特許第6881317号(P6881317)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6881317剥離シート用硬化性樹脂組成物、剥離シート、これを用いた工程基材、及び基材を保護する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6881317
(24)【登録日】2021年5月10日
(45)【発行日】2021年6月2日
(54)【発明の名称】剥離シート用硬化性樹脂組成物、剥離シート、これを用いた工程基材、及び基材を保護する方法
(51)【国際特許分類】
   C09D 4/02 20060101AFI20210524BHJP
   C09D 5/20 20060101ALI20210524BHJP
   C09D 7/63 20180101ALI20210524BHJP
   C09D 181/00 20060101ALI20210524BHJP
   C08F 20/18 20060101ALI20210524BHJP
   C08F 2/48 20060101ALI20210524BHJP
   C08G 75/045 20160101ALI20210524BHJP
   B32B 27/30 20060101ALI20210524BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20210524BHJP
   B32B 27/18 20060101ALI20210524BHJP
【FI】
   C09D4/02
   C09D5/20
   C09D7/63
   C09D181/00
   C08F20/18
   C08F2/48
   C08G75/045
   B32B27/30 A
   B32B27/00 L
   B32B27/18 Z
【請求項の数】6
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2017-557857(P2017-557857)
(86)(22)【出願日】2016年12月7日
(86)【国際出願番号】JP2016086353
(87)【国際公開番号】WO2017110472
(87)【国際公開日】20170629
【審査請求日】2019年11月11日
(31)【優先権主張番号】特願2015-250345(P2015-250345)
(32)【優先日】2015年12月22日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004341
【氏名又は名称】日油株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】特許業務法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】幸田 一洋
(72)【発明者】
【氏名】藤村 俊伸
(72)【発明者】
【氏名】土屋 宏充
【審査官】 青鹿 喜芳
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−306320(JP,A)
【文献】 特開平08−057864(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/187506(WO,A1)
【文献】 特開平03−297638(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/073364(WO,A1)
【文献】 特開平10−110035(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 1/00−201/00
B32B 27/00− 27/42
C08F 20/00− 20/70
C08G 75/00− 75/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)重量平均分子量が200〜2000である多官能チオール化合物と、
(B)重量平均分子量が200〜50000である多官能(メタ)アクリレートと、を含有し、
前記(A)成分と前記(B)成分との質量比((A)/(B))が5〜30であり、
(C)光重合開始剤を、前記(A)成分と前記(B)成分との合計質量100質量部に対し、0.01〜10質量部配合してなり、
オルガノシロキサン構造を有する単官能(メタ)アクリレート、チオリン酸ジエステル、ジチオリン酸ジエステル、ホスホン酸、及びホスホン酸モノエステルを含有しない、剥離シート用硬化性樹脂組成物。
【請求項2】
(D)重量平均分子量が90〜700であるアミン化合物を、前記(A)成分と前記(B)成分との合計質量100質量部に対して0.01〜50質量部配合してなる、請求項1に記載の剥離シート用硬化性樹脂組成物。
【請求項3】
単位重量中の(チオール基数)/((メタ)アクリロキシ基数)が0.1〜20である、請求項1又は2に記載の剥離シート用硬化性樹脂組成物。
【請求項4】
請求項1から請求項のいずれか一つに記載の剥離シート用硬化性樹脂組成物を硬化してなる剥離シート。
【請求項5】
基材に、請求項1から請求項のいずれか一つに記載の剥離シート用硬化性樹脂組成物を硬化した剥離シートが積層された工程基材。
【請求項6】
基材に、請求項1から請求項のいずれか一つに記載の剥離シート用硬化性樹脂組成物を塗布、硬化してなる剥離シートを保護層として設けることにより、基材を保護する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬化により、密着性及び柔軟性に優れた剥離シートを得ることができる剥離シート用硬化性樹脂組成物に関する。また本発明は、剥離シート用硬化性樹脂組成物を硬化して得られる剥離シートを有する工程基材に関する。さらに本発明は、剥離シート用硬化性樹脂組成物を硬化して得られる剥離シートを保護層として、基材を保護する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、電子材料など精密部品等の製造工程において基材の表面を保護するために剥離性シートが使用されている(例えば特開2001−247832号公報参照)。しかしながら、これらの多くは基材に合わせて剥離シートを切断する必要があり、使用されないで廃棄される部分も生じていた。また、加熱処理後に剥離すると残渣が基材に残る場合があった。
【0003】
また特開2001−270971号公報には、耐熱性を向上させ、液状で使用することにより必要な箇所だけに印刷し、保護することができ、廃棄物を減らせる手法が提案されている。しかしながら、この手法ではマスキングしたまま基材をメッキ加工する場合、洗浄液に樹脂が溶解し、容易に剥離できなくなる問題点があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、基材へ比較的薄く塗工することが容易で、得られた硬化膜がマスキング性、柔軟性、及び剥離性に優れた材料を提供することを目的とする。また本発明は、基材から剥離した後、残留溶媒や可塑剤等による残渣が基材に残らない剥離シートが得られる材料を提供することを目的とする。
【0005】
また本発明は、かかる材料を硬化してなる、マスキング性、柔軟性、及び剥離性に優れた剥離シートを有する工程基材を提供することを目的とする。
【0006】
さらに本発明の目的は、かかる剥離シートを保護層として、基材を保護する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、(A)重量平均分子量が200〜2000である多官能チオール化合物と、(B)重量平均分子量が200〜50000である多官能(メタ)アクリレートと、を含有する剥離シート用硬化性樹脂組成物であり、前記(A)成分と前記(B)成分との質量比((A)/(B))が5〜30であり、(C)光重合開始剤を、前記(A)成分と前記(B)成分との合計質量100質量部に対し、0.01〜10質量部含有し、オルガノシロキサン構造を有する単官能(メタ)アクリレート、チオリン酸ジエステル、ジチオリン酸ジエステル、ホスホン酸、及びホスホン酸モノエステルを含有しない。
【0009】
剥離シート用硬化性樹脂組成物は、(D)重量平均分子量が90〜700であるアミン化合物を、前記(A)成分と前記(B)成分との合計質量100質量部に対して0.01〜50質量部含有してもよい。
た、剥離シート用硬化性樹脂組成物は、単位重量中の(チオール基数)/((メタ)アクリロキシ基数)が0.1〜20であってもよい。
【0010】
また本発明は、剥離シート用硬化性樹脂組成物を硬化してなる剥離シートである。
【0011】
さらに本発明は、基材に、剥離シート用硬化性樹脂組成物を硬化した剥離シートが積層された工程基材である。
【0012】
本発明は、基材に、剥離シート用硬化性樹脂組成物を塗布、硬化して得られる剥離シートを保護層として設けることにより、基材を保護する方法である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明について詳しく説明する。なお、本発明において「(メタ)アクリレート」とは、アクリレートとメタクリレートの双方を含む総称を意味し、「(メタ)アクリロキシ基」とは、アクリロキシ基とメタクリロキシ基の双方を含む総称を意味する。また、本発明において数値範囲を示す「○○〜××」とは、別途記載が無い限り、その下限値(「○○」)や上限値(「××」)を含む概念である。すなわち、正確には「○○以上××以下」を意味する。また、本発明において、「分子量」とは別途記載が無い限り重量平均分子量のことである。
【0014】
本発明の剥離シート用硬化性樹脂組成物は、下記(A)及び(B)成分を必須成分とし、任意に(C)及び(D)成分の少なくとも一方をさらに含有する硬化性樹脂組成物である。
【0015】
<多官能チオール((A)成分)>
本発明の硬化性樹脂組成物における多官能チオール化合物(A)とは、2個以上のチオール基(−SH基)を有する有機化合物である。多官能チオール化合物の重量平均分子量は200〜2000、好ましくは300〜1800、より好ましくは350〜1600とする。分子量が200より小さくても硬化性に関しては問題ないが、多官能チオール化合物の揮発性が高く、臭気が強くなる傾向がある。一方、分子量が2000より大きいと、後述の(B)多官能(メタ)アクリレート樹脂に対する溶解性が低くなる可能性がある。
【0016】
多官能チオール化合物(A)としては、例えば下記一般式(1)で表される多官能チオール化合物を挙げることができる。なお、多官能チオール化合物(A)は、1種のみを単独で使用することもできるし、2種以上を混合使用することもできる。
【化1】

(式中のnは2〜5の整数であり、aは2〜10の整数であり、Rは炭素数2〜30の炭化水素基(α1)、エーテル酸素(−O−)と炭素数2〜40の炭化水素基のみからなる基(α2)、イソシアヌレート環(α3)、又はイソシアヌレート環と炭化水素基のみからなる基(α4)のいずれかである。)
【0017】
上記一般式(1)においてn=1の化合物でも大きな問題なく使用可能であるが、得られる多官能チオール化合物の反応性が高いことで、これを含む硬化性樹脂組成物の保存安定性が若干悪くなる傾向がある。これに対し、n=2〜5の範囲の化合物であれば、保存安定性に優れると共に、60℃程度の低温において短時間で熱硬化させることができる。なお、nの数が大きくなるにつれて得られる多官能チオール化合物の反応性が低くなり、これを含む硬化性樹脂組成物の熱硬化時の硬化時間が長くなる傾向がある。したがって、上記一般式(1)で表される化合物の中では、n=2の化合物が最も好ましい。n=2であれば、多官能チオール化合物の反応性が保存安定性と熱硬化時の硬化時間短縮との両立に最も適しているからである。
【0018】
上記一般式(1)で表される多官能チオール化合物は、下記一般式(2)で表されるメルカプトカルボン酸と下記一般式(3)で表される多官能アルコールとのエステル化反応により得ることができる。
【化2】

(式中のnは2〜5の整数である。)
【化3】

(式中のaは2〜10の整数であり、Rは炭素数2〜30の炭化水素基(α1)、エーテル酸素(−O−)と炭素数2〜40の炭化水素基のみからなる基(α2)、イソシアヌレート環(α3)、又はイソシアヌレート環と炭化水素基のみからなる基(α4)のいずれかである。)
【0019】
上記一般式(3)で表される化合物の中でも、aが2〜4であり、且つRが炭素数2〜20の炭化水素基からなる基である化合物(α1−1)、aが2〜6であり、且つRがエーテル酸素(−O−)と炭素数2〜30の炭化水素基のみからなる基である化合物(α2−1)、イソシアヌレート環を有する化合物(α3−1)、又はaが3であり、且つRがイソシアヌレート環と炭素数1〜3の炭化水素基のみからなる基である化合物(α4−1)が好ましい。このような化合物であれば、多官能エポキシ樹脂(B)との溶解性が高いからである。
【0020】
(α1−1)としては、例えば炭素数2〜20のアルキレンジオール、グリセリン、ペンタエリスリトール、又はトリメチロールプロパン等が挙げられる。(α2−1)としては、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジペンタエリスリトール等が挙げられる。(α3−1)としては、例えばN,N′,N″−トリヒドロキシイソシアヌル酸が挙げられる。(α4−1)としては、例えばトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート等が挙げられる。
【0021】
<多官能(メタ)アクリレート((B)成分)>
(B)成分である多官能(メタ)アクリレートは末端に(メタ)アクリロキシ基を有しており、その好ましい例として下記一般式(4)で表される化合物が挙げられる。なお、(B)成分である多官能(メタ)アクリレートは、1種のみを単独で使用することもできるし、2種以上を混合使用することもできる。
【化4】

(式中のbは2〜30の整数であり、Rは炭素数2〜200の炭化水素基、エーテル酸素(−O−)と炭素数2〜300の炭化水素基のみからなる基、またはイソシアヌレート環若しくはイソシアヌレート環と炭化水素基のみからなる基であり、Rは水素原子またはメチル基である。)
【0022】
また、(B)多官能(メタ)アクリレートとしては、ポリマータイプのものも好適に用いることができる。ポリマータイプの多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、エポキシ基を有する(メタ)アクリレート(共)重合体にエポキシ基と反応する基を有する(メタ)アクリレートを反応させて得られるポリマー、水酸基を有する(メタ)アクリレート(共)重合体に水酸基と反応する基を有する(メタ)アクリレートを反応させて得られるポリマー(以下水酸基由来のポリマーという)および、カルボキシル基を有する(メタ)アクリレート(共)重合体にカルボキシル基と反応する基を有する(メタ)アクリレートを反応させて得られるポリマー(以下カルボキシル基由来のポリマーという)などである。エポキシ基を有する(メタ)アクリレート(共)重合体にエポキシ基と反応する基を有する(メタ)アクリレートを反応させて得られるポリマーとして、具体的には、グリシジル(メタ)アクリレート(共)重合体の(メタ)アクリル酸付加物等が挙げられる。水酸基を有する(メタ)アクリレート(共)重合体に水酸基と反応する基を有する(メタ)アクリレートを反応させて得られるポリマーとして、具体的には、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート(共)重合体の2−イソシアナトエチル(メタ)アクリレート付加物等が挙げられる。カルボキシル基を有する(メタ)アクリレート(共)重合体にカルボキシル基と反応する基を有する(メタ)アクリレートを反応させて得られるポリマーとして、具体的には、(メタ)アクリル酸共重合体のグリシジル(メタ)アクリレート付加物等が挙げられる。なお、本発明において「(共)重合体」とは、(1種のモノマーのみの)単独重合体、および(複数種のモノマーを共重合した)共重合体を意味する。
【0023】
(B)多官能(メタ)アクリレートの重量平均分子量は200〜50000、好ましくは220〜40000、より好ましくは240〜30000である。(B)多官能(メタ)アクリレートの重量平均分子量が200より小さいと、揮発性が高くなり臭気が強くなる傾向があるため好ましくない。一方、重量平均分子量が50000より大きいと、他の成分に対する溶解性が低くなる可能性があるため好ましくない。
【0024】
また、(B)多官能(メタ)アクリレートの(メタ)アクリレート当量は80〜6000g/mol、好ましくは80〜4500g/mol、より好ましくは85〜3000g/molとする。(メタ)アクリレート当量が80g/molより小さいと、単位体積あたりの(メタ)アクリロキシ基が過剰になって(A)多官能チオールのチオール基と未反応の(メタ)アクリロキシ基が多量に残存することで、硬化性樹脂組成物からなる硬化膜の靭性が低下するおそれがある。一方、(メタ)アクリレート当量が6000g/molより大きくなると、(メタ)アクリロキシ基濃度が著しく低いことから(A)多官能チオールのチオール基との反応効率が低下することで、硬化性樹脂組成物からなる硬化膜の靭性が低下するおそれがある。
【0025】
<光重合開始剤((C)成分)>
本発明の剥離シート用硬化性樹脂組成物は、前記(A)〜(B)成分に加えて、さらに(C)光重合開始剤を含有させることができる。当該(C)成分は、前記(A)成分と前記(B)成分との合計質量100質量部に対し、0.01〜10質量部配合する。
【0026】
(C)成分である光重合開始剤は、チオール基と(メタ)アクリロキシ基との反応を促進するために添加され、硬化性組成物の硬化に必要な光照射を少なくすることができる。光重合開始剤としては、光ラジカル重合開始剤、光カチオン重合開始剤、光アニオン重合開始剤等があげられる。光ラジカル重合開始剤は、反応時間を短縮する際に用いることが好ましく、光カチオン重合開始剤は、硬化収縮を小さくする際に用いることが好ましく、光アニオン重合開始剤は、電子回路等の分野で用いることが好ましい。
【0027】
光ラジカル重合開始剤としては、例えば、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、及び2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド等が挙げられる。
【0028】
光カチオン重合開始剤としては、例えば、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスファート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホナート、シクロプロピルジフェニルスルホニウムテトラフルオロボラート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスファート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアルセナート、2−(3,4−ジメトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、トリフェニルスルホニウムテトラフルオロボラート、トリフェニルスルホニウムブロミド、トリ−p−トリルスルホニウムヘキサフルオロホスファート、及びトリ−p−トリルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート等が挙げられる。
【0029】
光アニオン重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン o−ベンゾイルオキシム、ニフェジピン、2−(9−オキソキサンテン−2−イル)プロピオン酸1,5,7−トリアザビシクロ[4,4,0]デカ−5−エン、2−ニトロフェニルメチル4−メタクリロイルオキシピペリジン-1-カルボキシラート、1,2−ジイソプロピル−3−〔ビス(ジメチルアミノ)メチレン〕グアニジウム2−(3−ベンゾイルフェニル)プロピオナート、及び1,2−ジシクロヘキシル−4,4,5,5−テトラメチルビグアニジウム n-ブチルトリフェニルボラート等が挙げられる。
【0030】
<アミン化合物((D)成分)>
本発明の剥離シート用硬化性樹脂組成物は、前記(A)〜(B)成分、または、(A)〜(C)成分に加えて、さらに(D)重量平均分子量が90〜700であるアミン化合物を含有させることができる。当該(D)成分は、前記(A)成分と前記(B)成分との合計質量100質量部に対し、0.01〜50質量部配合する。
【0031】
(D)成分であるアミン化合物は、チオール基と(メタ)アクリロキシ基との反応を促進(触媒)するために添加される。具体的には、(D)成分を含有することによって、チオール基と(メタ)アクリロキシ基とを低温で反応させることができるため、(A)成分と(B)成分とを含む硬化性樹脂組成物を低温硬化することが可能となる。(D)成分であるアミン化合物としては、重量平均分子量が90〜700、好ましくは100〜690、より好ましくは110〜680の、単官能アミンや複数個のアミノ基とを有するポリアミンが挙げられる。アミン化合物の重量平均分子量が90未満では、アミンの揮発性が高くなり、臭気やボイドの原因となる。アミン化合物の重量平均分子量が700を超えると、耐水性が低下し易くなる。
【0032】
単官能アミンとしては、1級アミン、2級アミン、又は3級アミンが挙げられる。ポリアミンとしては、1級アミン、2級アミン、3級アミン、複合アミンが挙げられる。複合アミンとは、1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基のうち2種以上を有するアミンのことである。このような複合アミンとしては、イミダゾリン化合物、イミダゾール化合物、N置換ピペラジン化合物、及びN,N−ジメチル尿素誘導体等が挙げられる。なお、アミン化合物は、1種のみを単独で使用することもできるし、2種以上を混合使用することもできる。
【0033】
また、アミン化合物は、触媒活性を調整するために予め有機酸との塩を形成していても良い。アミン化合物と予め反応させる有機酸としては、脂肪族カルボン酸及び芳香族カルボン酸が挙げられる。
【0034】
アミン化合物の中でも、塩基性が高いイミダゾール化合物が最も低温における硬化に適している。また、フェノール樹脂等でコーティングしたイミダゾール化合物も用いることができる。
【0035】
当該イミダゾール化合物は、下記式(5)で表される化合物である。
【化5】

(Rはシアノ基、炭素数1〜10の炭化水素基、2,3−ジアミノトリアジンで置換された炭素数1〜10の炭化水素基、炭素数1〜4のアルコキシ基、又は水素原子であり、R、R、及びRは炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜4のアルコキシ基、又は水素原子であり、R〜Rが結合して環を形成している場合には炭素数2〜8の炭化水素基である。)
【0036】
具体的には、2−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−メチルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−ウンデシルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−(2−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール、2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]ベンズイミダゾール、2,4−ジアミノ−6−[2−メチルイミダゾリル−(1)]エチル−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−ウンデシルイミダゾリル−(1’)]−エチル−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−エチル−4’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル −1,3,5−トリアジン、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、及び2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾールが挙げられる。
【0037】
<組成比(配合バランス)>
本発明の剥離シート用硬化性樹脂組成物は、(A)多官能チオールと(B)多官能(メタ)アクリレートとの質量比((A)/(B))が0.05〜30となるように配合する。ここで、「(A)/(B)」とは、(A)多官能チオールの質量を(B)多官能(メタ)アクリレートの質量で除した値である。(A)/(B)が0.05未満の場合は剥離時に裂けや割れが発生し易くなり、(A)/(B)が30を超える場合は硬化膜を得にくくなる。最適な(A)/(B)の値は、硬化性樹脂組成物に求められる特性や、(A)多官能チオールや(B)多官能(メタ)アクリレートの種類によって異なる。硬化性樹脂組成物を硬化した後の特性は、厳密には硬化性樹脂組成物単位重量中の(チオール基数)/((メタ)アクリロキシ基数)(以下、チオール/エン比と称す)の値に影響を受ける。例えば、チオール/エン比が0.5〜1.5の範囲にあれば、密な架橋を形成し易く、且つ強靭な硬化物になり易い。一方、チオール/エン比が0.1以上0.5未満、あるいは1.5を超え2.0以下であれば、柔軟で粘着質な硬化物を得ることができる。
【0038】
また、本発明の剥離シート用硬化性樹脂組成物は、(A)多官能チオールと(B)多官能(メタ)アクリレートとの合計質量((A)+(B))100質量部に対し、(C)光重合開始剤が0.01〜10質量部となるように配合する。((A)+(B))100質量部に対して(C)成分の配合量が0.01質量部未満では、チオール基と(メタ)アクリロキシ基の反応が進行するのに多くの積算光量が必要となり、10質量部を超えると硬化に対して過剰となり好ましくない。
【0039】
また、本発明の剥離シート用硬化性樹脂組成物に対して(D)アミン化合物も配合する場合は、(A)多官能チオールと(B)多官能(メタ)アクリレートとの合計重量((A)+(B))100質量部に対し、(D)アミン化合物が0.01〜50質量部、好ましくは0.01〜45質量部となるように配合する。((A)+(B))に対して(D)成分の配合量が0.01未満では、触媒としての機能が不十分となり、加熱による硬化促進には至らず、50質量部を超えると、硬化性樹脂組成物の保存安定性が低下する。
【0040】
<硬化膜(剥離シート)の形成>
本発明の剥離シート用硬化性樹脂組成物は、基材上に塗工し、硬化させることで、硬化膜を形成することができる。本発明の剥離シート用硬化性樹脂組成物は、(A)多官能チオールと(B)多官能(メタ)アクリレートの反応からなるチオエーテル基に起因して基材に対して密着性を発揮する。したがって、基材としては、チオエーテル基と化学的な結合を形成する(化学的な親和力の高い)基材、例えば、遷移金属あるいはその合金や珪素化合物、リン化合物、硫黄化合物、又はホウ素化合物等の無機基材、不飽和結合(芳香環を含む)を有する有機物、水酸基やカルボキシル基を有する有機物、又はプラズマやUVオゾン処理された有機物等の有機基材への密着性向上効果に優れる。具体的には、無機基材としては、ガラス、シリコン、各種金属などが挙げられる。有機基材として、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、トリアセテートセルロース(TAC)系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート、ポリイミド、ABS樹脂、ポリビニルアルコール、塩化ビニル系樹脂、ポリアセタールなどが好ましく挙げられる。また、本発明の剥離シート用硬化性樹脂組成物は、(A)多官能チオールが特定の炭化水素基を有することで、硬化膜が柔軟性に優れる。そのため、フレキシブルな基材のコーティングに特に好適に使用することができる。
【0041】
本発明の剥離シート用硬化性樹脂組成物は、例えば、光を照射することにより硬化させることができる。照射する光としては、UV(紫外線)やEB(電子線)などの活性エネルギー線等が挙げられる。また、硬化性樹脂組成物が(C)成分を含む場合は、通常2500mJ/cm程度必要となる光照射量を100mJ/cm程度まで少なくすることが可能となる。また、硬化性樹脂組成物が(D)成分を含む場合には、80℃程度の低温での加熱のみによって硬化が可能となる。更に、硬化性樹脂組成物が、(C)成分と(D)成分を含む場合には、光の照射による硬化工程と、加熱による硬化工程との二段階の工程を経て硬化させることもできる。
【0042】
本発明の剥離シート用硬化性樹脂組成物は、反応系を均一にし、塗工を容易にするために有機溶媒で希釈して使用してもよい。そのような有機溶媒としては、アルコール系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤及びエーテルエステル系溶剤、ケトン系溶剤、リン酸エステル系溶剤が挙げられる。これらの有機溶媒は硬化性樹脂組成物100質量部に対して、10000質量部未満の配合量に抑えることが好ましいが、基本的に溶剤は硬化膜になる時点では揮発しているため、硬化膜の物性に大きな影響は与えない。
【0043】
また、本発明の剥離シート用硬化性樹脂組成物は、粘度を調整する目的でシリカ粉末等の粘度調整剤を配合しても良い。これらの粘度調整剤は、硬化性樹脂組成物100質量部に対して、300質量部未満の配合量に抑えることが好ましい。粘度調整剤の配合量が300質量部を超えると、硬化膜が得られない可能性がある。
【0044】
また、本発明の剥離シート用硬化性樹脂組成物は、通常の塗料や接着剤に用いられるような各種添加剤を添加しても良い。このような添加剤としては、塗工面を平滑にするための界面活性剤、可使用時間を長くするためのアルミニウム塩等が挙げられる。これらの添加剤は、硬化性樹脂組成物100質量部に対して、80質量部未満の配合量に抑えることが好ましい。これらの添加剤の配合量が80質量部を超えると、反応が進行するのに多くの積算光量が必要となる可能性がある。
【0045】
本発明の剥離シート用硬化性樹脂組成物は、硬化して剥離シートとして用いることができる。本発明の剥離シート用硬化性樹脂組成物は、例えばガラス、PET(ポリエチレンテレフタレート)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ITO(酸化インジウムスズ)、ポリイミド(PI)、Siウエハー、金属全般(ステンレス鋼、銅、アルミニウム等)、アクリル樹脂、及びエポキシ樹脂等の基材に塗布、硬化して剥離シートとし、必要に応じて剥離することができる。
【0046】
本発明は、基材に、剥離シート用硬化性樹脂組成物を塗布、硬化して得られる剥離シートが積層されてなる工程基材に関する。基材としては、上述の基材を用いることができる。
【0047】
本発明の工程基材は、製品製造工程における、いわば中間工程品であり、例えばタッチパネル製造時に、基材であるタッチパネルに、本発明の剥離シート用硬化性樹脂組成物を塗布、硬化して得られる剥離シートを設けた積層体をいう。タッチパネル製造においては、剥離シートは、基材であるタッチパネルを割れ、傷、埃や汚れなどから保護する。あるいは、基材を印刷やメッキ加工する際は、剥離シートは、基材の非印刷部分や非メッキ部分をマスキングするために用いることができる。
【0048】
本発明の工程基材は、本発明の剥離シート用硬化性樹脂組成物を硬化して得られる、マスキング性、柔軟性、及び剥離性に優れた剥離シートを有するため、種々の基材を用いて構成することが可能である。
【0049】
本発明の基材を保護する方法は、基材に、剥離シート用硬化性樹脂組成物を塗布、硬化して得られる剥離シートを保護層として設けることにより、基材を保護する方法に関する。
【0050】
基材としては、上述の基材を用いることができる。剥離シート用硬化性樹脂組成物としては、上述した本発明の剥離シート用硬化性樹脂組成物を用いることができる。剥離シート用硬化性樹脂組成物の塗布、硬化は、上述のような条件により行うことができる。
【0051】
本発明の基材を保護する方法は、例えば、基材であるタッチパネルに、剥離シート用硬化性樹脂組成物を塗布、硬化して、タッチパネルを割れ、傷、埃や汚れなどから保護する。あるいは、本発明の基材を保護する方法は、基材を印刷やメッキ加工する際には、基材の非印刷部分や非メッキ部分に剥離シート用硬化性樹脂組成物を塗布、硬化して、基材を印刷やメッキから保護する。
【0052】
本発明の剥離シート用硬化性樹脂組成物は、所望の厚さに容易に塗工することができ、剥離時は、残渣なく容易に剥がすことができる。さらに、同組成物を硬化して得られた硬化膜は、マスキング性及び剥離性にも優れているため、基材に積層して工程基材として用いることができる。また、剥離シート自身を基材として用いることも可能である。本発明の剥離シート用硬化性樹脂組成物を硬化して得られる剥離シートを保護層として用いることにより、基材を保護する方法を提供することができる。
【実施例】
【0053】
次に、実施例及び比較例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれに限られるものではない。本実施例及び比較例で用いた各成分は、次のとおりである。なお、Mwは重量平均分子量を示す。
【0054】
<(A)成分:多官能チオール>
(A-1、Mw:372)
【化6】
【0055】
(A−2、Mw:399)
【化7】
【0056】
(A−3、Mw:526)
【化8】
【0057】
(A−4、Mw:488)
【化9】
【0058】
(A−5、Mw:784)
【化10】
【0059】
(A−6、Mw:416)
【化11】
【0060】
(A−7、Mw:785)
【化12】
【0061】
(A−8、Mw:1584)
【化13】
【0062】
<(B)成分:多官能(メタ)アクリレート>
(B−1、Mw:5000)
【化14】

(nは平均13)
【0063】
(B−2、Mw:246)
【化15】
【0064】
(B−3、Mw:352)
【化16】
【0065】
(B−4、Mw:22000)
グリシジルメタクリレートとシクロヘキシルメタクリレートとの共重合体(グリシジルメタクリレート:シクロヘキシルメタクリレート=3モル:2モル)のエポキシ基に対し、下記D−3を触媒として、当モルのメタクリル酸を付加したポリマー(50wt%メチルイソブチルケトン溶液をヘキサンで再沈した白色固体)。
【0066】
(B−5、Mw:45000)
グリシジルメタクリレートとシクロヘキシルメタクリレートとの共重合体(グリシジルメタクリレート:シクロヘキシルメタクリレート=3モル:2モル)のエポキシ基に対し、下記D−3を触媒として、当モルのメタクリル酸を付加したポリマー(50wt%メチルイソブチルケトン溶液をヘキサンで再沈した白色固体)。
【0067】
<(C)成分:光重合開始剤>
(C−1、Mw:204)
1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン
【0068】
(C−2、Mw:348)
2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド
【0069】
(C−3、Mw:407)
2−(9−オキソキサンテン−2−イル)プロピオン酸1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン
【0070】
<(D)成分:アミン化合物>
(D−1、Mw:110)
【化17】
【0071】
(D−2、Mw:102)
N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン
【0072】
(D−3、Mw:680)
【化18】

(n1、n2、n3は1〜5の整数であり、平均が3.5である混合物)
【0073】
下記表1〜表4に示す配合比で(A)〜(D)成分をそれぞれ混合し、スパチュラで均一になるまで撹拌し、実施例及び比較例の剥離シート用硬化性樹脂組成物のサンプルを得た。得られた実施例及び比較例の各硬化性樹脂組成物のサンプルに対して以下の剥離性、耐熱性、印刷性、マスキング性、耐傷性の評価を行った。その結果を表1〜表4に示す。
【0074】
[剥離性及び耐熱性評価用試験片1の作製]
剥離シート用硬化性樹脂組成物の各サンプルを10cm×10cmの各種基材にダイコーターで150μmの厚みに塗布し、表1〜表4に示す硬化条件でUV照射を行い、剥離シートを有する評価用試験片1を得た。使用した基材は、ガラス(コーニング社製、イーグルXG)、PETフィルム(東レ(株)製、ルミラーU46−100)、ポリイミド(PI)フィルム(東レ・デュポン(株)製、カプトン100H)、ITOガラス(ソーダガラスにラインアンドスペースで長さ20mm×幅50μm 100Ω/□でパターンが形成されているもの)である。UV照射には、ヘレウス・ノーブルライト・フュージョン・ユーブイ(株)製UVランプシステム「ライトハンマー6」を用い、ランプバルブは、Hバルブを使用した。
【0075】
[剥離性]
評価用試験片1を作製後、テープを剥離シートの端部に貼り剥離シートを剥離した後、基材の外観と剥離性を目視で確認して、以下の通り評価した。
○ :剥離(残渣なし)
×A:剥離時に裂けや割れが発生
×B:硬化不良
【0076】
[耐熱性]
評価用試験片1のガラス基材品を100℃で30分加熱し、テープを剥離シートの端部に貼り剥離した後、基材の外観と剥離性を目視で確認して、以下の通り評価した。
○ :剥離(残渣なし)
×A:剥離時に裂けや割れが発生
×B:硬化不良
【0077】
[印刷性評価用試験片2の作製]
剥離シート用硬化性樹脂組成物の各サンプルを10cm×10cmのガラス(コーニング社製、イーグルXG)にスクリーン印刷機を用いてラインアンドスペース=100μm/100μmで印刷した後、表1〜表4に示す硬化条件でUV照射を行い、剥離シートを有する評価用試験片2を得た。スクリーン印刷機はマイクロ・テック(株)製、MT−320TVを用いた。
【0078】
[印刷性]
評価用試験片2の剥離シートのライン間の距離を、光学顕微鏡を用いて測定して、以下の通り評価した。
○:スペースの幅が100〜80μm
×:スペースの幅が80μm未満
【0079】
[マスキング性評価用試験片3の作製]
10cm×10cm銅板の半分に剥離シート用硬化性樹脂組成物の各サンプルを厚さ200μmで塗工し、表1〜表4に示す硬化条件でUV照射を行い、剥離シートを有する評価用試験片3を得た。
【0080】
[マスキング性]
評価用試験片3を60℃の硫酸水溶液(0.5N)に1時間浸漬後、銀メッキを1分間施した。次に、水道水で銀メッキを洗浄した後、剥離性を目視で確認して、以下の通り評価した。
○ :剥離(残渣なし)
×A:剥離時に裂けや割れが発生
×B:硬化不良
【0081】
[耐傷性評価用試験片4の作製]
剥離シート用硬化性樹脂組成物の各サンプルを10cm×10cmのガラス(コーニング社製、イーグルXG)にダイコーターで200μmの厚みに塗布し、表1〜表4に示す硬化条件でUV照射を行い、剥離シートを有する評価用試験片4を得た。
【0082】
[耐傷性]
評価用試験片4の剥離シートに対して300gの荷重をかけてカッターナイフを用いて切り込みを入れ、剥離シートを剥離した後、基材の外観を目視で確認して、以下の通り評価した。
○:傷なし
×:傷あり
【0083】
【表11】
【0084】
【表2】
【0085】
【表3】
【0086】
【表4】