(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
光学系の光軸方向に移動可能な可動レンズ群を当該光軸方向に移動可能に構成したレンズ駆動装置であって、駆動モータと、当該駆動モータによって軸転されるリードスクリューと、前記可動レンズ群を保持するレンズ保持枠と、当該レンズ保持枠と別体であり、前記リードスクリューを径方向に挟んで対向する位置において当該レンズ保持枠に同軸でかつそれぞれ独立して回動可能に配置された第1ラックと第2ラックで構成される従動体と、前記第1ラックを前記リードスクリューに近づく方向に向けて付勢する第1付勢手段と、前記第2ラックを前記第1ラックに近づく方向に向けて付勢する第2付勢手段を備えることを特徴とするレンズ駆動装置。
前記第1ラックと前記第2ラックはそれぞれ前記リードスクリューのネジ部に噛合する歯部を備え、前記第1付勢手段は前記第1ラックの歯部を前記ネジ部に噛合させる付勢力を備える請求項4に記載のレンズ駆動装置。
前記第1付勢手段と第2付勢手段は、所定以上の外力が加えられたときに前記第1ラックと前記第2ラックの各歯部が前記リードスクリューのネジ部との噛合が外れる状態となることが可能な付勢力に設定されている請求項5に記載のレンズ駆動装置。
前記第1ラックと前記第2ラックは前記リードスクリューを径方向に挟む方向の回動位置を規制するための位置規制手段を備え、この位置規制手段は、前記第1ラックの歯部が前記リードスクリューのネジ部に噛合したときに、前記第2ラックの歯部が前記リードスクリューのネジ部に噛合しないが当該ネジ部の外径よりも内径に位置するように規制する請求項5又は6に記載のレンズ駆動装置。
前記第1ラックと前記第2ラックは、所定以上の外力が加えられたときに前記第1付勢手段と前記第2付勢手段の付勢力に抗して前記第1ラックと前記第2ラックの各歯部が前記リードスクリューのネジ部との噛合が外れる径位置までそれぞれ回動することが可能である請求項5ないし7のいずれかに記載のレンズ駆動装置。
前記第1ラックは、基端部と先端部との中間部に前記歯部が形成されており、当該基端部が前記レンズ保持枠に設けられた支軸に回動可能に支持され、前記先端部において前記第1付勢手段により付勢され、前記第2ラックは基端部が前記支軸により前記第1ラックと同軸に支持され、先端部に前記歯部が形成され、前記第1ラックとの間に前記第2付勢手段が掛装されている請求項5ないし8のいずれかに記載のレンズ駆動装置。
前記駆動モータを制御して前記レンズ保持枠を所望位置に制御するためのレンズ位置制御手段と、前記レンズ保持枠が前記光軸方向に移動したことを検出するレンズ位置検出手段を備え、当該レンズ位置検出手段がレンズ位置を検出したときに前記レンズ位置制御手段を初期状態に制御する構成である請求項1ないし9のいずれかに記載のレンズ駆動装置。
前記駆動モータを制御して前記レンズ保持枠を所望位置に制御するためのレンズ位置制御手段と、前記第1ラックと前記第2ラックが前記リードスクリューのネジ部との噛合から外れた状態を検出する歯飛び検出手段を備え、当該歯飛び検出手段が歯飛びを検出したときに前記レンズ位置制御手段を初期状態に制御する構成である請求項10に記載のレンズ駆動装置。
前記歯飛び検出手段は、前記第1ラックと前記第2ラックの相対角度が所定の角度以上になった状態を検出する手段、あるいは前記レンズ保持枠に加えられる外力や衝撃が所定以上であることを検出する手段であることを特徴とする請求項11に記載のレンズ駆動装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この特許文献2のようなハーフナットを用いた構造では、ハーフナットがリードスクリューの径方向の片側からのみ螺合する構造であるため、ハーフナットとリードスクリューの機械的な螺合強度が低くならざるを得ない。そのためハーフナットにリードスクリューの軸方向の外力が加えられたときに、ハーフナットに歯飛びが生じ易いという問題がある。すなわち、外力によってハーフナットがリードスクリューのネジ山を乗り越えてしまいリードスクリューの軸方向に移動してしまうという現象である。この歯飛びを防止するためにハーフナットをリードスクリューに対して径方向に強い力で当接させると、ハーフナットに加えられた外力による応力がハーフナットとリードスクリューの螺合部位、すなわち両者のネジ部に集中されることになり、この応力によってネジ部が損傷してしまうという問題が生じる。特に、レンズ鏡筒に内装されている複数のレンズ群のうち、被写体側のレンズ群を駆動するレンズ駆動装置では、当該レンズ群が撮影者等によって手で接触されて外力が加えられることがあるため、このような外力によっても歯飛びやネジ部の損傷を抑制し、ないしは防止することが要求されている。
【0007】
本発明の目的は、歯飛びを抑制するとともに、ネジ部の破損を防止することが可能なリードスクリュー
を備えたレンズ駆動装置
とレンズ鏡筒およびカメラを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、光学系の光軸方向に移動可能な可動レンズ群を当該光軸方向に移動可能に構成したレンズ駆動装置であって、駆動モータと、当該駆動モータによって軸転されるリードスクリューと、可動レンズ群を保持するレンズ保持枠と、当該レンズ保持枠と別体であり、リードスクリュー
を径方向に挟んで対向する位置において当該レンズ保持枠に同軸でかつ
それぞれ独立して回動可能に配置された第1ラックと第2ラックで構成される従動体と、当該第1ラックをリードスクリューに近づく方向に向けて付勢する第1付勢手段
と、第2ラックを第1ラックに近づく方向に向けて付勢する第2付勢手段を備える。リードスクリューは軸心が光軸方向に向けられ、第1ラックと第2ラックは光軸方向に垂直な方向に回動可能である。
【0009】
本発明のレンズ駆動装置の好ましい形態として、第1付勢手段はレンズ保持枠の一部に対して第1ラックを付勢する。ま
た、第2付勢手段は第1ラックに対し第2ラックを付勢する構成とされる。好ましくは、第1ラックと第2ラックはそれぞれリードスクリューのネジ部に噛合する歯部を備え、第1付勢手段は第1ラックの歯部を前記ネジ部に噛合させる付勢力を備える。また、第1付勢手段と第2付勢手段は、所定以上の外力が加えられたときに第1ラックと第2ラックの各歯部がリードスクリューのネジ部との噛合が外れる状態となることが可能な付勢力に設定されている。
【0010】
本発明のレンズ駆動装置の他の好ましい形態として、第1ラックと第2ラックはリードスクリューを径方向に挟む方向の回動位置を規制するための位置規制手段を備え、この位置規制手段は、第1ラックの歯部がリードスクリューのネジ部に噛合したときに、第2ラックの歯部がリードスクリューのネジ部に噛合しないが当該ネジ部の外径よりも内径に位置するように規制する。また、第1ラックと第2ラックは、所定以上の外力が加えられたときに第1付勢手段と第2付勢手段の付勢力に抗して各ラックの各歯部がリードスクリューのネジ部との噛合が外れる径位置までそれぞれ回動することが可能である。
【0011】
また、本発明のレンズ駆動装
置は、駆動モータを制御してレンズ保持枠を所望位置に制御するためのレンズ位置制御手段と、レンズ保持枠がレンズ光軸方向に移動したことを検出するレンズ位置検出手段を備え、当該レンズ位置検出手段がレンズ位置を検出したときにレンズ位置制御手段を初期位置に制御する構成とする。あるいは、駆動モータを制御してレンズを所望位置に制御するためのレンズ位置制御手段と、
第1ラックと第2ラックがリードスクリューのネジ部との噛合から外れた状態を検出する歯飛び検出手段を備え、当該歯飛び検出手段がレンズ位置を検出したときにレンズ位置制御手段を初期位置に制御する構成とする。この歯飛び検出手段は、
第1ラックと第2ラックの相対角度が所定の角度以上になった状態を検出する構成とする。
【0012】
本発明のレンズ鏡筒
は本発明のレンズ駆動装置を備えることを特徴とする。また、本発明のカメラは当該レンズ鏡筒を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の
レンズ駆動装置は、
駆動モータと、当該駆動モータによって軸転されるリードスクリューと、可動レンズ群を保持するレンズ保持枠と、当該レンズ保持枠と別体であり、リードスクリューに対向する位置において当該レンズ保持枠に同軸でかつ回動可能に配置された第1ラックと第2ラックで構成される従動体と、当該第1ラックをレンズ保持枠に対してリードスクリューに近づく方向に向けて付勢する第1付勢手段を備えるので、第1付勢手段の付勢力によって第1ラックはリードスクリューに対して安定に歯合された状態が保持される。また、第1付勢手段の付勢力を調整することで第1ラックをネジ部に対して好適な状態で噛合させることが可能になり、従動体に外力が加えられたときに第1ラックは付勢力に抗してリードスクリューの外径方向に移動されるので、第1ラックの破損を防止することができる。また、第2ラックを第1ラックに近づく方向に向けて付勢する第2付勢手段を備えるので、
第2付勢手段の付勢力を調整することで、
第1ラックに対して所定の角度位置に規制されている
第2ラックをネジ部に対して所定の位置関係を保った噛合状態に保持することが可能になり、その一方で外力が加えられたときに
第2ラックをネジ部との噛合状態から外れて歯飛びを生じ易くすることができる。
【0014】
また、本発明の
レンズ駆動装置は、第1ラックの歯部がリードスクリューのネジ部に噛合したときに、
第2ラックの歯部がリードスクリューのネジ部に噛合しないが当該ネジ部の外径よりも内径に位置するように規制するための位置規制手段を備えているので、従動体に外力が加えられたときに
第1ラックによる噛合状態を確保し、さらに外力が増大されたときには第1ラックと第2ラックがネジ部に噛合されてリードスクリュー装置の機能を確保するとともに、
各ラックの損傷を防止し、同時に歯飛びを防止する。さらに、外力が異常な程度まで増大されたときには、
第1付勢手段と第2付勢手段の付勢力に抗して各
ラックの歯部がネジ部との噛合から外れる外径位置まで回動され、歯飛びを生じさせて各
ラックの損傷を防止することが可能になる。
【0015】
本発明のレンズ駆動装置
は、リードスクリュー
は駆動モータにより軸転可能に構成され、従動体はレンズを保持したレンズ保持枠に取着され、リードスクリューの軸転に伴って当該レンズ保持枠をレンズ光軸方向に移動可能に構成しているので、撮影者の手等がレンズ保持枠に接触した場合に生じる外力によってもレンズ保持枠の正確な移動を確保する一方でレンズ駆動装置の損傷を防止することができる。
【0016】
また、本発明のレンズ駆動装置では、レンズ
が光軸方向に移動したことを検出するレンズ位置検出手段を備え、当該レンズ位置検出手段がレンズ位置を検出したときにレンズ位置制御手段を初期位置に制御する構成としているので、レンズ駆動装置において歯飛びが生じた場合でもレンズ位置を正確に位置制御することができる。特に、従動体がリードスクリューのネジ部との噛合から外れた状態を検出する歯飛び検出手段を備え、当該歯飛び検出手段がレンズ位置を検出したときにレンズ位置制御手段を初期位置に制御する構成とすることにより、歯飛びが生じたときには速やかに初期設定を行ってレンズ位置を正確に位置制御することが可能になる。
【0017】
本発明のレンズ鏡筒、および当該レンズ鏡筒を備えるカメラでは
、レンズ駆動装置において得られる正確なレンズ位置制御によって精度の高い焦点合わせやズーミング等が可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。この実施形態は本発明をカメラのレンズ鏡筒に備えられるレンズ駆動装置に適用したものである。
図1は本発明にかかるカメラのレンズ鏡筒をレンズユニットLUとしてカメラボディCBと一体的に構成した実施形態を示すものであり、当該カメラの撮影時の状態をレンズ光軸に沿って破断した断面図である。
図1において本発明と関連のある部位について説明すると、前記レンズユニットLUは図に鎖線で示すカメラボディCBに固定されている固定筒1の内周面に回転筒2が保持されている。さらにこの回転筒2の内部には直進筒3とレンズ筒4が保持されており、前記回転筒2に対してそれぞれヘリコイド結合されている。前記回転筒2は図には表れない繰り出しモータ等の駆動力によって撮影時にレンズ光軸Lx回りに回転され、この回転筒2の回転によって前記直進筒3とレンズ筒4はカメラボディCBでの収納位置から前方(被写体側、以下前後方向については被写体側を前方と称し、反対側を後方と称する)に直進移動して繰り出される。前記直進筒3と前記レンズ筒4はそれぞれ回転筒2に対して個別のヘリコイドで結合されているので、各筒の繰り出し量はそれぞれ相違している。前記直進筒3の前端部には当該直進筒3の前面に設けられた開口を撮影時に開放し、非撮影時には閉じてレンズユニットLUの内部を保護するレンズバリア装置31が設けられている。
【0020】
前記レンズ筒4はレンズ光軸方向の後側に配置されたモータ枠5と、このモータ枠5の前側に配置されたレンズ保持枠6とを備えており、本発明のレンズ駆動装置7は当該モータ枠5に対して前記レンズ保持枠6をレンズ光軸方向に移動して焦点合わせを行うように構成されている。前記モータ枠5は前記回転筒2の回転によって前記直進筒3が繰り出されたときに、これとともに所定の位置まで繰り出される。レンズ保持枠6は第1群レンズL1、シャッターS、第2群レンズL2を搭載して前記モータ枠5に対してレンズ光軸方向に相対移動可能に支持されており、前記レンズ駆動装置7によってレンズ光軸方向に相対移動制御される。
【0021】
図2は前記レンズ筒4のみを取り出して左前方から見た斜視図であり、
図3は当該レンズ筒4を構成しているモータ枠5とレンズ保持枠6とを分離した斜視図である。モータ枠5は大略円環状に形成されており、その下辺側の円周2箇所には前記レンズ保持枠6を保持するための複数の支持片51が前方に向けて突設されている。また、上辺側の円周一部には前記レンズ保持枠6をレンズ光軸方向に移動させる際のガイドとなる細い円柱状をした主軸52がレンズ光軸方向に向けて突設されている。
【0022】
一方、前記レンズ保持枠6は大略短円筒容器状に形成されており、その中心位置に設けた円形の開口内に前記第1レンズ群L1と、
図2,3には表れない前記第2群レンズL2と前記シャッターSが保持されている。このレンズ保持枠6は前記モータ枠5の前側に配置されるとともに、その外周面において前記モータ枠5の2つの支持片51によって下辺部が支持される。また、前記レンズ保持枠6の円周一部には細幅片状のブラケット61が後方に向けて延長され、このブラケット61を通してレンズ光軸方向に開口された主軸穴611に前記モータ枠5の主軸52が挿通されることにより、レンズ保持枠6はモータ枠5に対して同軸状態を保ったままレンズ光軸方向に相対移動可能とされている。この実施形態では、かかるレンズ保持枠6のレンズ光軸方向の移動により前記レンズユニットLUにおける焦点合わせが行われる。
【0023】
本発明の前記したレンズ駆動装置7は、前記レンズ保持枠6をモータ枠5に対してレンズ光軸方向に往復移動するためのリードスクリュー装置で構成されている。すなわち、
図2,3に示すように、ステッピングモータで構成された駆動モータ8が固定板81によって前記モータ枠5に固定支持されている。この駆動モータ8の図には表れない回転出力軸にはレンズ光軸方向に所要の長さを有するリードスクリュー82が同軸に連結されている。このリードスクリュー82は周面に軸芯方向の断面形状が三角形もしくは台形(ここでは台形)をしたネジ条からなるネジ部83が形成されている。また、このリードスクリュー82は、軸転されたときの軸心方向の安定性を確保するために、前記固定板81の一部が軸支片84として前方に向けてL字型に突出形成され、この突出された軸支片84の先端に前記リードスクリュー82の先端部が軸支されている。この軸支構造により、リードスクリュー82は駆動モータ8が回転駆動されたときにレンズ光軸Lxと平行な軸心の回りに安定して軸転されることになる。
【0024】
一方、前記リードスクリュー82とレンズ光軸方向に対向する前記レンズ保持枠6の円周一部には、前記リードスクリュー82のネジ部83に
噛合可能な従動体9がレンズ光軸方向に一体的に支持されている。この従動体9は前記レンズ保持枠6がモータ枠5に組み付けられたときには前記リードスクリュー82の前記ネジ部83に
噛合されるようになっており、当該リードスクリュー82のネジ部83の螺旋構造によってリードスクリュー82が軸転されたときにその軸方向、すなわちレンズ光軸Lxの方向に直進往復移動される。これにより、当該従動体9を支持しているレンズ保持枠6は前記モータ枠5の主軸52に案内されながら従動体9と一体的にレンズ光軸方向に移動されることになる。
【0025】
前記従動体9は、
図4の外観斜視図と
図5の要部分解斜視図にそれぞれ示すように、1本のラック軸93に対してそれぞれ独立して回動できるように軸支された一対のラック部材91,92を有している。
図4,5において下側に位置されている第1ラック部材91は、ラック軸93が挿通されている基端部911から中間部912が水平方向にほぼ真っ直ぐに延長され、先端部913は上方に向けて逆L字状に曲げられた形状である。そして、この中間部912の上面に前記リードスクリュー82のネジ部83に噛合することが可能な第1ラック歯94が一体に形成されている。また、
図4,5において上側に位置されている第2ラック部材92は前記第1ラック部材91よりも水平方向の長さが短くされており、前記ラック軸93が挿通されている基端部921から延長された先端部922の下面に前記リードスクリュー82のネジ部83に噛合することが可能な第2ラック歯95が一体に形成されている。これら第1ラック歯94と第2ラック歯95は正面を向いて対向配置されており、両ラック歯94,95で前記リードスクリュー82のネジ部83を径方向に挟んだ状態で噛合される。なお、この実施形態では、これら第1と第2のラック歯94,95はそれぞれリードスクリュー82のネジ部83の形状に対応して断面形状が三角形もしくは台形(ここでは台形)をした3つの歯を並列配置した構成としている。
【0026】
前記第2ラック部材92の基端部921には円筒状のボス923が一体に形成されており、このボス923に前記ラック軸93を挿通させている。一方、前記第1ラック部材91の基端部911には、第2ラック部材92の基端部921およびボス923の長さに相当する寸法をした上向きコ字状の軸支持部914が一体に形成されており、この軸支持部914に前記第2ラック部材92の基端部921とボス923を貫通するように内挿された前記ラック軸93を両端支持している。これにより、第1と第2のラック部材91,92はそれぞれラック軸93を支点にして個々に回動することが可能とされている。なお、前記ボス923の周囲には第2付勢バネ97が巻回されているが、これについては後述する。
【0027】
この構成の従動体9は、
図2,3に示したように前記レンズ保持枠6の上辺部に組み付けられる。
図6(a)は組み付けた状態を前方から見た図であり、
図6(b)はそのB−B線断面図である。前記ラック軸93の両端は前記した第1ラック部材91の軸支持部914から突出されており、この突出されている両端が
図6(a),(b)に鎖線で示す前記レンズ保持枠6の周面63の円周一部にレンズ光軸方向に対向するように外径方向に突設した一対のリブ62に軸支されている。これにより、第1ラック部材91と第2ラック部材92はそれぞれラック軸93を支点にしてレンズ保持枠6上でレンズ光軸Lxと垂直な面上で径方向に回動することが可能となる。
【0028】
このように第1および第2ラック部材91,92をレンズ保持枠6に支持すると、前記第1ラック部材91の先端部913の下面は前記レンズ保持枠6の周面63の一部に対向配置される状態となり、この下面と周面との間に圧縮コイルバネからなる第1付勢バネ96がほぼ径方向に向けて弾装される。この第1付勢バネ96の付勢力によって第1ラック部材91はラック軸93を支点にしてレンズ保持枠6の外径方向への回動習性が付与される。また、前記第2ラック部材92のボス923には圧縮トーションバネからなる第2付勢バネ97が巻回されており、この第2付勢バネ97の両端を第1ラック部材91と第2ラック部材92にそれぞれ係止することで、第2ラック部材92は先端部922が第1ラック部材91に近接する方向、すなわちレンズ保持枠6の内径方向への回動習性が付与される。しかし、前記第1ラック部材91と第2ラック部材92はそれぞれの基端部911,921の互いに対向する面の一部において互いに当接されているので、これらの当接面が位置規制面915,925として機能され、第2付勢バネ97の付勢力によっても両ラック部材91,92の各ラック歯94,95は互いに所要の間隔寸法を越えて近接することが規制されることになる。また、第2付勢バネ97はラック軸93の軸方向に圧縮された状態で第2ラック部材92と第1ラック部材91との間に弾装されているので、その弾性復帰力によって第1ラック部材91の軸支持部914の端面Tがレンズ保持枠6のリブ62の内面に当接される。そのため、この端面Tにおける当接力によって第1ラック部材91はレンズ保持枠6に対して、さらに言えば従動体9はレンズ保持枠6に対して一体的な構成とされ、レンズ光軸方向に共に動作される状態とされている。
【0029】
以上の構成の従動体9をリードスクリュー82に組み付けてレンズ駆動装置7を構成する際には、レンズ保持枠6の主軸穴611にモータ枠5の主軸52を挿通させてレンズ保持枠6をモータ枠5の前面位置に同軸状態に組み付ける。このとき、従動体9をリードスクリュー82の側方から前進させて行き、第1ラック部材91と第2ラック部材との間にリードスクリュー82が挟持されるようにする。
図7はこのときの状態を示す要部の斜視図である。すなわち、第1ラック部材91は第1付勢バネ96の付勢力に抗してレンズ保持枠6の内径方向に回動され、第2ラック部材92は第2付勢バネ97の付勢力に抗してレンズ保持枠6の外径方向に回動され、両ラック部材91,92の対向間隔寸法が拡大するのでリードスクリュー82を挟持することが可能となる。
【0030】
そして、この挟持した状態では、
図8(a),(b)に一部を破断した斜視図とその断面図をそれぞれ示すように、第1付勢バネ96と第2付勢バネ97の各付勢力によって、第1ラック部材91の第1ラック歯94はリードスクリュー82のネジ部83に対してレンズ保持枠6の内径側から噛合され、第2ラック部材92の第2ラック歯95は当該ネジ部83に対してレンズ保持枠6の外径側から噛合されることになる。すなわち、リードスクリュー82をモータ枠5のブラケット84に両端支持した状態で組み立てていても、その後にレンズ保持枠6に支持した従動体9の第1と第2のラック部材91,92をリードスクリュー82のネジ部83に噛合させることができるので、レンズ駆動装置7の組立に際して組立順序の制約を受けることがなく、製造の容易化、製造コストの低減に有利となる。
【0031】
従動体9がリードスクリュー82に組み付けられた状態のときには、第1付勢バネ96は第1ラック部材91の先端部913に付勢力を付与しており、第1ラック歯94は当該第1ラック部材91の中間部912に配設されているので、第1ラック歯94がリードスクリュー82のネジ部83に噛合する際の噛合力はてこの原理によって第1付勢バネ96の付勢力よりも大きな力となり、リードスクリュー82のネジ部83との安定かつ好適な噛合状態が得られる。また、第2付勢バネ97はラック軸93の回りに巻回されているので、第1ラック部材91と第2ラック部材92を組み立てるのと同時に第2付勢バネ97を組み立てることができ、組立作業が簡略化できるとともに、従動体9の全体を小型に構成できる。このように、第1付勢バネ96によって第1ラック歯94を所望の付勢力でネジ部83に噛合させ、第2付勢バネ97によって第2ラック歯95を所望の付勢力でネジ部83に噛合させる構成を容易に組み立てることができる。
【0032】
したがって、このように組み立てられたレンズ駆動装置7では、駆動モータ8を回転駆動することによりリードスクリュー82が軸転され、リードスクリュー82のネジ部83に歯合している第1ラック歯94と第2ラック歯95はそれぞれ当該ネジ部83に沿ってリードスクリュー82の軸方向に移動される。これにより、第1ラック歯94と第2ラック歯95とそれぞれ一体の第1ラック部材91と第2ラック部材92からなる従動体9、さらにはこの従動体9を支持しているレンズ保持枠6がレンズ光軸方向に移動され、前記したようにレンズユニットLUにおける焦点合わせが実行されることになる。
【0033】
ここで、この実施形態のレンズユニットでは、撮影時には
図1に示したレンズバリア装置4が開放されるため、直進筒3の前面開口を通してレンズ筒4が露呈された状態となり、撮影者の手等がレンズ筒4に接触したときに前側に位置しているレンズ保持枠6にレンズ光軸方向の外力が加えられることが考えられる。レンズ保持枠6に加えられた外力は従動体材9の第1および第2のラック部材91,92を介して第1ラック歯94と第2ラック歯95に伝えられる。そのため、第1ラック歯94および第2ラック歯95と、これらに歯合しているリードスクリュー82のネジ部83との間に外力に伴う応力が発生し、この応力によって第1ラック歯94や第2ラック歯95がネジ部83との
噛合から外れて、いわゆる歯飛びが生じるおそれがある。あるいは歯飛びが生じない場合には当該応力によって第1ラック歯94や第2ラック歯95、ないしはネジ部83が損傷されるおそれが生じる。
【0034】
これに対し、この実施形態では第1ラック歯94は第1付勢バネ96の付勢力によってネジ部83に対して弾性的に噛合され、第2ラック歯95は第2付勢バネ97の付勢力によってネジ部83に対して弾性的に噛合されているので、これらのラック歯94,95とネジ部83との間の応力が増大したときには、各ラック歯94,95とネジ部83とが当接するテーパ面での楔作用によって径方向の応力が発生し、この応力によって第1と第2のラック歯94,95はそれぞれ第1と第2の各付勢バネ96,97の付勢力に抗してネジ部83の外径方向に移動される。この外径方向の移動によって発生した応力が吸収ないし低減されることになり、ラック歯94,95の損傷が防止される。また、このとき両ラック歯94,95はネジ部83に噛合された状態が保持されるので歯飛びが生じることはない。さらに、外力が増大して各ラック歯94,95における応力が増大すると、両ラック歯94,95の対向間隔はさらに増加されるため、各ラック歯94,95はネジ部83との噛合が外れて歯飛びが生じることになるが、各ラック歯94,95の損傷は確実に防止される。
【0035】
特に、この実施形態では、このようなラック歯の損傷を防止する効果と、歯飛びの抑制効果とを高めるために、前記従動体9は次のように構成されている。すなわち、前記したように第2ラック部材92は第2付勢バネ97の付勢力によって第1ラック部材91に対して近接する方向に付勢されているが、第1ラック部材91と第2ラック部材92の対向する面に設けた位置規制面(
図6)915,924が互いに回動方向に当接され、この当接によって第1ラック部材91に対して第2ラック部材92がなす回動角度(以下、挟み角と称することもある)が規制されている。すなわち、両ラック部材91,92が互いに位置規制面915,924で当接することによって第1ラック部材91と第2ラック部材92の挟み角、換言すれば第1ラック歯94と第2ラック歯95の対向間隔寸法が規制されることになる。そして、
図9(a)に示すように、この第1と第2のラック歯94,95の対向間隔寸法(ここでは各ラック歯94,95の先端の間隔寸法)L1を、両ラック歯94,95がネジ部83にそれぞれ通常の状態で噛合するときの対向間隔寸法L2よりも所定の余裕寸法L0だけ大きくなるように設計している。この余裕寸法L0はネジ部83において前記した通常の状態で噛合する位置からネジ外径までの高さ寸法Hよりも小さい寸法である。なお、L3はネジ部83の外径寸法である。
【0036】
また、前記第1と第2の付勢バネ96,97については、第1付勢バネ96により第1ラック歯94がネジ部83に噛合する際の付勢力が、第2付勢バネ97により第2ラック歯95がネジ部83に噛合する際の付勢力よりも大きくなるように設計している。すなわち、第1付勢バネ96の付勢力は、レンズユニットLUの姿勢変化によって重力が第1付勢バネ96を圧縮する状態となったときでも、第1ラック歯94がネジ部83に対して付勢した状態が保持できる大きさに設定される。また、第2付勢バネ97の付勢力についても同様であるが、その一方で第1付勢バネ96と第2付勢バネ97の付勢力で第1と第2のラック歯94,95がネジ部83を径方向に挟持したときに、これらラック歯94,95とネジ部83との噛合によって生じる衝撃によって各部が破壊されることがないような付勢力としている。そのため、第1付勢バネ96と第2付勢バネ97の付勢力の最小を前記した力に設定するとともに、両方の付勢バネ96,97の付勢力が相乗したときにも前記した破壊が生じすることがないように、一方の付勢バネ、ここでは第2付勢バネ97の付勢力を小さくしている。この結果、この実施形態では前記第1ラック歯94における付勢力が第2ラック歯95における付勢力のほぼ2倍となるように設定している。
【0037】
このような設計を行うことにより、レンズ保持枠6を介して従動体9、すなわち第1および第2ラック歯94,95に外力が生じていない状態のときには、
図9(a)に示したように、第1付勢バネ96の付勢力によって第1ラック歯94はネジ部83に通常状態で噛合するが、第2ラック歯95は位置規制面915,924での規制によって余裕寸法L0だけネジ部83に対して外径方向に離間された状態にある。したがって、この状態で駆動モータ8によってリードスクリュー82が軸転されたときには、第1ラック歯94がネジ部83と噛合された状態を保ちながら従動体9がリードスクリュー82に対しては直進移動されることになる。
【0038】
一方、従動体9に外力が加えられると、
図9(b)に示すように、第1ラック歯94とネジ部83との当接面での楔作用によって外径方向の応力が生じ、この応力によって第1ラック歯94は第1付勢バネ96の付勢力に抗して矢印Mのようにネジ部83の外径方向に移動される。このとき、第1付勢バネ96の付勢力よりも小さな外力が加えられた程度では第1ラック歯94が外径方向に移動されることはなく、安定な噛合状態を確保する。外力が増大して第1付勢バネ96の付勢力よりも大きな応力が発生したときには、第1ラック歯94は外径方向に移動されるが、このときには第2付勢バネ97の付勢力によって第2ラック歯95が第1ラック歯94に追従して一体的に矢印M方向に移動されるため、第2ラック歯95はネジ部83の内径方向に移動されてネジ部83に接触する状態となる。これにより、第1ラック歯94と第2ラック歯95が共にネジ部83に噛合した状態となり、第1ラック歯94のみがネジ部83に噛合している状態に比較して両ラック歯94,95とネジ部83との噛合関係が強化される。これにより、外力を第1と第2の各ラック歯94,95とネジ部83との噛合で受けることになり、当該外力によっても各ラック歯94,95の損傷が防止される。また、両ラック歯94,95がネジ部83に歯合している状態が保持されるので、各ラック歯94,95における歯飛びが防止されることになる。
【0039】
この状態からさらに外力が増大すると、
図9(c)に示すように、第1と第2の各ラック歯94,95とネジ部83との噛合面における径方向の応力が増大し、この応力によって両ラック歯94,95は外径方向、すなわち第1ラック歯94は矢印M方向に移動され、第2ラック歯95は矢印N方向に移動され、両ラック歯94,95の対向間隔寸法は寸法Lixに拡大される。この状態では、両ラック歯94,95はネジ部83に対して僅かに引っ掛かっている状態になる。この状態から外力が無くなれば歯飛びは発生することなく、第1および第2の付勢バネ96,95の各付勢力によって
図9(a)に示した通常状態に復帰する。しかし、外力がさらに増大して
図9(c)に示したように、両ラック歯94,95の間隔寸法L1xがネジ部83の外径寸法L3よりも大きくなると両ラック歯94,95がネジ部83との噛合から外れて歯飛びが生じることになる。この歯飛びにより、両ラック歯94,95とネジ部83との噛合面における増大した応力が開放され、当該応力によるラック歯94,95の損傷、ないしはネジ部83の損傷が未然に防止されることになる。したがって、歯飛びは発生するもののレンズ駆動装置7が破損されることは防止でき、レンズ筒4の破損、ないしレンズユニットLUの破損が防止できる。
【0040】
このように大きな外力が加えられたときに歯飛びを生じさせることによってラック歯94,95やネジ部83の破損を防止したときには、レンズ駆動装置7の損傷を未然に防止することができる反面、リードスクリュー82に対する両ラック歯94,95の位置、すなわち従動体9のレンズ光軸方向の位置が変化されるため、駆動モータ8の回転角度に対するレンズ保持枠6のレンズ光軸方向の位置が変化され、以降におけるレンズ保持枠6の駆動制御、ここでは焦点合わせ制御に問題が生じることになる。この問題に対しては、レンズ保持枠6ないしはレンズ筒4のレンズ光軸方向の位置を検出するレンズ位置検出手段、例えばフォトセンサをレンズユニットLUに配置しておき、レンズ保持枠6が当該レンズ位置検出手段によって検出されたときに焦点合わせ制御のリセットをかけることによって歯飛びの影響を解消し、以降における適切な焦点合わせが実行できる。通常ではカメラのメインスイッチをオフするとレンズ筒4がカメラボディCB側に収納されるので、この収納時にレンズ位置検出手段においてレンズ位置が検出され、リセットがかけられることになる。
【0041】
しかし、位置検出手段がレンズ保持枠を検出するまでの間は歯飛びによる影響が残されているので、この間における焦点合わせに際して問題が残ることもある。そこで、実施形態では歯飛びを検出する手段を配設し、歯飛びを検出したときには直ちにリセットをかけるように構成している。
図10は歯飛び検出手段の一例を示す分解斜視図であり、前記した第1ラック部材91と第2ラック部材92の各位置規制面915,924にそれぞれ接点返16,925を配設している。ここでは、
図11に一部を破断した正面図を示すように、各位置規制面915,924にそれぞれ凹部917,926を形成し、これらの凹部に導電部材からなる接点片916,925を埋設している。第1ラック部材91の第1接点片916は単純な板片で形成されているが、第2ラック部材92の第2接点片925は板厚方向に湾曲形成されており、板厚方向に弾性変形が可能な構成とされている。これら第1接点片916と第2接点片925は、
図9(a),(b)に示したように第1ラック歯94と第2ラック歯95の少なくとも一方がネジ部83に歯合する状態にあるときには互いに接触した状態を保って導通状態にある。
【0042】
一方、第1ラック歯94と第2ラック歯95の両方がネジ部83に噛合しない状態、すなわち
図9(c)に示したように第1ラック歯94と第2ラック歯95の間隔寸法L1xがねじ部83の外径寸法L3よりも大きくなって歯飛びが発生する状態となったときには、位置規制面915と924が離間され、第2接点片925の弾性変形量を超えて第1接点片916と第2接点片925は互いに離反して非導通状態となるように配設されている。これら第1および第2の接点片916,925にはそれぞれ図には表れないがリード線が接続されており、これらのリード線は図には表れない歯飛び検出回路に接続されている。この歯飛び検出回路は単に両リード線の接続状態を検出する構成であればよい。
【0043】
この歯飛び検出手段では、レンズ保持枠6に大きな外力が加えられて第1ラック歯94と第2ラック歯95がネジ部83の外径方向に移動され、歯飛びが生じる状態になると、第1ラック部材91と第2ラック部材92との挟み角が大きくなってそれぞれの位置規制面915,924が所定の寸法以上離間され、第1接点片916と第2接点片925は離反されて非導通の状態となる。歯飛び検出回路はこれら接点片916,925の非導通を検出することにより歯飛びが生じたことを検出し、歯飛びを検出したときには、直ちに前記したレンズ位置検出手段の場合と同様な焦点合わせ制御のリセットをかけることにより、以降は歯飛びの発生にかかわらず適正な焦点合わせが可能になる。
【0044】
この歯飛び検出手段は、ラック歯94,95がネジ部83に対して歯飛びが生じる状況にあることを検出すればよいので、レンズ保持枠6ないし従動体9に所定以上の外力や衝撃が加えられた状況を検出することによっても歯飛びを検出することが可能である。したがって、例えばラック部91または92に加速度センサーを一体的に設けておき、この加速度センサーでの検出出力が予め設定した所定出力以上になったときに歯飛びを検出するように構成してもよい。また、ラック部材に加速度センサーを配設するスペースが確保できないような場合には、レンズ筒4、すなわちモータ枠5やレンズ保持枠6の一部に配設するようにしてもよい。
【0045】
ここで、実施形態ではリードスクリュー82のネジ部83に噛合してリードスクリュー82の軸方向に直線移動される従動体9を、それぞれラック歯94,95を有する第1と第2のラック部材91,92で構成した例を示したが、本発明における従動部材は、リードスクリューを径方向に挟む方向から装填されてそれぞれがリードスクリューのネジ部に噛合する一対の部材であればよい。例えば、リードスクリュー82のネジ部83に螺合可能な環状のナット部材の円周一部で構成される円弧状ナットをそれぞれ一体に有する第1と第2の従動部材で構成してもよい。
【0046】
本発明においては、第1付勢バネ96は第1ラック部材91をリードスクリュー82に向けて付勢し、第2付勢バネ97は第2ラック部材92を第1ラック部材91に向けて付勢するように構成すればよいので、第1付勢バネ96と第2付勢バネ97の構成は実施形態の構成に限定されることはない。例えば、第1付勢バネ96を捩じりバネで構成し、レンズ保持枠6に対して第1ラック部材91をリードスクリュー82の径方向に付勢する構成としてもよい。また、第2付勢バネ97を引っ張りコイルバネで構成し、この引っ張りコイルバネを第1ラック部材91と第2ラック部材92との間に掛装して第2ラック部材92を第1ラック部材91に向けて付勢するようにしてもよい。この場合、第2付勢バネ97を第2ラック部材92とレンズ保持枠6の間に弾装して第1ラック部材91に向けて付勢することも可能である。
【0047】
本発明は、リードスクリューのネジ部に噛合している従動体をリードスクリューの軸転によってその軸心方向に直線移動させる構成の
レンズ駆動装置であれば、実施形態のレンズ駆動装
置に限定されるものではない。また、本発明のレンズ駆動装置はレンズ鏡筒に内装されたレンズをレンズ光軸方向に移動させる構成であれば、実施形態のような焦点合わせのためのレンズ駆動装置に限られるものではなく、レンズ焦点距離を変化させるズーミングのためのレンズ駆動装置として適用することもできる。さらに、本発明のレンズ鏡筒は実施形態のようにカメラボディに一体的に構成されるレンズユニットとして構成したものに限られるものではなく、レンズ交換式カメラの交換レンズのレンズ鏡筒として適用することができる。また、本発明のカメラは実施形態のような静止画を撮像するカメラに限られるものではなく、動画を撮像するカメラへの適用も可能である。