(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6881442
(24)【登録日】2021年5月10日
(45)【発行日】2021年6月2日
(54)【発明の名称】プラグソケットコネクター
(51)【国際特許分類】
H01R 24/54 20110101AFI20210524BHJP
H01R 24/50 20110101ALI20210524BHJP
H01R 31/06 20060101ALI20210524BHJP
【FI】
H01R24/54
H01R24/50
H01R31/06 R
【請求項の数】15
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2018-517382(P2018-517382)
(86)(22)【出願日】2016年10月4日
(65)【公表番号】特表2018-534733(P2018-534733A)
(43)【公表日】2018年11月22日
(86)【国際出願番号】EP2016001634
(87)【国際公開番号】WO2017059950
(87)【国際公開日】20170413
【審査請求日】2019年10月1日
(31)【優先権主張番号】202015007010.8
(32)【優先日】2015年10月7日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】502095340
【氏名又は名称】ローゼンベルガー ホーフフレクベンツテクニック ゲーエムベーハー アンド カンパニー カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ダンドル、クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】ラスレイン、マーティン
(72)【発明者】
【氏名】アイヒャー、ベルンハルト
(72)【発明者】
【氏名】ミュールバッヒャー、シルヴェスター
【審査官】
内田 勝久
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2012/0295478(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0214339(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2006/0099853(US,A1)
【文献】
実開昭55−091076(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/56 − 13/72
H01R 24/54
H01R 31/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の構成部品に締結するための第1の接続片;
第2の構成部品に締結するための第2の接続片;および
前記第1の接続片に接続するための第1の端部と、前記第2の接続片に接続するための第2の端部とを含む中間片
を含み、
前記第1の接続片および前記第2の接続片のうちの少なくとも一方は、第1の戻り止め手段を含み、前記第1の端部は、戻り止め手段がなく、かつ前記第2の端部は、前記第1の戻り止め手段と相互作用するための第2の戻り止め手段を含み、
前記第2の戻り止め手段が、前記中間片の外側面に環状溝を含む、コネクター。
【請求項2】
前記第1の戻り止め手段が弾性接触刃部を含む、請求項1に記載のコネクター。
【請求項3】
前記第1の接続片および前記第2の接続片のうちの少なくとも一方が、前記第1の戻り止め手段の撓む動きを制限するための制限手段を含む、請求項1または2に記載のコネクター。
【請求項4】
前記制限手段が電気絶縁材料から製造されている、請求項3に記載のコネクター。
【請求項5】
前記制限手段が、シリンダー状の基本的な形状を有するハウジングの内壁によって形成されている、請求項3または4に記載のコネクター。
【請求項6】
前記コネクターが、内部導体および外部導体を含み、前記第1の接続片および前記第2の接続片のうちの少なくとも一方は、前記内部導体と前記外部導体との間に絶縁部を形成する絶縁手段と、ハウジングとを含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載のコネクター。
【請求項7】
前記絶縁部が、開口部を含む、実質的に蛇行する横断面を有する、請求項6に記載のコネクター。
【請求項8】
前記外部導体が第1の戻り止め手段を含む、請求項6または7に記載のコネクター。
【請求項9】
前記第1の接続片および前記第2の接続片のうちの少なくとも一方が、その外部導体において、ソケット、特にフィルターソケットを接続する、請求項1〜8のいずれか1項に記載のコネクター。
【請求項10】
前記第1の接続片および前記第2の接続片の外部導体が、ソケット内に圧入されているかまたはねじ込まれている、請求項1〜9のいずれか1項に記載のコネクター。
【請求項11】
前記第1の接続片および前記第2の接続片のうちの少なくとも一方が、外側の外部導体スリーブと内側の外部導体とを含むツーピースの外部導体を含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載のコネクター。
【請求項12】
前記第1の接続片および前記第2の接続片のうちの少なくとも一方の中間片側の端部が、漏斗の形状であり、前記第1の接続片および前記第2の接続片のうちの少なくとも一方は、特に、キャッチ漏斗を含む、請求項9または10に記載のコネクター。
【請求項13】
前記コネクターは、前記第1の構成部品と前記第2の構成部品との間で無線周波数信号を伝送する、請求項1から12のいずれか1項に記載のコネクター。
【請求項14】
第1の構成部品および第2の構成部品を含むアセンブリであって、前記第1の構成部品および前記第2の構成部品は、請求項1〜13のいずれか1項に記載のコネクターによって互いに接続されている、アセンブリ。
【請求項15】
前記第1の構成部品が回路基板であり、かつ前記第2の構成部品がフィルターまたは回路基板である、請求項14に記載のアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの構成部品のHF信号伝送接続用のコネクターに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、2つの回路基板同士、2つのハウジング同士、または回路基板をハウジングになど、2つの構成部品を相互接続するために基板対基板用コネクターが用いられ、2つの回路基板上の電子部品がHF信号の交換を介して、互いに通信できるようにする。
【0003】
2つの回路基板間のそのような接続は、回路基板にしっかりと接続された2つの異なる同軸のプラグソケットコネクター、および2つの同軸のプラグソケットコネクターを接続するアダプター、いわゆるブレットによって、生成されることが知られている。このアダプターは、軸方向および半径方向の公差補償、および平行度公差の補償を可能にする。このために使用される典型的な同軸プラグソケットコネクターは、例えば、P−SMP、SMP、ミニSMP、ロングワイプ(long−wipe)SMP、MBX、SMP−MAXまたはFMCである。
【0004】
特許文献1にも、HF信号が2つの回路基板間で伝送され得るようにするために用いられる同軸接触要素が説明されている。バネ荷重接続ピンの形態に設計される内部導体は、信号導体として使用される一方、内部導体を取り囲む外部導体は、リターン導体、および内部導体用のシールドの機能を果たす。外部導体は、縦方向に複数回スロットを入れられるスリーブ状の本体を含む。本体の非スロット付端部は、端面上に、回路基板の一方の接触領域に接触する接点を形成する。外部導体のスリーブは、本体上を変位可能に案内され、そのスリーブは、一方の端部において、端面上に、他方の回路基板の接触領域と接触する接点を形成する。予荷重されたバネが、本体とスリーブとの間に支持される。2つの回路基板が接続されている間、バネ接続ピンの形態に設計された内部導体の頭部、および外部導体のスリーブは、双方とも、特定のバネの予荷重が継続しているため、変位され、それにより、両回路基板の接触領域間の距離に関して取り得る公差にもかかわらず、しっかりとした接触圧がもたらされ得る。本体のスロット形成に起因して、この本体はまた、横方向にある程度の柔軟性を有し、これは、2つの接触領域が比較的大きな非平行度である場合に、それを確実に補償し得るものとする。
【0005】
今までに公知の3部品の基板対基板接続、および特許文献1から公知の同軸接触要素の変形例は、構造、製造、および組み立ての点で比較的複雑である。そのうえ、軸方向公差を補償する能力は、比較的限定されている。さらに、接続されるべき接触領域の非平行度を補償する能力も、比較的限定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第6,776,668B1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述の問題の観点から、本発明の目的は、2つの構成部品のHF信号伝送接続用の改良型のコネクター、特に2つの回路基板のHF信号伝送接続用の基板対基板用コネクターを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、請求項1に記載のコネクターによって達成される。本発明の好都合な改良形態は、従属請求項において説明する。
【0009】
本発明による、2つの構成部品のHF信号伝送接続用のコネクター、特に2つの回路基板のHF信号伝送接続用の基板対基板用コネクターは、第1の構成部品に締結するための第1の接続片と、第2の構成部品に締結するための第2の接続片と、第1の接続片に接続するための第1の端部および第2の接続片に接続するための第2の端部を含む中間片とを含む。接続を固定するための戻り止め接続を形成するために、第1の接続片および第2の接続片は、それぞれ、第1の戻り止め手段を含み、第1の端部は、戻り止め手段がないように設計されており、かつ第2の端部は、第1の戻り止め手段と相互作用するように設計される第2の戻り止め手段を含む。この場合、HF(高周波)信号は、例えば、システムが無線データ伝送するために用いる信号であると理解される。電気工学では、9kHzから長波光(THz範囲)までの周波数範囲が、高周波と呼ばれる。
【0010】
本発明は、2つの構成部品間の距離の公差補償は、中間片と接続片との間の接続の固定が2つの端部のうちの一方の端部においてのみ行われることで達成され得る一方で、他方の端部は、公差補償の方法で動くことができるという発見に基づいている。中間片が2つの異なる端部、具体的には、第2の戻り止め手段を含む1つの端部、および戻り止め手段のない端部を含むということに起因して、第1および第2の接続片は、構造的に同一とし得る。これにより、2つの構成部品の接続が単純化する。なぜなら、コネクター構成部品は、接続を生成するはんだ付けプロセス前に、構成部品に割り当てられる必要がなく、それにより、製造のための物流の複雑さを低減させるためである。さらに、構造的に同一の接続片を使用することによって、その製造コストを削減する。
【0011】
しかしながら、第1の接続片の第1の戻り止め手段および第2の接続片の第1の戻り止め手段はまた、第2の戻り止め手段と係合するのに好適であることを前提に、異なり得ることが理解される。
【0012】
本発明の好ましい一実施形態では、第2の戻り止め手段は、中間片の外側面に環状溝を含む。このようにして、第2の戻り止め手段は、特に簡単に、例えばプレスまたはフライス加工によって製造され得る。さらに、環状溝は角度位置を特定しないため、環状溝としての設計は、角度位置とは無関係な、接続片への中間片の接続を可能にする。このようにして、製造は、さらに単純化される。
【0013】
本発明のさらに別の好ましい実施形態では、第1の戻り止め手段は、弾性接触刃部(resilient contact blade)を含む。そのような弾性要素は、打ち抜き−曲げ(punched−bent)部品として、費用効果が高く製造され得る。
【0014】
本発明のさらに別の好ましい実施形態では、第1の接続片および/または第2の接続片は、第1の戻り止め手段の撓む動きを制限する制限手段を含む。このようにして、例えば、弾性接触刃部として設計された第1の戻り止め手段の破損を生じる、例えば、過度な撓みから生じる過負荷に起因する第1の戻り止め手段への永久的な損傷が、信頼性高く防止される。
【0015】
本発明のさらに別の好ましい実施形態では、制限手段は、電気絶縁材料から製造される。それゆえ、望まれない電流または信号が制限手段を通って流れるのを防止するための、追加的な保護手段は必要ではない。この場合、電気絶縁材料は、不導体であると理解され、10
−8S/m未満でのその導電率は、極めて小さく、および半導体の導電率を下回っている。それゆえ、望まれない電流または信号が制限手段を通って流れるのを防止するための、追加的な保護手段は必要ではない。
【0016】
本発明のさらに別の好ましい実施形態では、制限手段は、シリンダー状の基本的な形状を有するハウジングの内壁によって形成される。それゆえ、ハウジングは、二重機能、具体的には、例えば機械的な損傷または汚染に対して第1および第2の接続片を保護する機能、および制限手段を提供する機能を有する。このようにして、特に単純な設計を有するコネクターが提供される。
【0017】
本発明のさらに別の好ましい実施形態では、コネクターは、内部導体および外部導体を含む。それゆえ、コネクターは、外部導体が、迷電磁放射線に対する内部導体用のシールドとして機能する同軸導体設計を有する。
【0018】
本発明は、さらに、第1の構成部品および第2の構成部品を含むアセンブリを含み、第1の構成部品および第2の構成部品は、そのようなコネクターによって、互いに接続される。
【0019】
好ましくは、外部導体を絶縁部に、形状ロック接続(form−locked connection)によって、または押圧によって、すなわちプレスばめによって、接続することも提供される。内部導体は、例えば、プレスばめによってまたは形状ロック接続によって、絶縁部に接続される。
【0020】
さらに好ましくは、絶縁部は、内部導体を保護するかまたは「キャッチする」保護カラーを含む。
【0021】
さらに別の好ましい実施形態によれば、第1および/または第2の接続片は、内部導体と外部導体との間の絶縁を形成する絶縁手段、およびハウジングを含む。この実施形態は、特に費用効果が高く、かつ本発明によるプラグソケットコネクターの個々の部品の数を削減する。
【0022】
さらに別の好ましい実施形態によれば、絶縁体は、設置開口部を有する、実質的に二重の「U」字状または蛇行横断面を有する。
【0023】
さらに別の好ましい実施形態によれば、外部導体は第1の戻り止め手段を含む。外部導体における、いずれにせよ必要とされる接触手段と、戻り止め手段との組み合わせは、部品を節約し、それゆえ特に費用効果が高いことが判明している。本発明によるコネクターの別の要素に戻り止め手段を形成することも考えられる。
【0024】
周波数に依存して電気信号の振幅および位相位置を変更する回路は、電気工学および電気通信では、フィルターと呼ばれる。その結果、望まれない信号成分が減衰または抑制され得る。
【0025】
さらに別の好ましい実施形態によれば、第1および/または第2の接続片は、その外部導体を介して、ソケット、特にフィルターソケットに、特に圧入されるかまたはねじ込まれて接続され得る。
【0026】
さらに別の好ましい実施形態によれば、第1および/または第2の接続片は、外側の外部導体スリーブと内側の外部導体とを含むツーピースの外部導体を含む。ツーピースの外部導体は、特に、ソケットへの関連する接続片のネジ接続に好適である。このようにして、必要な安定性が、外部導体スリーブによって保証され得、かつしっかりした弾性接触が内側の外部導体部分によって保証され得る。
【0027】
さらに別の好ましい実施形態によれば、第1および/または第2の接続片の中間片側の端部は、漏斗の形状に設計される。漏斗は、本発明によるコネクターに差し込むのを容易にする。これは、特に、アクセスするのが困難な領域またはシステム、例えば送信タワー(transmitter tower)において好都合である。
【0028】
本発明について、添付図面を参照して、以下の記載において説明する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明によるコネクターの一実施形態の概略的な断面図を示す。
【
図2】第1の構成部品と第2の構成部品との間の接続の生成における、第1のステップを示す。
【
図3】第1の構成部品と第2の構成部品との間の接続の生成における、第2のステップを示す。
【
図4】第1の構成部品と第2の構成部品との間の接続の生成における、第3のステップを示す。
【
図5】第1の構成部品と第2の構成部品との間の接続の生成における、第4のステップを示す。
【
図6】第1の構成部品と第2の構成部品との間の接続の生成における、第5のステップを示す。
【
図7】第1の構成部品と第2の構成部品との間の接続の生成における、第6のステップを示す。
【
図8】本発明による接続片の概略的な断面図を示す。
【
図9】本発明によるコネクターのさらに別の実施形態の概略的な断面図を示す。
【
図10】本発明によるコネクターの一実施形態の概略的な断面図を示す。
【
図11】本発明によるコネクターの一実施形態の概略的な断面図を示す。
【
図12】本発明によるコネクターの一実施形態の概略的な断面図を示す。
【
図13】本発明による中間片の概略的な断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
初めに
図1を参照して説明する。
図1は、第1の構成部品4aを第2の構成部品4bに接続して、HF信号が構成部品4aと構成部品4bとの間で伝送され得るようにするコネクター2を示す。この例示的な実施形態では、コネクター2は、第1の回路基板を第2の回路基板に接続するための基板対基板用コネクターであるため、第1の回路基板4a上の電子部品(図示せず)および第2の回路基板4b上の電子部品(図示せず)が、HF信号の交換を介して互いに通信し得るようにする。
【0031】
このために、この例示的な実施形態では、コネクター2は、内部導体22および外部導体24を含み、外部導体24は内部導体22を遮蔽して伝送品質を高める。換言すると、コネクター2は、同心の同軸導体設計を有し、この例示的な実施形態では、内部導体22(コアとも呼ぶ)は、中空のシリンダー状の外部導体24によって取り囲まれている。外部導体24は、迷電磁放射線に対して内部導体22を遮蔽する。
【0032】
下記でさらに説明するように、内部導体22および外部導体24は、第1の構成部品4aおよび第2の構成部品4bのそれぞれ特定の接続部に導電接続され、かつ構成部品4a、4bにそれぞれ締結される。異なるはんだ接続部またはプレスばめ接続部が接続部として考えられる。
【0033】
この例示的な実施形態では、コネクター2は、第1の接続片6a、第2の接続片6b、および中間片8を含み、第1の接続片6aおよび第2の接続片6bは、この例示的な実施形態では、構造的に同一である。第1の接続片6aおよび第2の接続片6bはカップラーとして機能する一方で、中間片8はアダプターとして機能する。
【0034】
2つの接続片6a、6bは、それぞれ、電気絶縁プラスチック材料を使用して射出成形されるハウジング20を含む。ハウジング20は、実質的にシリンダー状の基本的な形状を有し、かつ開放端面を有する。
【0035】
この例示的な実施形態では、複数の第1の戻り止め手段14a、14bが、ハウジング20の内部に配置され、それら戻り止め手段は、この例示的な実施形態では、それぞれ、弾性接触刃部によって形成され、かつ接続片戻り止め手段を形成する。第1の戻り止め手段14a、14bは、内部導体22の周りに円形に配置され、かつ周方向に均一に離間している。さらに、第1の戻り止め手段14a、14bは、中間片8に接続している間は、半径方向外側に撓むように設計される。この場合、そのような撓む動きは、制限手段18または停止部の機能を果たすハウジング20の内壁によって制限される。この例示的な実施形態では、制限手段は、半径方向制限手段として設計される。
【0036】
説明する例示的な実施形態では、2つの接続片6a、bおよび52および54a〜cは、戻り止め手段を含む。しかしながら、中間片8または56は、片側にのみ第2の戻り止め手段16を含む。図面では、戻り止め手段14bは、戻り止め手段のない中間片8、56の側に割り当てられる。その結果、戻り止め手段14bは、接触手段としてのみ機能し、かつ中間片8、56とは係合しない。それゆえ、戻り止め手段14bはまた、接触手段によって置き換えられ得る。しかしながら、本発明によるコネクターの保管費用および複雑さを低く保つために、戻り止め手段14bは、接触手段によって置き換えられていない。
【0037】
さらに、内部導体レセプタクル26a、26bが、ハウジング20の内部に配置され、かつ中間片8の中間導体28のセクション−この例示的な実施形態では棒状である−を収容し、かつ例えばバネ要素を介して電気的に接続するように設計される。
【0038】
この例示的な実施形態では、第1の戻り止め手段14a、14bと中間導体28との間には絶縁部30が配置され、それら絶縁部は、外部導体24に対して中間導体28を電気的に絶縁し、第1の戻り止め手段14a、14bは、この場合、外部導体24のセクションを形成する。
【0039】
この例示的な実施形態では、中間片8は、実質的にシリンダー状の基本的な形状を有する本体32を含む。中間導体28は、中間片8の内部に配置され、かつ内部導体22のセクションを形成する一方、本体32自体は、外部導体24のセクションを形成する。
【0040】
この例示的な実施形態では、本体32に対して中間導体28を電気的に絶縁する絶縁部30は、中間導体28と本体32との間に配置される。
【0041】
中間片8は、第1の端部10および第2の端部12を有し、第1の端部10は第1の接続片6aに割り当てられ、かつ第2の端部12は第2の接続片6bに割り当てられる。第1の端部10では、中間片8は、戻り止め手段がないように設計される。それゆえ、2つの戻り止め手段を互いに係合することによる、軸方向における中間導体28の固定は、第1の端部10では与えられない。しかしながら、第2の端部12では、中間片8は、第2の接続片6bの第2の戻り止め手段14bと相互作用する、すなわち、それと係合する第2の戻り止め手段16を含んで、戻り止め接続を形成することによって、第2の接続片6bと中間片8との間の接続を固定する。この場合、第2の戻り止め手段16は中間片戻り止め手段を形成する。
【0042】
この例示的な実施形態では、第2の戻り止め手段16は、中間片8の本体32の外側面上の環状溝である。この例示的な実施形態では、環状溝は、中間片8の本体32の周囲に延在する。
【0043】
それゆえ、HF信号は、動作中、第1の構成部品4aから、中間導体28を経由して、すなわち、第1の接続片6aの内部導体レセプタクル26a、中間片8の中間導体28を経由して、かつ第2の接続片6bの内部導体レセプタクル26bを経由して、第2の構成部
品4bに伝送され得る。
【0044】
HF信号は、第2の構成部品4bから第1の構成部品4aに戻るように伝導されることができるか、または内部導体22は、外部導体24を介して、すなわち、本体32と導電接続状態にある第2の戻り止め手段14bを介して、本体32自体を介して、かつ中間片8の第2の戻り止め手段16と係合する第1の戻り止め手段14aを介して、迷電磁放射線に対して遮蔽され得る。
【0045】
ここで、さらに、
図2〜
図7を参照して、HF信号を伝送するための第1の構成部品4aと第2の構成部品4bとの間の接続の生成について説明する。
【0046】
第1のステップでは(
図2参照)、第1の接続片6aは、例えばはんだ付けによって第1の構成部品4aに締結され、それにより、内部導体22と外部導体24との間、および第1の構成部品4aの電気部品間に、電気接続を生成する。
【0047】
同様に、第1のステップでは、第2の接続片6bは、第2の構成部品4bに締結され、それにより、内部導体22と外部導体24との間、および第2の構成部品4bの電気部品間に、電気接続を生成する。
【0048】
さらに、第1のステップでは、中間片8は、第2の接続片6b上に配置される。
【0049】
第2のステップでは(
図3参照)、中間片8は、第2の接続片6bの第1の戻り止め手段14bが最大限撓まされるまで、第2の構成部品4bの方向に動かされ、この撓む動きは、ハウジング20の内壁によって形成された制限手段18によって制限される。
【0050】
同時に、中間導体28は、内部導体レセプタクル26bと接触する。
【0051】
第3のステップでは(
図4)、中間片8は、第2の接続片6bに対するその端部位置に到達し、そこでは、中間導体28の下方端部セクションは、内部導体レセプタクル26bに収納されて保持される。さらに、第1の接続片6bの第1の戻り止め手段14bは、第2の戻り止め手段16と係合するため、接続が固定される。
【0052】
第4のステップでは(
図5)、第1の接続片6aを含む第1の構成部品4aは、中間片8上に配置され、かつ第1の構成部品4aおよび第2の構成部品4bは、第1のステップ(
図1参照)と同様に、互いの方に動かされる。
【0053】
第5のステップでは(
図6)、第2のステップ(
図3参照)と同様に、中間片8は、第1の接続片6aの第1の戻り止め手段14aが最大限撓まされるまで、第1の構成部品4aの方向に動かされる。
【0054】
第6のステップでは(
図7)、中間片8は、第1の接続片6aに対するその端部位置に到達し、そこでは、中間導体28の上方端部セクションが、内部導体レセプタクル26a内に収容されて摺動自在に保持される。
【0055】
戻り止め手段のない、中間片8
の第1の端部10に起因して、中間導体28の軸方向において1mmの公差補償が保証される。さらに、4°または最大0.6mmの半径方向公差補償が達成され得る。
【0056】
接続片6a、6bを含む構成部品4a、4bの代わりに、代替例として、他の取付部品、例えば、キャッチ漏斗(catch funnel)、EMCシールド、ストレートまたは角度付きケーブルコネクター、およびハウジングカップラーなども設置され得る。
【0057】
それゆえ、接続要素は、コネクター2の形態で設けられ、これは、公差補償特性を有するにもかかわらず、製造費用効果が高いこと、単純かつそれゆえエラーを起こしにくい設計を有し、かつ設置が簡単であることによって、区別される。
【0058】
図8は、本発明による回路基板側の接続片52を示す。接続片52は、ハウジング20、外部導体24、内部導体22、および絶縁部30を含む。内部導体22は、バネケージ26を含む。ハウジング20は、外部絶縁手段の機能を果たし、かつ外部導体24を保護する働きをする。前側では、ハウジング20は、外部導体24の前側を保護するための突出保護エッジ21を有する。接続片52の下面では、外部導体24は複数のタブ84を含み、そこで、外部導体は、回路基板に電気的にかつ機械的に接続され得る。異なるはんだ接続部またはプレスばめ接続部が接続部として考えられる。
【0059】
絶縁部30は、外部導体24と内部導体22との間に形成される。絶縁部30は、周辺となるように設計され、かつその回路基板側の端部に複数の円形凹部29を含む。凹部29は、コネクターの電気収容に使用される。絶縁部30はまた、凹部29に隣接して設置用孔(図示せず)を有する。
【0060】
内部導体22は、バネケージ26によって絶縁部30内に保持される。バネケージ26は、ピン50用のレセプタクルとしての機能を果たし、かつ公差補償を保証する。バネケージ26は、バネケージ26と絶縁部30との間に形状ロック接続を生成するために、波状面72aを有する。絶縁部は、バネケージ26の接触刃部を保護するための、複数の絶縁チップ31を含む。
【0061】
外部導体24は、複数の弾性接触刃部を含む。接触刃部の前側領域では、第1の戻り止め手段14aおよび14bは、接触刃部の内側変形部として設計される。
【0062】
図9は、本発明によるコネクター2aのさらに別の実施形態を示す。コネクター2aは、2つの回路基板(図示せず)間の基板対基板用コネクターとして設計される。しかしながら、コネクターの接続片は、他の接続片と組み合わせられ得るため、接続片52aまたはbならびに中間片56も、例えば、基板対フィルター用コネクターに使用するのに好適である。
【0063】
コネクター2aは、1つの回路基板側の接続片52a、bおよび1つの中間片8を含む。接続片52a、bは、キャッチ漏斗58に関して異なる。この実施形態では、接続片52bのみがキャッチ漏斗58を含む。キャッチ漏斗は、アクセスすることが困難であるシステムにおいて、差し込まれる部分を見つけるのを簡単にする。例えば、伝送タワーへの設置中にプラグコネクターを見つける改良型の方法が好都合である。
【0064】
接続片52a、bはまた、外側ハウジングまたは外部絶縁手段、ならびに内部導体と外部導体との間の内部絶縁部を同時に形成する絶縁手段74を含む。絶縁手段74は、設置開口部76を含む蛇行形状または二重の「U」字形状を有するように設計される。二重の「U」字形状は、内部導体22が配置される内側の膨らみを有する。内側の膨らみのチップは、その前側に、内部導体22、または内部導体22を保持するバネケージ26を保護するための絶縁チップ31を含む。その結果、絶縁手段74の内部導体22と外部導体24との間の領域は、絶縁部30を形成する。二重の「U」字形状の絶縁手段の外壁は、絶縁外側ハウジング20または外部絶縁部を形成する。設置開口部76は、絶縁手段74の内側領域と外側領域との間に見えている。その結果、当業者は、「蛇行または二重の『U』字形状の」という用語は、高い領域および低い領域を有し、開口部も含み得る形状であると、理解する。絶縁手段74は、形状ロック接続部82によって外部導体24に接続される。あるいは、接続はまた、力でロックする接続、例えば、プレスばめによって生成され得る。開口部76の後ろ側では、形状ロック接続部86は、外部導体24と絶縁手段74との間のさらなる接続部を形成する。
【0065】
接続片52a、bの下面では、外部導体はタブ84を含み、それを介して、外部導体は回路基板にはんだ付けされ得る。
【0066】
内部導体は、電気接続の機能を果たすタブ80を含む。
【0067】
図10〜12は、下記で重複するように説明される。
図10〜12は、本発明による基板対フィルター接続の異なる実施形態44a、b、cをそれぞれ示す。
【0068】
コネクター44a、b、cは、それぞれ、
図8を参照して上述したタイプの回路基板側の接続片52を含む。接続片は、回路基板40にはんだ付けされる。さらに、コネクター44a、b、cは、フィルター側接続片54a、b、cをそれぞれ含む。フィルター側接続片54a、b、cは、いずれの場合も、フィルターハウジング48の孔内でフィルター42に接続される。
【0069】
図10では、フィルター側接続片54aは、外部導体24および絶縁ディスク46を含む。接続片54aは、フィルターハウジング48と一緒に押圧される。
【0070】
接続片54aの外部導体24は、接触手段としてのみ機能する第1の戻り止め手段14bを含む。中間片56は、フィルター側に第2の戻り止め手段を有しない。
【0071】
コネクター44aの接続片54aおよび52は、中間片56を介して接続される。中間片56は、半径方向に保持されかつフィルター側および回路基板側に戻り止め手段14a、bによって接続される。回路基板側では、中間片56は、第2の戻り止め手段16を形成する段を有する。段は、中間片56が接続片52から抜けるのを防止する。中間片56のフィルター側接触刃部62は、フィルター42の接続ピン50を収容する。
【0072】
図10と同様に、
図11は、フィルター42と一緒に押圧される接続片54bを含むコネクター44bを示す。
図11のコネクター44bは、キャッチ漏斗58に関して、
図10のコネクター44aとは異なる。キャッチ漏斗は、絶縁ディスク46に締結され、かつ接続片54b内への中間片56の挿入を容易にする。
【0073】
図12は、コネクター44a、bと同様のコネクター44cのさらに別の実施形態を示す。コネクター44cは、ツーピースの外部導体を含む接続片54cを含む。ツーピースの外部導体は、外部導体スリーブ68および内側の外部導体24を含む。外部導体スリーブ68はネジ山付き段70を含み、そこで、外部導体スリーブ68がフィルターハウジング48内の孔にねじ込まれる。フィルターハウジング48内の孔は、外部導体スリーブ68に対応する内部輪郭を有する。外部導体スリーブは、形態ロック式に内側の外部導体24に接続される。前側では、外部導体スリーブ68はキャッチ漏斗58を含む。
【0074】
図13は、基板対フィルター用コネクター44a、b、c用の、本発明による中間片56を示す。中間片56は、その回路基板側の端部で、露出したピンとして設計される内部導体60を含む。中間片56はまた、中間片56のハウジングを同時に形成する外部導体66を含む。外部導体66内に内部導体60を保持する絶縁部64は、外部導体66と内部導体60との間に形成される。内部導体60のフィルター側の端部において、この内部導体はバネケージ62を含む。バネケージ62は、1つの領域に波状面72bを有し、これは、バネケージ62と内部導体60との間、およびバネケージ62と絶縁部64との間に形状ロック接続をもたらす。バネケージ62は、公差補償を保証し、かつプラグコネクターを見つけるのを支援し、フィルター側ピンがバネケージ62の接触刃部内に挿入されるようにする。
【0075】
絶縁部は、そのフィルター側の端部に、接触刃部を保護するための突出壁を形成する。
[項目1]
2つの構成部品(4a、4b)のHF信号伝送接続用のコネクター(2、2a、44a、44b、44c)であって、
上記第1の構成部品(4a)に締結するための第1の接続片(6a);
上記第2の構成部品(4b)に締結するための第2の接続片(6b);および
上記第1の接続片(6a)に接続するための第1の端部(10)と、上記第2の接続片(6b)に接続するための第2の端部(12)とを含む中間片(8、56)
を含み、
上記接続を固定するための戻り止め接続を形成するために、上記第1の接続片(6a)および/または上記第2の接続片(6b)は、それぞれ、第1の戻り止め手段(14a、14b)を含み、上記第1の端部(10)は、戻り止め手段がないように設計され、かつ上記第2の端部(12)は、上記第1の戻り止め手段(14a、14b)と相互作用するように設計されている第2の戻り止め手段(16)を含む、コネクター。
[項目2]
上記第2の戻り止め手段(16)が、上記中間片(8、56)の外側面に環状溝を含む、項目1に記載のコネクター(2、2a、44a、44b、44c)。
[項目3]
上記第1の戻り止め手段(14a、14b)が弾性接触刃部を含む、項目1または2に記載のコネクター(2、2a、44a、44b、44c)。
[項目4]
上記第1の接続片(6a)および/または上記第2の接続片(6b)が、上記第1の戻り止め手段(14a、14b)の撓む動きを制限する制限手段(18)を含む、項目1〜3のいずれか1項に記載のコネクター(2、2a、44a、44b、44c)。
[項目5]
上記制限手段(18)が電気絶縁材料から製造されている、項目4に記載のコネクター(2、2a、44a、44b、44c)。
[項目6]
上記制限手段(18)が、シリンダー状の基本的な形状を有するハウジング(20)の内壁によって形成されている、項目4または5に記載のコネクター(2、2a、44a、44b、44c)。
[項目7]
上記コネクター(2、2a、44a、44b、44c)が、内部導体(22)および外部導体(24)を含み、上記第1および/または上記第2の接続片(52a、b)は、上記内部導体と上記外部導体との間に絶縁部(30)を形成する絶縁手段(74)と、ハウジング(20)とを含む、項目1〜6のいずれか1項に記載のコネクター(2a)。
[項目8]
上記絶縁体が、開口部(76)を含む、実質的に蛇行する横断面を有する、項目7に記載のコネクター(2a)。
[項目9]
上記外部導体(24)が第1の戻り止め手段(14a、14b)を含む、項目1〜8のいずれか1項に記載のコネクター(2、2a、44a、44b、44c)。
[項目10]
上記第1および/または上記第2の接続片が、その外部導体において、ソケット、特にフィルターソケットに接続され得る、項目1〜9のいずれか1項に記載のコネクター(2、2a、44a、44b、44c)。
[項目11]
上記接続片(54a、b)の上記外部導体(24)が、上記ソケット内に圧入されているかまたはねじ込まれている、項目1〜10のいずれか1項に記載のコネクター(2、2a、44a、44b、44c)。
[項目12]
上記第1および/または上記第2の接続片が、外側の外部導体スリーブ(68)と内側の外部導体(24)とを含むツーピースの外部導体を含む、項目1〜11のいずれか1項に記載のコネクター(2、2a、44a、44b、44c)。
[項目13]
上記第1および/または上記第2の接続片の中間片側の端部が、漏斗の形状に設計されていて、上記接続片は、特に、キャッチ漏斗(58)を含む、項目10または11に記載のコネクター(2、2a、44a、44b、44c)。
[項目14]
第1の構成部品(4a)および第2の構成部品(4b)を含むアセンブリであって、上記第1の構成部品(4a)および上記第2の構成部品(4b)は、項目1〜13のいずれか1項に記載のコネクター(2、2a、44a、44b、44c)によって互いに接続されている、アセンブリ。
[項目15]
上記第1の構成部品が回路基板として設計され、かつ上記第2の構成部品がフィルターまたは回路基板として設計されている、項目14に記載のアセンブリ。
【符号の説明】
【0076】
2 コネクター
2a コネクター
4a 構成部品
4b 構成部品
6a 接続片
6b 接続片
8 中間片
10 第1の端部
12 第2の端部
14a 第1の戻り止め手段
14b 第1の戻り止め手段
16 第2の戻り止め手段
18 制限手段
20 ハウジング
22 内部導体
24 外部導体
26 バネケージ
26a 内部導体レセプタクル
26b 内部導体レセプタクル
28 中間導体
29 凹部
30 絶縁部
31 絶縁チップ
32 本体
40 回路基板
42 フィルター
44a コネクター
44b コネクター
44c コネクター
46 絶縁ディスク
48 フィルターハウジング
50 ピン
52 接続片
52a 接続片
52b 接続片
54a 接続片
54b 接続片
54c 接続片
56 中間片
58 キャッチ漏斗
60 内部導体
62 バネケージ
64 絶縁部
66
外部導体
68 外部導体スリーブ
70 ネジ山付き段
72a 波状面
72b 波状面
74 絶縁手段
76 開口部
80 タブ
82 形状ロック接
続部
84
タブ
86 形状ロック接
続部