(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された「携帯電話機用拡大レンズ」には、次のような課題を生じていた。すなわち、表面が平滑なディスプレイをクリップで挟むようにして取り付けるので、クリップが滑って動きやすく、支柱と拡大レンズの位置が安定しにくいという問題があった。
【0007】
このため、当初、ディスプレイ画面に対する拡大レンズの位置を適正に決めていても、使用中にずれてしまったり、クリップがディスプレイから外れたりすることもある等、使いにくいところがあった。また、ディスプレイの、クリップが当たる部分に擦り傷等の、いわゆる小傷が付きやすいという問題もあった。
【0008】
更には、使用しないときにも、拡大レンズが、常に露出している構造であるため、他所との接触で傷付きやすく、それを防ぐには、例えば収容するための袋を用意する等、対策が必要であった。
【0009】
本発明は、以上の点を鑑みて創案されたものであり、携帯情報端末のディスプレイ画面を拡大して見るときに、拡大レンズと携帯情報端末の位置関係を安定的に維持することができると共に、使用しないときは、拡大レンズが他所と接触して傷付くことを抑制できる、携帯情報端末用拡大鏡を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
〔1〕上記の目的を達成するために、本発明に係る携帯情報端末用拡大鏡は、所定形状の基板と、基板の上面の一端部に、前記基板に対し角度調整可能に取り付けられている拡大レンズと、基板の上面の他端部に、上面との間に拡大レンズを収容する収容空間を形成可能に、かつ携帯情報端末を立て掛けることができる形状に形成可能に、その基端部が接続されている第1の可変板とを備える。
【0011】
携帯情報端末用拡大鏡は、拡大レンズが、基板の上面の一端部に、基板に対し角度調整可能に取り付けられているので、所定の位置に置かれる携帯情報端末の画面を拡大して見るのに好適な角度に調整することができる。
【0012】
また、第1の可変板が、基板の上面の他端部に、上面との間に拡大レンズを収容する収容空間を形成可能に基端部が接続されているので、第1の可変板で覆われた収容空間の内部に拡大レンズを収容することができる。これにより、拡大レンズが、他所との接触で傷付くことを抑制できる。
【0013】
かつ、第1の可変板が、基板の上面の他端部に、携帯情報端末を立て掛けることができる形状に形成可能に、基端部が接続されているので、基板との間に携帯情報端末を立て掛けて、画面を適宜角度で立てることができる。
【0014】
〔2〕本発明に係る携帯情報端末用拡大鏡は、前記基板の下面の一端部に、同基板を嵩上げする支持部を形成可能に、その基端部が接続されている第2の可変板とを備える構成とすることもできる。
【0015】
この場合は、第2の可変板が、基板の下面の一端部に、基板を嵩上げする支持部を形成可能に基端部が接続されているので、机天板の上面等に置いたときに、支持部によって、基板を拡大レンズの取り付け部の方向へ上り傾斜するように傾斜させることができる。
【0016】
これにより、使用者が、例えば比較的高い位置から見るときに、特に使用者の縦方向の視野角の中に、拡大レンズと、その向こう側の携帯情報端末が収まりやすい。従って、使用者は、頭を下げて拡大レンズを覗き込むような無理な姿勢を取ることなく、携帯情報端末の画面を拡大して見ることができる。
【0017】
〔3〕本発明に係る携帯情報端末用拡大鏡は、前記第1の可変板又は前記第2の可変板、或いは前記第1の可変板及び前記第2の可変板は、平板状、筒状又は曲がり板状の各形態に変形可能であると共に、各形態を維持可能である構成とすることもできる。
【0018】
この場合は、第1の可変板と第2の可変板は、平板状とすることで、携帯情報端末用拡大鏡の厚みを薄く形成することができ、折り畳んだときの形態をコンパクトなデザインとすることに寄与できる。
【0019】
また、筒状とすることで、携帯情報端末を立て掛けたり、基板を嵩上げしたりするのに好適な形状となる。更に、曲がり板状とすることで、基板の他端部を支点として傾斜させる際に、その曲がる部分の位置を変えることにより、傾斜の調整が可能である。
【0020】
〔4〕本発明に係る携帯情報端末用拡大鏡は、第1の可変板又は第2の可変板の、筒状の形態が多角筒である構成とすることもできる。
【0021】
この場合は、可変板の筒状の形態が多角筒であることにより、可変板を筒状又は曲がり板状の各形態に形成し、その形態を維持する際に、多角筒を構成する平板同士を合わせることにより、接合面同士がずれにくくなり、採用できる接合手段の選択肢が増える等、形態の維持が容易にできるようになる。
【0022】
〔5〕本発明に係る携帯情報端末用拡大鏡は、基板の上面において、第1の可変板の接続部寄りに、載置した携帯情報端末用拡大鏡をその位置に止めるための滑り止めが設けられている構成とすることもできる。
【0023】
この場合は、第1の可変板を、携帯情報端末を立て掛けることができる形状に形成し、携帯情報端末を立て掛けて、滑り止めの上に置いたときに、滑り止めと接触した部分はその位置に止まり、位置がずれにくい。これにより、立て掛けた携帯情報端末の位置や画面の傾きを、設定状態で維持できる。
【0024】
〔6〕本発明に係る携帯情報端末用拡大鏡は、拡大レンズが、折り畳み時の角度と使用時の角度に調整可能であり、かつ使用時の角度は、互いに異なる複数の角度に設定可能である構成とすることもできる。
【0025】
この場合は、携帯情報端末用拡大鏡を折り畳む際に、拡大レンズを、折り畳み時の角度に調整することができる。また、携帯情報端末用拡大鏡を使用する際に、拡大レンズを、使用時の角度に調整することができる。このように、拡大レンズの角度は、折り畳み状態と使用状態に対応して調整することが可能である。
【0026】
更に、拡大レンズは、使用状態において、互いに異なる複数の角度に設定可能である。拡大レンズの使用時における設定角度が複数あることにより、第1の可変板に携帯情報端末を立て掛けたときに、拡大レンズの角度を、例えば携帯情報端末の画面と平行に合わせる等、画面が見やすい角度に合わせやすくなる。
【0027】
〔7〕本発明に係る携帯情報端末用拡大鏡は、拡大レンズが平面レンズである構成とすることもできる。
【0028】
この場合は、拡大レンズが平面レンズであれば、レンズが平板状となり、厚みが薄くなるので、第1の可変板が基板との間に形成する収容空間を薄く(又は狭く)することができ、拡大レンズをコンパクトに収容することができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明は、携帯情報端末のディスプレイ画面を拡大して見るときに、拡大レンズと携帯情報端末の位置関係を安定的に維持することができると共に、使用しないときは、拡大レンズが他所と接触して傷付くことを抑制できる、携帯情報端末用拡大鏡を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1乃至
図7を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
携帯情報端末用拡大鏡L1は、基板1と、拡大レンズ2と、第1の可変板である上部可変板3と、第2の可変板である下部可変板4とを備えている。なお、基板1、上部可変板3及び下部可変板4は、本実施の形態では、MDF(Medium density fiberboard:中質繊維板)により形成されているが、これに限定せず、合成樹脂板等、他の材料で形成することもできる。
【0032】
上記基板1は、長方形状で平板状の板体である。基板1は、本実施の形態では、縦200mm×横250mmで、厚さが2mmに設定されている。なお、ここで縦は
図3において左右方向であり、横は奥行き方向である。また、基板1の大きさは、これに限定せず、適宜設定することができる。
【0033】
基板1の一端縁(
図1で左側の端部)寄りの上面10には、基板1の横方向(長手方向)と平行な縁部と平行に、一条のV字溝19が基板1の全幅に渡る長さで設けられている(
図5、
図7参照)。V字溝19は、後で説明する支脚板13の先端縁部を係合させて、拡大レンズ2の角度を所定の角度で簡易的に固定するものである。
【0034】
基板1の一端縁には、基板1の横方向と同じ長さの取り付け部材11を介して、取り付け部材11と同じ長さのレンズ固定板12が上下方向に回動可能に接続されている。レンズ固定板12の短手方向の先部には、上記拡大レンズ2がレンズ固定板12と平行に固定されている。
【0035】
なお、拡大レンズ2の基部の長手方向の両端部には、円形板状の磁石16が埋め込まれている。また、基板1の下面17の他端部には、後で説明するスペーサ部材14と重なる位置の、横方向の両端部には、磁石18が埋め込まれている。
【0036】
また、レンズ固定板12の短手方向の先端縁には、レンズ固定板12の長手方向と同じ長さの支脚板13が、拡大レンズ2とは別体として、上下方向に回動可能に接続されている。なお、レンズ固定板12と支脚板13を回動可能に接続する構造は、後で説明する上部可変板3及び下部可変板4と同様に、各板体130を、表面に張った樹脂シート131で接続し、各板体130の境界部分に、樹脂シート131とは反対側に拡がるV字溝132を設けたものである(
図7参照)。
【0037】
拡大レンズ2は、長方形状で平板状の平面レンズである。本実施の形態では、大きさが縦140mm×横250mmのフレネルレンズを採用している。なお、拡大レンズとしては、対象物を必要な倍率で拡大して見ることができれば、フレネルレンズに限定せず、例えば薄い凸レンズ等の他の構造のレンズを採用することもできる。
【0038】
また、拡大レンズ2の形状(外形)は長方形に限定せず、その他の多角形、或いは円形や楕円形等を採用することもできるし、例えば各種多角形で各角部のうちの全部又は一部の箇所を円弧状に丸く形成したもの等を採用することもできる。
【0039】
上記上部可変板3は、基板1の他端部の上面10に、縁部に沿って固定された所定の厚さのスペーサ部材14を介し、その基端部が固定されている。本実施の形態では、スペーサ部材14の厚さは、4mmに設定されている。
【0040】
なお、スペーサ部材14の厚さはこれに限定せず、後で説明するように、平板状にした上部可変板3と基板1の間に形成される収容空間15に拡大レンズ2を収容できれば、適宜厚さに設定可能である。また、本実施の形態では、拡大レンズ2が平面レンズであるので、収容空間15を薄くすることができ、収容空間15を形成するためのスペーサ部材14の厚さも、薄くすることが可能である。
【0041】
また、基板1の上面10には、スペーサ部材14に隣接して、所要幅で長さが基板1の長手方向よりやや短い滑り止め板5が張設されている。滑り止め板5は、ゴム製で、スマートフォンSを置いたときに、スマートフォンSが滑らないようにして、その位置に止めることができる。
【0042】
上部可変板3は、所要幅で基板1の横方向の長さと同じ長さの細板31(細板31a、31bを含む)を、表面に張った樹脂シート32で縦方向へ複数枚(本実施の形態では、八枚)を接続し、各細板31の境界部分において樹脂シート32とは反対側に拡がるV字溝33を設けた構造である。
【0043】
また、上部可変板3の基部の、スペーサ部材14に固定されている細板31aの長手方向の両端部には、円形板状の磁石34が埋め込まれている。上部可変板3の先部の、細板31bの長手方向の両端部には、伸長して上記レンズ固定板12に合わせたときに、各磁石16と対応する位置に、円形板状の磁石35が埋め込まれている(
図6、
図7参照)。
【0044】
上部可変板3の長手方向の両端部において、樹脂シート32側には、所要の幅の補強シート39が、上部可変板3の短手方向の全長に渡り、張設されている。なお、上部可変板3は、平板状に伸長したときは、基板1の上面10を覆うことができるように、基板1と略同じ大きさの長方形状となる(
図6、
図7参照)。
【0045】
そして、まず、拡大レンズ2を基板1に近付けるように倒し、上部可変板3を伸長しながら、拡大レンズ2に被せるように、細板31bの各磁石35を拡大レンズ2の基部の各磁石16に磁着させることにより、上部可変板3を平板状態でほぼ維持することができる(
図6、
図7参照)。また、これにより、基板1と上部可変板3の間に、拡大レンズ2を収容するための収容空間15を形成することができる。
【0046】
V字溝33の上部可変板3が平板状であるときの内角は、本実施の形態では約70°である。
図1乃至
図3に示すように、上部可変板3を丸めて細板31a、31bを重ね、磁石34、35を磁着して多角筒状としたときには、七角筒を形成する。なお、上部可変板3が丸まったときに形成する角数は、七角に限定せず、上部可変板3の縦の長さや細板の幅(又は枚数)、或いはV字溝の角度の調整によって、適宜設定が可能である。
【0047】
上記下部可変板4は、基板1の一端部の下面17に、縁部に沿って、その基端部が固定されている。下部可変板4は、所要幅で基板1の横方向の長さと同じ長さの細板41(細板41a、41bを含む)を、表面に張った樹脂シート42で縦方向へ複数枚(本実施の形態では、八枚)を接続し、各細板41の境界部分において樹脂シート42とは反対側に拡がるV字溝43を設けた構造である。
【0048】
また、下部可変板4の基部の細板41aの長手方向の両端部には、円形板状の磁石44が埋め込まれている。下部可変板4の先部の、細板41bの長手方向の両端部には、伸長して基板1の下面17に合わせたときに、各磁石18と対応する位置に、円形板状の磁石45が埋め込まれている(
図7参照)。
【0049】
下部可変板4の長手方向の両端部において、樹脂シート42側には、所要の幅の補強シート49が、下部可変板4の短手方向の全長に渡り、張設されている。なお、下部可変板4は、平板状に伸長したときは、基板1の下面17を覆うことができるように、基板1と略同じ大きさの長方形状となる(
図7参照)。
【0050】
V字溝43の下部可変板4が平板状であるときの内角は、本実施の形態では約70°である。
図1乃至
図3に示すように、下部可変板4を丸めて細板41a、41bを重ね、磁石44、45を磁着して多角筒状としたときには、七角筒を形成する。また、下部可変板4が丸まったときに形成する角数は、七角に限定しないことは、上記上部可変板3と同様である。
【0051】
なお、上部可変板3は、丸めることにより、スマートフォンSを立て掛ける際の支える部分となり、下部可変部4は、丸めることにより、基板1の他端側を嵩上げして斜めの状態で支える部分となる。
【0052】
(作用)
図1乃至
図7を参照し、携帯情報端末用拡大鏡L1の作用及び使用方法を説明する。
携帯情報端末用拡大鏡L1は、使用しないときには、
図6に示すように、嵩張らないように、ほぼ平板状に畳んでおくことができる。
【0053】
(1)携帯情報端末用拡大鏡L1を使用する際には、
図6及び
図7に示す折り畳んだ状態から、まず、下部可変板4の先部に設けてある細板41bの各磁石45を、基板1の各磁石18から磁着状態を解除するようにして外す。そして、下部可変板4を樹脂シート42とは反対側へ曲げることにより、各V字溝43が閉じて、所定の径を以て丸めることができる。
【0054】
本実施の形態では、下部可変板4は、基部の細板41aに先部の細板41bを合わせて、磁石44、45を磁着することにより、七角筒となり、細板41aと細板41bがずれにくく、その形態を維持可能である。
【0055】
(2)次に、上部可変板3の先部に設けてある細板31bの各磁石35を、拡大レンズ2の基部の各磁石16から磁着状態を解除するようにして外す。そして、上部可変板3を樹脂シート32とは反対側へ曲げることにより、各V字溝33が閉じて、所定の径を以て丸めることができる。
【0056】
本実施の形態では、上部可変板3は、基部の細板31aに先部の細板31bを合わせて、磁石34、35を磁着することにより、七角筒となり、細板31aと細板31bがずれにくく、その形態を維持可能である(
図1乃至
図3参照)。
【0057】
(3)上部可変板3を筒状とした後、拡大レンズ2を起こし、支脚板13を起こしてV字溝132を閉じて所定の角度に設定し、支脚板13の先端部を基板1のV字溝19に係合する。これにより、拡大レンズ2は、基板1に対し、所定の角度に設定される(
図3参照)。
【0058】
このように、携帯情報端末用拡大鏡L1は、拡大レンズ2を折り畳み時の角度(基板1とほぼ平行な角度)に調整することができると共に、支脚板13をV字溝19に係合させて、拡大レンズ2を使用時の角度、すなわち後で説明する立て掛けたスマートフォンSの画面とほぼ平行な角度に調整することができる。
【0059】
(4)携帯情報端末用拡大鏡L1を、机の天板6の上に置く。これにより、携帯情報端末用拡大鏡L1は、一端側は七角筒となった下部可変板4により支えられ、他端側は基板1のスペーサ部材14が設けられている側の下角部で支えられる(
図3参照)。
【0060】
(5)そして、携帯情報端末であるスマートフォンSの背側を、滑り止め板5と七角筒となった上部可変板3とに渡すようにして、適宜角度で立て掛ける(
図3参照)。このとき、スマートフォンSの画面(符号省略)を拡大レンズ2の角度と平行になるように立て掛けるのが、画面表示を見やすくするためには好ましいが、多少の角度の違いは許容される(
図5では角度がやや違っているが、画面を見るのに支障はない)。
【0061】
(6)使用者は、拡大レンズ2の前側(
図3で左側)の椅子等に座って、比較的高い斜め上方から、拡大レンズ2を通してスマートフォンSの画面を見ることにより、拡大されて見やすくなった画面を見ることができる(
図4参照)。このとき、基板1が使用者に向けて上り傾斜することになるので、使用者の目線が画面と直角、又は直角に近い角度になり、画面が見やすくなる(
図3参照)。
【0062】
また、特に使用者の縦方向の視野角の中に、拡大レンズ2と、その向こう側のスマートフォンSの画面が収まりやすい。従って、使用者は、例えば頭を下げて拡大レンズ2を覗き込むような無理な姿勢を取ることなく、スマートフォンSの画面を拡大して見ることができる。また、使用者は、拡大された画面を見ながら、手を前に回して、指で画面を操作することもできる。
【0063】
(7)
図5は、携帯情報端末用拡大鏡L1の他の使用例を示すもので、下部可変板4を筒状とせず、曲がり板状としている。この形態では、各V字溝43が等間隔で設けられている構造上、下部可変板4の曲がっている部分の曲がりの度合い(曲率)はほぼ一定となる。
【0064】
つまり、下部可変板4が基板1を嵩上げする高さはほぼ一定であるが、下部可変板4の曲がっている部分の前後方向(
図3で左右方向)の位置を調整することにより、基板1の傾斜角度を調整することができる。具体的には、曲がっている部分が、スペーサ部材14に対し、より近い程、基板1の傾斜角は大きくなる。
【0065】
(8)また、携帯情報端末用拡大鏡L1を使用しないときは、上記(1)〜(3)の手順を逆に辿る手順で、ほぼ平板状に畳むことができる。この畳んだ状態では、携帯情報端末用拡大鏡L1が嵩張らず、携帯しやすい。また、拡大レンズ2を、基板1と上部可変板3で囲まれた収容空間15に収容することができるので、拡大レンズ2が他所との接触で傷付くことを抑制できる。
【0066】
図8を参照する。なお、本発明の他の実施の形態である携帯情報端末用拡大鏡L2の、上記携帯情報端末用拡大鏡L1の各部と同様の箇所については、
図8において同一の符号を付して示している。また、以下の説明において、同様箇所は、携帯情報端末用拡大鏡L1の説明を援用して説明を省略すると共に、相違する部分についてのみ説明する。
【0067】
携帯情報端末用拡大鏡L2において、基板1aの上面10の一端縁(
図8で左側の端部)寄りには、基板1aの横方向と平行な縁部と平行に、三条のV字溝19a、19b、19cが、基板1aの全幅に渡る長さで、縦方向(短手方向)に並んで設けられている(
図8の拡大説明図参照)。
【0068】
V字溝19a、19b、19cによれば、支脚板13の先端縁部を係合させることにより、携帯情報端末用拡大鏡L2の使用時において、拡大レンズ2の角度を互いに異なる角度で三段階に設定することができる。なお、支脚板13が、
図8において最も左に位置するV字溝19aに係合したときに、基板1に対する拡大レンズ2の角度は最大となる。
【0069】
また、拡大レンズ2が固定されているレンズ固定板12aは、互いに接続側の縁部が斜めにカットされた基板1との間に断面直角三角形状の取り付け部材11を介在させ、上記樹脂シート131と連続する樹脂シート131aによって、支脚板13と共に接続されている。
【0070】
そして、支脚板13のV字溝19a、19b、19cに対する係合を外し、支脚板13をレンズ固定板12aに対して直板状にして拡大レンズ2を折り畳んだとき、基板1、取り付け部材11及びレンズ固定板12aは互いに密着するようになっているので、これらの各部と拡大レンズ2の収まりがよい。
【0071】
このように、携帯情報端末用拡大鏡L2は、拡大レンズ2を折り畳み時の角度(基板1とほぼ平行な角度)に設定することができる。また、携帯情報端末用拡大鏡L2を使用する際に、拡大レンズ2を、支脚板13をV字溝19a、19b、19cの何れか一つに係合させて、使用時の最も適正な角度に設定することができる。
【0072】
つまり、拡大レンズ2は、設定角度を三段階に変えることができるので、上部可変板3にスマートフォンSを立て掛けたときに、拡大レンズ2の角度を、スマートフォンSの画面と平行に合わせる等、画面が見やすい角度に合わせやすくなる。また、V字溝は、上記のように一条又は三条の他、二条、或いは四条以上に適宜設定することができる。
【0073】
なお、使用時において、拡大レンズ2の角度を所望の角度に設定する手段としては、上記構成に限定するものではなく、例えば拡大レンズ2の回動中心となるヒンジ部(図示省略)に部材間の摩擦や係止、係合を利用して段階的又は無段階的に拡大レンズ2の回動を止める機構等、公知の各種手段を採用することもできる。
【0074】
本明細書及び特許請求の範囲で使用している用語と表現は、あくまでも説明上のものであって、なんら限定的なものではなく、本明細書及び特許請求の範囲に記述された特徴およびその一部と等価の用語や表現を除外する意図はない。また、本発明の技術思想の範囲内で、種々の変形態様が可能であるということは言うまでもない。
【課題】携帯情報端末のディスプレイ画面を拡大して見るときに、拡大レンズと携帯情報端末の位置関係を安定的に維持することができると共に、使用しないときは、拡大レンズが他所と接触して傷付くことを抑制できる、携帯情報端末用拡大鏡を提供する。
【解決手段】携帯情報端末用拡大鏡L1は、長方形状の基板1と、基板1の上面10の一端部に、角度調整可能に取り付けられている拡大レンズ2と、基板1の上面10の他端部に、上面10との間に拡大レンズ2を収容する収容空間を形成可能に、かつ携帯情報端末Sを立て掛けることができる形状に形成可能に、その基端部が接続されている上部可変板3と、基板1の下面の一端部に、基板1を嵩上げする支持部を形成可能に、その基端部が接続されている下部可変板4と、を備える。