(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
すなわち、特許文献1に開示される第2の形態のスラスト軸受においては、ベース板の外面を内周側から外周側へ向かう冷却流体の流れと、ベース板の外面を外周側から内周側へ向かう冷却流体の流れとが、混在する。そのため、特許文献1の構成では、冷却流体の流れが淀み、軸方向一方側のベース板および軸方向他方側のベース板のいずれか一方に流れが偏ってしまう場合があった。冷却流体の流れが一方のベース板に偏った場合、スラスト軸受の冷却が十分に行われず、スラスト軸受の焼付きが生じてしまう虞があった。
【0005】
本開示の目的は、スラスト気体軸受を効率よく冷却できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の態様は、軸部(15)に固定される鍔部(17)と、前記鍔部(17)の軸方向一端面に対向する第1ベース部(61)と、前記鍔部(17)と前記第1ベース部(61)との間に形成される第1気体膜形成部(63)と、前記鍔部(17)の軸方向他端面に対向する第2ベース部(62)と、前記鍔部(17)と前記第2ベース部(62)との間に形成される第2気体膜形成部(64)と、流体が流れる冷却流路(67)と、を備えるスラスト気体軸受(60)である。前記冷却流路(67)は、第1流路(61b)と、第2流路(62b)とを含む。前記第1流路(61b)は、前記第1ベース部(61)の軸方向一端側に形成されるとともに、該第1ベース部(61)の軸心側から外周側に延びる。前記第2流路(62b)は、前記第2ベース部(62)の軸方向他方側に形成されるとともに、該第2ベース部(62)の外周側から軸心側に延びる。前記第2流路(62b)は、前記第1流路(61b)の下流に位置する。
【0007】
第1の態様では、流体は、第1流路(61b)、第2流路(62b)の順に直列に流れる。このため、流体が第1流路(61b)、および第2流路(62b)のうちの一方に偏流してしまうことを抑制できる。その結果、第1気体膜形成部(63)および第2気体膜形成部(64)を効率よく冷却できる。
【0008】
本開示の第2の態様は、上記第1の態様のスラスト気体軸受(60)において、前記第1流路(61b)は、前記第1ベース部(61)の軸方向一端側の面に形成される第1溝(61c)を含む。前記第2流路(62b)は、前記第2ベース部(62)の軸方向他端側の面に形成される第2溝(62c)を含む。
【0009】
第2の態様では、第1ベース部(61)および第2ベース部(62)の外側の面に沿って冷却用の流体を流すことにより、ベース部(61, 62)内部の気体膜形成部(63, 64)を間接的に冷却することができる。
【0010】
本開示の第3の態様は、上記第2の態様のスラスト気体軸受(60)において、前記第1流路(61b)は、径方向に延びるとともに周方向に間隔をあけて配置される複数の前記第1溝(61c)を含む。前記第2流路(62b)は、径方向に延びるとともに周方向に間隔をあけて配置される複数の前記第2溝(62c)を含む。
【0011】
第3の態様では、気体膜形成部(63, 64)の軸方向における両側を、ベース部(61, 62)を介して効率よく冷却することができる。
【0012】
本開示の第4の態様は、上記第1〜第3の態様のいずれか一つのスラスト気体軸受(60)において、前記第1気体膜形成部(63)および前記第2気体膜形成部(64)の少なくとも一方は、トップフォイル(63a, 64a)と、前記トップフォイル(63a, 64a)を弾性的に支持するバンプフォイル(63b, 64b)と、を有する。
【0013】
第4の態様では、トップフォイル(63a, 64a)を弾性的に支持するバンプフォイル(63b, 64b)に気体を通過させることにより、効率よく冷却することができる。
【0014】
本開示の第5の態様は、上記第1〜第4の態様のいずれか一つのスラスト気体軸受(60)と、電動機(18)と、前記電動機(18)に連結する前記軸部(15)と、前記軸部(15)によって駆動される圧縮機構(19)と、ラジアル気体軸受(40, 50)とを備える遠心型圧縮機(10)である。前記ラジアル気体軸受(40, 50)は、前記軸部(15)上に位置するとともに、前記スラスト気体軸受(60)よりも軸方向他方側に位置する。前記冷却流路(67)は、前記ラジアル気体軸受(40)に形成される第3流路(43d)を含む。前記第3流路(43d)は、前記第2流路(62b)の下流に位置する。
【0015】
第5の態様では、冷却用の流体が、第1流路(61b)、第2流路(62b)、および第3流路(43d)を順に通る一連の流れにより、スラスト気体軸受(60)だけではなく、ラジアル気体軸受(40)をも効率よく冷却することができる。
【0016】
本開示の第6の態様は、第5の態様の遠心型圧縮機(10)において、前記ラジアル気体軸受(40)は、軸方向に筒状に延びる筒状気体膜形成部(41)と、前記筒状気体膜形成部(41)を径方向外側から覆う第3ベース部(43)と、を備える。前記第3ベース部(43)は、前記第3流路(43d)を有する。
【0017】
第6の態様では、第3ベース部(43)が有する第3流路(43d)に冷却用の流体を流すことにより、第3ベース部(43)の径方向内側の筒状気体膜形成部(41)を間接的に冷却することができる。
【0018】
本開示の第7の態様は、第6の態様の遠心型圧縮機(10)において、前記第3流路(43d)は軸方向に延びる。前記第3ベース部(43)には、周方向に間隔をあけて、複数の前記第3流路(43d)が配列される。
【0019】
第7の態様では、筒状気体膜形成部(41)の全周を均一に冷却することが容易となる。
【0020】
本開示の第8の態様は、第5〜第7の態様のいずれか一つの遠心型圧縮機(10)を有し、冷媒が循環して冷凍サイクルを行う冷媒回路(150)を備える冷凍装置(100)である。前記冷媒回路(150)は、前記冷媒を前記冷却流路(67)に供給する供給路(91)を含んでいる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
≪第1実施形態≫
本開示の一つの実施形態について説明する。
【0023】
≪実施形態≫
<1.冷凍装置の概要>
初めに、本実施形態に係る冷凍装置(100)について、
図1を参照して説明する。
図1は、冷凍装置(100)の冷媒回路(150)を示す概略図である。冷凍装置(100)は、本開示の実施の一形態に係る遠心型圧縮機(10)を備える。冷凍装置(100)は、冷媒が充填される冷媒回路(150)を備える。冷媒回路(150)は、冷媒が循環することで蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行う。冷媒回路(150)は、遠心型圧縮機(10)と、凝縮器(7)と、第1膨張弁(71)と、蒸発器(8)と、主回路(90)と、分岐回路(供給路)(91)と、第2膨張弁(72)と、ヒータ(73)と、戻り回路(92)と、副回路(93)と、を備える。
【0024】
図1および
図2に示す遠心型圧縮機(10)は、互いに直列に接続される低圧側インペラ(11)と高圧側インペラ(12)とを備える。遠心型圧縮機(10)は、低圧側インペラ(11)と高圧側インペラ(12)とにより、冷媒を二段階で圧縮する。すなわち、低圧側インペラ(11)と高圧側インペラ(12)とで、圧縮機構(19)が構成される。遠心型圧縮機(10)については、後に詳述する。
【0025】
図1に示す凝縮器(7)および蒸発器(8)は、クロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器である。凝縮器(7)および蒸発器(8)の近傍にはそれぞれ、送風ファンが設けられている。第1膨張弁(71)および第2膨張弁(72)はそれぞれ、開度が調整可能な電子制御弁である。ヒータ(73)は、公知の構成の加熱装置である。
【0026】
遠心型圧縮機(10)と、凝縮器(7)と、第1膨張弁(71)と、蒸発器(8)とが、主配管(80)によって順次接続されて、主回路(90)をなしている。主配管(80)の内部には、冷媒が流れる。主配管(80)における凝縮器(7)と第1膨張弁(71)との間の位置には、分岐配管(81)の一端が接続される。分岐配管(81)の内部には、冷媒が流れる。分岐配管(81)の中途部には、一端から近い側から順に、第2膨張弁(72)と、ヒータ(73)とが位置している。分岐配管(81)の他端は、遠心型圧縮機(10)の高圧側インペラ(12)のすぐ背面の空間に接続される。分岐配管(81)と、第2膨張弁(72)と、ヒータ(73)とで、分岐回路(91)をなしている。
【0027】
主配管(80)における蒸発器(8)と遠心型圧縮機(10)との間の位置には、戻り配管(82)の一端が接続される。戻り配管(82)の内部には、冷媒が流れる。戻り配管(82)の他端は、後述するケーシング(13)内において、遠心型圧縮機(10)の軸部(15)の軸方向中央部の近傍に位置する。戻り配管(82)が、戻り回路(92)をなしている。
【0028】
副回路(93)は、副配管(83)を有する。副配管(83)は、一端が後述する低圧側インペラ室(21)の外周部に接続され、他端が後述する高圧側インペラ室(22)の中央部に接続される。副配管(83)は、低圧側インペラ室(21)の吐出側と高圧側インペラ室(22)の吸入側とを接続する。
【0029】
<2.遠心型圧縮機の概略構成>
以下では、本実施形態に係る遠心型圧縮機(10)について、
図2を参照して説明する。
図2は、遠心型圧縮機(10)の縦断面図である。なお、以下の説明においては、遠心型圧縮機(10)の軸部(15)が延びる方向を軸方向、軸方向に垂直な方向を径方向、軸部(15)の周囲に沿う方向を周方向、とそれぞれ称する場合がある。ただし、これらの方向の規定は、遠心型圧縮機(10)の使用時や組付け時の向き等を限定するものではない。
【0030】
遠心型圧縮機(10)は、ケーシング(13)と、固定子(14)と、回転子(16)と、軸部(15)と、低圧側インペラ(11)と、高圧側インペラ(12)と、第1ラジアル気体軸受(40)と、第2ラジアル気体軸受(50)と、スラスト気体軸受(60)とを備える。
【0031】
ケーシング(13)は、遠心型圧縮機(10)を構成するその他の部材を内部に収容する。ケーシング(13)は、胴部(130)と、第1閉塞部材(131)と、第2閉塞部材(132)とを有する。胴部(130)は、軸方向に延びる概ね筒状の部材である。胴部(130)の軸方向一方側は、第1閉塞部材(131)により閉塞される。第1閉塞部材(131)と、上述の高圧側インペラ(12)との間に、高圧側インペラ室(22)が形成される。胴部(130)の軸方向他方側は、第2閉塞部材(132)により閉塞される。第2閉塞部材(132)と、上述の低圧側インペラ(11)との間に、低圧側インペラ室(21)が形成される。
【0032】
固定子(14)は、概ね円筒状である。固定子(14)は、胴部(130)の軸方向中央部において、胴部(130)の内周面に固定される。回転子(16)は、概ね円筒状である。回転子(16)は、固定子(14)の径方向内側に配置される。回転子(16)は、固定子(14)と径方向に間隔をあけて、配置される。固定子(14)および回転子(16)のいずれか一方には、磁石が設けられる。固定子(14)および回転子(16)のいずれか他方には、コイルが設けられる。固定子(14)と回転子(16)との間における、磁束と電流との相互作用によって、回転子(16)が固定子(14)に対して回転する。
【0033】
軸部(15)は、軸方向に延びる。軸部(15)は、回転子(16)の径方向内側に位置する。軸部(15)は、言わばモータシャフトである。すなわち、固定子(14)と回転子(16)とを合わせたものが、電動機(18)をなしており、これに軸部(15)が連結される。軸部(15)は、回転子(16)と同一回転数で、同一方向に回転する。軸部(15)の軸方向一方側の先端部には、高圧側インペラ(12)が固定される。軸部(15)の軸方向他方側の先端部には、低圧側インペラ(11)が固定される。
【0034】
第1ラジアル気体軸受(40)は、軸方向において回転子(16)と高圧側インペラ(12)との間に位置する。第1ラジアル気体軸受(40)は、軸部(15)と胴部(130)との間に筒状の気体膜を形成することにより、軸部(15)の軸方向一方側を胴部(130)に対して回転可能に支持する。
【0035】
第2ラジアル気体軸受(50)は、軸方向において回転子(16)と低圧側インペラ(11)との間に位置する。第2ラジアル気体軸受(50)は、軸部(15)と胴部(130)との間に筒状の気体膜を形成することにより、軸部(15)の軸方向他方側を胴部(130)に対して回転可能に支持する。第2ラジアル気体軸受(50)は、第1ラジアル気体軸受(40)と同等の構成を有する。したがって、以下においては、重複説明を避けるため第1ラジアル気体軸受(40)の具体的構成についてのみ触れる。第1ラジアル気体軸受(40)の詳細な構成については、後述する。
【0036】
スラスト気体軸受(60)は、軸方向において第1ラジアル気体軸受(40)と高圧側インペラ(12)との間に位置する。
図2および
図3に示すように、スラスト気体軸受(60)は、ベース部(61, 62)と、ベース部(61, 62)内に収容される気体膜形成部(63, 64)とを、有する。スラスト気体軸受(60)は、後述する鍔部(17)と、ベース部(61, 62)との間に、平板状の気体膜を形成することにより、軸部(15)のスラスト荷重を規制(吸収)する。スラスト気体軸受(60)の詳細な構成については、後述する。
【0037】
以上のような構成の遠心型圧縮機において、従来、スラスト気体軸受の焼付きを防止するために、気体膜形成部を冷却する構成を備える場合があった。具体的には、気体膜形成部を収容するベース部の外面に沿って、空気などの冷却流体を流すことにより、ベース部内の気体膜形成部を冷却することが考えられる。しかしながら、ベース部の軸方向一方側と他方側とで、冷却流体の流量に偏りが生じると、どちらかの面で焼付きが生じてしまうという問題があった。この点、本開示の遠心型圧縮機(10)では、気体膜形成部を偏りなく冷却し、焼付き等の発生を防止するための、工夫をしている。以下では、この本開示に係る構成について、詳細に説明する。
【0038】
<3.スラスト気体軸受の詳細な構成>
以下では、スラスト気体軸受(60)の詳細な構成について、
図3〜
図7を参照して説明する。
図3は、スラスト気体軸受(60)の分解斜視図である。
図4は、第1ベース部(61)を軸方向一方側から見た図である。
図5は、第2ベース部(62)を軸方向他方側から見た図である。
図6は、スラスト気体軸受(60)の詳細な構成を示す拡大断面図である。
図7は、スラスト気体軸受(60)の気体膜形成部(63, 64)の構成を示す模式図である。
【0039】
図6に示すように、スラスト気体軸受(60)は、軸部(15)に相対回転不能に固定される鍔部(17)に対して、取り付けられる。別の言い方をすれば、スラスト気体軸受(60)は、軸部(15)のいわゆるスラストランナに対して取り付けられる。鍔部(17)は、軸方向に見たときに、軸部(15)の径方向外側に広がる円環状である。鍔部(17)は、軸方向に一定の厚みを有する。
【0040】
図3および
図6に示すように、スラスト気体軸受(60)は、第1気体膜形成部(63)と、第2気体膜形成部(64)と、第1ベース部(61)と、第2ベース部(62)と、スペーサ(65)と、カバー(66)とを備える。
【0041】
第1気体膜形成部(63)は、鍔部(17)の軸方向一方側に配置される。第1気体膜形成部(63)は、鍔部(17)と後述する第1ベース部(61)との間に形成される。第1気体膜形成部(63)は、
図7に示す第1トップフォイル(63a)と第1バンプフォイル(63b)とを含む。第1トップフォイル(63a)は、軸方向に見たときに円環状である。第1トップフォイル(63a)は、軸方向に厚みを有する平板状である。第1トップフォイル(63a)は、軸方向において鍔部(17)のすぐ一方側に位置する。第1トップフォイル(63a)は、軸方向に移動可能である。
【0042】
第1バンプフォイル(63b)は、軸方向に見たときに円環状である。第1バンプフォイル(63b)は、径方向に見たときに、軸方向一方側に凸の部分と、軸方向他方側に凸の部分とが、交互に繋がる、波形状である。軸方向に荷重が掛かったとき、第1バンプフォイル(63b)は弾性変形可能である。第1バンプフォイル(63b)は、軸方向において、第1トップフォイル(63a)を挟んで鍔部(17)とは反対側に位置する。第1バンプフォイル(63b)は第1トップフォイル(63a)を弾性的に支持する。
【0043】
第2気体膜形成部(64)は、鍔部(17)の軸方向他方側に配置される。第2気体膜形成部(64)は、鍔部(17)と後述する第2ベース部(62)との間に形成される。第2気体膜形成部(64)は、
図7に示す第2トップフォイル(64a)と第2バンプフォイル(64b)とを含む。第2トップフォイル(64a)は、軸方向に見たときに円環状である。第2トップフォイル(64a)は、軸方向に厚みを有する平板状である。第2トップフォイル(64a)は、軸方向において鍔部(17)のすぐ他方側に位置する。第2トップフォイル(64a)は、軸方向に移動可能である。
【0044】
第2バンプフォイル(64b)は、軸方向に見たときに円環状である。第2バンプフォイル(64b)は、径方向に見たときに、軸方向一方側に凸の部分と、軸方向他方側に凸の部分とが、交互に繋がる、波形状である。軸方向に荷重が掛かったとき、第2バンプフォイル(64b)は弾性変形可能である。第2バンプフォイル(64b)は、軸方向において、第2トップフォイル(64a)を挟んで鍔部(17)とは反対側に位置する。第2バンプフォイル(64b)は第2トップフォイル(64a)を弾性的に支持する。
【0045】
図3および
図4に示す第1ベース部(61)は、鍔部(17)の軸方向一端面に対向して配置される。第1ベース部(61)は、第1気体膜形成部(63)を軸方向一方側から覆うとともに、第1気体膜形成部(63)を径方向外側から覆う。軸方向に見たとき、第1ベース部(61)の中央部には、第1貫通孔(61a)が形成されている。この第1貫通孔(61a)の内径は、軸部(15)の外径よりも大きい。第1ベース部(61)は、第1流路(61b)を有する。第1流路(61b)は、第1ベース部(61)の軸方向一方側の面に位置する。
【0046】
第1流路(61b)は、周方向に間隔をあけて配置される複数の第1溝(61c)を含む。各第1溝(61c)は、径方向に延びる。第1溝(61c)の径方向内側の端は、第1貫通孔(61a)に接続される。第1溝(61c)の径方向外側の端は、第1円周溝(61d)に接続される。第1円周溝(61d)も、第1流路(61b)に含まれる。軸方向に見たとき、第1円周溝(61d)は、軸部(15)を中心とする円の外周上に位置する。
【0047】
第1ベース部(61)において、第1溝(61c)と第1円周溝(61d)との接続箇所には、軸方向に貫通する第1流通孔(61f)が形成される。すなわち、第1流通孔(61f)は、周方向に間隔をあけて、複数設けられる。
【0048】
図3および
図5に示す第2ベース部(62)は、鍔部(17)の軸方向他端面に対向して配置される。第2ベース部(62)は、第2気体膜形成部(64)を軸方向他方側から覆うとともに、第2気体膜形成部(64)を径方向外側から覆う。軸方向に見たとき、第2ベース部(62)の中央部には、第2貫通孔(62a)が形成されている。この第2貫通孔(62a)の内径は、軸部(15)の外径よりも大きい。第2ベース部(62)は、
図5に示す第2流路(62b)を有する。第2流路(62b)は、第2ベース部(62)の軸方向他方側の面に位置する。
【0049】
第2流路(62b)は、周方向に間隔をあけて配置される複数の第2溝(62c)を含む。各第2溝(62c)は、径方向に延びる。第2溝(62c)の径方向内側の端は、内側円周溝(62d)に接続される。第2溝(62c)の径方向外側の端は、外側円周溝(62e)に接続される。内側円周溝(62d)および外側円周溝(62e)も、第2流路(62b)に含まれる。軸方向に見たときに、内側円周溝(62d)および外側円周溝(62e)は、軸部(15)を中心とする2つの同心円の外周上に位置する。
【0050】
第2ベース部(62)において、第2溝(62c)と外側円周溝(62e)との接続箇所には、軸方向に貫通する第2流通孔(62f)が形成される。
【0051】
図3に示すスペーサ(65)は、軸方向に見たときに円環状の、板材である。スペーサ(65)は、軸方向に一定の厚みを有する。スペーサ(65)は、鍔部(17)の径方向外側に配置される。
図6に示すように、スペーサ(65)は、第1トップフォイル(63a)および第2トップフォイル(64a)によって、軸方向両側から挟まれる。
【0052】
図3に示すカバー(66)は、軸方向に見たときに円環状の、薄い板材である。カバー(66)の外径は、第1円周溝(61d)の外径よりも若干大きい。カバー(66)の内径は、第1ベース部(61)の第1貫通孔(61a)の内径よりも大きい。
【0053】
<4.ラジアル気体軸受ユニットの詳細な構成>
以下では、第1ラジアル気体軸受(40)の詳細な構成について、
図6および
図8を参照して説明する。
図8は、ラジアル気体軸受(40)の筒状気体膜形成部(41)の構成を示す模式図である。第1ラジアル気体軸受(40)は、筒状気体膜形成部(41)と、第3ベース部(43)とを備える。
【0054】
第3ベース部(43)は、第2ベース部(62)の軸方向他方側に配置される。
図6に示すように、第3ベース部(43)は、円板部(43a)と、円筒部(43b)とを含む。
【0055】
円板部(43a)は、軸方向に一定の厚みを有する円環状の部位である。円板部(43a)は、第3ベース部(43)の軸方向一方側の端部に位置する。円板部(43a)の軸方向一方側の端面には、軸方向他方側に向かってへこむ凹部(43c)が形成される。凹部(43c)は、軸方向に短い円柱状の空間である。凹部(43c)の外径は、第2ベース部(62)の外径と略等しい。
【0056】
円筒部(43b)は、軸方向に延びる円筒状の部位である。円筒部(43b)は、第3ベース部(43)の軸方向他方側の端部に位置する。円筒部(43b)の軸方向一方側の端部と、円板部(43a)の内周部とは、テーパ状の部位により滑らかに接続される。
図6に示すように、このテーパ状の部位は、軸方向一方側に向かうにつれて次第に径方向外側に広がる。ただし、このテーパ状の部位の内周面は、円筒部(43b)の内周面と連続的な面をなしている。
【0057】
第3ベース部(43)には、第3流路(43d)が形成される。第3流路(43d)は、第3ベース部(43)に、周方向に間隔をあけて複数配列される。第3流路(43d)は、円板部(43a)と円筒部(43b)とに跨がって軸方向に延びている。すなわち、第3流路(43d)は、第3ベース部(43)を軸方向に貫通している。
【0058】
筒状気体膜形成部(41)は、
図8に示すトップシリンダ(41a)とバンプシリンダ(41b)とを含む。
図8は、筒状気体膜形成部(41)を軸方向に見たときの断面図である。トップシリンダ(41a)は、軸方向に延びる円筒状である。トップシリンダ(41a)は、径方向に一定の厚みを有する。トップシリンダ(41a)は、軸部(15)のすぐ径方向外側に位置する。バンプシリンダ(41b)は、軸方向に延びる略円筒状である。バンプシリンダ(41b)は、周方向に見たときに、径方向外側に凸の部分と、径方向内側に凸の部分とが、交互に繋がっている波形状である。バンプシリンダ(41b)は、トップシリンダ(41a)のすぐ径方向外側に位置する。バンプシリンダ(41b)のすぐ径方向外側には、第3ベース部(43)が位置する。
【0059】
<5.スラスト気体軸受およびラジアル気体軸受の軸部への組付けの概略>
以下では、スラスト気体軸受(60)および第1ラジアル気体軸受(40)の軸部(15)への組付け構造について、概略的に説明する。
【0060】
初めに、回転子(16)の中央部(貫通孔)に挿入された状態の軸部(15)に、軸方向一方側から、筒状気体膜形成部(41)および第3ベース部(43)が挿入される。
図2および
図6に示すように、第3ベース部(43)は、円板部(43a)を軸方向一方側に向けた状態で組み付けられる。この状態で、第3ベース部(43)の凹部(43c)に、第2ベース部(62)が組み付けられる。詳細には、第2ベース部(62)は、第2流路(62b)を軸方向他方側に向けた状態で組み付けられる。凹部(43c)の底面と、第2流路(62b)とによって、後述する冷却用の冷媒(流体)が通過する通路が形成される。
【0061】
第2ベース部(62)の径方向内側に、第2バンプフォイル(64b)と第2トップフォイル(64a)とが軸方向一方側からこの順に収容される。続いて、軸部(15)に鍔部(17)が相対回転不能に固定される。また、鍔部(17)の径方向外側にスペーサ(65)が配置される。続いて、軸部(15)に、軸方向一方側から、第1トップフォイル(63a)と第1バンプフォイル(63b)とがこの順に挿入される。そして、この状態の軸部(15)に、軸方向一方側から第1ベース部(61)が組み付けられる。詳細には、第1ベース部(61)は、第1流路(61b)を軸方向一方側に向けた状態で、第2ベース部(62)の径方向内側に組み付けられる。最後に、第1ベース部(61)の軸方向一方側の面に、カバー(66)が組み付けられる。カバー(66)は、ボルト等の締結部材を用いて、第1ベース部(61)および第2ベース部(62)に固定される。すなわち、カバー(66)と、第1ベース部(61)と、第2ベース部(62)とは、締結部材によって共締めされる。カバー(66)の軸方向他方側の端面と、第1流路(61b)とによって、後述する冷却用の冷媒が通過する通路が形成される。
【0062】
第1流路(61b)と第2流路(62b)とは、第1流通孔(61f)、ベース部(31, 32)内の空間、および第2流通孔(62f)を介して、接続される。なお、本実施形態においては、第1流路(61b)の第1流通孔(61f)と、第2流路(62b)の第2流通孔(62f)とが、軸方向に見たときに互いに重なる角度位置に設けられている。
【0063】
<6.冷媒の流れの概略>
以上のような構成の遠心型圧縮機(10)が駆動するとともに、冷凍装置(100)全体が稼働すると、以下のような冷媒の流れが生じる。
【0064】
遠心型圧縮機(10)において低圧側インペラ(11)が回転することにより、低圧側インペラ室(21)に流入した冷媒が中圧にまで圧縮される。中圧にまで圧縮された冷媒は、副回路(93)を経由して、高圧側インペラ室(22)に送られる。高圧側インペラ(12)が回転することにより、高圧側インペラ室(22)に流入した冷媒は高圧にまで圧縮される。遠心型圧縮機(10)で高圧にまで圧縮された冷媒は、凝縮器(7)において空気に放熱して凝縮する。凝縮器(7)で凝縮した冷媒は、第1膨張弁(71)で減圧される。第1膨張弁(71)で減圧された冷媒は、蒸発器(8)において空気から吸熱して蒸発する。蒸発器(8)で蒸発した冷媒は、遠心型圧縮機(10)で再び圧縮される。
【0065】
ここで、凝縮器(7)を経た後の冷媒の一部は、分岐回路(91)に流入する。分岐回路(91)を流れる冷媒は、第2膨張弁(72)で減圧された後、ヒータ(73)で加熱される。凝縮器(7)を経た後の冷媒は略液体であり、これが第2膨張弁(72)を経ると減圧されて一部気体となって、その後ヒータ(73)で加熱されることにより冷媒は略気体となる。この略気体の状態の冷媒は、凝縮器(7)で空気に放熱した後の冷媒なので、比較的低温である。すなわち、分岐回路(91)によって、低温低圧の冷媒ガスが、冷却用の冷媒として、遠心型圧縮機(10)の高圧側インペラ(12)のすぐ背面に供給される。
【0066】
<8.気体軸受の冷却時における冷媒の第1の流れ>
高圧側インペラ(12)のすぐ背面に供給された冷媒ガスの一部は、第1気体膜形成部(63)、第2気体膜形成部(64)、および筒状気体膜形成部(41)に直接接触してこれらを冷却するように流れる。以下では、冷媒のこの第1の流れについて、
図9を参照して簡単に説明する。
図9は、スラスト気体軸受(60)およびラジアル気体軸受(40)の近傍における、冷媒の第1の流れを示す模式図である。
【0067】
高圧側インペラ(12)のすぐ背面に供給された冷媒ガスの一部は、第1流路(61b)には流れずに、第1ベース部の第1貫通孔(61a)を通ってベース部(61, 62)内へと流れる。冷媒は、軸部(15)を伝って、鍔部(17)と、第1ベース部(61)の内面と、の隙間に到達する。鍔部(17)と、第1ベース部(61)の内面と、の隙間に到達した冷媒は、径方向内側から径方向外側に向かって流れる。これにより、鍔部(17)と、第1ベース部(61)の内面と、の間に位置する第1気体膜形成部(63)に冷媒が接触し、直接的に第1気体膜形成部(63)が冷却される。その後、冷媒は、スペーサ(65)と鍔部(17)との隙間を通って、鍔部(17)と、第2ベース部(62)の内面と、の隙間に到達する。鍔部(17)と、第2ベース部(62)の内面と、の隙間に到達した冷媒は、径方向外側から径方向内側に向かって流れる。これにより、鍔部(17)と、第2ベース部(62)の内面と、の間に位置する第2気体膜形成部(64)に冷媒が接触し、直接的に第2気体膜形成部(64)が冷却される。
【0068】
また、第2気体膜形成部(64)の軸心部に到達した冷媒は、第2貫通孔(62a)を通過して、軸部(15)と第3ベース部(43)との隙間を、軸方向一方側から軸方向他方側へと流れる。これにより、軸部(15)の外周面と、第3ベース部(43)の内周面と、の間に位置する筒状気体膜形成部(41)に冷媒が接触し、直接的に筒状気体膜形成部(41)が冷却される。
【0069】
<7.気体軸受の冷却時における冷媒の第2の流れ>
以下では、気体軸受(40, 60)の冷却時における冷媒の第2の流れである冷却流路(67)について、
図10を参照して説明する。
図10は、スラスト気体軸受(60)およびラジアル気体軸受(40)の近傍における、冷媒の第2の流れを示す模式図である。
【0070】
高圧側インペラ(12)のすぐ背面に供給された冷媒ガスは、
図9に示すように、第1ベース部(61)と、高圧側インペラ(12)の背面との隙間を通って、第1流路(61b)の径方向内側の端部へと流入する。そして、冷媒は、第1流路(61b)を径方向内側から径方向外側に向かって通過する。第1流路(61b)の径方向外側の端部に到達した冷媒は、第1円周溝(61d)内を流れた後、第1流通孔(61f)を通って、第1ベース部(61)および第2ベース部(62)に取り囲まれた空間内へと流入する。ベース部(61, 62)内の冷媒は、第2流通孔(62f)を通って、外側円周溝(62e)内を流れた後、第2流路(62b)の径方向外側の端部へと流入する。その後、冷媒は、第2流路(62b)を径方向外側から径方向内側に向かって通過する。
【0071】
このとき、冷媒の流れは一様である。別の言い方をすれば、冷媒は第1流路(61b)と第2流路(62b)とをこの順に直列に流れる。そのため、第1気体膜形成部(63)の外側と、第2気体膜形成部(64)の外側とで、冷媒の流量に偏りが生じ難い。その結果、第1気体膜形成部(63)および第2気体膜形成部(64)のいずれか一方で焼付きが生じてしまうといった事態が生じ難い。
【0072】
また、冷媒は、第1流路(61b)から第2流路(62b)へと直列に流れる途中で、円周溝(61d, 62e)を通過する。これにより、冷媒の流れが周方向において均一化される。
【0073】
また、第2流路(62b)の径方向内側の端部に到達した冷媒は、その後、第3ベース部(43)の第3流路(43d)を軸方向一方側から軸方向他方側に向かって流れる。上述のように、第3流路(43d)は、第3ベース部(43)に、周方向に間隔をあけて複数配列されるので、筒状気体膜形成部(41)の全周を均一に冷却することが容易である。
【0074】
第1気体膜形成部(63)、第2気体膜形成部(64)、および筒状気体膜形成部(41)を直接的にまたは間接的に冷却した後の冷媒は、
図1に示す戻り回路(92)を経由して、冷媒回路(150)における遠心型圧縮機(10)のすぐ上流側に供給される。これにより、気体軸受の冷却用に用いられた冷媒が、主回路(90)に合流し、冷凍サイクルを行う。
【0075】
<9.まとめ>
以上に示したように、本実施形態のスラスト気体軸受(60)の冷却流路(67)は、第1流路(61b)と、第2流路(62b)とを含む。第1流路(61b)は、第1ベース部(61)の軸方向一端側に形成されるとともに、該第1ベース部(61)の軸心側から外周側に延びる。第2流路(62b)は、第2ベース部(62)の軸方向他方側に形成されるとともに、該第2ベース部(62)の外周側から軸心側に延びる。第2流路(62b)は、第1流路(61b)の下流に位置する。
【0076】
これにより、流体(冷媒)は、第1流路(61b)、第2流路(62b)の順に直列に流れる。このため、流体が第1流路(61b)、および第2流路(62b)のうちの一方に偏流してしまうことを抑制できる。その結果、第1気体膜形成部(63)および第2気体膜形成部(64)を効率よく冷却できる。
【0077】
本実施形態のスラスト気体軸受(60)においては、第1流路(61b)は、第1ベース部(61)の軸方向一端側の面に形成される第1溝(61c)を含む。第2流路(62b)は、第2ベース部(62)の軸方向他端側の面に形成される第2溝(62c)を含む。
【0078】
これにより、第1ベース部(61)および第2ベース部(62)の外側の面に沿って冷却用の流体を流すことにより、ベース部(61, 62)内部の気体膜形成部(63, 64)を間接的に冷却することができる。したがって、トップフォイル(63a, 64a)の表面などに複雑な加工を施すことなく、簡単な構成で、気体膜形成部(63, 64)を冷却することができる。
【0079】
本実施形態のスラスト気体軸受(60)においては、第1流路(61b)は、径方向に延びるとともに周方向に間隔をあけて配置される複数の第1溝(61c)を含む。第2流路(62b)は、径方向に延びるとともに周方向に間隔をあけて配置される複数の第2溝(62c)を含む。
【0080】
これにより、気体膜形成部(63, 64)の軸方向における両側を、ベース部(61, 62)を介して効率よく冷却することができる。
【0081】
本実施形態のスラスト気体軸受(60)においては、第1気体膜形成部(63)および第2気体膜形成部(64)はそれぞれ、トップフォイル(63a, 64a)と、トップフォイル(63a, 64a)を弾性的に支持するバンプフォイル(63a, 63b)と、を有する。
【0082】
これにより、トップフォイル(63a, 64a)を弾性的に支持するバンプフォイル(63b, 64b)に気体を通過させることにより、効率よく冷却することができる。
【0083】
本実施形態の遠心型圧縮機(10)は、回転子(16)と固定子(14)とを合わせたものである電動機(18)と、この電動機(18)に連結する軸部(15)と、軸部(15)によって駆動される圧縮機構(19)と、第1ラジアル気体軸受(40)とを備える。第1ラジアル気体軸受(40)は、軸部(15)上に位置するとともに、スラスト気体軸受(60)よりも軸方向他方側に位置する。冷却流路(67)は、第1ラジアル気体軸受(40)に形成される第3流路(43d)を含む。第3流路(43d)は、第2流路(62b)の下流に位置する。
【0084】
これにより、冷却用の流体が、第1流路(61b)、第2流路(62b)、および第3流路(43d)を順に通る一連の流れにより、スラスト気体軸受(60)だけではなく、第1ラジアル気体軸受(40)をも効率よく冷却することができる。
【0085】
本実施形態の遠心型圧縮機(10)においては、第1ラジアル気体軸受(40)は、軸方向に筒状に延びる筒状気体膜形成部(41)と、筒状気体膜形成部(41)を径方向外側から覆う第3ベース部(43)と、を備える。第3ベース部(43)は、第3流路(43d)を有する。
【0086】
これにより、第3ベース部(43)が有する第3流路(43d)に冷却用の流体を流すことにより、第3ベース部(43)の径方向内側の筒状気体膜形成部(41)を間接的に冷却することができる。したがって、トップシリンダ(41a)の表面などに複雑な加工を施すことなく、簡単な構成で、筒状気体膜形成部(41)を冷却することができる。
【0087】
本実施形態の遠心型圧縮機(10)においては、第3流路(43d)は軸方向に延びる。第3ベース部(43)には、周方向に間隔をあけて、複数の第3流路(43d)が配列される。
【0088】
これにより、筒状気体膜形成部(41)の全周を均一に冷却することが容易となる。
【0089】
本実施形態では、遠心型圧縮機(10)を有し、冷媒が循環して冷凍サイクルを行う冷媒回路(150)を備える冷凍装置(100)を開示した。上記冷媒回路(150)は、冷媒を冷媒流路に供給する分岐回路(供給路)(91)を含んでいる。
【0090】
これにより、低温低圧の冷媒ガスを用いて、スラスト気体軸受(60)および第1ラジアル気体軸受(40)を効率よく冷却することができる。
【0091】
≪変形例≫
以上、本開示の例示的な実施形態について説明したが、本開示は上記の実施形態に限定されるものではない。
【0092】
上記の実施形態では、遠心型圧縮機(10)の軸方向一方側にのみ、スラスト気体軸受(60)および冷却流路(67)が備えられていた。しかしながら、これに限るものではなく、遠心型圧縮機の軸方向両側にスラスト気体軸受および冷却流路が備えられることにしてもよい。
【0093】
上記の実施形態では、スラスト気体軸受(60)は、軸方向において第1ラジアル気体軸受(40)と高圧側インペラ(12)との間に位置していた。しかしながら、これに代えて、スラスト気体軸受を軸方向において第2ラジアル気体軸受(50)と低圧側インペラ(11)との間に設けてもよい。
【0094】
上記の実施形態では、低圧側インペラ(11)で圧縮された後の冷媒が、高圧側インペラ(12)に供給されていた。しかしながら、上記に代えて、
図11に示すように、冷媒が低圧側インペラ(11)と高圧側インペラ(12)とに並列に供給されてもよい。
【0095】
上記の実施形態では、ベース部(61, 62)の軸方向外側の端面に、冷却用の冷媒が通過する溝(61c, 62c)が設けられていた。しかしながら、これに代えて、ベース部の内部に冷却用の冷媒が通過する通路が設けられてもよい。
【0096】
また、各部の細部の構成やレイアウトは、本開示の各図に示されたものと異なっていてもよい。
【解決手段】スラスト気体軸受(60)は、鍔部(17)と、第1ベース部(61)と、第1気体膜形成部(63)と、第2ベース部(62)と、第2気体膜形成部(64)と、冷却流路(67)とを備える。前記冷却流路(67)は、第1流路(61b)と、第2流路(62b)とを含む。前記第1流路(61b)は、前記第1ベース部(61)の軸方向一端側に形成されるとともに、該第1ベース部(61)の軸心側から外周側に延びる。前記第2流路(62b)は、前記第2ベース部(62)の軸方向他方側に形成されるとともに、該第2ベース部(62)の外周側から軸心側に延びる。前記第2流路(62b)は、前記第1流路(61b)の下流に位置する。