特許第6881815号(P6881815)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6881815飲料を調製するための方法、機械、及びボイラー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6881815
(24)【登録日】2021年5月10日
(45)【発行日】2021年6月2日
(54)【発明の名称】飲料を調製するための方法、機械、及びボイラー
(51)【国際特許分類】
   A47J 31/56 20060101AFI20210524BHJP
   F22B 1/28 20060101ALI20210524BHJP
【FI】
   A47J31/56
   F22B1/28 Z
【請求項の数】13
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2018-540235(P2018-540235)
(86)(22)【出願日】2016年10月24日
(65)【公表番号】特表2018-533453(P2018-533453A)
(43)【公表日】2018年11月15日
(86)【国際出願番号】IB2016056374
(87)【国際公開番号】WO2017068553
(87)【国際公開日】20170427
【審査請求日】2019年10月23日
(31)【優先権主張番号】102015000064838
(32)【優先日】2015年10月23日
(33)【優先権主張国】IT
(31)【優先権主張番号】102016000023658
(32)【優先日】2016年3月7日
(33)【優先権主張国】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】518142421
【氏名又は名称】エウレク エス.アール.エル.
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】ガンベリーニ、 パオロ
(72)【発明者】
【氏名】パスクイ、 ダニエレ
(72)【発明者】
【氏名】ザッケリニ、 マウリツィオ
【審査官】 川口 聖司
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−530369(JP,A)
【文献】 特開2013−000593(JP,A)
【文献】 特開2015−039523(JP,A)
【文献】 実開昭56−172680(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 31/00−31/60
F22B 1/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体のための過熱領域(S)を画成するように構成された中央タンク(2)と、前記中央タンク(2)を囲むように配置されて液体のための加熱領域(R)を画定するように構成された外部タンク(10)と、前記中央タンク(2)の内部に設けられ、前記過熱領域(S)内部の液体を加熱するための発熱体(9)と、を備える飲料の調製のための機械のボイラーであって、前記過熱領域(S)と前記加熱領域(R)との間の相対配置は、前記過熱領域(S)内で生成された熱による前記加熱領域(R)内の液体の加熱を可能にするようになっており、前記加熱領域(R)は温液(Lc)を供給するように構成された第1出口(17、18)を有し、前記過熱領域(S)は蒸気(V)の供給のための第2出口(20、24、25、26、27)を有する、ボイラー。
【請求項2】
温液(Lc)の供給のための前記第1出口(17、18)及び蒸気(V)の供給のための前記第2出口(20、24、25、26、27)は、前記ボイラー(1)の2つの異なる個別の領域から液体及び蒸気(V)をそれぞれ取り出す、請求項1に記載のボイラー。
【請求項3】
液体供給のための前記第1出口(17)は、使用時に液体自体が沸点未満に常時維持される領域から液体を取り出すように構成されている、請求項1又は請求項2に記載のボイラー。
【請求項4】
前記外部タンク(10)への液体の供給のための液体供給部(16)と、前記加熱領域(R)からの温液(Lc)の放出を可能にするように構成された弁体(18)と、前記液体供給部(16)及び前記弁体(18)の両方に接続された制御ユニット(22)と、をさらに備え、前記制御ユニット(22)は、使用時に前記外部タンク(10)内に収容された液体を加圧しておくように、前記弁体(18)の開放及び前記液体供給部(16)の流量を調整するように構成されている、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のボイラー。
【請求項5】
前記中央タンク(2)内の蒸気圧を検出するように構成された圧力センサ(29)を備え、前記圧力センサ(29)は、既知の方法で前記制御ユニット(22)に接続されている、請求項4に記載のボイラー。
【請求項6】
前記加熱領域(R)及び前記過熱領域(S)を流体連通させる接続管(14)を備え、前記ボイラー(1)は、前記加熱領域(R)から前記過熱領域(S)への温液(Lc)の流れを調整するように構成された弁体(15)を備える、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のボイラー。
【請求項7】
前記中央タンク(2)は、前記中央タンク(2)内の温液(Lc)のレベルを検出するように構成されたレベル検出システム(21)を備える、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のボイラー。
【請求項8】
既知の方法で前記第2出口(20)に接続され、前記中央タンク(2)からの蒸気(V)の流出を調節するように構成された弁部材(26、27)を備える、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のボイラー。
【請求項9】
弁体(20、26、27)は、前記外部タンク(10)を出た温液(Lc)を別の流体と混合するように構成されたミキサー(23)を備える、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のボイラー。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれか1項に記載のボイラー(1)を備える、飲料、特にコーヒーの調製のための機械。
【請求項11】
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のボイラー(1)を備え、前記ボイラー(1)が、液体のための過熱領域(S)を画成するように構成された中央タンク(2)と、前記中央タンク(2)を囲むように配置されて液体のための加熱領域(R)を画成するように構成された外部タンク(10)と、前記中央タンク(2)の内部に設けられ、前記過熱領域(S)内部の液体を加熱するための発熱体(9)と、を備える機械による、飲料の調製のための方法であって、前記過熱領域(S)と前記加熱領域(R)との間の相対配置は、前記過熱領域(S)内で生成された熱による前記加熱領域(R)内の液体の加熱を可能にするようになっており、前記加熱領域(R)は、飲料の調製のため第1ユーザに温液(Lc)を提供するように構成された第1出口(17)を有し、その一方で前記過熱領域(S)は、ユーザへの蒸気(V)の提供のための第2出口(20)を有し、液体の供給のための前記第1出口(17)及び蒸気(V)の供給のための前記第2出口(20)は、前記ボイラー(1)の2つの異なる個別の領域から液体及び蒸気(V)をそれぞれ引き込み、前記方法は、
前記過熱領域(S)を所定のレベルまで液体で満たす工程と、
前記加熱領域(R)内に存在する液体が所定の圧力になるように前記加熱領域(R)を液体で満たす工程と、
前記発熱体(9)を作動させて前記過熱領域(S)内の液体を加熱し、前記過熱領域(S)からの熱によって前記加熱領域(R)内の液体を加熱する工程と、
使用時に、前記第1出口(17)を通じて温液(Lc)を取り出す工程と、
使用時に、前記第2出口(20)を通じて蒸気(V)を取り出す工程と、
を備える方法。
【請求項12】
前記ボイラー(1)は、前記加熱領域(R)及び前記過熱領域(S)を流体連通させる接続管(14)を備え、前記ボイラー(1)は、前記加熱領域(R)から前記過熱領域(S)への温液(Lc)の流れを調整するように構成された弁体を備え、前記方法は、
前記過熱領域(S)内の液体のレベルが所定のレベルを下回ったときに、前記加熱領域(R)から来る液体によって前記過熱領域(S)を満たす工程
を備える、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ボイラー(1)は、前記外部タンク(10)に冷液(Lf)を供給するための液体供給部(16)と、前記中央タンク(2)内の蒸気の圧力を検出するように構成された圧力センサ(29)と、を備え、前記方法は、
前記圧力センサ(29)によって検出された圧力に応じて前記外部タンク(10)への冷液(Lf)の供給部(16)を調整する工程
を備える、請求項11又は請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許出願は、飲料の調製、具体的にはコーヒー又は紅茶などの抽出物のための方法、機械、及びボイラーに関する。
【背景技術】
【0002】
コーヒー又は紅茶などのホットドリンクの調製のため、内部で水が約摂氏90度以上の温度まで加熱され、抽出製品を含む抽出チャンバに注入される、抽出回路を備える機械を使用することが、知られている。抽出製品はたとえば粉末若しくは葉の形態であってもよく、又はカプセル若しくはタブレットの中に含まれてもよい。
【0003】
上記のタイプの、特にバーにおける業務用の機械は、異なる量の温液を必要とする複数の異なる飲料の調製のため、液体、特に水を加熱するためにボイラーを使用するという不都合を有する。たとえば、既知のタイプの業務用機械のボイラーは、紅茶又はコーヒーの調製のために水を加熱する。したがって、長い待ち時間になるのを回避するため、最大の機械負荷であっても長時間にわたって動作を保証するために、数リットルの水を加熱するように構成されたタンクを有するボイラーを使用することが知られている。内部の液体が冷えるのを防ぐためにボイラーを常に動作させておく必要があるため、これにより必然的に大きなエネルギーの無駄を生じる。場合によっては、上述のような業務用タイプの機械は、冷却されて朝の起動時間が長くかかるのを防ぐため、使用されない夜の間もスイッチを入れたままにされる。
【0004】
さらに、既知のタイプの機械は、クリーム又はミルクなどの発泡液体を作り出すための蒸気の生成を可能にするために、ボイラーが内部のお湯を沸点に近い温度で維持するという不都合を有する。したがって、これらのボイラー内に長時間にわたって収容された水は、タンク内に収容された水の中の塩がボイラーの底に向かって沈殿し、したがってボイラーの底には無機塩の豊富な水が、上部には無機塩を含まない水が存在するという不都合を有する。これは、水の官能特性を、その結果として抽出物の味及び最終品質を、低下させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、同時に機械の応答時間を維持しながら、運転コストを著しく削減し、業務用タイプの機械のエネルギー消費を削減することが可能な、特に業務用タイプの、飲料の調製のための機械を提供することである。
【0006】
本発明の目的は、高い精度で任意の温度の液体を提供することができる、言い換えると、たとえば紅茶などの飲料の所望の官能特性を保証するために、液体の実際の温度と所望の温度との差が制限された機械を提供することである。
【0007】
本発明の目的は、紅茶などの抽出物の調製のための水が抵抗加熱素子と直接接触しない、飲料の調製のための機械を提供することであり、これにより、液体が沸騰するのを防止し、抽出物の調製のための水の官能特性、及びその結果として抽出物の最終品質の維持を保証する。また、本発明の目的は、発泡液体を調製するのに適した蒸気の生成及び速やかな分配がどのようにでも保証される、抽出物の調製のための機械を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
飲料の調製のための方法、機械、及びボイラーは、添付請求項に挙げられた本発明にしたがって提供される。
【0009】
ここで本発明は、以下の非限定的な実施例を示す添付図面を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明によるボイラーの主要図である。
図2図2は、図1のボイラーの上面図である。
図3図3は、図2の線III−IIIに沿った断面を示す。
図4図4は、図2の線IV−IVに沿った断面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1の番号1は、たとえば紅茶などの抽出飲料を調製するための、温液Lcを分注するためのボイラー1全体を示す。有利なことに、ボイラー1は、飲料の調製のため、たとえば水などの液体を加熱すること、及び同時に、クリーム又はミルクなどの発泡液体を調製するのに適切な蒸気Vの個別生成の、二重の機能を有する。
【0012】
図3及び図4に詳細に示されるように、ボイラー1は、中央タンク2を備える。中央タンク2は、縦軸Aを有する内部管状体5を備える。
【0013】
図示される例によれば、ボイラー1は、支持平面Pと平行に配置されるように構成された底壁3、及び底壁3と略平行な頭壁4を備える。中央タンク2は、底部6の一端で底壁3に、そしてヘッド7の一端に対応して頭壁4に気密的に固定された内部管状体5によって、実質的に画定されている。底壁3、内部管状体5、及び頭壁4は、ボイラー1の、特に中央タンク2の、内部空洞8を画定する。
【0014】
以下により詳細に説明するように、内部空洞8は、ボイラー1の過熱領域Sを画定する。有利なことに、過熱領域Sは、蒸気Vを発生するように構成されている。
【0015】
ボイラー1は、発熱体9も備える。
【0016】
発熱体9は、既知のタイプの、模式的に示されたボディコイルであり、縦軸Aに沿って中央タンク2の内部空洞8の中に延在し、コイルの一部は好ましくは中央タンク2自体の底の一部を占有する。
【0017】
ボイラー1は、外部タンク10も備える。
【0018】
外部タンク10は、外部管状同心体11を備える。外部タンク10は、中央タンク2とともに、液体を加熱して、これを圧力下で維持することによって沸騰を回避するように構成された加熱領域Rを画定するように構成されている。
【0019】
具体的には、外部管状体11は、内部管状体5をその中に包囲するように構成されている。外部管状体11は、自身の底端12において底壁3に、また頭壁4をヘッド13の一端にして、気密的に取り付けられている。外部管状体11、内部管状体5、底壁3、及び環状頭壁4’は、外部タンク10を実質的に画定する。環状頭壁4’及び頭壁4は、組立及び保守を容易にするために2つの個別の本体で形成されている。
【0020】
具体的には、加熱領域Rは実質的に、内部管状体5と外部管状体11との間に径方向に含まれる、ボイラー1の環状部分に関する。言い換えると、図示されるように、過熱領域Sは、底壁3、頭壁4、外部管状体11、及び内部管状体5によって横方向に区切られている。
【0021】
ボイラー1はまた、加熱領域Rの底部を過熱領域Sの底部と流体連通させる、接続管14(図4に示す)も備える。ボイラー1は、加熱領域Rから過熱領域Sへの温液Lcの流れを調節するように構成された接続管14に沿って実装された流量調節弁部材15を備える。たとえば、弁部材15は二方弁であり、加熱領域Rから過熱領域Sに温液Lcを通すように構成されている。
【0022】
ボイラー1はまた、外部タンク10自体の底部付近で外部タンク10の外壁に実装された冷液供給部Lfも備える。図示されるように、液体供給部は、冷液Lfを加熱領域Rに、及びボイラー1の底壁3において供給するために、外部管状体11に底壁3の近くで(既知の方法で、概略的に示されるように)接続されている。接続管14は好ましくは、供給部16に対して径方向反対の位置で加熱領域Rの内側に面している。
【0023】
ボイラー1はまた、頭壁4の付近で外部タンク10の外部管状体11上に実装された温液Lc用の出口17も備える。図示されるように、出口17は、頭壁4の近傍において加熱領域Rからの温液Lcの放出を可能にするように、外部管状体11に接続され、頭壁4と隣接している。
【0024】
有利なことに、ボイラー1は、出口17によって加熱領域Rに接続された弁体18を備える。弁体18は、加熱領域Rからの温液Lcの出力流を調節するように構成されている。有利なことに、弁体18は、冷液Lfの供給部16と相まって、温液Lcの流出中の加熱領域Rにおける圧力低下を回避するように構成されている。図示されるように、弁体18は、二方向の電動弁である。有利なことに、ボイラー1は、所望の温度で抽出物の調製用の液体を得るように、外部から引き込まれた冷液Lfを、図示されない周知のやり方で、出口導管30を通じて加熱領域Rを出る温液Lcと混合するミキサー23を備える。有利なことに、ミキサー23はチョークノズル31(図1に示す)を備えており、これは出口導管30に沿って配置され、外部タンク10からの温液Lcの過剰な流出と、その結果としての加熱領域Rに含まれる液体の圧力の急激な低下とを防止するように構成されている。
【0025】
有利なことに、ミキサー23は冷液Lf用の供給導管32を備えており、これは温液Lcの出力方向に応じて、チョークノズル31の上流の出口導管30に冷液Lfを供給するように構成されている。こうして出口導管30内に送達される冷液は、飲料の製造のため最適かつ所望の温度でユーザに液体を提供するように、加熱領域Rにおける圧力の低下を防止し、温液Lcを冷却するという二重の機能を有する。
【0026】
ボイラー1はまた、中央タンク2の過熱領域Sの外側にその中で生成された蒸気Vを分配するための、既知のタイプの弁部材20も備える。
【0027】
有利なことに、ボイラー1は、蒸気Vのために2つの出口導管24及び25を備える。各導管は、過熱領域Sから出てくる蒸気Vのそれぞれの流れの通過を可能にする。ボイラー1は特に、出口導管24を通る蒸気Vの通過を調節するための弁26と、出口導管25を通る蒸気Vの通過を調節するための弁27とを備える。
【0028】
図示されない変形例によれば、ボイラー1は異なる数の出口導管24を備えてもよく、出口導管24の数は、ボイラー1によって発生可能な蒸気Vの異なる流量に依存する。
【0029】
ボイラー1は、中央タンク2内の温液Lcのレベルのためのレベル検出システム21も備える。
【0030】
ボイラー1はまた、レベル検出システム21、冷液供給部16,及び加熱領域Rと過熱領域Sとの間の流れを調節するための弁部材15と接続された制御ユニット22も備える。
【0031】
ボイラー1はまた、過熱領域S内の温度を検出するように構成された温度センサ28も備える。温度センサ28の主な機能は、温度が所定値を超えた場合にボイラー1の動作を停止することによる、制御及び安全性である。
【0032】
ボイラー1はまた、過熱領域S内の圧力を検出するように構成された圧力センサ29も備える。具体的には、圧力センサ29は、頭壁4を解して過熱領域Sの内側に面している。
【0033】
使用中、過熱領域Sは温液Lcで部分的に満たされ、加熱領域Rは液体で完全に満たされる。発熱体9はその後作動して、過熱領域S内において過熱領域Sの底部を温液Lcで満たし、過熱領域Sの上部を蒸気Vで満たすように、中央タンク2内の温度を液体の沸点まで昇温させる。
【0034】
過熱領域S内に存在する熱は加熱領域R内に存在する液体に伝達され、こうして加熱される。
【0035】
蒸気Vが必要とされるとき、弁部材20、具体的には蒸気Vの分配用の弁26及び27は、それぞれの導管24及び/又は25を通じて蒸気Vを流出させるように、個別に又は同時に作動する。作動される弁26及び/又は27のタイプ及び数は、出力される蒸気Vの流量を決定する。
【0036】
使用中、蒸気Vが過熱領域Sから出されるとき、過熱領域S内の圧力自体が低下する。したがって、圧力センサ29は、過熱領域S内の圧力の低下を検出し、そのデータを既知の方法で制御ユニット22に送信する。蒸気Vの使用を検出することにより、制御ユニット22は、中央タンク2及び外部タンク10の両方をいっぱいに満たすように、液体供給部16及び弁部材15の動作を調整する。
【0037】
言い換えると、過熱領域S内の温液Lcのレベルは、制御ユニット22によって使用要件に基づいて調整される。具体的には、制御ユニット22は、過熱領域S自体をいっぱいに満たすように、弁の開放を調整して加熱領域Rから過熱領域Sへの液体の通過を可能にする。
【0038】
有利なことに加熱領域Rから引き込まれた温液Lcを過熱領域Sに供給することで、過熱領域S自体の熱減衰を回避し、結果的にボイラー1の熱効率を改善する。
【0039】
紅茶などの飲料の調製に温液Lcが必要とされるとき、外部タンク10の出口17は、加熱領域Rの上部に存在する温液Lcの分配を可能にするために開放される。外部タンク10は、加熱領域R内に存在する温液Lcが沸点を決して超えないように、制御ユニット22の命令によって既知の方法で供給部によって、いつも満杯かつ圧力下で維持される。
【0040】
上述のタイプのボイラー1は、熱の一部が過熱領域Sに供給される液体を予熱するために使用されるので、エネルギーを節約して既知のタイプのボイラーよりも優れた熱効率を提供するために、蒸気V及び温液Lcの迅速な生成を可能にする利点を有する。また、上述のタイプのボイラー1は、ボイラー1とは異なる分離した2つの領域から飲料の調製のための温液Lc及び蒸気Vを取り出すことを可能にする。これは、飲料の調製に使用される温液Lcが沸点を超えることがなく、その塩含有量及び官能特性を損なわず維持してきたという恩恵を有する。したがって、上述のタイプのボイラー1は、長い動作時間にわたって沸騰温度を超えることにより無機塩の沈殿を引き起こす伝統的なボイラーよりも品質の高い抽出物の製造を可能にする。
図1
図2
図3
図4