特許第6881727号(P6881727)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6881727
(24)【登録日】2021年5月10日
(45)【発行日】2021年6月2日
(54)【発明の名称】立体構造体を実現する単位パネル
(51)【国際特許分類】
   F16S 1/12 20060101AFI20210524BHJP
   B65D 65/38 20060101ALI20210524BHJP
   B65D 6/24 20060101ALI20210524BHJP
   B65D 81/05 20060101ALI20210524BHJP
   E04B 1/343 20060101ALI20210524BHJP
【FI】
   F16S1/12
   B65D65/38
   B65D6/24 Z
   B65D81/05
   E04B1/343 J
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-135373(P2016-135373)
(22)【出願日】2016年7月7日
(65)【公開番号】特開2018-4041(P2018-4041A)
(43)【公開日】2018年1月11日
【審査請求日】2019年6月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】507184775
【氏名又は名称】株式会社阿竹研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】特許業務法人快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】阿竹 克人
【審査官】 須永 聡
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3182562(JP,U)
【文献】 特開2007−305462(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3166704(JP,U)
【文献】 特開昭50−004885(JP,A)
【文献】 特開平09−290072(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/037003(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16S 1/00
F16S 1/04−1/14
E04B 1/02
E04B 1/343
E04C 2/30
B65D 6/24
B65D 65/38
B65D 81/05
F21V 1/12
F21V 3/02
A63F 9/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚を組み立てると立体構造体が出現する単位パネルであり、
可撓性材料で略長方形に形成されているパネルを備えており、
前記長方形の対角に位置する一対の隅部の各々に隅部接続部が形成されており、
前記長方形の中心に対して点対称の位置に一対の中央接続部が形成されており、
前記一対の隅部接続部は前記長方形の中心に対して点対称の位置にあり、
前記長方形の中心から前記隅部接続部までの距離が、前記長方形の中心から前記中央接続部までの距離より長く、
前記隅部接続部と前記中央接続部が接続可能であることを特徴とする単位パネル。
【請求項2】
第1パネルの一方の中央接続部と第2パネルの一方の隅部接続部を接続し、
第2パネルの他方の隅部接続部と第3パネルの一方の中央接続部を接続し、
第1パネルの一方の隅部接続部に第4パネルの一方の中央接続部を接続し、
第4パネルの一方の隅部接続部に第2パネルの一方の中央接続部を接続し、
第2パネルの他方の中央接続部に第5パネルの一方の隅部接続部を接続し、
第5パネルの一方の中央接続部に第3パネルの一方の隅部接続部を接続すると、
第1パネルと第2パネルと第4パネルによって1個の三角形が形成され、
第2パネルと第3パネルと第5パネルによって他の1個の三角形が形成され、
前記2個の三角形が第2パネルを共有しているという三角形の連鎖が形成されることを特徴とする請求項1に記載の単位パネル。
【請求項3】
パネルを貫通する孔が前記中央接続部となり、
前記孔に挿入すると前記孔の外周外に広がって抜け止めとなる形状を提供する切れ目が前記隅部接続部となる、
請求項1または2の単位パネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、複数枚の単位パネルを組み立てて立体構造体を実現する技術に関し、多様な形状の立体構造体が実現可能であって組み立て易い単位パネルを開示する。
【背景技術】
【0002】
同一形状で同一寸法の複数枚のパネルを用意し、そのパネル群を組み立てて立体構造体を形成する技術が開発されており、その一例が下記特許文献に記載されている。本明細書では、同一形状で同一寸法のパネルの各々を単位パネルという。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭50−4885号公報
【特許文献2】特開2014−212096号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術は、いずれも、単位パネルの端辺(エッジ)同志を重ね合わせて立体構造体を形成するものであり、組み立てに手間と技術を要する。本明細書で開示する技術では、単位パネルの面同士を重ね合わせ、その重ね合わせた面と面を接続することによって立体構造物を実現する。単位パネルの面と面を重ねあわせて接続する作業は、単位パネルの端辺と端辺を重ね合わせて接続する作業よりも簡単に実行することができる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書で開示する単位パネルは、複数枚を組み立てると立体構造体が出現することを特徴とする。各単位パネルは、可撓性材料で略長方形に形成されているパネルで形成されている。その長方形の対角に位置する一対の隅部の各々に隅部接続部が形成されており、その長方形の中心に対して点対称の位置に一対の中央接続部が形成されている。
【0006】
この単位パネルの一つの利用方法では、3枚の単位パネルで基本接続体を形成し、その基本接続体を繋げることによって立体構造体を実現する。具体的には、第1パネルの一方の中央接続部と第2パネルの一方の隅部接続部を接続し、第2パネルの他方の隅部接続部と第3パネルの一方の中央接続部を接続する。すると、第1パネルの一部と第2パネルの一部が重複し(面同志が重なり)、第2パネルの一部と第3パネルの一部が重複し(面同志が重なり)、第1パネルと第3パネルが重複しない基本接続体が形成される。一つの基本接続体のパネルが、隣接する基本接続体のパネルでもあるという規則に従って複数個の基本接続体を繋ぐことができる。例えば、5枚のパネルを用い、第1パネルの一方の隅部接続部に第4パネルの一方の中央接続部を接続し、第4パネルの一方の隅部接続部に第2パネルの一方の中央接続部を接続し、第2パネルの他方の中央接続部に第5パネルの一方の隅部接続部を接続し、第5パネルの一方の中央接続部に第3パネルの一方の隅部接続部を接続すると、第1パネルと第2パネルと第4パネルによって1個の三角形が形成され、第2パネルと第3パネルと第5パネルによって他の1個の三角形が形成され、その2個の三角形が第2パネルを共有しているという三角形の連鎖が形成される。三角形の連鎖すなわち基本接続体の連鎖によって立体構造体が出現する。
【0007】
上記は一例であり、4枚の単位パネルで形成される四辺形の連鎖によって立体構造体を実現することもできる。基本接続体を形成する単位パネルの枚数には特に制約がなく、2枚または5枚以上であってもよい。また基本接続体を形成する単位パネルの枚数は均一である必要がなく、場所によって枚数を変化させてもよい。
【0008】
パネルに必要な可撓性は、立体構造体の形状と大きさに依存して変化する。多数枚のパネルを利用する大型構造体であって、各パネルの湾曲度合いが平面に近い場合は、構造用ベニヤ板でも必要な可撓性を提供する。
【0009】
1枚の単位パネルに一対の隅部接続部が存在すればよく、二対以上の隅部接続部が存在していてもよい。二対の隅部接続部を設ける場合は、長方形の4つの隅部の各々に隅部接続部を形成する。
【0010】
中央接続部と隅部接続部は、パネルを貫通する孔であってもよい。隅部に形成されている孔と中央に形成されている孔を重ねあわてボルトとナットで接続してもよい。それに対して、パネルを貫通する孔を中央接続部とし、パネルに形成した切れ目によって隅部接続部を提供してもよい。切れ目よりもパネルの隅部側の部分をパネル中央部の孔に挿入すると、孔の通過後に孔の外周外に広がって抜け止めとなる形状とすることができる。その形状によって隅部接続部としてもよい。パネル中央部の孔に代えてスリットとしてもよい。隅部に設けた切れ目よりも隅部側の部分を、中央部に設けたスリットを通過させることが可能であり、通過させると容易には抜けない構造とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施例1の単位パネルの平面図。
図2】中央接続部(貫通孔)に隅部接続部(通過片)を通過させた後の平面図。
図3】実施例1の単位パネルの3枚を組み合わせた状態の平面図。
図4】実施例1の単位パネルの6枚を組み合わせた状態の平面図。
図5図4から得られる立体構造体を斜視した図。
図6】実施例1の単位パネルの3枚を組み合わせた状態の平面図。
図7図6から得られる立体構造体を斜視した図。
図8】実施例2の単位パネルの平面図。
図9】実施例2の単位パネルを組み合わせた状態の平面図。
図10図9から得られる立体構造体を斜視した図。
図11】実施例2の単位パネルを組み合わせた状態の平面図。
図12図11から得られる立体構造体を斜視した図。
図13】実施例1または2の単位パネルを組み合わせた状態の平面図。
図14図13から得られる立体構造体を斜視した図。
図15】単位パネルの他の実施例を示す平面図。
図16】単位パネルのさらに他の実施例を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
最初に、実施例の主要な特徴を列記しておく。なお、以下に記載する技術要素は、それぞれ独立した技術要素であって、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項記載の組合せに限定されるものではない。
(特徴1)単位パネルの長辺と短辺の長さの比が2:1である。
(特徴2)単位パネルの長辺と短辺の長さの比がルート2:1である。
(特徴3)単位パネルの長辺と短辺の長さの比がルート3:1である。
(特徴4)単位パネルの長辺と短辺の長さの比が黄金比である。
(特徴5)中央接続部は貫通孔で形成され、隅部接続部は通過片で形成されている。
(特徴6)貫通孔に通過片を挿入して通過させると、通過片の輪郭と貫通孔の輪郭が複合してハート形を呈する。
(特徴7)中央接続部を通過した通過片が、立体構造体の外面側に露出する。
(特徴8)中央接続部を通過した通過片が、立体構造体の内面側に露出する。
(特徴9)中央接続部がスリットで形成され、隅部接続部が通過片で形成されている。
(特徴10)中央接続部と隅部接続部の双方が貫通孔で形成されており、ボルトとナットで接続する。
【実施例】
【0013】
図1は、実施例1の単位パネルの平面図を示している。単位パネルは、可撓性材料で略長方形12の形状に形成されているパネル10を備えている。長方形12の短辺12g,12iの長さL1と長辺12f,12hの長さL2は、1:2の関係にある。1:ルート2の関係であってもよいし、1:ルート3の関係であってもよいし、黄金比であってもよい。
パネル10に一対の切れ目14b,14dが形成されている。切れ目14bは隅部12bに形成されており、切れ目14dは他の隅部12dに形成されている。切れ目14bが形成されている隅部12bと、切れ目14dが形成されている隅部12dは、長方形12の対角に位置している。各切れ目14b,14dは、円弧形状である。仮想線24は、切れ目14bの先端と切れ目14dの先端を結ぶ線分であり、長方形12の中心12eを通過しており、仮想線24の中間点と中心12eが一致している。切れ目14b,14dは、長方形12の中心12eに対して点対称の位置にあり、点対称の形状となっている。
長方形12の中心12eの近傍に1対の貫通孔18a,18cが形成されている。各貫通孔18a,18cの輪郭は円形である。仮想線26は、貫通孔18aの中心20aと貫通孔18cの中心20cを結ぶ線分であり、長方形12の中心12eを通過しており、仮想線26の中間点と中心12eが一致している。貫通孔18aと貫通孔18cは、長方形12の中心12eに対して点対称の位置にある。
【0014】
貫通孔18a,18cの曲率半径と、切れ目14b,14dの曲率半径は等しい。切れ目14bは長辺12hから切り込まれており、切れ目14dは長辺12fから切り込まれている。隅部12bの頂点と切れ目14bの先端を結ぶ線は、長辺12hと短辺12gに45°傾斜している関係にある。隅部12dの頂点と切れ目14dの先端を結ぶ線は、長辺12fと短辺12iに45°傾斜している関係にある。仮想線22bは、切れ目14bの先端を通過して短辺12gに直交する線分であり、その長さは貫通孔18a,18cの直径に等しい。切れ目22dについても同様である。
【0015】
パネル10は可撓性を持っており、1枚の単位パネルの貫通孔18a,18cの各々に他のパネルの切れ目14b,14dよりも隅部側の部分16b,16dを挿入して通過させることができる。図2は、1枚の単位パネル1の下側の長辺1−12hと、他の一枚の単位パネル2の隅部2−12dの近傍を重ね合わせた状態を示している。本明細書では、ハイフンに先立つ数字はパネル番号を示す。なお、すべてのパネルは、同一形状で同一寸法である。
図2は、第1パネル1の下側に第2パネル2を挿入した様子を示している。図中の1−18cは、第1パネル1の貫通孔であり、他の参照番号は第2パネル2の部材である。図2は、第2パネル2の隅部2−12dの頂点を第1パネル1の貫通孔1−18cの下から上に通し、第2パネル2の隅部2−12dの近傍を上方に引き上げた後の形状を示す。2−16dは、第1パネルの貫通孔1−18cを通過してから単位パネル1の上部で貫通孔1−18cの外側に広がった部分であり、抜け止め形状を提供する。本明細書では通過片16dという。16bは、切れ目14bの隅部12b側に位置する通過片である。
図2中で実線で示す1−18cは、貫通孔1−18cの輪郭のうち、第2パネル2によって隠されない部分を示している。他の実線は、貫通孔1−18cを通過してから第1パネル1の上部で広がった部分の第2パネル2の輪郭を示している。実線の全体は、外部から視認できる形状を示している。第1パネル1の上部で広がった部分の第2パネル2の輪郭と、第2パネル2によって隠されない部分の貫通孔1−18cの輪郭が複合してハート形状を呈する。
【0016】
図3は、3枚の単位パネルを接続する基本接続体の一つを例示している。図中の1は第1パネルを示し、2は第2パネルを示し、3は第3パネルを示している。第1パネル1の一方の中央接続部(1−18c)と第2パネルの一方の隅部接続部(2−16d)を接続し、第2パネルの他方の隅部接続部(2−16b)と第3パネルの一方の中央接続部(3−18a)を接続すると、第1パネル1の一部と第2パネル2の一部が重複し、第2パネル2の一部と第3パネル3の一部が重複し、第1パネル1と第3パネル3が重複しない接続体が形成される。
この接続体は、一つの接続体の第3パネルが、隣接する接続体の第1パネルでもあるという規則に従って複数個の接続体を繋げることができる。
【0017】
図4に示すように、第1パネル1の一方の隅部接続部(1−16b)に第4パネル4の一方の中央接続部(4−18a)を接続し、第4パネル4の一方の隅部接続部(4−16d)に第2パネル2の一方の中央接続部(2−18a)を接続し、第2パネル2の他方の中央接続部(2−18c)に第5パネル5の一方の隅部接続部(5−16b)を接続し、第5パネル5の一方の中央接続部(5−18c)に第3パネル3の一方の隅部接続部(3−16d)を接続すると、第1パネル1と第2パネル2と第4パネル4によって1個の三角形が形成され、第2パネル2と第3パネル3と第5パネル5によって他の1個の三角形が形成され、2個の三角形が第2パネル2を共有しているという三角形の連鎖が形成される。これを接続すると、立体構造体が得られる。図4の場合、第1パネルと第2パネルと第4パネルによって一つの基本接続体が構成され、第2パネルと第3パネルと第5パネルによって他の一つの基本接続体が構成され、隣接する基本接続体同志が第2パネルを共有している。
【0018】
図4の例では、略正四面体を得るために、第6パネル6をも利用した。第5パネルの他方の隅部接続部(5−16d)に第6パネル6の一方の中央接続部(6−18c)を接続した。図4の場合、第4パネル4の隅部接続部(4−16b)と第6パネル6の中央接続部(6−18a)を接続し、第3パネル3の隅部接続部(3−16b)と第4パネル4の中央接続部(4−18c)を接続し、第6パネル6の隅部接続部(6−16d)と第3パネル3の中央接続部(3−18c)を接続し、第6パネル6の隅部接続部(6−16b)と第1パネル1の中央接続部(1−18a)を接続し、第1パネル1の隅部接続部(1−16d)と第5パネル5の中央接続部(5−18a)を接続すると、図5に示す略正四面体が実現する。
【0019】
立体形状の表裏は反転可能である。図5では、中央接続部を通過した通過片が立体構造体の外面側に露出している。逆に、中央接続部を通過した通過片が立体構造体の内面側に位置する関係で組み立てることもできる。
【0020】
図4図5では、図4の形状に組み立ててから図5の立体構造体に変形させるように説明したが、実際の組み立て工程では、単位パネルを湾曲させながら組み立てていってもよい。
【0021】
図4の場合、第1パネル1と第2パネル2と第4パネル4によって第1三角形が形成され、第2パネル2と第3パネル3と第5パネル5によって第2三角形が形成されている。第1三角形を形成する第2パネルは、同時に、第2三角形を形成するパネルでもあり、第1三角形と第2三角形は連続している。
【0022】
この単位パネルで立体構造体を得るための最小数はわずか2枚である。図7は、図6に示す3枚の単位パネルを組み立てることで得られる構造体を例示している。図7の立体構造体は中空であり、クッション性に優れており、物品の包装時に用いる充填剤に適している。
【0023】
図8は、実施例2の単位パネルの平面図を示している。図1と比較すると、隅部12a,12cに切れ目14a,14cが付加されており、通過片16a,16cが確保されている。なお、切れ目14b,14dは長辺12f,12hから延びているのに対し、切れ目14a,14cは短辺12g,12iから延びている。切れ目14a,14cは、長方形12の中心12eに対して点対称の位置にあり、点対称の形状となっている。すなわち切れ目14aの先端と切れ目14cの先端を結ぶ線分28は、長方形12の中心12eを通過しており、仮想線28の中間点と中心12eが一致している。
【0024】
図10は、図8の単位パネルを、図9に示すように組み立てることで得られる立体構造体を例示している。図10の立体構造体は略立法体であり、物品を収容する容器あるいは人を収容するテントまたは建造物を実現することができる。
【0025】
図12は、図8の単位パネルを、図11に示すように組み立てることで得られる立体構造体を例示している。図12の立体構造体は略直方体であり、物品を収容する容器あるいは人を収容するテントまたは建造物を実現することができる。
【0026】
図14は、図8の単位パネルを図13に示すように組み立てることで得られる立体構造体を例示している。図14の立体構造体は略正12面体であり、物品を収容する容器あるいは人を収容するテントまたは建造物を実現することができる。図13から明らかに、この実施例では端部接続部(通過片)16a,16cを利用しない。図8の単位パネルに代えて図1の単位パネルを利用することができる。
【0027】
図15に例示するように、中央接続部を穴に代えてスリット(切れ目)38a,38cによって形成してもよい。また、隅部接続部を形成する切れ目は、円弧上に限られず、直線であってもよい。また、隅部接続部は、長方形の対角上に位置する一対の隅部の近傍にあればよく、四隅に設けてもよい。4隅に設ける場合は、一対の切れ目は長辺から伸び、他の一対の切れ目は短辺から延びる関係が好ましい。4つの隅部接続部を備えていると、実現可能な立体構造体の形状の多様性が拡大される。
【0028】
図16に示すように、中央接続部48a,48cと隅部接続部44b,44dの双方が貫通孔であってもよい。中央接続部と隅部接続部を、ボルトとナットで接続してもよい。建造部を実現する場合には、ボルトとナットで接続することがこのましい。
【0029】
本実施例では、貫通孔18a,18cまたはスリット38a,38cが中央接続部を提供する。また、切れ目14a,14b,14c,14d,34a,34b,34c,34dの隅部側に位置する通過片16a,16b,16c,16dが隅部接続部を提供する。
【0030】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0031】
1,2,3,4,5:第1〜第5パネル
10:単位パネル
12:長方形
12a,12b,12c,12d:隅部
12e:中心
12f,12g,12h,12i:4辺
14a,14b,14c,14d:切れ目(隅部接続部)
16a,16b,16c,16d:通過片(隅部接続部)
18a,18c:円形孔(中央接続部)
20a,20c:中心
22b,22d:仮想線
24:切れ目の先端同志を結ぶ線分
26:円形孔の中心同志を結ぶ線分
28:切れ目の先端同志を結ぶ線分
34a,34b,34c,34d:切れ目(端部接続部)
38a,38c:スリット(中央接続部)
44b,44d:ボルト孔(端部接続部)
48a,48c:ボルト孔(中央接続部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16