特許第6881543号(P6881543)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6881543車両環境制御システム、車両、および空気取入口
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6881543
(24)【登録日】2021年5月10日
(45)【発行日】2021年6月2日
(54)【発明の名称】車両環境制御システム、車両、および空気取入口
(51)【国際特許分類】
   B60H 1/00 20060101AFI20210524BHJP
【FI】
   B60H1/00 102E
   B60H1/00 102T
【請求項の数】23
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2019-186955(P2019-186955)
(22)【出願日】2019年10月10日
(65)【公開番号】特開2020-63037(P2020-63037A)
(43)【公開日】2020年4月23日
【審査請求日】2019年10月10日
(31)【優先権主張番号】16/164,441
(32)【優先日】2018年10月18日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500164385
【氏名又は名称】デンソー インターナショナル アメリカ インコーポレーテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100106149
【弁理士】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【弁理士】
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】マーク アレン ロセンバーグ
【審査官】 安島 智也
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭57−033012(JP,A)
【文献】 特開昭63−121517(JP,A)
【文献】 特開平02−014916(JP,A)
【文献】 特開平06−122319(JP,A)
【文献】 特表平06−507592(JP,A)
【文献】 特開2013−180609(JP,A)
【文献】 実開昭57−185675(JP,U)
【文献】 実開昭60−066585(JP,U)
【文献】 国際公開第2011/151917(WO,A1)
【文献】 米国特許第6332330(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60H 1/00 − 3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のフロアパネルの底面に沿って配置されるエアスクープ、
前記エアスクープから上方に延び、前記エアスクープから熱交換器に向かって空気を導くように構成される垂直エアダクト、および
前記エアスクープ内に配置され、前記エアスクープに入る空気を上方に前記垂直エアダクト内に導くように配置されるエアフォイルを備え
前記エアフォイルは、前記車両の前後方向に前縁から後縁まで延びる形状を有し、前記前縁は、前記垂直エアダクトの中央開口部よりも前記車両の前端部側に位置し、前記後縁は、前記中央開口部の真下に位置している車両環境制御システム。
【請求項2】
前記エアフォイルが、前記エアスクープの対向する側面の間で横方向に延びる、請求項1の車両環境制御システム。
【請求項3】
前記エアスクープと前記エアフォイルは、前記エアスクープの前側に沿って空気入口を画定する請求項1の車両環境制御システム。
【請求項4】
前記エアスクープと前記エアフォイルは、前記エアスクープの後側に沿って破片出口を画定する請求項3の車両環境制御システム。
【請求項5】
車両のフロアパネルの底面に沿って配置されるエアスクープ、
前記エアスクープから上方に延び、前記エアスクープから熱交換器に向かって空気を導くように構成される垂直エアダクト、および
前記エアスクープ内に配置され、前記エアスクープに入る空気を上方に前記垂直エアダクト内に導くように配置されるエアフォイルを備え、
前記エアスクープと前記エアフォイルは、前記エアスクープの前側に沿って空気入口を画定し、前記エアスクープの後側に沿って破片出口を画定する車両環境制御システム。
【請求項6】
前記エアフォイルは上反りエアフォイルである請求項1または請求項5の車両環境制御システム。
【請求項7】
前記エアフォイルの面が面である請求項車両環境制御システム。
【請求項8】
前記エアフォイルの下面が凸面である請求項6の車両環境制御システム
【請求項9】
乗員室に送出される空気を調整するように構成される熱交換器、
車両の外側底面に沿って配置されるエアスクープ、
前記エアスクープから上方に延びており、前記エアスクープと前記熱交換器との間の流体連通を確立するように構成されるエアダクト、および
前記エアスクープ内に配置され、前記エアスクープに入る空気を上方に向けて前記エアダクト内に導くように配置されるエアフォイルを備え、
前記エアフォイルは、前記車両の前後方向に前縁から後縁まで延びる形状を有し、前記前縁は、前記エアダクトの中央開口部よりも前記車両の前端部側に位置し、前記後縁は、前記中央開口部の真下に位置している車両。
【請求項10】
前記エアフォイルは、前記エアスクープの対向する側面の間で横方向に延びる、請求項の車両。
【請求項11】
前記エアスクープと前記エアフォイルは、前記エアスクープの側に沿って空気入口を画定する請求項の車両。
【請求項12】
前記エアスクープと前記エアフォイルは、前記エアスクープの後側に沿って破片出口を画定する請求項11の車両。
【請求項13】
乗員室に送出される空気を調整するように構成される熱交換器、
車両の外側底面に沿って配置されるエアスクープ、
前記エアスクープから上方に延びており、前記エアスクープと前記熱交換器との間の流体連通を確立するように構成されるエアダクト、および
前記エアスクープ内に配置され、前記エアスクープに入る空気を上方に向けて前記エアダクト内に導くように配置されるエアフォイルを備え、
前記エアスクープと前記エアフォイルは、前記エアスクープの前側に沿って空気入口を画定し、前記エアスクープの後側に沿って破片出口を画定する車両。
【請求項14】
前記エアフォイルは上反りエアフォイルである請求項9または請求項13の車両。
【請求項15】
前記エアフォイルの上面が凹面である請求項14車両
【請求項16】
前記エアフォイルの下面が凸面である請求項14車両
【請求項17】
周りの周囲空気および垂直に延びるダクトと流体連通しているエアスクープ、および
前記エアスクープ内に配置され、前記エアスクープに入る空気を上方に向けてダクト内に導くように配置されるエアフォイルを備え、
前記エアフォイルは、車両の前後方向に前縁から後縁まで延びる形状を有し、前記前縁は、前記ダクトの中央開口部よりも前記車両の前端部側に位置し、前記後縁は、前記中央開口部の真下に位置している空気取入口。
【請求項18】
前記エアスクープと前記エアフォイルは、前記エアスクープの前側に沿って空気入口を画定する請求項17の空気取入口。
【請求項19】
前記エアスクープと前記エアフォイルは、前記エアスクープの後側に沿って破片出口を画定する請求項18の空気取入口。
【請求項20】
周りの周囲空気および垂直に延びるダクトと流体連通しているエアスクープ、および
前記エアスクープ内に配置され、前記エアスクープに入る空気を上方に向けてダクト内に導くように配置されるエアフォイルを備え、
前記エアスクープと前記エアフォイルは、前記エアスクープの前側に沿って空気入口を画定し、前記エアスクープの後側に沿って破片出口を画定する空気取入口。
【請求項21】
前記エアフォイルは上反りエアフォイルである請求項17または請求項20の空気取入口。
【請求項22】
前記エアフォイルの上面が凹面である請求項21の空気取入口。
【請求項23】
前記エアフォイルの下面が凸面である請求項21の空気取入口。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、例えば、車両用の暖房、換気、および空調(HVAC)システムに用いられる空気取入口に関する。
【背景技術】
【0002】
車両には、車両乗員室に空気を送出するように構成されたHVACシステムが含まれる場合がある。車両のHVACシステムは、車両の乗員室内の空気の温度を制御するように構成することもできる。
【発明の概要】
【0003】
車両環境制御システムは、エアスクープ、垂直エアダクト、およびエアフォイルを含む。エアスクープは、車両フロアパネルの底面に沿って配置される。垂直エアダクトは、エアスクープから上方に延び、エアスクープから熱交換器に向かって空気を導くように構成される。エアフォイルは、エアスクープ内に配置され、エアスクープに入る空気を上方に向けて垂直エアダクト内に導くように配置される。エアフォイルは、車両の前後方向に前縁から後縁まで延びる形状を有し、前縁は、垂直エアダクトの中央開口部よりも車両の前端部側に位置し、後縁は、中央開口部の真下に位置している。
【0004】
車両は、熱交換器、エアスクープ、エアダクト、およびエアフォイルを含む。熱交換器は、車両の乗員室に送出される空気を調整するように構成される。エアスクープは、車両の外側底面に沿って配置される。エアダクトは、エアスクープから上方に延びており、エアスクープと熱交換器の間の流体連通を確立するように構成される。エアフォイルは、エアスクープ内に配置され、エアスクープに入る空気を上方に向けて垂直エアダクト内に導くように配置される。エアフォイルは、車両の前後方向に前縁から後縁まで延びる形状を有し、前縁は、エアダクトの中央開口部よりも車両の前端部側に位置し、後縁は、中央開口部の真下に位置している。
【0005】
車両換気システムの空気取入口には、エアスクープ、垂直方向に延びるダクト、およびエアフォイルが含まれる。エアスクープは、周りの周囲空気および垂直に延びるダクトと流体連通している。エアフォイルは、エアスクープ内に配置され、エアスクープに入る空気を上方に向けてダクト内に導くように配置される。エアフォイルは、車両の前後方向に前縁から後縁まで延びる形状を有し、前縁は、ダクトの中央開口部よりも車両の前端部側に位置し、後縁は、中央開口部の真下に位置している。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】例示的な車両および例示的な車両用HVACシステムの概略図である。
図2】車両の底面図である。
図3図2の3−3線に沿った車両のHVACシステムの空気取入口の断面図である。
図4】エアフォイルの上面斜視図である。
図5】エアフォイルの底面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本開示の実施形態が本明細書に記載される。しかしながら、開示された実施形態は単なる例であり、他の実施形態は様々な代替の形態を取り得ることを理解されたい。図は必ずしも一定の縮尺ではなく、一部の特徴部分は、特定の構成要素の詳細を示すために誇張または最小化され得る。したがって、本明細書に開示された特定の構造上および機能上の詳細は、限定するものとして解釈されるべきではなく、単に実施形態を様々に使用することを当業者に教示するための代表的な基礎として解釈されるべきである。当業者には理解されるように、いずれか1つの図に関連して図示および説明された様々な特徴は、1つまたは複数の他の図に示された特徴と組み合わせて、明示的に図示または説明されていない実施形態を作り出すことができる。図示された特徴の組み合わせは、典型的な用途のための代表的な実施形態を提供する。しかしながら、本開示の教示と矛盾しない特徴の様々な組み合わせおよび変形は、特定の用途または実装のために望ましい可能性がある。
【0008】
HVAC吸気口プレナムを、フロントガラスの基部にある車両のクロスメンバーに収納することは一般的である。HVACシステムは、通常、車両のダッシュボード(または、時としてファイアウォール)に取り付けられる。外気は、グリルや外気プレナムなどのクロスカーフレームメンバを使用して、ファイアウォールの孔を通じて入る。このクロスカーフレームメンバは、通常、水がHVACインレットから流れ出ることができるようにトラフ型である。水は、通常、車両のフェンダーに向かって排出される。
【0009】
将来の動力技術(特に電気自動車)が開発されると、車両の乗員の正面にある車両のエンジンコンパートメント内にエンジンが配置されなくなる可能性がある。これにより、車両のHVACシステムへの外気の取り込みと送配に特化したコンポーネントを含む、ダッシュボード以外の場所で車両内に配置されるHVACシステムコンポーネントのパッケージングシステムを開発する新しい機会が創出される。
【0010】
図1を参照すると、例示的な車両10および車両10の例示的なHVACシステム12が示されている。HVACシステム12のいくつかのコンポーネントは、車両10のダッシュボードの背後に配置されてもよい。ダッシュボードは、説明の目的のため、図1には示されていない。しかしながら、いくつかのコンポーネントは、車両内の他の場所に配置されてもよい。HVACシステム12は、車両10の乗員室に空気を送出するように構成される。車両の乗員室に送出される空気は矢印14で示される。HVACシステム12は、空気を車両の乗員室に送出する前に空気を調整する(例えば、加熱、冷却、乾燥など)ように構成されてもよい。
【0011】
ブロワまたはファン16は、空気をHVACシステム12に引き込み、その空気を車両の乗員室に送出する前に、車両の乗員室に送出される空気を調整するために、1つ以上の熱交換機を横切って流れるよう空気を導くように構成される。ファン16は、いかなるタイプのファンでもよい。例えば、ファン16は遠心ファンであってもよい。ファン16は、ファン16のブレードを回転させるように構成された電気モータ(図示せず)を含んでもよい。ファン16の電気モータは、車両10の任意の電力源から電力を引き出してもよい。例えば、ファン16の電気モータは、バッテリまたは車載発電機(例えば、オルタネータ)から電力を引き出してもよい。
【0012】
第1の熱交換器は、空気を車両の乗員室に送出する前に空気を冷却および乾燥するように構成された蒸発器18であってもよい。蒸発器18は、空気が蒸発器を横切って流れる際に、蒸発器18を通って流れる冷媒に空気から熱を移動させることにより、空気を冷却および乾燥させる。蒸発器18は、空調システムのサブコンポーネントであってもよい。より具体的には、蒸発器18は、圧縮機、凝縮器、および熱膨張弁も含む冷媒ループのサブコンポーネントであってもよい。
【0013】
第2の熱交換器は、空気を車両の乗員室に送出する前に、空気を温めるように構成されたヒータコア20であってもよい。ヒータコア20は、空気がヒータコア20を横切って流れる際に、ヒータコア20を通って流れる冷却液から空気に熱を移動させることにより空気を暖める。ヒータコア20は、冷却液ループを通して流体を循環させるポンプ、および冷却液ループ内の冷却液を加熱するように構成された熱源も含む冷却液ループのサブコンポーネントであってもよい。車両10が内燃機関によって動力を供給される場合、冷却液ループの熱源はエンジンであり得る。車両10が内燃機関によって動力を供給されない場合(例えば、電気モータによって駆動される電気自動車)、冷却液ループの熱源は、バッテリまたは車両10の任意の他の電力源(例えば、オルタネータ)によって動力を供給される電気ヒータであってもよい。電気自動車の場合、ヒータは、直接電気ヒータ(つまり、冷却液ループ内の冷却液を加熱するヒータとは異なり、車両の乗員室に送出される空気を直接的に加熱する電気ヒータ)であってもよい。直接電気ヒータは、電気コイルまたは正温度係数(PTC)ヒータのいずれかとしてもよい。他の代替アプリケーションでは、バッテリの熱、モータの熱、またはヒートポンプ(乗員室を加熱および/または冷却する熱交換器)を使用して、車両の乗員室に送出される空気を加熱または冷却してもよい。
【0014】
HVACシステム12は、空気を蒸発器18、ヒータコア20、そして最終的には車両10の乗員室に導くように構成された一連の相互接続されたダクトを含むことができる。第1のダクト22は、車両10を取り巻く周囲の空気を空気取入口24からHVACシステム12内に導くように構成される。より具体的には、第1のダクト22は、周囲の取り巻く空気を蒸発器18、ヒータコア20、そして最終的に車両10の乗員室に導くように構成される。HVACシステム12に入る周囲空気は、矢印26で示されている。第1のダクト22は外気ダクトと呼ばれ、空気取入口24は外気取入口と呼ばれることがある。空気取入口24は、より具体的には、車両10の底面28に沿って配置されてもよい。車両10の底面28は、より具体的には、車両10のフロアまたはフロアパネル30の底面であってもよい。
【0015】
第2のダクト32は、空気を車両10の乗員室内からHVACシステム12に戻すように構成される。より具体的には、第2のダクト32は、空気を車両10の乗員室内から蒸発器18、ヒータコア20、そして最終的には車両10の乗員室に戻すように構成される。車両10の乗員室からHVACシステム12に戻される空気は、再循環空気と呼ばれることがある。再循環空気は矢印34によって示される。第2のダクト32は、再循環空気ダクトと呼ばれることがある。
【0016】
HVACシステム12に入る再循環空気および周囲空気はそれぞれ、再循環空気と周囲空気とが混合される共通ダクトまたは混合チャンバ36に導かれ得る。次いで、混合空気は、追加のダクトまたは調整チャンバ37に送られ、そこで空気はそれぞれ蒸発器18および/またはヒータコア20を介して冷却および/または加熱される。そして、空気は調整チャンバ37を出て、矢印14によって示されるように、様々な出口(図示せず)を通って車両の乗員室に入る。
【0017】
図1に示される概略図は単なる例示であり、限定することを意図するものではないことを理解されたい。ダクトを利用して周囲空気および/または再循環空気をHVACシステムに送り、そこで空気が調整されて車両の乗員室に送出される他のHVAC構成も考えられる。例えば、HVACシステムは、空気をさまざまな方向で乗員室に導く、HVACシステムからの複数の出口(フロア出口、ダッシュボード出口、デフロスタ出口など)、複数の周囲空気取入口、複数の再循環空気ダクト、特定のダクト、取入口、出口などへの空気の流れを制限する、ダクト内に配置されたドアまたはシャッターを含んでもよい。出口は、乗員室に入る空気を制限または方向付けるルーバーまたはシャッターを含んでもよい。熱交換器の数は異なっていてもよく(たとえば、車両に乗員室空気冷却システムが含まれない場合、HVACシステムには蒸発器が含まれていなくてもよい)、熱交換器(たとえば、蒸発器18およびヒータコア20)およびファン16の空間配置は再編成されてもよく、あるいは、別の装置(たとえば、PTCヒータ、ヒートポンプなど)が乗員室の空気を調整するために利用されてもよい。
【0018】
図2および図3を参照すると、車両10の底面図およびHVACシステム12の空気取入口24の断面図がそれぞれ示されている。空気取入口は、エアスクープ38を含む。エアスクープ38は、フロアパネル30の一部であってもよいし、または図示のようにフロアパネル30に接続される別個のコンポーネントであってもよい。エアスクープ38は、車両10の底面28に沿って配置される。より具体的には、エアスクープ38は、車両10のフロアまたはフロアパネル30の底面28に沿って配置される。
【0019】
エアスクープ38は、フロアパネル30に対して車両10内に上向きに凹んでいる内面40を含む。内面40は、凹状または「ボウル」形状であってもよい。エアスクープ38は、NACA(米国航空評議委員会)ダクトであってもよく、それは、NACAスクープまたはNACA入口とも呼ばれ得る。エアスクープ38は、周りの周囲空気および垂直に延びるダクト(すなわち、第1のダクト22)と流体連通している。第1のダクト22は、エアスクープ38から垂直上方に延び、エアスクープ38からの空気を1つ以上の熱交換器(すなわち、蒸発器18またはヒータコア20)に導くように構成される。第1のダクト22は、1つ以上の熱交換器とエアスクープ38との間に流体連通を確立する。
【0020】
エアフォイル42がエアスクープ38内に置かれ、エアスクープ38に入る空気を上方に第1のダクト22内に導くように位置決めされ、配置される。より具体的には、エアスクープ38は、車両10が前方に移動している間、フロアパネル30の底面28に隣接して流れる空気を上方に第1のダクト22内に導くように構成される。フロアパネル30の底面28に隣接して流れ、その後上方に第1のダクト22内に導かれる空気は、矢印44で示されている。
【0021】
エアフォイル42の前縁46は、車両10の前端部48に向けられている(すなわち、向いている、または面している)。エアフォイル42の後縁50は、車両10の後端部52に向けられている(すなわち、向いている、または面している)。エアフォイル42は、横方向に延び、エアスクープ38の第1の側面54とエアスクープ38の第2の側面56との間に及ぶことができる。より具体的には、前縁46、エアフォイル42の上面58、後縁50、およびエアフォイル42の下面60によって境界付けられるエアフォイル42の断面領域は、横方向に延びて、エアスクープ38の第1の側面54とエアスクープ38の第2の側面56との間に広がることができる。エアスクープ38の第1の側面54および第2の側面56は、エアスクープ38の対向する側面と呼ばれることがある。
【0022】
エアフォイル42の前縁46は、道路または地面62からのフロアパネル30の底面28の高さにほぼ等しい、それぞれの道路または地面62からの高さH1を有する。高さH1の寸法は、重力と同じ方向で測定され得る。エアフォイル42は、後縁50が重力の方向に対して第1のダクト22の中央開口部63の下に位置するように、車両10の前端部48と車両10の後端部52との間で縦方向に配置される。好ましい実施形態では、後縁50は、第1のダクト22の中央開口部63の中央真下に位置するところから、縦方向に所望の許容範囲内で(すなわち、第1のダクト22の中央開口部の中央真下から、第1のダクト22の中央開口部63を横断する縦方向の長さL1の25%までの長さ内で)配置することができる。しかしながら、後縁50は、車両10の前端部48と車両10の後端部52との間の方向に延びる、第1のダクト22の中央開口部の縦方向の長さL1内に収まる第1のダクト22の中央開口部の下の任意の位置で、第1のダクト22の中央開口部の下に配置されてもよい。
【0023】
エアフォイル42は、後縁50が重力の方向に対して前縁46に比較してより高い位置となるように回転または方向付けられてもよい。エアフォイル42は、車両10の前端部48と後端部52との間の縦方向において、前縁46から後縁50まで延びる縦方向長さL2を有することができる。エアフォイル42はまた、前縁46から後縁50まで延びる高さH2も有することができる。エアフォイルの高さH2の寸法は、重力の方向に対して測定することもできる。エアフォイルの縦方向長さL2と高さH2の比は、6:1から1:1の間の範囲の任意の値を有し得る。
【0024】
図3、4、および5を参照すると、エアフォイル42がさらに示されている。エアフォイル42は、対称および非対称(上反り)型のエアフォイルを含む、任意のタイプのエアフォイルとすることができる。好ましい実施形態では、エアフォイル42は上反り型のエアフォイルである。エアフォイル42は、反っている場合、凸状の第1の表面と、凸状、凹状、または平坦のいずれかの第2の表面を有することができる。好ましい実施形態では、エアフォイル42は上反っており、上面58が凹状で下面60が凸状である。
【0025】
再び図2および図3を参照すると、エアスクープ38およびエアフォイル42(あるいは、より具体的にはエアフォイル42の前縁46)は、エアスクープ38の前側66に沿って空気入口64を画定する。エアスクープ38およびエアフォイル42(あるいは、より具体的には、エアフォイル42の後縁50)は、エアスクープ38の後側70に沿って破片出口68を画定する。エアフォイル42の位置は、空気入口64を通って入ってくる空気を上方に第1のダクト22内に導くように構成される。ただし、破片、岩、土、水などのより重い物質は、重力に逆らって上方に流れて、HVACシステム12の残りの部分に流れ込むことができない。そのような重い物質は損傷を引き起こす可能性がある。空気入口64でエアスクープ38に流れ込むより重い物質または破片のいずれも、エアスクープ38内を流れる空気によって破片出口68に向かって押し戻され、そこで、より重い物質または破片がエアスクープ38から周囲の環境へ排出される。エアスクープ38から排出されるより重い物質は矢印72で示されている。
【0026】
空気入口64は、エアフォイル42の前縁46から、エアフォイル42の前縁46に最も近いエアスクープ38の内面40上の点まで延びる幅W1を有することができる。破片出口68は、エアフォイル42の後縁50からエアフォイル42の後縁50に最も近いエアスクープ38の内面40上の点まで延びる幅W2を有することができる。破片出口68の幅W2は、破片がエアスクープ38内に捕捉されるのを防止するために、空気入口64の幅W1よりも大きくなるようにサイズ設定されてもよい(すなわち、空気入口64でエアスクープ38に流入することができる任意の破片は、破片出口68が空気入口64よりも大きいので、破片出口68でエアスクープ38から出ることができる。)
【0027】
例示的な実施形態が上述されたが、これらの実施形態が特許請求の範囲によって包含される全ての可能な形態を示すことを意図するものではない。本明細書で使用されている言葉は、限定ではなく説明の言葉であり、本開示の主旨および範囲から逸脱することなく様々な変更が可能であることが理解される。前述のように、様々な実施形態の特徴を組み合わせて、明示的に説明または図示されていないかもしれない、本発明のさらなる実施形態を形成することができる。様々な実施形態は、1つまたは複数の所望の特性に関して利点を提供するか、または他の実施形態または従来技術の実装形態よりも好ましいものとして説明することができたが、当業者であれば、特定の用途と実装に依存するシステム全体の望ましい属性を達成するために、1つ以上の機能または特性が妥協され得ることを承認する。これらの属性は、限定されるものではないが、コスト、強度、耐久性、ライフサイクルコスト、市場性、外観、包装、サイズ、保守性、重量、製造性、組立容易性などを含み得る。したがって、任意の実施形態が1つまたは複数の特性に関して他の実施形態または従来技術の実装形態よりも望ましくないと説明される限りにおいて、これらの実施形態は本開示の範囲外ではなく、特定の用途には望ましいことがある。
【符号の説明】
【0028】
10:車両、12:HVACシステム、16:ファン、18:蒸発器、20:ヒータコア、22:第1のダクト、24:空気取入口、30:フロアパネル、32:第2のダクト、36:混合チャンバ、37:調整チャンバ、38:エアスクープ、42:エアフォイル、46:前縁、48:前端部、50:後縁、52:後端部、54:第1の側面、56:第2の側面、58:上面、60:下面、63:中央開口部、64:空気入口、68:破片出口
図1
図2
図3
図4
図5