(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら本発明に係る実施の形態を説明する。以下に記載する実施の形態は、本発明の好適な具体例である。このため、本実施形態には、技術的に好ましい種々の限定が付されている。しかしながら、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
【0012】
<1.第1実施形態>
本実施形態に係る信号伝送システム1Aについて説明する。信号伝送システム1Aは、例えば、車載用の音声通信システムに用いられる。
図1Aに、信号伝送システム1Aの回路図を示す。信号伝送システム1Aは、送信装置100、第1ラインL1、第2ラインL2、及び受信装置200を備える。同図に示す符号「Rw1」は第1ラインL1の等価抵抗を示し、符号「Rw2」は第2ラインL2の等価抵抗を示す。送信装置100は、第1ラインL1を介して音信号Vを受信装置200に送信する。本実施形態において音信号V(第1信号)はアナログ信号である。受信装置200は音信号Vに基づいて出力音信号Voutを生成する。第2ラインL2は、受信側グランドノードNrgと音信号出力部10A(第1信号出力部)とを交流接続する。交流接続とは容量素子を介して接続することを意味する。受信側グランドノードNrgには、受信装置200のグランド電位である受信側グランド電位GND_Rが印加される。送信側グランドノードNsgには、送信装置100のグランド電位である送信側グランド電位GND_Sが印加される。
【0013】
送信側グランド電位GND_Sと受信側グランド電位GND_Rとの間には、交流電位差Vnが発生する場合がある。交流電位差Vnは、例えば、出力音信号Voutにデシタル処理を施すデジタル処理回路が受信装置200に設けられおり、デジタル処理回路を流れた戻りの電流が受信装置200から送信装置100に流れ込む場合に発生する。あるいは、受信装置200と送信装置100を車体に接地した場合に、他の電装部品で発生する電流が車体を介して送信装置100に流れ込む場合に発生する。交流電位差Vnはノイズ電圧となる。さらに、受信側グランド電位GND_Rと送信側グランド電位GND_Sとの間には、交流電位差Vnの他に直流電位差Vgが発生する場合がある。受信装置200の受信側グランド電位GND_Rを基準とすると、送信装置100の送信側グランド電位GND_Sは、直流電位差Vgに交流電位差Vnが重畳したものになる。
【0014】
送信装置100は、音信号出力部10A(第1信号出力部)、送信側グランドノードNsg、データ信号送信部20A、抵抗素子Rs、第1送信側容量素子Cs1、及び第2送信側容量素子Cs2を備える。音信号出力部10Aは、第1ラインL1を介して音信号V(第1信号)を受信装置200に向けて出力する。
データ信号送信部20Aは第2ラインL2を介してデータ信号D(第2信号)を送信装置100から受信装置200に向けて送信する。データ信号Dは、どのよう情報を示すものであってもよいが、例えば、送信装置100の故障の有無を示すものであってもよい。
【0015】
音信号出力部10Aには、入力音信号Vinが供給されるとともに、第2ラインL2を介して受信側グランド電位GND_Rが印加される。入力音信号Vinは、送信側グランド電位GND_Sを基準に生成されている。従って、受信側グランド電位GND_Rを基準とすれば、入力音信号Vinはノイズ電圧として作用する交流電位差Vnが重畳している。音信号出力部10Aは、入力音信号Vinから交流電位差Vnをキャンセルして音信号Vを生成する。
音信号出力部10Aは、抵抗素子R1p、R2p、R1n及びR2n、並びにオペアンプ11を備える。オペアンプ11には、電源電位Vddと送信側グランド電位GND_Sが印加される。
【0016】
抵抗素子R1pは、一方の端子が第2送信側容量素子Cs2に接続され、他方の端子がオペアンプ11の正入力端子に接続される。換言すれば、オペアンプ11の正入力端子は、抵抗素子PR1p及第2ラインL2を介して受信側グランドノードNrgと交流接続される。抵抗素子R2pは一方の端子がオペアンプ11の正入力端子に接続され、他方の端子にバイアス電位Vccが印加される。バイアス電位Vccは電源電位Vddの1/2である。従って、Vcc=Vdd/2+Vg+Vn+GND_Rとなる。即ち、バイアス電位Vccには、交流電位差Vnが重畳されている。電源電位Vdd及びバイアス電位Vccは、図示せぬ電源によって生成される。抵抗素子R1nは、一方の端子に入力音信号Vinが供給され、他方の端子がオペアンプ11の負入力端子に接続される。抵抗素子R2nは一方の端子がオペアンプ11の負入力端子に接続され、他方の端子がオペアンプ11の出力端子に接続される。
抵抗素子R2p及び抵抗素子R1pを流れる電流i2によって、オペアンプ11の正入力端子の電位が定まる。また、電流i2は交流であり、抵抗素子R2pのバイアス電位Vccが印加される端子と第2送信側容量素子Cs2が接続される抵抗素子R2pの端子との間には、Vcc−GND_Rの交流成分が印加される。Vcc−GND_R(=Vdd/2+Vg+Vn)の交流成分は、交流電位差Vnとなる。従って、オペアンプ11の正入力端子には、交流電位差Vnが抵抗素子R2pと抵抗素子R1pで分圧された電圧が供給される。
ここで、抵抗素子R1p及び抵抗素子R1nの抵抗値をr1、抵抗素子R2p及び抵抗素子R2nの抵抗値をr2とし、交流成分に着目する。オペアンプ11の正入力端子と負入力端子との間はイマジナリーショートが成立するので、以下に示す式(1)が成り立つ。
Vin−r1・i1=r2・i2…(1)
また、入力インピーダンスの高いオペアンプ11には電流が流れ込まないので、電流i1及び電流i2について以下に示す式(2)及び式(3)が成り立つ。
i1=(Vin−V)/(r1+r2)…(2)
i2=Vn/(r1+r2)…(3)
式(2)及び式(3)を式(1)に代入して整理すると、式(4)が得られる。
V=r2/r1*(−Vin+Vn)…(4)
抵抗値r2と抵抗値r1が等しいとすれば、式(5)が得られる。
V=−Vin+Vn…(5)
入力音信号Vinは、送信側グランド電位GND_Sを基準に生成されたものであるから、受信側グランド電位GND_Rを基準とすれば、入力音信号Vinには交流電位差Vnが重畳している。式(5)から明らかなように、音信号Vは、入力音信号Vinに重畳する交流電位差Vnを打ち消したものとなる。
なお、より一般的には、抵抗素子R1p、R1n、R2p及びR2nの抵抗値をr1p、r1n、r2p及びr2nとしたとき、r2p/r1p=r2n/r1pが成立していれば、交流電位差Vnを打ち消すことができる。
このように音信号出力部10Aにおいて、入力音信号Vinが抵抗素子R1nを介してオペアンプ11の負入力端子に供給され、交流電位差Vnが、抵抗素子R2p及び抵抗素子R1pを介してオペアンプ11の正入力端子に印加される。
【0017】
データ信号送信部20Aは、送信側ノードNsにおいて第2ラインL2と接続され、データ信号D(第2信号)の論理レベルに応じた大きさの直流電流を第2ラインL2に流すことによって送信装置100からデータ信号Dを受信装置200に向けて送信する。データ信号送信部20Aは、抵抗素子R21、R22、及びR23、並びにトランジスタQ1を備える。抵抗素子R21は、送信側ノードNsとトランジスタQ1のコレクタとの間に設けられる。トランジスタQ1は、NPN型である。抵抗素子R22は、一方の端子がトランジスタQ1のベースと接続され、他方の端子にデータ信号Dが供給される。抵抗素子R23は、トランジスタQ1のベースとエミッタとの間に設けられる。トランジスタQ1は、データ信号Dの論理レベルがハイレベルの場合にオン状態となる一方、データ信号Dの論理レベルがローレベルの場合にオフ状態になる。トランジスタQ1がオン状態になると、第2ラインL2の電位は抵抗素子R21を介して送信側グランド電位GND_Sにプルダウンされ、直流電流が第2ラインL2を流れる。一方、トランジスタQ1がオフ状態になると、直流電流が第2ラインL2に流れない。よって、第2ラインL2に流れる直流電流を受信装置200において検出すれば、データ信号Dを受信することができる。
【0018】
次に、受信装置200は、音信号入力部30A、データ信号受信部40A、第1受信側容量素子Cr1、第2受信側容量素子Cr2、及び受信側グランドノードNrgを備える。音信号入力部30Aはバッファとして機能する。音信号入力部30Aは、抵抗素子R31とオペアンプ32とを備える。オペアンプ32には、電源電位Vddと受信側グランド電位GND_Rとが印加される。抵抗素子R31の一方の端子にはバイアス電位Vccが印加され、他方の端子にはオペアンプ32の正入力端子が接続される。また、オペアンプ32の正入力端子は第1受信側容量素子Cr1と接続される。オペアンプ32の正入力端子には抵抗素子R31を介してバイアス電位Vccが印加される。また、オペアンプ32の負入力端子と正入力端子とが接続される。オペアンプ32はボルテージフォロアとして機能する。オペアンプ32は出力音信号Voutをローインピーダンスで出力する。
【0019】
データ信号受信部40Aは、第2ラインL2の受信側ノードNrと接続される。データ信号受信部40Aは、抵抗素子R41とデータ信号生成部42とを備える。抵抗素子R41は、一方の端子に電源電位Vddが印加され、他方の端子にデータ信号生成部42が接続される。データ信号生成部42は、抵抗素子R41の他方の端子と受信側ノードNrとの間に設けられている。データ信号生成部42は、抵抗素子R42→受信側ノードNr→第2ラインL2の経路で流れる直流電流の大きさを検出し、検出した直流電流の大きさを閾値と比較することによって、データ信号Dを生成する。
【0020】
また、受信側ノードNrと受信側グランドノードNrgとの間に第2受信側容量素子Cr2が設けられている。第2受信側容量素子Cr2、第2ラインL2、及び第2送信側容量素子Cs2を介して、受信側グランド電位GND_Rが送信装置100に入力される。
【0021】
本実施形態では、第2ラインL2を介してデータ信号Dを送信装置100から受信装置200に送信する。データ信号Dの論理レベルがローレベルとなりトランジスタQ1がオフ状態であれば、第2ラインL2と送信側グランドノードNsgは分離されている。この状態では、交流電位差Vnが第2ラインL2を介して音信号出力部10Aに印加されることはない。しかしながら、データ信号Dの論理レベルがハイレベルとなりトランジスタQ1がオン状態になると、交流電位差Vnがノイズ電圧として第2ラインL2に混入する。
【0022】
図1Bに送信側グランドノードNsgから第2ラインL2側を見たときの交流成分の等価回路を示す。同図において、第2ラインL2の等価抵抗Rw2の抵抗値は、約0.3Ωであり、他の素子と比較して抵抗値が小さく無視できる。また、抵抗素子R1p及び抵抗素子R2pの抵抗値は、抵抗素子R41の抵抗値と比較して充分大きいので無視できる。従って、送信側グランドノードNsgから第2ラインL2側を見たときの交流成分の実質的な等価回路は
図1Cに示すものとなる。
【0023】
ここで、第2受信側容量素子Cr2のインピーダンスが充分大きく、第2ラインL2からデータ信号送信部20Aを見たときの第1インピーダンス(抵抗素子R21の抵抗値)をZ1、第2ラインL2からデータ信号受信部40Aを見たときの第2インピーダンス(抵抗素子R41の抵抗値)をZ2とすれば、送信ノードNsに混入するノイズ電圧Vxは、交流電位差Vnを第1インピーダンスZ1と第2インピーダンスZ2とで分圧したものとなる。即ち、Vx=Vn*Z2/(Z1+Z2)となる。
【0024】
従って、混入するノイズ電圧Vxを小さくするためには、第1インピーダンスZ1が第2インピーダンスZ2よりも大きいことが好ましい。より好ましくは、Z2/Z1<0.2であることが好ましい。例えば、抵抗素子R21の抵抗値が4.7kΩ、抵抗素子R41の抵抗値が680Ωであれば、ノイズ電圧Vxを小さくする条件を充足する。また、第2受信側容量素子Cr2の容量値を大きくして第2受信側容量素子Cr2のインピーダンスを下げることは、周波数が高くなると抵抗素子R41の抵抗値を下げることと等価であり、音声帯域でのノイズ電圧Vxの混入を抑えるのに有効である。
【0025】
次に、比較例を参照しながら、信号伝送システム1AにおけるCMRR(Common Mode Rejection Ratio)について説明する。
図3に示す比較例の信号伝送システム1Zは、第1ラインL1を介してデータ信号Dを送信装置100から受信装置200に向けて送信する点で、第2ラインL2を介してデータ信号Dを送信する信号伝送システム1Aと相違する。
【0026】
信号伝送システム1Zでは、音信号出力部10Aから出力される音信号Vは、交流電位差Vnがキャンセルされている。しかしながら、トランジスタQ1がオン状態になると、交流電位差Vnが送信側グランドノードNsg→トランジスタQ1→抵抗素子R21の経路で第1ラインL1に混入する。抵抗素子Rs及び第1送信側容量素子Cs1のインピーダンスを小さくすれば、第1ラインL1に混入する交流電位差Vnを低減することができる。しかしながら、第1ラインL1は容量成分を有するので、音信号出力部10Aの負荷は容量性となる。音信号出力部10Aの発振を防止し、動作の安定性を確保するために、抵抗素子Rsの抵抗値を小さくすることには限界がある。従って、抵抗素子Rs及び第1送信側容量素子Cs1のインピーダンスを調整しても、第1ラインL1に混入する交流電位差Vnを十分低減することができない。
【0027】
また、トランジスタQ1がオン状態の場合に、第1ラインL1に音信号Vが供給されると、抵抗素子R41に流れる電流が音信号Vによって変調される。
ここで、信号伝送システム1Aにおいて、抵抗素子R41に流れる電流を「i10」、音信号出力部30Aから出力される音信号を「Va」とする。また、信号伝送システム1Zの抵抗素子R41を流れる電流を「i20」、音信号出力部30Aから出力される音信号を「Vb」とする。
図3に電流i10、電流i20、音信号Va、及び音信号Vbのシミュレーションの結果を示す。但し、抵抗素子Rsの抵抗値を47Ω、等価抵抗Rw1の抵抗値を0.3Ω、抵抗素子R31の抵抗値を100kΩ、抵抗素子R21の抵抗値を4.7kΩ、抵抗素子R41の抵抗値を680Ω、音信号Vを1kHz/1Vpeak、交流電位差Vnを3kHz/0.3Vpeakとし、抵抗素子R1p、R2p、R1n及びR2nの誤差を0.01%とし、差動増幅のバランスが最も悪い条件とする。同図に示すように、信号伝送システム1Zでは、抵抗素子R41に流れる電流i20が、音信号Vのレベルが最小の場合に約2mA、音信号Vのレベルが最大の場合約0mAとなってしまう。このため、信号伝送システム1Zではデータ信号生成部42において、電流i20の交流成分を低減させるフィルタリングが必要となる。
【0028】
これに対して、信号伝送システム1Aでは、第2ラインL2に印加される交流電位差Vnによって抵抗素子R41に流れる電流i10が変調されるが、交流電位差Vnの振幅は音信号Vの振幅と比較して1/10程度であり小さい。よって、電流i10の振幅は小さくなるから、フィルタリングしなくてもデータ信号Dを生成することができる。
次に、
図4にCMRRのシミュレーションの結果を示す。同図において縦軸は、入力音信号Vinに重畳する交流電位差Vnの大きさを「ei」、出力音信号Voutに重畳する交流電位差Vnの大きさを「eo」としたときのCMRRを20Log(eo/ei)で表したものである。比較例のCMRRの周波数特性Fxと比較して、第1実施形態のCMRRの周波数特性F1は、3kHz以上の高域において約30dB高くなる。
【0029】
なお、上述した第1実施形態では、データ信号送信部20Aを送信装置100に設け、データ信号受信部40Aを受信装置200に設けて、送信装置100から受信装置200に向けてデータ信号Dを送信した。しかし、データ信号送信部20Aを受信装置200に設け、データ信号受信部40Aを送信装置100に設けて、受信装置200から送信装置100に向けてデータ信号Dを送信してもよい。
図5Aに第1実施形態の変形例に係る信号伝送システム1Bの回路図を示す。同図に示すようにデータ信号送信部20Aは受信側ノードNrに接続され、データ信号受信部40Aは送信側ノードNsに接続される。
【0030】
図5Bに、データ信号Dの論理レベルがローレベルの場合に、電源電位Vddが印加される抵抗素子R41の一方の端子から送信側ノードNsを見たときの交流成分の等価回路を示す。同図において、第2ラインL2の等価抵抗Rw2の抵抗値は、約0.3Ωであり、抵抗素子R41の抵抗値(例えば、4.7kΩ)と比較して極めて小さい。従って、データ信号Dがローレベルで、トランジスタQ1がオフ状態であればノイズ電圧Vxは第2ラインL2に殆ど混入しない。
【0031】
図5Cに、データ信号Dの論理レベルがハイレベルの場合に、電源電位Vddが印加される抵抗素子R41の一方の端子から送信側ノードNsを見たときの交流成分の等価回路を示す。同図において、等価抵抗Rw2の抵抗値は十分小さく、抵抗素子R1p及び抵抗素子R2pの抵抗値は、抵抗素子R41の抵抗値と比較して充分大きいので無視することができる。従って、電源電位Vddが印加される抵抗素子R41の一方の端子から送信側ノードNsを見たときの交流成分の実質的な等価回路は
図5Dに示すものとなる。
【0032】
ここで、第2受信側容量素子Cr2のインピーダンスが充分大きく、第2ラインL2からデータ信号送信部20Aを見たときの第1インピーダンス(抵抗素子R21の抵抗値)をZ1、第2ラインL2からデータ信号受信部40Aを見たときの第2インピーダンス(抵抗素子R41の抵抗値)をZ2とすれば、送信ノードNsに混入するノイズ電圧Vxは、交流電位差Vnを第2インピーダンスZ2と第1インピーダンスZ1とで分圧したものとなる。即ち、Vx=Vn*Z1/(Z1+Z2)となる。
【0033】
混入するノイズ電圧Vxを小さくするためには、第2インピーダンスZ2が第1インピーダンスZ1よりも大きいことが好ましい。例えば、抵抗素子R41の抵抗値を4.7kΩ、抵抗素子R21の抵抗値を680Ωに設定すればよい。また、第2受信側容量素子Cr2の容量値を大きくして第2受信側容量素子Cr2のインピーダンスを下げることは、周波数が高くなると抵抗素子R21の抵抗値を下げることと等価であり、音声帯域でのノイズ電圧Vxの混入を抑えるのに有効である。
【0034】
<2.第2実施形態>
次に、第2実施形態に係る信号伝送システム1Cについて説明する。
図6に第2実施形態に係る信号伝送システム1Cの回路図を示す。信号伝送システム1Cは、データ信号送信部20Aの替わりにデータ信号送信部20Bを用いる点を除いて、
図1Aを参照して説明した第1実施形態の信号伝送システム1Aと同様に構成されている。
【0035】
データ信号送信部20Bは、トランジスタQ1のベースと送信側グランドノードNsgとの間に直列に接続されたダイオードd1及びダイオードd2を備える。トランジスタQ1のベースには、抵抗素子R22の一方の端子が接続されており、抵抗素子R22の他方の端子にはデータ信号Dが供給される。また、トランジスタQ1のエミッタと送信側グランドノードNsgとの間に抵抗素子R24が設けられており、送信側ノードNsとトランジスタQ1のコレクタとが接続される。データ信号Dの論理レベルがハイレベルになると、トランジスタQ1がオン状態となり、定電流が送信側ノードNsから送信側グランドノードに向けて流れる。一方、データ信号Dの論理レベルがローレベルになると、トランジスタQ1がオフ状態となり、送信側ノードNsから送信側グランドノードに向けて電流が流れない。これにより、第2ラインL2に流れる直流電流の大きさをデータ信号Dの論理レベルに応じて制御することができる。
【0036】
データ信号送信部20Bでは、定電流回路を採用するので、第2ラインL2からデータ信号送信部20Bを見たときの第1インピーダンスZ1は、第1実施形態の信号伝送システム1Aにおいて第2ラインL2からデータ信号送信部20Aを見たときの第1インピーダンスZ1と比較して高くなる。これにより、信号伝送システム1Cは、信号伝送システム1Aと比較してCMRRを改善することができる。特に、低域周波数において、第2受信側容量素子Cr2のインピーダンスに対して第1インピーダンスZ1を高くすることができるので、低域周波数のCMRRを改善することができる。
【0037】
図4に示すように、第2実施形態のCMRRの周波数特性F2は、第1実施形態のCMRRの周波数特性F1より改善されており、特に100Hz以下の周波数においてCMRRが約21dB高くなる。
【0038】
<3.第3実施形態>
上述した第2実施形態では定電流回路を含むデータ信号送信部20B及びデータ信号受信部40Aを第2ラインL2に接続したが、第3実施形態では、データ信号送信部20B及びデータ信号受信部40Aを第1ラインL1に接続して、データ信号Dを送信装置100から受信装置200に向けて送信する。
【0039】
図7に第3実施形態に係る信号伝送システム1Dの回路図を示す。同図に示すように定電流回路を有するデータ信号送信部20Bは第1ラインL1に接続されている。
図2に示す比較例の信号伝送システム1Zでは、第1ラインL1からデータ信号送信部20Aと見たときのインピーダンスは、抵抗素子R21の抵抗値で定められた。第1ラインL1に流れる直流電流を用いてデータ信号Dを送信する場合、受信装置200のデータ信号受信部40Aにおいてデータ信号Dの論理レベルを判別するためには、データ信号Dの論理レベルがハイレベルの場合に約1mAの直流電流を第1ラインL1に流すことが好ましい。このため、抵抗素子R21の抵抗値を大きくするには限界があった。
【0040】
交流電位差Vnは、第1ラインL1からデータ信号送信部20Bを見たときの第1インピーダンスと抵抗素子Rsとで分圧されて、第1ラインL1に混入する。信号伝送システム1Dではデータ信号送信部20Bに定電流回路を採用するので、第1ラインL1からデータ信号送信部20Bを見たときの第1インピーダンスを高くすることができる。よって、信号伝送システム1Dは信号伝送システム1Zと比較してCMRRを高くできる。
【0041】
第3実施形態のCMRRの周波数特性F3は、第1実施形態のCMRRの周波数特性F1より改善されており、第2実施形態のCMRRと同程度である。但し、信号伝送システム1Zと同様に、抵抗素子R41に流れる電流が音信号Vによって変調される。
【0042】
<4.第4実施形態>
上述した第1乃至第3実施形態は、音信号出力部10Aにおいて入力音信号Vinから交流電位差Vnをキャンセルして音信号Vを生成した。これに対して、第4実施形態に係る信号伝送システム1Eは、受信装置200において交流電位差Vnをキャンセルした音信号Vを生成する。
【0043】
図8Aに第4実施形態に係る信号伝送システム1Eの回路図を示す。信号伝送システム1Eは、送信装置100において音信号出力部10Aの替わりに音信号出力部10B(第1信号出力部)を用いる点、受信装置200において音信号入力部30Aの替わりに音信号入力部30Bを用いる点、及びデータ信号受信部40Aの替わりにデータ信号受信部40Bを用いる点を除いて、第1実施形態の信号伝送システム1Aと同様に構成されている。
【0044】
音信号出力部10Bは音信号入力部30Aと同様に構成されている。また、音信号入力部30Bは、オペアンプ11の出力端子と負入力端子との間に抵抗素子R3nが追加された点を除いて、音信号出力部10Aと同様に構成されている。抵抗素子R3nの抵抗値は、抵抗素子Rs及び等価抵抗Rw1の合計抵抗値と等しい。また、抵抗素子R3n及び抵抗素子R2nの合計抵抗値と、抵抗素子Rs、等価抵抗Rw1、及び抵抗素子R1nの合計抵抗値とが等しくなる。この結果、反転増幅のゲインを「1」とすることができる。
【0045】
データ信号受信部40Bは、送信側グランドノードNsgと音信号入力部30Bとを交流接続する第2ラインL2に接続される。また、データ信号受信部40Bは、データ信号Dの論理レベルがハイレベルの場合に定電流を第2ラインL2に向けて流す定電流回路を備える。具体的には、データ信号受信部40Bは、PNP型のトランジスタQ2、抵抗素子R42、抵抗素子R43、ダイオードd3及びダイオードd4、並びにデータ信号生成部42を備える。抵抗素子R42の一方の端子はトランジスタQ2のエミッタと接続され、他方の端子は電源電位Vddが印加される電源ノードNdと接続される。電源ノードNdとトランジスタQ2のベースとの間にはダイオードd3及びダイオードd4が直列に接続される。また、トランジスタQ2のベースと受信側グランドノードNrgとの間には抵抗素子R43が設けられている。更に、データ信号生成部42は、トランジスタQ2のコレクタと受信側ノードNrとの間に設けられている。
データ信号受信部40Bにおいて、データ信号生成部42を除いた素子によって、定電流回路が構成される。データ信号生成部42は、トランジスタQ2のコレクタから受信側ノードNrを介して第2ラインL2を流れる直流電流の大きさを検出し、検出結果を閾値と比較することによってデータ信号Dを生成する。
【0046】
以上の構成において、送信装置100の音信号出力部10Bはバッファとして機能する。音信号出力部10Bは、交流電位差Vnが重畳した音信号Vを抵抗素子Rs及び第1送信側容量素子Cs1を介して第1ラインL1に出力する。
一方、受信装置200の音信号入力部30Bには、第1ラインL1を介して音信号Vが入力され、第2ラインL2を介して送信側グランド電位GND_Sが印加される。そして、オペアンプ11の正入力端子には、交流電位差Vnが抵抗素子R2p及び抵抗素子R1pで分圧されて印加される。上述したように音信号Vには交流電位差Vnが重畳しているが、音信号入力部30Bを構成する差動増幅回路によって、音信号Vから交流電位差Vnがキャンセルされ、出力音信号Voutが生成される。これにより、CMRRを高くできる。
【0047】
また、第4実施形態において、データ信号Dの論理レベルがハイレベルとなりトランジスタQ1がオン状態になると、第1実施形態と同様に交流電位差Vnが第2ラインL2に混入する。第2ラインL2からデータ信号送信部20Aを見たときの第1インピーダンスZ1(抵抗素子R21の抵抗値)、第2ラインL2からデータ信号受信部40Bを見たときの第2インピーダンスZ2(定電流回路のインピーダンス)と用いて、送信ノードNsに混入するノイズ電圧Vxを表すと、ノイズ電圧Vxは、交流電位差Vnを第1インピーダンスZ1と第2インピーダンスZ2とで分圧したものとなり、Vx=Vn*Z1/(Z1+Z2)となる。
【0048】
従って、交流電位差Vnをキャンセルするための構成(この例では、音信号入力部30B)が受信装置200に設けられた信号伝送システム1Eにおいて、混入するノイズ電圧Vxを小さくするためには、第2インピーダンスZ2が第1インピーダンスZ1よりも大きいことが好ましい。また、第2送信側容量素子Cs2の容量値を大きくして第2送信側容量素子Cs2のインピーダンスを下げることは、周波数が高くなると抵抗素子R21の抵抗値を下げることと等価であり、音声帯域でのノイズ電圧Vxの混入を抑えるのに有効である。
【0049】
なお、上述した第4実施形態では、データ信号送信部20Aを送信装置100に設け、データ信号受信部40Bを受信装置200に設けて、送信装置100から受信装置200に向けてデータ信号Dを送信した。しかし、受信装置200から送信装置100に向けてデータ信号Dを送信してもよい。
【0050】
図8Bに第4実施形態の第1変形例に係る信号伝送システム1Fのブロック図を示す。信号伝送システム1Fは、送信装置100においてデータ信号送信部20Aの替わりに第1実施形態で説明したデータ信号受信部40A(詳細には
図1参照)を用いる点、及び受信装置200においてデータ信号受信部40Bの替わりに第2実施形態で説明したデータ信号送信部20B(詳細には
図6参照)を用いる点を除いて、信号伝送システム1Eと同様に構成されている。
【0051】
データ信号送信部20Bは定電流回路を有するので、第2ラインL2からデータ信号送信部20Bを見たときのインピーダンスは大きい。信号伝送システム1Fにおいて、第2ラインL2からデータ信号送信部20B(第2通信部)を見たときの第2インピーダンスは、第2ラインL2からデータ信号受信部40A(第1通信部)を見たときの第1インピーダンスより高い。従って、データ信号Dの論理レベルがハイレベルの場合にデータ信号受信部40Aを介して第2ラインL2に混入するノイズ電圧を抑圧することができる。
【0052】
また、上述した第4実施形態では、第2ラインL2を用いてデータ信号Dを送信したが、第1ラインL1を用いて受信装置200から送信装置100にデータ信号Dを送信してもよい。
【0053】
図8Cに第4実施形態の第2変形例に係る信号伝送システム1Gのブロック図を示す。信号伝送システム1Gは、送信装置100においてデータ信号受信部40Aが第2ラインL2の替わりに第1ラインL1に接続された点、及び受信装置200においてデータ信号送信部20Bが第2ラインL2の替わりに第1ラインL1に接続された点を除いて、信号伝送システム1Fと同様に構成されている。
【0054】
信号伝送システム1Gおいて、第1ラインL1からデータ信号送信部20B(第2通信部)を見たときの第2インピーダンスは、第1ラインL1からデータ信号受信部40A(第1通信部)を見たときの第1インピーダンスより高い。従って、データ信号Dの論理レベルがハイレベルの場合にデータ信号受信部40Aを介して第1ラインL1に混入するノイズ電圧を抑圧することができる。
【0055】
信号伝送システム1Gでは、受信装置200から送信装置100に向けてデータ信号Dを送信したが、送信装置100から受信装置200に向けてデータ信号Dを送信してもよい。
図8Dに第4実施形態の第3変形例に係る信号伝送システム1Hのブロック図を示す。信号伝送システム1Hは、データ信号受信部40Aの替わりにデータ信号送信部20Aを用いる点、及びデータ信号送信部20Bの替わりにデータ信号受信部40Bを用いる点を除いて、信号伝送システム1Gと同様に構成されている。
信号伝送システム1Hにおいて、第1ラインL1からデータ信号受信部40B(第2通信部)を見たときの第2インピーダンスは、第1ラインL1からデータ信号送信部20A(第1通信部)を見たときの第1インピーダンスより高い。従って、データ信号Dの論理レベルがハイレベルの場合にデータ信号送信部20Aを介して第1ラインL1に混入するノイズ電圧を抑圧することができる。
【0056】
<5.変形例>
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、以下に述べる各種の変形が可能である。また、各変形例と実施形態とは適宜相互に組み合わされてもよい。
(1)上述した第1実施形態及び第1実施形態の変形例、第2実施形態、並びに第3実施形態において、音信号出力部10Aには入力音信号Vinが入力される。ここで、入力音信号Vinを音信号出力部10Aに供給するバッファ回路の出力インピーダンスの周波数特性が高域周波数で低くなることがある。そのような場合には、交流電位差Vnを入力する側にバッファ回路と同じ周波数特性を有する素子を備えることが、CMRRを低下させない観点から好ましい。
図9は、変形例に係る音信号出力部10Aの周辺構成を示す回路図である。この例では、バッファ回路50Aは入力音信号Vinをローインピーダンスで、音信号出力部10Aに供給する。バッファ回路50Aにおいて、オペアンプ52の出力端子と負入力端子とが接続され、オペアンプ52の正入力端子は抵抗素子R51を介してバイアス電位Vccにバイアスされている。オペアンプ52はボルテージフォロアとして機能する。しかし、オペアンプ52のゲインの周波数特性が高域周波数で低下すると、高域周波数においてバッファ回路50Aの出力インピーダンスが高くなる。
【0057】
交流電位差Vnを音信号出力部10Aへ供給する側のインピーダンスが低域周波数においてバッファ回路50Aの出力インピーダンスと一致していても、高域周波数において不一致になると、高域周波数のCMRRが低下する。そこで、変形例では、交流電位差Vnを入力するオペアンプ11の正入力端子側にインダクタ12を追加した。具体的には、インダクタ12を介してバイアス電位Vccを抵抗素子R2pに供給している。インダクタ12は周波数が高くなると、インピーダンスが高くなる。従って、インダクタ12のインダクタンス値を調整することによって、高域周波数のCMRRを改善することができる。
交流電位差Vnを高い精度でキャンセルする条件をより一般的に考えると、以下のようになる。音信号出力部10Aのオペアンプ11に着目すると、オペアンプ11の正入力端子から第2ラインL2の側を見たときのインピーダンスをZ1p、正入力端子からバイアス電位Vccを印加する側を見たときのインピーダンスをZ2p、負入力端子から入力音信号Vinを供給する側を見たときのインピーダンスをZ1n、負入力端子から出力端子を見たときのインピーダンスをZ2nとしたとき、Z2p/Z1pと、Z2n/Z1nとが略等しい場合に、交流電位差Vnを高い精度でキャンセルすることができる。
【0058】
また、上述した第4実施形態及び第4実施形態の変形例において、バッファ回路として機能する送信装置100の音信号出力部10Bの出力インピーダンスの周波数特性が高域周波数で低くなることがある。そのような場合には、音信号出力部30Bにおいて交流電位差Vnを入力する側にバッファ回路と同じ周波数特性を有する素子を備えることが、CMRRを低下させない観点から好ましい。
具体的には、
図8Aにおいて、オペアンプ11の正入力端子側にインダクタ12を追加し、インダクタ12を介してバイアス電位Vccを抵抗素子R2pに供給すればよい。音信号出力部10Bのオペアンプ32のゲインが高域周波数で低下すると、高域周波数において音信号出力部10Bの出力インピーダンスが高くなる。インダクタ12は周波数が高くなると、インピーダンスが高くなる。従って、インダクタ12のインダクタンス値を調整することによって、高域周波数のCMRRを改善することができる。
上述した音信号出力部10Aのオペアンプ11と同様に音信号入力部30Bのオペアンプ11に着目すると、オペアンプ11の正入力端子から第2ラインL2の側を見たときのインピーダンスをZ1p、正入力端子からバイアス電位Vccを印加する側を見たときのインピーダンスをZ2p、負入力端子から音信号Vを供給する側を見たときのインピーダンスをZ1n、負入力端子から出力端子を見たときのインピーダンスをZ2nとしたとき、Z2p/Z1pと、Z2n/Z1nとが略等しい場合に、交流電位差Vnを高い精度でキャンセルすることができる。
【0059】
(2)上述した第1実施形態及び第1実施形態の変形例、第2実施形態、並びに第3実施形態において、入力音信号Vinはシングルエンド形式であったが、入力音信号Vinは差動形式であってもよい。
図10Aは、変形例に係る音信号出力部10Cの周辺構成を示す回路図である。音信号出力部10C(第1信号出力部)は、バッファ回路50A、バッファ回路50B、差動信号生成部60、及び音信号出力部10Aを備える。差動信号生成部60は、入力音信号Vinにもとづいて、正相信号V1と正相信号V1を反転した逆相信号V2を生成する。正相信号V1は容量素子Cpを介してバッファ回路50Bに入力され、逆相信号V2は容量素子Cnを介してバッファ回路50Aに入力される。
【0060】
バッファ回路50Bとバッファ回路50Aの構成は同一である。従って、バッファ回路50Bの出力インピーダンスの周波数特性とバッファ回路50Aの出力インピーダンスの周波数特性は、素子の抵抗値、素子の容量値などのバラツキによって僅かな相違があるが、略等しい。例えば、素子の抵抗値が0.1%のバラツキを有する場合が該当する。
ここで、バッファ回路50Aのオペアンプ52aとバッファ回路50Bのオペアンプ52bは同一のウエハから得られたものであることが、周波数特性を揃える観点から好ましい。バッファ回路50Bから出力される正相信号V1は抵抗素子R2pを介してオペアンプ11の正入力端子に供給され、バッファ回路50Aから出力される逆相信号V2は抵抗素子R1nを介してオペアンプ11の負入力端子に供給される。また、オペアンプ11の正入力端子には、抵抗素子R1pを介して受信側グランド電位GND_Rが供給される。正相信号V1及び逆相信号V2には、交流電位差Vnが同相ノイズとして重畳している。
正相信号V1が供給されるオペアンプ11の正入力端子から入力側を見たインピーダンスの周波数特性と、逆相信号V2が供給されるオペアンプ11の負入力端子から入力側を見たインピーダンスの周波数特性とが略等しい。この結果、オペアンプ52a及びオペアンプ52bのゲインの周波数特性が高域で低下しても、高域周波数においてCMRRが低下することを抑制できる。
なお、抵抗素子R1nを介してオペアンプ11の負入力端子に正相信号V1を供給し、抵抗素子R2pを介してオペアンプ11の正入力端子に逆相信号V2を供給してもよい。
【0061】
また、上述した第4実施形態及び第4実施形態の変形例において、音信号入力部30Bに供給される音信号Vはシングルエンド形式であったが、音信号Vは差動形式で音信号入力部30Bに供給されてもよい。
図10Bは、変形例に係る音信号入力部30Cの周辺構成を示す回路図である。音信号入力部30Cは、バッファ回路50A、バッファ回路50B、差動信号生成部60、及び音信号入力部30Bを備える。音信号入力部30Cは、
図10Aを参照して説明した音信号出力部10Cと同様に、この結果、オペアンプ52a及びオペアンプ52bのゲインの周波数特性が高域で低下しても、高域周波数においてCMRRが低下することを抑制できる。
【0062】
(3)
図10Aを参照して説明した第1実施形態及び第1実施形態の変形例、第2実施形態、並びに第3実施形態に関する変形例では、バッファ回路50B及びバッファ回路50Aから差動形式で入力音信号Vinを音信号出力部10Aに供給したが、バッファ回路50Bからバイアス電位Vccを出力し、バッファ回路50Aからシングルエンド形式の入力音信号Vinを出力してもよい。
図11Aは、変形例に係る音信号出力部10Dの構成を示す回路図である。音信号出力部10D(第1信号出力部)において、バッファ回路50Bのオペアンプ52bの正入力端子は、抵抗素子R51を介してバイアス電位Vccにバイアスされている。従って、バッファ回路50Bはバイアス電位Vccを出力する。
バッファ回路50Bの出力インピーダンスの周波数特性とバッファ回路50Aの出力インピーダンスの周波数特性は略等しい。ここで、バッファ回路50Aのオペアンプ52aとバッファ回路50Bのオペアンプ52bは同一のウエハから得られたものであることが、周波数特性を等しくする観点から好ましい。バッファ回路50Bから出力されるバイアス電位Vccは抵抗素子R2pを介してオペアンプ11の正入力端子に供給され、バッファ回路50Aから出力される入力音信号Vinは抵抗素子R1nを介してオペアンプ11の負入力端子に供給される。交流電位差Vnが重畳したバイアス電位Vccが供給されるオペアンプ11の正入力端子から入力側を見たインピーダンスの周波数特性と、交流電位差Vnが重畳した入力音信号Vinが供給されるオペアンプ11の負入力端子から入力側を見たインピーダンスの周波数特性とを略同一にすることができる。この結果、オペアンプ52a及びオペアンプ52bのゲインの周波数特性が高域で低下しても、高域周波数においてCMRRの低下を低減することができる。
【0063】
また、上述した音信号入力部30C(
図10B参照)では、バッファ回路50B及びバッファ回路50Aから差動形式で音信号Vを音信号入力部30Bに供給したが、バッファ回路50Bからバイアス電位Vccを出力し、バッファ回路50Aからシングルエンド形式の音信号Vを出力してもよい。
図11Bは、変形例に係る音信号入力部30Dの構成を示す回路図である。音信号入力部30Dは、バッファ回路50A、バッファ回路50B、及び音信号入力部30Bを備える。音信号入力部30Dは、
図11Aを参照して説明した音信号出力部10Dと同様に、オペアンプ52a及びオペアンプ52bのゲインの周波数特性が高域で低下しても、高域周波数においてCMRRが低下することを抑制できる。
【0064】
(4)上述した各実施形態では、バイポーラ型のトランジスタを例示して説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、ユニポーラ型のトランジスタを用いてもよい。例えば、NPN型のバイポーラトランジスタの替わりに、Nチャネルの電界効果トランジスタを用いてもよい。また、PNP型のバイポーラトランジスタの替わりに、Pチャネルの電界効果トランジスタを用いてもよい。
【0065】
(5)上述した各実施形態では、第1ラインL1及び第2ラインL2を用いて伝送する伝送信号の一例として、アナログの音信号を例示して説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。伝送信号は、例えば、デジタル信号であってもよいし、アナログの映像信号であってもよいし、デジタルの音信号であってもよい。即ち、第1ラインL1を用いてアナログ信号又はデジタル信号の第1信号を送信装置100から受信送信200に送信するものであってもよい。
【0066】
(6)上述した各実施形態では、データ信号Dは2値の論理レベルを表すものであったが、3値以上の直流電流を制御してもよい。この場合、データ信号送信部20A及び20Bは、定電流源を組み合わせて、伝送すべきデータ信号に応じた直流電流を出力するように構成してもよい。また、データ信号送信部20A及び20Bは、R−2R型のラダー抵抗を用いたDA変換器で構成してもよい。このDA変換器はで電圧を入力し、3値以上の直流電流を出力する。
【0067】
(7)上述した各実施形態の信号伝送システム1A、1B、1C、1D及び1Eは、車両における緊急通報システムに適用することができる。緊急通報システムは、車両で緊急事態が発生した場合に車両と管理センタとの間で通信するシステムである。緊急通報システムは、音声を示す音信号及びデータを管理センタとの間で送受信する通信装置と、マイク及びスピーカに接続される音声処理装置とを備える。
通信装置から音声処理装置への音信号の伝送に、第1ラインL1を使用して通信装置(上述した送信装置)から音声処理装置(上述した受信装置)へ音信号を伝送することにより、管理センタからの音声をスピーカから放音することができる。
また、通信装置が何らかの故障を検出した場合、第1ラインL1又は第2ラインL2データ信号の送信を利用して故障の有無を音声処理装置へ伝送することができる。さらに、データ信号の送信部を音声処理装置に設け、データ信号の受信部を通信装置に設ければ、音声処理装置が検出した故障を通信装置へ伝えることができる。
【0068】
(8)上述した各実施形態及び各変形例では、第1ラインL1又は第2ラインL2の一方を用いて、データ信号Dを送信装置100から受信装置200に向かって送信し、又はデータ信号Dを受信装置200から送信装置100に向かって送信した。しかしながら、第1ラインL1を用いてデータ信号Dを送信装置100から受信装置200に向かって送信し、第2ラインL2を用いてデータ信号Dを受信装置200から送信装置100に向かって送信してもよい。また、第2ラインL2を用いてデータ信号Dを送信装置100から受信装置200に向かって送信し、第1ラインL1を用いてデータ信号Dを受信装置200から送信装置100に向かって送信してもよい。
【0069】
(9)上述した各実施形態及び各変形例において、送信装置100に設けられたデータ信号送信部20A及び20B、並びにデータ信号受信部40A及び40Bは、送信装置100からデータ信号D(第2信号)を受信装置200に向けて送信し、又は第2ラインL2に流れる直流電流の大きさを検出することによって受信装置200からデータ信号Dを受信する通信部(第1通信部)として機能する。
また、受信装置200に設けられたデータ信号送信部20A及び20B、並びにデータ信号受信部40A及び40Bは、受信装置200からデータ信号D(第2信号)を送信装置200に向けて送信し、又は第2ラインL2に流れる直流電流の大きさを検出することによって送信装置200からデータ信号Dを受信する通信部(第2通信部)として機能する。
【0070】
<6.各実施形態及び各変形例の少なくとも1つから把握される態様>
上述した各実施形態及び各変形例の少なくとも1つから以下の態様が把握される。
送信装置の一態様は、第1ラインを介して第1信号を受信装置に向けて出力する第1信号出力部と、前記受信装置のグランド電位が印加される受信側グランドノードと前記第1信号出力部とを交流接続する第2ラインに接続され、第2信号の論理レベルに応じた大きさの直流電流を前記第2ラインに流すことによって当該送信装置から前記第2信号を前記受信装置に向けて送信し、又は前記第2ラインに流れる直流電流の大きさを検出することによって前記受信装置から第2信号を受信する通信部と、を備える。
【0071】
第1信号とは別の第2信号を、第1ラインに流れる直流電流の大きさによって送信又は受信すると、受信装置のグランド電位と送信装置のグランド電位との間の交流電位差がノイズ電圧として第1ラインに混入してしまう。また、第2信号の論理レベルに応じて第1ラインに流れる直流電流を変化させると、直流電流が第1信号に応じて変調されてしまう。このため、受信装置において、交流成分をフィルタリングして第2信号を生成する必要がある。
この態様によれば、第2ラインを用いて第2信号を送信装置と受信装置との間で送信又は受信するので、第1ラインを用いて第2信号を送信する場合と比較して、第1信号に混入するノイズ電圧を抑圧することができる。また、第2ラインは受信側グランドノードと交流接続したものであるので、第2信号を送信するための直流電流が第1信号によって変調されることもなく、第2ラインに流れる直流電流を検出し、検出結果の基づいて簡易にデータ信号を生成することができる。
【0072】
上述した送信装置の一態様は、前記通信部は、前記通信部は、第1通信部であり、前記受信装置は、前記第2ラインと接続され、前記第2信号の論理レベルに応じた大きさの直流電流を前記第2ラインに流すことによって前記受信装置から前記第2信号を当該送信装置に向けて送信し、又は前記第2ラインに流れる直流電流の大きさを検出することによって当該送信装置から第2信号を受信する第2通信部を備え、前記第1信号出力部は、前記第2ラインを介して得られた前記受信装置のグランド電位を用いて、当該送信装置のグランド電位と前記受信装置のグランド電位との間の交流の電位差である交流電位差が重畳した入力信号から、前記交流電位差をキャンセルして前記第1信号を生成し、前記第2ラインから前記第1通信部を見たときの第1インピーダンスは、前記第2ラインから前記第2通信部を見たときの第2インピーダンスと比較して高い、ことが好ましい。
第2ラインに流れる直流電流の大きさによって第2信号を送信する場合、直流電流を送信装置の送信側グランドノードに流す経路が必要になる。この経路を介して交流電位差が第2ラインにノイズ電圧として混入する。ノイズ電圧は、交流電位差を第1インピーダンスと第2インピーダンスとで分圧されたものとなる。この態様では、交流電位差をキャンセルする送信装置の第1通信部の第1インピーダンスが第2インピーダンスよりも高いので、第2ラインに混入するノイズ電圧を抑圧することができる。
【0073】
上述した送信装置の一態様は、前記第1通信部は、前記第2信号の論理レベルに応じた大きさの直流電流を前記第2ラインに流す定電流回路を備えることが好ましい。
定電流回路を採用することによって、第2ラインから第1通信部を見たときの第1インピーダンスを大きくすることができるので、交流電位差が第2ラインに混入することによって生ずるノイズ電圧を抑圧することができる。この結果、第1信号のSN比を高くすることができる。
【0074】
上述した送信装置の他の態様は、受信装置のグランド電位が印加される受信側グランドノードと交流接続する第2ラインと接続され、前記第2ラインを介して得られた前記受信装置のグランド電位を用いて、当該送信装置のグランド電位と前記受信装置のグランド電位との間の交流の電位差である交流電位差が重畳した入力信号から、前記交流電位差をキャンセルして第1信号を生成し、第1ラインを介して前記第1信号を前記受信装置に向けて出力する第1信号出力部と、第2信号の論理レベルに応じた大きさの直流電流を前記第1ラインに流す定電流回路を有し、当該送信装置から前記第2信号を前記受信装置に向けて送信する通信部と、を備える。
この態様によれば、送信装置は、第2信号の論理レベルに応じた大きさの直流電流を第1ラインに流す定電流回路を有する。交流電位差は、定電流回路のインピーダンスと第1ラインのインピーダンスとで分圧され、分圧された電圧がノイズとして第1ラインに混入する。定電流回路のインピーダンスは大きいので、第1ラインに混入されるノイズ電圧を抑圧することができる。
【0075】
上述した送信装置の一態様又は他の態様は、前記第1信号出力部は、正入力端子と、負入力端子と。前記負入力端子と抵抗素子を介して接続される出力端子とを有するオペアンプを備え、前記入力信号は、抵抗素子を介して前記負入力端子に供給され、バイアス電位が少なくとも抵抗素子を介して前記正入力端子に印加され、前記正入力端子から前記第2ラインの側を見たときのインピーダンスをZ1p、前記正入力端子から前記バイアス電位を印加する側を見たときのインピーダンスをZ2p、前記負入力端子から前記入力信号を供給する側を見たときのインピーダンスをZ1n、前記負入力端子から前記出力端子を見たときのインピーダンスをZ2nとしたとき、Z2p/Z1pと、Z2n/Z1nとが略等しい、ことが好ましい。
この態様によれば、Z2p/Z1pと、Z2n/Z1nとが略等しいので、交流電位差が重畳する入力信号から交流電位差をキャンセルすることができる。この結果、CMRRを改善することができる。
【0076】
上述した送信装置の一態様又は他の態様は、前記第1信号出力部は、負入力端子と、抵抗素子及び前記第2ラインを介して前記受信側グランドノードと交流接続され、且つ前記交流電位差が重畳するバイアス電位が抵抗素子を介して印加される正入力端子と、を有するオペアンプと、前記入力信号に基づいて、正相信号と前記正相信号を反転した逆相信号とを生成する差動信号生成回路と、前記正相信号を前記オペアンプの前記正入力端子又は前記負入力端子のいずれか一方に抵抗素子を介して供給する第1バッファ回路と、前記逆相信号を前記オペアンプの前記正入力端子又は前記負入力端子のいずれか他方に抵抗素子を介して供給し、前記第1バッファ回路と略等しい出力インピーダンスを有する第2バッファ回路と、を備える、ことが好ましい。
この態様によれば、第1バッファ回路と第2バッファ回路との出力インピーダンスが略等しいので、正相信号に重畳する交流電位差と逆相信号に重畳する交流電位差を同相ノイズとして高い精度でキャンセルすることができる。
【0077】
上述した送信装置の一態様は、前記第1信号出力部は、負入力端子と、抵抗素子及び前記第2ラインを介して前記受信側グランドノードと交流接続される正入力端子と、を有するオペアンプと、前記入力信号を前記オペアンプの前記負入力端子に抵抗素子を介して供給する第1バッファ回路と、前記交流電位差が重畳するバイアス電位を前記オペアンプの前記正入力端子に抵抗素子を介して印加し、前記第1バッファ回路と略等しい出力インピーダンスを有する第2バッファ回路と、を備えることが好ましい。
この態様によれば、第1バッファ回路と第2バッファ回路の出力インピーダンスが略等しいので、第1バッファ回及び第2バッファ回路の出力インピーダンスが高域周波数で大きくなっても、高い精度で交流電位差をキャンセルすることができる。
【0078】
受信装置の一態様は、送信装置から第1ラインを介して受信した第1信号が入力する第1信号入力部と、前記送信装置のグランド電位が印加される送信側グランドノードと前記第1信号入力部とを交流接続する第2ラインに接続され、第2信号の論理レベルに応じた大きさの直流電流を前記第2ラインに流すことによって当該受信装置から前記第2信号を前記送信装置に向けて送信し、又は前記第2ラインに流れる直流電流の大きさを検出することによって前記送信装置から第2信号を受信する通信部と、を備える。
この態様によれば、第2ラインを用いて第2信号を送信装置と受信装置との間で送信又は受信するので、第1ラインを用いて第2信号を送信又は受信する場合と比較して、第1信号に混入するノイズ電圧を抑圧することができる。また、第2ラインは受信側グランドノードと前記送信側グランドノードとを交流接続したものであるので、第2信号を送信するための直流電流が第1信号によって変調されない。よって、この態様によれば、第2ラインに流れる直流電流を検出し、検出結果の基づいて簡易に第2信号を生成することができる。
【0079】
上述した受信装置の一態様は、前記通信部は、第2通信部であり、前記送信装置は、前記第2ラインと接続され、前記第2信号の論理レベルに応じた大きさの直流電流を前記第2ラインに流すことによって前記受信装置から前記第2信号を当該送信装置に向けて送信し、又は前記第2ラインに流れる直流電流の大きさを検出することによって当該送信装置から第2信号を受信する第1通信部を備え、前記第1信号入力部は、前記第2ラインを介して得られた前記送信装置のグランド電位を用いて、当該受信装置のグランド電位と前記送信装置のグランド電位との間の交流の電位差である交流電位差が重畳した第1信号から、前記交流電位差をキャンセルして出力信号を生成し、前記第2ラインから前記第2通信部を見たときの第2インピーダンスは、前記第2ラインから前記第1通信部を見たときの第1インピーダンスと比較して高い、ことが好ましい。
第2ラインに流れる直流電流の大きさによって第2信号を送信する場合、直流電流を送信装置の送信側グランドノードに流す経路が必要になる。この経路を介して交流電位差が第2ラインにノイズ電圧として混入する。ノイズ電圧は、交流電位差を第1インピーダンスと第2インピーダンスとで分圧されたものとなる。この態様では、この態様では、交流電位差をキャンセルする受信装置の第2通信部の第2インピーダンスが第1インピーダンスよりも高いので、第2ラインに混入するノイズ電圧を抑圧することができる。
【0080】
上述した 受信装置の一態様は、前記第2通信部は、前記第2信号の論理レベルに応じた大きさの直流電流を前記第2ラインに流す定電流回路を備えることが好ましい。
定電流回路を採用することによって、第2ラインから第2通信部を見たときの第2インピーダンスを大きくすることができるので、交流電位差が第2ラインに混入することによって生ずるノイズ電圧を抑圧することができる。この結果、出力信号のSN比を高くすることができる。
【0081】
受信装置の他の態様は、送信装置のグランド電位が印加される送信側グランドノードと交流接続する第2ラインに接続され、前記第2ラインを介して得られた前記送信装置のグランド電位を用いて、当該受信装置のグランド電位と前記送信装置のグランド電位との間の交流の電位差である交流電位差が重畳した第1力信号から、前記交流電位差をキャンセルして出力信号を生成し、前記出力信号を出力する第1信号入力部と、第2信号の論理レベルに応じた大きさの直流電流を前記第1ラインに流す定電流回路を有し、当該受信装置から前記第2信号を前記送信装置に向けて送信する通信部と、を備える。
この態様によれば、受信装置は、第2信号の論理レベルに応じた大きさの直流電流を第1ラインに流す定電流回路を有する。交流電位差は、定電流回路のインピーダンスと第1ラインのインピーダンスとで分圧され、分圧された電圧がノイズとして第1ラインに重畳する。定電流回路のインピーダンスは大きいので、第1ラインに混入されるノイズ電圧を抑圧することができる。
【0082】
上述した受信装置の一態様は、前記第1信号入力部は、正入力端子と、負入力端子と、前記負入力端子と抵抗素子を介して接続される出力端子とを有するオペアンプを備え、
前記第1信号は、抵抗素子を介して前記負入力端子に供給され、バイアス電位が少なくとも抵抗素子を介して前記正入力端子に印加され、前記正入力端子から前記第2ラインの側を見たときのインピーダンスをZ1p、前記正入力端子から前記バイアス電位を印加する側を見たときのインピーダンスをZ2p、前記負入力端子から前記第1信号を供給する側を見たときのインピーダンスをZ1n、前記負入力端子から前記出力端子を見たときのインピーダンスをZ2nとしたとき、Z2p/Z1pと、Z2n/Z1nとが略等しい、
ことが好ましい。
この態様によれば、負入力端子から第1信号を供給する側を見たときのインピーダンスと、正入力端子から交流電位差を印加する側を見たときのインピーダンスとは、略等しいので、第1信号に重畳する交流電位差の周波数特性と、キャンセルすべき交流電位差の周波数特性を略等しくできるので、CMRRを高くすることができる。
【0083】
上述した受信装置の一態様は、前記第1信号入力部は、負入力端子と、抵抗素子及び前記第2ラインを介して前記送信側グランドノードと交流接続され、且つ前記交流電位差が重畳するバイアス電位が抵抗素子を介して印加される正入力端子と、を有するオペアンプと、前記第1信号に基づいて、正相信号と前記正相信号を反転した逆相信号とを生成する差動信号生成回路と、前記正相信号を前記オペアンプの前記正入力端子又は前記負入力端子のいずれか一方に抵抗素子を介して供給する第1バッファ回路と、前記逆相信号を前記オペアンプの前記正入力端子又は前記負入力端子のいずれか他方に抵抗素子を介して供給し、前記第1バッファ回路と略等しい出力インピーダンスを有する第2バッファ回路と、
を備える。
この態様によれば、第1バッファ回路と第2バッファ回路との出力インピーダンスが略等しいので、正相信号に重畳する交流電位差と逆相信号に重畳する交流電位差を同相ノイズとして高い精度でキャンセルすることができる。
【0084】
上述した受信装置の一態様は、前前記第1信号入力部は、負入力端子と、抵抗素子及び前記第2ラインを介して前記送信側グランドノードと交流接続される正入力端子と、を有するオペアンプと、前記第1信号を前記オペアンプの前記負入力端子に抵抗素子を介して供給する第1バッファ回路と、前記交流電位差が重畳するバイアス電位を前記オペアンプの前記正入力端子に抵抗素子を介して印加し、前記第1バッファ回路と略等しい出力インピーダンスを有する第2バッファ回路と、を備える。
この態様によれば、第1バッファ回路と第2バッファ回路の出力インピーダンスが略等しいので、第1バッファ回及び第2バッファ回路の出力インピーダンスが高域周波数で大きくなっても、高い精度で交流電位差をキャンセルすることができる。