(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
〔実施形態1〕
以下、本発明の実施形態について添付図面に基づいて説明する。
【0013】
本実施形態の移動かご付き栽培棚は、
図1に示すように、床面等の設置面に設置された栽培棚1と、作業者が搭乗可能な移動かご5を有するかご装置3とを備えている。移動かご5は、栽培棚1に沿って水平方向に移動可能に構成されており、作業者を載せた状態で移動することができる。作業者は、移動かご5に搭乗した状態で植物の収穫や植栽を行うことで、高所作業を行う場合に、脚立を移動させたり、脚立を昇降したりする必要がなく、作業性がよい。
【0014】
なお、本実施形態にいう「水平方向」とは、重力方向に直交する面(水平面)上の方向のみを意味する厳密な意味での「水平方向」ではなく、水平とみなせる範囲を含む広義の意味での「水平方向」を意味する。例えば、設置面に平行な面に沿う方向については、仮に設置面が勾配を有していても「水平方向」の範疇である。「水平な」等の表現についても同様である。
【0015】
栽培棚1は、複数の栽培容器2を載置可能なラックである。栽培棚1は、水平方向に互いに間隔をおいて設置面上に配置された複数の棚部10を備えている。複数の棚部10は、棚部10の上方において、互いに連結されている。以下、必要に応じて複数の棚部10を、第一棚部10a,第二棚部10b,第三棚部10c…として説明する。また、平面視における各棚部10の長手方向を第1の方向とし、第一棚部10a,第二棚部10b,第三棚部10c…が並ぶ方向を第2の方向として定義する。本実施形態において第1の方向と第2の方向とは、互いに直交する。
【0016】
各棚部10は、複数の支柱11と、上下方向に間隔をおいた状態で複数の支柱11に支持された複数の棚12とを備えている。各支柱11は、上下方向に延びており、その長手方向が設置面に直交している。各棚12は、複数の支柱11に架け渡されており、栽培容器2を載置可能に構成されている。各棚12は、例えば、棚板により構成されるが、枠体によって構成されてもよく、栽培容器2が載置可能に構成されていればよい。
【0017】
図2に示すように、複数の棚12は、上下方向に一定の間隔をおいて配置されている。複数の棚12のピッチは、例えば、300〜600mmである。本実施形態の棚部10は、設置面から作業できる高さに配置された複数の下段用棚121と、移動かご5から作業できる高さに配置された複数の上段用棚122とを有している。
【0018】
栽培容器2は、複数の植物を育成するための容器である。栽培容器2は、第1の方向に延びており、棚部10の長手方向の全長にわたる長さに形成されている。栽培容器2は、
図3に示すように、培養液を貯水可能な容器本体21と、植物を保持する複数のプレート22とを備えている。
【0019】
容器本体21は、上方に開口部を有する有底箱状に形成されている。各プレート22は、例えば、発泡スチロール等の樹脂発泡体により構成されており、容器本体21の開口部の内部に配置されて、培養液に浮くように構成されている。プレート22は、厚み方向に貫通する複数の貫通孔221を有しており、各貫通孔221によって植物を培養液に漬けた状態で保持することができる。複数のプレート22は、栽培容器2の長手方向に並ぶように配置されている。
【0020】
植物を植栽するには、例えば、栽培容器2の長手方向の一方の端部の開口部に、複数の植物が保持されたプレート22を配置する。次いで、配置したプレート22を、栽培容器2の長手方向の他方の端部に向かって移動させ、新たなプレート22を栽培容器2の長手方向の一方の端部の開口部に配置する。このように、栽培容器2の長手方向に沿って順番に植栽してゆくと、植物の成長度合いを、栽培容器2の長手方向の他端部側に位置するほど、成熟期に近くすることができる。このため、植物を収穫するには、栽培容器2の長手方向の他方の端部の植物が成熟期にあるときに、当該植物を収穫すればよく、栽培容器2の長手方向の中間部分に位置する植物から収穫しなくてはならない事態が生じにくい。
【0021】
かご装置3は、栽培棚1に取り付けられる。本実施形態のかご装置3は、栽培棚1に対して、取り外し可能に取り付けられるが、溶接等で一体的に取り付けられてもよい。かご装置3は、
図4に示すように、水平レール31と、移動かご5とを備えている。
【0022】
水平レール31は、設置面から上方に離れた位置において、栽培棚1に沿って取り付けられている。水平レール31は、水平方向に沿って延びており、長手方向が第2の方向に平行となるように配置されている。
【0023】
水平レール31は、第1の方向に離れた一対の車輪受けレール311を備えている。一対の車輪受けレール311は、それぞれがリップ溝形鋼により構成されており、開口部311aが対向するように互いに平行に配置される。各車輪受けレール311の長手方向は、第2の方向と平行に形成されている。
【0024】
水平レール31は、
図5に示すように、棚部10の上端部に取り付けられた複数の吊持部35を備えている。複数の吊持部35は、第2の方向に一定の間隔をおいて配置されており、一対の車輪受けレール311を上方から支持することができる。吊持部35は、棚部10に対して着脱可能に取り付けられている。これにより、吊持部35は、既存の棚部10に対して、後付的に取り付け可能である。
【0025】
移動かご5は、
図4に示すように、水平レール31によって、当該水平レール31に沿って移動可能に支持されている。移動かご5は、かご本体6と、車輪部7とを備えている。
【0026】
かご本体6は、移動かご5の主体を構成する部分であり、人(作業者)が搭乗可能なスペースを有する。かご本体6は、底部61と、フレーム62とを備えている。底部61は、人が搭乗して収穫や植栽等の作業を行うことができる足場であり、人が搭乗可能に構成されている。底部61は、例えば、エキスパンドメタルや金網等の網体や,パンチングメタルや鋼板等の板体等により構成される。
【0027】
フレーム62は、底部61を支持する枠体である。フレーム62は、底部61の角部から立ち上げられた複数の縦枠部621と、複数の縦枠部621の上端部同士を繋ぐ複数の横枠部63と、柵部64とを備えている。柵部64は、縦枠部621の上下方向の略中間において、水平方向に対向する縦枠部621間に架け渡されている。なお、かご本体6において棚部10に面する側については、柵部64が設けられていない。
【0028】
車輪部7は、かご本体6の上端部に取り付けられており、かご本体6を水平レール31に沿って移動可能に支持する。車輪部7は、一対の固定桟71と、複数のベアリングユニット72と、一対のシャフト73と、複数のタイヤ74とを備えている。
【0029】
各固定桟71は、第2の方向に離れた横枠部63間に架設されている。また、一対の固定桟71は、第1の方向に離れて取り付けられている。各固定桟71には、第2の方向に離れた状態で2つのベアリングユニット72が設置されている。第1の方向に並ぶベアリングユニット72は同心状に配置されており、これらのベアリングユニット72には、1つのシャフト73が回転可能に架け渡される。
【0030】
各シャフト73は、ベアリングユニット72に回転可能に支持されており、かご本体6に対して、第1の方向の周りに回転自在である。一対のタイヤ74は、各シャフト73の長手方向の両端部に一対一で固定されており、シャフト73の回転に追従して回転する。
【0031】
このような構成の移動かご5は、モータのような動力源が設けられていないが、移動かご5に搭乗した作業者が、搭乗したままで、作業しやすい位置に移動させることができる。本実施形態の移動かご5は、搭乗した作業者が、例えば、棚部10を掴んで自らの方向に手繰り寄せるように力を掛けることで、水平レール31に沿って移動する。なお、各シャフト73がかご本体6に対して回転できないように固定されてもよく、この場合、シャフト73に対してタイヤ74が回転可能であればよい。
【0032】
次に、作業者の植物の収穫の手順の一例について説明する。作業者は、例えば、脚立やはしご等を利用して、移動かご5に乗り込む。次いで、作業者は、第一棚部10aに向かって、移動かご5を水平に移動させる。作業者は、第一棚部10aの端部に位置するプレート22に保持された植物を、当該プレート22ごと収穫し、底部61に載置しておいたボックスに植物を収容する。
【0033】
作業者は、第一棚部10aの収穫を終えた後、第二棚部10bに向かって移動かご5を水平に移動させる。作業者は、第一棚部10aと同じように、第二棚部10bの端部に位置するプレート22に保持された植物を収穫し、底部61に載置しておいたボックスに植物を収容する。
【0034】
作業者は、第三棚部10c以降においても、同じ作業を繰り返す。これにより、作業者は、設置面からでは作業ができない高所での作業を、容易に且つ能率よく行うことができる。
【0035】
〔水平方向の移動の構造についての変形例〕
(変形例1)
次に、上記実施形態のかご装置3の変形例を説明する。上記実施形態の移動かご5は、作業者が、例えば、棚部10を掴んで手繰り寄せるようにして、力を掛けて移動させたが、例えば、
図6に示すように、移動かご5を駆動する駆動装置75を設置してもよい。以下、この変形例を変形例1という。
【0036】
変形例1の移動かご5は、手動でタイヤ74を駆動する駆動装置75を備えている。駆動装置75は、回転ハンドル76と、回転ハンドル76に設けられた駆動プーリー77と、シャフト73に設けられた従動プーリー78と、駆動プーリー77と従動プーリー78とを連結するタイミングベルト79とを備えている。回転ハンドル76を回転すると、回転ハンドル76は駆動プーリー77を回転させる。駆動プーリー77は、回転ハンドル76により回転すると、タイミングベルト79を介して従動プーリー78を回転させる。従動プーリー78は、回転に従ってシャフト73を回転させる。これによって、駆動装置75は、タイヤ74を回転させることができ、移動かご5を水平レール31に対して移動させることができる。
【0037】
なお、変形例1の移動かご5は、回転ハンドル76を用いて、作業者が手動で移動させるように構成されたが、回転ハンドル76に代えて、例えば、モータを用いることもできる。
【0038】
〔上下方向の移動の構造についての変形例〕
(変形例2)
上記実施形態のかご装置3は、移動かご5が水平方向にのみ移動可能に構成されたが、例えば、
図7,8に示すように、水平方向の移動に加えて、上下方向に移動可能に構成されてもよい。以下、この変形例を変形例2という。
【0039】
変形例2の栽培棚1は、複数の上段用棚122として6段の棚12が設けられ、複数の下段用棚121として5段の棚12が設けられている。
【0040】
変形例2の移動かご5は、
図7に示すように、各縦枠部621が伸縮可能に構成されており、底部61が栽培棚1に対して上下方向に位置変更可能に構成されている。各縦枠部621は、
図8に示すように、第1の立設部622と、第1の立設部622に対しスライド可能に構成された第2の立設部624と、固定ピン626とを備えている。
【0041】
第1の立設部622は、底部61の上面の角部から立ち上げられている。第1の立設部622は、長手方向が鉛直方向に平行な角パイプにより構成されている。第1の立設部622には、第1の方向に貫通する複数の貫通孔623が形成されている。複数の貫通孔623は、上下方向に所定のピッチで形成されている。
【0042】
第2の立設部624は、中空の角パイプにより構成されており、第1の立設部622を内部に収容する。第2の立設部624の上端部同士は、横枠部63によって連結されている。第2の立設部624の下端部は下方に開放しており、当該下端部の側面には、第1の方向に貫通する1つの差込孔625が形成されている。
【0043】
固定ピン626は、差込孔625と貫通孔623とが第1の方向に重なった状態において、差込孔625と貫通孔623とに挿入される。これによって、固定ピン626は、第1の立設部622と第2の立設部624とを相対的に移動不能とさせる。固定ピン626は、棒状に形成されており、先端が他の部分に対して略直角に折曲されており、抜け止めになっている。また、固定ピン626はボルト等であってもよく、この場合、貫通孔623の内周面にめねじが切られていればよい。
【0044】
各縦枠部621は、固定ピン626を挿入する貫通孔623が、第1の立設部622に形成された複数の貫通孔623のうちの1つを選択することで決定される。これにより、各縦枠部621は、上下方向に伸縮可能であると共に、所定長さで固定することができる。
【0045】
このように、変形例2の移動かご5によれば、水平方向に移動可能であることに加えて、底部61が上下方向に位置変更可能に構成される。このため、水平方向に並ぶ第一棚部10a,第二棚部10b,第三棚部10c…に対し、一定の高さ位置で作業ができるだけでなく、高さ位置を変えた上で、一定の高さ位置で作業を行うことができる。例えば、1段目の作業後、移動かご5の底部61を2段目に上昇させて2段目の作業を行い、その後、底部61を3段目に上昇させて3段目の作業を行うことができる。従って、変形例2の移動かご5によれば、栽培棚1が上下方向に多数存在しても、容易に且つ能率よく作業を行うことができる。
【0046】
なお、貫通孔623及び差込孔625の貫通方向は、第2の方向に平行に形成されてもよい。
【0047】
(変形例3)
変形例2における移動かご5の底部61の上下方向の位置変更は、例えば、
図9に示すような構成によっても実現される。以下、この変形例を変形例3という。
【0048】
変形例3のかご装置3は、水平レール31として、支持レール32と、吊持部35とを備えている。支持レール32は、第2の方向に延びたリップ溝形鋼により構成されており、開口部が下方に臨んでいる。支持レール32には、かご本体6に設けられた車輪部7が、支持レール32の長手方向に沿って移動可能に支持されている。
【0049】
車輪部7は、かご本体6を支持レール32の長手方向に沿って移動可能とし、且つ上下方向に移動可能とさせる。車輪部7は、支持レール32の長手方向に沿って移動可能に構成されたスライド部80と、スライド部80に対して昇降可能な昇降部88と、昇降部88を上下方向に移動させる昇降装置85とを備えている。
【0050】
スライド部80は、下方に開口部を有するリップ溝形鋼により構成されたスライド体81と、スライド体81を吊り下げる一対の吊下部82とを備えている。一対の吊下部82は、スライド体81の長手方向の両端部に設けられている。吊下部82は、支持レール32の内部において転動可能なローラー部83と、ローラー部83から下方に延出しスライド体81に連結される吊下体84とを備えている。
【0051】
昇降装置85は、スライド体81の内部に収容された巻取機86と、巻取機86により巻き取り・繰り出し可能なワイヤーロープ87とを備えている。巻取機86は、例えば、電動ホイストにより構成される。ワイヤーロープ87の先端部は、スライド体81に固定されており、ワイヤーロープ87の先端部と基端部(巻取機86により巻き取られた部分)との間に、昇降部88に設けられたシーブ90が掛けられている。
【0052】
昇降部88は、上方に開口部を有するリップ溝形鋼により構成された移動台89と、移動台89の内部においてワイヤーロープ87に掛けられた一対のシーブ90とを備えている。移動台89は、かご本体6に固定されている。一対のシーブ90は、支持レール32の長手方向に離れた状態で、移動台89に対して回転可能に取り付けられている。
【0053】
巻取機86は、移動かご5に搭乗した作業者によって操作される。作業者が、巻取機86によってワイヤーロープ87を巻き取るように操作すると、かご本体6が上昇し、これに伴って底部61の位置が上方に移動する。一方、作業者が、巻取機86によってワイヤーロープ87を繰り出すように操作すると、かご本体6が下降し、これに伴って底部61の位置が下方に移動する。
【0054】
また、本実施形態のかご本体6は、栽培棚1に対し水平方向に架け渡された横架材13に引っ掛け可能な引掛け部91を有する。引掛け部91は、縦枠部621に対し、第2の方向の周りに回転可能に構成されている。引掛け部91は、かご本体6が作業に適した場所に位置した状態で、横架材13に引っ掛けられる。これにより、かご本体6は、栽培棚1に固定され、作業時の安定性が向上するため、作業性が損なわれるのを防ぐことができる。なお、図中の横架材13は、1つであるが、上下方向に複数設けられている。
【0055】
昇降部88において、ワイヤーロープ87は、チェーンであってもよい。
【0056】
(変形例4)
かご装置3において、かご本体6の底部61の上下方向の位置変更の構造は、例えば、
図10に示すような構造であってもよい。以下、この変形例を変形例4という。
【0057】
本変形例のかご装置3は、変形例3と同様、水平方向の移動に加えて、上下方向へも移動可能に構成されている。かご装置3は、水平レール31と、移動かご5とを備えている。本変形例の水平レール31は、第1の方向に離れた一対のH型鋼36により構成されている。各H型鋼36は、第2の方向に延びている。
【0058】
移動かご5の車輪部7は、支持枠92と、支持枠92の上面に固定された複数のプレーントロリー95とを備えている。複数のプレーントロリー95は、H型鋼36の対向するフランジ片361の間に収容されて下側のフランジ片361の上面を転動する。
【0059】
支持枠92は、基台部93と、基台部93から下方に延びたガイド部94とを備えている。ガイド部94は、かご本体6側に開口したリップ溝形鋼により構成される。基台部93にはプレーントロリー95が固定されている。これによって、基台部93は、水平レール31の長手方向に沿って移動可能に構成されている。
【0060】
かご本体6は、ガイド部94の長手方向に沿って移動可能な複数の内ローラー96を有する。内ローラー96は、ガイド部94の内部に収容された状態で、ガイド部94の内面を転動する。複数の内ローラー96は、上下方向に離れて配置されている。
【0061】
また、かご本体6は、基台部93に設置されたエアホイスト97によって吊持されている。エアホイスト97がチェーン97aを巻き取ると、かご本体6がガイド部94に沿って上昇し、これに伴って底部61の位置が上方に移動する。一方、エアホイスト97がチェーン97aを繰り出すと、かご本体6が下降し、これに伴って底部61の位置が下方に移動する。なお、図中の符号98は、エアホイスト97の駆動用のガスボンベである。
【0062】
このように、作業者は、エアホイスト97を操作することで、移動かご5の底部61を、上下方向に位置変更することができる。
【0063】
〔実施形態2〕
次に、実施形態2について説明する。なお、実施形態2は、実施形態1と大部分において同じであるため、同じ部分においては同符号を付して説明を省略し、主に異なる部分について説明する。
【0064】
本実施形態の移動かご付き栽培棚は、
図11に示すように、移動かご5が、栽培棚1の棚部10の長手方向の端部において、第2の方向に移動するだけでなく、隣り合う棚部10の間において、第1の方向にも移動可能に構成されている。本実施形態の水平レール31は、第一レール33と、第二レール34と、向き変更部4とを備えている。移動かご5は、第一レール33と第二レール34とに沿って移動することができる。
【0065】
第一レール33は、実施形態1と同様、第2の方向に延びている。第一レール33は、各棚部10の長手方向の端部に対応する位置に配置された複数の分割レール331を備えている。複数の分割レール331は、第一棚部10a,第二棚部10b,第三棚部10c…の全長にわたって設けられている。複数の分割レール331の間には、向き変更部4が配置されており、複数の分割レール331は、向き変更部4を介して接続されている。
【0066】
第二レール34は、第1の方向に延びている。第二レール34は、各棚部10の長手方向に沿って延びており、各棚部10の長手方向の全長にわたって形成されている。第二レール34は、隣り合う棚部10の間に配置されている。第二レール34の長手方向の端部は、向き変更部4に対向する。
【0067】
向き変更部4は、第一レール33と第二レール34との接続部に設けられている。向き変更部4は、移動かご5の向きを、第一レール33に沿って移動する向きと、第二レール34に沿って移動する向きとの間で、変更することができる。向き変更部4は、
図12に示すように、回転レール41と、複数の連結体413とを備えている。この向き変更部4は、栽培棚1に設けられた支持フレーム42に支持されている。
【0068】
支持フレーム42は、栽培棚1に固定されており、回転レール41を鉛直軸回りに回転可能に支持する。支持フレーム42は、隣り合う棚部10にまたがって取り付けられている。支持フレーム42は、回転レール41の回転軸414を第一レール33の幅方向の中央部で支持できるように、棚部10から第一レール33の幅方向の中央部まで延びている。
【0069】
回転レール41は、支持フレーム42に対し鉛直軸回りに回転可能に支持されている。回転レール41は、第一レール33の一対の車輪受けレール311にそれぞれ平行な一対の移動レール411と、一対の移動レール411を長手方向の中央部で連結する連結フレーム412とを備えている。連結フレーム412は、支持フレーム42によって長手方向の中央部で軸支されている。一対の移動レール411と一対の車輪受けレール311とが接続されると、移動かご5は、第一レール33に沿って移動することができる。
【0070】
複数の連結体413は、車輪受けレール311と移動レール411とを相互に連結することができる。各連結体413は、
図13に示すように、第一レール33の車輪受けレール311又は第二レール34の車輪受けレール311にスライド可能に取り付けられており、各車輪受けレール311の端部と移動レール411との端部同士が対向した状態で、移動レール411に向かってスライドさせる。これにより、車輪受けレール311の端部と移動レール411の端部とが、連結体413を介して相互に連結されるため、車輪受けレール311と移動レール411とを移動かご5が移動することができる。なお、連結体413は、車輪受けレール311と移動レール411とを連結した状態で押しボルト等で固定されてもよい。
【0071】
次に、向き変更部4の動作について説明する。
【0072】
図14Aに示すように、第一レール33に沿って移動する移動かご5が、向き変更部4において停止する。この後、
図14Bに示すように、回転レール41が鉛直軸回りに回転し、移動レール411の長手方向が90°回転すると、移動かご5の向き(移動方向)が、第2の方向に平行な方向から、第1の方向に平行な方向に変更され、90°向きを変える。
【0073】
この後、
図14Cに示すように、移動かご5が第2の方向に向かって移動し、第二レール34に沿って移動することができる。なお、第二レール34から第一レール33への移動かご5の移動は、上記と逆の手順で行われるため説明を省略する。
【0074】
これによって、移動かご5は、第一レール33だけでなく、第二レール34においても移動することができ、作業者の作業性を向上させることができる。なお、向き変更部4を設けなくてもよい。この場合、移動かご5は回転しないが、作業者の作業する位置を変えることで、作業を行うことができる。
【0075】
〔効果〕
以上説明した第1の実施形態,変形例1〜4,第2実施形態の移動かご付き栽培棚は、以下に示す特徴を有している。移動かご付き栽培棚は、栽培棚1と、水平レール31と、移動かご5とを備えている。栽培棚1は、上下方向に間隔をおいて並設されて栽培容器2を載置可能な複数の棚12を有し、設置面に設置される。水平レール31は、設置面から上方に離れた位置において栽培棚1に沿って設けられる。移動かご5は、人が搭乗可能な底部61を有し、水平レール31により水平レール31に沿って移動可能に支持される。以下、この特徴を有する移動かご付き栽培棚を第1の態様の移動かご付き栽培棚という。
【0076】
第1の態様の移動かご付き栽培棚によれば、作業者は、設置面からでは作業ができない高所での収穫または植栽の作業(植栽収穫作業)を、例えば脚立等の昇降を繰り返すことなく行うことができ、高所での植栽収穫作業を容易に且つ能率よく行うことができる。その上、水平レール31が設置面から上方に離れた位置に設けられているため、作業者の足場を広く且つフラットにすることができ、作業のし易さが向上する上に、排水性や清掃性を向上させることができる。
【0077】
また、変形例1の移動かご付き栽培棚は、第1の態様の移動かご付き栽培棚の特徴に加えて、以下に示す付加的な特徴を有する。移動かご付き栽培棚は、移動かご5を駆動する駆動装置75をさらに備えている。以下、この移動かご付き栽培棚を第2の態様の移動かご付き栽培棚という。
【0078】
第2の態様の移動かご付き栽培棚によれば、移動かご5の移動を容易に行うことができて、作業者の作業性を向上させることができる。
【0079】
また、変形例2〜4の移動かご付き栽培棚は、第1又は第2の態様の移動かご付き栽培棚の特徴に加えて、以下に示す付加的な特徴を有する。移動かご付き栽培棚において、底部61は、栽培棚1に対して上下方向に位置変更可能に構成されている。以下、この移動かご付き栽培棚を第3の態様の移動かご付き栽培棚という。
【0080】
第3の態様の移動かご付き栽培棚によれば、栽培棚1が上下方向の多数の棚12を有していても、作業者の作業性を向上させることができる。
【0081】
また、第1の実施形態,変形例1〜4,第2実施形態の移動かご付き栽培棚は、第1〜3のいずれかの態様の移動かご付き栽培棚の特徴に加えて、以下に示す付加的な特徴を有する。移動かご付き栽培棚において、水平レール31が、栽培棚1に対して着脱可能に取り付けられている。以下、この移動かご付き栽培棚を第4の態様の移動かご付き栽培棚という。
【0082】
第4の態様の移動かご付き栽培棚によれば、既に設置された栽培棚1に対しても、後付的に水平レール31と移動かご5とを設置することができる。
【0083】
また、第2の実施形態の移動かご付き栽培棚は、第1〜4のいずれかの態様の移動かご付き栽培棚の特徴に加えて、以下に示す付加的な特徴を有する。栽培棚1は、平面視で第1の方向に延びた第一棚部10aと、第一棚部10aに対し平面視で前記第1の方向に直交する第2の方向に一定の間隔をおいて並設された第二棚部10bとを有する。水平レール31は、第一レール33と、第二レール34とを有する。第一レール33は、第2の方向に延びており、第一棚部10a及び第二棚部10bにわたって設けられる。第二レール34は、第1の方向に延びており、第一棚部10aと第二棚部10bの間に設けられる。移動かご5は、第一レール33及び第二レール34において移動可能である。以下、この移動かご付き栽培棚を第5の態様の移動かご付き栽培棚という。
【0084】
第5の態様の移動かご付き栽培棚によれば、移動かご5を栽培棚1の周囲にわたって移動させることができるため、より一層、作業者の作業性を向上させることができる。
【0085】
また、第2の実施形態の移動かご付き栽培棚は、第5の態様の移動かご付き栽培棚の特徴に加えて、以下に示す付加的な特徴を有する。移動かご付き栽培棚において、水平レール31は、第一レール33と第二レール34との接続部に設けられ、移動かご5の向きを変更する向き変更部4を有している。以下、この移動かご付き栽培棚を第6の態様の移動かご付き栽培棚という。
【0086】
第6の態様の移動かご付き栽培棚によれば、作業者は、進行方向に対する作業者の向きを変える必要がないため、作業性を一層向上させることができる。
【0087】
また、第1の実施形態,変形例1〜4,第2実施形態の栽培棚用かご装置3は、以下に示す特徴を有している。栽培棚用かご装置3は、設置面に設置された栽培棚1に取り付けられる栽培棚用かご装置3である。栽培棚用かご装置3は、水平レール31と、移動かご5とを備えている。水平レール31は、設置面から上方に離れた位置において前記栽培棚1に沿って取り付けられる。移動かご5は、人が搭乗可能な底部61を有し、水平レール31により水平レール31に沿って移動可能に支持される。以下、この特徴を有する栽培棚用かご装置3を第1の態様の栽培棚用かご装置3という。
【0088】
第1の態様の栽培棚用かご装置3によれば、作業者は、設置面からでは作業ができない高所での植栽収穫作業を、例えば脚立等の昇降を繰り返すことなく行うことができ、高所での植栽収穫作業を容易に且つ能率よく行うことができる。その上、水平レール31が設置面から上方に離れた位置に設けられているため、作業者の足場を広く且つフラットにすることができ、作業のし易さが向上する上に、排水性や清掃性が向上する。