(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、産業車両、例えば、フォークリフトでは、前段酸化触媒の下流側に配置されるDPFや酸化触媒等を有する下流側浄化装置は、エンジンの後方側に設けられた狭いスペース内に配置される。このため、排気ガスの下流側浄化装置と消音装置(マフラー)とを別体に配置する場合には、消音装置(マフラー)を配置するスペースをエンジンの後方側に確保することが難しいという問題がある。また、下流側浄化装置と消音装置(マフラー)とを一体化して配置する場合には、配置スペースを確保する必要があるため、フォークリフトの小型化が難しいという問題がある。
【0007】
そこで、本発明は、このような点に鑑みて創案されたものであり、DPFや酸化触媒等を有する下流側浄化装置とマフラーの配置スペースを容易に確保することができる排気ガス浄化装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の第1の発明は、車体に搭載されたエンジン直後の排気ガス通路に配置された前段酸化触媒と、前記前段酸化触媒の周りを覆うように設けられて、前記エンジンにて生成された排気ガスを消音しながら排出するマフラーと、を備え、前記マフラーは、エンジン直後の上流側排気管に接続されて、排気ガスが流入する流入口と、下流側排気管に接続されて、前記流入口から流入した前記排気ガスが、前記前段酸化触媒を通過した後、排出される流出口と、を有する、排気ガス浄化装置である。
【0009】
次に、本発明の第2の発明は、上記第1の発明に係る排気ガス浄化装置において、前記前段酸化触媒は、触媒粒子を担持する担持体と、前記担持体を支持するメタル基材と、を有する、排気ガス浄化装置である。
【0010】
次に、本発明の第3の発明は、上記第1の発明又は第2の発明に係る排気ガス浄化装置において、前記マフラーは、筒状に形成されて内部に前記前段酸化触媒が配置される消音用筒体部と、前記流入口と前記前段酸化触媒との間に設けられ、前記排気ガスが流入する第1膨張室と、前記第1膨張室の流出側に設けられて前記前段酸化触媒の流入側端部の外周面と前記消音用筒体部の内周面との間を閉塞する第1隔壁部と、前記第1隔壁部に対向して、前記前段酸化触媒の流出側端部の外周面と前記消音用筒体部の内周面との間を閉塞する第2隔壁部と、前記第2隔壁部及び前記前段酸化触媒の流出側端部と前記流出口との間に設けられ、前記前段酸化触媒を通過した前記排気ガスが流入する第2膨張室と、を有し、前記前段酸化触媒は、前記第1隔壁部と前記第2隔壁部とによって前記消音用筒体部内に支持されている、排気ガス浄化装置である。
【0011】
次に、本発明の第4の発明は、上記第1の発明又は第2の発明に係る排気ガス浄化装置において、前記マフラーは、筒状に形成されて内部に前記前段酸化触媒が配置される消音用筒体部と、一端側に前記流入口が設けられ、他端側が前記前段酸化触媒の流入側端部に接続されて、前記流入口に流入した排気ガスを前記前段酸化触媒の流入側端部に流出する接続管部と、前記前段酸化触媒の流入側端部の外周面と前記消音用筒体部の内周面との間を閉塞する第1隔壁部と、前記第1隔壁部に対向して、前記前段酸化触媒の流出側端部の外周面と前記消音用筒体部の内周面との間を閉塞する第2隔壁部と、前記第2隔壁部及び前記前段酸化触媒の流出側端部と前記流出口との間に設けられ、前記前段酸化触媒を通過した前記排気ガスが流入する膨張室と、を有し、前記前段酸化触媒は、前記第1隔壁部と前記第2隔壁部とによって前記消音用筒体部内に支持されている、排気ガス浄化装置である。
【0012】
次に、本発明の第5の発明は、上記第3の発明又は第4の発明に係る排気ガス浄化装置において、前記第2隔壁部は、前記第1隔壁部に対向する面に形成された複数の貫通孔を有する、排気ガス浄化装置である。
【0013】
次に、本発明の第6の発明は、上記第1の発明又は第2の発明に係る排気ガス浄化装置において、前記マフラーは、筒状に形成されて内部に前記前段酸化触媒が配置される消音用筒体部と、前記流入口と前記前段酸化触媒との間に設けられ、前記排気ガスが流入する第1膨張室と、前記第1膨張室の流出側に設けられて前記前段酸化触媒の流入側端部の外周面と前記消音用筒体部の内周面との間を閉塞する第1隔壁部と、一端側が前記前段酸化触媒の流出側端部の外周面に接続され、他端側が前記流出口に接続されると共に、外周面に複数の貫通孔が形成された孔開きパイプと、前記孔開きパイプ及び前記前段酸化触媒のそれぞれの外周面と前記消音用筒体部の内周面との間に設けられ、前記前段酸化触媒を通過した前記排気ガスが前記複数の貫通孔を介して流入する外周膨張室と、を有し、前記前段酸化触媒は、前記第1隔壁部と前記孔開きパイプの一端側とによって前記消音用筒体部内に支持されている、排気ガス浄化装置である。
【0014】
次に、本発明の第7の発明は、上記第1の発明乃至第6の発明のいずれか1つに係る排気ガス浄化装置において、前記マフラーよりも下流側の排気ガス通路に設けられて、前記前段酸化触媒よりも大きい第2酸化触媒と粒子状物質除去フィルタを収容する下流側浄化装置を備え、前記排気ガスが前記下流側浄化装置を通過した後、大気中に排出される、排気ガス浄化装置である。
【発明の効果】
【0015】
第1の発明によれば、前段酸化触媒は比較的小型(例えば、約0.1リットル〜0.5リットルの容量)である。このため、この前段酸化触媒の周りを覆うようにマフラーを設けることによって、エンジン搭載スペースにマフラーを配置することが可能となり、エンジン搭載スペースを有効に活用して、マフラーの配置スペースを容易に確保することができる。
【0016】
第2の発明によれば、前段酸化触媒は、例えば、酸化アルミニウム等で形成された担持体の層が、ステンレス鋼等の耐熱金属からなるハニカム構成等にて形成されたメタル基材の表面上に形成され、支持されている。また、担持体上には、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)等の触媒粒子が担持されている。これにより、メタル基材は熱容量が少ないため、メタル基材周りをマフラーの膨張室とし、この膨張室の容積を大きくすることによって、排気ガスの断熱効果により前段酸化触媒の温度低下を抑止することができる。
【0017】
第3の発明によれば、第1隔壁部と第2隔壁部で消音用筒体部内に支持される前段酸化触媒の位置を動かして、前段酸化触媒の上流側に形成される第1膨張室と、前段酸化触媒の下流側に形成される第2膨張室の各容積を変更することができる。これにより、マフラーの重点的に消音させたい周波数を設定することができ、消音効果を発揮させることができる。
【0018】
第4の発明によれば、第1隔壁部と第2隔壁部で消音用筒体部内に支持される前段酸化触媒の位置を動かして、前段酸化触媒の下流側に形成される膨張室の容積を変更することができる。これにより、マフラーの重点的に消音させたい周波数を設定することができ、消音効果を発揮させることができる。また、前段酸化触媒の上流側に膨張室を設けない構成のため、マフラーの更なる小型化を図ることができる。
【0019】
第5の発明によれば、第2隔壁部の第1隔壁部に対向する面に形成された貫通孔から前段酸化触媒の外周部に排気ガスが流入して、前段酸化触媒の温度低下を効果的に抑止することができる。第2隔壁部の第1隔壁部に対向する面に形成された貫通孔の個数、形状を変更することによって、マフラーの重点的に消音させたい周波数を設定することができ、消音効果を高めることができる。
【0020】
第6の発明によれば、前段酸化触媒の上流側に形成される第1膨張室と、孔開きパイプと前段酸化触媒との連続する外周部に形成された外周膨張室とによって、消音効果を発揮させることができる。更に、孔開きパイプの外周面に形成された貫通孔の個数、形状を変更することによって、マフラーの重点的に消音させたい周波数を設定することができ、消音効果を高めることができる。また、孔開きパイプの外周面に形成された各貫通孔から前段酸化触媒の外周部を覆う外周膨張室に排気ガスが流入して、前段酸化触媒の温度低下を効果的に抑止することができる。
【0021】
第7の発明によれば、排気ガスは、前段酸化触媒よりも大きい第2酸化触媒と粒子状物質除去フィルタ(DPF)を収容する下流側浄化装置を通過した後、大気中に排出される。従って、下流側浄化装置にマフラーを接続する必要がないため、下流側浄化装置の配置スペースを容易に確保することができる。引いては、産業車両、例えば、フォークリフトの小型化を図ることが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係る排気ガス浄化装置をフォークリフトについて適用した一実施形態に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。先ず、排気ガス浄化装置1が搭載されるフォークリフト10の概略構成について
図1及び
図2に基づいて説明する。尚、
図1乃至
図3に示される矢印RRは、車両後方側を示し、又、矢印UPRは車両上方側を示している。更に、矢印INは、車幅方向内側を示している。
【0024】
図1に示すように、フォークリフト10の車体11の後方側には、カウンタウエイト12が搭載されている。車体11のエンジンルーム14内には、エンジン15が搭載されている。このエンジン15は、例えば、ディーゼルエンジンにより構成されている。エンジンルーム14の側壁には、不図示の外気取入れ口が設けられている。エンジン15の後側には、エンジン15によって駆動される、つまり、回転されるファン16が設けられている。
【0025】
ファン16の後方側には、エンジン15の冷却水を冷却するラジエータ17が設置されている。ファン16は、エンジン15の駆動によって、外気取入れ口から外気(空気)をエンジンルーム14に取り入れてラジエータ17に吹き付ける。これにより、エンジン15の冷却水が冷却される。そして、ラジエータ17を通過した送風は、ラジエータ17の後側に設けられて、前方側が開放された略箱体状に区画された通風室18を経て、カウンタウエイト12の後壁部を前後方向に貫通する後向き吹き出し口19から車両後方へ吹き出される。後向き吹き出し口19は、例えば、通風室18の車幅方向の長さにほぼ等しい横幅で、通風室18の略上半分の高さを有する横長の断面長方形状に形成されている。
【0026】
図1及び
図2に示すように、不図示のエアクリーナから吸入された空気は吸気マニホールド21に導入されてエンジン15に供給され、エンジン15内で燃料と共に燃焼し、排気ガスとして排気マニホールド22を介して上流側排気管23に流入する。この上流側排気管23の一端側は、排気マニホールド22の流出口に接続され、上流側排気管23の他端側は、エンジン15の横側に配置されたマフラー25の流入口25A(
図4参照)に接続されている。つまり、マフラー25の流入口25Aは、エンジン15直後の上流側排気管23に接続されている。
【0027】
このマフラー25の内部には、小容量(例えば、0.1リットル〜0.5リットルである。)の前段酸化触媒26が配置されている。つまり、前段酸化触媒26は、マフラー25によって周りを覆われて、エンジン15の直後に配置されている。そして、マフラー25の流入口25A(
図4参照)から流入した排気ガスは、後述のように、前段酸化触媒26を通過した後、マフラー25の流出口25B(
図4参照)に接続された下流側排気管27に流入する。
【0028】
この前段酸化触媒26は、マフラー25と共に排気ガス通路を構成し、後述するように、排気ガスが通過する間に、排気ガスに含まれる有害物質を酸化して除去するものである。下流側排気管27の一端側は、マフラー25の流出口25Bに接続され、下流側排気管27の他端側は、蛇腹状に形成された接続配管28を介して、通風室18内に引き出されて、下流側浄化装置31の上流側に接続される。
【0029】
下流側浄化装置31は、ラジエータ17の車両後方側に形成された通風室18内に車幅方向に沿って略全幅に渡って配置され、排気ガスを大気中に排出する排気管30の一端側が下流側に接続されている。下流側浄化装置31は、下流側排気管27、接続配管28及び排気管30と共に排気ガス通路を構成し、上流側から下流側に排気ガスが通過する間に、排気ガスに含まれる有害物質を除去するものである。従って、前段酸化触媒26及び下流側浄化装置31によって排気ガス浄化装置1が構成される。
【0030】
ここで、エンジン15は、高効率で耐久性にも優れているが、粒子状物質(PM)、窒素酸化物(NOx)、一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)等の有害物質を、排気ガスと一緒に排出してしまうものである。そこで、前段酸化触媒26は、窒素酸化物(NOx)、一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)等を酸化して除去する。また、下流側浄化装置31は、窒素酸化物(NOx)、一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)等を酸化して除去する第2酸化触媒(DOC:Diesel Oxidation Catalyst)32を上流側に配置し、粒子状物質(PM)を捕集して除去するDPF33を下流側に配置して構成されている。
【0031】
次に、下流側浄化装置31の概略構成について
図3に基づいて説明する。
図3に示すように、下流側浄化装置31は、通風室18内に配置された処理装置支持ブラケット29上に取り付けられて、後向き吹き出し口19よりも下側に、車幅方向に沿って配置されている。処理装置支持ブラケット29は、車幅方向に長い平面視横長四角形状に形成されている。従って、後述のように、作業者は、後向き吹き出し口19を介して、下流側浄化装置31のDPF33を取り付け、取り外しすることができる。
【0032】
下流側浄化装置31は、上流側に配置される上流筒体35と、下流側に配置される下流筒体37と、上流筒体35と下流筒体37との間に同軸に取り付け、取り外し可能に直列接続される浄化用筒体36と、から構成されている。上流筒体35には、第2酸化触媒32が収容され、浄化用筒体36には、DPF33が収容されている。
【0033】
上流筒体35は、排気ガスが流入する流入筒部35Aと、円筒部35Bと、フランジ部35Cと、円筒部35B内に収容される第2酸化触媒32と、から構成されている。流入筒部35Aは、上流側端部に下流側排気管27が接続されて軸方向下流側(
図3中、左側)へ徐々に拡径された断面円形状の筒状に形成されている。円筒部35Bは、円筒状に形成されて、上流側端部が流入筒部35Aの拡径された下流側端部に溶接等によって全周に渡って溶着され、内側に略円柱状に形成された第2酸化触媒32がほぼ全長に渡って嵌入されている。フランジ部35Cは、円筒部35Bの下流側端部に溶接等によって全周に渡って溶着されて鍔状に設けられている。
【0034】
第2酸化触媒32は、円筒部35Bの内径寸法にほぼ等しい外径寸法を有する大容量(例えば、数リットルである。)のコージェライト等のセラミック製のセル状筒体からなり、その軸方向には多数の貫通孔が形成され、内面に白金(Pt)等の貴金属がコーティングされている。そして、第2酸化触媒32は、所定の温度下で多数の貫通孔に排気ガスを通すことにより、排気ガスに含まれる窒素酸化物(NOx)、一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)等を酸化して除去する。
【0035】
このように構成された上流筒体35は、円筒部35Bの下面側に、側面視クランク状に折り曲げて形成された板状の支持部材41の上端面が、この支持部材41の下端側が流入筒部35Aの下側に位置するように溶接等で固着されている。そして、支持部材41の下端側には、貫通孔41Aが形成されており、この支持部材41が処理装置支持ブラケット29の上面部に載置されて、貫通孔41Aに挿通されたボルト42によりボルト止めされる。
【0036】
下流筒体37は、浄化用筒体36に収容されたDPF33を通った排気ガスが流入する円筒状の円筒部37Aと、フランジ部37Bと、排気管30の一端側が接続されて排気ガスを流出する排出筒部37Cと、から構成されている。円筒部37Aは、上流筒体35の円筒部35Bとほぼ同じ外径で、軸方向の長さが円筒部35Bよりも少し短い円筒状に形成されている。そして、円筒部37Aは、下流側端部が閉塞されて、中央部に排出筒部37Cとほぼ同径の貫通孔が形成され、軸方向外側に排出筒部37Cが溶接等により同軸に溶着されている。フランジ部37Bは、円筒部37Aの上流側端部に溶接等によって全周に渡って溶着されて鍔状に設けられている。
【0037】
このように構成された下流筒体37は、円筒部37Aの下面側に、側面視クランク状に折り曲げて形成された板状の支持部材45の上端面が、この支持部材45の下端側が円筒部37Aよりも軸方向下流側に位置するように溶接等で固着されている。そして、支持部材45の下端側には、軸方向に長い長孔45Aが形成されており、この支持部材45が処理装置支持ブラケット29の上面部に載置されて、長孔45Aに挿通されたボルト46によりボルト止めされる。ここで、
図3に示すように、上流筒体35と下流筒体37との間に浄化用筒体36が同軸に取り付けられた場合には、ボルト46は長孔45Aの下流側端部の近傍に位置して、ボルト止めされている。
【0038】
浄化用筒体36は、上流筒体35に収容された第2酸化触媒32を通った排気ガスが流入する円筒状の円筒部36Aと、上流側フランジ部36Bと、下流側フランジ部36Cと、把持部36Dと、円筒部36A内に収容されるDPF33と、から構成されている。円筒部36Aは、上流筒体35の円筒部35Bとほぼ同じ外径の円筒状に形成され、内側に略円柱状に形成された大容量(例えば、数リットルである。)のDPF33がほぼ全長に渡って嵌入されている。
【0039】
上流側フランジ部36Bは、円筒部36Aの上流側端部に溶接等によって全周に渡って溶着されて鍔状に設けられている。下流側フランジ部36Cは、円筒部36Aの下流側端部に溶接等によって全周に渡って溶着されて鍔状に設けられている。この上流側フランジ部36Bと下流側フランジ部36Cは、同じ構成である。また、円筒部36Aの外周面の軸方向中央部には、略コの字状に折り曲げられて形成された棒状の把持部36Dの両端部が、周方向に沿って位置するように溶接等で固着されている。これにより、作業者は、把持部36Dを握って、浄化用筒体36を持ち運ぶことができる。
【0040】
DPF33は、例えば、セラミックス材料等からなる多孔質な部材によって円柱状に形成され、軸方向に多数の小孔が設けられたハニカム構造のセル状筒体をなし、各小孔は、隣同士で交互に異なる端部が目封じ部材によって閉塞されている。そして、DPF33は、上流側から各小孔に流入する排気ガスを多孔質材料に通すことで粒子状物質を捕集し、排気ガスのみを隣の小孔を通じて下流側へと流出させる。
【0041】
この場合、DPF33によって捕集された粒子状物質は、定期的に排気ガス温度を上昇させて燃焼除去されるが、その一部は灰となって小孔内に徐々に堆積する。また、その他の未燃焼残留物、例えば、エンジンオイル中の重金属、カルシウム等も徐々に堆積する。そこで、後述のように、浄化用筒体36を取り外し、DPF33をクリーニングする構成となっている
【0042】
次に、上記のように構成された下流側浄化装置31の浄化用筒体36を上流筒体35と下流筒体37との間に取り付ける手順について
図3に基づいて説明する。作業者は、カウンタウエイト12の車両後方側から、浄化用筒体36の直径よりも大きい上下方向の高さを有する後向き吹き出し口19を介して、先ず、浄化用筒体36の把持部36Dを持って、該浄化用筒体36を上流筒体35と下流筒体37との間に位置させる。そして、作業者は、浄化用筒体36を上流筒体35側へ移動させて、浄化用筒体36の上流側フランジ部36Bを、上流筒体35のフランジ部35Cに当接させる。尚、上流筒体35は、ボルト42によって支持部材41を介して処理装置支持ブラケット29上に固定されている。
【0043】
その後、作業者は、長孔45Aに挿通されるボルト46を少し緩めた状態で、下流筒体37を浄化用筒体36側へ移動させて、下流筒体37のフランジ部37Bを浄化用筒体36の下流側フランジ部36Cに当接させる。続いて、作業者は、浄化用筒体36の上流側フランジ部36Bと上流筒体35のフランジ部35Cの径方向外周部、及び、浄化用筒体36の下流側フランジ部36Cと下流筒体37のフランジ部37Bの径方向外周部に、それぞれ環状のクランプ結合具47を組み付ける。この状態で、作業者は、支持部材45の長孔45Aに挿通されるボルト46を締め付けて、下流筒体37を支持部材45を介して処理装置支持ブラケット29上に固定する。
【0044】
ここで、クランプ結合具47は、
図3に示すように、略U字形又は略V字形の断面形状を有する半円弧状の2個の枠体47A、47Aと、各枠体47Aの一端側を回動可能に連結するヒンジ部47Bと、各枠体47Aの他端側を接続するボルト・ナット式の接続部47Cとから構成されている。そして、クランプ結合具47は、接続部47Cのボルトを締め付けることによって、浄化用筒体36の上流側フランジ部36Bと上流筒体35のフランジ部35Cとを軸方向に締め付けるものである。また、クランプ結合具47は、接続部47Cのボルトを締め付けることによって、浄化用筒体36の下流側フランジ部36Cと下流筒体37のフランジ部37Bとを軸方向に締め付けるものである。
【0045】
これにより、各フランジ部35C、36B、及び、各フランジ部36C、37Bが、各クランプ結合具47によって軸方向内側へ締め付けられて、それぞれ互いに軸方向に当接した状態で取り付け、取り外し可能に固定される。また、下流側浄化装置31は、浄化用筒体36が上流筒体35と下流筒体37との間に同軸に配置されると共に、上流筒体35、浄化用筒体36及び下流筒体37の軸方向の位置合わせが行われた状態で、処理装置支持ブラケット29上に固定される。
【0046】
従って、浄化用筒体36を取り外す場合には、作業者は、先ず、カウンタウエイト12の車両後方側から、後向き吹き出し口19を介して、支持部材45の長孔45Aに挿通されるボルト46を少し緩めて、下流筒体37を軸方向下流側へ移動可能にする。そして、作業者は、浄化用筒体36の把持部36Dを持って、各クランプ結合具47の接続部47Cのボルトをナットから外して、各クランプ結合具47を取り外すことによって、該浄化用筒体36を後向き吹き出し口19から取り出すことができる。
【0047】
そして、浄化用筒体36内に収容されたDPF33に、例えば、エアガン等を用いて圧縮空気を吹き付け、小孔内に堆積した粒子状物質の灰、未燃焼残留物を除去することにより、DPF33をクリーニングすることができる。従って、DPF33をクリーニングした後には、このDPF33を収容した浄化用筒体36を再度、上流筒体35と下流筒体37との間に取り付けることができる。
【0048】
次に、マフラー25の構成について
図4乃至
図9に基づいて説明する。
図4に示すように、マフラー25は、排気ガスが流入する流入筒部51と、円筒状の消音用筒体部52と、排気ガスが流出する排出筒部53と、消音用筒体部52内に収容される前段酸化触媒26と、から構成されている。このように構成されたマフラー25は、消音用筒体部52の軸方向下流側の端面に取り付けられた側面視L字形の支持部材54を介して、エンジンルーム14内にボルト止め等によって固定されている。
【0049】
流入筒部51は、上流側端部の流入口25Aに上流側排気管23が接続されて、下流側(
図4中、左側)へ斜め上方向に徐々に拡径された後、水平に所定長さ(例えば、約25mmの長さ)延出された断面円形状の筒状に形成されている。消音用筒体部52は、円筒状に形成されて、上流側端部が流入筒部51の拡径された下流側端部に溶接等によって全周に渡って溶着され、内側の上流側端部に略円柱状に形成された前段酸化触媒26が同軸に配置されている。前段酸化触媒26は、第2酸化触媒32よりも体積が小さい小型(例えば、体積が0.1リットル〜0.5リットルである。)の酸化触媒である。
【0050】
図4及び
図5に示すように、前段酸化触媒26は、基材として、ステンレス鋼等の金属材料で作られたハニカム構造のメタル基材26Aが用いられ、排気ガスが流れる方向に沿って、例えば、円柱状に形成されている。そして、メタル基材26Aの表面上には、触媒粒子を担持する担持体として、例えば、酸化アルミニウムからなる担持体26Bの層が形成され、メタル基材26Aによって支持されている。この担持体26B上には、触媒粒子として、例えば、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、ルテニウム(Ru)等の貴金属、あるいは、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、銀(Ag)等の卑金属を含む複数種類の触媒粒子が担持されている。
【0051】
また、
図4に示すように、前段酸化触媒26の上流側端部の外周面、つまり、排気ガスが流入する流入側端部の外周面と、消音用筒体部52の内周面との間には、正面視リング状の第1隔壁部55が配置されて、閉塞されている。これにより、流入筒部51の流入口25Aと、前段酸化触媒26及び第1隔壁部55との間には、流入口25Aを通じて排気ガスが流入する第1膨張室56が形成される。
【0052】
ここで、第1隔壁部55の構成について
図6及び
図7に基づいて説明する。
図6及び
図7に示すように、第1隔壁部55は、厚さ約1mm〜2mmの鋼板によって形成され、正面視リング状の本体部55Aと、互いに軸方向反対側に延出された外側フランジ部55Bと内側フランジ部55Cとから構成されている。本体部55Aは、外径が消音用筒体部52の内径にほぼ等しい寸法に形成されると共に、中心部に前段酸化触媒26の外径にほぼ等しい寸法の内径を有する円形の開口部55Dが形成されている。外側フランジ部55Bは、本体部55Aの外周縁部から全周に渡って所定高さ(例えば、高さ約20mm)略直角に延出されている。
【0053】
内側フランジ部55Cは、開口部55Dの内周縁部から全周に渡って、外側フランジ部55Bに対して軸方向反対側へ所定高さ(例えば、高さ約20mm)略直角に延出されている。そして、
図4に示すように、内側フランジ部55Cは、前段酸化触媒26の流入側端部の外周面に嵌入されて、溶接等によって全周に渡って溶着される。また、外側フランジ部55Bは、消音用筒体部52の流入側端部の内周面に嵌入されて、溶接等によって全周に渡って溶着される。これにより、前段酸化触媒26の排気ガスが流入する流入側端部の外周面と、消音用筒体部52の流入側端部の内周面との間が閉塞されて、第1膨張室56に流入した排気ガスは、前段酸化触媒26に全て流入する(矢印51A)。
【0054】
また、
図4に示すように、前段酸化触媒26の下流側端部の外周面、つまり、排気ガスが流出する流出側端部の外周面と、消音用筒体部52の内周面との間には、正面視リング状の第2隔壁部57が配置されている。また、消音用筒体部52は、下流側端部が閉塞されて、中央部に排出筒部53とほぼ同径の流出口25Bが形成され、軸方向外側に排出筒部53が溶接等により同軸に溶着されている。排出筒部53は、下流側排気管27を介して下流側に配置された下流側浄化装置31に接続されている。
【0055】
これにより、消音用筒体部52の流出口25Bと、前段酸化触媒26及び第2隔壁部57との間には、前段酸化触媒26を通じて排気ガスが流入する第2膨張室58が形成される。つまり、第1膨張室56と第2膨張室58とは、前段酸化触媒26に形成された多数の細孔を介して連通している。従って、流入口25Aから流入した排気ガスが、第1膨張室56と第2膨張室58を流れることによって、消音効果を発揮することができる。
【0056】
従って、例えば、
図10に示すように、前段酸化触媒26の配置位置を下流側(
図10中、左側)へ所定距離だけ移動して、第1膨張室56の容積と第2膨張室58の容積を変更することによって、消音させたい周波数を変化させることができる。また、前段酸化触媒26の長さを変化させて、第1膨張室56の容積と第2膨張室58の容積を変更することによって、消音させたい周波数を変化させることができる。
【0057】
次に、第2隔壁部57の構成について
図8及び
図9に基づいて説明する。
図8及び
図9に示すように、第2隔壁部57は、厚さ約1mm〜2mmの鋼板によって形成され、正面視リング状の本体部57Aと、互いに軸方向反対側に延出された外側フランジ部57Bと内側フランジ部57Cとから構成されている。本体部57Aは、外径が消音用筒体部52の内径にほぼ等しい寸法に形成されると共に、中心部に前段酸化触媒26の外径にほぼ等しい寸法の内径を有する開口部57Dが形成されている。
【0058】
また、本体部57Aは、中心角約22.5度の略横長円弧状に形成された7個の貫通孔57Eが、半径方向略中央部の同心円上にほぼ中心角約45度の間隔で配置されている。つまり、第2隔壁部57は、第1隔壁部55に対向する本体部57Aに、7個の略横長円弧状の貫通孔57Eが、ほぼ等間隔で形成されている。
【0059】
外側フランジ部55Bは、本体部55Aの外周縁部から全周に渡って所定高さ(例えば、高さ約20mm)略直角に延出されている。また、
図8中、本体部57Aの最下端部、及び外側フランジ部の最下端部には、半径方向内側へ所定深さ窪んだ断面略半円弧状の溝部57Fが軸方向全高さに渡って形成されている。内側フランジ部57Cは、開口部57Dの内周縁部から全周に渡って、外側フランジ部57Bに対して軸方向反対側へ所定高さ(例えば、高さ約20mm)略直角に延出されている。
【0060】
そして、
図4に示すように、内側フランジ部57Cは、前段酸化触媒26の流出側端部の外周面に嵌入されて、溶接等によって全周に渡って溶着される。また、外側フランジ部57Bは、消音用筒体部52の流入側端部の内周面に嵌入されて、溝部57Fを除く外周面が溶接等によって溶着される。これにより、前段酸化触媒26から流出した排気ガスは、第2膨張室58に流入して、流出口25Bを介して排出筒部53に流入する(矢印52A)。
【0061】
また、前段酸化触媒26から流出して第2膨張室58に流入した排気ガスの一部は、第2隔壁部57の各貫通孔57Eから前段酸化触媒26の外周部に流入した後(矢印61A)、溝部57Fから再度第2膨張室58に流出して(矢印61B)、流出口25Bに流入する(矢印52A)。これにより、前段酸化触媒26が、各貫通孔57E流入した排気ガスの断熱効果によって保温される。
【0062】
また、第1隔壁部55の本体部55Aと第2隔壁部57の本体部57Aとによって挟まれた前段酸化触媒26の周囲も、第2膨張室58の一部を構成することとなる。従って、前段酸化触媒26から流出した排気ガスが、第2隔壁部57の各貫通孔57Eから前段酸化触媒26の周囲を流れることによって、消音効果を発揮することができる。
【0063】
従って、例えば、
図11及び
図12に示すように、第2隔壁部57の本体部57Aに、7個の略横長円弧状の貫通孔57Eに替えて、7個の円形の貫通孔65を設けることによって、消音させたい周波数を変化させることができる。つまり、本体部57Aに形成される複数の貫通孔の形状や個数を変更することによって、消音させたい周波数を変化させることができる。
【0064】
以上詳細に説明した通り、本実施形態に係る排気ガス浄化装置1では、前段酸化触媒26は比較的小型(例えば、約0.1リットル〜0.5リットルの容量)である。このため、この前段酸化触媒26の周りを覆うようにマフラー25を設けることによって、エンジン15を搭載するエンジンルーム14内のスペース、つまり、エンジン搭載スペースにマフラー25を配置することが可能となる。従って、エンジン搭載スペースを有効に活用して、マフラー25の配置スペースを容易に確保することができる。
【0065】
また、前段酸化触媒26は、例えば、酸化アルミニウム等で形成された担持体26Bの層が、ステンレス鋼等の耐熱金属からなるハニカム構成等にて形成されたメタル基材26Aの表面上に形成され、支持されている。また、担持体26B上には、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)等の触媒粒子が担持されている。これにより、メタル基材26Aは熱容量が少ないため、メタル基材26Aの周りをマフラー25の第2膨張室58の一部とし、この第2膨張室58の容積を大きくすることによって、排気ガスの断熱効果により前段酸化触媒26の温度低下を抑止することができる。
【0066】
また、第1隔壁部55と第2隔壁部57で消音用筒体部52内に支持される前段酸化触媒26の位置を動かして、前段酸化触媒26の上流側に形成される第1膨張室56と、前段酸化触媒26の下流側に形成される第2膨張室58の各容積を変更することができる。これにより、マフラー25の重点的に消音させたい周波数を設定することができ、消音効果を発揮させることができる。
【0067】
また、第2隔壁部57の第1隔壁部55に対向する本体部57Aに形成された各貫通孔57Eから前段酸化触媒26の外周部に排気ガスが流入して、前段酸化触媒26の温度低下を効果的に抑止することができる。また、第2隔壁部57の第1隔壁部55に対向する本体部57Aに形成された貫通孔の個数、形状を変更することによって、マフラー25の重点的に消音させたい周波数を設定することができ、消音効果を高めることができる。
【0068】
また、排気ガスは、前段酸化触媒26よりも大きい第2酸化触媒32と粒子状物質除去フィルタ(DPF)33を収容する下流側浄化装置31を通過した後、大気中に排出される。従って、下流側浄化装置31にマフラーを接続する必要がないため、下流側浄化装置31の配置スペースを容易に確保することができる。引いては、フォークリフト10の車体11の小型化を図ることが可能となる。
【0069】
本発明の排気ガス浄化装置は、前記実施形態で説明した構成、構造、外観、形状、処理手順等に限定されることはなく、本発明の要旨を変更しない範囲内で種々の変更、改良、追加、削除が可能である。尚、以下の説明において上記
図1〜
図12の前記実施形態に係る排気ガス浄化装置1の構成等と同一符号は、前記実施形態に係る排気ガス浄化装置1の構成等と同一あるいは相当部分を示すものである。
【0070】
[他の第1実施形態]
(A)例えば、
図10に示す前記実施形態に係るマフラー25に替えて、
図13に示すマフラー71を用いてもよい。
図13に示すように、マフラー71は、
図10に示す前記実施形態に係るマフラー25とほぼ同じ構成である。但し、マフラー71は、流入筒部51に替えて、略円筒状の接続管部72が設けられている点で異なっている。
【0071】
接続管部72は、上流側端部の流入口25Aに上流側排気管23が接続されて、下流側(
図13中、左側)へ斜め上方向に徐々に拡径されて、下流側端部が前段酸化触媒26の上流側端部の全面を覆うように、第1隔壁部55の本体部55A(
図6参照)の半径方向内側基端部に当接されている。また、接続管部72は、下流側端部から半径方向外方へ所定長さ延出されるリング状のフランジ部72Aを有している。
【0072】
そして、フランジ部72Aは、第1隔壁部55の本体部55A(
図6参照)の半径方向内側基端部に当接されて、溶接等によって全周に渡って溶着される。その結果、前段酸化触媒26の排気ガスが流入する流入側端部の外周部と、接続管部72の下流側端部との間が全周に渡って閉塞され、接続管部72に流入した排気ガスは、前段酸化触媒26に全て流入する(矢印51A)。
【0073】
これにより、接続管部72は、前記実施形態に係る流入筒部51よりも小径化を図ることができると共に、前段酸化触媒26の上流側に膨張室を設けないため、当該接続管部72を短くすることが可能となり、引いては、マフラー71の小型化を図ることが可能となる。また、第1隔壁部55と第2隔壁部57で消音用筒体部52内に支持される前段酸化触媒26の位置を動かして、前段酸化触媒26の下流側に形成される第2膨張室(膨張室)58の容積を変更することができる。これにより、マフラー71の重点的に消音させたい周波数を設定することができ、消音効果を発揮させることができる。
【0074】
[他の第2実施形態]
(B)また、例えば、
図10に示す前記実施形態に係るマフラー25に替えて、
図14に示すマフラー81を用いてもよい。
図14に示すように、マフラー81は、
図10に示す前記実施形態に係るマフラー25とほぼ同じ構成である。但し、マフラー81は、第2隔壁部57に替えて、孔開きパイプ82が設けられている点で異なっている。
【0075】
孔開きパイプ82は、略円筒状に形成され、下流側端縁部(一端側)が前段酸化触媒26の下流側端縁部の外周面、つまり、排気ガスが流出する流出側端部の外周面に嵌入されて、溶接等によって全周に渡って溶着されている。また、孔開きパイプ82の上流側端縁部(他端側)は、流出口25Bの基端部に同軸に当接されている。また、孔開きパイプ82は、上流側端部から半径方向外方へ所定長さ延出されるリング状のフランジ部82Aを有している。
【0076】
そして、フランジ部82Aは、流出口25Bの下流側端部の周縁部に当接されて、溶接等によって全周に渡って溶着される。その結果、前段酸化触媒26の下流側端部と、流出口25Bとは、孔開きパイプ82を介してほぼ同軸に接続される。この結果、前段酸化触媒26は、第1隔壁部55と孔開きパイプ82とによって消音用筒体部52内に支持されている。また、孔開きパイプ82は、外周面に複数の貫通孔82Bが形成されている。また、孔開きパイプ82及び前段酸化触媒26のそれぞれの外周面と消音用筒体部52の内周面との間には、前段酸化触媒26から孔開きパイプ82に流入した排気ガスが、複数の貫通孔82Bを通じて流入する外周膨張室83が形成される。
【0077】
従って、前段酸化触媒26から孔開きパイプ82に流入した排気ガスが、複数の貫通孔82Bを通じて外周膨張室83に流れることにより、この外周膨張室83と第1膨張室56とによって消音効果を発揮することができる。更に、孔開きパイプ82に形成された貫通孔82Bの個数、形状を変更することによって、マフラー81の重点的に消音させたい周波数を設定することができ、消音効果を高めることができる。また、孔開きパイプ82の外周面に形成された各貫通孔82Bから前段酸化触媒26の外周部を覆う外周膨張室83に排気ガスが流入して、前段酸化触媒26の温度低下を効果的に抑止することができる。
【0078】
(C)また、例えば、前段酸化触媒26を断面四角形の柱状に形成してもよい。そして、マフラー25の消音用筒体部52を断面四角形の筒状に形成すると共に、第1隔壁部55と第2隔壁部57を四角枠状に形成してもよい。そして、第2隔壁部57の第1隔壁部55に対向する四角枠状の本体部57Aに複数の貫通孔を形成するようにしてもよい。これにより、エンジン搭載スペースを有効に活用して、マフラー25の配置スペースを容易に確保することができる。
【0079】
(D)また、例えば、排気ガスを浄化処理するための浄化処理部材としてDPF33を用いたが、排気ガス浄化装置としてNOx処理装置を適用してもよい。この場合には、NOxを還元する選択還元触媒と、この選択還元触媒に尿素水を噴射する尿素水噴射弁が浄化処理部材に該当する。
【0080】
(E)また、例えば、排気ガス浄化装置1は、フォークリフト10に限らず、ダンプトラック、油圧ショベル、油圧クレーン等の建設機械等、ディーゼルエンジンを用いた他の産業車両にも広く搭載することができる。