【0012】
最初に、実施例の主要な特徴を列記しておく。なお、以下に記載する技術要素は、それぞれ独立した技術要素であって、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項記載の組合せに限定されるものではない。
(特徴1)単位パネルの長辺と短辺の長さの比が2:1である。
(特徴2)単位パネルの長辺と短辺の長さの比がルート2:1である。
(特徴3)単位パネルの長辺と短辺の長さの比がルート3:1である。
(特徴4)単位パネルの長辺と短辺の長さの比が黄金比である。
(特徴5)中央接続部は貫通孔で形成され、隅部接続部は通過片で形成されている。
(特徴6)貫通孔に通過片を挿入して通過させると、通過片の輪郭と貫通孔の輪郭が複合してハート形を呈する。
(特徴7)中央接続部を通過した通過片が、立体構造体の外面側に露出する。
(特徴8)中央接続部を通過した通過片が、立体構造体の内面側に露出する。
(特徴9)中央接続部がスリットで形成され、隅部接続部が通過片で形成されている。
(特徴10)中央接続部と隅部接続部の双方が貫通孔で形成されており、ボルトとナットで接続する。
【実施例】
【0013】
図1は、実施例1の単位パネルの平面図を示している。単位パネルは、可撓性材料で略長方形12の形状に形成されているパネル10を備えている。長方形12の短辺12g,12iの長さL1と長辺12f,12hの長さL2は、1:2の関係にある。1:ルート2の関係であってもよいし、1:ルート3の関係であってもよいし、黄金比であってもよい。
パネル10に一対の切れ目14b,14dが形成されている。切れ目14bは隅部12bに形成されており、切れ目14dは他の隅部12dに形成されている。切れ目14bが形成されている隅部12bと、切れ目14dが形成されている隅部12dは、長方形12の対角に位置している。各切れ目14b,14dは、円弧形状である。仮想線24は、切れ目14bの先端と切れ目14dの先端を結ぶ線分であり、長方形12の中心12eを通過しており、仮想線24の中間点と中心12eが一致している。切れ目14b,14dは、長方形12の中心12eに対して点対称の位置にあり、点対称の形状となっている。
長方形12の中心12eの近傍に1対の貫通孔18a,18cが形成されている。各貫通孔18a,18cの輪郭は円形である。仮想線26は、貫通孔18aの中心20aと貫通孔18cの中心20cを結ぶ線分であり、長方形12の中心12eを通過しており、仮想線26の中間点と中心12eが一致している。貫通孔18aと貫通孔18cは、長方形12の中心12eに対して点対称の位置にある。
【0014】
貫通孔18a,18cの曲率半径と、切れ目14b,14dの曲率半径は等しい。切れ目14bは長辺12hから切り込まれており、切れ目14dは長辺12fから切り込まれている。隅部12bの頂点と切れ目14bの先端を結ぶ線は、長辺12hと短辺12gに45°傾斜している関係にある。隅部12dの頂点と切れ目14dの先端を結ぶ線は、長辺12fと短辺12iに45°傾斜している関係にある。仮想線22bは、切れ目14bの先端を通過して短辺12gに直交する線分であり、その長さは貫通孔18a,18cの直径に等しい。切れ目22dについても同様である。
【0015】
パネル10は可撓性を持っており、1枚の単位パネルの貫通孔18a,18cの各々に他のパネルの切れ目14b,14dよりも隅部側の部分16b,16dを挿入して通過させることができる。
図2は、1枚の単位パネル1の下側の長辺1−12hと、他の一枚の単位パネル2の隅部2−12dの近傍を重ね合わせた状態を示している。本明細書では、ハイフンに先立つ数字はパネル番号を示す。なお、すべてのパネルは、同一形状で同一寸法である。
図2は、第1パネル1の下側に第2パネル2を挿入した様子を示している。図中の1−18cは、第1パネル1の貫通孔であり、他の参照番号は第2パネル2の部材である。
図2は、第2パネル2の隅部2−12dの頂点を第1パネル1の貫通孔1−18cの下から上に通し、第2パネル2の隅部2−12dの近傍を上方に引き上げた後の形状を示す。2−16dは、第1パネルの貫通孔1−18cを通過してから単位パネル1の上部で貫通孔1−18cの外側に広がった部分であり、抜け止め形状を提供する。本明細書では通過片16dという。16bは、切れ目14bの隅部12b側に位置する通過片である。
図2中で実線で示す1−18cは、貫通孔1−18cの輪郭のうち、第2パネル2によって隠されない部分を示している。他の実線は、貫通孔1−18cを通過してから第1パネル1の上部で広がった部分の第2パネル2の輪郭を示している。実線の全体は、外部から視認できる形状を示している。第1パネル1の上部で広がった部分の第2パネル2の輪郭と、第2パネル2によって隠されない部分の貫通孔1−18cの輪郭が複合してハート形状を呈する。
【0016】
図3は、3枚の単位パネルを接続する基本接続体の一つを例示している。図中の1は第1パネルを示し、2は第2パネルを示し、3は第3パネルを示している。第1パネル1の一方の中央接続部(1−18c)と第2パネルの一方の隅部接続部(2−16d)を接続し、第2パネルの他方の隅部接続部(2−16b)と第3パネルの一方の中央接続部(3−18a)を接続すると、第1パネル1の一部と第2パネル2の一部が重複し、第2パネル2の一部と第3パネル3の一部が重複し、第1パネル1と第3パネル3が重複しない接続体が形成される。
この接続体は、一つの接続体の第3パネルが、隣接する接続体の第1パネルでもあるという規則に従って複数個の接続体を繋げることができる。
【0017】
図4に示すように、第1パネル1の一方の隅部接続部(1−16b)に第4パネル4の一方の中央接続部(4−18a)を接続し、第4パネル4の一方の隅部接続部(4−16d)に第2パネル2の一方の中央接続部(2−18a)を接続し、第2パネル2の他方の中央接続部(2−18c)に第5パネル5の一方の隅部接続部(5−16b)を接続し、第5パネル5の一方の中央接続部(5−18c)に第3パネル3の一方の隅部接続部(3−16d)を接続すると、第1パネル1と第2パネル2と第4パネル4によって1個の三角形が形成され、第2パネル2と第3パネル3と第5パネル5によって他の1個の三角形が形成され、2個の三角形が第2パネル2を共有しているという三角形の連鎖が形成される。これを接続すると、立体構造体が得られる。
図4の場合、第1パネルと第2パネルと第4パネルによって一つの基本接続体が構成され、第2パネルと第3パネルと第5パネルによって他の一つの基本接続体が構成され、隣接する基本接続体同志が第2パネルを共有している。
【0018】
図4の例では、略正四面体を得るために、第6パネル6をも利用した。第5パネルの他方の隅部接続部(5−16d)に第6パネル6の一方の中央接続部(6−18c)を接続した。
図4の場合、第4パネル4の隅部接続部(4−16b)と第6パネル6の中央接続部(6−18a)を接続し、第3パネル3の隅部接続部(3−16b)と第4パネル4の中央接続部(4−18c)を接続し、第6パネル6の隅部接続部(6−16d)と第3パネル3の中央接続部(3−18c)を接続し、第6パネル6の隅部接続部(6−16b)と第1パネル1の中央接続部(1−18a)を接続し、第1パネル1の隅部接続部(1−16d)と第5パネル5の中央接続部(5−18a)を接続すると、
図5に示す略正四面体が実現する。
【0019】
立体形状の表裏は反転可能である。
図5では、中央接続部を通過した通過片が立体構造体の外面側に露出している。逆に、中央接続部を通過した通過片が立体構造体の内面側に位置する関係で組み立てることもできる。
【0020】
図4と
図5では、
図4の形状に組み立ててから
図5の立体構造体に変形させるように説明したが、実際の組み立て工程では、単位パネルを湾曲させながら組み立てていってもよい。
【0021】
図4の場合、第1パネル1と第2パネル2と第4パネル4によって第1三角形が形成され、第2パネル2と第3パネル3と第5パネル5によって第2三角形が形成されている。第1三角形を形成する第2パネルは、同時に、第2三角形を形成するパネルでもあり、第1三角形と第2三角形は連続している。
【0022】
この単位パネルで立体構造体を得るための最小数はわずか2枚である。
図7は、
図6に示す3枚の単位パネルを組み立てることで得られる構造体を例示している。
図7の立体構造体は中空であり、クッション性に優れており、物品の包装時に用いる充填剤に適している。
【0023】
図8は、実施例2の単位パネルの平面図を示している。
図1と比較すると、隅部12a,12cに切れ目14a,14cが付加されており、通過片16a,16cが確保されている。なお、切れ目14b,14dは長辺12f,12hから延びているのに対し、切れ目14a,14cは短辺12g,12iから延びている。切れ目14a,14cは、長方形12の中心12eに対して点対称の位置にあり、点対称の形状となっている。すなわち切れ目14aの先端と切れ目14cの先端を結ぶ線分28は、長方形12の中心12eを通過しており、仮想線28の中間点と中心12eが一致している。
【0024】
図10は、
図8の単位パネルを、
図9に示すように組み立てることで得られる立体構造体を例示している。
図10の立体構造体は略立法体であり、物品を収容する容器あるいは人を収容するテントまたは建造物を実現することができる。
【0025】
図12は、
図8の単位パネルを、
図11に示すように組み立てることで得られる立体構造体を例示している。
図12の立体構造体は略直方体であり、物品を収容する容器あるいは人を収容するテントまたは建造物を実現することができる。
【0026】
図14は、
図8の単位パネルを
図13に示すように組み立てることで得られる立体構造体を例示している。
図14の立体構造体は略正12面体であり、物品を収容する容器あるいは人を収容するテントまたは建造物を実現することができる。
図13から明らかに、この実施例では端部接続部(通過片)16a,16cを利用しない。
図8の単位パネルに代えて
図1の単位パネルを利用することができる。
【0027】
図15に例示するように、中央接続部を穴に代えてスリット(切れ目)38a,38cによって形成してもよい。また、隅部接続部を形成する切れ目は、円弧上に限られず、直線であってもよい。また、隅部接続部は、長方形の対角上に位置する一対の隅部の近傍にあればよく、四隅に設けてもよい。4隅に設ける場合は、一対の切れ目は長辺から伸び、他の一対の切れ目は短辺から延びる関係が好ましい。4つの隅部接続部を備えていると、実現可能な立体構造体の形状の多様性が拡大される。
【0028】
図16に示すように、中央接続部48a,48cと隅部接続部44b,44dの双方が貫通孔であってもよい。中央接続部と隅部接続部を、ボルトとナットで接続してもよい。建造部を実現する場合には、ボルトとナットで接続することがこのましい。
【0029】
本実施例では、貫通孔18a,18cまたはスリット38a,38cが中央接続部を提供する。また、切れ目14a,14b,14c,14d,34a,34b,34c,34dの隅部側に位置する通過片16a,16b,16c,16dが隅部接続部を提供する。
【0030】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。