するように、円弧状をなす一対の切欠き部が形成されても良い。
【0038】
吸収体13の表面には、複数の圧搾溝20が連続的に形成され、斜め格子状に配列されている。この圧搾溝20は、後述する圧搾溝の形成装置100によって吸収体13を圧搾することにより形成される。圧搾溝20が連続的に形成されることで、この連続した圧搾溝を介して空気が腹側または背側に通り抜けることができるようになり、通気性を確保することが可能となる。また、吸収体13に圧搾溝20を設けることにより、液体を吸収体13全体へと迅速に拡散させて、吸収体13全体を使用して効率よく吸収させることが可能となる。さらに、圧搾溝20において折れ曲がりやすくなり、おむつ10のフィット感を向上させることが可能となる。
【0039】
一対の立体ギャザー15は、吸収体13の前後方向に沿って設けられ、吸収体13の前後方向に延びる両側縁部のうち、一方の側縁部は略直線形状を呈し、他方の側縁部には、股下付近に切欠き部15Nが形成されている。一対の立体ギャザー15の内側部分がトップシート14に対して非接合状態となっており、立体ギャザー15は、その略直線形状の側縁部に自由端を含む。この自由端には、引っ張り力を作用する弾性部材である糸ゴム19が吸収体13の前後方向に沿って伸張状態で配置されている。一対の立体ギャザー15は、この糸ゴム19により、着用状態において吸収体13の両側縁部に沿って起立可能となる。
【0040】
次に、上記吸収性物品10の吸収体13を圧搾するための、本実施形態における圧搾溝の形成装置100の詳細について説明する。
【0041】
<圧搾溝の形成装置>
図4は、本発明に係る圧搾溝の形成装置の一実施形態を示す斜視図であり、2つのベルトで吸収体を圧搾している様子について説明するための図であり、
図5は、
図4に示される2つのベルトで吸収体を圧搾しているときの断面図であり、
図5(a)はMD方向における断面図、
図5(b)はCD方向における断面図である。
図6は、
図4に示される凸部のVI−VI方向の断面形状を拡大した模式図であって、凸部51の細部について説明するための図である。
図6中の破線は、第1ベルト50の外周面50Eを表す。
【0042】
圧搾溝の形成装置100は、MD方向に延在する第1ベルト50と、第1ベルト50に対向し、MD方向に延在する第2ベルト60(対向部材)と、第1ベルト50の周回軌道であるMD方向の一端部に掛け回される第1ロール30と、第1ベルト50の周回軌道であるMD方向の他端部に掛け回される第3ロール70と、第2ベルト60の周回軌道であるMD方向の一端部に掛け回され、第1ロール30に対向する第2ロール40と、第2ベルト60の周回軌道であるMD方向の他端部に掛け回され、第3ロール70に対向する第4ロール80と、第1ロール30及び第3ロール70の間に配置される第1補助ロール91と、第2ロール40及び第4ロール80の間に配置され、第1補助ロール91に対向する第2補助ロール92とを備えて構成される。
【0043】
本実施形態では、第1ベルト50及び第2ベルトの材質は、特に限定されないが、例えば、ゴム製、樹脂製等が好ましい。
【0044】
第1ベルト50は、第1ロール30の外周面30E及び第3ロール70の外周面70Eに滑ることなく当接している。この第1ベルト50は、第1ロール30及び第3ロール70の回転方向Bへの回転に伴い、時計回りに周回軌道を周回する。同様に、第2ベルト60は、第2ロール40の外周面40E及び第4ロール80の外周面80Eに滑ることなく当接している。この第2ベルト60は、第2ロール40及び第4ロール80の回転方向Cへの回転に伴い、反時計回りに周回軌道を周回する。
図4で示すように、第1ロール30、第2ロール40、第3ロール70及び第4ロール80の回転軸は、それぞれX
30,X
40,X
70,X
80とする。ここで、第1ロール30、第2ロール40、第3ロール70及び第4ロール80のうち少なくとも一つが駆動回転することにより、第1ベルト50及び第2ベルト60はそれぞれの周回軌道を周回する。また、第1ベルト50及び第2ベルト60は、所定の周回軌道を周回するとともに、MD方向の上流からA方向に流れてきた連続する吸収体13を、第1ベルト50及び第2ベルト60の間で圧搾し、圧搾溝20を形成する。
【0045】
本実施形態における圧搾溝の形成装置100は、吸収体13を一対のロールの間で圧搾するもの(特許文献1参照)ではなく、吸収体13を一対のベルトの間で圧搾しつつ搬送するものである。このため、第1ベルト50及び第2ベルト60の対向する周回軌道の長さを調整することにより、吸収体13の搬送速度を高速化させても、所望の圧搾する時間を確保することができるため、吸収体13を圧搾する圧力を比較的小さくすること、つまり、圧搾の衝撃を抑制することができる。
【0046】
第1補助ロール91及び第2補助ロール92(補助押圧手段)は、第1ベルト50及び第2ベルト60を介して互いに対向しており、それぞれ矢印D及び矢印Eの方向に移動可能である。第1ベルト50及び第2ベルト60は、吸収体13を圧搾しながらMD方向の下流に搬送する。しかしながら、各ベルトのMD方向の距離が長くなると、各ベルトに撓みが生じ、所望の圧力で圧搾することが困難となる。よって、第1ベルト50及び第2ベルト60が吸収体13を所望の圧力で圧搾し得るように、第1補助ロール91及び第2補助ロール92が、互いに離接可能に構成されている。
【0047】
本実施形態では、第1補助ロール91及び第2補助ロール92は、それぞれ一個配置されているが、これに限らず複数個配置してもよい。また、第1補助ロール91の外周面91E及び第2補助ロール92の外周面92Eの少なくとも対向する側を、第1ベルト50及び第2ベルト60に、常時接触させているが、圧搾する圧力を調整する時のみ接触させてもよい。さらに、第1補助ロール91及び第2補助ロール92は、第1ベルト50及び第2ベルト60に接触した際に、それぞれの回転軸X
91,X
92を中心に回転方向B及び回転方向Cに回転するものであるが、回転せずに滑るものでもよい。また、第1補助ロール91及び第2補助ロール92の外径を、第1ロール30、第2ロール40、第3ロール70及び第4ロール80の外径と略同程度としているが、これに限定されるものではない。
【0048】
本実施形態では、第1補助ロール91及び第2補助ロール92を用いて、第1ベルト50及び第2ベルト60が吸収体13を所望の圧力で圧搾し得るようにしているが、例えば、第1補助ロール91及び第2補助ロール92の代わりに、少なくとも一方を平板としてもよい。
【0049】
本実施形態では、第1ベルト50及び第2ベルト60の隙間を、各ロール(30,40,70,80,91,92)の位置を移動させ、調整することができる。例えば、第1ベルト50及び第2ベルト60の隙間を一定として、吸収体13を一定の圧力で圧搾し得るようにしてもよい。また、第1ベルト50及び第2ベルト60の隙間を、各ベルトが対向する少なくとも一部の領域において漸減させて、吸収体13を漸増する圧力で圧搾し得るようにしてもよい。
【0050】
図4に示すように、第1ベルト50は、外周面50Eと、外周面50Eから外方に突出する凸部51とを有し、凸部51で吸収体13を圧搾して吸収体13に圧搾溝20を形成するように構成される。第2ベルト60は、外周面60Eを有し、第1ベルト50と共に周回することによって、吸収体13を圧搾するように構成される。凸部51は、第1方向に沿って延びる第1凸部51aと、第1凸部51aに対して交差状態で、第1方向と異なる第2方向に沿って延びる第2凸部51bと、を含む。つまり、第1凸部51a及び第2凸部51bは、格子状に形成されている。第1ベルト50は、第1凸部51aで吸収体13を圧搾して吸収体13に後述する第1圧搾溝20aを形成し、第2凸部51bで吸収体13を圧搾して吸収体13に後述する第2圧搾溝20bを形成するように構成される(後述する
図10を参照)。
【0051】
本実施形態では、凸部51は、第1ベルト50及び第2ベルト60と一体に設けられてもよいし、別体に設けられてもよい。また、凸部51の延在方向(第1方向、第2方向)に垂直な断面形状は、例えば、台形、長方形、多角形等、様々な態様を採用することができる。以下に、凸部51の最適な断面形状の一実施形態を示す。
【0052】
図6に示すように、
図4に示される凸部51のVI−VI方向、つまり、凸部51の延在方向に垂直な断面(最小断面積となる断面)において、において、凸部51は、第1側面部511Sと、第1側面部511Sより第1ベルト50の移動方向Mと反対側に位置する第2側面部512Sと、第1側面部511Sと第2側面部512Sとの間に配置される天面部510Uと、第1側面部511Sと天面部510Uとを連続的に接続する第1テーパー部513Tと、第2側面部512Sと天面部510Uとを連続的に接続する第2テーパー部514Tとを備える。凸部51において、第1ベルト50の移動に伴い、第1側面部511S、第1テーパー部513T、天面部510U、第2テーパー部514T及び第2側面部512Sが吸収体13を圧搾するように構成されている。
【0053】
凸部51について詳細に説明する。第1ベルト50の外周面50Eと第1側面部511Sとの交点を第1交点521P、第2側面部512Sと第1ベルト50の外周面50Eとの交点を第2交点522P、第1側面部511Sと第1テーパー部513Tとの交点を第3交点523P、第2側面部512Sと第2テーパー部514Tとの交点を第4交点524P、第1テーパー部513Tと天面部510Uとの交点を第5交点525P、第2テーパー部514Tと天面部510Uとの交点を第6交点526Pとする。また、第1交点521Pと第2交点522Pを結ぶ直線を第1直線531L、第1直線531Lの垂直二等分線を第2直線532Lとする。
【0054】
さらに、第3交点523Pを通る第1直線531Lに対する平行線を第1平行線541PL、第4交点524Pを通る第1直線531Lに対する平行線を第2平行線542PL、第5交点525Pを通る第1直線531Lに対する平行線を第3平行線543PL、第6交点526Pを通る第1直線531Lに対する平行線を第4平行線544PLとする。また、第3交点523Pを通る第1直線531Lに対する法線を第1法線551NL、第4交点524Pを通る第1直線531Lに対する法線を第2法線552NL、第5交点525Pを通る第1直線531Lに対する法線を第3法線553NL、第6交点526Pを通る第1直線531Lに対する法線を第4法線554NLとする。第1側面部511Sと第1直線531L(第1平行線541PL)との成す鋭角な角度をα1、第2側面部512Sと第1直線531L(第2平行線542PL)との成す鋭角な角度をα2、第1テーパー部513Tと第3平行線543PLとの成す鋭角な角度をβ1、第2テーパー部514Tと第4平行線544PLとの成す鋭角な角度をβ2とする。第1法線551NLと第3法線553NLとの距離L1、第2法線552NLと第4法線554NLとの距離L2、第3法線553NLと第4法線554NLとの距離L3とする。
【0055】
本実施形態における凸部51は、第2直線532Lを対称軸とした線対称の形状となっている。つまり、第1側面部511S及び第1テーパー部513Tは、第2側面部512S及び第2テーパー部514Tと、第2直線532Lを対称軸として線対称な形状となっている。また、天面部510Uは、第1直線531Lと平行であり、角度α1は角度α2と等しく、角度β1は角度β2と等しく、距離L1は距離L2と等しくなっている。さらに、角度α1及び角度α2は、角度β1及び角度β2より大きく、距離L3は距離L1及び距離L2より長くなっている。
【0056】
本実施形態では、第1側面部511Sと第1テーパー部513Tとの接続部分、第2側面部512Sと第2テーパー部514Tとの接続部分、第1テーパー部513Tと天面部510Uとの接続部分、第2テーパー部514Tと天面部510Uとの接続部分が角を有しているが、本発明はこれに限られず、面取りが施されたものであってもよい。このように、凸部51のうち吸収体13に接触可能な部分が曲面で構成することは、吸収性コア17上に積層された被覆部材18の破損を防止するという効果を奏する上で好ましい。
【0057】
<製造方法>
本実施形態におけるおむつ10は、例えば、以下の工程を含む製造方法により製造される。
(1)先ず、主にパルプとパルプ中に略均一に分散配置されているSAPとで構成された吸収性コア17を被覆部材18で包み、連続するマット状の吸収体13を生成する。
(2)そして、
図4および
図5に示すように、圧搾溝20の形成装置100は、MD方向の上流からA方向に流れてきた連続する吸収体13を、周回軌道を周回する第1ベルト50及び第2ベルト60との間で圧搾し、連続する吸収体13にエンボス加工を施す。
(3)次に、エンボス加工後の連続する吸収体13をMD方向の下流に流し、切断装置によりおむつ1枚分に必要な長さで切断されて、トップシート14、バックシート12、カバーシート11等と接合された後、おむつ10が製造される。
【0058】
ここで、工程(2)について詳細に説明する。
図7は、
図6に示されるベルトで吸収体を圧搾しているときのMD方向における断面図である。
図7(a)凸部による圧搾の開始時、
図7(b)は圧搾時の吸収体の厚みhが縮小時、
図7(c)は凸部により圧搾の継続時(圧搾時の吸収体の厚みhが最小時)、
図7(d)は凸部が圧搾溝から離間した時、の様子をそれぞれ表す。
図7(a)乃至
図7(d)では、説明の便宜上、凸部51の1つの断面に焦点を当て、凸部51の他の断面及び第2ベルト60については省略する。
【0059】
ここで、発明者は、圧搾溝20における吸収性コア17と被覆部材18との定着力は、吸収体13におけるパルプ同士の咬合よりも、吸収性コア17に分散配置されているSAPとパルプとの結合による影響が大きいことを発見した。つまり、圧搾の衝撃により、SAPが圧搾領域201Bから周辺領域へと飛散することが圧搾溝20における吸収性コア17と被覆部材18との定着力を低下させる原因であった。したがって、圧搾領域201Bにおいて、SAPの飛散防止を行い、飛散防止された多くの吸収性コア17のSAPと被覆部材18のパルプとの結合を効率よく行っている。以下に、このSAPの飛散防止を行う手段について、詳細を説明する。
【0060】
図6及び
図7(a)乃至
図7(d)に示すように、凸部51は、天面部510Uに対する移動方向M側に第1テーパー部513Tと、天面部510Uの移動方向Mと反対側に第2テーパー部514Tとを備えている。ここで、第1ベルト50の移動方向Mへの移動に伴って、凸部51の対応する形状が吸収体13を圧搾し、圧搾溝20を形成する。圧搾溝20の形成時(
図7(a)乃至
図7(c)参考)では、圧搾溝20には、天面部510Uが吸収体13を圧搾する領域である圧搾領域201B(図中の濃いドットパターン)と、第1テーパー部513T及び第2テーパー部514Tが吸収体13を圧搾する領域である仮プレス領域202B(図中のやや濃いドットパターン)とが形成されている。また、圧搾溝20の形成終了時(
図7(d)参考)では、圧搾溝20には、天面部510Uが吸収体13を圧搾する領域である圧搾領域201A(図中の濃いドットパターン)が形成されている。
【0061】
本実施形態においては、吸収体13の搬送速度を高速化させて、吸収体13に圧搾溝20を形成している。ここで第1ベルト50及び第2ベルト60の対向する周回軌道の長さを調整し、所望の圧搾する時間を確保しているため(
図7(c)参照)、吸収体13を圧搾する圧力を比較的小さくすること、つまり、圧搾の衝撃を抑制することができる。
【0062】
凸部51が吸収体13の圧搾を開始する時(
図7(a)参照)において、吸収体13への圧搾の衝撃を抑制するために、圧搾する圧力を比較的小さくしている。ここで、天面部510Uが吸収体13を圧搾することにより、圧搾領域201Bが形成されつつあるとともに、第1テーパー部513T及び第2テーパー部514Tが吸収体13を圧搾することにより、仮プレス領域202Bが形成されつつある。この仮プレス領域202Bでは、テーパー部のない天面部のみの凸部が圧搾する場合と比較して、圧搾する圧力が小さく、従ってその領域に与えられる圧搾の衝撃(運動エネルギー)が小さくなる。また、仮プレス領域202Bでは、非圧搾領域と比べ相対的に密度が高いことから、従来であれば、天面部510Uの圧搾の衝撃によって、圧搾領域201Bから周辺領域へと飛散していたSAPは、比較的小さい圧搾圧力及び仮プレス領域202Bの存在により、周辺領域への飛散が抑制される。
【0063】
本実施形態において、凸部51が吸収体13の圧搾を開始する時が、圧搾の衝撃により、SAPが圧搾領域201Bから周辺領域へと飛散する可能性が最も高くなっている。この圧搾の衝撃を抑制するために、例えば、第2ベルト60の周回軌道を定める第2ロール40の回転軸X
40及び第4ロール80の回転軸X
80を互いに同一平面状に配置するとともに、第1ベルト50の周回軌道を定める第1ロール30の回転軸X
30及び第3ロール70の回転軸X
70を、第1ベルト50及び第2ベルト60の隙間が上流側から下流側へと漸減するように配置することができる。これにより、圧搾の衝撃を、プレス装置と同様に、下流に向かって漸減する第1ベルト50及び第2ベルト60の隙間によって与えることができる。これにより、吸収体13の搬送速度をさらに高速化させても、圧搾の衝撃を抑制することができる。
【0064】
圧搾時の吸収体の厚みhが縮小時から凸部により圧搾の継続時(圧搾時の吸収体の厚みhが最小時)(
図7(b)及び
図7(c)参照)において、第1テーパー部513T及び第2テーパー部514Tが吸収体13を所望の圧搾する時間をかけて圧搾することにより、仮プレス領域202Bにおける吸収体13の密度が、凸部51が吸収体13の圧搾を開始する時(
図7(a)参照)と比べ高くなっている。これにより、圧搾領域201Bから隣接する仮プレス領域202BへのSAPの飛散がより防止される。また、圧搾領域201Bにおける吸収体13の密度も、凸部51が吸収体13の圧搾を開始する時(
図7(a)参照)と比べ高くなっている。これにより、比較的小さい圧搾圧力にもかかわらず、圧搾領域201Bにおいて、飛散防止された多くのSAPとパルプとの結合、つまり、吸収性コア17のSAPと被覆部材18のパルプとの結合を効率よく行うことができる。よって、圧搾溝20における吸収性コア17と被覆部材18との定着力を向上させることができるとともに、吸収体13における通気性も向上させることができる。
【0065】
ここで、圧搾領域201Bは、天面部510Uにより吸収体13が圧搾され、SAPとパルプとの結合力により不可逆的に形成されるもの、つまり、SAPとパルプとの結合力が、吸収体13の復元力より大きくなるように形成されるものである。一方、仮プレス領域202Bは、第1テーパー部513T及び第2テーパー部514Tにより吸収体13が圧搾され、SAPとパルプとの結合力より一時的に形成されるもの、つまり、SAPとパルプとの結合力が、吸収体13の復元力(
図8の矢印F参照)より小さくなるように形成されるものである。
【0066】
また、従来では、ロールを用いて吸収体13に圧搾溝20を形成する際に、(1)圧搾する圧力を高くし、(2)ロールを比較的高速で回転させると、形成される圧搾溝20における繊維素材が被覆部材内で大きく移動してしまい、圧搾溝20を形成する吸収体13の所定の密度を実現できない場合があった。特に、吸収体13を構成するSAPは、圧搾時の衝撃により、その周囲の繊維素材に対して相対的に大きく移動、つまり、飛散し、圧搾領域におけるSAPの必要な密度を維持できないことがあった。しかしながら、本実施形態では、吸収体13は、第1ベルト50及び第2ベルト60により、圧搾状態(
図7(c)参照)を維持されながら搬送されている。このため、第1ベルト50及び第2ベルト60の対向する周回軌道の長さを調整することにより、吸収体13の搬送速度を高速化させても、所望の圧搾時間を確保することが可能である。したがって、圧搾する時間を比較的長くすることができるため、圧搾の衝撃を抑制するために、圧搾する圧力を比較的小さくしても、吸収性コア17のSAPと被覆部材18のパルプとの結合を確実に行うことができるとともに、比較的細かい圧搾溝20を形成することができる。
【0067】
凸部51が圧搾溝20から離間した時(
図7(d)参照)において、圧搾領域201Aは、SAPがパルプとの結合により不可逆的な圧搾が起きており、フィルム状となっている。一方、凸部51が圧搾溝20から離間するとともに、仮プレス領域202Bは、吸収体13の復元力(
図8の矢印F参照)が、SAPとパルプとの結合力より大きいことから復元し、密度変化領域203Aの一部へと変化する(
図8参照)ものである。よって、圧搾溝20は、圧搾領域201Aと密度変化領域203Aとから構成される。
【0068】
本実施形態では、仮プレス領域202Bが一時的に形成されるように、第1テーパー部513T及び第2テーパー部514Tと天面部510Uとの成す角度β1(β2)(
図6参照)を適切に設定している。例えば、SAPの割合が多い吸収体13(ロング用)では、SAPの割合が少ない吸収体13(ショート用)と比べて、圧搾時にパルプと結合するSAPの量が多くなるため、角度β1(β2)を大きく設定し、SAPとパルプとの結合力が、吸収体13の復元力より大きくならないようにしている。
【0069】
ここでは、凸部により圧搾の継続時から凸部が圧搾溝から離間した時の形状変化を詳細に説明する。
図8は、
図7(c)及び
図7(d)における圧搾溝の断面形状を拡大した模式図である。ここで、
図7(c)の凸部により圧搾の継続時、つまり、圧搾溝20の形成時における断面形状は破線で示され、
図7(d)の凸部が圧搾溝から離間した時、つまり、圧搾溝20の形成終了時における断面形状を実線で示される。
【0070】
圧搾溝20の形成時における断面形状(図中の破線)は、圧搾領域201B(図中の濃いドットパターン)と、仮プレス領域202B(図中のやや濃いドットパターン)と、密度変化領域203Bと、非圧搾領域204とから形成されている。ここで、仮プレス領域202Bの表面積をS1とし、密度変化領域203Bの表面積をS2とする。一方、圧搾溝20の形成終了時における断面形状(図中の実線)は、圧搾領域201Aと、密度変化領域203Aと、非圧搾領域204とから形成されている。ここで、密度変化領域203Aの表面積をS3とする。
【0071】
本実施形態における仮プレス領域202Bは、吸収体13の復元力(図中の矢印F参照)が、SAPとパルプとの結合力より大きいことから復元し、密度変化領域203Aの一部へと変化する。つまり、仮プレス領域202Bの表面積S1は、密度変化領域203Aの表面積S3の一部となる。
【0072】
ここで、圧搾溝20の形成終了時における断面形状(図中の実線)についてみると、圧搾領域201Aは、吸収体13の密度が最も高い領域であり、非圧搾領域204は、吸収体13の密度が最も低い領域である。また、密度変化領域203Aは、密度が最も高い圧搾領域201Aから最も密度の低い非圧搾領域204に向かって密度が漸減する領域である。ここで、密度変化領域203Aは、非圧搾領域204より圧縮されているため、吸収体13を構成するパルプ間の距離が適度に縮まっていることから、毛管力が高まって液体の吸収力を向上させる効果を奏するものと考えられる。また、圧搾溝20の形成時から圧搾溝20の形成終了時までの間に、仮プレス領域202Bは、主に液体の吸収を行う密度変化領域203Aの一部へと変化する。よって、密度変化領域203Aの表面積S3は、密度変化領域202Bの表面積S2より増加することから、液体の吸収力を向上させる効果を奏するものと考えられる。
【0073】
本実施形態において、第1テーパー部513T及び第2テーパー部514Tが吸収体13を圧搾することにより、圧搾領域201Bを囲むように仮プレス領域202Bを形成させることができる。よって、吸収体13の搬送速度を高速化させても、圧搾領域201Bから周辺領域へのSAPの飛散を確実に防止することができる。これにより、圧搾領域201Bにおいて、飛散防止された多くのSAPとパルプとの結合、つまり、吸収性コア17のSAPと被覆部材18のパルプとの結合を効率よく行うことができるため、圧搾溝20における吸収性コア17と被覆部材18との定着力を向上させることができる。
【0074】
本実施形態では、吸収体13を圧搾することで、圧搾溝20を形成しているが、本発明はこれに限られない。例えば、吸収体13とトップシート14とを積層したものに対して圧搾することによって、圧搾溝20を形成してもよい。また、吸収体13とトップシート14とを積層したものに対して圧搾する場合、予め分けられた(例えば切断された)吸収体13とトップシート14とを接合したものに対して、圧搾が施されてもよい。
【0075】
図9は、
図4に示される2つのベルトで圧搾する別の実施形態を示す模式的な断面図であり、吸収体及びトップシートを圧搾する様子について説明するための図である。トップシート14は、
図9に示すようにMD方向へと連続している。複数の吸収体13はそれぞれ、予め積層されてマット状になっており、おむつ10の1枚分に切り分けられている。この複数の吸収体13は、それぞれ一定間隔を空けて、連続するトップシート14に接合(例えば接着)されている。
【0076】
複数の吸収体13と連続するトップシート14とを積層したものは、
図9に示すように、A方向に流れ、上記実施形態と同様に、圧搾溝の形成装置100の第1ベルト50と第2ベルト60とで圧搾される。これにより、吸収体13とトップシート14とが一緒に圧搾され、吸収体13とトップシート14とを積層したものには、凸部51の圧搾により、圧搾溝20が形成されることになる。圧搾後の吸収体13およびトップシート14に、バックシート12、カバーシート11等を接合して、必要な長さに切断すると1枚のおむつ10が製造されることになる。
【0077】
次に、上述した圧搾溝の形成装置によって製造された吸収性物品の特に吸収体13に設けられた圧搾溝20の細部について説明する。
【0078】
<吸収体に形成される圧搾溝>
図10は、
図2に示される吸収体部分をトップシート側から見た模式的な平面図であり、吸収体に形成された圧搾溝について説明するための図である。また、
図11は、
図10における模式的な断面図であり、
図11(a)はXIa−XIa方向断面図、
図11(b)はXIb−XIb方向断面図である。
図11(a)は、
図5(b)に示す断面形状に対応するものである。
【0079】
吸収体13のトップシート14側には、
図10に示すように、第1凸部51aの第1方向に対応する第3方向に沿って延びる第1圧搾溝20aと、第2凸部51bの第2方向に対応する第4方向に沿って延びる第2圧搾溝20bとが形成されている。そして、第1圧搾溝20aおよび第2圧搾溝20bは、互いに平行に並んだ複数の溝でそれぞれ構成されている。仮想線Pの吸収体13上での位置は、前身頃領域上端から後身頃領域下端に向かって延びるものとなる。具体的には、吸収体13が細長い形状である場合、仮想線Pは、
図10に示すように、吸収体13の前後方向に延びるものである。圧搾溝20は、この仮想線Pに対して傾斜して延びる。すなわち、仮想線Pを軸として側辺に沿った方向、例えば、前後方向に対し、第1圧搾溝20aは、一方側に角度εで傾斜し、第2圧搾溝20bは、他方側に角度ζで傾斜する。
【0080】
本実施形態では、角度εと角度ζは同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、
図10では、複数の第1圧搾溝20aはそれぞれ同じ角度で傾斜し、一定間隔で配置されている。すなわち、各第1圧搾溝20aが平行かつ一定間隔で配置されているが、本発明はこれに限らず、圧搾溝20の間隔が一定でないものや、各圧搾溝20の傾斜角度が異なるものも含む。第2圧搾溝20bについても同様である。
【0081】
圧搾溝20は、吸収体13の幅方向(
図10における左右方向)の端部まで形成されているのではなく、吸収体13の前後方向(
図10における仮想線Pの延在方向)に沿った帯状に形成されている。圧搾溝20が形成されている吸収体13の領域を圧搾溝形成領域N1とし、圧搾溝20が形成されていない吸収体13の幅方向両端部の領域を圧搾溝非形成領域N2とする。この圧搾溝非形成領域N2を設けることで、股下領域10Cの幅方向両端部からの液体漏れを抑制することが可能となる。
【0082】
本実施形態では、圧搾溝非形成領域N2を備えているが、本発明はこの形態に限らず、吸収体13の幅方向(
図10における左右方向)の端部まで圧搾溝20が設けられていてもよいことは言うまでもない。したがって、本発明は、圧搾溝非形成領域N2を設けない構成であってもよい。なお、本発明は、圧搾溝20が吸収体13の前後方向の端部まで形成されない態様を許容するものである。
図10に示すように、当該前後方向端部まで形成される場合には、通気性および蒸れ防止を向上させることが可能となる。
【0083】
図11(a)及び
図11(b)に示すように、吸収体13及びトップシート14が圧搾されて形成された圧搾溝20の形状は、吸収体13が圧搾されて形成された圧搾溝20(
図7(d)及び
図8参照)と同様に、仮プレス領域202Bのない台形形状となっている。つまり、第1テーパー部513T及び第2テーパー部514T(
図6乃至
図8参照)の圧搾により形成された仮プレス領域202B(
図7及び
図8参照)は、吸収体13の復元力(図中の矢印F参照)が、SAPとパルプとの結合力より大きいことから復元し、密度変化領域203Aの一部へと変化する。
【0084】
上記実施形態と同様に、圧搾の衝撃により、圧搾領域201Bから周辺領域へと飛散していたSAPは、第1ベルト50及び第2ベルト60による比較的小さい圧搾圧力及び仮プレス領域202Bの存在により、周辺領域への飛散が抑制される。これにより、圧搾領域201Bにおいて、飛散防止された多くのSAPとパルプとの結合、つまり、吸収性コア17のSAPと被覆部材18のパルプとの結合のみならず、吸収性コア17のSAPとトップシート14のパルプとの結合を効率よく行うことができる。したがって、圧搾溝20における吸収性コア、被覆部材及びトップシート14との定着力を向上させることができ、吸収体13における通気性も向上させることができる。さらに、仮プレス領域202Bは、主に液体の吸収を行う密度変化領域203Aの一部へと変化する。つまり、密度変化領域203Aの表面積S3は、密度変化領域202Bの表面積S2より増加することから、液体の吸収力を向上させる効果を奏するものと考えられる(
図8参照)。
【0085】
<変形例>
本発明は、上述した実施形態に限られることなく、本発明の技術的思想から逸脱しない範囲で、適宜の変更や変形が可能である。
【0086】
例えば、上記実施形態に係るおむつの構造は、上述したような展開型に限定されるわけではなく、特許請求の範囲に規定された吸収性物品の構成を含むおむつでありさえすれば、どのような構成であってもよい。例えば、パンツ型の使い捨ておむつや、尿パッド等であっても本発明を適用可能である。
【0087】
図12は、本発明に係る凸部の断面形状の変形例を示す拡大した模式図であり、
図12(a)はテーパー部に窪み部を設けた凸部の例、
図12(b)はテーパー部に突起部を設けた凸部の例を示す図である。
【0088】
図12(a)において、凸部の断面形状の変形例として、凸部131が、第1テーパー部1513T及び第2テーパー部1514Tに窪み部1515Dを設けている。第1テーパー部1513T及び第2テーパー部1514Tが吸収体13を圧搾する際に、窪み部1515Dには吸収体13が入り込むため、仮プレス領域202Bにおける吸収体13の密度を低くすることができる。よって、窪み部1515Dを設けることにより、仮プレス領域202Bにおける密度を低くする調整ができるため、仮プレス領域202Bを、より不可逆的な圧搾が起こり難いように、つまり、復元可能となるように形成することができる。
【0089】
図12(b)において、凸部の断面形状のさらなる変形例として、第1テーパー部2513T及び第2テーパー部2514Tに突起部2515Pを設けている。第1テーパー部2513T及び第2テーパー部2514Tが吸収体13を圧搾する際に、突起部2515Pが吸収体13を圧搾するため、仮プレス領域202Bにおける吸収体13の密度を高くすることができる。よって、突起部2515Pを設けることにより、仮プレス領域202Bにおける密度を高くする調整ができ、圧搾領域201Bから隣接する仮プレス領域202BへのSAPの飛散をより確実に防止することができる。
【0090】
上記実施形態では、各テーパー部に対して一つの窪み部1515D(
図12(a)参照)及び各テーパー部に対して一つの突起部2515P(
図12(b)参照)を設けるものであるが、これに限られない。例えば、少なくとも一方のテーパー部に、少なくとも一つの窪み部及び/又は突起部を設けてもよい。
【0091】
上記実施形態では、窪み部1515D及び突起部2515Pに形状を半円形状としているが、この形状に限らず、例えば、三角形状や四角形状等、SAPの逃がし領域となる形状、又は、吸収体13に対して仮プレスができる形状であればよい。なお、突起部2515Pの先端を、吸収体13への破損を防ぐために、丸みを設ける形状を採用してもよい。
【0092】
上記実施形態では、複数の圧搾溝20が吸収体13の表面に連続して形成されることで、斜め格子状の配列パターンが出来上がっているが、これに限られない。複数の圧搾溝20は、例えば、吸収体13の表面に間欠的に形成されてもよいし、圧搾溝20の配列パターンは、例えば、三角形、六角形等の多角形の配列パターン、直線状、曲線状、または波状のものを並列したパターン等様々な配列パターンであってもよい。
【0093】
上記実施形態では、吸収体13のトップシート14側に圧搾溝20が形成されているがこれに限られず、吸収体13のバックシート12側や、吸収体13のトップシート14側およびバックシート12側に圧搾溝20を形成してもよい。
【0094】
上記実施形態に加えて、第1ベルト50を加熱し、吸収体13を圧搾するときに、圧搾部分に熱を加えることによって、吸収性コア17上に積層されたシート部分を構成する繊維を伸びやすくすることで、吸収性コア17上に積層されたシート部分をさらに破れ難くすることも勿論可能である。
【0095】
上記実施形態では、第1ベルト50及び第2ベルト60を、無端ベルトとし、各ローラを用いて駆動しているが、これに限られない。例えば、第1ベルト50及び第2ベルト60を、それぞれ有端ベルトとし、また、第1ローラ30及び第2ローラ40を、送り出し側のローラとし、第3ローラ70及び第4ローラ80を巻き取り側のローラとする。そして、第1ベルト50の各端部を、第1ローラ30及び第3ローラ70にそれぞれ固定し、第2ベルト60の各端部を、第2ローラ40及び第4ローラ80にそれぞれ固定して、巻き取り側のローラである第3ローラ70及び第4ローラ80の少なくとも一つを駆動するものであってもよい。この際、各ベルトの長さは、送り出し側のローラ及び巻き取り側のローラとの間隔より十分に長くすることにより、所望時間継続して吸収体13を圧搾することが可能となる。さらに例えば、第2ベルト60に代えて、第1ベルト50に対向するように配置される板部材(対向部材)を採用し、各ローラを用いて第1ベルト50を駆動させるとともに、吸収体13が板部材の上面を滑ることにより、第1ベルト50と板部材との間で吸収体13を圧搾してもよい。また、第1ベルト50と板部材との隙間が上流側から下流側まで一定であってもよいし、上流側から下流側へと漸減するように板部材を配置又は移動させてもよい。