(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6881489
(24)【登録日】2021年5月10日
(45)【発行日】2021年6月2日
(54)【発明の名称】乗客用コンベアのマンホールカバー及びこれを具える乗客用コンベア
(51)【国際特許分類】
B66B 23/00 20060101AFI20210524BHJP
【FI】
B66B23/00 C
【請求項の数】4
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2019-43890(P2019-43890)
(22)【出願日】2019年3月11日
(65)【公開番号】特開2020-147386(P2020-147386A)
(43)【公開日】2020年9月17日
【審査請求日】2020年3月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001438
【氏名又は名称】特許業務法人 丸山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】米山 拓真
【審査官】
有賀 信
(56)【参考文献】
【文献】
特開2018−108868(JP,A)
【文献】
特開平08−073162(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 21/00─31/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗客用コンベアの機械室に連通するマンホールを塞ぐマンホールカバーであって、
前記マンホールの幅方向に架橋された複数のスラットを連結してなるシャッターと、
前記マンホールに設置され、前記シャッターが走行するレールであって、前記マンホールの開口縁に沿って水平な水平部と、前記機械室内に侵入した鉛直部を湾曲した屈曲部で繋いだレールと、
を具え、
前記シャッターは、手動開閉式であって、
前記レールの前記屈曲部の上部を開閉可能に塞ぐ蓋プレートを具え、前記シャッターを開閉する際に、前記蓋プレートを開放する、
乗客用コンベアのマンホールカバー。
【請求項2】
前記シャッターは、前記レールを転動するローラーを具え、手動で引っ張ることにより、自重により前記鉛直部に侵入する、
請求項1に記載の乗客用コンベアのマンホールカバー。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のマンホールカバーにより機械室に連通するマンホールを塞いだ、
乗客用コンベア。
【請求項4】
請求項3に記載の乗客コンベアのマンホールの開閉方法であって、
前記蓋プレートを開き、前記シャッターを開方向に引っ張ることで前記シャッターをスライドさせて前記マンホールを開放する工程、及び、
保守・点検作業の後、前記シャッターを引き上げ、前記蓋プレートを倒して前記マンホールを塞ぐ工程、
とを含んでいる、乗客用コンベアのマンホールの開閉方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エスカレーターや動く歩道などの乗客用コンベアの機械室へアクセスするためのマンホールカバーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
エレベーターや動く歩道の如き乗客用コンベアでは、乗降口の下方に機械室が配備されている。機械室への出入りのために、乗降口にはマンホールが形成されている。マンホールは、通常マンホールカバーで塞がれており、保守・点検作業の際にメンテナンス員がマンホールカバーを開放する。
【0003】
この種のマンホールカバーとして、特許文献1では、複数に分割されたマンホールプレートを開示している。そして、マンホールカバーを開放する際には、専用工具をマンホールプレートに捻じ込み、マンホールプレートを持ち上げて外すようにしている。マンホールカバーを2枚以上のマンホールプレートから構成した場合であっても、1枚のマンホールプレートは20kg以上の重量になることがある。
【0004】
特許文献2は、マンホールカバーをヒンジ接続された複数枚のマンホールプレートから構成し、マンホールプレートをマンホールの上で折り畳んで立て掛けるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−289960号公報
【特許文献2】特開2006−103872号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
エスカレーターの乗降口は、作業スペースとして十分な広さがないため、特許文献1のように重量物であるマンホールプレートを持ち上げて運搬することは困難である。また、乗降口が長い場合には、マンホールプレートの枚数も多くなり、取外しや取付けに相応の時間を要する。
【0007】
特許文献2では、マンホールプレートは持ち上げて運搬しなくてもよいが、踏み段を取り外して作業エリアに運搬し清掃等を行なう場合や、メンテナンス員がマンホール上を移動する際に立て掛けられたマンホールプレートが邪魔になることがある。
【0008】
本発明の目的は、持ち上げや立て掛けの必要のない乗客用コンベアのマンホールカバーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の乗客用コンベアのマンホールカバーは、
乗客用コンベアの機械室に連通するマンホールを塞ぐマンホールカバーであって、
前記マンホールの幅方向に架橋された複数のスラットを連結してなるシャッターと、
前記マンホールに設置され、前記シャッターが走行するレールであって、前記マンホールの開口縁に沿って水平な水平部と、前記機械室内に侵入した鉛直部を湾曲した屈曲部で繋いだレールと、
を具える。
【0010】
前記各スラットには、転動自在なローラーが配備されており、前記ローラーが前記レールを走行する構成とすることができる。
【0011】
前記レールの前記屈曲部の上部を開閉可能に塞ぐ蓋プレートを具えることが望ましい。
【0012】
前記レールの前記屈曲部は、前記マンホールの建物側に形成することが望ましい。
【0013】
また、本発明の乗客用コンベアは、上記マンホールカバーにより機械室に連通するマンホールを塞いでいる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の乗客用コンベアのマンホールカバーは、シャッター構造としてスライド可能にマンホールを開閉できるようにしている。従って、保守・点検作業においてマンホールを開放する際に、マンホールカバーを持ち上げて運搬したり立て掛ける必要がないから作業性を向上できる。また、レールを機械室内に侵入するよう屈曲させることで、マンホール解放時にシャッターは、機械室内に収容されるため、保守・点検作業の邪魔になることもない。さらに、シャッターをスライドさせるだけであるから、乗降口が長い場合でも作業工数は変わらず、作業性の向上を達成できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、エスカレーターの概略構成を示す図である。
【
図3】
図3は、マンホールを開放した機械室の断面図である。
【
図4】
図4は、シャッターを構成するスラットの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の説明では、乗客用コンベアとしてエスカレーター10を例に挙げるが、乗客用コンベアは、所謂動く歩道などであっても構わない。
【0017】
図1に示すように、本発明の一実施形態に係るエスカレーター10は、上階側階床20と下階側階床21の間で踏み段12を手摺り16と共に循環させて構成される。エスカレーター10の骨組みを形成するトラス11には、上下にスプロケット13,14を具え、これらスプロケット13,14間に踏み段12を循環させるステップチェーン15が掛けられている。
【0018】
エスカレーター10の乗降口22には、それぞれトラス11内に機械室30,31が設けられている。図示の実施形態では、上階側の機械室30に駆動スプロケット13を回転させる駆動モーター17やエスカレーター10の制御ユニット18などを配置している。機械室30,31には、メンテナンス員がアクセス可能なマンホール50が形成されており、通常時マンホール50は、マンホールカバー60で塞がれ、利用者の乗降口22の一部を構成する。なお、以下では、上階側階床20のマンホールカバー60について説明を行なうが、下階側階床21の機械室31にも同様の構成を適用できる。
【0019】
マンホール50は、
図2及び
図3に示すように、建物側の階床20とエスカレーター側のコムプレートを含むランディングプレート40との間に機械室30に連通するマンホール50が形成されている。そして、本発明では、当該マンホール50を開閉するマンホールカバー60をシャッター70により構成し、
図2に示すようにシャッター70を閉じることでマンホール50を閉塞させ、
図3に示すよう保守・点検の際にシャッター70を機械室30内に格納することでマンホール50を開放するようにしている。
【0020】
より詳細には、マンホールカバー60は、マンホール50を閉じるシャッター70とシャッター70を案内するレール80、そして、マンホール50の一部を塞ぐ開閉可能な蓋プレート90を含んでいる。
【0021】
シャッター70は、マンホール50の幅方向に長く形成され、マンホール50を架橋する複数のスラット71を連結し、屈曲可能に連結して構成することができる。シャッター70は、スラット71を連結した長さが、マンホール50を十分塞ぐことのできる長さに形成する。
【0022】
各スラット71は、強度を具備しつつ軽量化を図るため、
図4(a)に示すように、金属板72をコ字状に屈曲させて下面に補強プレート73を配置した構成、
図4(b)に示すように、金属板72の先端をさらに内向きに屈曲させて強度をもたせた構成とすることができる。本実施形態では、スラット71の下面の補強プレート73に転動自在なローラー74を配置している。
【0023】
隣り合うスラット71,71どうしは、チェーンやインターロッキング、オーバーラッピングにより連結することができる。もちろん、連結方法はこれに限るものではない。
【0024】
先端のスラット71、図示では、エスカレーター側の先端のスラット71aには、メンテナンス員がシャッター70を開閉する際に掴む取手などの把持部75を設けて置くことが望ましい。
【0025】
また、シャッター70を閉じた状態で、シャッター70が不用意に開いてしまうことがないように、シャッター70の閉じ状態を維持するロック機構を具えることが望ましい。
【0026】
シャッター70が走行するレール80は、
図2及び
図3に示すように、ランディングプレート40の近傍から機械室30内をマンホール50の開口縁に沿って水平に延びる水平部81と、略鉛直方向に延びる鉛直部82と、水平部81及び鉛直部82を連結する湾曲した屈曲部83を具える形状とすることができる。鉛直部82は、機械室30の建物側に形成することが望ましい。これにより、シャッター70を格納したときに、シャッター70は隅に位置するから、保守・点検作業の邪魔になることはない。
【0027】
また、レール80は、鉛直部82からシャッター70のローラー74が離れてしまわないように、鉛直部82と平行に脱線防止ガード84を設けている。
【0028】
蓋プレート90は、シャッター70を閉じた状態で、シャッター70によっては完全に塞がれない隙間51を塞ぐプレートである。蓋プレート90は、マンホール50の端、本実施形態では建物側の端からレール80の屈曲部83を超えた位置まで塞ぐことのできる長さに形成することができる。蓋プレート90は、シャッター70を格納作業、また、シャッター70を引き出す作業を容易に行なうことができるように、ヒンジ91によって階床20或いはトラス11に設置することが望ましい。また、蓋プレート90を閉じた状態で蓋プレート90が不用意に開くことを防止するロック機構を具えることが望ましい。
【0029】
上記構成のマンホールカバー60は、
図2に示すように、シャッター70を引き上げてレール80の水平部81に載せた状態でマンホール50を塞いでいる。蓋プレート90は、
図2に示すように、先端がシャッター70の上面に当たるように閉じておく。この状態で、シャッター70及び蓋プレート90は階床20に連続するエスカレーター10の乗降口22の一部を構成し、利用者は、これらの上を歩行等可能である。
【0030】
エスカレーター10の保守・点検作業を行なうには、
図3に示すように、まず蓋プレート90を開く。そして、先端のスラット71aの把持部75を掴んで、シャッター70を建物側に引っ張ればよい。これにより、シャッター70は、ローラー74がレール80上を転動し、屈曲部83を超えて
図3に示すように鉛直部82と脱線防止ガード84の間に移動して格納され、マンホール50を開放する。なお、シャッター70は、ある程度鉛直部82に侵入すると、自重によって鉛直部82に侵入するから、最後までシャッター70を引っ張り続けなくてもよい。
【0031】
上記により開放したシャッター70は自重により鉛直部82に留まり、水平部81に戻ることはないから、シャッター70をロック機構等により押さえておく必要はない。そして、この状態でメンテナンス員は、マンホール50から機械室30にアクセスすることができ、駆動モーター17や制御ユニット18などの保守・点検を行なうことができる。
【0032】
保守・点検作業が完了すると、
図2に示すように、先端のスラット71aの把持部75を掴んでシャッター70を引き上げ、蓋プレート90を倒してマンホール50を完全に塞げばよい。なお、シャッター70が重い場合には、把持部75のロープなどを掛けて踏み段12などと連結し、駆動モーター17の駆動力により引き上げるようにしても構わない。
【0033】
本発明のマンホールカバー60によれば、シャッター70をスライドさせるだけでマンホール50の開閉を行なうことができるから、マンホールプレートを持ち上げて運搬したり、立て掛ける必要はなく、作業性を可及的に向上できる。また、乗降口22が長い場合でも作業工数は変わらないため作業性もよい。さらに、シャッター70は、開放状態でマンホールプレートのようにマンホール50から飛び出ることはないから、保守・点検作業の邪魔になることもない。
【0034】
上記説明は、本発明を説明するためのものであって、特許請求の範囲に記載の発明を限定し、或いは範囲を限縮するように解すべきではない。また、本発明の各部構成は、上記実施例に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能であることは勿論である。
【0035】
たとえば、シャッター70は、スラット71の下面に設けたローラー74によりレール80上を走行可能としているが、ローラー74をスラット71の幅方向両端に配置してもよい。また、ローラー74に代えてスラット71は、レール80と当接する部位にフッ素樹脂などの低摩擦樹脂のブロックやシューを配置するようにしてもよい。
【0036】
また、上記実施形態では、構成を簡素化するために、人力でシャッター70の開閉を行なうようにしているが、モーター等によりシャッター70を作動させることも勿論可能である。
【符号の説明】
【0037】
10 エスカレーター
30 機械室
50 マンホール
70 シャッター
71 スラット
80 レール
90 蓋プレート