(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記収容孔と前記閉塞壁部における前記接続端子とは反対側の端面とによって囲まれる空間には、シール部材が設けられている請求項1又は請求項2に記載の電動圧縮機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1では、クラスタブロック内に接続端子が収容されていることが説明及び図示されているものの、クラスタブロック内における接続端子の具体的な収容態様については開示されていない。導電部材を接続端子に接続する際、クラスタブロック内で接続端子が移動するなどして接続端子に導電部材をスムーズに接続できない虞がある。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、接続端子とハウジングとの絶縁を維持しつつ、接続端子に導電部材を接続しやすくできる電動圧縮機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題点を解決するための電動圧縮機は、冷媒を圧縮する圧縮部と、前記圧縮部を駆動する電動モータと、前記電動モータを駆動するモータ駆動回路と、前記モータ駆動回路と電気的に接続された導電部材と、前記電動モータから引き出されたモータ配線と、前記モータ配線と前記導電部材とを電気的に接続する接続端子と、前記接続端子を内部に収容する絶縁性の端子収容部材と、前記圧縮部、前記電動モータ、及び前記端子収容部材を収容するハウジングと、を備えた電動圧縮機において、前記端子収容部材は、前記接続端子を保持する端子保持部材と、前記端子保持部材を収容するクラスタブロックとを備え、前記クラスタブロックは、前記端子保持部材を挿入するための収容孔を備え、前記端子保持部材は、前記接続端子を保持する保持部と、前記モータ配線が挿通されるとともに前記収
容孔の開口を閉塞する閉塞壁部とを有することを要旨とする。
【0008】
これによれば、クラスタブロックの収容孔の開口は、端子保持部材の閉塞壁部によって閉塞される。このため、潤滑液を含んだ冷媒が収容孔を介してクラスタブロック内に侵入することが抑制される。よって、接続端子とハウジングとの絶縁を維持できる。また、導電部材は、接続端子を保持している端子保持部材がクラスタブロックの収容孔に収容された後で、接続端子に接続される。端子保持部材の閉塞壁部は収容孔の開口を閉塞し、接続端子は端子保持部材の保持部によって保持されている。つまり、接続端子を保持する端子保持部材の一部が、接続端子を収容する隔壁の一部を構成する。よって、クラスタブロック内での接続端子の移動が規制され、接続端子に導電部材を接続しやすい。また、閉塞壁部にはモータ配線が挿通され、保持部には接続端子が保持されている。このため、閉塞壁部とモータ配線との位置関係、及び保持部と接続端子との位置関係を保ったまま、端子保持部材をクラスタブロックに収容できる。よって、接続端子とハウジングとの絶縁を維持しつつ、クラスタブロックに端子保持部材を組み付けやすくできる。
【0009】
また、上記電動圧縮機について、前記閉塞壁部は、前記収容孔の内周面に嵌合される外周面と、前記外周面に凹設されるとともに前記モータ配線が挿通される挿通溝を有し、
前記保持部は、前記接続端子が挿入されるとともに前記挿通溝と連通しつつ同じ方向に開口する開口部を有するのが好ましい。
【0010】
これによれば、接続端子とモータ配線とを接続した後であっても、開口部から保持部に接続端子を挿入できるとともに、挿通溝から閉塞壁部にモータ配線を挿通できる。よって、端子保持部材に接続端子を保持させる際の作業性が良好になる。
【0011】
また、上記電動圧縮機について、前記収容孔と前記閉塞壁部における前記接続端子とは反対側の端面とによって囲まれる空間には、シール部材が設けられているのが好ましい。
これによれば、シール部材によって、収容孔と閉塞壁部との隙間がシールされる。このため、潤滑液を含んだ冷媒が、収容孔と閉塞壁部との隙間を介してクラスタブロック内に侵入することが抑制される。よって、接続端子とハウジングとの絶縁性をより高めることができる。
【0012】
また、上記電動圧縮機について、前記クラスタブロックは、前記収容孔の開口側への前記端子保持部材の移動を規制する保持部材規制部を有するのが好ましい。
これによれば、保持部材規制部によってクラスタブロックに対する端子保持部材の移動が規制されるため、端子保持部材に保持されている接続端子についても、収容孔の開口側への移動が規制される。よって、接続端子に導電部材をより接続しやすくなる。
【0013】
また、上記電動圧縮機について、前記端子保持部材は、前記端子保持部材に対する前記接続端子の移動を規制する端子規制部を有するのが好ましい。
これによれば、端子規制部によって端子保持部材に対する接続端子の移動が規制されるため、端子保持部材から接続端子が外れることを抑制できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、接続端子とハウジングとの絶縁を維持しつつ、接続端子に導電部材を接続しやすくできる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、電動圧縮機を具体化した一実施形態を
図1〜
図6にしたがって説明する。
図1に示すように、電動圧縮機10のハウジング11は、一端(
図1の左端)に開口12aが形成された有底筒状をなすモータハウジング12と、モータハウジング12の一端に連結された有底筒状をなす吐出ハウジング13と、を有している。モータハウジング12の底壁121には、有底筒状のインバータカバー14が取り付けられている。モータハウジング12と吐出ハウジング13との間には吐出室S1が区画されている。吐出ハウジング13の底壁には吐出ポート15が形成されており、吐出ポート15には図示しない外部冷媒回路が接続されている。モータハウジング12の周壁122には吸入ポート123が形成されており、吸入ポート123には図示しない外部冷媒回路が接続されている。
【0017】
モータハウジング12内には回転軸16が収容されている。さらに、モータハウジング12内には、冷媒を圧縮する圧縮部17と、圧縮部17を駆動する電動モータ18とが収容されている。電動モータ18は、回転軸16を駆動させる。圧縮部17は、回転軸16が回転することにより駆動する。電動モータ18は、圧縮部17よりもモータハウジング12の底壁121(
図1の右側)寄りに配置されている。
【0018】
モータハウジング12内において、圧縮部17と電動モータ18との間には軸支部材19が設けられている。軸支部材19の中央部には、回転軸16の一端部が挿通される挿通孔19aが形成されている。挿通孔19aと回転軸16の一端部との間にはラジアルベアリング16aが設けられている。回転軸16の一端部は、ラジアルベアリング16aを介して軸支部材19に回転可能に支持されている。
【0019】
モータハウジング12の底壁121には、軸受部121aが凹設されている。軸受部121aの内側には回転軸16の他端部が挿入されている。軸受部121aと回転軸16の他端部との間にはラジアルベアリング16bが設けられている。回転軸16の他端部は、ラジアルベアリング16bを介して軸受部121aに回転可能に支持されている。
【0020】
また、モータハウジング12の底壁121とインバータカバー14とによって収容空間S2が区画されている。収容空間S2内において、底壁121におけるインバータカバー14側の外面にはモータ駆動回路20(
図1において二点鎖線で示す)が取り付けられている。よって、本実施形態では、圧縮部17、電動モータ18、及びモータ駆動回路20がこの順序で回転軸16の軸線Lの延びる方向(軸方向)に沿って並んで配置されている。
【0021】
圧縮部17は、モータハウジング12内に固定された固定スクロール17aと、固定スクロール17aに対向配置された可動スクロール17bとを備える。固定スクロール17aと可動スクロール17bとの間には容積変更可能な圧縮室S3が区画形成されている。圧縮室S3の容積変更により圧縮された冷媒は、吐出室S1に吐出される。モータハウジング12内、圧縮室S3、及び吐出室S1を流れる冷媒には、電動圧縮機10内の摺動部位の潤滑(本実施形態では、固定スクロール17と可動スクロール17bとの潤滑)を良好とするための潤滑油が含まれている。
【0022】
電動モータ18は、回転軸16と一体的に回転するロータ21(回転子)と、ロータ21を取り囲むようにモータハウジング12の内周面に固定されたステータ22(固定子)
とから構成されている。
【0023】
ロータ21は、円筒形状をなすロータコア23を有するとともに、ロータコア23は回転軸16に止着されている。ロータコア23内には複数の永久磁石24が埋設されているとともに、各永久磁石24は、ロータコア23の周方向に等ピッチに設けられている。ステータ22は、モータハウジング12の内周面に固定された環状のステータコア25と、ステータコア25に設けられるU相、V相、W相のコイル26とを有している。
【0024】
ステータコア25の一端面251からは各相の第1コイルエンド261が突出している。ステータコア25の他端面252からは各相の第2コイルエンド262が突出している。第1コイルエンド261は、圧縮部17側(回転軸16の軸方向一端側)に位置するとともに、第2コイルエンド262は、モータ駆動回路20側(回転軸16の軸方向他端側)に位置している。
【0025】
各相の第1コイルエンド261からは、モータ配線27が2本ずつ引き出されている。U相、V相、W相のコイル26は、低電圧化を図るために、2本の導線が巻回されて形成された二重線構造になっている。なお、
図1では、例えば、U相の1本のモータ配線27のみを図示している。各モータ配線27は、コイル26の導線が絶縁被膜によって被覆された状態で第2コイルエンド262から引き出されている。
【0026】
モータハウジング12の底壁121には貫通孔121bが形成されている。貫通孔121bには気密端子31が配設されている。気密端子31は、U相、V相、W相のコイル26に対応して3つの導電部材32(
図1では1つのみ図示)を有している。各導電部材32は、直線状に延びる円柱状の金属端子である。各導電部材32は、貫通孔121bに挿通されるとともに一端がモータ駆動回路20に電気的に接続されている。各導電部材32の他端は、収容空間S2から貫通孔121bを介してモータハウジング12内に突出している。また、気密端子31は、各導電部材32を底壁121に対し絶縁しつつ固定するガラス製の3つの絶縁部材33(
図1では1つのみ図示)を有している。
【0027】
モータハウジング12内には、モータ配線27と導電部材32とを接続するコネクタ40が収容されている。コネクタ40は、回転軸16の軸方向において電動モータ18と底壁121との間に配置されている。
【0028】
図2に示すように、コネクタ40は、U相、V相、W相のコイル26に対応する3つの接続端子50と、3つの接続端子50を収容する絶縁性の端子収容部材54とを備えている。端子収容部材54は、3つの端子保持部材60と、3つの端子保持部材60を収容するクラスタブロック70とを備えている。
【0029】
図3に示すように、各接続端子50は、各相の2本のモータ配線27と電気的に接続される第1接続部51と、各導電部材32と電気的に接続される第2接続部52とを有している。第1接続部51は、直線状に延びている。第1接続部51には、2本のモータ配線27の先端部が接続されている。各相の2本のモータ配線27は、円筒状の絶縁性のチューブ部材28に挿通され、チューブ部材28によって覆われている。各モータ配線27の先端部では、チューブ部材28によって覆われず、かつ絶縁被膜が除去された導線が露出している。チューブ部材28の内径は、モータ配線27の2本分の径よりも大きい。よって、2本のモータ配線27とチューブ部材28の内周面との間には、間隙が形成されている。
【0030】
各接続端子50は、チューブ部材28における第1接続部51側の端部、及び2本のモータ配線27の第1接続部51側の一部をかしめるかしめ部53を有している。かしめ部
53は、第1接続部51におけるチューブ部材28側の一端部からチューブ部材28を取り囲むように延設されている。各モータ配線27は、チューブ部材28に挿通された状態でかしめ部53によってかしめられることにより、各接続端子50に機械的に接続されている。
【0031】
第2接続部52は、第1接続部51の他端部に連続している。第2接続部52は、第1接続部51の他端部から延設された一対の長側壁521と、一対の長側壁521の長手方向の一端に架設された第1短側壁522と、一対の長側壁521の長手方向の他端に架設された第2短側壁523とを有する略四角筒状である。第2接続部52の軸心方向Cは、第1接続部51の長手方向と直交する方向であり、長側壁521の短手方向に延びている。第2接続部52において一対の長側壁521と、第1短側壁522と、第2短側壁523とで形成される四角筒の内側には、導電部材32の他端が挿入される。接続端子50の第2接続部52に対して導電部材32が挿入される方向を第1方向としてのX方向とし、第1接続部51の長手方向を第2方向としてのY方向とし、X方向及びY方向と直交する方向を第3方向としてのZ方向とする。
【0032】
各長側壁521はY方向に長手が延びる壁であり、第1短側壁522及び第2短側壁523はZ方向に長手が延びる壁である。第1短側壁522と第2短側壁523は、Y方向において対になっている。第1短側壁522は、第2短側壁523よりも第1接続部51側に位置している。
図4及び
図6(a)に示すように、第2接続部52は、一対の長側壁521の長手方向の他端に架設された底側壁524を有している。底側壁524の長手はZ方向に延び、底側壁524の短手はY方向に延びる。第2短側壁523と底側壁524は、X方向において対になっている。第2接続部52は、係止窓525を有している。係止窓525は、一対の長側壁521と第2短側壁523と底側壁524とによって囲まれた孔である。
【0033】
図3に示すように、各端子保持部材60は、Y方向で断面コ字状の部位を備える。断面コ字状の部位は、第1壁部61と、第1壁部61と対向する第2壁部62と、第1壁部61と第2壁部62とをX方向に接続する第3壁部63とを有している。
【0034】
第1壁部61は、段形状である。第1壁部61は、Y方向に並ぶ高段部61a、中段部61b、及び低段部61cを有している。第1壁部61の長手方向は、高段部61a、中段部61b、及び低段部61cが並ぶ方向、すなわちY方向と一致する。Y方向において、低段部61cは、高段部61aと中段部61bとの間に位置している。X方向における第1壁部61と第2壁部62との距離は、高段部61a、中段部61b、低段部61cの順に短くなっている。また、第1壁部61は、高段部61aと低段部61cとを接続する第1接続壁61dと、中段部61bと低段部61cとを接続する第2接続壁61eとを有している。第2壁部62及び第3壁部63は、第1壁部61と同様、長手がY方向に延びている。また、第1壁部61及び第2壁部62は、短手がZ方向に延び、第3壁部63は、短手がX方向に延びている。
【0035】
端子保持部材60は、第1〜第3壁部61〜63の一対の短縁部のうち一方の短縁部を繋ぐ矩形平板状の第4壁部64と、第1〜第3壁部61〜63の一対の短縁部のうち他方の短縁部を繋ぐ矩形平板状の第5壁部65とを有している。第4壁部64と第5壁部65とは、Y方向で対になっている。よって、端子保持部材60は、有底筒状である。端子保持部材60は、第1〜第5壁部61〜65によって囲まれた空間に保持部66を有している。また、端子保持部材60は、保持部66に接続端子50を挿入するための開口部66aを有している。開口部66aは、Z方向の一方側(第3壁部63とは反対側)に向けて開口している。
【0036】
図4に示すように、接続端子50の第1接続部51は、第1壁部61の低段部61cと第2壁部62との間に保持されている。接続端子50の第2接続部52は、第1壁部61の高段部61aと第2壁部62との間に保持されている。接続端子50のかしめ部53は、第1壁部61の中段部61bと第2壁部62との間に保持されている。第4壁部64は、Y方向において高段部61a側(第2接続部52側)に位置し、第5壁部65は、Y方向において中段部61b側に位置している。
【0037】
第1壁部61は、高段部61aをX方向に貫通する貫通部67を有している。導電部材32の他端は、貫通部67を介して接続端子50の第2接続部52の四角筒の内側に接続されている。第2壁部62は、第1壁部61の高段部61aと向かい合う部位をX方向に貫通する矩形状の爪部形成窓62aを有している。第2壁部62は、爪部形成窓62a内に爪部62bを有している。
図4に示すように、爪部62bの先端側の部位は、第2壁部62の外面よりも突出している。
【0038】
図3に示すように、第4壁部64は、第5壁部65に向けて突出する突起64aを有している。突起64aは、X方向において第2壁部62側に位置している。第5壁部65は、第5壁部65をY方向に貫通するモータ配線挿通部69を有している。モータ配線挿通部69は、保持部66と連通している。第5壁部65は、モータ配線27が挿通される挿通溝69aを有している。挿通溝69aは、第5壁部65の厚さ方向に沿う面である外周面65aに凹設されている。挿通溝69aは、Z方向の一方(第3壁部63とは反対側)に向けて開口している。すなわち、挿通溝69aは、開口部66aと同じ方向に開口している。挿通溝69aは、開口部66aと連通している。チューブ部材28及びチューブ部材28に挿通された2本のモータ配線27は、挿通溝69aを介してモータ配線挿通部69に挿通されている。
【0039】
図4に示すように、第2接続部52は、X方向において第1壁部61の高段部61aの内面と第2壁部62の内面との間に位置する。このため、端子保持部材60に対して接続端子50がX方向に移動しても、第2接続部52が第1壁部61の高段部61a又は第2壁部62に接触し、接続端子50の更なる移動が規制される。よって、第1壁部61の高段部61a及び第2壁部62は、X方向において端子保持部材60に対する接続端子50の移動を規制する第1端子規制部である。
【0040】
第2接続部52は、Y方向において第1壁部61の第1接続壁61dの内面と第4壁部64の内面との間に位置する。このため、端子保持部材60に対して接続端子50がY方向に移動しても、第2接続部52が第1壁部61の第1接続壁61d又は第4壁部64と接触し、接続端子50の更なる移動が規制される。よって、第1壁部61の第1接続壁61d及び第4壁部64は、Y方向において端子保持部材60に対する接続端子50の移動を規制する第2端子規制部である。
【0041】
図4に示すように、第2接続部52の係止窓525には、第4壁部64の突起64aが挿入されている。このため、端子保持部材60に対して接続端子50がZ方向に移動しても、係止窓525の内側が突起64aに接触し、接続端子50の更なる移動が規制される。よって、突起64aは、Z方向において端子保持部材60に対する接続端子50の移動を規制する第3端子規制部である。
【0042】
図2に示すように、クラスタブロック70は、段形状の底壁71と、底壁71の各縁部から立設する側壁72とを有している。側壁72の先端面は、底壁71と同じ段形状になっている。クラスタブロック70は、内部に3つの収容孔73を有している。各端子保持部材60は、各収容孔73に収容される。3つの収容孔73は、底壁71から側壁72が立設する方向から見たとき、一直線上に並んで配置されている。各収容孔73は、区画壁
74によって他の収容孔73と区画されている。各収容孔73は、底壁71、側壁72、及び区画壁74によって囲まれた空間である。各収容孔73は、底壁71から側壁72が立設する方向に沿って軸心が延びる細長孔状である。各収容孔73は、底壁71とは反対側に開口している。各収容孔73は、開口側から見たとき矩形状である。各収容孔73は、短手同士が隣り合うように並んでいる。各収容孔73の長手方向の寸法は、第5壁部65の長手方向の寸法よりも僅かに大きく、各収容孔73の短手方向の寸法は、第5壁部65の短手方向の寸法よりも僅かに大きい。各収容孔73に対して各端子保持部材60が挿入される方向は、Y方向と一致している。
【0043】
図4に示すように、クラスタブロック70は、各クラスタブロック70の4つの側壁72のうち、面積の大きい2つの側壁72の一方を貫通する3つの貫通孔72aと、貫通孔72aが形成された側壁72の外面から突出する円筒状の3つのガイド部72bとを備えている。各貫通孔72a及び各ガイド部72bは、底壁71寄りに位置している。各ガイド部72bの内側は各貫通孔72aに連通し、各貫通孔72aは各収容孔73に連通している。各導電部材32の他端は、各ガイド部72bの内側、及び各貫通孔72aを介して各接続端子50の第2接続部52の四角筒の内側に挿嵌される。各ガイド部72bの内周面及び各貫通孔72aは、各導電部材32が挿通される導電部材挿通孔75を構成している。よって、クラスタブロック70は、3つの導電部材挿通孔75を有している。クラスタブロック70は、導電部材挿通孔75が形成された側壁72と対をなす側壁72の内面に3つの凹部76を備える。各凹部76は、各収容孔73内に設けられている。各凹部76は、底壁71寄りに位置している。
【0044】
各端子保持部材60は、第4壁部64がクラスタブロック70の底壁71側、第5壁部65がクラスタブロック70の収容孔73の開口側に位置するように各クラスタブロック70に収容されている。各端子保持部材60の第1壁部61は、導電部材挿通孔75が形成された側壁72の内面と対向している。第1壁部61の高段部61aに形成された貫通部67は、クラスタブロック70の導電部材挿通孔75と連通している。各端子保持部材60の第2壁部62は、凹部76が形成された側壁72の内面と対向している。第2壁部62の爪部62bの先端側部位は、クラスタブロック70の凹部76に収容されている。このため、端子保持部材60が収容孔73の開口側に移動しても、爪部62bの先端部が凹部76の内壁と接触することで、端子保持部材60の更なる移動が規制される。よって、クラスタブロック70の凹部76は、Y方向においてクラスタブロック70に対する端子保持部材60の移動を規制する保持部材規制部である。
【0045】
各端子保持部材60の第4壁部64は、クラスタブロック70の底壁71の内面と対向する。各端子保持部材60の第5壁部65は、外周面65aがクラスタブロック70の各収容孔73の開口に嵌合されることで、各収容孔73の開口を閉塞している。よって、第5壁部65は、閉塞壁部である。第5壁部65における第4壁部64とは反対側の端面65bは、Y方向においてクラスタブロック70の側壁72の先端面よりも底壁71側に位置している。
【0046】
図4及び
図5に示すように、各収容孔73を形成する側壁72及び区画壁74の内面と第5壁部65の端面65bとによって囲まれる空間にはそれぞれ、シール部材としての第1シール部材91が設けられている。本実施形態の第1シール部材91は、樹脂製の接着剤である。各端子保持部材60とクラスタブロック70とは、第1シール部材91によって接着されている。また、各収容孔73を形成する側壁72及び区画壁74の内面と第5壁部65の外縁部との間、及び第5壁部65のモータ配線挿通部69とチューブ部材28との間は、第1シール部材91によってシールされている。
【0047】
各導電部材挿通孔75の内周面の一部である各ガイド部72bの内周面と導電部材32
との隙間には、シール部材としての第2シール部材92が取り付けられている。本実施形態の第2シール部材92は、筒状のゴム栓である。各ガイド部72bの内周面と各導電部材32との隙間は、第2シール部材92によってシールされている。
【0048】
次に、コネクタ40の組み付け方法について詳述する。
まず、接続端子50の第1接続部51に2本のモータ配線27を接続する。これにより、接続端子50は、モータ配線27と電気的に接続される。また、チューブ部材28の第1接続部51側の端部、及びモータ配線27の第1接続部51側の一部をかしめてかしめ部53を形成する。
【0049】
次に、
図6(a)〜
図6(c)に示すように、接続端子50を、Z方向の一方側(第3壁部63とは反対側)から端子保持部材60の保持部66に挿入するとともに、チューブ部材28を第5壁部65の挿通溝69aからモータ配線挿通部69に挿入する。このとき、
図6(a)に示すように、各接続端子50において、第2接続部52は、第1接続部51よりも先に保持部66に挿入される。第2接続部52の係止窓525には、端子保持部材60の第4壁部64の突起64aが挿入される。その後、
図6(b)に示すように、各接続端子50の第1接続部51が保持部66に挿入され、チューブ部材28がモータ配線挿通部69に挿入される。これにより、
図6(c)に示すように、接続端子50は、端子保持部材60の保持部66に保持され、チューブ部材28は、モータ配線挿通部69に挿通された状態となる。また、端子保持部材60の第3壁部63の貫通部67は、接続端子50の第2接続部52の四角筒の内側と連通する。
【0050】
次に、接続端子50を保持する端子保持部材60をクラスタブロック70の収容孔73に挿入する。このとき、第2壁部62の爪部62bは、クラスタブロック70の側壁72によって第2接続部52側に押圧される。そして、端子保持部材60が収容孔73に完全に収容されると、第2壁部62の爪部62bは、クラスタブロック70の凹部76と対向することで押圧された状態から原形状に復帰するとともに凹部76に収容される。また、端子保持部材60の第3壁部63の貫通部67、及び接続端子50の第2接続部52の四角筒の内側は、クラスタブロック70の導電部材挿通孔75と連通する。さらに、端子保持部材60の第5壁部65は、クラスタブロック70の収容孔73の開口に嵌合されて収容孔73の開口を閉塞する。
【0051】
次に、収容孔73の開口と第5壁部65の端面65bとによって囲まれた空間に接着剤を充填することで第1シール部材91を設ける。また、各導電部材32の他端を、クラスタブロック70の導電部材挿通孔75及び端子保持部材60の貫通部67を介して接続端子50の第2接続部52の四角筒の内側に挿入する。これにより、接続端子50は、導電部材32と電気的に接続される。そして、各ガイド部72bの内周面と導電部材32との間に第2シール部材92を取り付ける。
【0052】
上記構成の電動圧縮機10では、モータ駆動回路20から、各導電部材32、各接続端子50、及び各モータ配線27を介して電動モータ18に電力が供給されると、電動モータ18が駆動し、電動モータ18の駆動に伴う回転軸16の回転によって、圧縮部17が駆動して冷媒が圧縮部17により圧縮される。
【0053】
本実施形態の作用及び効果について説明する。
(1)各収容孔73の開口は、各端子保持部材60の第5壁部65によって閉塞されている。このため、潤滑液を含んだ冷媒が各収容孔73を介してクラスタブロック70内に侵入することが抑制される。よって、接続端子50とモータハウジング12との絶縁を維持できる。また、各導電部材32は、各接続端子50を保持している各端子保持部材60がクラスタブロック70の各収容孔73に収容された後で、接続端子50に接続される。
各端子保持部材60の第5壁部65は、各収容孔73の開口を閉塞し、各接続端子50は、各端子保持部材60の保持部66によって保持されている。つまり、各接続端子50を保持する各端子保持部材60の一部が接続端子50を収容する隔壁の一部を構成している。よって、クラスタブロック70内での各接続端子50の移動が規制され、各接続端子50に各導電部材32を接続しやすい。
【0054】
また、第5壁部65にはモータ配線27が挿通され、保持部66には接続端子50が保持されている。このため、第5壁部65とモータ配線27との位置関係、及び保持部66と接続端子50との位置関係を保ったまま、端子保持部材60をクラスタブロック70に収容できる。よって、接続端子50とモータハウジング12との絶縁を維持しつつ、クラスタブロック70に端子保持部材60を組み付けやすくできる。
【0055】
(2)各端子保持部材60の保持部66は、接続端子50が挿入される開口部66aを有している。また、各端子保持部材60の第5壁部65は、モータ配線27が挿通される挿通溝69aを有している。開口部66aと挿通溝69aは、連通しつつ同じ方向に開口している。このため、接続端子50とモータ配線27とを接続した後であっても、開口部66a及び挿通溝69aから保持部66及びモータ配線挿通部69に接続端子50及びモータ配線27を挿入できる。よって、各端子保持部材60に各接続端子50を保持させる際の作業性が良好になる。
【0056】
(3)各クラスタブロック70の収容孔73の開口と各端子保持部材60の第5壁部65の端面65bとによって囲まれる空間には、第1シール部材91である接着剤が充填されている。第1シール部材91によって、収容孔73の開口と第5壁部65の外縁部との隙間がシールされる。このため、潤滑液を含んだ冷媒が、収容孔73の開口と第5壁部65との隙間を介してクラスタブロック70内に侵入することが抑制される。よって、接続端子50とモータハウジング12との絶縁性をより高めることができる。
【0057】
(4)各クラスタブロック70の収容孔73の開口と各端子保持部材60の第5壁部65の端面65bとによって囲まれる空間には、第1シール部材91である接着剤が充填されている。第1シール部材91によって、チューブ部材28とモータ配線挿通部69との隙間がシールされる。このため、潤滑液を含んだ冷媒が、チューブ部材28と第5壁部65のモータ配線挿通部69との隙間を介してクラスタブロック70内に侵入することが抑制される。よって、接続端子50とモータハウジング12との絶縁性をより高めることができる。
【0058】
(5)クラスタブロック70の導電部材挿通孔75の一部である各ガイド部72bの内周面と各導電部材32との間には、第2シール部材92であるゴム栓が取り付けられている。第2シール部材92によって、各ガイド部72bの内周面と各導電部材32との隙間がシールされる。このため、潤滑液を含んだ冷媒が、各ガイド部72bの内周面と各導電部材32との隙間を介してクラスタブロック70内に侵入することが抑制される。よって、接続端子50とモータハウジング12との絶縁性をより高めることができる。
【0059】
(6)端子保持部材60の第2壁部62は、爪部62bを備える。爪部62bは、クラスタブロック70の凹部76に収容されている。このため、端子保持部材60が収容孔73の開口側に移動しても、爪部62bの先端部が凹部76の内壁に接触し、クラスタブロック70に対する端子保持部材60の移動が規制される。よって、各端子保持部材60に保持されている各接続端子50についても収容孔73の開口側への移動が規制され、各接続端子50に各導電部材32をより接続しやすくなる。
【0060】
(7)各接続端子50の第2接続部52は、各端子保持部材60の第1壁部61の高段
部61aと第2壁部62とによってX方向に挟まれている。第1壁部61及び第2壁部62は、端子保持部材60に対する接続端子50のX方向への移動を規制する。よって、各端子保持部材60から各接続端子50が外れることを抑制できる。
【0061】
(8)各接続端子50の第2接続部52は、各端子保持部材60の第1壁部61の第1接続壁61dと第4壁部64とによってY方向に挟まれている。第1壁部61の第1接続壁61d及び第4壁部64は、端子保持部材60に対する接続端子50のY方向への移動を規制する。よって、各端子保持部材60から各接続端子50が外れることを抑制できる。
【0062】
(9)各接続端子50の第2接続部52の係止窓525には、各端子保持部材60の第4壁部64の突起64aが挿入されている。突起64aは、端子保持部材60に対する接続端子50のX方向及びZ方向への移動を規制する。よって、各端子保持部材60から各接続端子50が外れることを抑制できる。
【0063】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
○ クラスタブロック70の形状は適宜変更してよい。例えば、底壁71及び側壁72の先端面は、段状でなくてもよく、同じ平面上に配置されていてもよい。
【0064】
○ クラスタブロック70における各収容孔73の配置態様は適宜変更してよい。クラスタブロック70を開口側から見たとき、各収容孔73は、短手同士が隣り合うように一直線上に並んで配置されていなくてもよい。
【0065】
○ チューブ部材28を省略してもよい。
○ コイル26の相数を変更してよい。
○ コイル26を形成する導線の本数は、1本でもよいし、3本以上でもよい。
【0066】
○ 端子保持部材60及び収容孔73の数は、コイル26の相数に応じて適宜変更してよい。
○ 導電部材挿通孔75の数は、コイル26の相数に応じて適宜変更してよい。
【0067】
○ クラスタブロック70に対する端子保持部材60の収容孔73の開口側への移動を規制する保持部材規制部の構成は、適宜変更してよい。
○ 端子保持部材60に対する接続端子50の移動を規制する端子規制部の構成は、適宜変更してよい。
【0068】
例えば、端子保持部材60の第3壁部63に保持部66の開口部66a側に突出する突起を形成するとともに、接続端子50の第2接続部52に長側壁521をZ方向に貫通する係止窓を形成してもよい。接続端子50の第2接続部52の係止窓には、端子保持部材60の第3壁部63の突起が挿入される。これにより、端子保持部材60に対する接続端子50のX方向及びY方向への移動を規制できる。また、端子保持部材60の第4壁部64の突起の代わりに凹部を形成するとともに、接続端子50の第2接続部52の係止窓の代わりに爪部を形成してもよい。第2接続部52の爪部は、第4壁部64の凹部に収容される。これにより、端子保持部材60に対する接続端子50のZ方向への移動を規制できる。
【0069】
○ 圧縮部17は、固定スクロール17aと可動スクロール17bとで構成されるタイプに限らず、例えば、ピストンタイプやベーンタイプなどに変更してもよい。
上記実施形態及び変更例から把握できる技術的思想について記載する。
【0070】
(イ)前記クラスタブロックは、前記導電部材が挿通される導電部材挿通孔を備え、前記導電部材挿通孔と前記導電部材との間には、シール部材が設けられている電動圧縮機。
(ロ)前記導電部材挿通孔に対する前記導電部材の挿入方向を第1方向としたとき、前記端子規制部は、前記第1方向において前記端子保持部材に対する前記接続端子の移動を規制する第1端子規制部を備え、前記第1端子規制部は、前記端子保持部材の壁部である電動圧縮機。
【0071】
(ハ)前記収容孔に対して前記端子保持部材が挿入される方向を第2方向としたとき、前記端子規制部は、前記第2方向において前記端子保持部材に対する前記接続端子の移動を規制する第2端子規制部を備え、前記第2端子規制部は、前記端子保持部材の壁部である電動圧縮機。
【0072】
(ニ)前記第1方向及び前記第2方向と直交する方向を第3方向としたとき、前記端子規制部は、前記第3方向において前記端子保持部材に対する前記接続端子の移動を規制する第3端子規制部を備え、前記第3端子規制部は、前記端子保持部材の壁部から突出する突起である電動圧縮機。