(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ポリオール(ax)を構成する単量体混合物100質量%中、乳酸単位を有する単量体(ax’1)と、ラクトン単位および脂肪族ヒドロキシカルボン酸単位の少なくともいずれかを有する単量体(ax’2)の合計含有率が10〜97質量%である請求項1〜3いずれか1項記載の粘着剤組成物。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の説明の前に用語を定義する。本明細書で被着体とは、粘着テープを貼り付ける相手をいう。
本明細書で粘着シートとは、基材と、本発明の粘着剤組成物の硬化物からなる粘着剤層とを含む。本明細書で「テープ」、「フィルム」、および「シート」は同義である。
【0012】
また、本明細書において「〜」を用いて特定される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値の範囲として含むものとする。
本明細書中に出てくる各種成分は特に注釈しない限り、それぞれ独立に一種単独でも二種以上を併用してもよい。
【0013】
なお、本明細書では、乳酸単位を有する単量体(ax’1)、ラクトン単位および脂肪族ヒドロキシカルボン酸単位の少なくともいずれかを有する単量体(ax’2)、その他単量体(ax’3)、数平均分子量が1,000〜10,000であるポリオール(ax)、水酸基を有するウレタンプレポリマー(A)を、それぞれ単量体(ax’1)、単量体(ax’2)、単量体(ax’3)、ポリオール(ax)、およびウレタンプレポリマー(A)と略記することがある。
【0014】
本明細書において、「Mw」はゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)測定によって求めたポリスチレン換算の重量平均分子量である。「Mn」はGPC測定によって求めたポリスチレン換算の数平均分子量である。これらは、[実施例]の項に記載の方法にて測定することができる。
【0015】
また、以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限りこれらの内容に限定されな
【0016】
《粘着剤組成物》
本発明の粘着組成物は、水酸基を有するウレタンプレポリマー(A)を必須成分とし、必要に応じて硬化剤、粘着付与樹脂、可塑剤、またはその他任意成分を含む粘着剤と、溶剤とを含む。
水酸基を有するウレタンプレポリマー(A)は、数平均分子量が1,000〜10,000であるポリオール(ax)、多官能ポリオール(ay)(ただし、ポリオール(ax)は除く)、およびポリイソシアネート(az)の反応物であって、ポリオール(ax)は、乳酸単位を有する単量体(ax’1)と、ラクトン単位および脂肪族ヒドロキシカルボン酸単位の少なくともいずれかを有する単量体(ax’2)(ただし、乳酸は除く)とを含む単量体混合物の共重合体である。また、水酸基を有するウレタンプレポリマー(A)は、ガラス転移温度が−60℃〜−10℃である。
【0017】
本発明の粘着剤組成物は、ウレタン結合を有するウレタンプレポリマー(A)を含むことで、基材への濡れ性が向上し、再剥離性が良好なだけでなく、耐湿熱試験において、結合部位が分解することなく基材汚染性が低い。また、乳酸由来の結晶性を抑制するため、粘着特性に優れるだけでなく、加えて低温時の基材密着性も良好となり、これら性能を満足することができる。
【0018】
<ウレタンプレポリマー(A)>
ウレタンプレポリマー(A)は、数平均分子量が1,000〜10,000であるポリオール(ax)、多官能ポリオール(ay)(ただし、ポリオール(ax)は除く)、およびポリイソシアネート(az)の反応物である水酸基を有するウレタンプレポリマーであり、ガラス転移温度が−60℃〜−10℃である。
また、ポリオール(ax)は、乳酸単位を有する単量体(ax’1)と、ラクトン単位および脂肪族ヒドロキシカルボン酸単位の少なくともいずれかを有する単量体(ax’2)(ただし、乳酸は除く)とを含む単量体混合物の共重合体である。
【0019】
ポリオール(ax)を構成する単量体(ax’1)と単量体(ax’2)を含むことで、ウレタンプレポリマー(A)のガラス転移温度と乳酸由来の結晶性を適度に制御可能であり、低温時の基材密着性および粘着力が充分に得られる。
【0020】
また、ポリオール(ax)の数平均分子量が1,000〜10,000であることで、ウレタン結合を適度に導入することができ、耐湿熱試験において結合部位の分解することなく基材汚染性が低く、また、凝集力の向上により粘着力を高められる。くわえて、濡れ性も向上し再剥離性も高められる。
【0021】
ウレタンプレポリマー(A)のガラス転移温度は、−60℃〜−10℃である。より好ましくは−50℃〜−15℃である。ガラス転移温度がこの範囲にあることで、適度なポリマー鎖の絡み合いに基づく凝集力となり、充分な粘着力が得られる。ガラス転移温度が−60℃未満であると、凝集力が不足しており粘着力を高められない。また、ガラス転移温度が−10℃を超えると、低温時の凝集力が過度に高まるため、低温時の基材密着性と粘着特性が不足する。
【0022】
このような、数平均分子量が1,000〜10,000であるポリオール(ax)を用い、かつガラス転移温度が、−60〜−10℃であるウレタンプレポリマー(A)により、バイオマス度または生分解原料の使用比率を高めるために、バイオマス原料または生分解性原料である単量体(ax’1)と単量体(ax’2)を多量に用いた場合でも、耐湿熱試験での基材汚染性、低温時の基材密着性および粘着特性に優れたものとすることができる。
【0023】
なお、「反応物」とは、ポリオール(ax)と、多官能ポリオール(ay)と、ポリイソシアネート(az)との反応生成物を意味する。ポリオール(ax)は、1分子中に2つの水酸基を有することが好ましい。また、多官能ポリオール(ay)は1分子中に2つ以上の水酸基を有することポリオール(b)が好ましい。ポリイソシアネート(az)は、1分子中に2つのイソシアネート基を有する2官能イソシアネート(ジイソシアネートともいう)が好ましい。ポリイソシアネート(az)のイソシアネート基(イソシアナト基)は、ポリオール(ax)および多官能ポリオール(ay)を合計した水酸基よりも少なくなるようなモル比(NCO/OH)で使用する。それにより、得られるウレタンプレポリマーは、水酸基を有するウレタンプレポリマーとなる。
【0024】
ウレタンプレポリマー(A)の重量平均分子量は、10,000〜200,000が好ましく、より好ましくは30,000〜180,000であり、さらに好ましくは40,000〜150,000である。重量平均分子量がこの範囲にあることで、ポリマー鎖の絡み合いに基づく凝集力を付与することができ、粘着力を高められる。粘着力が良好となるため、ウレタン化した際のウレタン結合による濡れ性の向上および凝集力の向上が可能となり、より再剥離性の付与および高粘着力化とすることが容易となるために好ましい。また、重量平均分子量が200,000以下であれば、凝集力の低下により保持力の低下することを抑制することができ、好ましい。
【0025】
[ポリオール(ax)]
ポリオール(ax)は、乳酸単位を有する単量体(ax’1)と、ラクトン単位を有する単量体および脂肪族ヒドロキシカルボン酸単位を有する単量体(ただし、乳酸は除く)の少なくともいずれかの単量体(ax’2)とを含む混合物の共重合により得られる。必要に応じて、その他単量体(ax’3)を併用してもよい。
その他単量体(ax’3)を適切に選択することで、ポリオール(ax)の分子量を制御することが容易となり、数平均分子量を1000〜10,000とすることが容易にできる。
【0026】
ポリオール(ax)を構成する全単量体100質量%中、単量体(ax’1)と単量体(ax’2)の合計含有率は、10〜97質量%であることが好ましく、50〜90質量%がより好ましく、60〜88質量%がさらに好ましい。含有率が上記範囲内となることで、ウレタンプレポリマー(A)のガラス転移温度を適切な範囲とすることができ、粘着特性が向上できるために好ましい。
【0027】
また、バイオマス度、または生分解性原料の使用比率を高くしたい場合には、バイオマス原料または生分解性原料である単量体(ax’1)および単量体(ax’2)の少なくともいずれかの含有比率を高めることが好ましい。特に好ましくは、単量体(ax’1)および単量体(ax’2)がいずれもバイオマス原料または生分解性原料の単量体である場合である。または、バイオマス原料または生分解性原料である単量体(ax’3)の含有比率を高める場合でもバイオマス度、または生分解性原料の使用比率を高めることができる。
本発明の粘着剤組成物とすることにより、バイオマス度または生分解原料の使用比率を高めるために、単量体(ax’1)と単量体(ax’2)を多量に用いた場合でも、または、単量体(ax’3)の含有比率を高めた場合でも粘着特性に優れるだけでなく、さらに耐湿熱試験での基材汚染性、および低温時の基材密着性に優れたものとすることができる。
【0028】
ポリオール(ax)を構成する単量体混合物中の単量体(ax’1)の含有量と単量体(ax’2)の含有量の比率(ax’1)/(ax’2)は、10/90〜90/10が好ましく、より好ましくは、20/80〜80/20であり、さらに好ましくは、30/70〜70/30である。
含有比率が上記範囲内となることで、粘着剤中のバイオマス度が高く、かつ生分解性原料の使用比率が高くても、所望する粘着特性を有することができるために好ましい。
【0029】
ポリオール(ax)の数平均分子量は、1,000〜10,000である。より好ましくは2,000〜7,500である。数平均分子量が上記範囲内となることで、ウレタン結合による濡れ性と凝集力が制御できる。1,000未満であると、ウレタン化により得られるポリマーのウレタン結合数が密となり、湿熱等の加熱試験において、ウレタン基の再配列に伴う密着性が過度に向上し、凝集破壊を生じさせるため、基材汚染となる。また、10000を超えると、ウレタン結合数が不足するため、耐湿熱性、再剥離性が悪化する。
【0030】
(単量体(ax’1))
乳酸単位を有する単量体(ax’1)は、乳酸単位を有してさえいれば特に限定されないが、例えば、L−乳酸、D−乳酸等の乳酸体(ax’1−1)、L−ラクチド、D−ラクチド、DL−ラクチド、meso−ラクチド等のラクチド体(ax’1−2)などが挙げられる。
なお、本明細書における「乳酸単位」とは、乳酸の部分構造である「−O−CH(CH3)―CO−」単位を意味する。
乳酸体(ax’1−1)とラクチド体(ax’1−2)では、反応性の観点で、共重合性に優れ結晶化度を低くすることができるため、再剥離性が向上するラクチド体(ax’1−2)が好ましい。
【0031】
これらはバイオマス由来の原料かつ生分解性原料である。この中でも合成時の反応性制御および溶剤への溶解性から、L−ラクチド、D−ラクチド、DL−ラクチド、meso−ラクチドであるラクチド体(ax’1−2)が好ましい。また、乳酸由来の結晶化度を低下させ低温時の基材密着性を向上するために、L−ラクチドとD−ラクチドの併用、DL−ラクチドまたはmeso−ラクチドが好ましい。特に、非晶性で濡れ性を向上させ再剥離性をより向上させるため、meso−ラクチドが好ましい。L−ラクチドおよびD−ラクチドを併用する場合には、L−ラクチド/D−ラクチドの重量比は、5/95〜95/5であることが好ましく、より好ましくは、15/85〜85/15である。この範囲内となることで、ウレタンプレポリマー(A)中の乳酸の結晶化度を低くすることができ、低温時の基材密着性を向上できる。これらの乳酸単位を有する単量体を共重合させることにより、所望の特性を有するウレタンプレポリマー(A)を得ることができる。前記乳酸単位を有する単量体(ax’1)は、1種または2種以上を組み合わせて使用できる。
【0032】
単量体(ax’1)の含有率は、ポリオール(a)を構成する単量体混合物100質量%中、5〜92質量%であることが好ましく、15〜65質量%がより好ましい。含有率が上記範囲内となることで、ウレタンプレポリマー(A)のガラス転移温度を適切に調整でき、低温時の基材密着性と粘着力が得られるために好ましい。
【0033】
(単量体(ax’2))
単量体(ax’2)は、ラクトン単位および脂肪族ヒドロキシカルボン酸単位の少なくともいずれかを有する単量体であって、ラクトン単位を有する単量体(ax’2−2)および脂肪族ヒドロキシカルボン酸単位を有する単量体(ax’2−1)(ただし、乳酸は除く)のいずれを用いてもよい。
これらの単量体(ax’2)を共重合させることにより、ウレタンプレポリマー(A)中の乳酸成分の結晶化度を低下させ、ガラス転移温度が適切な範囲となり、粘着力が優れる粘着剤組成物および粘着剤の特性を有するウレタンプレポリマー(A)を得ることができる。
【0034】
ラクトン単位を有する単量体(ax’2−2)としては、炭素数3〜12のラクトン等が挙げられ、例えば、β−プロピオラクトン、β−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン、エナントラクトン、カプリロラクトン、ラウロラクトン等が挙げられる。
脂肪族ヒドロキシカルボン酸単位を有する単量体(ax’2−1)としては、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、3−ヒドロキシ吉草酸、4−ヒドロキシ吉草酸、6−ヒドロキシカプロン酸等が挙げられる。
ラクトン単位を有する単量体(ax’2−2)と脂肪族ヒドロキシカルボン酸単位を有する単量体(ax’2−1)では、反応性の観点で、共重合性に優れ結晶化度を低くすることができるため、再剥離性が向上するラクトン単位を有する単量体(ax’2−2)が好ましい。
これらの中でも、ε−カプロラクトン、または6−ヒドロキシカプロン酸は生分解性を有するために好ましい。前記ラクトン単位は、1種または2種以上を組み合わせて使用できる。
【0035】
単量体(ax’2)の含有率は、ポリオール(a)を構成する単量体混合物100質量%中、5〜92質量%であることが好ましく、18〜65質量%がより好ましい。含有率が上記範囲内となることで、ウレタンプレポリマー(A)のガラス転移温度を適切に調整でき、低温時の基材密着性と粘着力が得られるために好ましい。
【0036】
(単量体(ax’3))
単量体(ax’3)は、単量体(ax’1)および単量体(ax’2)以外のその他単量体であって、単量体(ax’1)および単量体(ax’2)と反応性を有するものであれば特に限られず、例えば、脂肪族グリコール、脂肪族二塩基酸とグリコールの反応生成物であるポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリブタジエンポリオール、ヒマシ油ポリオール等を使用することができる。その他単量体(ax’3)を使用する場合、ウレタンプレポリマー(A)中の乳酸成分の結晶化度をより低くすることができる。
バイオマス度または生分解性原料の含有比率を高くするためには、単量体(ax’3)も、バイオマス由来の原料または生分解性原料であることが好ましい。特に、単量体(ax’1)および(ax’2)との相溶性に優れ、共重合性が上がることで結晶化度を低くすることができ、再剥離性を高められるため、ポリエステルポリオールが好ましい。
【0037】
前記脂肪族グリコールとしては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、2,2,4−トリメチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−2−ブチルプロパンジオール、1,9−ノナンジオール、2−メチルオクタンジオール、1,10−デカンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられ、特に、1,2−プロピレングリコールまたは1,3−プロパンジオールはバイオマス由来の原料から得られ、かつ生分解性原料であるため好ましい。これらは、1種または2種以上を組み合わせて使用できる。
【0038】
ポリエステルポリオールとしては、脂肪族二塩基酸と脂肪族グリコールを縮合反応させ、COOH/OHモル比を1.0未満で末端を水酸基とする脂肪族ポリエステルポリオールを含む。前記脂肪族ポリエステルポリオールは、芳香族ポリエステルポリオールとは異なり自然界にて分解可能な酵素が多数存在するために好ましい。
【0039】
前記脂肪族二塩基酸としては、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、4−メチル−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、ドデセニル無水コハク酸、フマル酸、コハク酸、ドデカン二酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸等の脂肪族や脂環族ジカルボン酸等が挙げられ、特にセバシン酸またはコハク酸はバイオマス由来の原料から得られ、かつ生分解性原料であるため好ましい。これらは、1種または2種以上を組み合わせて使用できる。
【0040】
本発明の粘着剤の特性、粘着剤中でのバイオマス度および、生分解性原料の比率を損なわない程度であれば、芳香族二塩基酸を使用することができる。前記芳香族二塩基酸としては、特に限定されないが、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、2,2’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸等が挙げられる。これらは、1種または2種以上を組み合わせて使用できる。
【0041】
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、1分子中に2つの活性水素を有する活性水素含有化合物を開始剤として用い、1種以上のオキシラン化合物を付加重合させた反応物が挙げられる。
【0042】
オキシラン化合物としては、例えば、エチレンオキシド(EO)、プロピレンオキシド(PO)、およびブチレンオキシド(BO)等のアルキレンオキシド(AO);テトラヒドロフラン(THF)等が挙げられる。
【0043】
ポリブタジエン変性ポリオールは、例えば、2つ以上の水酸基末端を有し、1,2−ビ
ニル部位、1,4−シス部位、1,4−トランス部位またはそれらが水素化された構造を
有し、直鎖状若しくは分岐状のポリブタジエンが挙げられる。
【0044】
ヒマシ油ポリオールとしては、ヒマシ油より誘導されるポリオール、ヒマシ油を変性して得られるポリオールが挙げられる。
【0045】
ヒマシ油より誘導されるポリオールとしては、例えば、このグリセリンエステルのリシノレイン酸の一部をオレイン酸に置換したもの、ヒマシ油を鹸化して得られるリシノレイン酸を短分子ポリオールとエステル化したもの、これらとヒマシ油との混合物等、ヒマシ油由来の脂肪酸エステルポリオールである。
【0046】
ヒマシ油を変性して得られるポリオールとしては、例えば、植物油変性ポリオール、芳香族骨格(例えばビスフェノールA等)を有する変性ポリオール等が挙げられる。植物油変性ポリオールは、グリセリンエステルのリシノレイン酸の一部を、他の植物より得られる脂肪酸、例えば大豆油、なたね油、オリーブ油等より得られるリノール酸、リノレン酸、オレイン酸等の高級脂肪酸に置換して得られるものである。
【0047】
ヒマシ油由来ポリオールの市販品としては、例えば、伊藤製油社製「URIC HF−1300、Y−403、HF−2009」等が挙げられる。
【0048】
単量体(ax’3)の数平均分子量は、50〜3,000が好ましく、より好ましくは500〜2,000である。数平均分子量が上記範囲内となることで、ウレタンプレポリマー(A)中の乳酸の結晶化度を低くすることができる。
【0049】
(ポリオール(ax)の製造方法)
ポリオール(ax)の製造方法は、特に制限されず、塊状重合法および溶液重合法等の公知の重合方法により製造することができる。製造方法の手順は、例えば、
(手順1)単量体(ax’1)として乳酸体および単量体(ax’2)として脂肪族ヒドロキシカルボン酸体を原料として、直接脱水重縮合する方法(例えば、USP 5,310,865号に示されている製造方法)、
(手順2)単量体(ax’1)としてラクチド体と単量体(ax’2)としてラクトン体を溶融重合する開環重合法(例えば、米国特許2,758,987号に開示されている製造方法)、(手順2)では、ラクチド体およびラクトン体は全て開環され、乳酸単位および脂肪族ヒドロキシカルボン酸単位を含むポリオールが得られる。
(手順3)乳酸体および脂肪族ヒドロキシカルボン酸体を触媒の存在下、脱水重縮合反応を行うことにより重合体を製造するに際し、少なくとも一部の工程で、固相重合を行う方法、
等を挙げることができる。
また、(手順1)〜(手順3)において、脂肪族グリコールや脂肪族二塩基酸等を共重合させてポリオール(ax)を得てもよい。
【0050】
(手順1)〜(手順3)において、乳酸体の単量体(ax’1−1)と脂肪族ヒドロキシカルボン酸体(ax’1−1)の共重合により得られるポリオール(ax)では、乳酸体の単量体(ax’1−1)および脂肪族ヒドロキシカルボン酸体(ax’1−1)の共重合性が充分ではなく、得られるポリオール(ax)のガラス転移温度と乳酸由来の結晶性の点において、ポリオール(a)を用いたウレタンプレポリマー(A)では、所望の特性を得られにくい場合がある。
【0051】
(手順1)により、乳酸体の単量体(ax’1−1)と脂肪族ヒドロキシカルボン酸体(ax’1−1)を含む単量体混合物の共重合によりポリオール(ax)を製造する方法よりも、(手順2)において、ラクチド体の単量体(ax’1−2)およびラクトン体の単量体(ax’2−2)を含む単量体混合物を用いる場合は、反応性制御が容易となり、共重合性、高分子量化となるポリオール(ax)が得られやすいために好ましい。
【0052】
ポリオール(ax)の製造には、必要に応じて、後述する水酸基含有ウレタンプレポリマー(A)の合成に記載したとの同じ触媒、および溶剤等を用いることができる。
【0053】
単量体(ax’3)の含有率は、ポリオール(a)を構成する単量体混合物100質量%中、3〜90質量%であることが好ましく、10〜67質量%がより好ましい。含有率が上記範囲内となることで、ウレタンプレポリマー(A)のガラス転移温度を適切に調整でき、低温時の基材密着性と粘着力が得られるために好ましい。
【0054】
[多官能ポリオール(ay)]
多官能ポリオール(ay)は、水酸基を2つ以上有する化合物であり、好ましくは水酸基を3つ以上有する化合物である。多官能ポリオール(ay)を含有することで、ウレタンプレポリマー(A)に分岐骨格を生じさせ、凝集力を高められるために初期硬化性を付与することができる。ただし、ポリオール(ax)は除く。
【0055】
多官能ポリオール(ay)の数平均分子量は、100〜5,000が好ましく、より好ましくは500〜3,000である。数平均分子量がこの範囲内にあることで、イソシアネート硬化剤(B)との反応で架橋密度が充分なものとなり保持力が向上する。
【0056】
多官能ポリオール(ay)の内、水酸基を3つ以上有する化合物としては、脂肪族ポリオール、多価カルボン酸と前記脂肪族グリコールの反応生成物や前記肪族二塩基酸と脂肪族ポリオールの反応生成物であるポリエステルポリオールや、ポリエーテルポリオール、ポリブタジエンポリオール、ヒマシ油ポリオール等を使用することができる。特に、水酸基を3つ以上有する脂肪族ポリエステルポリオールは、自然界にて分解可能な酵素が多数存在するために、使用が好ましい。
【0057】
脂肪族ポリオールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどが挙げられる。
【0058】
多価カルボン酸としては、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ビフェニルテトラカルボン酸、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、グルセロールトリス(アンヒドロトリメート)等が挙げられる。
【0059】
多官能ポリオール(ay)の含有率は、ウレタンプレポリマー(A)100質量%中0.5〜25質量%が好ましく、より好ましくは、5〜15質量%である。0.5質量%以上であると、分岐骨格が充分に形成され、凝集力に優れ、初期硬化性がより良化する。また、25質量%以下であると、ウレタンプレポリマー(A)合成時におけるゲル化物や凝集物の発生を抑制できるため、好ましい。
【0060】
[ポリイソシアネート(az)]
ポリイソシアネート(az)としては公知のものを使用でき、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、および脂環族ポリイソシアネート等が挙げられる。
【0061】
芳香族ポリイソシアネートとしては、1,3−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−トルイジンジイソシアネート、2,4,6−トリイソシアネートトルエン、1,3,5−トリイソシアネートベンゼン、ジアニシジンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、および4,4’,4”−トリフェニルメタントリイソシアネート、ω,ω’−ジイソシアネート−1,3−ジメチルベンゼン、ω,ω’−ジイソシアネート−1,4−ジメチルベンゼン、ω,ω’−ジイソシアネート−1,4−ジエチルベンゼン、1,4−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、および1,3−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0062】
脂肪族ポリイソシアネートとしては、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、および2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0063】
脂環族ポリイソシアネートとしては、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、および1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等が挙げられる。
【0064】
その他、ポリイソシアネートとしては、上記ポリイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、ビウレット体、アロファネート体、および3量体(この3量体はイソシアヌレート環を含む。)等が挙げられる。
【0065】
ポリイソシアネート(az)としては、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、および、イソホロンジイソシアネート(IPDI)等が、適度なウレタン結合の凝集力を付与することができ粘着特性が充分となるために好ましい。
【0066】
ウレタンプレポリマー(A)を製造する際のポリイソシアネート(az)のイソシアネート基(イソシアナト基)に対するポリオール(ax)および多官能ポリオール(ay)を合計した水酸基のモル比(NCO/OH)は、0.3〜0.9が好ましく、より好ましくは0.5〜0.85となるように、原料の配合比を調整することが好ましい。NCO/OHが1に近くなると、ウレタンプレポリマー(A)の合成時にゲル化物や凝集物が得られる恐れがある。NCO/OHが0.9以下であると、ウレタンプレポリマー(A)合成時のゲル化を効果的に抑制することができる。NCO/OHが0.3以上であると、得られるウレタンプレポリマー(A)の分子量が高く、粘着特性が充分となり好ましい。
【0067】
ポリイソシアネート(az)の含有率は、高粘着力を得るために、ウレタンプレポリマー(A)100質量%中、0.5〜30質量%が好ましく、1.0〜20質量%がより好ましい。
【0068】
[触媒]
ポリオール(ax)または、水酸基含有ウレタンプレポリマー(A)の合成には必要に応じて、1種以上の触媒を用いることができる。触媒としては公知のものを使用でき、3級アミン系化合物および有機金属系化合物等が挙げられる。
3級アミン系化合物としては、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、および1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−ウンデセン−7(DBU)等が挙げられる。
有機金属系化合物としては、錫系化合物および非錫系化合物等が挙げられる。
錫系化合物としては、ジブチル錫ジクロライド、ジブチル錫オキシド、ジブチル錫ジブロマイド、ジブチル錫ジマレエート、ジブチル錫ジラウレート(DBTDL)、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫スルファイド、ジオクチル錫ジラウリレート、トリブチル錫スルファイド、トリブチル錫オキシド、トリブチル錫アセテート、トリエチル錫エトキサイド、トリブチル錫エトキサイド、ジオクチル錫オキシド、トリブチル錫クロライド、トリブチル錫トリクロロアセテート、2−エチルオクチル酸錫、および2−エチルヘキサン酸錫等が挙げられる。
非錫系化合物としては、ジブチルチタニウムジクロライド、テトラブチルチタネート、およびブトキシチタニウムトリクロライド等のチタン系;オレイン酸鉛、2−エチルヘキサン酸鉛、安息香酸鉛、およびナフテン酸鉛等の鉛系;2−エチルヘキサン酸鉄および鉄アセチルアセトネート等の鉄系;安息香酸コバルトおよび2−エチルヘキサン酸コバルト等のコバルト系;ナフテン酸亜鉛および2−エチルヘキサン酸亜鉛等の亜鉛系;ナフテン酸ジルコニウム等のジルコニウム系が挙げられる。
触媒の種類および添加量は、反応が良好に進む範囲で適宜設計することができる。
【0069】
触媒は、ポリオール(ax)またはウレタンプレポリマー(A)の構成成分の合計100質量部に対して0.0001〜1.0質量部を使用することが好ましい。
【0070】
合成する際に触媒を用いる場合、上記触媒を不活性化させることもできる。特に、水酸基含有ウレタンプレポリマー(A)では触媒の不活性化が好ましく、反応停止剤は、例えばアセチルアセトン等を配合すればよい。
反応停止剤は、単独または2種類以上を使用できる。
【0071】
[溶剤]
ポリオール(ax)または、ウレタンプレポリマー(A)の製造には、必要に応じて、1種以上の溶剤を用いることができる。溶剤は、例えば、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶剤、酢酸エチル等のエステル系溶剤、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶剤、ジフェニルエーテル等のエーテル系溶剤等が挙げられる。特にウレタンプレポリマー(A)では、これらの中でもの溶解性および溶剤の沸点等の点から、エステル系溶剤、炭化水素系溶剤等が好ましい。
【0072】
[ウレタンプレポリマー(A)の製造方法]
ウレタンプレポリマー(A)の製造方法は、特に制限されず、塊状重合法および溶液重合法等の公知の重合方法により製造することができる。製造方法の手順は、例えば、
(手順1)1種以上のポリイソシアネート(az)、1種以上のポリオール(ax)、多官能ポリオール(ay)、必要に応じて1種以上の触媒、および必要に応じて1種以上の溶剤を一括してフラスコに仕込む手順;
(手順2)1種以上のポリオール(ax)、多官能ポリオール(ay)、必要に応じて1種以上の触媒、および必要に応じて1種以上の溶剤をフラスコに仕込み、これに1種以上のポリイソシアネート(az)を滴下添加する手順;が挙げられる。これらの中でもポリオール(ax)、多官能ポリオール(ay)およびポリイソシアネート(az)の局所的な反応性低下と、過度な高分子量成分の反応抑制により分子量分散度を広くするため(手順2)が好ましい。
【0073】
反応温度は、触媒を使用する場合、100℃未満が好ましく、85〜95℃がより好ましい。反応温度を100℃未満にするとウレタン反応以外の副反応を抑制できるため所望の樹脂を得易い。反応温度は、触媒を使用しない場合、100℃以上が好ましく、110℃以上がより好ましい。
【0074】
<硬化剤>
本発明の粘着剤組成物は、さらに硬化剤を含んでもよい。
硬化剤を用いることで、硬化性に優れたものとできるために好ましい。
硬化剤として例えば、イソシアネート硬化剤(B)、エポキシ硬化剤、メラミン硬化剤、カルボジイミド硬化剤、オキサゾリン硬化剤、アジリジン硬化剤等を使用することができる。
本発明の粘着剤組成物は、初期硬化性を更に向上させることができ、特に保持力が充分なものとなるため、イソシアネート硬化剤(B)を用いることが好ましい。
【0075】
[イソシアネート硬化剤(B)]
イソシアネート硬化剤(B)としては、公知のものを使用でき、水酸基末端ウレタンプレポリマー(A)の原料であるポリイソシアネート(az)として例示した化合物(具体的には、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、および、これらのトリメチロールプロパンアダクト体/ビウレット体/3量体)を用いることができる。
【0076】
イソシアネート硬化剤(B)の含有量は、ウレタンプレポリマー(A)100質量部に対し、0〜25質量部が好ましく、2.5〜15質量部がより好ましい。
この範囲にあることで、初期硬化性がより優れたものとすることができる。
【0077】
<粘着付与樹脂>
本発明の粘着剤組成物は、さらに粘着付与樹脂を含んでもよい。
粘着付与樹脂を用いることで、より粘着特性を向上させることができるために好ましい。
粘着付与樹脂として例えば、ロジン系樹脂、ポリテルペン樹脂、脂肪族炭化水素樹脂、脂肪族石油樹脂、芳香族石油樹脂、アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂(油性フェノール樹脂)等を使用することができる。
また、バイオマス由来の原料から得られたものであることが好ましく、例えば、ロジン系またはポリテルペン樹脂等であることが好ましい。
【0078】
粘着付与樹脂の含有量は、ウレタンプレポリマー(A)100質量部に対し、2〜50質量部が好ましく、5〜40質量部がより好ましい。
2質量部以上であれば、添加による効果により所望の粘着特性が得られやすくなる。また、50質量部以下であると、ポリマー成分(ウレタンプレポリマー(A)等)との相溶性が良化し、塗液外観または塗膜外観にて白濁化または白化する問題を抑制することができるために好ましい。
【0079】
<任意成分>
本発明の粘着剤組成物は、粘着剤としての特性と、生分解性を損なわない程度であれば、紫外線吸収剤、光安定剤、レベリング剤、帯電防止剤、剥離調整剤、充填剤、着色剤、老化防止剤、可塑剤、界面活性剤等の一般的なその他添加剤を使用することができる。
【0080】
《粘着シート》
本発明の粘着シートは、基材の少なくとも一方の面に、本発明の粘着剤組成物から形成されてなる粘着剤層を有する。すなわち、基材、および粘着剤組成物の硬化物である粘着剤層を備える。なお、粘着剤層の基材と接していない面は、異物の付着を防止するため、通常、使用する直前まで剥離シートで保護している。
【0081】
基材は、柔軟なシートおよび板材が制限なく使用できる。基材は、プラスチック、紙、および金属箔、ならびにこれらの積層体等が挙げられる。
基材の粘着剤層と接する面には密着性向上のため、例えば、コロナ放電処理等の乾式処理やアンカーコート剤塗布等の湿式処理といった易接着処理を予め行うことができる。
【0082】
基材のプラスチックは、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のエステル系樹脂;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)およびシクロオレフィンポリマー(COP)等のオレフィン系樹脂;ポリ塩化ビニル等のビニル系樹脂;ナイロン66等のアミド系樹脂;ウレタン系樹脂(発泡体を含む);等が挙げられる。
【0083】
基材の厚みは、通常10〜300μm程度である。また、基材にポリウレタンシート(発泡体を含む)を使用する場合の厚みは、通常20〜50,000μm程度である。紙は、例えば、普通紙、コート紙、およびアート紙等が挙げられる。金属箔は、例えば、アルミニウム箔、銅箔等が挙げられる。
【0084】
剥離シートは、プラスチックまたは紙等の表面にシリコーン系剥離剤等の公知の剥離処理が施された公知の剥離シートを使用できる。
【0085】
粘着シートの製造方法は、例えば、基材の表面に粘着剤組成物を塗工して、塗工層を形成し、次いで塗工層を乾燥および硬化して、粘着剤層を形成する方法が挙げられる。加熱および乾燥温度は、通常60〜150℃程度である。粘着剤層の厚みは、通常0.1〜200μm程度である。
【0086】
塗布方法は、例えばロールコーター法、コンマコーター法、ダイコーター法、リバースコーター法、シルクスクリーン法、およびグラビアコーター法等公知の方法が挙げられる。
【0087】
また、上記方法とは逆に、剥離シートの表面に粘着剤組成物を塗工して塗工層を形成し、次いで塗工層を乾燥および硬化して本発明の粘着剤組成物の硬化物からなる粘着剤層を形成し、最後に粘着剤層の露出面に基材を貼り合わる方法が挙げられる。上記方法で基材の代わりに剥離シートを貼り合わせると剥離シート/粘着剤層/剥離シートのキャスト粘着シートが得られる。
【実施例】
【0088】
以下、本発明の実施態様について実施例によって説明する。なお、本発明の実施態様が実施例に限定されないことはいうまでもない。以下、「部」は「質量部」を意味し、「%」は「質量%」を意味する。また、以下実施例中および表中に記載された原料(溶剤を除く)の配合量は不揮発分換算である。
【0089】
[重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)の測定]
重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)法により測定した。測定条件は以下の通りである。なお、MwおよびMnはいずれも、ポリスチレン換算値である。
(測定条件)
装置:SHIMADZUProminence(島津製作所社製)、
カラム:SHODEXLF−804(昭和電工社製)を3本直列に接続、
検出器:示差屈折率検出器
溶媒:テトラヒドロフラン(THF)
流速:0.5mL/分
溶媒温度:40℃
試料濃度:0.1%
試料注入量:100μL
【0090】
[ガラス転移温度(Tg)]
ロボットDSC(示差走査熱量計、セイコーインスツルメンツ社製「RDC220」)に「SSC5200ディスクステーション」(セイコーインスツルメンツ社製)を接続して、測定に使用した。試料約10mgをアルミニウムパンに入れ、秤量して示差走査熱量計にセットし、試料を入れない同タイプのアルミニウムパンをリファレンスとして、100℃の温度で5分間保持した後、液体窒素を用いて−120℃まで急冷した。その後、昇温速度10℃/分で昇温し、得られたDSCチャートからガラス転移温度(Tg、単位:℃)を決定した。
【0091】
《材料》
表1中で示した材料は、以下の通りである。
<ポリオール(ax)>
[単量体(ax’1)]
L−乳酸 (バイオマス度100%、生分解性度100%)
D−乳酸 (バイオマス度100%、生分解性度100%)
L−ラクチド (バイオマス度100%、生分解性度100%)
D−ラクチド (バイオマス度100%、生分解性度100%)
DL−ラクチド (バイオマス度100%、生分解性度100%)
meso−ラクチド (バイオマス度100%、生分解性度100%)
[単量体(ax’2)]
6−ヒドロキシカプロン酸 (バイオマス度0%、生分解性度100%)
ε−カプロラクトン (バイオマス度0%、生分解性度100%)
[単量体(ax’3)]
PD:1,3−プロパンジオール、Mn76、水酸基数2、(バイオマス度100%、生分解性度100%)
PPG600:サンニックス PP−600、ポリオキシプロピレングリコール、Mn600、水酸基数2、三洋化成工業社製(バイオマス度0%、生分解性度0%)
P−1010:クラレポリオールP−1010、3−メチル1,5−ペンタンジオール/アジピン酸、ポリエステルポリオール、Mn1,000、クラレ社製(バイオマス度0%、生分解性度0%)
P−2010:クラレポリオールP−2010、3−メチル1,5−ペンタンジオール/アジピン酸、ポリエステルポリオール、Mn2,000、クラレ社製(バイオマス度0%、生分解性度0%)
HF−1300:URIC HF−1300、ヒマシ油ポリオール、Mn1,400、水酸基数2、伊藤製油社製(バイオマス度100%、生分解性度0%)
【0092】
<多官能ポリオール(ay)>
P−1010:クラレポリオールF−1010、3−メチル1,5−ペンタンジオール/アジピン酸/トリメチロールプロパンポリエステルポリオール、Mn1,000、クラレ社製(バイオマス度0%、生分解性度0%)
GL−600:サンニックス PP−600、グリセリン/PO/EO、ポリオキシプロピレングリコール、Mn600、水酸基数2、三洋化成工業社製(バイオマス度0%、生分解性度0%)
GI3000;NISSO−PBGI−3000、ポリブタジエンポリオール、Mn3,100、水酸基数2、日本曹達社製(バイオマス度0%、生分解性度0%)
【0093】
<ポリイソシアネート(az)>
IPDI:イソホロンジイソシアネート
HDI:ヘキサメチレンジイソシアネート
XDI:m−キシレンジイソシアネート
【0094】
<硬化剤>
[イソシアネート硬化剤(B)]
HDI−TMP:ヘキサメチレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、タケネートD−160N、三井化学社製
XDI−TMP:キシレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、タケネートD−110N、三井化学社製
TDI−Nu:トリレンジイソシアネートのイソシアヌレート体、タケネートD−204、三井化学社製
[カルボジイミド硬化剤]
V−09B:カルボジイミド、カルボジライドV−09B、日清紡ケミカル
【0095】
<粘着付与樹脂>
A−75: スーパーエステルA−75、ロジン系樹脂、荒川化学社製(バイオマス度92%、生分解性度0%)
D−125: ペンセルD−125、ロジン系樹脂、荒川化学社製(バイオマス度85%、生分解性度0%)
【0096】
前記材料において、バイオマス度は、製造する際に使用するバイオマス由来の原料の質量割合(質量%)または、ASTM D6866に基づいた含有率である。
【0097】
前記材料における生分解性は、ISO 17556、ISO 14851、ISO 14852、ISO 15985、ISO 13975、ISO 14853、ISO 14855−1、ISO 14855−2、ISO 18830、ISO 19679、ASTM D7081、ASTM D6691等、並びにISO規格に対応するJIS規格に基づき決定され、生分解性が認められる場合、原料の生分解性度を100質量%とした。
【0098】
<ポリオール(ax’3−1)の製造例>
バイオマス由来の原料からなり、かつ生分解性原料でもあるセバシン酸および1.3−プロパンジオールを重合して数平均分子量が1,000であるポリエステルポリオール(ax’3−1)を得た。ポリオール(ax’3−1)のバイオマス度は100%であり、生分解性度は100%であった。
【0099】
<ポリオール(ax)の製造例>
(ポリオール(ax−1))
ディーンスタークトラップを設置した反応缶内に、L−乳酸100部、6−ヒドロキシカプロン酸35部、錫末0.6部を仕込み、150℃/50mmHgで3時間攪拌しながら水を留出させた後、150℃/30mmHgでさらに2時間攪拌して、ジフェニルエーテル210部を加え、150℃/35mmHg共沸脱水反応を行い、留出した水と溶媒を水分離器で分離して溶媒のみを反応機に戻した。2時間後、モレキュラシーブ3Aを充填したカラムに通してから反応機に戻るようにして、130℃/17mmHgで10時間反応を行った。その後、PD6.0部を加え、130℃/17mmHgで10時間反応を行い、反応を終了させた。数この溶液に脱水したジフェニルエーテル440部を加え希釈した後、40℃まで冷却して、析出した結晶を瀘過した。この結晶に0.5N−HCl120部とエタノール120部を加え、35℃で1時間撹拌した後瀘過し、60℃/50mmHgで乾燥して、固形物を得た。このポリオール(ax−1)数平均分子量は1,700であった。
【0100】
(ポリオール(ax−2、3))
配合量(質量部)を表1に示す通りに変更し、ポリオール(ax−1)の製造と同様にして、それぞれポリオール(ax−2、3)を得た。
得られたポリオールの数平均分子量(Mn)を表1に示した。
【0101】
(ポリオール(ax−4))
撹拌機、温度計、流出用冷却機を装備した反応缶内に、L−ラクチド100部、ε−カプロラクトン400部、P−1010 500部、および触媒2−エチルオクチル酸錫0.1部を仕込み、窒素雰囲気の常圧下で、5時間かけて170℃まで昇温させた後、3時間反応させ、留出する水を系外に除去し、重合反応を行った。
その後、10mmHgまで減圧し、3時間かけて未反応で残存する単量体を除去し、ポリオール(ax−4)を得た。このポリオール(ax−4)の数平均分子量は、2,000であった。
【0102】
(ポリオール(ax−5〜24、axc−1〜3))
配合量(質量部)を表1〜3に示す通りに変更した以外は、ポリオール(ax−4)の製造と同様にして、それぞれポリオール(ax−5〜24、axc−1〜3)を得た。
得られたポリオールの数平均分子量(Mn)を表1〜3に示した。
【0103】
なお、表1〜3中、それぞれの単量体の含有率は、ポリオール(ax)を構成する単量体混合物100質量%中の含有率(質量%)であり、単量体(ax’1)/単量体(ax’2)は、単量体(ax’1)の含有量と単量体(ax’2)の含有量の比率である。
【0104】
【表1】
【0105】
【表2】
【0106】
【表3】
【0107】
<水酸基を有するウレタンプレポリマーの製造例>
(ウレタンプレポリマー(A−1))
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計、滴下ロートを備えた4口フラスコにポリオール(ax−1)を100部、F−1010を12.1部、HDIを8.7部、触媒としてジオクチル錫ジラウレートを0.04部、不揮発分60%となるようにトルエンを仕込み、100℃まで徐々に昇温して、5時間反応を行った。IRチャートのNCO特性吸収(2,270cm
−1)が消失していることを確認した後に25℃まで冷却し、アセチルアセトン0.08部を加えた後、反応を終了した。このウレタンプレポリマー(A−1)の重量平均分子量(Mw)は50,000、ガラス転移温度(Tg)は−10℃であった。
【0108】
(ウレタンプレポリマー(A−2〜28、AC−1〜3))
ウレタンプレポリマー(A−1)の材料および配合量(質量部)を表4〜6に示す通りに変更した以外は、ウレタンプレポリマー(A−1)の製造と同様し、不揮発分60%となるようにトルエンを調整して、それぞれウレタンプレポリマー(A−2〜28、AC−1〜3)を得た。
得られたウレタンプレポリマーの重量平均分子量(Mw)、ガラス転移温度(Tg)を表4〜6に示した。
【0109】
なお、表4〜6中、「NCO/OH」は、水酸基含有ウレタンプレポリマー(A)を製造する際のポリイソシアネート(ay)のイソシアネート基(NCO)およびポリオール(ax)の水酸基(OH)との、NCO/OHのモル比である。
【0110】
(実施例1)
ウレタンプレポリマー(A−1)を100部、イソシアネート硬化剤(B)HDI−TMPを5.0部、および溶剤として酢酸エチルを不揮発分50%となるように配合し、ディスパーで攪拌して、粘着剤組成物を得た。
【0111】
基材に厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート(PET)(「ルミラーT−60」、東レ社製)を準備した。コンマコーター(登録商標)を用いて、上記基材上に、得られた粘着剤組成物を塗工速度3m/分、幅30cmで乾燥後厚みが25μmになるように塗工し、塗工層を形成した。次に、形成された塗工層を乾燥オーブンを使用して100℃1分間の条件で乾燥して、粘着剤層を形成した。この粘着剤層の上に、厚さ38μmの市販剥離シートを貼り合わせ、さらに23℃−50%RHの条件下で1週間養生を行うことで粘着シート1を得た。
【0112】
(実施例2〜35、比較例1〜3)
実施例1の材料および配合量(質量部)を表3に示す通りに変更した以外は実施例1と同様にして、それぞれ実施例2〜35、比較例1〜3の粘着剤組成物および粘着シートを得た。
【0113】
【表4】
【0114】
【表5】
【0115】
【表6】
【0116】
<粘着剤のバイオマス度>
粘着剤のバイオマス度とは、粘着剤の総質量に対し、粘着剤を製造する際に使用するバイオマス由来の原料の質量割合であり、以下の計算式により、算出した。なお、各質量は不揮発分換算である。バイオマス度は5%以上が好ましく、10%以上がより好ましく、25%以上がさらに好ましい。
粘着剤のバイオマス度(質量%)
=100×[バイオマス由来の原料の質量(g)]/[粘着剤の総質量(g)]
【0117】
<粘着剤の生分解性原料の使用比率>
粘着剤の生分解性原料の使用比率とは、粘着剤の総質量に対し、粘着剤を製造する際に使用した生分解性の原料の質量割合であり、以下の計算式により、算出した。なお、各質量は不揮発分換算である。使用比率は60%以上であることが好ましい。
粘着剤の生分解性原料の使用比率
=100×[生分解性原料の使用質量%]/[粘着剤100質量%]
【0118】
得られた粘着剤組成物、および粘着シートを用いて、下記の評価を行った。結果を表7に示す。
<粘着特性>
[再剥離力]
粘着シート1をステンレス板(SUS304)に試料の幅25mm、23℃50%雰囲気にて貼着し、JIS0237に準じて2Kgロール圧着し、23℃50%雰囲気下に24時間放置した後、引張試験機を用い、2通りの剥離速度(低剥離速度(0.3m/分)及び高剥離速度(30m/分)の剥離速度)で剥離(180度ピール)し、糊残りなどの外観を比較した。
(評価基準)
◎:SUS板を汚染せず粘着シートを剥離できた。優秀。
○:SUS板を極わずかに汚染した。良好。
△:SUS板をわずかに汚染した。実用可。
×:SUS板を汚染した。実用不可。
【0119】
[粘着力]
粘着シート1を幅25mm・長さ100mmの大きさに切り取り試料とした。次いで23℃−50%RH雰囲気下、JIS Z 0237に準拠して、試料から剥離シートを剥がし、露出した粘着剤層を研磨したステンレス(SUS)板に貼着し、2kgロールで1往復圧着した後、引張試験機を使用して貼着24時間後に剥離速度300mm/min、剥離角度180°の条件で粘着力(N/25mm)を測定した。
(評価基準)
◎:粘着力が15N/25mm以上。優秀。
○:粘着力が10N/25mm以上、15N/25mm未満。良好。
△:粘着力が5N/25mm以上、10N/25mm未満。実用可。
×:粘着力が5N/25mm未満。実用不可。
【0120】
[保持力]
粘着シート1から剥離シートを剥がし、露出した粘着剤層の先端部幅25mm・長さ25mm部分を研磨したステンレス(SUS)板に貼着し、2kgロールで1往復圧着した後、80℃ 雰囲気で1kgの荷重をかけ、7万秒保持した。評価は、SUS板から試料が落下した場合はその秒数を示す。試料が落下しなかった場合は、粘着剤層とSUS板の接着先端部が、荷重により下にずれたmm数を示す。
(評価基準)
◎:試料のずれが2mm未満。優秀。
○:試料のずれが2mm以上5mm未満。良好。
△:試料のずれが5mm以上で落下しなかった。実用可。
×:試料が落下した。実用不可。
【0121】
[初期硬化性]
基材に厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート(PET)(「ルミラーT−60」、東レ社製)を準備した。コンマコーター(登録商標)を用い、基材上に、得られた粘着剤組成物を塗工速度30m/分、幅150cmで乾燥後厚みが25μmになるように塗工し、塗工層を形成した。次に、形成された塗工層を乾燥オーブンを使用して100℃1分間の条件で乾燥して、粘着剤層を形成した。この粘着剤層の上に、厚さ38μmの市販剥離シートを貼り合わせ、さらに23℃−50%RHの条件下で1週間養生を行うことで粘着シート2を得た。
この粘着シート2について、剥離ライナーを剥がした後の粘着剤層表面(塗工面)の状態を指触タック試験にて、指への糊残りの有無を評価した。
(評価基準)
◎:指へ粘着剤が転着しなかった。優秀。
〇:指へ粘着剤が極わずかに転着した。良好。
△:指へ粘着剤がわずかに転着した。実用可。
×:指へ粘着剤が転着した。実用不可。
【0122】
<耐湿熱性>
[基材汚染性]
粘着シート1をステンレス板(SUS304)に試料の幅25mm、23℃50%雰囲気にて貼着し、JIS0237に準じて2Kgロール圧着し、60℃95%RH雰囲気下に72時間放置した後、粘着シートを剥離し、剥離後のSUS板の表面を目視で評価することで粘着剤層の再剥離性を評価した。
(評価基準)
○:SUS板を極わずかに汚染した。良好。
△:SUS板をわずかに汚染した。実用可。
×:SUS板を汚染した。実用不可。
【0123】
<低温耐性>
[基材密着性]
粘着シートを幅25mm・長さ100mmの大きさに切り取り試料とした。次いで−5℃雰囲気下、JIS Z 0237に準拠して、試料から剥離シートを剥がし、露出した粘着剤層を研磨したステンレス板(SUS304)および2kgロールで1往復圧着した後、引張試験機を使用して貼着24時間後に剥離速度300mm/min、剥離角度180°の条件で粘着力(N/25mm)を測定した。
(評価基準)
◎:粘着力が15N/25mm以上。優秀。
○:粘着力が10N/25mm以上、15N/25mm未満。良好。
△:粘着力が5N/25mm以上、10N/25mm未満。実用可。
×:粘着力が5N/25mm未満。実用不可。
【0124】
【表7】
【0125】
表7に示すように本発明の粘着剤組成物は、ウレタンプレポリマー(A)を含んでいることで、粘着剤中のバイオマス度および生分解性原料の使用比率が高くても、粘着特性を充分に満たし、さらに耐湿熱試験での基材汚染性が低く、加えて低温時の基材密着性にも優れていることが確認できた。
とくに、ラクチド体(ax’1−2)の中でも、L−ラクチドおよびD−ラクチドの併用や、DL−ラクチド、meso−ラクチドの場合には、低温時の基材密着性が優れており、特に、meso−ラクチドの場合には、再剥離性が特に優れた結果であることが確認できた。
【課題】粘着剤中のバイオマス度および生分解性原料の使用比率が高くても、粘着特性を充分に満たし、さらに耐湿熱試験での基材汚染性が低く、加えて低温時の基材密着性にも優れた粘着組成物、並びに該粘着剤組成物を用いた粘着シートの提供すること。
【解決手段】数平均分子量が1000〜10000であるポリオール(ax)、多官能ポリオール(ay)(ただし、ポリオール(ax)は除く)、およびポリイソシアネート(az)の反応物である水酸基を有するウレタンプレポリマー(A)を含み、前記ポリオール(ax)は、乳酸単位を有する単量体(ax’1)と、ラクトン単位および脂肪族ヒドロキシカルボン酸単位の少なくともいずれかを有する単量体(ax’2)(ただし、乳酸は除く)とを含む単量体混合物の共重合体であり、前記水酸基を有するウレタンプレポリマー(A)は、ガラス転移温度が−60℃〜−10℃である、粘着剤組成物により解決される。