特許第6881503号(P6881503)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6881503
(24)【登録日】2021年5月10日
(45)【発行日】2021年6月2日
(54)【発明の名称】空調システム
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/64 20180101AFI20210524BHJP
   F24F 11/46 20180101ALI20210524BHJP
   F24F 11/54 20180101ALI20210524BHJP
   F24F 11/32 20180101ALI20210524BHJP
   F24F 11/526 20180101ALI20210524BHJP
   F24F 11/89 20180101ALI20210524BHJP
   F24F 3/14 20060101ALI20210524BHJP
   F24F 6/00 20060101ALI20210524BHJP
   F24F 140/00 20180101ALN20210524BHJP
   F24F 140/60 20180101ALN20210524BHJP
【FI】
   F24F11/64
   F24F11/46
   F24F11/54
   F24F11/32
   F24F11/526
   F24F11/89
   F24F3/14
   F24F6/00 H
   F24F140:00
   F24F140:60
【請求項の数】6
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2019-102620(P2019-102620)
(22)【出願日】2019年5月31日
(65)【公開番号】特開2020-197322(P2020-197322A)
(43)【公開日】2020年12月10日
【審査請求日】2020年5月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】中山 和博
(72)【発明者】
【氏名】岡本 敦
【審査官】 奈須 リサ
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−196872(JP,A)
【文献】 特開2001−108277(JP,A)
【文献】 特開2007−093138(JP,A)
【文献】 特開2016−109341(JP,A)
【文献】 特開2005−045866(JP,A)
【文献】 特開2004−044979(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/00−13/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
室外ユニット(10)、及び、複数の室内ユニット(30)を有する冷媒サイクル(RC)と、
複数の前記室内ユニットの少なくとも一部への電源が遮断された場合に、電源が遮断された前記室内ユニットに補助電源の供給を行う給電ユニット(40)と、
コントローラ(60)と、
を備え、
前記コントローラは、複数の前記室内ユニット及び前記給電ユニットの少なくとも一部に所定の機器が接続されたときに、前記機器の状態の報知、及び、前記機器の機能の少なくとも一部の非アクティブ化のうち少なくとも前記非アクティブ化を行う、
空調システム(100)。
【請求項2】
前記コントローラは、消費電力が所定の閾値を超える前記機器が接続されたときに、前記報知及び前記非アクティブ化のうち少なくとも前記非アクティブ化を行う、
請求項1に記載の空調システム。
【請求項3】
前記コントローラは、音、光及び表示の少なくとも一部による警報を発することで前記報知を行う、
請求項1又は2に記載の空調システム。
【請求項4】
前記機器は、前記室内ユニットに接続される加湿器(37)、及び、前記加湿器と連動するドレンポンプ(35)を少なくとも含み、
前記コントローラは、前記機器が接続されたときに、前記加湿器と前記ドレンポンプとの連動を停止させることで前記非アクティブ化を行う、
請求項1から3のいずれか1項に記載の空調システム。
【請求項5】
前記コントローラは、前記機器が接続されている状態で前記室内ユニットの運転が停止した場合に、前記室外ユニットの運転を停止させない、
請求項1から4のいずれか1項に記載の空調システム。
【請求項6】
前記コントローラは、前記冷媒サイクルに所定の異常が検知された場合に、前記室内ユニット及び前記室外ユニットの運転を停止させる、
請求項1から5のいずれか1項に記載の空調システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
空調システム
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1(特開2013−40698号公報)に開示されるように、一部の室内ユニットの電源が遮断されても空調運転を継続することができる空調システムが知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一部の室内ユニットの電源が遮断され、電源が遮断された室内ユニットに給電ユニットから電力が供給される際に、給電ユニットでは対応できない消費電力の機器が室内ユニットに接続されていると、当該機器への電力供給が不十分となり空調システムに不具合が生じる課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1観点の空調システムは、冷媒サイクルと、給電ユニットと、コントローラとを備える。冷媒サイクルは、室外ユニット、及び、複数の室内ユニットを有する。給電ユニットは、複数の室内ユニットの少なくとも一部への電源が遮断された場合に、電源が遮断された室内ユニットに補助電源の供給を行う。コントローラは、複数の室内ユニット及び給電ユニットの少なくとも一部に所定の機器が接続されたときに、機器の状態の報知、及び、機器の機能の少なくとも一部の非アクティブ化のうち少なくとも非アクティブ化を行う。
【0005】
第1観点の空調システムは、給電ユニットでは対応できない消費電力の機器を予め検知することができる。
【0006】
第2観点の空調システムは、第1観点の空調システムであって、コントローラは、消費電力が所定の閾値を超える機器が接続されたときに、報知及び非アクティブ化のうち少なくとも非アクティブ化を行う。
【0007】
第2観点の空調システムは、給電ユニットでは対応できない消費電力の機器を予め検知することができる。
【0008】
第3観点の空調システムは、第1観点又は第2観点の空調システムであって、コントローラは、音、光及び表示の少なくとも一部による警報を発することで報知を行う。
【0009】
第3観点の空調システムは、給電ユニットでは対応できない消費電力の機器の存在を施工者等が予め把握することができる。
【0010】
第4観点の空調システムは、第1乃至第3観点のいずれか1つの空調システムであって、機器は、室内ユニットに接続される加湿器、及び、加湿器と連動するドレンポンプを少なくとも含む。コントローラは、機器が接続されたときに、加湿器とドレンポンプとの連動を停止させることで非アクティブ化を行う。
【0011】
第4観点の空調システムは、給電ユニットでは対応できない消費電力の機器を予め検知することができる。
【0012】
第5観点の空調システムは、第1乃至第4観点のいずれか1つの空調システムであって、コントローラは、機器が接続されている状態で室内ユニットの運転が停止した場合に、室外ユニットの運転を停止させない。
【0013】
第5観点の空調システムは、一部の室内ユニットの運転が停止した場合でも、他の室内ユニットの運転を継続することができる。
【0014】
第6観点の空調システムは、第1乃至第5観点のいずれか1つの空調システムであって、コントローラは、冷媒サイクルに所定の異常が検知された場合に、室内ユニット及び室外ユニットの運転を停止させる。
【0015】
第6観点の空調システムは、冷媒サイクルに異常が発生した場合でも、安全性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】第1実施形態に係る空調システム100の概略構成図である。
図2】第1実施形態における報知及び非アクティブ化の処理のフローチャートである。
図3】空調システム100全体の運転の制御フローを表す図である。
図4】第2実施形態における報知及び非アクティブ化の処理のフローチャートである。
図5】変形例Fに係る空調システム100の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
―第1実施形態―
第1実施形態に係る空調システム100について、図面を参照しながら説明する。
【0018】
(1)空調システム100の構成
図1は、本実施形態の空調システム100の概略構成図である。空調システム100は、家屋、ビル、工場又は公共施設等の建物内に含まれる対象空間において冷房及び暖房等の空気調和を実現するシステムである。
【0019】
空調システム100は、冷媒が循環する冷媒回路RCを含む。空調システム100は、冷媒回路RCにおいて冷媒を循環させて蒸気圧縮方式の冷凍サイクルを行うことにより、対象空間の冷房又は暖房を行う。冷媒回路RCには、R410A、R32又はアンモニア等の冷媒が封入されている。
【0020】
空調システム100は、主として、熱源ユニットとしての1台の室外ユニット10と、利用ユニットとしての複数台(図1では3台)の室内ユニット30(30a,30b,30c)と、1台の給電ユニット40と、複数台(図1では3台)のリモコン50と、コントローラ60とを備えている。空調システム100の冷媒回路RCは、室外ユニット10と各室内ユニット30とがガス連絡配管GP及び液連絡配管LPによって接続されることで構成されている。言い換えると、空調システム100は、同一冷媒系統に複数の室内ユニット30が接続された、マルチタイプ(マルチテナント)の空調システムである。
【0021】
(1−1)室外ユニット10
室外ユニット10は、室外(対象空間外)に設置される室外機である。室外ユニット10は、主として、複数の冷媒配管(第1配管P1〜第5配管P5)と、圧縮機11と、四路切換弁12と、室外熱交換器13と、室外ファン15と、室外ユニット制御部17とを有している。
【0022】
第1配管P1は、ガス連絡配管GPと四路切換弁12とを接続する冷媒配管である。第2配管P2は、四路切換弁12と圧縮機11の吸入ポート(図示省略)とを接続する吸入配管である。第3配管P3は、圧縮機11の吐出ポート(図示省略)と四路切換弁12とを接続する吐出配管である。第4配管P4は、四路切換弁12と室外熱交換器13のガス側とを接続する冷媒配管である。第5配管P5は、室外熱交換器13の液側と液連絡配管LPとを接続する冷媒配管である。
【0023】
圧縮機11は、低圧のガス冷媒を吸入し、圧縮して吐出する機構である。圧縮機11は、圧縮機モータ11aが内蔵された密閉式の構造を有している。圧縮機11では、圧縮機ケーシング(図示省略)内に収容されたロータリ式又はスクロール式等の圧縮要素(図示省略)が、圧縮機モータ11aを駆動源として駆動される。圧縮機モータ11aは、運転中、インバータ制御され、状況に応じて回転数が調整される。圧縮機11は、駆動時に、吸入ポートから冷媒を吸入し、圧縮し、吐出ポートから吐出する。
【0024】
四路切換弁12は、冷媒回路RCにおいて冷媒の流れる方向を切り換えるための弁である。四路切換弁12は、第1配管P1、第2配管P2、第3配管P3及び第4配管P4と個別に接続されている。四路切換弁12は、冷房運転時には、第1配管P1と第2配管P2とが接続されるとともに、第3配管P3と第4配管P4とが接続されるように、流路を切り換える(図1の四路切換弁12の実線を参照)。四路切換弁12は、暖房運転時には、第1配管P1と第3配管P3とが接続されるとともに、第2配管P2と第4配管P4とが接続されるように、流路を切り換える(図1の四路切換弁12の破線を参照)。
【0025】
室外熱交換器13は、冷房運転時には冷媒の凝縮器又は放熱器として機能し、暖房運転時には冷媒の蒸発器として機能する熱交換器である。室外熱交換器13は、冷媒が流れる伝熱管(図示省略)と、伝熱面積を増大する伝熱フィン(図示省略)とを含む。室外熱交換器13は、運転時において、伝熱管内の冷媒と、室外ファン15によって生成される空気流とが熱交換可能なように配置されている。
【0026】
室外ファン15は、例えばプロペラファンである。室外ファン15は、室外ファンモータ15aの出力軸に接続されており、室外ファンモータ15aに連動して駆動する。室外ファン15は、駆動すると、外部から室外ユニット10内に流入し室外熱交換器13を通過してから室外ユニット10外へ流出する空気流を生成する。
【0027】
室外ユニット制御部17は、CPU及びメモリ等から構成されるマイクロコンピュータである。室外ユニット制御部17は、室外ユニット10の各アクチュエータの動作を制御する。室外ユニット制御部17は、各室内ユニット30の室内ユニット制御部34(後述)と、通信線cb1,cb2及び給電ユニット40を介して接続されており、相互に信号の送受信を行う。
【0028】
(1−2)室内ユニット30
室内ユニット30(30a,30b,30c)は、対象空間に設置される室内機である。室内ユニット30は、室外ユニット10とともに冷媒回路RCを構成している。室内ユニット30は、主として、室内熱交換器31と、膨張弁32(32a,32b,32c)と、室内ファン33と、室内ユニット制御部34とを有している。
【0029】
室内熱交換器31は、冷房運転時には冷媒の蒸発器として機能し、暖房運転時には冷媒の凝縮器又は放熱器として機能する熱交換器である。室内熱交換器31は、例えばクロスフィンチューブ熱交換器である。室内熱交換器31の液側は、膨張弁32(32a,32b,32c)まで延びる冷媒配管に接続されている。室内熱交換器31のガス側は、ガス連絡配管GPまで延びる冷媒配管に接続されている。室内熱交換器31は、運転時において、伝熱管(図示省略)内の冷媒と、室内ファン33によって生成される空気流とが熱交換可能なように配置されている。
【0030】
膨張弁32(32a,32b,32c)は、開度調整が可能な電動弁である。膨張弁32は、運転時において、状況に応じて開度が適宜調整され、開度に応じて冷媒を減圧する。各室内ユニット30は、1つの膨張弁32を有している。具体的には、室内ユニット30aは、膨張弁32aを有し、室内ユニット30bは、膨張弁32bを有し、室内ユニット30cは、膨張弁32cを有している。膨張弁32a,32b,32cは、それぞれ、対応する室内ユニット30a,30b,30cの運転状況に応じて開度が適宜調整される。
【0031】
膨張弁32は、室内熱交換器31の液側まで延びる冷媒配管、及び、液連絡配管LPまで延びる冷媒配管に接続されている。液連絡配管LPは、室外ユニット10の第5配管P5と、各膨張弁32とを接続する。液連絡配管LPの一端は、第5配管P5と接続され、液連絡配管LPの他端は、膨張弁32の数に応じて分岐して各膨張弁32と個別に接続されている。
【0032】
室内ファン33は、例えばターボファン、シロッコファン、クロスフローファン又はプロペラファン等の送風機である。室内ファン33は、室内ファンモータ33aの出力軸に接続されている。室内ファン33は、室内ファンモータ33aに連動して駆動する。室内ファン33は、駆動すると、室内ユニット30内に吸い込まれて室内熱交換器31を通過した後に対象空間へと吹き出される空気流を生成する。
【0033】
室内ユニット制御部34は、CPU及びメモリ等から構成されるマイクロコンピュータである。室内ユニット制御部34は、室内ユニット30の各アクチュエータの動作を制御する。各室内ユニット制御部34は、室外ユニット制御部17と、通信線cb1,cb2及び給電ユニット40を介して接続されており、相互に信号の送受信を行う。室内ユニット制御部34は、リモコン50と無線通信を行う。
【0034】
室内ユニット30の室内ユニット制御部34は、当該室内ユニット30の膨張弁32と通信線(図示省略)を介して接続されており、当該膨張弁32の開度を調整することができる。
【0035】
(1−3)給電ユニット40
給電ユニット40は、室外ユニット制御部17及び各室内ユニット制御部34と、通信線cb1,cb2を介して接続されている。具体的には、通信線cb1は、給電ユニット40と室外ユニット制御部17とを接続しており、通信線cb2は、室内ユニット制御部34の数に応じて分岐し、給電ユニット40と各室内ユニット制御部34とを接続している。通信線cb1は、給電ユニット40を介して通信線cb2に接続されている。
【0036】
各室内ユニット30は、建物に設置されている外部の商用電源(図示省略)に接続されている。室内ユニット30は、正常運転時には商用電源から供給された電力によって稼動している。給電ユニット40は、複数の室内ユニット30の少なくとも一部への商用電源が遮断された場合、言い換えると、少なくとも1つの室内ユニット30への商用電源からの電力供給が停止した場合に、商用電源(以下、単に「電源」と呼ぶ。)が遮断された室内ユニット30に電力を供給するための補助電源である。通信線cb2は、室外ユニット制御部17と各室内ユニット制御部34との間で送受信される信号の他に、給電ユニット40から各室内ユニット30に供給される電力を伝送する。
【0037】
(1−4)リモコン50
リモコン50は、CPU及びメモリ等から構成されるマイクロコンピュータを含むリモコン制御部(図示省略)と、空調システム100へ各種コマンドを入力するための入力キーを含むリモコン入力部(図示省略)とを有するデバイスである。
【0038】
空調システム100は、室内ユニット30と同数のリモコン50を有している。リモコン50は、いずれかの室内ユニット30と一対一で対応づけられている。リモコン50は、対応する室内ユニット30の室内ユニット制御部34と、赤外線及び電波等を用いて無線通信を行う。リモコン50は、ユーザ及び管理者等によってリモコン入力部へコマンドが入力されると、入力されたコマンドに応じて、所定の信号を室内ユニット制御部34に送信する。
【0039】
(1−5)コントローラ60
空調システム100では、室外ユニット10の室外ユニット制御部17と、各室内ユニット30(30a,30b,30c)の室内ユニット制御部34とが通信線cb1,cb2及び給電ユニット40を介して接続されることで、コントローラ60が構成されている。コントローラ60は、空調システム100の動作を制御する。
【0040】
(2)空調システム100の運転
いずれかのリモコン50に運転開始コマンドが入力され、コントローラ60によって冷房運転又は暖房運転に係る制御が実行されると、四路切換弁12が所定の状態に切り換えられ、圧縮機11及び室外ファン15が起動する。その後、運転開始コマンドが入力されたリモコン50に対応する室内ユニット30が運転状態(室内ファン33が稼動している状態)となる。
【0041】
(2−1)冷房運転
冷房運転時には、四路切換弁12が冷房サイクル状態(図1の四路切換弁12の実線で示された状態)に切り換えられる。この状態で各アクチュエータが起動すると、冷媒が、第2配管P2を介して圧縮機11に吸入され、圧縮される。圧縮機11から吐出された冷媒は、第3配管P3、四路切換弁12、及び第4配管P4を通過して室外熱交換器13に流入する。
【0042】
室外熱交換器13に流入した冷媒は、室外ファン15が生成する空気流と熱交換して凝縮する。室外熱交換器13から流出した冷媒は、第5配管P5及び液連絡配管LPを通過して、各室内ユニット30に流入する。
【0043】
室内ユニット30に流入した冷媒は、膨張弁32に流入する。膨張弁32に流入した冷媒は、膨張弁32の開度に応じて減圧される。膨張弁32から流出した冷媒は、室内熱交換器31に流入し、室内ファン33によって生成される空気流と熱交換して蒸発する。室内熱交換器31から流出した冷媒は、ガス連絡配管GPを通過して室外ユニット10に流入する。
【0044】
室外ユニット10に流入した冷媒は、第1配管P1、四路切換弁12、及び第2配管P2を通過して、再び圧縮機11に吸入されて圧縮される。
【0045】
(2−2)暖房運転
暖房運転時には、四路切換弁12が暖房サイクル状態(図1の四路切換弁12の破線で示された状態)に切り換えられる。この状態で各アクチュエータが起動すると、冷媒が、第2配管P2を介して圧縮機11に吸入され、圧縮される。圧縮機11から吐出された冷媒は、第3配管P3、四路切換弁12、第1配管P1及びガス連絡配管GPを通過して各室内ユニット30に流入する。
【0046】
室内ユニット30に流入した冷媒は、室内熱交換器31に流入し、室内ファン33が生成する空気流と熱交換して凝縮する。室内熱交換器31から流出した冷媒は、膨張弁32に流入し、膨張弁32の開度に応じて減圧される。膨張弁32から流出した冷媒は、液連絡配管LPを通過して室外ユニット10に流入する。
【0047】
室外ユニット10に流入した冷媒は、第5配管P5を通過して室外熱交換器13に流入する。室外熱交換器13に流入した冷媒は、室外ファン15によって生成される空気流と熱交換して蒸発する。室外熱交換器13から流出した冷媒は、第4配管P4、四路切換弁12、及び第2配管P2を通過して、再び圧縮機11に吸入されて圧縮される。
【0048】
(3)コントローラ60の詳細
次に、複数の室内ユニット30及び給電ユニット40の少なくとも一部に所定の機器(以下、「対象機器」と呼ぶ。)が接続された時、又は、接続されている時(以下、「機器接続時」と呼ぶ。)における、コントローラ60による空調システム100の動作の制御について説明する。
【0049】
本実施形態では、対象機器は、各室内ユニット30に取り付けられている加湿器37及びドレンポンプ35を少なくとも含む。各室内ユニット30において、加湿器37及びドレンポンプ35は、室内ユニット制御部34に接続されている。加湿器37及びドレンポンプ35は、室内ユニット制御部34を介して給電ユニット40に接続されている。室内ユニット制御部34は、加湿器37及びドレンポンプ35が室内ユニット30及び給電ユニット40に接続されたこと、又は、接続されていることを常時認識することができる。
【0050】
加湿器37は、自然排水及び強制排水の機能を有する。自然排水とは、運転中の加湿器37から発生した水を、ドレンパン及び外部の機器を用いないで室内ユニット30から排出する機能である。強制排水とは、運転中の加湿器37から発生した水を、ドレンポンプ35等の機器を用いて室内ユニット30から排出する機能である。本実施形態では、加湿器37の強制排水は、加湿器37から発生した水をドレンパンに貯留し、ドレンパンに貯留された水をドレンポンプ35で排出することにより行われる。ドレンポンプ35は、冷房運転時においては、室内熱交換器31で発生してドレンパンに貯留されたドレン水を排出するために用いられる。室内ユニット30の室内ユニット制御部34は、加湿器37が現在行っている排水モードが、自然排水であるのか強制排水であるのかを認識しない。
【0051】
暖房運転時において、加湿器37が自然排水を行っている場合、加湿器37から発生した水はドレンパンに貯留されないので、ドレンポンプ35の常時運転は不要である。一方、暖房運転時において、加湿器37が強制排水を行っている場合、加湿器37から発生した水はドレンパンに貯留されるので、ドレンポンプ35の常時運転が必要となる。言い換えると、加湿器37が強制排水を行っている場合、少なくとも加湿器37の運転中は、ドレンポンプ35を運転させる必要がある。そのため、ドレンポンプ35は、設定に応じて加湿器37と連動することができる機能を有する。
【0052】
デフォルトでは、加湿器37は自然排水を行う。加湿器37の排水モードを自然排水から強制排水に切り替える場合、空調システム100の設置を担当する施工者等が現地において排水モードの設定を変更し、必要な工事等を行う必要がある。その際、施工者は、ドレンポンプ35と加湿器37とを連動させるために必要な設定を行う。加湿器37の排水モードを強制排水から自然排水に切り替える場合も、施工者は、現地において必要な設定及び工事等を行う必要がある。
【0053】
コントローラ60は、機器接続時において、対象機器の状態の報知、及び、対象機器の機能の少なくとも一部の非アクティブ化の少なくとも一部を行う。
【0054】
対象機器の状態の報知(以下、「報知」と呼ぶ。)とは、例えば、複数の室内ユニット30及び給電ユニット40の少なくとも一部に対象機器が接続されたこと、又は、接続されていることの通知、及び、当該対象機器に関する情報の提示である。対象機器に関する情報とは、例えば、対象機器の種類及び台数である。報知は、例えば、音、光及び表示の少なくとも一部による警報を発することで行われてもよい。「表示」は、例えば、リモコン50、及び、空調システム100の管理サーバの画面等にエラーコード等の情報を表示させることで行われてもよい。
【0055】
対象機器の機能の少なくとも一部の非アクティブ化(以下、「非アクティブ化」と呼ぶ。)とは、例えば、給電ユニット40から対象機器への電力の供給の停止又は制限、及び、対象機器の機能の制限である。非アクティブ化は、複数の室内ユニット30及び給電ユニット40の少なくとも一部に対象機器が接続された状態で行われる。ドレンポンプ35と加湿器37とを連動させるための設定が行われている場合、非アクティブ化は、ドレンポンプ35と加湿器37との連動を停止することを含む。
【0056】
コントローラ60は、例えば、消費電力が所定の閾値を超える対象機器が接続されたときに、報知及び非アクティブ化の少なくとも一部を行う。所定の閾値は、例えば、複数の室内ユニット30の少なくとも一部への電源が遮断された時(以下、「電源遮断時」と呼ぶ。)において、給電ユニット40が対象機器に供給することができる電力に基づいて決定される。給電ユニット40は、電源遮断時において、電源が遮断された室内ユニット30に電力を供給する。コントローラ60は、電源遮断時に給電ユニット40では対応できない消費電力の対象機器を予め検知して、報知及び非アクティブ化の少なくとも一部を行う。
【0057】
本実施形態では、コントローラ60は、試運転時及び機器接続時等において、報知及び非アクティブ化の少なくとも一部を行う。「試運転時」とは、例えば、空調システム100の施工者が施工後の初回起動時にチェック運転を行う時である。「機器接続時」は、上述したように、対象機器が接続されている時を含む。そのため、コントローラ60は、対象機器の状態を常時監視しながら、報知及び非アクティブ化の少なくとも一部を行うことができる。
【0058】
以下において、給電ユニット40は、電源遮断時において、ドレンポンプ35と加湿器37との両方に必要な電力を供給できないものとする。図2は、コントローラ60による報知及び非アクティブ化の処理のフローチャートである。図2に示される各ステップについて説明する。
【0059】
ステップS11では、ドレンポンプ35と加湿器37とを連動させる設定(以下、「連動設定」と呼ぶ。)がされているか否かが判定される。連動設定がされている場合、ステップS12において、室内ユニット30の電源が遮断されているか否かが判定される。連動設定がされていない場合、報知及び非アクティブ化の処理は行われない。
【0060】
ステップS12において室内ユニット30の電源が遮断されていないと判定された場合(電源から電力が供給されている場合)、ステップS13において、所定の警報の報知を行う。所定の警報は、例えば、連動設定がされていること、及び、ドレンポンプ35及び加湿器37が接続されていることに関する。この場合、ドレンポンプ35及び加湿器37は、給電ユニット40から電力の供給を受けていないため、室内ユニット30の電源が遮断されていない限り、ドレンポンプ35と加湿器37との連動に問題は発生しない。そのため、ステップS14において、コントローラ60は、空調システム100(室外ユニット10及び室内ユニット30)の運転を継続させる。
【0061】
ステップS12において室内ユニット30の電源が遮断されていると判定された場合、ステップS15において、所定の異常の報知を行う。所定の異常は、例えば、給電ユニット40では対応できない消費電力の対象機器(ドレンポンプ35及び加湿器37)が接続されていることに関する。この場合、ステップS16において、コントローラ60は、圧縮機11の駆動を停止させて、空調システム100の運転を停止させる。
【0062】
ステップS17では、コントローラ60は、ドレンポンプ35及び加湿器37の少なくとも一方の非アクティブ化を行う。具体的には、コントローラ60は、ドレンポンプ35と加湿器37との連動を停止させて、加湿器37の排水モードを強制排水から自然排水に切り替える。この場合、コントローラ60は、給電ユニット40からドレンポンプ35及び加湿器37の少なくとも一方への電力の供給を停止して、ドレンポンプ35と加湿器37との連動を強制的に停止してもよい。
【0063】
また、ステップS17において、コントローラ60は、非アクティブ化を行う代わりに、ドレンポンプ35と加湿器37との連動を禁止する旨の指示を施工者に通知してもよい。例えば、コントローラ60は、加湿器37の排水モードを強制排水から自然排水に切り替える作業、ドレンポンプ35及び加湿器37の少なくとも一方を給電ユニット40以外の電源に接続しなおす作業、及び、空調システム100から加湿器37を取り外す作業等を施工者に指示してもよい。この場合、コントローラ60は、指示した作業を施工者が実施しない場合、例えば、給電ユニット40からドレンポンプ35及び加湿器37の少なくとも一方への電力の供給を強制的に停止したり、空調システム100の運転を強制的に停止したりしてもよい。
【0064】
コントローラ60による非アクティブ化の実施、又は、施工者による作業の結果、対象機器の消費電力は、給電ユニット40で対応できる範囲内となる。これにより、ステップS18では、ステップS13又はステップS15で行われた報知が解除される。
【0065】
(4)効果
本実施形態の空調システム100では、1台の室外ユニット10と、複数台の室内ユニット30とが、給電ユニット40を介して同一冷媒系統内で接続されている。このようなマルチタイプ(マルチテナント)の空調システムでは、複数の室内ユニット30の一部の電源が遮断された場合に、電源が遮断されていない他の室内ユニット30の運転に極力影響が及ばないようにシステム全体の運転を維持することが重要である。
【0066】
図3は、空調システム100全体の運転の制御フローを表す。図3に示されるように、空調システム100全体は、通常制御モード、又は、マルチテナント制御モード(以下、「M/T制御モード」と呼ぶ。)で運転する。
【0067】
通常制御とは、1台の室外ユニットと1台の室内ユニットとからなる従来のシステムでも採用されている、通常時における運転制御である。通常制御モードでは、空調システム100の全ての室内ユニット30の電源は遮断されておらず、外部の電源から電力の供給を受けている。通常制御モードでは、空調システム100は、リモコン50の操作等によって、空調運転を開始して停止状態から定常状態(通常時における運転制御が行われている状態)に移行したり、空調運転を停止して定常状態から停止状態に移行したりする。定常状態から停止状態に移行する際には、必要に応じて、油戻し運転及びデフロスト運転等が行われる。
【0068】
通常制御モードで運転している空調システム100は、室内ユニット30の少なくとも一部の電源が遮断された場合、M/T制御モードに移行する(図3の実線の矢印を参照)。M/T制御モードでは、少なくとも1台の室内ユニット30は、電源が遮断されて運転停止状態となっている。M/T制御モードでは、電源が遮断された室内ユニット30は、給電ユニット40から電力の供給を受ける。
【0069】
コントローラ60は、M/T制御モードに対応可能である室内ユニット30(以下、「M/T対応室内ユニット」と呼ぶ。)と、M/T制御モードに対応可能ではない室内ユニット30(以下、「M/T非対応室内ユニット」と呼ぶ。)とを区別する。M/T対応室内ユニット30は、電源遮断時において給電ユニット40から供給される電力のみで運転可能である。M/T非対応室内ユニット30は、給電ユニット40に接続されていないか、又は、電源遮断時において給電ユニット40から供給される電力のみで運転可能ではない。
【0070】
本実施形態では、コントローラ60は、連動設定がされている室内ユニット30を、M/T非対応室内ユニットとして扱う。コントローラ60は、図2のステップS17の非アクティブ化の実行、又は、施工者による所定の作業の実施によって、室内ユニット30を、M/T対応室内ユニットとして扱う。これにより、コントローラ60は、電源遮断時において、通常制御モードからM/T制御モードに移行することができる。
【0071】
以上より、空調システム100は、給電ユニット40では対応できない消費電力の対象機器を予め検知することができる。その際、空調システム100は、検知された対象機器の非アクティブ化を行うことで、電源遮断時においても、室外ユニット10及び室内ユニット30の運転を正常に継続させることができる。
【0072】
―第2実施形態―
第2実施形態に係る空調システム100について、第1実施形態に係る空調システム100との差異を中心に説明する。
【0073】
本実施形態では、対象機器は、室内ユニット30で発生したドレン水を排出するためのドレンアップキット及びドレンポンプキットを含む。ドレンアップキットは、ドレン水を所定の高さ位置まで持ち上げた後、鉛直方向下方への勾配を設けた配管内をドレン水の自重により流すことで、ドレン水を排出する。ドレンポンプキットは、ドレン水を所定の高さ位置まで持ち上げた後、ポンプを駆動させてドレン水を圧送することで、ドレン水を排出する。
【0074】
各室内ユニット30には、ドレンアップキット又はドレンポンプキット(以下、まとめて「ドレンキット」と呼ぶ。)が取り付けられている。各室内ユニット30において、ドレンキットは、室内ユニット制御部34に接続されている。ドレンキットは、室内ユニット制御部34を介して給電ユニット40に接続されている。室内ユニット制御部34は、ドレンキットが室内ユニット30及び給電ユニット40に接続されたこと、又は、接続されていることを常時認識することができる。
【0075】
ドレンキットは、室内ユニット30との通信回路であるインターロック機構を備える。インターロック機構は、ドレンキットの不具合が発生した時、又は、ドレンキットへの電力供給が停止した時において、当該ドレンキットが接続されている室内ユニット30の運転を強制的に停止させる機能を有する。
【0076】
以下において、給電ユニット40は、電源遮断時において、ドレンキットに必要な電力を供給できないものとする。図4は、コントローラ60による報知及び非アクティブ化の処理のフローチャートである。図4に示される各ステップについて説明する。
【0077】
ステップS21では、室内ユニット30にドレンキットが接続されているか否かが判定される。ドレンキットが接続されている場合、ステップS22において、室内ユニット30の電源が遮断されているか否かが判定される。ドレンキットが接続されていない場合、報知及び非アクティブ化の処理は行われない。
【0078】
ステップS22において室内ユニット30の電源が遮断されていないと判定された場合(電源から電力が供給されている場合)、ステップS23において、所定の警報の報知を行う。所定の警報は、例えば、ドレンキットが接続されていることに関する。この場合、ドレンキットは、給電ユニット40から電力の供給を受けていないため、室内ユニット30の電源が停止されない限り、ドレンキットの運転に問題は発生しない。そのため、ステップS24において、コントローラ60は、空調システム100(室外ユニット10及び室内ユニット30)の運転を継続させる。
【0079】
ステップS22において室内ユニット30の電源が遮断されていると判定された場合、ステップS25において、所定の異常の報知を行う。所定の異常は、例えば、給電ユニット40では対応できない消費電力の対象機器(ドレンキット)が接続されていることに関する。この場合、ステップS26において、コントローラ60は、ドレンキット及び圧縮機11の駆動を停止させて、空調システム100の運転を停止させる。
【0080】
ステップS27では、コントローラ60は、ドレンキットの非アクティブ化を行う。具体的には、コントローラ60は、ドレンキットの駆動を停止させる。
【0081】
また、ステップS27において、コントローラ60は、非アクティブ化を行う代わりに、ドレンキットを給電ユニット40以外の電源に接続しなおす作業、及び、空調システム100からドレンキットを取り外す作業等を施工者に指示してもよい。この場合、コントローラ60は、指示した作業を施工者が実施しない場合、例えば、ドレンキットへの電力の供給を強制的に停止したり、空調システム100の運転を強制的に停止したりしてもよい。
【0082】
コントローラ60による非アクティブ化の実施、又は、施工者による作業の結果、対象機器の消費電力は、給電ユニット40で対応できる範囲内となる。これにより、ステップS28では、ステップS23又はステップS25で行われた報知が解除される。
【0083】
本実施形態では、コントローラ60は、ドレンキットが接続されている室内ユニット30を、M/T非対応室内ユニットとして扱う。コントローラ60は、図4のステップS27の非アクティブ化の実行、又は、施工者による所定の作業の実施によって、室内ユニット30を、M/T対応室内ユニットとして扱う。これにより、コントローラ60は、電源遮断時において、通常制御モードからM/T制御モードに移行することができる。
【0084】
以上より、空調システム100は、給電ユニット40では対応できない消費電力の対象機器を予め検知することができる。その際、空調システム100は、検知された対象機器の非アクティブ化を行うことで、電源遮断時においても、室外ユニット10及び室内ユニット30の運転を正常に継続させることができる。
【0085】
―変形例―
(1)変形例A
第1実施形態では、コントローラ60は、図2のステップS16に示されるように、連動設定がされている状態で室内ユニット30の電源が遮断された場合、空調システム100の運転を停止させる。しかし、コントローラ60は、この場合において、空調システム100の運転を継続させてもよい。
【0086】
本変形例では、コントローラ60は、電源遮断時においても、M/T非対応室内ユニット30を強制的にM/T対応室内ユニット30として扱う。この場合、室内ユニット30の電源が遮断される前に加湿器37が運転していた場合、室内ユニット30において機内結露及び水漏れのリスクが発生するおそれがある。そのため、コントローラ60は、これらのリスクの発生に関する警告を報知してもよい。
【0087】
(2)変形例B
第2実施形態では、コントローラ60は、図4のステップS26に示されるように、ドレンキットが接続されている状態で室内ユニット30の電源が遮断された場合、空調システム100の運転を停止させる。しかし、コントローラ60は、この場合において、ドレンキットが接続されている室内ユニット30のドレンポンプ残留運転が正常に実行されたと見なせる場合には、空調システム100の運転を継続させてもよい。ドレンポンプ残留運転とは、室内ユニット30のドレンパンに残留しているドレン水を排出するために、所定の時間ドレンポンプ35を駆動する運転である。
【0088】
本変形例では、コントローラ60は、電源遮断時においても、M/T非対応室内ユニット30を強制的にM/T対応室内ユニット30として扱う。
【0089】
なお、コントローラ60は、ドレンポンプ残留運転が正常に実行されなかった場合には、異常を報知して、空調システム100の運転を強制的に停止する。当該異常を解除するためには、空調システム100を再起動した後に、ドレンキットを所定時間駆動させる必要がある。
【0090】
(3)変形例C
コントローラ60は、冷媒回路RCに所定の異常が検知された場合に、室内ユニット30及び室外ユニット10の運転を停止してもよい。例えば、コントローラ60は、安全上の観点から、冷媒回路RC内に封入されている冷媒の温度及び圧力が異常な値となった場合に、空調システム100の運転を強制的に停止してもよい。
【0091】
(4)変形例D
コントローラ60は、異常の発生によって空調システム100の運転を停止させる場合、複数の室内ユニット60のそれぞれの膨張弁32の開度変更制御を所定の順番で行ってもよい。開度変更制御とは、電源遮断時におけるリスクを低減するために、膨張弁32を閉じる制御である。リスクとは、例えば、室外ユニット10の吸入配管(第1配管P1)に液冷媒が流入する湿りリスク、及び、室内ユニット30の室内熱交換器31でドレン水が発生することによる水漏れリスクである。
【0092】
この場合、コントローラ60は、複数の膨張弁32の開度変更制御を順繰りで行ってもよい。具体的には、コントローラ60は、所定の時間が経過するごとに、開度変更制御の対象である膨張弁32を所定の順番に従って変更しながら、複数の膨張弁32の開度変更制御を行ってもよい。開度変更制御の順番は、例えば、膨張弁32の開度、及び、当該膨張弁32に対応する室内ユニット30の容量に基づいて設定されてもよい。
【0093】
(5)変形例E
コントローラ60は、異常の発生によって空調システム100の運転を停止させる場合、複数の室内ユニット60のそれぞれの排水機器(第1実施形態の「ドレンポンプ35」、又は、第2実施形態の「ドレンキット」)の駆動を所定の順番で行ってもよい。
【0094】
この場合、コントローラ60は、排水機器の同時駆動可能台数が1台である場合、同一の排水機器を連続で駆動しないように、複数のドレンポンプ35を順繰りで駆動してもよい。具体的には、コントローラ60は、所定の時間が経過するごとに、排水機器を所定の順番に従って駆動させてもよい。排水機器の駆動の順番は、例えば、ドレンパンのフロートスイッチの出力、及び、室内ユニット30の容量等に基づいて設定されてもよい。
【0095】
(6)変形例F
室外ユニット10は、図1に示されていない他の構成要素をさらに有してもよい。図5は、本変形例における空調システム100の概略構成図である。図5において、室外ユニット10は、オイルセパレータ14、膨張弁16、レシーバ18及びアキュームレータ19をさらに有する。
【0096】
オイルセパレータ14は、第3配管P3に取り付けられる。オイルセパレータ14は、圧縮機11から吐出された高圧のガス冷媒から、冷媒の中に混入している潤滑油を除去する。
【0097】
膨張弁16は、第5配管P5に取り付けられる。膨張弁16は、開度調整が可能な電動弁である。膨張弁16は、空調システム100の運転時において、状況に応じて開度が適宜調整され、開度に応じて冷媒を減圧する。
【0098】
レシーバ18は、第5配管P5に取り付けられる。レシーバ18は、膨張弁16と液連絡配管LPとの間に取り付けられる。レシーバ18は、空調システム100の運転状況に応じて、室外熱交換器13及び室内熱交換器31内の冷媒量の変化を吸収するために、冷媒を一時的に貯留する。レシーバ18は、冷媒回路RCを循環する冷媒に含まれる水分及び異物を除去するための機構を有してもよい。
【0099】
アキュームレータ19は、第2配管P2に取り付けられる。アキュームレータ19は、冷媒回路RCを流れる気液混合冷媒を、ガス冷媒と液冷媒とに分離し、ガス冷媒のみを圧縮機11の吸入ポートに送る。
【0100】
なお、図5において、室外ユニット10は、レシーバ18又はアキュームレータ19を有していなくてもよい。
【0101】
実施形態及び変形例A〜Eにおいて説明した内容は、図5に示される空調システム100においても適用可能である。
【0102】
―むすび―
以上、本開示の実施形態を説明したが、特許請求の範囲に記載された本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【産業上の利用可能性】
【0103】
空調システムは、給電ユニットでは対応できない消費電力の機器を予め検知することができる。
【符号の説明】
【0104】
10 室外ユニット
30 室内ユニット
35 ドレンポンプ
37 加湿器
40 給電ユニット
60 コントローラ
100 空調システム
RC 冷媒回路(冷媒サイクル)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0105】
【特許文献1】特開2013−40698号公報
図1
図2
図3
図4
図5