特許第6881698号(P6881698)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6881698エレベーターのかごの内部の換気を制御する換気制御装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6881698
(24)【登録日】2021年5月10日
(45)【発行日】2021年6月2日
(54)【発明の名称】エレベーターのかごの内部の換気を制御する換気制御装置
(51)【国際特許分類】
   B66B 1/06 20060101AFI20210524BHJP
   B66B 11/02 20060101ALI20210524BHJP
【FI】
   B66B1/06 B
   B66B11/02 F
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2020-573377(P2020-573377)
(86)(22)【出願日】2019年3月20日
(86)【国際出願番号】JP2019011758
(87)【国際公開番号】WO2020188798
(87)【国際公開日】20200924
【審査請求日】2020年12月28日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルテクノサービス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】特許業務法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井上 淳
(72)【発明者】
【氏名】田畠 広泰
(72)【発明者】
【氏名】藤田 武
(72)【発明者】
【氏名】井澤 哲美
(72)【発明者】
【氏名】小泉 賢一
【審査官】 今野 聖一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平7−247060(JP,A)
【文献】 特開2000−072357(JP,A)
【文献】 特開平2−265889(JP,A)
【文献】 特開平4−101985(JP,A)
【文献】 特開平6−227756(JP,A)
【文献】 特開2012−121722(JP,A)
【文献】 韓国登録特許第10−1653664(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 1/00 − 1/52
B66B 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベーターのかごの換気扇が駆動していることによる前記かごの換気量の推定値に前記かごのかごドアが開いていることによる前記かごの換気量の推定値を加算することで前記かごの総合的な換気量の推定値を演算する換気量推定部と、
前記換気量推定部により演算された総合的な換気量の推定値が予め設定された閾値を上回った場合に前記換気扇の駆動を停止させる換気扇制御部と、
を備えたエレベーターの換気制御装置。
【請求項2】
エレベーターのかごの換気扇が駆動している際に前記換気扇が駆動していることによる前記かごの換気量の推定値に前記かごのかごドアが開いていることによる前記かごの換気量の推定値および前記かごが走行していることによる前記かごの換気量の推定値を加算することで前記かごの総合的な換気量の推定値を演算する換気量推定部と、
前記換気量推定部により演算された総合的な換気量の推定値が予め設定された閾値を上回った場合に前記換気扇の駆動を停止させる換気扇制御部と、
を備えたエレベーターの換気制御装置。
【請求項3】
前記換気扇制御部は、季節または時間帯に応じて変化する閾値に基づいて前記換気扇の駆動を停止させるか否かを判定する請求項1または請求項2に記載のエレベーターの換気制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、エレベーターのかごの内部の換気を制御する換気制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、エレベーターの換気制御装置を開示する。当該換気制御装置によれば、かごの内部を換気することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】日本特開平3−177295号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の換気制御装置においては、予め設定された時間が経過すると、換気扇が停止する。このため、かごの運転状況によっては、かごの換気量が適切でないこともある。
【0005】
この発明は、上述の課題を解決するためになされた。この発明の目的は、かごの内部を適切に換気することができるエレベーターの換気制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係るエレベーターの換気制御装置は、エレベーターのかごの換気扇が駆動していることによる前記かごの換気量の推定値に前記かごのかごドアが開いていることによる前記かごの換気量の推定値を加算することで前記かごの総合的な換気量の推定値を演算する換気量推定部と、前記換気量推定部により演算された総合的な換気量の推定値が予め設定された閾値を上回った場合に前記換気扇の駆動を停止させる換気扇制御部と、を備えた。
【0007】
この発明に係るエレベーターの換気制御装置は、エレベーターのかごの換気扇が駆動している際に前記換気扇が駆動していることによる前記かごの換気量の推定値に前記かごのかごドアが開いていることによる前記かごの換気量の推定値および前記かごが走行していることによる前記かごの換気量の推定値を加算することで前記かごの総合的な換気量の推定値を演算する換気量推定部と、前記換気量推定部により演算された総合的な換気量の推定値が予め設定された閾値を上回った場合に前記換気扇の駆動を停止させる換気扇制御部と、を備えた。
【発明の効果】
【0008】
これらの発明によれば、制御装置は、換気扇が駆動していることによるかごの換気量の推定値にかごのかごドアが開いていることによるかごの換気量の推定値を加算することでかごの総合的な換気量の推定値を演算する。制御装置は、かごの総合的な換気量の推定値が予め設定された閾値を上回った場合に換気扇の駆動を停止させる。このため、かごの内部を適切に換気することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1におけるエレベーターの換気制御装置が適用されるエレベーターの構成図である。
図2】実施の形態1におけるエレベーターの換気制御装置が適用されるかごの斜視図である。
図3】実施の形態1におけるエレベーターの換気制御装置としての制御装置のブロック図である。
図4】実施の形態1におけるエレベーターの換気制御装置が適用されるかごの換気量を説明するための図である。
図5】実施の形態1におけるエレベーターの換気制御装置が適用されるかごが戸閉待機している際の換気量の例を説明するための図である。
図6】実施の形態1におけるエレベーターの換気制御装置が適用されるかごが利用者を移動させる際の換気量の例を説明するための図である。
図7】実施の形態1におけるエレベーターの換気制御装置によるかごの換気量の変化の例を説明するための図である。
図8】実施の形態1におけるエレベーターの換気制御装置が適用されるかごの換気停止ラインの設定の例を説明するための図である。
図9】実施の形態1におけるエレベーターの換気制御装置が適用されるかごの換気停止ラインの設定の例を説明するための図である。
図10】実施の形態1におけるエレベーターの換気制御装置としての制御装置の動作の概要を説明するためのフローチャートである。
図11】実施の形態1におけるエレベーターの換気制御装置としての制御装置の動作の詳細を説明するためのフローチャートである。
図12】実施の形態1におけるエレベーターの換気制御装置として制御装置のハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
この発明を実施するための形態について添付の図面に従って説明する。なお、各図中、同一または相当する部分には同一の符号が付される。当該部分の重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0011】
実施の形態1.
図1は実施の形態1におけるエレベーターの換気制御装置が適用されるエレベーターの構成図である。
【0012】
図1のエレベーターは、機械室がないエレベーターである。当該エレベーターにおいて、昇降路1は、図示されない建築物の各階を貫く。図示されない複数の乗場の各々は、建築物の各階に設けられる。複数の乗場の各々は、昇降路1に対向する。
【0013】
巻上機2は、昇降路1の底部に設けられる。主ロープ3は、巻上機2に巻き掛けられる。
【0014】
かご4は、昇降路1の内部に設けられる。かご4は、主ロープ3の一側に支持される。釣合おもり5は、昇降路1の内部に設けられる。釣合おもり5は、主ロープ3の他側に支持される。
【0015】
図示されない複数の乗場ドアの各々は、複数の乗場の各々の出入口に設けられる。かごドア6は、かご4の出入口に設けられる。
【0016】
制御装置7は、昇降路1の底部に設けられる。制御装置7は、エレベーターを全体的に制御し得るように設けられる。
【0017】
次に、図2を用いて、かご4を説明する。
図2は実施の形態1におけるエレベーターの換気制御装置が適用されるかごの斜視図である。
【0018】
図2に示されるように、かご4は、ドアスイッチ8と換気扇9と駆動装置10とを備える。
【0019】
ドアスイッチ8は、かご4の出入口の上縁部に設けられる。ドアスイッチ8は、かごドア6の開閉状態を検出し得るように設けられる。換気扇9は、かご4の天井に設けられる。換気扇9は、かご4の内部からの吸気またはかご4の内部への排気によりかご4の内部の換気を行い得るように設けられる。駆動装置10は、かご4の天井に設けられる。駆動装置10は、換気扇9の駆動および停止を行い得るように設けられる。
【0020】
次に、図3を用いて、制御装置7を説明する。
図3は実施の形態1におけるエレベーターの換気制御装置としての制御装置のブロック図である。
【0021】
図3に示されるように、制御装置7は、換気制御装置としても機能する。具体的には、制御装置7は、換気量推定部7aと換気扇制御部7bとを備える。
【0022】
換気量推定部7aは、制御装置7の他の機能から日時の情報とかご4の走行時間の情報とかご4の走行速度の情報の入力を受け付ける。換気量推定部7aは、ドアスイッチ8からかごドア6の開閉時間の情報の入力を受け付ける。換気量推定部7aは、駆動装置10から換気扇9の駆動時間の情報の入力を受け付ける。
【0023】
換気量推定部7aは、入力された情報に基づいてかご4の総合的な換気量の推定値を演算する。例えば、換気量推定部7aは、換気扇9が駆動していることによるかご4の換気量の推定値にかご4のかごドア6が開いていることによるかご4の換気量の推定値およびかご4が走行していることによるかご4の換気量の推定値を加算することでかご4の総合的な換気量の推定値を演算する。具体的には、換気量推定部は、次の(1)式を用いてかご4の総合的な換気量の推定値Qを演算する。
【0024】
Q=γ×tod+δ×v×t+ε×t (1)
【0025】
ただし、γは、かごドア6が開いていることによる換気の係数である。todは、かごドア6が開いている時間である。δは、かご4が走行していることによる換気の係数である。vは、かご4の走行速度である。tは、かご4の走行時間である。εは、換気扇9が駆動していることによる換気の係数である。tは、換気扇9の駆動時間である。なお、εは、換気扇9の風量に比例する。
【0026】
換気扇制御部7bは、換気量推定部7aに演算された総合的な換気量の推定値に基づいて駆動装置10を介して換気扇9の駆動を制御する。例えば、換気扇制御部7bは、換気量推定部7aに演算された総合的な換気量の推定値が予め設定された閾値を上回った場合に換気扇9の駆動を停止させる。具体的には、換気扇制御部7bは、かご4の総合的な推定値Qが次の(2)式で表された閾値Qを上回った場合に換気扇9の駆動を停止させる。
【0027】
=α+β+V (2)
【0028】
ただし、αは、季節の係数である。βは、時間帯の係数である。Vは、かご4の容積である。
【0029】
次に、図4を用いて、かごの換気量を説明する。
図4は実施の形態1におけるエレベーターの換気制御装置が適用されるかごの換気量を説明するための図である。
【0030】
図4において、Aは、換気扇9の駆動によるかご4の換気量である。Bは、かごドア6が開いていることによるかご4の換気量である。Cは、かご4が走行していることによるかご4の換気量である。
【0031】
かごドア6が開いている際、かご4の内部の空気は、かご4の出入口を介して急激に入れ替わる。このため、換気量Bの時間的変化率は、換気量Aの時間的変化率よりも大きい。かご4が走行している際、かご4の内部の空気は、かご4の隙間を介して徐々に入れ替わる。このため、換気量Cの時間的変化率は、換気量Aの時間的変化率よりも小さい。
【0032】
次に、図5を用いて、かご4が戸閉待機している際の換気量の例を説明する。
図5は実施の形態1におけるエレベーターの換気制御装置が適用されるかごが戸閉待機している際の換気量の例を説明するための図である。
【0033】
図5において、かご4の容積は、予め設定される。換気扇9の風量は、予め設定される。かごドア6が開く時間は、0秒である。かご4の走行速度は、0km/hである。かご4の走行時間は、0秒である。換気扇9の駆動時間は、10分である。
【0034】
(a)において、換気扇9の駆動が開始される。(b)と(c)とにおいて、かご4の換気量は、換気扇9の駆動が行われている時間に応じて増加する。その結果、(d)に示されるように、時刻T1において、かご4の換気量は、換気停止ラインに達する。
【0035】
次に、図6を用いて、かご4が利用者を移動させる際の換気量の例を説明する。
図6は実施の形態1におけるエレベーターの換気制御装置が適用されるかごが利用者を移動させる際の換気量の例を説明するための図である。
【0036】
図6において、かご4の容積は、予め設定される。換気扇9の風量は、予め設定される。かごドア6が開く時間は、5秒である。かご4の走行速度は、15km/hである。かご4の走行時間は、0秒である。換気扇9の駆動時間は、8分である。
【0037】
(a)において、換気扇9の駆動が開始される。(b)において、かご4の換気量は、換気扇9の駆動が行われている時間に応じて増加するだけでなく、かごドア6が開いている時間に応じて増加する。(c)において、かご4の換気量は、換気扇9の駆動が行われている時間に応じて増加するだけでなく、かご4が走行している時間に応じて増加する。その結果、(d)に示されるように、時刻T1よりも早い時刻T2において、かご4の換気量は、換気停止ラインに達する。
【0038】
次に、図7を用いて、かごの換気量の変化の例を説明する。
図7は実施の形態1におけるエレベーターの換気制御装置によるかごの換気量の変化の例を説明するための図である。
【0039】
図7において、E1は、かご4が戸閉待機している際の換気量の変化の例である。E2は、かご4が利用者を移動させる際の換気量の例である。
【0040】
E1において、かご4は、時刻T0から時刻T1まで戸閉待機する。かご4は、時刻T1から時刻T2まで戸閉待機を維持する。かご4は、時刻T2から時刻T3まで戸閉待機を維持する。かご4は、時刻T3から時刻T4まで戸閉待機を維持する。かご4は、時刻T4から時刻T5まで戸閉待機を維持する。
【0041】
この場合、時刻T1から時刻T2までの間において、かご4の換気量の時間的変化率は、図4の換気量Aの時間的変化率と同等である。時刻T2から時刻T3までの間において、かご4の換気量の時間的変化率は、図4の換気量Aの時間的変化率と同等である。時刻T3から時刻T4までの間において、かご4の換気量の時間的変化率は、図4の換気量Aの時間的変化率と同等である。時刻T4から時刻T5までの間において、かご4の換気量の時間的変化率は、図4の換気量Aの時間的変化率と同等である。
【0042】
E2において、かご4は、時刻T0から時刻T1まで戸閉待機する。かご4は、時刻T1から時刻T2までかごドア6を開く。かご4は、時刻T2から時刻T3まで走行する。かご4は、時刻T3から時刻T4でかごドア6を開く。かご4は、時刻T4から時刻T5まで戸閉待機する。
【0043】
この場合、時刻T1から時刻T2までの間において、かご4の換気量の時間的変化率は、図4の換気量Aの時間的変化率と同等である。時刻T2から時刻T3までの間において、かご4の換気量の時間的変化率は、図4の換気量Aと換気量Bとの合計の時間的変化率と同等である。時刻T3から時刻T4までの間において、かご4の換気量の時間的変化率は、図4の換気量Aと換気量Cとの合計の時間的変化率と同等である。時刻T4から時刻T5までの間において、かご4の換気量の時間的変化率は、図4の換気量Aの時間的変化率と同等である。
【0044】
次に、図8図9とを用いて、換気停止ラインの設定を説明する。
図8図9とは実施の形態1におけるエレベーターの換気制御装置が適用されるかごの換気停止ラインの設定の例を説明するための図である。
【0045】
図8は、夏の換気停止ラインの例である。夏において、かご4の内部の気温および湿度は高い。さらに、利用者の鼻の感度も高い。このため、夏の換気停止ラインは、比較的多い換気量に設定される。
【0046】
図9は、冬の換気停止ラインの例である。冬において、かご4の内部の気温および湿度は低い。さらに、利用者の鼻の感度も低い。このため、冬の換気停止ラインは、比較的少ない換気量に設定される。
【0047】
次に、図10を用いて、制御装置7の動作の概要を説明する。
図10は実施の形態1におけるエレベーターの換気制御装置としての制御装置の動作の概要を説明するためのフローチャートである。
【0048】
ステップS1では、制御装置7は、予め設定された条件に基づいて駆動装置10を介して換気扇9を駆動する。その後、制御装置7は、ステップS2の動作を行う。ステップS2では、制御装置7は、かご4の総合的な換気量の推定値を演算する。
【0049】
その後、制御装置7は、ステップS3の動作を行う。ステップS3では、制御装置7は、かご4の総合的な換気量の推定値が予め設定された閾値を上回ったか否かを判定する。
【0050】
ステップS3でかご4の総合的な換気量の推定値が予め設定された閾値を上回っていない場合、制御装置7は、ステップS2の動作を行う。ステップS3でかご4の総合的な換気量の推定値が予め設定された閾値を上回った場合、制御装置7は、ステップS4の動作を行う。
【0051】
ステップS4では、制御装置7は、駆動装置10を介して換気扇9を停止させる。その後、制御装置7は、動作を終了する。
【0052】
次に、図11を用いて、制御装置7の動作の詳細を説明する。
図11は実施の形態1におけるエレベーターの換気制御装置としての制御装置の動作の詳細を説明するためのフローチャートである。
【0053】
ステップS11では、制御装置7は、換気扇9が動いているか否かを判定する。ステップS11で換気扇9が動いていない場合、制御装置7は、ステップS11の動作を行う。ステップS11で換気扇9が動いている場合、制御装置7は、ステップS12の動作を行う。
【0054】
ステップS12では、制御装置7は、換気扇9が駆動していることによるかご4の換気量の推定値を演算する。その後、制御装置7は、ステップS13の動作を行う。ステップS13では、制御装置7は、かごドア6が開いているか否かを判定する。
【0055】
ステップS13でかごドア6が開いている場合、制御装置7は、ステップS14の動作を行う。ステップS14では、制御装置7は、かごドア6が開いていることによるかご4の換気量の推定値を演算する。
【0056】
ステップS13でかごドア6が開いていない場合、制御装置7は、ステップS15の動作を行う。ステップS15では、制御装置7は、かご4が走行しているか否かを判定する。
【0057】
ステップS15でかご4が走行している場合、制御装置7は、ステップS16の動作を行う。ステップS16では、制御装置7は、かご4が走行していることによるかご4の換気量の推定値を演算する。
【0058】
ステップS14の後、ステップS15でかご4が走行していない場合、ステップS16の後、制御装置7は、ステップS17の動作を行う。ステップS17では、制御装置7は、かご4の総合的な換気量の推定値を更新する。その後、制御装置7は、ステップS18の動作を行う。ステップS18では、制御装置7は、かご4の総合的な換気量が予め設定された閾値を上回ったか否かを判定する。
【0059】
ステップS18でかご4の総合的な換気量が予め設定された閾値を上回っていない場合、制御装置7は、ステップS12の動作を行う。ステップS18でかご4の総合的な換気量が予め設定された閾値を上回った場合、制御装置7は、ステップS19の動作を行う。
【0060】
ステップS19では、制御装置7は、駆動装置10を介して換気扇9を停止させる。その後、制御装置7は、ステップS11の動作を行う。
【0061】
以上で説明した実施の形態1によれば、制御装置7は、換気扇9が駆動していることによるかご4の換気量の推定値にかご4のかごドア6が開いていることによるかご4の換気量の推定値およびかご4が走行していることによるかご4の換気量の推定値を加算することでかご4の総合的な換気量の推定値を演算する。制御装置7は、かご4の総合的な換気量の推定値が予め設定された閾値を上回った場合に換気扇9の駆動を停止させる。このため、かご4の内部を適切に換気することができる。その結果、かご4の内部の快適性を維持しつつ、換気扇9の消費電力を抑制することができる。
【0062】
この際、新規の機器は必要ない。このため、コストを抑えつつ、かご4の快適性を維持することができる。
【0063】
なお、換気扇9が駆動していることによるかご4の換気量の推定値にかご4のかごドア6が開いていることによるかご4の換気量の推定値を加算することでかご4の総合的な換気量の推定値を演算してもよい。この場合も、かご4の内部をある程度の精度で適切に換気することができる。
【0064】
また、制御装置7は、季節に応じて変化する換気停止ラインに対応した閾値に基づいて換気扇9の駆動を停止させるか否かを判定する。このため、より適切なタイミングで換気扇9の駆動を停止させることができる。
【0065】
なお、時間帯に応じて変化する閾値に基づいて換気扇9の駆動を停止させるか否かを判定してもよい。この場合も、より適切なタイミングで換気扇9の駆動を停止させることができる。
【0066】
また、巻上機2が昇降路1の頂部に設けられているエレベーターにおいて、実施の形態1と同様に換気扇9の駆動を制御してもよい。また、機械室が設けられているエレベーターにおいて、実施の形態1と同様に換気扇9の駆動を制御してもよい。これらの場合も、かご4の内部を適切に換気することができる。
【0067】
次に、図12を用いて、制御装置7の例を説明する。
図12は実施の形態1におけるエレベーターの換気制御装置として制御装置のハードウェア構成図である。
【0068】
制御装置7の各機能は、処理回路により実現し得る。例えば、処理回路は、少なくとも1つのプロセッサ100aと少なくとも1つのメモリ100bとを備える。例えば、処理回路は、少なくとも1つの専用のハードウェア200を備える。
【0069】
処理回路が少なくとも1つのプロセッサ100aと少なくとも1つのメモリ100bとを備える場合、制御装置7の各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせで実現される。ソフトウェアおよびファームウェアの少なくとも一方は、プログラムとして記述される。ソフトウェアおよびファームウェアの少なくとも一方は、少なくとも1つのメモリ100bに格納される。少なくとも1つのプロセッサ100aは、少なくとも1つのメモリ100bに記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、制御装置7の各機能を実現する。少なくとも1つのプロセッサ100aは、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、DSPともいう。例えば、少なくとも1つのメモリ100bは、RAM、ROM、フラッシュメモリ、EPROM、EEPROM等の、不揮発性または揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVD等である。
【0070】
処理回路が少なくとも1つの専用のハードウェア200を備える場合、処理回路は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、FPGA、またはこれらの組み合わせで実現される。例えば、制御装置7の各機能は、それぞれ処理回路で実現される。例えば、制御装置7の各機能は、まとめて処理回路で実現される。
【0071】
制御装置7の各機能について、一部を専用のハードウェア200で実現し、他部をソフトウェアまたはファームウェアで実現してもよい。例えば、換気量推定部7aと換気扇制御部7bとの機能については専用のハードウェア200としての処理回路で実現し、換気量推定部7aと換気扇制御部7bとの機能以外の機能については少なくとも1つのプロセッサ100aが少なくとも1つのメモリ100bに格納されたプログラムを読み出して実行することにより実現してもよい。
【0072】
このように、処理回路は、ハードウェア200、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせで制御装置7の各機能を実現する。
【産業上の利用可能性】
【0073】
以上のように、この発明に係るエレベーターの換気制御装置は、エレベーターシステムに利用できる。
【符号の説明】
【0074】
1 昇降路、 2 巻上機、 3 主ロープ、 4 かご、 5 釣合おもり、 6 かごドア、 7 制御装置、 7a 換気量推定部、 7b 換気扇制御部、 8 ドアスイッチ、 9 換気扇、 10 駆動装置、 100a プロセッサ、 100b メモリ、 200 ハードウェア
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