(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
多成分系液化ガスにおける特定成分を希薄化した特定成分希薄ガスを供給するための第一ラインと、多成分系液化ガスにおける特定成分を濃縮化した特定成分濃縮ガスを供給するための第二ラインとを備え、
前記第一ラインにおいて、多成分系液化ガスを昇圧する第一ポンプと、昇圧された多成分系液化ガスを気化する第一気化器と、気化されたガスから特定成分を分離する膜分離装置とを有し、
前記第二ラインにおいて、前記膜分離装置で分離された特定成分が濃縮された濃縮ガスを多成分系液化ガスに混合する第二気液混合装置と、該第二気液混合装置で混合された混合液を昇圧する第二ポンプと、昇圧された混合液を気化する第二気化器と有し、
前記膜分離装置で分離された特定成分が濃縮された濃縮ガスを前記第二気液混合装置に供給する濃縮ガス供給ラインとを備えたことを特徴とする多成分系液化ガスの成分調整装置。
前記第一ライン及び前記第二ラインは、多成分系液化ガスが流れる多成分系液化ガスラインが分岐したものであることを特徴とする請求項1記載の多成分系液化ガスの成分調整装置。
前記第一ラインにおける前記第一ポンプの上流側に設けた第一気液混合装置と、前記濃縮ガス供給ラインから分岐して、前記膜分離装置で分離されて特定成分が濃縮された濃縮ガスの一部を前記第一気液混合装置に供給するリサイクルラインとを備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の多成分系液化ガスの成分調整装置。
前記第一ラインにおける前記第一ポンプの上流側に設けた第一気液混合装置と、前記膜分離装置の下流側に設けた第2膜分離装置と、該第2膜分離装置で分離されて特定成分が濃縮された濃縮ガスを前記第一気液混合装置に供給するリサイクルラインとを備えたことを特徴とする請求項1又は2記載の多成分系液化ガスの成分調整装置。
前記第一ラインにおける前記第一ポンプの下流側に設けた加熱器と、該加熱器の下流側に設けた気液分離装置と、該気液分離装置で分離された分離液を前記第二ラインの前記第二ポンプの下流側に供給する分離液供給ラインとを備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の多成分系液化ガスの成分調整装置。
前記第一ラインにおける前記第一ポンプの下流側に熱交換器を設け、前記濃縮ガス供給ラインを流れる濃縮ガスを前記熱交換器によって前記第一ラインを流れる多成分系液化ガスの冷熱で冷却して前記第二気液混合装置に供給するようにしたことを特徴とする請求項1又は2に記載の多成分系液化ガスの成分調整装置。
前記濃縮ガス供給ラインに設けられて前記第二気液混合装置に供給する濃縮ガスの量を調整する第二制御弁と、前記濃縮ガス供給ラインに供給される前記濃縮ガスの圧力、温度、流量及び組成と、前記第二気液混合装置に供給される多成分系液化ガスの圧力、温度、流量及び組成とをそれぞれ検出して、前記第二気液混合装置に供給される濃縮ガスの全量が前記第二気液混合装置で液化するように前記第二制御弁を制御する第1の制御装置を備えたことを特徴とする請求項1、2、5又は6に記載の多成分系液化ガスの成分調整装置。
前記濃縮ガス供給ラインに設けられて前記第二気液混合装置に供給する濃縮ガスの量を調整する第二制御弁と、前記第二気液混合装置の下流側において前記第二気液混合装置から排出される混合液の圧力、温度及び組成を検出して、該混合液の相状態を判定して、前記混合液が液相状態になるように前記第二制御弁を制御する第2の制御装置を備えたことを特徴とする請求項1、2、5又は6に記載の多成分系液化ガスの成分調整装置。
前記リサイクルラインに設けられて前記第一気液混合装置に供給する濃縮ガスの量を調整する第一制御弁と、前記濃縮ガス供給ラインに設けられて前記第二気液混合装置に供給する濃縮ガスの量を調整する第二制御弁と、前記濃縮ガス供給ラインに供給される前記濃縮ガスの温度及び組成と、前記第二気液混合装置に供給される前記濃縮ガスの圧力及び流量と、前記第二気液混合装置に供給される多成分系液化ガスの圧力、温度、流量及び組成と、前記第一気液混合装置に供給される前記濃縮ガスの圧力及び流量と、前記第一気液混合装置に供給される多成分系液化ガスの圧力、温度、流量及び組成とをそれぞれ検出して、前記第一気液混合装置及び前記第二気液混合装置に供給される濃縮ガスのそれぞれ全量が前記第一気液混合装置及び前記第二気液混合装置で液化するように前記第一制御弁及び前記第二制御弁を制御する第3の制御装置を備えたことを特徴とする請求項3記載の多成分系液化ガスの成分調整装置。
前記リサイクルラインに設けられて前記第一気液混合装置に供給する濃縮ガスの量を調整する第一制御弁と、前記濃縮ガス供給ラインに設けられて前記第二気液混合装置に供給する濃縮ガスの量を調整する第二制御弁と、前記第一気液混合装置の下流側において前記第一気液混合装置から排出される混合液の圧力、温度及び組成と、前記第二気液混合装置の下流側において該第二気液混合装置から排出される混合液の圧力、温度及び組成とを検出して、これら混合液の相状態を判定して、前記混合液がそれぞれ液相状態になるように前記第一制御弁及び前記第二制御弁を制御する第4の制御装置を備えたことを特徴とする請求項3記載の多成分系液化ガスの成分調整装置。
前記リサイクルラインに設けられて前記第一気液混合装置に供給する濃縮ガスの量を調整する第一制御弁と、前記濃縮ガス供給ラインに設けられて前記第二気液混合装置に供給する濃縮ガスの量を調整する第二制御弁と、前記濃縮ガス供給ラインに供給される前記濃縮ガスの圧力、温度、流量及び組成と、前記第二気液混合装置に供給される多成分系液化ガスの圧力、温度、流量及び組成と、前記第一気液混合装置に供給される多成分系液化ガスの圧力、温度、流量及び組成と、前記第一気液混合装置に供給される濃縮ガスの圧力、温度、流量及び組成とをそれぞれ検出して、前記第一気液混合装置及び前記第二気液混合装置に供給される濃縮ガスのそれぞれ全量が前記第一気液混合装置及び前記第二気液混合装置で液化するように前記第一制御弁及び前記第二制御弁を制御する第5の制御装置を備えたことを特徴とする請求項4記載の多成分系液化ガスの成分調整装置。
前記リサイクルラインに設けられて前記第一気液混合装置に供給する濃縮ガスの量を調整する第一制御弁と、前記濃縮ガス供給ラインに設けられて前記第二気液混合装置に供給する濃縮ガスの量を調整する第二制御弁と、前記第一気液混合装置の下流側において前記第一気液混合装置から排出される混合液の圧力、温度及び組成と前記第二気液混合装置の下流側において前記第二気液混合装置から排出される混合液の圧力、温度及び組成とを検出して、これら混合液の相状態を判定して、前記混合液がそれぞれ液相状態になるように前記第一制御弁及び前記第二制御弁を制御する第6の制御装置を備えたことを特徴とする請求項4記載の多成分系液化ガスの成分調整装置。
多成分系液化ガスにおける特定成分を希薄化した特定成分希薄ガスを供給するための第一ラインと、多成分系液化ガスにおける特定成分を濃縮化した特定成分濃縮ガスを供給するための第二ラインと、
前記第一ラインを流れる多成分系液化ガスの特定成分が濃縮された濃縮ガスを気液分離装置で気液分離して、分離された分離液を前記第二ラインに供給する濃縮ガス分離供給ラインとを備え、
前記第一ラインにおいて、多成分系液化ガスを昇圧する第一ポンプと、昇圧された多成分系液化ガスを気化する第一気化器と、気化されたガスから特定成分を分離する膜分離装置とを有し、
濃縮ガス分離供給ラインにおいて、前記膜分離装置で分離された濃縮ガスを前記気液分離装置に供給する濃縮ガス供給ラインと、該濃縮ガス供給ラインに設けられて第一ライン又は前記第二ラインを流れる多成分系液化ガスの冷熱で前記濃縮ガスを冷却する熱交換器と、前記気液分離装置で分離された分離液を前記第二ラインに供給する分離液供給ラインとを有し、
前記第二ラインにおいて、前記分離液供給ラインから供給された分離液が混合された混合液を昇圧する第二ポンプと、昇圧された混合液を気化する第二気化器と有することを特徴とする多成分系液化ガスの成分調整装置。
前記濃縮ガス供給ラインにおいて熱交換器を設ける代わりに、第一ラインを流れる多成分系液化ガスの一部を前記第一ポンプの下流側から前記気液分離装置に供給する第一多成分系液化ガス供給ラインを設けたことを特徴とする請求項13又は14に記載の多成分系液化ガスの成分調整装置。
前記濃縮ガス供給ラインにおいて熱交換器を設ける代わりに、第二ラインを流れる多成分系液化ガスの一部を第二ポンプの下流側から前記気液分離装置に供給する第二多成分系液化ガス供給ラインと、第一ラインにおける第一ポンプの下流側から前記第二ラインの前記第二ポンプの上流側に多成分系液化ガスを供給する第一多成分系液化ガス分岐ラインを設けたことを特徴とする請求項13又は14に記載の多成分系液化ガスの成分調整装置。
前記多成分系液化ガスが液化天然ガスであり、前記第一ラインが発電用の低発熱量ガスを供給するラインであり、前記第二ラインが都市ガス用の高発熱量ガスを供給するラインであることを特徴とする請求項1乃至16のいずれか一項に記載の多成分系液化ガスの成分調整装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1のガス分離装置を用いたプロセスは、特許文献1の
図5に示されるようにガスの送出圧力において重質成分を分離し、概略同一圧力の送出ラインに混合している。ガス分離装置においてガスを膜分離するためには、透過側の圧力を装置入口より低くする必要がある。
メタンを透過しやすい分離膜を使用した場合、発電用ガスとして送出されるメタンガスは61のラインより必ず低圧である。発電用ガスとして要求される圧力を確保するためには、61のライン圧をその要求圧力より高くする必要がある。ここで、61のラインは、そのまま都市ガス向けラインに接続されている。一般に、発電用ガスと都市ガス向けガスの要求圧力は概略同じ場合が多い。都市ガス向けラインの圧力が、その要求圧力を満足するようにするためには、高圧状態の61のライン圧から減圧する必要があり、LNGポンプ17a、17bの昇圧動力の一部が無駄となり損失が生じていた。
逆に、プロパン、ブタン等の重質成分を透過しやすい分離膜を使用した場合、41のラインを通る透過ガスは61のラインより必ず低圧である。この透過ガスを特許文献1の
図5の63に示される熱量調整装置にて61のラインを通る被混合ガスに混合して熱量調整に用いるには、透過ガスの圧力を被混合ガス以上にする必要があり、62に示される弁で61のラインを減圧せざるを得ず、損失が生じていた。
【0008】
もっとも、57のガス分離装置の上流もしくは下流にコンプレッサーを設けることで、弁62における減圧操作無しに、膜分離に必要な圧力差を確保した上で透過ガスの圧力を被混合ガス以上にできるが、この場合にはガスの昇圧に伴う消費動力が大きいという問題がある。
【0009】
なお、分離膜を用いたガス分離装置に関し、膜透過の差圧を確保する手段として、もともと圧力の低い昇圧装置のサクション側に透過ガスを戻すことが考えられ、そのようなプロセスの例が特許文献2に開示されている。
しかし、特許文献2に開示されているような気体と気体の混合では昇圧装置(
図2の7)としてコンプレッサーを用いる他無く、やはり大きな消費動力がかかる。
【0010】
上記のような課題は、LNGを気化して熱量調整する場合に限られず、例えば多成分系液化ガスである液体空気から酸素濃縮ガスをバーナーやボイラなどで支燃性ガスとして用いるような場合にも生ずる課題である。
【0011】
本発明はかかる課題を解決するためになされたものであり、多成分系液化ガスから特定成分を膜分離装置で分離し、分離された特定成分を混合することで成分調整するに際して消費動力が大きくなることなく効率的に特定成分を分離して混合調整することができる多成分系液化ガスの成分調整装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(1)本発明に係る多成分系液化ガスの成分調整装置は、多成分系液化ガスにおける特定成分を希薄化した特定成分希薄ガスを供給するための第一ラインと、多成分系液化ガスにおける特定成分を濃縮化した特定成分濃縮ガスを供給するための第二ラインとを備え、
前記第一ラインにおいて、多成分系液化ガスを昇圧する第一ポンプと、昇圧された多成分系液化ガスを気化する第一気化器と、気化されたガスから特定成分を分離する膜分離装置とを有し、
前記第二ラインにおいて、前記膜分離装置で分離された特定成分が濃縮された濃縮ガスを多成分系液化ガスに混合する第二気液混合装置と、該第二気液混合装置で混合された混合液を昇圧する第二ポンプと、昇圧された混合液を気化する第二気化器と有し、
前記膜分離装置で分離された特定成分が濃縮された濃縮ガスを前記第二気液混合装置に供給する濃縮ガス供給ラインとを備えたことを特徴とするものである。
【0013】
(2)また、上記(1)に記載のものにおいて、前記第一ライン及び前記第二ラインは、多成分系液化ガスが流れる多成分系液化ガスラインが分岐したものであることを特徴とするものである。
【0014】
(3)また、上記(1)又は(2)に記載のものにおいて、前記第一ラインにおける前記第一ポンプの上流側に設けた第一気液混合装置と、前記濃縮ガス供給ラインから分岐して、前記膜分離装置で分離されて特定成分が濃縮された濃縮ガスの一部を前記第一気液混合装置に供給するリサイクルラインとを備えたことを特徴とするものである。
【0015】
(4)また、上記(1)又は(2)に記載のものにおいて、前記第一ラインにおける前記第一ポンプの上流側に設けた第一気液混合装置と、前記膜分離装置の下流側に設けた第2膜分離装置と、該第2膜分離装置で分離されて特定成分が濃縮された濃縮ガスを前記第一気液混合装置に供給するリサイクルラインとを備えたことを特徴とするものである。
【0016】
(5)また、上記(1)又は(2)に記載のものにおいて、前記第一ラインにおける前記第一ポンプの下流側に設けた加熱器と、該加熱器の下流側に設けた気液分離装置と、該気液分離装置で分離された分離液を前記第二ラインの前記第二ポンプの下流側に供給する分離液供給ラインとを備えたことを特徴とするものである。
【0017】
(6)また、上記(1)又は(2)に記載のものにおいて、前記第一ラインにおける前記第一ポンプの下流側に熱交換器を設け、前記濃縮ガス供給ラインを流れる濃縮ガスを前記熱交換器によって前記第一ラインを流れる多成分系液化ガスの冷熱で冷却して前記第二気液混合装置に供給するようにしたことを特徴とするものである。
【0018】
(7)また、上記(1)、(2)、(5)又は(6)に記載ものにおいて、前記濃縮ガス供給ラインに設けられて前記第二気液混合装置に供給する濃縮ガスの量を調整する第二制御弁と、前記濃縮ガス供給ラインに供給される前記濃縮ガスの圧力、温度、流量及び組成と、前記第二気液混合装置に供給される多成分系液化ガスの圧力、温度、流量及び組成とをそれぞれ検出して、前記第二気液混合装置に供給される濃縮ガスの全量が前記第二気液混合装置で液化するように前記第二制御弁を制御する第1の制御装置を備えたことを特徴とするものである。
【0019】
(8)また、上記(1)、(2)、(5)又は(6)に記載ものにおいて、前記濃縮ガス供給ラインに設けられて前記第二気液混合装置に供給する濃縮ガスの量を調整する第二制御弁と、前記第二気液混合装置の下流側において前記第二気液混合装置から排出される混合液の圧力、温度及び組成を検出して、該混合液の相状態を判定して、前記混合液が液相状態になるように前記第二制御弁を制御する第2の制御装置を備えたことを特徴とするものである。
【0020】
(9)また、上記(3)に記載のものにおいて、前記リサイクルラインに設けられて前記第一気液混合装置に供給する濃縮ガスの量を調整する第一制御弁と、前記濃縮ガス供給ラインに設けられて前記第二気液混合装置に供給する濃縮ガスの量を調整する第二制御弁と、前記濃縮ガス供給ラインに供給される前記濃縮ガスの温度及び組成と、前記第二気液混合装置に供給される前記濃縮ガスの圧力及び流量と、前記第二気液混合装置に供給される多成分系液化ガスの圧力、温度、流量及び組成と、前記第一気液混合装置に供給される前記濃縮ガスの圧力及び流量と、前記第一気液混合装置に供給される多成分系液化ガスの圧力、温度、流量及び組成とをそれぞれ検出して、前記第一気液混合装置及び前記第二気液混合装置に供給される濃縮ガスのそれぞれ全量が前記第一気液混合装置及び前記第二気液混合装置で液化するように前記第一制御弁及び前記第二制御弁を制御する第3の制御装置を備えたことを特徴とするものである。
【0021】
(10)また、上記(3)に記載のものにおいて、前記リサイクルラインに設けられて前記第一気液混合装置に供給する濃縮ガスの量を調整する第一制御弁と、前記濃縮ガス供給ラインに設けられて前記第二気液混合装置に供給する濃縮ガスの量を調整する第二制御弁と、前記第
一気液混合装置の下流側において前記第
一気液混合装置から排出される混合液の圧力、温度及び組成と、前記第二気液混合装置の下流側において該第二気液混合装置から排出される混合液の圧力、温度及び組成とを検出して、これら混合液の相状態を判定して、前記混合液がそれぞれ液相状態になるように前記第一制御弁及び前記第二制御弁を制御する第4の制御装置を備えたことを特徴とするものである。
【0022】
(11)また、上記(4)に記載のものにおいて、前記リサイクルラインに設けられて前記第一気液混合装置に供給する濃縮ガスの量を調整する第一制御弁と、前記濃縮ガス供給ラインに設けられて前記第二気液混合装置に供給する濃縮ガスの量を調整する第二制御弁と、前記濃縮ガス供給ラインに供給される前記濃縮ガスの圧力、温度、流量及び組成と、前記第二気液混合装置に供給される多成分系液化ガスの圧力、温度、流量及び組成と、前記第一気液混合装置に供給される多成分系液化ガスの圧力、温度、流量及び組成と、前記第一気液混合装置に供給される濃縮ガスの圧力、温度、流量及び組成とをそれぞれ検出して、前記第一気液混合装置及び前記第二気液混合装置に供給される濃縮ガスのそれぞれ全量が前記第一気液混合装置及び前記第二気液混合装置で液化するように前記第一制御弁及び前記第二制御弁を制御する第5の制御装置を備えたことを特徴とするものである。
【0023】
(12)また、上記(4)に記載のものにおいて、前記リサイクルラインに設けられて前記第一気液混合装置に供給する濃縮ガスの量を調整する第一制御弁と、前記濃縮ガス供給ラインに設けられて前記第二気液混合装置に供給する濃縮ガスの量を調整する第二制御弁と、前記第一気液混合装置の下流側において前記第
一気液混合装置から排出される混合液の圧力、温度及び組成と前記第二気液混合装置の下流側において前記第二気液混合装置から排出される混合液の圧力、温度及び組成とを検出して、これら混合液の相状態を判定して、前記混合液がそれぞれ液相状態になるように前記第一制御弁及び前記第二制御弁を制御する第6の制御装置を備えたことを特徴とするものである。
【0024】
(13)また、本発明に係る多成分系液化ガスの成分調整装置は、多成分系ガスにおける特定成分を希薄化した特定成分希薄ガスを供給するための第一ラインと、多成分系液化ガスにおける特定成分を濃縮化した特定成分濃縮ガスを供給するための第二ラインとを備え、
前記第一ラインにおいて、前記多成分系ガスから特定成分を分離する膜分離装置を有し、
前記第二ラインにおいて、前記膜分離装置で分離された特定成分が濃縮された濃縮ガスを前記多成分系液化ガスに混合する第二気液混合装置と、該第二気液混合装置で混合された混合液を昇圧する第二ポンプと、昇圧された混合液を気化する第二気化器と有し、
前記膜分離装置で分離された特定成分が濃縮された濃縮ガスを前記第二気液混合装置に供給する濃縮ガス供給ラインとを備えたことを特徴とするものである。
【0025】
(14)また、多成分系液化ガスの成分調整装置は、多成分系液化ガスにおける特定成分を希薄化した特定成分希薄ガスを供給するための第一ラインと、多成分系液化ガスにおける特定成分を濃縮化した特定成分濃縮ガスを供給するための第二ラインと、
前記第一ラインを流れる多成分系液化ガスの特定成分が濃縮された濃縮ガスを気液分離装置で気液分離して、分離された分離液を前記第二ラインに供給する濃縮ガス分離供給ラインとを備え、
前記第一ラインにおいて、多成分系液化ガスを昇圧する第一ポンプと、昇圧された多成分系液化ガスを気化する第一気化器と、気化されたガスから特定成分を分離する膜分離装置とを有し、
濃縮ガス分離供給ラインにおいて、前記膜分離装置で分離された濃縮ガスを前記気液分離装置に供給する濃縮ガス供給ラインと、該濃縮ガス供給ラインに設けられて第一ライン又は前記第二ラインを流れる多成分系液化ガスの冷熱で前記濃縮ガスを冷却する熱交換器と、前記気液分離装置で分離された分離液を前記第二ラインに供給する分離液供給ラインとを有し、
前記第二ラインにおいて、前記分離液供給ラインから供給された分離液が混合された混合液を昇圧する第二ポンプと、昇圧された混合液を気化する第二気化器と有することを特徴とするものである。
【0026】
(15)また、上記(14)に記載のものにおいて、前記濃縮ガス分離供給ラインは、前記気液分離装置で分離された分離ガスを前記第一ラインに供給する分離ガス供給ラインを有し、
前記第一ラインは、前記第一ポンプの上流側に、該第一ラインを流れる多成分系液化ガスに前記分離ガスを混合する第一気液混合装置を有することを特徴とするものである。
【0027】
(16)また、上記(14)又は(15)に記載のものにおいて、前記濃縮ガス供給ラインにおいて熱交換器を設ける代わりに、第一ラインを流れる多成分系液化ガスの一部を前記第一ポンプの下流側から前記気液分離装置に供給する第一多成分系液化ガス供給ラインを設けたことを特徴とするものである。
【0028】
(17)また、上記(14)又は(15)に記載のものにおいて、前記濃縮ガス供給ラインにおいて熱交換器を設ける代わりに、第二ラインを流れる多成分系液化ガスの一部を第二ポンプの下流側から前記気液分離装置に供給する第二多成分系液化ガス供給ラインと、第一ラインにおける第一ポンプの下流側から前記第二ラインの前記第二ポンプの上流側に多成分系液化ガスを供給する第一多成分系液化ガス分岐ラインを設けたことを特徴とするものである。
【0029】
(18)また、上記(1)乃至(17)のいずれかに記載のものにおいて、前記多成分系液化ガスが液化天然ガスであり、前記第一ラインが発電用の低発熱量ガスを供給するラインであり、前記第二ラインが都市ガス用の高発熱量ガスを供給するラインであることを特徴とするものである。
【0030】
(19)また、上記(15)に記載のものにおいて、前記分離ガス供給ラインに設けられて前記第一気液混合装置に供給する分離ガスの量を調整する分離ガス制御弁と、前記濃縮ガス供給ラインに設けられて前記気液分離装置に供給する濃縮ガスの量を調整する第二制御弁と、前記分離液供給ラインに設けられて前記第二ラインに供給する分離液の量を調整する分離液制御弁と、
前記分離ガス供給ラインに供給される前記分離ガスの圧力、温度、流量及び組成と、前記第一気液混合装置に供給される多成分系液化ガスの圧力、温度、流量及び組成とをそれぞれ検出して、前記第一気液混合装置に供給される分離ガスの全量が前記第一気液混合装置で液化するように前記分離ガス制御弁を制御し、前記気液分離装置内の圧力、温度及び液面レベルを検出して前記気液分離装置内の圧力及び液面レベルが所定の範囲内になるように前記第二制御弁及び前記分離液制御弁を制御する第7の制御装置を備えたことを特徴とするものである。
【0031】
(20)また、上記(15)に記載のものにおいて、前記分離ガス供給ラインに設けられて前記第一気液混合装置に供給する分離ガスの量を調整する分離ガス制御弁と、前記濃縮ガス供給ラインに設けられて前記気液分離装置に供給する濃縮ガスの量を調整する第二制御弁と、前記分離液供給ラインに設けられて前記第二ラインに供給する分離液の量を調整する分離液制御弁と、
前記第一気液混合装置の下流側において前記第一気液混合装置から排出される混合液の圧力、温度及び組成を検出して、該混合液の相状態を判定して、前記混合液が液相状態になるように前記分離ガス制御弁を制御し、前記気液分離装置内の圧力、温度及び液面レベルを検出して前記気液分離装置内の圧力及び液面レベルが所定の範囲内になるように前記第二制御弁及び前記分離液制御弁を制御する第8の制御装置を備えたことを特徴とするものである。
【0032】
(21)また、上記(16)に記載のもののうち上記(15)を前提とするものにおいて、前記分離ガス供給ラインに設けられて前記第一気液混合装置に供給する分離ガスの量を調整する分離ガス制御弁と、前記濃縮ガス供給ラインに設けられて前記気液分離装置に供給する濃縮ガスの量を調整する第二制御弁と、前記分離液供給ラインに設けられて前記第二ラインに供給する分離液の量を調整する分離液制御弁と、第一多成分系液化ガス供給ラインに設けられて前記気液分離装置に供給する多成分系液化ガス量を調整する第1多成分系液化ガス制御弁と、
前記分離ガス供給ラインに供給される前記分離ガスの圧力、温度、流量及び組成と、前記第一気液混合装置に供給される多成分系液化ガスの圧力、温度、流量及び組成とをそれぞれ検出して、前記第一気液混合装置に供給される分離ガスの全量が前記第一気液混合装置で液化するように前記分離ガス制御弁を制御し、前記気液分離装置内の圧力、温度及び液面レベルを検出して前記気液分離装置内の圧力及び液面レベルが所定の範囲内になるように前記第二制御弁、前記分離液制御弁及び前記第1多成分系液化ガス制御弁を制御する第9の制御装置を備えたことを特徴とするものである。
【0033】
(22)また、上記(16)に記載のもののうち上記(15)を前提とするものにおいて、前記分離ガス供給ラインに設けられて前記第一気液混合装置に供給する分離ガスの量を調整する分離ガス制御弁と、前記濃縮ガス供給ラインに設けられて前記気液分離装置に供給する濃縮ガスの量を調整する第二制御弁と、前記分離液供給ラインに設けられて前記第二ラインに供給する分離液の量を調整する分離液制御弁と、第一多成分系液化ガス供給ラインに設けられて前記気液分離装置に供給する多成分系液化ガス量を調整する第1多成分系液化ガス制御弁と、
前記第一気液混合装置の下流側において前記第一気液混合装置から排出される混合液の圧力、温度及び組成を検出して、該混合液の相状態を判定して、前記混合液が液相状態になるように前記分離ガス制御弁を制御し、前記気液分離装置内の圧力、温度及び液面レベルを検出して前記気液分離装置内の圧力及び液面レベルが所定の範囲内になるように前記第二制御弁、前記分離液制御弁及び前記第1多成分系液化ガス制御弁を制御する第10の制御装置を備えたことを特徴とするものである。
【0034】
(23)また、上記(17)に記載のもののうち上記(15)を前提とするものにおいて、前記分離ガス供給ラインに設けられて前記第一気液混合装置に供給する分離ガスの量を調整する分離ガス制御弁と、前記濃縮ガス供給ラインに設けられて前記気液分離装置に供給する濃縮ガスの量を調整する第二制御弁と、前記分離液供給ラインに設けられて前記第二ラインに供給する分離液の量を調整する分離液制御弁と、前記第二多成分系液化ガス供給ラインに設けられて前記気液分離装置に供給する多成分系液化ガス量を調整する第2多成分系液化ガス制御弁と、前記第一多成分系液化ガス分岐ラインに設けられて前記第二ラインに供給する多成分系液化ガス量を調整する第3多成分系液化ガス制御弁と、
前記分離ガス供給ラインに供給される前記分離ガスの圧力、温度、流量及び組成と、前記第一気液混合装置に供給される多成分系液化ガスの圧力、温度、流量及び組成とをそれぞれ検出して、前記第一気液混合装置に供給される分離ガスの全量が前記第一気液混合装置で液化するように前記分離ガス制御弁を制御し、前記気液分離装置内の圧力、温度及び液面レベルを検出して前記気液分離装置内の圧力及び液面レベルが所定の範囲内になるように前記第二制御弁及び前記分離液制御弁を制御し、前記第一多成分系液化ガス分岐ラインを流れる多成分系液化ガスの流量が前記第二多成分系液化ガス供給ラインを流れる多成分系液化ガスの流量以上になるように前記第3多成分系液化ガス制御弁を制御する第11の制御装置を備えたことを特徴とするものである。
【0035】
(24)また、上記(17)に記載のもののうち上記(15)を前提とするものにおいて、前記分離ガス供給ラインに設けられて前記第一気液混合装置に供給する分離ガスの量を調整する分離ガス制御弁と、前記濃縮ガス供給ラインに設けられて前記気液分離装置に供給する濃縮ガスの量を調整する第二制御弁と、前記分離液供給ラインに設けられて前記第二ラインに供給する分離液の量を調整する分離液制御弁と、前記第二多成分系液化ガス供給ラインに設けられて前記気液分離装置に供給する多成分系液化ガス量を調整する第2多成分系液化ガス制御弁と、前記第一多成分系液化ガス分岐ラインに設けられて前記第二ラインに供給する多成分系液化ガス量を調整する第3多成分系液化ガス制御弁と、
前記第一気液混合装置の下流側において前記第一気液混合装置から排出される混合液の圧力、温度及び組成を検出して、該混合液の相状態を判定して、前記混合液が液相状態になるように前記分離ガス制御弁を制御し、前記気液分離装置内の圧力、温度及び液面レベルを検出して前記気液分離装置内の圧力及び液面レベルが所定の範囲内になるように前記第二制御弁及び前記分離液制御弁を制御し、前記第一多成分系液化ガス分岐ラインを流れる多成分系液化ガスの流量が前記第二多成分系液化ガス供給ラインを流れる多成分系液化ガスの流量以上になるように前記第3多成分系液化ガス制御弁を制御する第12の制御装置を備えたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0036】
本発明においては、第一ラインで昇圧して気化した多成分ガスを膜分離装置に供給し、分離された濃縮ガスを昇圧されていない第二ラインの多成分系液化ガスに供給するようにしたことで、膜分離装置における供給側と透過側で差圧を十分とることができ、膜分離圧力差が十分に確保され、分離効率を向上することができる。しかも、第一ラインによる第一ポンプでの昇圧は液状態での昇圧であり、流体の昇圧動力はガス状態より液状態の方がはるかに小さいため、ガス圧縮機を用いる場合に比べてプロセスの消費動力を低く抑えられる。
【発明を実施するための形態】
【0038】
[実施の形態1]
本発明の多成分系液化ガスの成分調整装置(以下、単に「成分調整装置」という場合あり)を、貯留槽に貯留されたLNGを液化燃料ガスとして送出するラインを例に挙げて説明する。
したがって、本実施の形態では、LNGが本発明の多成分系液化ガスに相当する。LNGはメタンを主成分とし、この他に重質成分としてエタン、プロパン、ブタン等が含まれている。よって、重質成分が本発明の特定成分に相当し、重質成分が希薄となった低発熱量ガスが本発明の特定成分希薄ガスに相当する。また、重質成分が濃縮された都市ガス用の高発熱量ガスが本発明の特定成分濃縮ガスに相当する。
そして、第一ラインは重質成分が希薄となった低発熱量ガスを発電所等へ供給するラインであり、第二ラインは重質成分が濃縮された都市ガス用の高発熱量ガスを供給するラインである。
【0039】
本実施の形態の多成分系液化ガスの成分調整装置1は、
図1に示すように、LNG送出ポンプ3によって例えば1.0MPaGに昇圧されて送出されたLNGが流れる液化燃料ガスライン5が分岐した、低発熱量ガスを供給する第一ライン7と、重質成分が濃縮された都市ガス用の高発熱量ガスを供給する第二ライン9とを備えている。
そして、第一ライン7には、LNGを昇圧する第一ポンプ11と、昇圧されたLNGを気化する第一気化器13と、気化されたNG(天然ガス)から重質成分を分離する膜分離装置15とを設けている。
【0040】
また、第二ライン9には、膜分離装置15で分離された重質成分が濃縮された濃縮ガスをLNGに混合する第二気液混合装置17と、第二気液混合装置17で混合された混合液を昇圧する第二ポンプ19と、昇圧された混合液を気化する第二気化器21とを設けている。
さらに、第一ライン7と第二ライン9との間において、膜分離装置15で分離された重質成分が濃縮された濃縮ガスを第二気液混合装置17に供給する濃縮ガス供給ライン23を設けている。
【0041】
またさらに、本実施の形態では、第二ポンプ19に供給される混合液に気相が存在しないことが好ましいことに鑑みて、濃縮ガス供給ライン23に第二制御弁25を設けると共に、第二気液混合装置17に供給される濃縮ガスが第二気液混合装置17で全量液化するように第二制御弁25を制御する第1の制御装置27を設けている。
なお、本実施の形態の例えば第一ポンプ11等の各機器類は、第1の制御装置27又は図示しない制御装置によって運転制御される。
以下、各機器を詳細に説明する。
【0042】
<第一ラインに設置される機器>
《第一ポンプ》
第一ポンプ11は、第一ライン7を流れるLNGを発電所等に向けて送出するために昇圧するポンプである。第一ポンプによってLNGは例えば7.0MPaGに昇圧される。
【0043】
《第一気化器》
第一気化器13は、第一ポンプ11から送出されるLNGを完全に気化させる装置である。気化器には、例えば海水を加熱媒体とするものが使用できるが、特にその形式は問われない。
【0044】
《膜分離装置》
本実施例では、LNGを構成する成分ガスのうち、エタン、プロパン、ブタン等の重質成分が透過しやすい膜を使用した場合を示す。
膜分離装置15は、第一気化器13で気化されたNG(天然ガス)を、ガス分離膜を介することで、非透過側で得られるメタンリッチの低発熱量ガスと、透過側で得られるエタン、プロパン、ブタン等の重質成分が濃縮された濃縮ガスとに分離する。分離されたメタンリッチの低発熱量ガスは発電所等へ供給され、濃縮ガスは、濃縮ガス供給ライン23に送られる。
【0045】
<第二ラインに設置される機器>
《第二気液混合装置》
第二気液混合装置17は、膜分離装置15で分離された重質成分が濃縮された濃縮ガスをLNGに混合するものであり、液体に気体を直接接触させて前記液体に前記気体を混合、溶解、あるいは前記気体を液化させるものであればその形態は特に限定されない。
【0046】
第二気液混合装置17においては、被混合液の過冷度(顕熱)が、混合ガスである濃縮ガスの凝縮潜熱を上回っている場合に、濃縮ガスが完全に液化する。本実施の形態ではLNG送出ポンプ3によって混合前の第二ライン9のLNGの過冷度を増加させているが、LNGが予め十分な過冷度を持っている場合はLNG送出ポンプ3を省略してもよい。
また、第二気液混合装置17として、液化を促進するような機構の混合装置を用いてもよい。
【0047】
《第二ポンプ》
第二ポンプ19は、混合液を昇圧して都市ガスの需要者に向けて送出するためのポンプである。
【0048】
《第二気化器》
第二気化器21は混合液を気化するための装置であり、例えば第一気化器13と同様に海水を加熱媒体とするものが使用できるが、特にその形式は問わない。
【0049】
<濃縮ガス供給ラインに設置される機器>
《第二制御弁》
第二制御弁25は、濃縮ガス供給ライン23に設けられ、第1の制御装置27に制御されて、第二気液混合装置17に供給する濃縮ガスの量を調整するものである。
【0050】
<第1の制御装置>
第1の制御装置27は、第二制御弁25を制御して、第二気液混合装置17に供給される濃縮ガス量を第二気液混合装置17で全量が液化する量に調整するものであり、濃縮ガス供給ライン23における第二制御弁25の下流側及び第二ライン9における第二気液混合装置17の上流側のそれぞれに設置された圧力検出器(P)、温度検出器(T)、流量検出器(F)及び組成検出器(A)の検出値を入力して全量が液化する混合可能な濃縮ガスの最大混合可能量を演算する第1演算部29と、第1演算部29の演算結果に基づいて第二気液混合装置17に供給される濃縮ガス量が最大混合可能量以下になるように第二制御弁25を制御する第1制御部31とを備えている。
【0051】
第1演算部29は、第二気液混合装置17に流入するLNGと濃縮ガスそれぞれの圧力、温度、流量、組成を基に、LNGの過冷度および濃縮ガスの凝縮潜熱を求め、濃縮ガスの最大混合可能量を計算する。
なお、濃縮ガスの混合量は、混合液の熱量が都市ガスの規定する熱量範囲の上限を超えないように制御する。
【0052】
濃縮ガスを最大混合可能量混合したとしても混合液の熱量が都市ガスで要求される規定値よりも低い場合もあり得ることから、第二ライン9における第二気液混合装置17の下流に熱量調整装置を設けるようにしてもよい。
また、濃縮ガス供給ライン23の途中にバッファタンクを設けることで、濃縮ガスの分離量と混合量に差をつけられる緩衝作用を持たせるようにしてもよい。
【0053】
第二気液混合装置17によって混合後の流体が液体になることで、混合後の昇圧に液ポンプ(第二ポンプ19)を用いることが可能になる。
【0054】
なお、
図1においては、第二気液混合装置17の上流側に圧力検出器(P)を設置しているが、第二気液混合装置17における圧力損失を考慮する場合には、第二気液混合装置17の下流側にも圧力検出器(P)を設置して検出値を第1の制御装置27に入力するようにすればよい。もっとも、第二気液混合装置17の圧力損失が推定できる場合には、圧力検出器(P)を設けることなく、推定値を第1の制御装置27に入力してもよい。
この点は、以下の実施の形態においても同様である。
【0055】
上記のように構成された本実施の形態の動作を、
図1に基づいて説明する。
LNGタンク(図示なし)から送出されたLNGは、その一部が第一ライン7に流れ、残りが第二ライン9に流れる。第一ライン7に流れたLNGは第一ポンプ11で例えば7.0MPaGに昇圧され、第一気化器13に供給されて全量が気化される。第一気化器13で気化されたNGは膜分離装置15に供給されて、メタンリッチの低発熱量ガスと、エタン、プロパン、ブタン等の重質成分が濃縮された濃縮ガスに分離される。そして、低発熱量ガスは発電所等へ供給され、濃縮ガスは濃縮ガス供給ライン23に送られる。
【0056】
濃縮ガス供給ライン23に送られた濃縮ガスは、第二制御弁25の開度に応じた量が第二ライン9の第二気液混合装置17に供給される。
第二ライン9では、LNGが第二気液混合装置17に供給されており、このLNGに濃縮ガス供給ライン23から送られた濃縮ガスが供給されて混合される。このとき、膜分離装置15に供給されるNGは第一ポンプ11でLNG送出ポンプ3の吐出圧より昇圧されており、他方、第二ライン9の第二気液混合装置17を流れるLNGはLNG送出ポンプ3の吐出圧である。このため、膜分離装置15の供給側と透過側で差圧を十分とることができ、膜分離効率を向上することができる。すなわち、第一ポンプ11による昇圧分の圧力差を膜分離に利用でき、従来技術より大きな膜分離圧力差を確保できるようになっている。
そして、膜分離は圧力差が大きいほど物質の透過速度が上昇するため、膜面積あたりの重質成分回収量の増大や透過ガス量あたりの必要膜面積の縮小が可能になる。
【0057】
第二気液混合装置17でLNGに濃縮ガスが混合され、重質成分が増加した混合液は第二ポンプ19で昇圧され、第二気化器21で気化されて高発熱量ガスとして都市ガスユーザに供給される。
第二ポンプ19は液ポンプであり、混合液に気相が残留しないことが望ましく、そのため、本実施の形態では、前述したように第1の制御装置27によって第二制御弁25が制御される。
【0058】
以上のように、本実施の形態では、第一ライン7で昇圧して気化したNGを膜分離装置15に供給し、分離された濃縮ガスを昇圧されていない第二ライン9のLNGに供給するようにしたことで、膜分離装置15における供給側と透過側で差圧を十分とることができ、膜分離圧力差が十分に確保され、分離効率を向上することができる。しかも、第一ライン7による第一ポンプ11での昇圧は液状態での昇圧であり、流体の昇圧動力はガス状態より液状態の方がはるかに小さいため、圧縮機を用いる場合に比べてプロセスの消費動力を低く抑えられる。
また、第1の制御装置27によって、第二気液混合装置17に供給される濃縮ガスの全量が液化して混合液には気相が残留しないようにしているので、第二ポンプ19で効率的に送液することができる。
【0059】
上記の第1の制御装置27は、第二制御弁25の制御に関していわゆるフィードフォワード制御であったが、第1の制御装置27に代えて、
図2に示すように、フィードバック制御によって第二制御弁25の制御を行う第2の制御装置33を適用してもよい。
第2の制御装置33は、第二気液混合装置17の下流側に設けた圧力検出器(P)、温度検出器(T)及び組成検出器(A)の検出値を入力して混合後の液化燃料ガスの相状態を判定する第2演算部35と、第2演算部35の演算結果に基づいて第二制御弁25を制御する第2制御部37とを備えている。第2制御部37は、第2演算部35の判定結果によって気液混相、あるいは気相状態になるおそれがある場合には、第二制御弁25を絞って第二気液混合装置17に供給される濃縮ガス量を少なくする。
【0060】
また、第二制御弁25の制御に関しては、フィードフォワード、フィードバックの他に両者を組み合わせて制御を行うようにしてよい。この点は、以下の実施の形態においても同様である。
【0061】
実施の形態1による熱量調整の具体例について、
図3に基づいて概説する。なお、
図3は、
図1から各検出器と第1の制御装置27の図示を省略すると共に、多成分系液化ガスの成分調整装置1の各位置を流れる流体の流量、熱量及び含有成分量(物質量%)を付記している。
図3におけるC1はメタン、C2はエタン、C3はプロパン、C4はブタンであるが、いずれも参考値である。
【0062】
図3に示す例では、LNG送出ポンプ3によって送られてきた190.9t/hのLNG(熱量:44.2MJ/Nm
3、C1:90.0%,C2:6.0%,C3:3.0%,C4:1.0%)は、67.5t/hが第一ライン7に流れて、膜分離装置15によって分離され、50t/hの低発熱量ガス(熱量:43.4MJ/Nm
3、C1:91.5%,C2:5.5%,C3:2.4%,C4:0.6%)が発電所等へ供給される。膜分離装置15で分離された17.5t/hの濃縮ガス(熱量:46.7MJ/Nm
3、C1:85.6%,C2:7.4%,C3:4.8%,C4:2.2%)が第二気液混合装置17に供給され、混合液(熱量:44.5MJ/Nm
3、C1:89.4%,C2:6.2%,C3:3.2%,C4:1.2%)となって、第二ポンプ19で昇圧されて第二気化器21で気化され、さらに熱量調整のために熱量調整器38によって9.1t/hのLPG(熱量:102MJ/Nm
3、C3:90.0%,C4:10.0%)が添加され、150t/hの高発熱量ガス(熱量:46.0MJ/Nm
3、C1:87.2%,C2:6.0%,C3:5.4%,C4:1.4%)として都市ガス需要者に供給される。
【0063】
比較例として、膜分離装置15を用いないで、熱量調整器38のみによって熱量調整した場合の具体例を
図16に示す。この場合には、熱量調整器によって11.1t/hのLPGの添加が必要であり、本実施の形態の9.1t/hに比較してLPGの添加量が増加する。
このことから、本実施の形態によれば、膜分離装置15を一つ追加するだけのシンプルな構成によってLPGの添加量を少なくできるという効果が得られていることが分かる。
なお、上記の例では、膜分離装置15を一つ用いているが、膜分離装置を複数並列に配置する構成も考えられ、そのようにすれば膜分離装置のメンテナンスの際、一基を停止しても他の装置を運転することでプロセスを停止せずにメンテナンスを行うことが可能となるという効果が得られる。
【0064】
[実施の形態2]
実施の形態2に係る多成分系液化ガスの成分調整装置39を
図4に基づいて説明する。なお、
図4において、
図1と同一部分には同一の符号を付して説明を省略する。
実施の形態2に係る多成分系液化ガスの成分調整装置39は、実施の形態1のものに、第一ライン7における第一ポンプ11の上流側に設けた第一気液混合装置41と、濃縮ガス供給ライン23から分岐して、膜分離装置15で分離された特定成分が濃縮された濃縮ガスの一部を第一気液混合装置41に供給するリサイクルライン43とをさらに備えている。
【0065】
リサイクルライン43の分岐位置は、濃縮ガス供給ライン23における第二制御弁25より上流側が望ましい。リサイクルライン43には第一制御弁45および流量検出器(F)が設けられ、さらに圧力検出器(P)が第一制御弁45の下流側に設けられている。濃縮ガス供給ライン23において圧力検出器(P)、温度検出器(T)、流量検出器(F)及び組成検出器(A)が設けられている。圧力検出器(P)は第二制御弁25の下流側に設置される。流量検出器(F)の設置位置は第二制御弁25の下流側が望ましい。温度検出器(T)及び組成検出器(A)の設置位置は任意で構わない。
また、本実施の形態では、第二気液混合装置17と第一気液混合装置41に供給される濃縮ガスの量を全量が液化できる量に調整するために、第一制御弁45と第二制御弁25を制御する第3の制御装置47が設けられている。
【0066】
第3の制御装置47は、濃縮ガス供給ライン23における第二制御弁25の上流側に設置された温度検出器(T)及び組成検出器(A)、濃縮ガス供給ライン23における第二制御弁25の下流側に設置された圧力検出器(P)及び流量検出器(F)、リサイクルライン43における第一制御弁45の下流側に設置された流量検出器(F)及び圧力検出器(P)、第二ライン9における第二気液混合装置17の上流側及び第一気液混合装置41の上流側のそれぞれに設置された圧力検出器(P)、温度検出器(T)、流量検出器(F)及び組成検出器(A)の検出値を入力して第一気液混合装置41及び第二気液混合装置17で全量が液化する混合可能な濃縮ガスの最大混合可能量を演算する第3演算部49と、第3演算部49の演算結果に基づいて第一気液混合装置41及び第二気液混合装置17に供給される濃縮ガス量が最大混合可能量以下になるように第一制御弁45及び第二制御弁25を制御する第3制御部51とを備えている。
【0067】
上記のように構成された本実施の形態の動作を、
図4に基づいて説明する。
実施の形態1と異なる点は、LNGタンク(図示なし)から送出されて、第一ライン7に流れたLNGにリサイクルライン43から供給される濃縮ガスが第一気液混合装置41によって混合されて第一ポンプ11に送られる点である。
このように、リサイクルライン43を経て濃縮ガスを第一ポンプ11昇圧前のLNGに混合することにより、膜分離装置15に供給するNGの重質成分を濃縮することができる。膜分離は分離する物質の入口分圧が高いほど透過速度が上昇するため、膜面積あたりの重質成分回収量の増加、重質成分回収率の向上、透過ガス量あたりの必要膜面積の縮小が可能になる。
【0068】
本実施の形態によれば、実施の形態1の効果に加えて、膜分離装置15における膜面積あたりの重質成分回収量の増加、重質成分回収率の向上、透過ガス量あたりの必要膜面積の縮小が可能になる。
【0069】
上記の第3の制御装置47は、第一制御弁45及び第二制御弁25の制御に関していわゆるフィードフォワード制御であったが、第3制御装置に代えて、
図5に示すように、フィードバック制御によって第一制御弁45及び第二制御弁25の制御を行う第4の制御装置53を適用してもよい。
第4の制御装置53は、第一気液混合装置41及び第二気液混合装置17の下流側にそれぞれ設けた圧力検出器(P)、温度検出器(T)及び組成検出器(A)の検出値を入力してそれぞれの混合後のLNGの相状態を判定する第4演算部55と、第4演算部55の演算結果に基づいて第一制御弁45及び第二制御弁25を制御する第4制御部57とを備えている。第4制御部57は、第4演算部55の判定結果によって気液混相、あるいは気相状態になるおそれがある場合には、第一制御弁45及び第二制御弁25を絞って第一気液混合装置41及び第二気液混合装置17に供給される濃縮ガス量を少なくする。
【0070】
実施の形態2による熱量調整の具体例について、
図6に基づいて概説する。
図6に示す例では、LNG送出ポンプ3によって送られてきた191.4t/hのLNG(熱量:44.2MJ/Nm
3、C1:90.0%,C2:6.0%,C3:3.0%,C4:1.0%)は、72.8t/hが第一ライン7に流れて、膜分離装置15によって分離され、50t/hの低発熱量ガス(熱量:43.1MJ/Nm
3、C1:91.8%,C2:5.4%,C3:2.2%,C4:0.6%)が発電所等へ供給される。
膜分離装置15で分離された35.9t/hの濃縮ガス(熱量:46.8MJ/Nm
3、C1:85.5%,C2:7.5%,C3:4.8%,C4:2.2%)のうち13.2t/hが第一気液混合装置41に、22.7t/hが第二気液混合装置17にそれぞれ供給される。
第一ライン7では、第一気液混合装置41によって混合液(熱量:44.6MJ/Nm
3、C1:89.3%,C2:6.2%,C3:3.3%,C4:1.2%)となって第一ポンプ11、第一気化器13、膜分離装置15に供給される。第二ライン9では、第二気液混合装置17によって混合液(熱量:44.6MJ/Nm
3、C1:89.3%,C2:6.2%,C3:3.3%,C4:1.2%)となって、第二ポンプ19で昇圧されて第二気化器21で気化され、さらに熱量調整のために9.1t/hのLPG(熱量:102MJ/Nm
3、C3:90.0%,C4:10.0%)が添加され、150t/hの高発熱量ガス(熱量:46.0MJ/Nm
3、C1:87.1%,C2:6.1%,C3:5.4%,C4:1.4%)として都市ガス需要者に供給される。
【0071】
実施の形態1では熱量調整のために添加したLPGの量が9.1t/hであったが、実施の形態2では8.6t/hとなっており、添加量が減少している。これは、リサイクルライン43を設けたことにより、第一ライン7の重質成分が濃縮され、膜分離装置15で分離された濃縮ガスの熱量が増加したことによる(熱量を比較すれば46.7→46.8MJ/Nm3に増加)。つまり、この熱量が増加した分、第二ライン9で最後に熱量調整として加えるLPGの必要量が減少する。
本実施の形態によれば、実施の形態1に比較して、熱量調整に必要なLPGの量を少なくできるというさらなる効果が得られている。
【0072】
[実施の形態3]
実施の形態3に係る多成分系液化ガスの成分調整装置59を
図7に基づいて説明する。なお、
図7において、実施の形態2を示した
図4と同一部分には同一の符号を付して説明を省略する。
実施の形態3に係る多成分系液化ガスの成分調整装置59は、膜分離装置15の下流側に第2膜分離装置61を設け、実施の形態2のリサイクルライン43に代えて、第2膜分離装置61で分離された濃縮ガスを第一気液混合装置41に供給するリサイクルライン63を設けたものである。
なお、本実施の形態の膜分離装置15及び第2膜分離装置61は共に実施の形態1,2で用いた膜分離装置15と同一の構造であるが、サイズが小さいものである。
【0073】
リサイクルライン63には、第一制御弁45が設けられ、第一制御弁45の下流側には圧力検出器(P)、温度検出器(T)、流量検出器(F)及び組成検出器(A)が設けられている。
また、本実施の形態では、第二気液混合装置17と第一気液混合装置41に供給される濃縮ガスの量を調整する第5の制御装置65が設けられている。
【0074】
第5の制御装置65は、濃縮ガス供給ライン23における第二制御弁25の下流側、第二ライン9における第二気液混合装置17の上流側、第一気液混合装置41の上流側及びリサイクルライン63のそれぞれに設置された圧力検出器(P)、温度検出器(T)、流量検出器(F)及び組成検出器(A)の検出値を入力して、第一気液混合装置41及び第二気液混合装置17でそれぞれ全量が液化する混合可能な濃縮ガスの最大混合可能量を演算する第5演算部67と、第5演算部67の演算結果に基づいて第一気液混合装置41及び第二気液混合装置17それぞれに供給される濃縮ガス量が最大混合可能量以下になるように第一制御弁45及び第二制御弁25をそれぞれ制御する第5制御部69とを備えている。
【0075】
上記のように構成された本実施の形態の動作を
図7に基づいて説明する。
実施の形態2と異なる点は、第一気液混合装置41に供給する濃縮ガスが、実施の形態2では膜分離装置15で分離された濃縮ガスであったが、本実施の形態では膜分離装置15の下流側に設けられた第2膜分離装置61で分離された濃縮ガスである点である。
ただ、本実施の形態の効果は、基本的には実施の形態2と同様である。すなわち、実施の形態1の効果に加えて、膜分離装置15における膜面積あたりの重質成分回収量の増加、重質成分回収率の向上、透過ガス量あたりの必要膜面積の縮小が可能になる。
【0076】
上記の第5の制御装置65は、第二制御弁25及び第一制御弁45の制御に関していわゆるフィードフォワード制御であったが、第5の制御装置65に代えて、
図8に示すように、フィードバック制御によって第一制御弁45及び第二制御弁25の制御を行う第6の制御装置71を適用してもよい。
第6の制御装置71は、第一気液混合装置41及び第二気液混合装置17の下流側にそれぞれ設けた圧力検出器(P)、温度検出器(T)及び組成検出器(A)の検出値を入力して混合後の液化燃料ガスの相状態を判定する第6演算部73と、第6演算部73の演算結果に基づいて第一制御弁45及び第二制御弁25を制御する第6制御部75とを備えている。第6制御部75は、第6演算部73の判定結果によって気液混相、あるいは気相状態になるおそれがある場合には、第一制御弁45及び第二制御弁25を絞って第一気液混合装置41及び第二気液混合装置17に供給される濃縮ガス量を少なくする。
【0077】
実施の形態3による熱量調整の具体例について
図9に基づいて概説する。
図9に示す例では、LNG送出ポンプ3によって送られてきた191.4t/hのLNG(熱量:44.2MJ/Nm
3、C1:90.0%,C2:6.0%,C3:3.0%,C4:1.0%)は、71.3t/hが第一ライン7に流れて、膜分離装置15によって分離された濃縮ガス(熱量:47.1MJ/Nm
3、C1:85.2%,C2:7.6%,C3:5.0%,C4:2.2%)が第二気液混合装置17に供給され、混合液(熱量:44.6MJ/Nm
3、C1:89.3%,C2:6.2%,C3:3.2%,C4:1.2%)となって、第二ポンプ19で昇圧されて第二気化器21で気化され、さらに熱量調整のためにLPG(熱量:102MJ/Nm
3、,C3:90.0%,C4:10.0%)が添加され、150t/hの高発熱量ガス(熱量:46.0MJ/Nm
3、C1:87.1%,C2:6.1%,C3:5.4%,C4:1.4%)として都市ガス需要者に供給される。
膜分離装置15で分離された重質成分が希薄になったガスはさらに第2膜分離装置61によって分離され、50t/hの低発熱量ガス(熱量:43.1MJ/Nm
3、C1:91.8%,C2:5.4%,C3:2.2%,C4:0.6%)が発電所等へ供給される。第2膜分離装置61で分離された11.6t/hの濃縮ガス(熱量:45.8MJ/Nm
3、C1:87.0%,C2:7.2%,C3:4.2%,C4:1.6%)が第一気液混合装置41に供給される。
【0078】
実施の形態1では熱量調整のために添加したLPGの量が9.1t/hであったが、実施の形態3では8.6t/hとなっており、添加量が減少している。これは実施の形態2と同様に、リサイクルライン63を設けたことにより、第一ライン7の重質成分が濃縮され、膜分離装置15で分離された濃縮ガスの熱量が増加したことによる。もっとも、実施の形態2では1基の膜分離装置15で膜分離を行っていたが、本実施の形態3では実施の形態2の膜分離装置15よりもサイズの小さな膜分離装置を2台使用したものであり、膜分離装置の小型化を図っている。
【0079】
[実施の形態4]
実施の形態4に係る多成分系液化ガスの成分調整装置77を
図10に基づいて説明する。なお、
図10において、実施の形態1を示した
図1と同一部分には同一の符号を付して説明を省略する。
実施の形態4に係る多成分系液化ガスの成分調整装置77は、第一ライン7の第一ポンプ11と第一気化器13の間に加熱器79と気液分離装置81を設け、気液分離装置81で分離された分離液を分離液供給ライン83によって第二ライン9の第二ポンプ19の下流側に供給するようにしたものである。分離液供給ライン83には液供給ポンプ85が設けられている。
【0080】
本実施の形態によれば、第一ライン7の第一ポンプ11で昇圧されたLNGを加熱器79で加熱し、部分的に気化させた状態で気液分離装置81で気液分離をすることにより、沸点の差による重質成分の粗分離(気液分離)を簡易的に行える。熱量の高いプロパンやブタンは高沸点であり、気液分離を行うと液相に濃縮分離される。この分離液は第一ポンプ11による昇圧後の高い圧力を有しているため、第二ライン9の第二ポンプ19昇圧後の混合液に混合することで、第二ポンプ19の送液量を低減し、プロセスの消費動力を低く抑えられる。
なお、気液分離装置81は膜分離装置15の補助的な役割であり、簡易なものでよい。
また、第二制御弁25の制御に関しては実施の形態1と同様である。
【0081】
以上のように、本実施の形態によれば、実施の形態1の効果に加えて、気液分離装置81で分離した液状態の重質成分を第二ライン9に供給することができ、熱量調整に添加するLPGの量をより低減することができる。
【0082】
図10に示した第1の制御装置27は、第二制御弁25の制御に関していわゆるフィードフォワード制御であったが、
図2に示したものと同様に、
図11に示すように、フィードバック制御を行う第2の制御装置33を適用して第二制御弁25の制御を行うようにしてもよい。
【0083】
実施の形態4による熱量調整の具体例について
図12に基づいて概説する。
図12に示す例では、LNG送出ポンプ3)によって送られてきた192.3t/hのLNG(熱量:44.2MJ/Nm
3、C1:90.0%,C2:6.0%,C3:3.0%,C4:1.0%)は、71.9t/hが第一ライン7に流れて、気液分離装置81で分離された5.0t/hの分離液(熱量:69.5MJ/Nm
3、C1:48.3%,C2:16.4%,C3:22.0%,C4:13.3%)が第二ライン9に供給される。気液分離装置81を通過した分離液以外のものは第一気化器13で気化された後、膜分離装置15によって分離され、50t/hの低発熱量ガス(熱量:42.6MJ/Nm
3、C1:92.9%,C2:5.1%,C3:1.7%,C4:0.3%)が発電所等へ供給される。膜分離装置15で分離された16.8t/hの濃縮ガス(熱量:44.8MJ/Nm
3、C1:88.6%,C2:7.0%,C3:3.5%,C4:0.9%)が第二気液混合装置17に供給され、混合液(熱量:44.3MJ/Nm
3、C1:89.8%,C2:6.1%,C3:3.1%,C4:1.0%)となって、第二ポンプ19で昇圧される。第二ポンプ19で昇圧された混合液には気液分離装置81で分離された分離液が供給されて濃縮液(熱量:44.8MJ/Nm
3、C1:89.0%,C2:6.3%,C3:3.5%,C4:1.2%)となり、これが第二気化器21で気化され、さらに熱量調整のためにLPG(熱量:102MJ/Nm
3、C3:90.0%,C4:10.0%)が添加され、150t/hの高発熱量ガス(熱量:46.0MJ/Nm
3、C1:87.1%,C2:6.2%,C3:5.3%,C4:1.4%)として都市ガス需要者に供給される。
【0084】
本実施の形態では、上記の実施の形態1〜3に比較して添加するLPGの量をより低減することができる。これは、気液分離装置81により高沸点成分であるC3,C4を液相に濃縮し、その分離液を第二ライン9の高圧部に混合して増熱するようにしたためである。
【0085】
なお、上記の実施の形態1〜4では、多成分系液化ガスの例としてLNGを例示してLNGを液化燃料ガスとして送出するラインを例に挙げて説明したが、本発明の多成分系液化ガスはLNGに限られるものではなく種々の多成分系液化ガスを対象とすることができる。例えば、多成分系液化ガスとしての液体空気からの酸素濃縮ガス製造プロセスなどに適用することも可能である。酸素濃縮ガスは例えばバーナーやボイラなどの支燃性ガスに用いられる。通常の空気を用いた場合に比べ、燃焼効率の向上、排ガス量の低減などの効果が得られる。
【0086】
[実施の形態5]
実施の形態5に係る多成分系液化ガスの成分調整装置87を
図13に基づいて説明する。なお、
図13において、実施の形態1を示した
図1と同一部分には同一の符号を付して説明を省略する。
実施の形態5に係る多成分系液化ガスの成分調整装置87は、第一ライン7の第一ポンプ11と第一気化器13の間に熱交換器89を設け、濃縮ガス供給ライン23を流れる濃縮ガスを第一ポンプ11で昇圧された後のLNGの冷熱を利用して冷却するようにしたものである。
【0087】
本実施の形態によれば、実施の形態1の効果に加えて、第二気液混合装置17に供給される濃縮ガスの液化が促進され、濃縮ガスの混合可能量が増加する。すなわち、重質成分回収量が増し、その結果、熱量調整のために添加するLPGの削減を実現できる。
なお、濃縮ガス供給ライン23を流れる濃縮ガスの冷却には、第二ライン9の第二ポンプ19と第二気化器21の間に熱交換器を設け、第二ポンプ19で昇圧された後のLNGの冷熱を用いても良い。また、第一ポンプ11で昇圧された後のLNGの冷熱と、第二ポンプ19で昇圧された後のLNGの冷熱の両方を用いてもよい。
【0088】
図13に示した第1の制御装置27は、第二制御弁25の制御に関していわゆるフィードフォワード制御であったが、
図2に示したものと同様に、
図14に示すように、フィードバック制御を行う第2の制御装置33を適用して第二制御弁25の制御を行うようにしてもよい。
【0089】
実施の形態5による熱量調整の具体例について
図15に基づいて概説する。
図15に示す例では、LNG送出ポンプ3によって送られてきた191.6t/hのLNG(熱量:44.2MJ/Nm
3、C1:90.0%,C2:6.0%,C3:3.0%,C4:1.0%)は、79.6t/hが第一ライン7に流れて、膜分離装置15によって分離され、50t/hの低発熱量ガス(熱量:43.4MJ/Nm
3、C1:92.1%,C2:5.3%,C3:2.2%,C4:0.4%)が発電所等へ供給される。
膜分離装置15で分離された29.6t/hの濃縮ガス(熱量:46.4MJ/Nm
3、C1:85.1%,C2:7.3%,C3:4.6%,C4:2.0%)が熱交換器89で冷却されて第二気液混合装置17に供給され、混合液(熱量:44.7MJ/Nm
3、C1:89.2%,C2:6.3%,C3:3.3%,C4:1.2%)となって、第二ポンプ19で昇圧されて第二気化器21で気化され、さらに熱量調整のために熱量調整器38によって8.4t/hのLPG(熱量:102MJ/Nm
3、C3:90.0%,C4:10.0%)が添加され、150t/hの高発熱量ガス(熱量:46.0MJ/Nm
3、C1:87.2%,C2:6.0%,C3:5.4%,C4:1.4%)として都市ガス需要者に供給される。
【0090】
本実施の形態では、上記の実施の形態1に比較して添加するLPGの量をより低減することができる。これは、熱交換器89により濃縮ガスの液化が促進され、濃縮ガスの混合可能量が増加したためである。
【0091】
なお、上記の実施の形態1〜5においては、第一ライン7及び第二ライン9共に多成分系液化ガスの例としてLNGが流れる液化燃料ガスライン5を例に挙げて説明した。
しかし、本発明においては、第一ラインを流れるものは必ずしも多成分液化ガスである必要はなく、地中から取り出される天然ガスのような多成分ガスであってもよい。
この場合、第一ラインには第一ポンプや第一気化器は不要となる。
【0092】
また、この場合の多成分系液化ガスの成分調整装置の具体的な構成は以下のようになる。
多成分系ガスにおける特定成分を希薄化した特定成分希薄ガスを供給するための第一ラインと、多成分系液化ガスにおける特定成分を濃縮化した特定成分濃縮ガスを供給するための第二ラインとを備え、
前記第一ラインにおいて、前記多成分系ガスから特定成分を分離する膜分離装置を有し、
前記第二ラインにおいて、前記膜分離装置で分離された特定成分が濃縮された濃縮ガスを前記多成分系液化ガスに混合する第二気液混合装置と、該第二気液混合装置で混合された混合液を昇圧する第二ポンプと、昇圧された混合液を気化する第二気化器と有し、
前記膜分離装置で分離された特定成分が濃縮された濃縮ガスを前記第二気液混合装置に供給する濃縮ガス供給ラインとを備えたものである。
【0093】
そして、第二気液混合装置で濃縮ガスが全量液化するための制御装置としては、実施の形態1で示した
図1又は
図2に記載のものを適用できる。
【0094】
[実施の形態6]
実施の形態6に係る多成分系液化ガスの成分調整装置91を
図17に基づいて説明する。なお、
図17において、実施の形態2を示した
図4と同一部分には同一の符号を付して説明を省略する。
実施の形態6に係る多成分系液化ガスの成分調整装置91が実施の形態2と異なる主な点は、第一ライン7を流れるLNGの特定成分が濃縮された濃縮ガスを気液分離して、分離された分離液を第二ライン9に供給し、分離された分離ガスを第一ライン7に供給する濃縮ガス分離供給ライン92を設けた点である。
濃縮ガス分離供給ライン92を設けたことに伴い、実施の形態2の第二気液混合装置17に代えて第2気液分離装置95を設けると共に、濃縮ガス分離供給ライン92には、膜分離装置で分離された濃縮ガスを第二ライン9に設けた第2熱交換器93で冷却して気液分離装置95に供給する濃縮ガス供給ライン23と、第2気液分離装置95で分離された分離液を第二ライン9に供給する第2分離液供給ライン97と、第2気液分離装置95で分離された分離ガスを第一ライン7の第一気液混合装置41に供給する分離ガス供給ライン99とを設けている。
【0095】
上記の構成により、膜分離装置15で分離された濃縮ガスは第2熱交換器93を通過して第2気液分離装置95に供給され、第2気液分離装置95で分離された分離液が第2分離液供給ライン97を介して第二ライン9の第二ポンプ19の上流側に供給される。
また、第2気液分離装置95で分離された分離ガスは、分離ガス供給ライン99を介して第一気液混合装置41に供給され、第一ライン7を流れるLNGに混合される。
第一気液混合装置41によって混合後の流体が液体になることで、混合後の昇圧に液ポンプ(第一ポンプ11)を用いることが可能になる。
【0096】
そして、第2分離液供給ライン97には分離液制御弁101が、分離ガス供給ライン99には分離ガス制御弁103がそれぞれ設けられている。
また、第2気液分離装置95には、圧力検出器(P)、温度検出器(T)及び液面レベル検出器(L)が設けられ、第一ライン7及び分離ガス供給ライン99における第一気液混合装置41の上流側には、圧力検出器(P)、温度検出器(T)、流量検出器(F)及び組成検出器(A)がそれぞれ設けられている。
また、本実施の形態では、分離液制御弁101、分離ガス制御弁103及び第二制御弁25を制御して、第二ライン9に供給する分離液量、第一気液混合装置41に供給する分離ガス量及び第2気液分離装置95に供給する濃縮ガス量を制御する第7の制御装置105が設けられている。
【0097】
第7の制御装置105は、第7演算部107と第7制御部109を備えている。
第一ポンプ11は液ポンプであり、混合液に気相が残留しないことが望ましく、そのため第7演算部107は、第一ライン7及び分離ガス供給ライン99における第一気液混合装置41の上流側に設けられた、圧力検出器(P)、温度検出器(T)、流量検出器(F)及び組成検出器(A)の検出値を入力して、第一気液混合装置41で全量が液化する混合可能な分離ガスの最大混合可能量を演算する。
そして、第7制御部109は、第7演算部107の演算結果に基づいて分離ガス制御弁103を制御する。
【0098】
また、第7制御部109は、分離液制御弁101及び第二制御弁25の制御を行う。以下、分離液制御弁101及び第二制御弁25の制御について具体的に説明する。
第2気液分離装置95では、液面レベルをある一定範囲内に制御して運用するが、分離液制御弁101は液レベルを一定に保つように開度を調整する。すなわち、液面レベルが高くなりすぎる場合は分離液制御弁101の開度を大きくし、液面レベルが低くなりすぎる場合は分離液制御弁101の開度を小さくする調整を施す。
また、第2気液分離装置95では、圧力をある一定範囲内に制御して運用する。詳しくは、第2気液分離装置95の運用圧力はLNG送出ポンプ3の吐出圧よりわずかに高い程度で制御されるが、第二制御弁25によりその圧力を制御する。すなわち、圧力が高くなりすぎる場合は第二制御弁25の開度を小さくし、圧力が低くなりすぎる場合は第二制御弁25の開度を大きくする調整を施す。
【0099】
上記のように構成された本実施の形態の動作を
図17に基づいて説明する。
LNGタンク(図示なし)から送出されたLNGは、その一部が第一ライン7に流れ、残りが第二ライン9に流れる。第一ライン7に流れたLNGは第一ポンプ11で例えば7.0MPaGに昇圧され、第一気化器13に供給されて全量が気化される。第一気化器13で気化されたNGは膜分離装置15に供給されて、メタンリッチの低発熱量ガスと、エタン、プロパン、ブタン等の重質分が濃縮された濃縮ガスに分離される。
【0100】
濃縮ガス供給ライン23に送られた濃縮ガスは、第二制御弁25の開度に応じた量が第二ライン9の第2熱交換器93に供給される。第2熱交換器93では、低温のLNGと高温の濃縮ガスの間で熱交換がなされ、濃縮ガスが冷却されることで気液混合状態となり、第2気液分離装置95に送られる。
第2気液分離装置95では、ガスと液が分離される。ここで、元の濃縮ガス供給ライン23よりも分離液の熱量は更に高くなる。一方、分離ガスの熱量は濃縮ガス供給ライン23よりも低くなる。
第2気液分離装置95で分離された分離ガスは分離ガス制御弁103を通して第一気液混合装置41に送られ、更に熱量が高まった分離液は分離液制御弁101を通して第二ライン9の第二ポンプ19の上流に送られる。
【0101】
なお、第2気液分離装置95で分離された高熱量の分離液を最大混合可能量混合したとしても混合液の熱量が都市ガスで要求される規定値よりも低い場合もあり得ることから、第二気化器21の下流に熱量調整器38を設けるようにしてもよい。この点は、以下の実施の形態においても同様である。
また、濃縮ガス供給ライン23の途中にバッファタンクを設けることで、濃縮ガスの分離量と混合量に差をつけられる緩衝作用を持たせるようにしてもよい。この点は、以下の実施の形態においても同様である。
【0102】
膜分離装置15に供給されるNGは第一ポンプ11でLNG送出ポンプ3の吐出圧より大幅に昇圧されており、第2気液分離装置95の運用圧力はLNG送出ポンプ3の吐出圧よりわずかに高い程度で制御される。また、第2熱交換器93の圧力損失は極わずかである。
このため、膜分離装置15の供給側と透過側で差圧を十分とることができ、膜分離効率を向上することができる。すなわち、第一ポンプ11による昇圧分の圧力差を膜分離に利用でき、従来技術より大きな膜分離圧力差を確保できるようになっている。
そして、膜分離は圧力差が大きいほど物質の透過速度が上昇するため、膜面積あたりの重質成分回収量の増大や透過ガス量あたりの必要膜面積の縮小が可能になる。
【0103】
以上のように、本実施の形態では、膜分離装置15における供給側と透過側で差圧を十分とることができ、膜分離圧力差が十分に確保され、分離効率を向上することができる。
しかも、第一ライン7における第一ポンプ11での昇圧と第二ライン9における第二ポンプ19の昇圧はともに液状態での昇圧であり、昇圧動力はガス状態より液状態の方がはるかに小さいため、結果として膜を透過した濃縮ガスの昇圧を、圧縮機を用いる場合に比べて消費動力を低く抑えられる。
また、第7の制御装置105によって、第一気液混合装置41に供給される分離ガスの全量が液化して混合液には気相が残留しないようにしているので、第一ポンプ11で効率的に送液することができる。
また、第2気液分離装置95により、濃縮ガス供給ライン23の濃縮ガスよりも更に高い熱量をもつ分離液を第二ライン9に供給することが出来る。
【0104】
なお、上記の例では、第一気液混合装置41の上流側に圧力検出器(P)を設置しているが、第一気液混合装置41における圧力損失を考慮する場合には、第一気液混合装置41の下流側にも圧力検出器(P)を設置して検出値を第7の制御装置105に入力するようにすればよい。
もっとも、第一気液混合装置41の圧力損失が推定できる場合には、圧力検出器(P)を設けることなく、推定値を第7の制御装置105に入力するようにしてもよい。
また、上記の例では第2熱交換器93は第二ポンプ19の下流に配置されているが、第一ポンプ11の下流に配置してもかまわない。
【0105】
また、上記の第7の制御装置105は、分離ガス制御弁103の制御に関していわゆるフィードフォワード制御であったが、第7の制御装置105に代えて、
図18に示すように、フィードバック制御によって分離ガス制御弁103の制御を行う第8の制御装置111を適用してもよい。
第8の制御装置111は、第一気液混合装置41の下流側に設けた圧力検出器(P)、温度検出器(T)及び組成検出器(A)の検出値を入力して混合後の液化燃料ガスの相状態を判定する第8演算部113と、第8演算部113の演算結果に基づいてガス制御御弁103を制御する第8制御部115とを備えている。第8制御部115は、第8演算部113の判定結果によって気液混相、あるいは気相状態になるおそれがある場合には、分離ガス制御弁103を絞って第一気液混合装置41に供給される分離ガス量を少なくする。
【0106】
また、分離ガス制御弁103の制御に関しては、フィードフォワード、フィードバックの他に両者を組み合わせて制御を行うようにしてよい。この点は、以下の実施の形態でも同様である。
【0107】
実施の形態6による熱量調整の具体例について
図19に基づいて概説する。
図19に示す例では、LNG送出ポンプ3によって送られてきた194.8t/hのLNG(熱量:44.2MJ/Nm
3、C1:90.0%,C2:6.0%,C3:3.0%,C4:1.0%)は、88.2t/hが第一ライン7に流れて、膜分離装置15によって分離され、50t/hの低発熱量ガス(熱量:41.7MJ/Nm
3、C1:95.0%,C2:3.6%,C3:1.2%,C4:0.2%)が発電所等へ供給される。
膜分離装置15で分離された65.8t/hの濃縮ガス(熱量:44.2MJ/Nm
3、C1:90.6%,C2:5.2%,C3:3.0%,C4:1.2%)は第2熱交換器93で冷却されたのち、第2気液分離装置95で気体と液体に分離される。第2気液分離装置95で分離された38.2t/hの分離液(熱量:48.1MJ/Nm
3、C1:82.2%,C2:9.7%,C3:5.7%,C4:2.4%)は第二ライン9に流れる106.6t/hのLNGに供給され濃縮液(熱量:45.2MJ/Nm
3、C1:88.0%,C2:6.9%,C3:3.7%,C4:1.4%)となり第二ポンプ19により昇圧される。その後第二気化器21で気化され、さらに熱量調整のために熱量調整器38によって5.2t/hのLPG(熱量:102MJ/Nm
3、C3:90.0%,C4:10.0%)が添加され、150t/hの高発熱量ガス(熱量:46.0MJ/Nm
3、C1:86.9%,C2:6.8%,C3:4.9%,C4:1.4%)として都市ガス需要者に供給される。第2気液分離装置95で分離された27.6t/hの分離ガス(熱量:39.8MJ/Nm
3、C1:99.8%,C2:0.2%,C3:0.0%,C4:0.0%)は第一気液混合装置41に供給され、第一ライン7を流れるLNGとの混合液(熱量:43.1MJ/Nm
3、C1:92.5%,C2:4.5%,C3:2.2%,C4:0.8%)となり、第一ポンプ11、第一気化器13、膜分離装置15に供給される。
【0108】
実施の形態2では熱量調整のために添加したLPGの量が8.6t/hであったが、実施の形態6では5.2t/hとなっており、添加量が減少している。これは、第二気液混合装置17に代えて第2気液分離装置95を設けたことにより、膜分離装置15で分離された濃縮ガスの熱量が第2気液分離装置95を通過することで増加したことによる。つまり、この熱量が増加した分、第二ライン9で最後に熱量調整として加えるLPGの必要量が減少する。
本実施の形態によれば、実施の形態2に比較して、熱量調整に必要なLPGの量を少なくできるというさらなる効果が得られている。
【0109】
[実施の形態7]
実施の形態7に係る多成分系液化ガスの成分調整装置117を
図20に基づいて説明する。なお、
図20において、実施の形態6を示した
図17と同一部分には同一の符号を付して説明を省略する。
実施の形態7に係る多成分系液化ガスの成分調整装置117は、実施の形態6における第2熱交換器93に代えて、第一ライン7における第一ポンプ11の下流側から第2気液分離装置95にLNGを供給する第一LNG供給ライン119を設けたものである。第一LNG供給ライン119には、LNG供給量を調整するための第1LNG制御弁121が設けられている。
【0110】
また、本実施の形態では、分離液制御弁101、分離ガス制御弁103、第1LNG制御弁121及び第二制御弁25を制御して、第二ライン9に供給する分離液量、第一気液混合装置41に供給する分離ガス量、第2気液分離装置95に供給するLNG量及び第2気液分離装置95に供給する濃縮ガス量を制御する第9の制御装置123が設けられている。
【0111】
第9の制御装置123は、第9演算部125と第9制御部127を備えており、第9演算部125の機能は第7演算部107と同様であり、第9制御部127は第7制御部109の機能に加えて第1LNG制御弁121を制御する機能を有している。
第2気液分離装置95では、温度をある一定範囲内に制御して運用するが、第9制御部127は温度を一定に保つように第1LNG制御弁121の開度を調整する。すなわち、温度が高くなりすぎる場合は第1LNG制御弁121の開度を大きくし、温度が低くなりすぎる場合は第1LNG制御弁121の開度を小さくする調整を施す。
【0112】
上記のように構成された本実施の形態の動作を
図20に基づいて説明する。
本実施の形態の動作は実施の形態6とほぼ同様であるが、実施の形態6では膜分離装置15で分離された濃縮ガスを、第2熱交換器93を介して第二ライン9のLNGで冷却していたのに対して、本実施の形態では第一ライン7のLNGの一部を第2気液分離装置95に供給することで冷却する点が異なるので、これに関連する点について以下説明する。
【0113】
濃縮ガス供給ライン23に送られた濃縮ガスは、第二制御弁25の開度に応じた量が第2気液分離装置95に送られる。また、第一ポンプ11から送られたLNGのうち一部は、第1LNG制御弁121の開度に応じた量が第2気液分離装置95に送られる。
第2気液分離装置95では、ガスと液が分離される。ここで、元の濃縮ガス供給ライン23よりも分離液の熱量は更に高くなる。一方、分離ガスの熱量は濃縮ガス供給ライン23よりも低くなる。
分離ガスは分離ガス制御弁103を通して第一気液混合装置41に送られ、更に熱量が高まった分離液は分離液制御弁101を通して第二ライン9の第二ポンプ19の上流に送られる。
【0114】
本実施の形態の作用効果については、実施の形態6と同様である。
【0115】
なお、上記の第9の制御装置123は、分離ガス制御弁103の制御に関していわゆるフィードフォワード制御であったが、第9の制御装置123に代えて、
図21に示すように、フィードバック制御によって分離ガス制御弁103の制御を行う第10の制御装置129を適用してもよい。
【0116】
実施の形態7による熱量調整の具体例について
図22に基づいて概説する。
図22に示す例では、LNG送出ポンプ3によって送られてきた193.2t/hのLNG(熱量:44.2MJ/Nm
3、C1:90.0%,C2:6.0%,C3:3.0%,C4:1.0%)は、104.7t/hが第一ライン7に流れ第一ポンプ11で昇圧されたのち70.0t/hが第2気液分離装置95に供給され、それ以外は第一気化器13によって気化されたのち膜分離装置15によって分離され、50t/hの低発熱量ガス(熱量:42.4MJ/Nm
3、C1:93.8%,C2:4.1%,C3:1.7%,C4:0.4%)が発電所等へ供給される。
膜分離装置15で分離された19.2t/hの濃縮ガス(熱量:44.9MJ/Nm
3、C1:89.6%,C2:5.4%,C3:3.4%,C4:1.6%)は第2気液分離装置95に供給される。第2気液分離装置95で分離された54.7t/hの分離液(熱量:46.1MJ/Nm
3、C1:86.2%,C2:7.9%,C3:4.3%,C4:1.6%)は第二ライン9に流れる88.5t/hのLNGに供給され濃縮液(熱量:44.9MJ/Nm
3、C1:88.6%,C2:6.7%,C3:3.5%,C4:1.2%)となり第二ポンプ19により昇圧される。その後第二気化器21で気化され、さらに熱量調整のために熱量調整器38によって6.8t/hのLPG(熱量:102MJ/Nm
3、C3:90.0%,C4:10.0%)が添加され、150t/hの高発熱量ガス(熱量:46.0MJ/Nm
3、C1:86.9%,C2:6.6%,C3:5.1%,C4:1.4%)として都市ガス需要者に供給される。第2気液分離装置95で分離された34.5t/hの分離ガス(熱量:39.8MJ/Nm
3、C1:99.8%,C2:0.2%,C3:0.0%,C4:0.0%)は第一気液混合装置41に供給され、第一ライン7を流れるLNGとの混合液(熱量:43.0MJ/Nm
3、C1:92.6%,C2:4.4%,C3:2.2%,C4:0.8%)となり、第一ポンプ11、第一気化器13、膜分離装置15に供給される。
【0117】
実施の形態2では熱量調整のために添加したLPGの量が8.6t/hであったが、実施の形態7では6.8t/hとなっており、添加量が減少している。これは、実施の形態6と同様に、第二気液混合装置17に代えて第2気液分離装置95を設けたことにより、膜分離装置15で分離された濃縮ガスの熱量が第2気液分離装置95を通過することで増加したことによる。つまり、この熱量が増加した分、第二ライン9で最後に熱量調整として加えるLPGの必要量が減少する。
本実施の形態によれば、実施の形態2に比較して、熱量調整に必要なLPGの量を少なくできるというさらなる効果が得られている。
【0118】
[実施の形態8]
実施の形態8に係る多成分系液化ガスの成分調整装置135を
図23に基づいて説明する。なお、
図23において、実施の形態7を示した
図20と同一部分には同一の符号を付して説明を省略する。
実施の形態7では第2気液分離装置95に第一LNG供給ライン119から第一ラインのLNGの一部を供給していたが、実施の形態8に係る多成分系液化ガスの成分調整装置135においては、第二ライン9の第二ポンプ19の下流側から第二LNG供給ライン137を介して第二ライン9のLNGの一部を第2気液分離装置95に供給するようにしている。これに伴い、第一ライン7の第一ポンプ11の下流側から第一ライン7のLNGの一部を第二ライン9の第二ポンプ19の上流側に供給する第一LNG分岐ライン139を設けている。
第二LNG供給ライン137には、LNG供給量を調整するための第2LNG制御弁141が設けられ、第一LNG分岐ライン139には第3LNG制御弁143が設けられている。
【0119】
また、本実施の形態では、分離液制御弁101、分離ガス制御弁103、第2LNG制御弁141、第3LNG制御弁143及び第二制御弁25を制御して、第二ラインに供給する分離液量、第一気液混合装置に供給する分離ガス量、第2気液分離装置95に供給するLNG量、第一ライン7から第二ライン9に供給するLNG量及び第2気液分離装置95に供給する濃縮ガス量を制御する第11の制御装置145が設けられている。
【0120】
第11の制御装置145は、第11演算部147と第11制御部149を備えており、第11演算部147の機能は第9演算部125と同様であり、第11制御部149は第9制御部127の機能に加えて第2LNG制御弁141及び第3LNG制御弁143を制御する機能を有している。
第2気液分離装置95では、温度をある一定範囲内に制御して運用するが、第11制御部149は温度を一定に保つように第2LNG制御弁141の開度を調整する。すなわち、温度が高くなりすぎる場合は第2LNG制御弁141の開度を大きくし、温度が低くなりすぎる場合は第2LNG制御弁141の開度を小さくする調整を施す。
また、第11制御部149は、第一LNG分岐ライン139に流れるLNGの流量が、第二LNG供給ライン137に流れるLNGの流量と同じかやや大きくなるように、第3LNG制御弁143の開度を調整する。
【0121】
上記のように構成された本実施の形態の動作を
図23に基づいて説明する。
本実施の形態の動作は実施の形態7とほぼ同様であるが、実施の形態7では第一ライン7のLNGの一部を第2気液分離装置95に供給していたのに対して、本実施の形態では第二ライン9のLNGの一部を第2気液分離装置95に供給している点が異なるので、これに関連する点について以下説明する。
【0122】
濃縮ガス供給ライン23に送られた濃縮ガスは、第二制御弁25の開度に応じた量が第2気液分離装置95に送られる。また、第二ポンプ19から送られたLNGのうち一部は、第2LNG制御弁141の開度に応じた量が第2気液分離装置95に送られる。さらに、第一ポンプ11から送られたLNGのうち一部は、第3LNG制御弁143の開度に応じた量が第二ポンプ19の上流側に送られる。
【0123】
本実施の形態の作用効果については、実施の形態6、7と同様である。
【0124】
なお、上記の第11の制御装置145は、分離ガス制御弁103の制御に関していわゆるフィードフォワード制御であったが、第11の制御装置145に代えて、
図24に示すように、フィードバック制御によって分離ガス制御弁103の制御を行う第12の制御装置151を適用してもよい。
【0125】
実施の形態8による熱量調整の具体例について
図25に基づいて概説する。
図25に示す例では、LNG送出ポンプ3によって送られてきた193.5t/hのLNG(熱量:44.2MJ/Nm
3、C1:90.0%,C2:6.0%,C3:3.0%,C4:1.0%)は、109.5t/hが第一ライン7に流れ第一ポンプ11で昇圧されたのち70.0t/hが第二ライン9に供給され、それ以外は第一気化器13によって気化されたのち膜分離装置15によって分離され、50t/hの低発熱量ガス(熱量:42.2MJ/Nm
3、C1:94.0%,C2:4.0%,C3:1.6%,C4:0.4%)が発電所等へ供給される。
膜分離装置15で分離された25.8t/hの濃縮ガス(熱量:44.7MJ/Nm
3、C1:89.7%,C2:5.4%,C3:3.3%,C4:1.6%)は第2気液分離装置95に供給される。第2気液分離装置95で分離された36.3t/hの分離ガス(熱量:39.9MJ/Nm
3、C1:99.7%,C2:0.3%,C3:0.0%,C4:0.0%)は第一気液混合器41に供給され、第一ライン7を流れるLNGとの混合液(熱量:43.0MJ/Nm
3、C1:92.6%,C2:4.4%,C3:2.2%,C4:0.8%)となり、第一ポンプ11、第一気化器13、膜分離装置15に供給される。第2気液分離装置95で分離された59.5t/hの分離液(熱量:48.8MJ/Nm
3、C1:80.4%,C2:11.1%,C3:6.1%,C4:2.4%)は第二ライン9に供給される。第二ライン9に流れる84.0t/hのLNGは第一ライン7より昇圧された混合液、第2気液分離装置95から分離液が供給され濃縮液(熱量:45.0MJ/Nm
3、C1:88.6%,C2:6.7%,C3:3.5%,C4:1.2%)となり第二ポンプ19により昇圧される。その後70.0t/hが第2気液分離装置95に供給され、それ以外は第二気化器21で気化され、さらに熱量調整のために熱量調整器38によって6.5t/hのLPG(熱量:102MJ/Nm
3、C3:90.0%,C4:10.0%)が添加されたのち、150t/hの高発熱量ガス(熱量:46.0MJ/Nm
3、C1:86.9%,C2:6.6%,C3:5.1%,C4:1.4%)として都市ガス需要者に供給される。
【0126】
実施の形態2では熱量調整のために添加したLPGの量が8.6t/hであったが、実施の形態8では6.5t/hとなっており、添加量が減少している。これは、実施の形態6、7と同様に、第二気液混合装置17に代えて第2気液分離装置95を設けたことにより、膜分離装置15で分離された濃縮ガスの熱量が第2気液分離装置95を通過することで増加したことによる。つまり、この熱量が増加した分、第二ライン9で最後に熱量調整として加えるLPGの必要量が減少する。
本実施の形態によれば、実施の形態2に比較して、熱量調整に必要なLPGの量を少なくできるというさらなる効果が得られている。
【0127】
実施の形態6〜8においては、気液分離装置95によって気液分離された分離ガスを第一ライン7の第一気液混合装置41に供給する例を示したが、本発明の多成分液化ガスの成分調整装置はこれに限定されるものではなく、分離ガスを第一気液混合装置41に供給しない態様も含む。この場合、分離ガスは例えばガス燃焼ボイラなどガスの熱量の制約が緩やかな機器に供給するようにする。
【0128】
また、上記の実施の形態1〜8では、多成分系液化ガスの例としてLNGを例示してLNGを液化燃料ガスとして送出するラインを例に挙げて説明したが、本発明の多成分系液化ガスはLNGに限られるものではなく種々の多成分系液化ガスを対象とすることができる。例えば、多成分系液化ガスとしての液体空気からの酸素濃縮ガス製造プロセスなどに適用することも可能である。酸素濃縮ガスは例えばバーナーやボイラなどの支燃性ガスに用いられる。通常の空気を用いた場合に比べ、燃焼効率の向上、排ガス量の低減などの効果が得られる。
【0129】
また、上記の実施の形態1〜8においては、第一ライン7及び第二ライン9は、LNG(多成分系液化ガス)が流れる液化燃料ガスライン5(多成分系液化ガスライン)が分岐したものである場合について説明した。
しかし、本発明においては、第一ライン及び第二ラインは多成分系液化ガスラインが分岐したものである場合に限定されるものではなく、例えば第一ラインと第二ラインがそれぞれ別々のLNGタンクに接続されているような場合であってもよい。