特許第6881711号(P6881711)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6881711
(24)【登録日】2021年5月10日
(45)【発行日】2021年6月2日
(54)【発明の名称】双方向信号伝送装置
(51)【国際特許分類】
   H04B 10/27 20130101AFI20210524BHJP
   H04J 14/02 20060101ALI20210524BHJP
   H04N 21/61 20110101ALI20210524BHJP
   H04N 21/643 20110101ALI20210524BHJP
   H04B 10/40 20130101ALI20210524BHJP
【FI】
   H04B10/27
   H04J14/02
   H04N21/61
   H04N21/643
   H04B10/40
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-74116(P2017-74116)
(22)【出願日】2017年4月4日
(65)【公開番号】特開2018-182381(P2018-182381A)
(43)【公開日】2018年11月15日
【審査請求日】2020年3月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000147350
【氏名又は名称】株式会社精工技研
(73)【特許権者】
【識別番号】593139411
【氏名又は名称】ミマキ電子部品株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】502226380
【氏名又は名称】株式会社オプトハブ
(74)【代理人】
【識別番号】100178906
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 充和
(72)【発明者】
【氏名】鳥羽 良和
(72)【発明者】
【氏名】藤浪 圭
(72)【発明者】
【氏名】堂本 晶宏
(72)【発明者】
【氏名】中村 利男
【審査官】 佐藤 敬介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−130297(JP,A)
【文献】 特開2014−082656(JP,A)
【文献】 特開2011−138783(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0295647(US,A1)
【文献】 国際公開第2015/190153(WO,A1)
【文献】 中国特許出願公開第108243628(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 10/27
H04B 10/40
H04J 14/02
H04N 21/61
H04N 21/643
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信電気信号を入力する電気入力端子と送信光信号を出力する光出力端子とを備えるE/O変換器と、受信光信号を入力する光入力端子と受信電気信号を出力する電気出力端子とを備えるO/E変換器と、電気入出力端子と、該電気入出力端子と前記電気入力端子または前記電気出力端子との間の接続を切り替える切替器とを有するI/O端末をそれぞれ複数個備え、前記切替器を制御する制御回路をそれぞれ備える第1の送受信装置および第2の送受信装置とを有し、
前記第1の送受信装置と前記第2の送受信装置との間を接続して前記送信光信号を伝送する信号用光伝送路と、前記第1の送受信装置と前記第2の送受信装置との間を接続して前記制御回路の制御情報を含む制御用光信号を伝送する制御用光伝送路とを有し、
前記制御回路は、前記第1の送受信装置と前記第2の送受信装置の一方の送受信装置の前記I/O端末の前記電気入出力端子が前記電気入力端子に接続されるときは、該電気入力端子を有するE/O変換器から出力される送信光信号が伝送されて入力するO/E変換器を有する他方の送受信装置の前記I/O端末の前記電気入出力端子が前記電気出力端子に接続されるように制御することを特徴とする双方向信号伝送装置。
【請求項2】
前記信号用光伝送路は、前記第1の送受信装置と前記第2の送受信装置との間に設置された複数本の光ファイバを有し、それぞれ異なる光ファイバを用いて、前記第1の送受信装置の前記複数のI/O端末の前記光出力端子からの前記送信光信号を前記第2の送受信装置の前記複数のI/O端末の前記光入力端子に伝送し、前記第2の送受信装置の前記複数のI/O端末の前記光出力端子からの前記送信光信号を前記第1の送受信装置の前記複数のI/O端末の前記光入力端子に伝送することを特徴とする請求項1に記載の双方向信号伝送装置。
【請求項3】
前記第1の送受信装置および前記第2の送受信装置において、前記複数のI/O端末の前記光出力端子からの前記送信光信号はそれぞれ異なる波長を有する光信号であり、これらの光信号はそれぞれの送受信装置において合波器により波長多重されて前記信号用光伝送路に出力されて他方の送受信装置に伝送され、
前記第1の送受信装置および前記第2の送受信装置において、前記の他方の送受信装置から伝送され入力された波長多重された送信光信号は分波器により分波されて前記受信光信号としてそれぞれ異なる前記I/O端末の前記光入力端子に入力されることを特徴とする請求項1に記載の双方向信号伝送装置。
【請求項4】
前記第1の送受信装置から出力される波長多重された前記送信光信号と前記第2の送受信装置から出力される波長多重された前記送信光信号とはそれぞれ異なる波長領域を有し、
前記第1の送受信装置および前記第2の送受信装置において、前記合波器と前記分波器は出力する前記送信光信号を合波し、かつ、入力される前記送信光信号を分波する単一の合分波器であり、
前記信号用光伝送路は1本の光ファイバを双方向伝送路として用いることを特徴とする請求項3に記載の双方向信号伝送装置。
【請求項5】
前記制御用光信号は前記第1の送受信装置と前記第2の送受信装置においてそれぞれ異なる波長を有し、該異なる波長を合波および分波する合分波器を前記第1の送受信装置および前記第2の送受信装置にそれぞれ備え、前記制御用光伝送路は1本の光ファイバを双方向伝送路として用いることを特徴とする請求項4に記載の双方向信号伝送装置。
【請求項6】
前記第1の送受信装置および前記第2の送受信装置は、それぞれ、手動により前記切替器の切り替えを行う能動操作手段と、該能動操作により前記制御用光信号を発生させる手段と、他方の送受信装置から伝送された制御用光信号を受信しその制御情報に基づいて前記切替器の切り替えを行う受動操作手段と、前記切替器の状態を表示する表示手段とを有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の双方向信号伝送装置。
【請求項7】
映像信号を含む信号が前記電気入出力端子に入力されることを特徴とする請求項6に記載の双方向信号伝送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像信号などを光信号に変換して送受信する信号伝送装置に関し、特に送信装置と受信装置を切り替えて送受信する双方向信号伝送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
映像信号を扱う放送局や様々な中継施設、監視施設、それらの制御システムなどでは、HDや4Kなどの高精細映像が広く用いられるようになり、映像信号に必要な信号容量が増加している。また、離れた地点間の映像信号の送受信の必要性が増加しており、このような状況に対応するため、映像信号の伝送に光伝送路が使用されている。例えば、特許文献1には波長多重光信号を用いて、送信装置からそれぞれ異なる複数の映像信号を複数の映像表示機器に伝送するシステムが記載されている。特許文献2では波長多重光信号を用いて複数の映像信号を要求された映像端末装置に選択的に切り替えて配信するシステムが記載されている。
【0003】
映像信号は様々の規格のSDI(シリアル・デジタル・インターフェイス)信号やNTSC信号等により伝送されている。例えば、映像信号に必要な信号容量により、SD−SDI信号、HD−SDI信号、3G−SDI信号、12G−SDI信号等が選択される。大きな容量が必要な4K映像信号の場合には、3G−SDI信号を4チャンネル使用して伝送されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−166353号公報
【特許文献2】特開2007−124597号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
映像信号を扱う放送局や撮影現場、中継施設などでは、映像信号の伝送は撮影現場等から放送局に向かう一方向の伝送だけでなく、放送局で選択された映像信号を放送局から撮影現場等へ送り返すことが行われている。このような場合にも大きな容量の映像信号の場合、複数の信号伝送チャンネルを使用している。
【0006】
上記のように、映像信号の伝送には双方向の伝送が必要であるので、従来のシステムでは放送局や撮影現場等の両方に送信装置と受信装置が複数台組込まれた送受信装置を備えている。さらに、送信する映像信号の数と受信する映像信号の数はその時の状況によって変わるので、従来はそれらの装置担当者が、放送局、撮影現場等でそれぞれ送信装置と受信装置を組み替える作業を行っていた。また、上記のように映像信号の容量により使用する伝送チャンネル数も変わるので、これらの接続作業には光ファイバの精密な接続作業も含まれ、多くの工数を要し、接続作業ミスを生じやすいという問題もあった。
【0007】
そこで、本発明の目的は、上記の課題を解決し、映像信号等の信号を光伝送により送受信する際に送信装置および受信装置の作業者による組み換え接続作業を不要とし、工数の削減や接続作業ミスの発生を防ぐことが可能な双方向信号伝送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、第1の観点では、本発明による双方向信号伝送装置は、送信電気信号を入力する電気入力端子と送信光信号を出力する光出力端子とを備えるE/O変換器と、受信光信号を入力する光入力端子と受信電気信号を出力する電気出力端子とを備えるO/E変換器と、電気入出力端子と、該電気入出力端子と前記電気入力端子または前記電気出力端子との間の接続を切り替える切替器とを有するI/O端末をそれぞれ複数個備え、前記切替器を制御する制御回路をそれぞれ備える第1の送受信装置および第2の送受信装置とを有し、前記第1の送受信装置と前記第2の送受信装置との間を接続して前記送信光信号を伝送する信号用光伝送路と、前記第1の送受信装置と前記第2の送受信装置との間を接続して前記制御回路の制御情報を含む制御用光信号を伝送する制御用光伝送路とを有し、前記、制御回路は、前記第1の送受信装置と前記第2の送受信装置の一方の送受信装置の前記I/O端末の前記電気入出力端子が前記電気入力端子に接続されるときは、該電気入力端子を有するE/O変換器から出力される送信光信号が伝送されて入力するO/E変換器を有する他方の送受信装置の前記I/O端末の前記電気入出力端子が前記電気出力端子に接続されるように制御することを特徴とする。
【0009】
上記のように、本発明においては、映像信号等の送受信装置として、E/O変換器とO/E変換器とを備えたI/O端末をそれぞれ複数個備える第1の送受信装置と第2の送受信装置とを有しており、例えば、この第1または第2の送受信装置の一方が放送局に置かれ他方が撮影現場等に置かれる。それぞれのI/O端末においては、E/O変換器の送信電気信号を入力する電気入力端子とO/E変換器の受信電気信号を出力する電気出力端子のいずれかが、外部の電気機器との間のインターフェイスとなる電気入出力端子に接続される。この電気入出力端子と電気入力端子または電気出力端子との間の接続の切り替えが各I/O端末に備えた切替器によって行われ、この切替器は第1の送受信装置および第2の送受信装置にそれぞれ備えた制御回路によって制御される。また、第1または第2の送受信装置の一方からの送信光信号は信号用光伝送路により他方の送受信装置に伝送される。さらに、制御回路の制御情報を含む制御用光信号が制御用光伝送路により第1および第2の送受信装置間を伝送されて、両者の制御回路が統一的に制御される。この制御においては、第1または第2の送受信装置の一方のいずれかのI/O端末の電気入出力端子が電気入力端子に接続されるとき、すなわち、E/O変換器に映像信号等が入力されてE/O変換器から送信光信号が出力されるときは、その送信光信号が伝送されて入力する他方の送受信装置のI/O端末のO/E変換器の電気出力端子が電気入出力端子に接続されるようにする。
【0010】
このように、本発明においては、第1および第2の送受信装置は送信装置および受信装置の両者の機能を有している。それぞれの送受信装置において、I/O端末ごとに伝送チャンネルを設定すると、その伝送チャンネルを送信端末として使用するか受信端末として使用するかは切替器とその制御回路により選択可能である。このとき、一方の送受信装置において、いずれかのI/O端末の電気入出力端子が電気入力端子に接続され送信端末として選択されたとき、その端末から送信された送信光信号が伝送されて入力する他方のI/O端末は、自動的に受信端末として電気出力端子が電気入出力端子に接続されるよう制御されるので、作業者による接続作業が不要となり、接続作業ミスの発生を防ぐことが可能となる。
【0011】
なお、本発明においては、E/O変換器とO/E変換器とそれらの切替器を備えた上記の構成のI/O端末を第1の送受信装置および第2の送受信装置にそれぞれ複数個有していればよく、このような構成のI/O端末以外に、送信機能のみを有するE/O変換器や受信機能のみを有するO/E変換器を第1の送受信装置または第2の送受信装置に備えていてもよい。また、本発明のI/O端末に使用するE/O変換器およびO/E変換器としては、様々な規格の映像信号に対応可能なデバイスや、映像信号以外の信号に対応可能なデバイスを用いることができる。
【0012】
第2の観点では、本発明は、前記第1の観点の双方向信号伝送装置において、前記信号用光伝送路は、前記第1の送受信装置と前記第2の送受信装置との間に設置された複数本の光ファイバを有し、それぞれ異なる光ファイバを用いて、前記第1の送受信装置の前記複数のI/O端末の前記光出力端子からの前記送信光信号を前記第2の送受信装置の前記複数のI/O端末の前記光入力端子に伝送し、前記第2の送受信装置の前記複数のI/O端末の前記光出力端子からの前記送信光信号を前記第1の送受信装置の前記複数のI/O端末の前記光入力端子に伝送することを特徴とする。本観点の発明では、第1および第2の送受信装置のI/O端末間の送信光信号の伝送はそれぞれ異なる光ファイバを用いた並列伝送である。複数本の伝送用光ファイバが必要ではあるが、光信号の合波や分波が不要であるので取り扱いや制御が容易である。
【0013】
第3の観点では、本発明は、前記第1の観点の双方向信号伝送装置において、前記第1の送受信装置および前記第2の送受信装置において、前記複数のI/O端末の前記光出力端子からの前記送信光信号はそれぞれ異なる波長を有する光信号であり、これらの光信号はそれぞれの送受信装置において合波器により波長多重されて前記信号用光伝送路に出力されて他方の送受信装置に伝送され、前記第1の送受信装置および前記第2の送受信装置において、前記の他方の送受信装置から伝送され入力された波長多重された送信光信号は分波器により分波されて前記受信光信号としてそれぞれ異なる前記I/O端末の前記光入力端子に入力されることを特徴とする。本観点の発明では、第1の送受信装置および第2の送受信装置のそれぞれにおいて、各I/O端末の送信光信号をまとめて1つの波長多重光信号として出力することにより、各々の送受信装置からの信号用光伝送路は各々1本の光ファイバで対応することができる。
【0014】
第4の観点では、本発明は、前記第3の観点の双方向信号伝送装置において、前記第1の送受信装置から出力される波長多重された前記送信光信号と前記第2の送受信装置から出力される波長多重された前記送信光信号とはそれぞれ異なる波長領域を有し、前記第1の送受信装置および前記第2の送受信装置において、前記合波器と前記分波器は出力する前記送信光信号を合波し、かつ、入力される前記送信光信号を分波する単一の合分波器であり、前記信号用光伝送路は1本の光ファイバを双方向伝送路として用いることを特徴とする。
【0015】
本観点の発明では、第1の送受信装置のN個(ここでNは2以上の整数)のI/O端末の送信光信号の波長をλ〜λとし、第2の送受信装置のM個(ここでMは2以上の整数)のI/O端末の送信光信号の波長をλN+1〜λN+Mとして、λ〜λN+Mの波長を互いに異なる波長とする。これらのλ〜λN+Mの波長の送信光信号は単一の合分波器で合波または分波される。これにより、信号用光伝送路は1本の光ファイバを双方向伝送路として用いることができる。なお、N=Mの場合、第1の送受信装置および第2の送受信装置において、各I/O端末の光入力端子には常に他方の送受信装置のI/O端末からの送信光信号が入力されるように設定可能である。NとMが異なる場合は、第1の送受信装置または第2の送受信装置において、I/O端末以外に送信機能のみを有するE/O変換器や受信機能のみを有するO/E変換器を有することとなる。
【0016】
第5の観点では、本発明は、前記第4の観点の双方向信号伝送装置において、前記制御用光信号は前記第1の送受信装置と前記第2の送受信装置においてそれぞれ異なる波長を有し、該異なる波長を合波および分波する合分波器を前記第1の送受信装置および前記第2の送受信装置にそれぞれ備え、前記制御用光伝送路は1本の光ファイバを双方向伝送路として用いることを特徴とする。例えば、第1の送受信装置では制御用光信号の波長を1.31μm、第2の送受信装置では制御用光信号の波長を1.55μmとすることができる。本観点の発明では、制御用光伝送路と信号用光伝送路はそれぞれ1本の光ファイバを双方向伝送路として用いることができるので、2本の光ファイバと電気信号線とを内蔵した一般的に使用されているカメラケーブルを用いて第1の送受信装置と第2の送受信装置との間を接続することが可能となり、本発明の双方向信号伝送装置をより低コストで構成することが可能となる。
【0017】
第6の観点では、本発明は、前記第1乃至第5の観点の双方向信号伝送装置において、前記第1の送受信装置および前記第2の送受信装置は、それぞれ、手動により前記切替器の切り替えを行う能動操作手段と、該能動操作により前記制御用光信号を発生させる手段と、他方の送受信装置から伝送された制御用光信号を受信しその制御情報に基づいて前記切替器の切り替えを行う受動操作手段と、前記切替器の状態を表示する表示手段とを有することを特徴とする。
【0018】
切替器の制御は第1の送受信装置と第2の送受信装置の間で統一的に行う必要があり、何れのI/O端末を送信端末とし、何れのI/O端末を受信端末とするかを外部の装置で決定することも可能であるが、本発明では、第1の送受信装置および第2の送受信装置の作業者が決定できるように、それぞれ、手動により前記切替器の切り替えを行う能動操作手段を備えている。この能動操作手段は、例えば当該送受信装置に備えたレバーや押しボタン式のスイッチ、制御線や無線、マイクロ波、光波を利用したリモートコントロール、音声認識による操作等、様々な方式による操作が可能である。一方の送受信装置でこの能動操作を行うことにより他方の送受信装置では伝送された制御用光信号を受信し、その制御情報に基づいて制御回路により切り替えが行われる。また、各I/O端末の状態は、例えばLEDランプや液晶表示画面などの表示手段により作業者が認識することができる。
【0019】
第7の観点では、本発明は、前記第6の観点の双方向信号伝送装置において、映像信号を含む信号が前記電気入出力端子に入力されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
上記のように、本発明により、映像信号等の信号を光伝送により送受信する際に送信装置および受信装置の作業者による組み換え接続作業を不要とし、工数の削減や接続作業ミスの発生を防ぐことが可能な双方向信号伝送装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】実施例1に係る双方向信号伝送装置の構成図。
図2】制御回路の一例を示すブロック構成図。
図3】実施例2に係る双方向信号伝送装置の構成図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して本発明双方向送受信装置を実施例により詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一符号を付し、その重複した説明を省略する。
【実施例1】
【0023】
図1は実施例1に係る双方向信号伝送装置の構成図である。図1において、本実施例の双方向信号伝送装置10は、第1の送受信装置である送受信装置20と第2の送受信装置である送受信装置30とを有している。送受信装置20は8個のI/O端末21〜28を備え、送受信装置30は8個のI/O端末31〜38を備えている。また、各I/O端末21〜28、31〜38は、送信電気信号を入力する電気入力端子2と送信光信号を出力する光出力端子3とを備えるE/O変換器4と、受信光信号を入力する光入力端子5と受信電気信号を出力する電気出力端子6とを備えるO/E変換器7とを備えている。さらに、各I/O端末21〜28、31〜38は、外部の電気機器との間のインターフェイスとなる電気入出力端子8を備え、この電気入出力端子8と電気入力端子2または電気出力端子6との間の接続を切り替える切替器9を有している。また、送受信装置20は各I/O端末21〜28の切替器9を制御する制御回路29を備え、送受信装置30は各I/O端末31〜38の切替器9を制御する制御回路39を備えている。
【0024】
送受信装置20と送受信装置30との間には送信光信号を伝送する信号用光伝送路40と、制御回路29、39の制御情報を含む制御用光信号を伝送する制御用光伝送路41とを備えている。
【0025】
また、本実施例においては、送受信装置20のI/O端末21〜28の光出力端子3から出力する送信光信号はそれぞれ異なる波長λ〜λを有する光信号であり、これらの光信号は合分波器42により波長多重されて信号用光伝送路40に出力される。この波長多重された送信光信号は送受信装置30において合分波器43により分波されて受信光信号としてそれぞれI/O端末31〜38の光入力端子5に入力される。一方、送受信装置30のI/O端末31〜38の光出力端子3から出力する送信光信号もそれぞれ異なる波長λ〜λ16を有する光信号であり、これらの光信号は合分波器43により波長多重されて信号用光伝送路40に出力される。この波長多重された送信光信号は送受信装置20において合分波器43により分波されて受信光信号としてそれぞれI/O端末21〜28の光入力端子5に入力される。
【0026】
さらに、本実施例においては、送受信装置20から出力される波長多重された送信光信号の波長λ〜λと送受信装置30から出力される波長多重された送信光信号の波長λ〜λ16とはそれぞれ異なる波長領域を有し、合分波器42および43は、それぞれ出力する送信光信号を合波し、かつ、入力される送信光信号を分波する機能を有する合分波器である。波長λ〜λ16の一例としては、例えば、1.27μm〜1.61μmの波長帯において20nmの波長間隔で順番に並んだ波長とすることができる。
【0027】
また、送受信装置20において制御回路29からの信号によりE/O変換器44を介して出力される制御用光信号の波長は1.31μm、送受信装置30において制御回路39からの信号によりE/O変換器45を介して出力される制御用光信号の波長は1.55μmであり、それぞれ合分波器46および47により分離される。これらの制御用光信号は1本の光ファイバである制御用光伝送路41により双方向に伝送される。
【0028】
ここで、制御回路29および39は、送受信装置20のI/O端末21〜28のいずれかの電気入出力端子8が電気入力端子2に接続されるときは、その電気入力端子2を有するE/O変換器4から光出力端子3を介して出力される送信光信号が信号用光伝送路40により伝送されて入力する光入力端子5を有する送受信装置30のI/O端末の電気出力端子6が電気入出力端子8に接続されるように制御する。一方、送受信装置30から出力される送信光信号が入力する第1の送受信装置20のI/O端末の電気出力端子6も電気入出力端子8に接続されるように制御する。
【0029】
この制御状態の一例が図1に示されている。図1においては、送受信装置20のI/O端末21〜24の電気入出力端子8が電気入力端子2に接続され、電気入出力端子8から入力する映像信号等がE/O変換器4により光信号に変換される。すなわち、I/O端末21〜24が送信端末として機能し、それらの波長λ〜λを有する送信光信号が波長多重されて信号用光伝送路40に出力される。一方、送受信装置30のI/O端末35〜38の電気入出力端子8が電気入力端子2に接続され、それらのI/O端末が送信端末として機能し、それらの波長λ13〜λ16を有する送信光信号が信号用光伝送路40に出力される。また、送受信装置20においては、伝送された波長λ13〜λ16を有する送信光信号はそれぞれI/O端末25〜28の光入力端子5に入力され、送受信装置30においては、伝送された波長λ〜λを有する送信光信号はそれぞれI/O端末31〜34の光入力端子5に入力される。すなわち、I/O端末25〜28、I/O端末31〜34が受信端末として機能している。これらの送信光信号はO/E変換器7により電気信号に変換され、その電気出力端子6が電気入出力端子8に接続されて映像表示装置等の外部の装置に出力される。
【0030】
本実施例において、図1の接続状態は一例であり、いずれのI/O端末も送信端末として機能させるか受信端末として機能させるかを選択可能である。例えば、送受信装置20のI/O端末21〜28または送受信装置30のI/O端末31〜38のいずれか一方をすべて送信端末として機能させることも可能である。
【0031】
本実施例において、送受信装置20および送受信装置30は、それぞれ、手動により切替器9の切り替えを行う能動操作手段を備えている。図2は制御回路29の一例を示すブロック構成図である。制御回路39も同様の構成である。内蔵のマイクロコンピュータ50により制御を行う。作業者は押しボタン型のスイッチ等により切替器9を操作してI/O端末21〜29のいずれかを送信端末として設定した場合、その能動操作信号がマイクロコンピュータ50の制御信号発生部51に入力されて制御信号を発生し、E/O変換器44において制御用光信号に変換され、送受信装置30の制御回路39に伝送される。また、制御信号発生部51からは表示制御部52に信号が送られて、各I/O端末に設けられたLEDの点灯信号を発生させ、当該I/O端末が送信端末として設定されていることをLEDにより表示する。なお、切替器9としては信号速度に対応した一般的なリレーやスイッチング素子を用いることができる。また、切替器9の切り替えは外部接点信号でも同様な操作ができる。
【0032】
送受信装置20は、送受信装置30のI/O端末31〜38のいずれかが送信端末として設定されたことを示す制御用光信号をO/E変換器48を介して受信した場合、その制御信号に基づいて切替器9の切り替えを行う受動操作手段を有している。上記の受信された制御用光信号はマイクロコンピュータ50の切替信号発生部53に入力され、上記の送信端末として設定されたI/O端末からの送信光信号が入力するI/O端末の切替器9を駆動して当該I/O端末を受信端末に設定するための切替信号を発生する。同時に、表示制御部52に信号が送られて、送信端末であることを表示するLEDの消灯信号、または受信端末であることを表示するLEDの点灯信号を発生させる。
【実施例2】
【0033】
図3は実施例2に係る双方向信号伝送装置の構成図である。図3において、本実施例の双方向信号伝送装置60は、第1の送受信装置である送受信装置70と第2の送受信装置である送受信装置80とを有している。送受信装置70は2個のI/O端末71、72を備え、送受信装置80は2個のI/O端末81、82を備えている。また、各I/O端末71、72、81、82は、実施例1のI/O端末と同様に、送信電気信号を入力する電気入力端子2と送信光信号を出力する光出力端子3とを備えるE/O変換器4と、受信光信号を入力する光入力端子5と受信電気信号を出力する電気出力端子6とを備えるO/E変換器7と、電気入出力端子8を備え、この電気入出力端子8と電気入力端子2または電気出力端子6との間の接続を切り替える切替器9を有している。また、送受信装置70は各I/O端末71、72の切替器9を制御する制御回路79を備え、送受信装置80は各I/O端末81、82の切替器9を制御する制御回路89を備えている。
【0034】
本実施例においては、送受信装置70のI/O端末71、72の光出力端子3から出力する送信光信号はそれぞれ異なる波長λ、λを有する光信号であり、これらの光信号は合波器73により波長多重されて信号用光伝送路74に出力される。この波長多重された送信光信号は送受信装置80において分波器85により分波されて受信光信号としてそれぞれI/O端末81、82の光入力端子5に入力される。一方、送受信装置80のI/O端末81、82の光出力端子3から出力する送信光信号もそれぞれ波長λ、λを有する光信号であり、これらの光信号は合波器83により波長多重されて信号用光伝送路84に出力される。この波長多重された送信光信号は送受信装置70において分波器75により分波されて受信光信号としてそれぞれI/O端末71、72の光入力端子5に入力される。本実施例では信号用光伝送路として2本の光ファイバを用いている。
【0035】
また、本実施例において、送受信装置70の制御回路79と送受信装置80の制御回路89との間の信号伝送手段は実施例1と同様であり、制御回路79からの信号によりE/O変換器44を介して出力される制御用光信号の波長は1.31μm、制御回路89からの信号によりE/O変換器45を介して出力される制御用光信号の波長は1.55μmであり、それぞれ合分波器46および47により分離される。これらの制御用光信号は1本の光ファイバである制御用光伝送路41により双方向に伝送される。
【0036】
なお、送信光信号の波長λ、λをそれぞれ1.31μm、1.51μmとすれば、合波器73、83、分波器75、85として、制御用の合分波器46、47と同様のデバイスを用いることができる。
【0037】
制御回路79および89は、送受信装置70のI/O端末71、72のいずれかの電気入出力端子8が電気入力端子2に接続されるときは、その電気入力端子2を有するE/O変換器4から光出力端子5を介して出力される送信光信号が信号用光伝送路74により伝送されて入力する光入力端子5を有する送受信装置80のI/O端末の電気出力端子6が電気入出力端子8に接続されるように制御する。一方、送受信装置80から出力される送信光信号が入力する送受信装置70のI/O端末の電気出力端子6も電気入出力端子8に接続されるように制御する。
【0038】
実施例1と同様に、本実施例においても、送受信装置70および送受信装置80は、それぞれ、手動により切替器9の切り替えを行う能動操作手段と、制御用光信号を受信した場合にその制御信号に基づいて切替器9の切り替えを行う受動操作手段とを有している。また、I/O端末71、72、81、82が送信端末として機能しているか受信端末として機能しているかを表示する表示手段も備えている。
【0039】
なお、本発明は上記の実施例に限定されるものではないことは言うまでもなく、目的に応じて様々な変形が可能である。例えば、第1および第2の送受信装置は実施例に示した装置、回路以外に他の機器や回路、素子などを備えてもよい。第1の送受信装置と第2の送受信装置間において、実施例に示した信号以外の信号を伝送してもよく、他の信号伝送手段を有していてもよい。
【符号の説明】
【0040】
2 電気入力端子
3 光出力端子
4、44、45 E/O変換器
5 光入力端子
6 電気出力端子
7、48、49 O/E変換器
8 電気入出力端子
9 切替器
10、60 双方向信号伝送装置
20、30、70、80 送受信装置
21、22、23、24、25、26、27、28、31、32、33、34、35、36、37、38、71、72、81、82 I/O端末
29、39、79、89 制御回路
40、74、84 信号用光伝送路
41 制御用光伝送路
42、43、46、47 合分波器
50 マイクロコンピュータ
51 制御信号発生部
52 表示制御部
53 切替信号発生部
73、83 合波器
75、85 分波器

図1
図2
図3