特許第6881898号(P6881898)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6881898
(24)【登録日】2021年5月10日
(45)【発行日】2021年6月2日
(54)【発明の名称】ゲート装置
(51)【国際特許分類】
   G07B 15/00 20110101AFI20210524BHJP
   G01N 23/04 20180101ALI20210524BHJP
   G01N 23/10 20180101ALI20210524BHJP
   G08B 25/04 20060101ALI20210524BHJP
【FI】
   G07B15/00 H
   G01N23/04
   G01N23/10
   G07B15/00 A
   G08B25/04 F
【請求項の数】14
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2016-106200(P2016-106200)
(22)【出願日】2016年5月27日
(65)【公開番号】特開2017-91498(P2017-91498A)
(43)【公開日】2017年5月25日
【審査請求日】2019年4月19日
(31)【優先権主張番号】特願2015-220760(P2015-220760)
(32)【優先日】2015年11月10日
(33)【優先権主張国】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004651
【氏名又は名称】日本信号株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】特許業務法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小川 千隼
(72)【発明者】
【氏名】吉田 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼山 和朗
(72)【発明者】
【氏名】川崎 栄嗣
(72)【発明者】
【氏名】高橋 真起
(72)【発明者】
【氏名】内田 清孝
【審査官】 木村 麻乃
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−175819(JP,A)
【文献】 特開2015−079472(JP,A)
【文献】 特開平06−071229(JP,A)
【文献】 米国特許第6218943(US,B1)
【文献】 米国特許出願公開第2017/0185842(US,A1)
【文献】 特表2015−520059(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07B 15/00
G01N 23/04
G01N 23/10
G08B 25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲートを通過する通行人と探知装置により内容物を探知される手荷物とを関連付ける関連付手段を備え、
前記関連付手段は、搬送装置の搬送路上に載せられた前記手荷物が所定位置で検知された時期と、前記通行人が前記所定位置と特定の位置関係にある前記ゲートに向かう経路の特定位置で検知された時期とに基づき、前記関連付けを行う
ゲート装置。
【請求項2】
前記探知装置により探知された前記内容物の情報を取得し、前記内容物の情報に基づき前記通行人の前記ゲートの通過の可否を判定する通過可否判定手段
を備える請求項1に記載のゲート装置。
【請求項3】
ゲートを通過する通行人と探知装置により内容物を探知される手荷物とを関連付ける関連付手段と、
前記探知装置により探知された前記内容物の情報を取得し、前記内容物の情報に基づき前記通行人の前記ゲートの通過の可否を判定する通過可否判定手段とを備え、
前記通過可否判定手段は、距離画像センサにより生成される距離画像に基づき前記手荷物の位置を特定し、当該特定した位置に基づき前記通行人の前記ゲートの通過の可否を判定する
ゲート装置。
【請求項4】
前記関連付手段は、前記通行人を追跡するための情報を取得し、前記手荷物と前記追跡するための情報とを関連付ける
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のゲート装置。
【請求項5】
前記関連付手段は、前記ゲートの通過時の前記通行人の画像を前記追跡するための情報として取得する
請求項4に記載のゲート装置。
【請求項6】
ゲートを通過する通行人と探知装置により内容物を探知される手荷物とを関連付ける関連付手段を備え、
前記関連付手段は、前記ゲートの通過時の前記通行人の画像を前記通行人を追跡するための情報として取得し、前記手荷物と前記追跡するための情報とを関連付け、
前記ゲートを通過した後に前記通行人が移動可能な空間を監視するために撮像された画像を取得し、前記ゲートの通過時の前記通行人の画像と前記監視するために撮像された画像とを解析し、当該解析の結果に基づき前記通行人の位置を特定する位置特定手段を備える
ゲート装置。
【請求項7】
前記探知装置により探知された前記内容物の情報を取得し、前記内容物の情報に基づき前記通行人の位置の特定の要否を判定する位置特定要否判定手段を備え、
前記位置特定手段は、前記位置特定要否判定手段による判定の結果に基づき、前記通行人の位置の特定を継続または停止する
請求項6に記載のゲート装置。
【請求項8】
前記関連付手段は、前記通行人の通行券から読み取られた情報を前記追跡するための情報として取得する
請求項4乃至7のいずれか1項に記載のゲート装置。
【請求項9】
ゲートを通過する通行人と探知装置により内容物を探知される手荷物とを関連付ける関連付手段を備え、
前記関連付手段は、距離画像センサにより生成される距離画像に基づき前記手荷物および前記通行人の位置を特定し、当該特定した前記手荷物および前記通行人の位置を用いて、前記手荷物が所定位置に置かれた時期または所定位置を通過した時期と、前記通行人が所定位置にいた時期または所定位置を通過した時期とに基づき、前記関連付けを行う
ゲート装置。
【請求項10】
ゲートを通過する通行人と探知装置により内容物を探知される手荷物とを関連付ける関連付手段と、
前記通行人の移動速度を特定し、前記探知装置へ前記手荷物を搬送する搬送装置に対し、当該特定した前記通行人の移動速度に応じた速度で前記手荷物を搬送するように指示する搬送指示手段とを備える
ゲート装置。
【請求項11】
前記搬送指示手段は、距離画像センサにより生成される距離画像に基づき前記通行人の移動速度を特定する
請求項10に記載のゲート装置。
【請求項12】
距離画像センサにより生成される距離画像に基づき前記手荷物のサイズを特定し、当該特定した前記手荷物のサイズが所定のサイズより大きい場合、前記探知装置へ前記手荷物を搬送する搬送装置に対し前記手荷物の搬送の停止を指示する搬送指示手段を備える
請求項1又は2又は6又は7又は8に記載のゲート装置。
【請求項13】
ゲートを通過する通行人と探知装置により内容物を探知される手荷物とを関連付ける関連付手段と、
距離画像センサにより生成される距離画像に基づき、前記通行人の身体の位置を特定し、当該特定した前記身体の位置が所定の領域内にある場合、前記探知装置へ前記手荷物を搬送する搬送装置に対し前記手荷物の搬送の停止を指示する搬送指示手段とを備える
ゲート装置。
【請求項14】
ゲートを通過する通行人と探知装置により内容物を探知される手荷物とを関連付ける関連付手段と、
手荷物の搬送方向における上流側の搬送手段と下流側の搬送手段とを備え、
先行する通行人が前記ゲートを通過した後、前記下流側の搬送手段から全ての手荷物が除去されるまでの間、前記下流側の搬送手段は手荷物の搬送を行わず、前記上流側の搬送手段は手荷物の搬送を行う
ゲート装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通行人の通行を規制または許可するゲート装置に関する。
【背景技術】
【0002】
空港、会議場等の多くの人が集まる公共の場所においては、事故、テロ等を防ぐために、爆発物等の危険物の持ち込みが制限されることがある。そのような制限の遵守を確保するために、通行人の手荷物等に含まれる危険物を探知する技術がある。危険物を探知する技術に関する文献として、例えば特許文献1〜3がある。
【0003】
特許文献1には、情報をセキュリティセンタに集めてデータベースと照合しリスクの判定を行うセキュリティシステムが記載されている。
特許文献2には、火薬等の危険物質を扱って衣服等に火薬粒子等が付着している人物から、その危険物質を採取する試料採取装置が記載されている。
特許文献3には、中性子検知装置を有する危険物検知システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−175819号公報
【特許文献2】特開2009−204545号公報
【特許文献3】特開2012−122804号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
公共交通機関は、多くの人が集まる公共の場所であるため、危険物の持ち込み制限が必要な場合がある。公共交通機関のうち、航空機、一部の船舶等の1台当たりの乗客数が比較的少ない公共交通機関に関しては、X線撮像装置、金属探知機等の探知装置によって乗客の手荷物に危険物が含まれていないかの確認(以下、「セキュリティチェック」という)が行われている。一方、鉄道等の1台当たりの乗客数が比較的多い公共交通機関に関しては、セキュリティチェックに時間を要することで乗客の利便性を損なう等の理由により、セキュリティチェックが行われることは稀である。しかしながら、鉄道等の大量輸送機関においても、航空機等と同様にセキュリティチェックの必要性がある。
【0006】
また、公共交通機関に限らず、例えばホテル、オフィスビル、会議場等においてもセキュリティチェックの必要性があるが、同じく利便性を損なう等の理由により、必ずしも必要なセキュリティチェックが行われていない。
【0007】
本発明は、上記の事情に鑑み、通行人の利便性を大きく低下させることなく、通行人の手荷物の内容物を探知する手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するため、本発明は、ゲートを通過する通行人と探知装置により内容物を探知される手荷物とを関連付ける関連付手段を備え、前記関連付手段は、搬送装置の搬送路上に載せられた前記手荷物が所定位置で検知された時期と、前記通行人が前記所定位置と特定の位置関係にある前記ゲートに向かう経路の特定位置で検知された時期とに基づき、前記関連付けを行うゲート装置を、第1の態様として提供する。
【0009】
第1の態様のゲート装置によれば、ゲートを通過する通行人の手荷物の内容物を探知することができる。また、内容物を探知した手荷物がどの通行人のものであるかを比較的簡易に特定することができる。
【0010】
第1の態様のゲート装置において、前記探知装置により探知された前記内容物の情報を取得し、前記内容物の情報に基づき前記通行人の前記ゲートの通過の可否を判定する通過可否判定手段を備える、という構成が第2の態様として採用されてもよい。
【0011】
第2の態様のゲート装置によれば、通行人の手荷物の内容物の情報に応じて、その通行人がゲートを通過することの可否を判定することができる。
【0012】
また、本発明は、ゲートを通過する通行人と探知装置により内容物を探知される手荷物とを関連付ける関連付手段と、前記探知装置により探知された前記内容物の情報を取得し、前記内容物の情報に基づき前記通行人の前記ゲートの通過の可否を判定する通過可否判定手段とを備え、前記通過可否判定手段は、距離画像センサにより生成される距離画像に基づき前記手荷物の位置を特定し、当該特定した位置に基づき前記通行人の前記ゲートの通過の可否を判定するゲート装置を、第3の態様として提供する
【0013】
第3の態様のゲート装置によれば、ゲートを通過する通行人の手荷物の内容物を探知することができる。また、通行人の手荷物の内容物の情報に応じて、その通行人がゲートを通過することの可否を判定することができる。また、距離画像センサにより生成される距離画像を取得することにより、探知装置により内容物が探知されない手荷物が通行人とともにゲートを通過してしまうという不都合が防止される。
【0014】
第1乃至第3のいずれかの態様のゲート装置において、前記関連付手段は、前記通行人を追跡するための情報を取得し、前記手荷物と前記追跡するための情報とを関連付ける、という構成が第4の態様として採用されてもよい。
【0015】
第4の態様のゲート装置によれば、ゲートを通過した後、特定の手荷物を運ぶ通行人を追跡することができる。
【0016】
第4の態様のゲート装置において、前記関連付手段は、前記ゲートの通過時の前記通行人の画像を前記追跡するための情報として取得する、という構成が第5の態様として採用されてもよい。
【0017】
第5の態様のゲート装置によれば、ゲートを通過した後、特定の手荷物を運ぶ通行人の外観が特定される。
【0018】
また、本発明は、ゲートを通過する通行人と探知装置により内容物を探知される手荷物とを関連付ける関連付手段を備え、前記関連付手段は、前記ゲートの通過時の前記通行人の画像を前記通行人を追跡するための情報として取得し、前記手荷物と前記追跡するための情報とを関連付け、前記ゲートを通過した後に前記通行人が移動可能な空間を監視するために撮像された画像を取得し、前記ゲートの通過時の前記通行人の画像と前記監視するために撮像された画像とを解析し、当該解析の結果に基づき前記通行人の位置を特定する位置特定手段を備えるゲート装置を、第6の態様として提供する
【0019】
第6の態様の送受信装置によれば、ゲートを通過する通行人の手荷物の内容物を探知することができる。また、ゲートを通過した後、特定の手荷物を運ぶ通行人を追跡することができる。また、ゲートを通過した後、特定の手荷物を運ぶ通行人の外観が特定される。また、特定の手荷物に関連付けられた通行人の位置を特定することができる。
【0020】
第6の態様のゲート装置において、前記探知装置により探知された前記内容物の情報を取得し、前記内容物の情報に基づき前記通行人の位置の特定の要否を判定する位置特定要否判定手段を備え、前記位置特定手段は、前記位置特定要否判定手段による判定の結果に基づき、前記通行人の位置の特定を継続または停止する、という構成が第7の態様として採用されてもよい。
【0021】
第7の態様のゲート装置によれば、通行人に対する不要な追跡のための処理を減らすことができる。
【0022】
第4乃至第7のいずれかの態様のゲート装置において、前記関連付手段は、前記通行人の通行券から読み取られた情報を前記追跡するための情報として取得する、という構成が第8の態様として採用されてもよい。
【0023】
第8の態様のゲート装置によれば、通行券から読み取られた情報により通行人を追跡することができる。
【0024】
また、本発明は、ゲートを通過する通行人と探知装置により内容物を探知される手荷物とを関連付ける関連付手段を備え、前記関連付手段は、距離画像センサにより生成される距離画像に基づき前記手荷物および前記通行人の位置を特定し、当該特定した前記手荷物および前記通行人の位置を用いて、前記手荷物が所定位置に置かれた時期または所定位置を通過した時期と、前記通行人が所定位置にいた時期または所定位置を通過した時期とに基づき、前記関連付けを行うゲート装置を、第9の態様として提供する
【0025】
第9の態様のゲート装置によれば、ゲートを通過する通行人の手荷物の内容物を探知することができる。また、内容物を探知した手荷物がどの通行人のものであるかを比較的簡易に特定することができる。また、距離画像センサにより生成される距離画像を取得することにより、通行人と手荷物の関連付けが行われる。
【0028】
また、本発明は、ゲートを通過する通行人と探知装置により内容物を探知される手荷物とを関連付ける関連付手段と、前記通行人の移動速度を特定し、前記探知装置へ前記手荷物を搬送する搬送装置に対し、当該特定した前記通行人の移動速度に応じた速度で前記手荷物を搬送するように指示する搬送指示手段を備えるゲート装置を、第1の態様として提供する
【0029】
第1の態様のゲート装置によれば、ゲートを通過する通行人の手荷物の内容物を探知することができる。また、探知装置で内容物が探知される手荷物が通行人から遠く離れてしまう不都合が回避される。
【0030】
第1の態様のゲート装置において、前記搬送指示手段は、距離画像センサにより生成される距離画像に基づき前記通行人の移動速度を特定する、という構成が第1の態様として採用されてもよい。
【0031】
第1の態様のゲート装置によれば、距離画像センサにより生成される距離画像を取得することにより、探知装置で内容物が探知される手荷物が通行人から遠く離れてしまう不都合が回避される。
【0032】
第1又は第2又は第6又は第7又は第8の態様のゲート装置において、距離画像センサにより生成される距離画像に基づき前記手荷物のサイズを特定し、当該特定した前記手荷物のサイズが所定のサイズより大きい場合、前記探知装置へ前記手荷物を搬送する搬送装置に対し前記手荷物の搬送の停止を指示する搬送指示手段を備える、という構成が第1の態様として採用されてもよい。
【0033】
第1の態様のゲート装置によれば、距離画像センサにより生成される距離画像を取得することにより、探知装置で内容物が探知できるサイズより大きい手荷物が探知装置へと搬送されてしまう不都合が回避される。
【0034】
また、本発明は、ゲートを通過する通行人と探知装置により内容物を探知される手荷物とを関連付ける関連付手段と、離画像センサにより生成される距離画像に基づき、前記通行人の身体の位置を特定し、当該特定した前記身体の位置が所定の領域内にある場合、前記探知装置へ前記手荷物を搬送する搬送装置に対し前記手荷物の搬送の停止を指示する搬送指示手段を備えるゲート装置を、第1の態様として提供する。
【0035】
第1の態様のゲート装置によれば、ゲートを通過する通行人の手荷物の内容物を探知することができる。また、距離画像センサにより生成される距離画像を取得することにより、通行人が探知装置へと搬送される手荷物に手を伸ばしたような場合、手荷物を握った通行人の手が誤って探知装置へと入ってしまう危険が低減される。
【0036】
また、本発明は、ゲートを通過する通行人と探知装置により内容物を探知される手荷物とを関連付ける関連付手段と、手荷物の搬送方向における上流側の搬送手段と下流側の搬送手段とを備え、先行する通行人が前記ゲートを通過した後、前記下流側の搬送手段から全ての手荷物が除去されるまでの間、前記下流側の搬送手段は手荷物の搬送を行わず、前記上流側の搬送手段は手荷物の搬送を行うゲート装置を、第1の態様として提供する
【0037】
第1の態様のゲート装置によれば、ゲートを通過する通行人の手荷物の内容物を探知することができる。また、先行してゲート装置を出た通行人の手荷物が除去されるまで、後続する通行人の手荷物の内容物の探知を進めつつ、その手荷物がゲート装置を出た通行人のところまで搬送されないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】一実施形態に係るセキュリティシステムの主要構成を示す図。
図2】一実施形態に係るゲート装置の外観を示す図。
図3】一実施形態に係るゲート装置の構成を示す図。
図4】一実施形態に係るゲート装置の機能的構成を示す図。
図5】一変形例における上流搬送部と下流搬送部とを示す図。
図6】一変形例に係るセキュリティシステムの主要構成を示す図。
図7】一変形例に係るゲート装置および距離画像センサの外観を示す図。
図8】一変形例に係る距離画像センサにより生成される距離画像データを説明するための図。
図9】一変形例に係る距離画像センサにより生成される距離画像データを説明するための図。
図10】一変形例に係るゲート装置の構成を示す図。
図11】一変形例に係るゲート装置の機能的構成を示す図。
図12】一変形例に係る位置特定部が手荷物および通行人の位置を特定する方法を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0039】
1.実施形態
1−1.セキュリティシステムの全体構成
以下、本発明の一実施形態に係るセキュリティシステム9を説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るセキュリティシステム9の主要構成を示す図である。セキュリティシステム9は、ゲート装置1と監視装置2とを有する。
【0040】
本実施形態において、ゲート装置1は駅の改札に配置され、場外空間Lから駅ホーム等の場内空間Hへ向かい通行する通行人P(鉄道の乗客等)の通行をゲートGの開閉により許可および規制する。なお、通行人Pは手荷物Jを1以上、所持している場合がある。図1においては、例として、1つの手荷物Jを所持する通行人Pが場外空間LからゲートGを通過して場内空間Hへと移動する様子を示している。
【0041】
監視装置2は、制御部21、記憶部22、および複数のカメラ23を有する。複数のカメラ23は各々、場内空間Hの異なる場所を継続的に撮像する。制御部21は、複数のカメラ23の撮像により得られた画像(動画や静止画)を撮像場所、撮像時刻等の情報と対応付けて順次、記憶部22に記憶させる。場内空間Hを移動する通行人Pは、常時、いずれかのカメラ23により撮像される。
【0042】
1−2.ゲート装置の構成
図2は、ゲート装置1の外観を示す図である。また、図3は、ゲート装置1の構成を示す図である。ゲート装置1は、制御部11、通行券リーダライタ12、開閉部13、撮像部14、人感センサ15、探知部16、および搬送部17を有する。
【0043】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)などの演算装置と、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)などの不揮発性メモリ、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)などの記憶装置とを備えており、ROMなどに記憶されているプログラムを実行する。制御部11は、上記プログラムを実行することで、ゲート装置1の各部を制御する。
【0044】
ゲートGは、例えば、各々が鉛直方向の軸周りに回動可能に支持される2枚の板状部材である。
【0045】
開閉部13は、モータや歯車などの駆動機構を有しており、制御部11の指示に応じて駆動機構によってゲートGの2枚の板状部材を回動させることで、ゲートGの開閉を行う。
【0046】
撮像部14は、CCD(Charge-Coupled Device)イメージセンサやCMOS(Complementary metal-oxide semiconductor)イメージセンサなどの撮像素子を有し、ゲートGを通過する通行人Pを撮像した画像を生成する。通行人Pの画像は制御部11に送られる。
【0047】
手荷物Jを所持した通行人Pが搬送部17の搬送路上に手荷物Jを載せると、搬送部17は、場外空間Lから場内空間Hに向かう方向D1に、手荷物Jを手荷物受取エリアRまで搬送する。手荷物Jが搬送部17に搬送される間に手荷物Jは探知部16の近傍を通過し、その際、探知部16による手荷物Jの内容物の探知が行われる。
【0048】
通行人Pは、手荷物Jを搬送部17の搬送路上に載せて手荷物Jを手放した後、所持している通行券T(図2において図示せず)に記憶されている情報を通行券リーダライタ12に読み取らせる。本実施形態において、通行券Tは非接触ICカードまたは磁気券であり、通行券リーダライタ12は非接触ICカードおよび磁気券に対する情報の読み書きを行う装置である。通行券Tに記憶されている情報には、乗車券情報、指定席情報などが含まれる。また、通行券Tが非接触ICカードである場合、通行券Tに記憶されている情報にはチャージ残額、利用履歴などが含まれる。制御部11は、通行券Tから通行券リーダライタ12により読み取られた情報に基づき、通行人がゲートGを通過してよいか否かを判定する。
【0049】
人感センサ15は、人の存在を検知するセンサであり、例えば赤外線センサである。人感センサ15は、ゲートGよりも場外空間L側に配置されており、ゲートGの通過前の通行人Pの通過を検知する。人感センサ15は通行人Pの通過を検知すると、検知信号を制御部11に送る。
【0050】
探知部16は、手荷物Jに対し電磁波を照射し、手荷物Jを透過した電磁波の強度に応じた濃淡により描かれる画像を生成する。探知部16が手荷物Jに照射する電磁波は、手荷物Jを透過するが手荷物Jの内容物の物質に応じて透過率が異なる周波数帯域の電磁波であり、例えばX線である。
【0051】
また、探知部16は、電磁波の照射により生成した画像を既知の画像解析手法により解析し、内容物Cに含まれる物の種別を形状のパターンマッチング等により推定する。
【0052】
さらに、探知部16は、推定した内容物Cに含まれる物の種別に応じて、内容物Cを探知した手荷物Jを、例えば、(ケース1)危険物、(ケース2)危険物の可能性あり、(ケース3)非危険物、の三通りに分類する。ケース1は、例えば内容物Cに大型ナイフや拳銃等が含まれると推定された場合である。ケース2は、ケース1には該当しないが、例えば内容物Cに多量の液体が含まれると推定された場合や、内容物Cに含まれる物の種別の推定が未完了である場合である。ケース3は、ケース1およびケース2のいずれにも該当しない場合である。探知部16は、分類の結果を制御部11に送る。
【0053】
なお、探知部16により生成される画像、探知部16により推定される内容物Cに含まれる物の種別、探知部16による手荷物Jの分類の結果は、いずれも、探知装置により探知された手荷物の内容物の情報の一例である。
【0054】
制御部11は、通行券Tから通行券リーダライタ12により読み取られた情報に基づく通行人PによるゲートGの通過の可否判定に加え、探知部16から送られてくる手荷物Jの分類結果に基づき、通行人PによるゲートGの通過の可否判定を行う。
【0055】
制御部11は、通行券Tから読み取られた情報に基づく通過の可否判定において、通行人PによるゲートGの通過を不可と判定した場合、開閉部13に指示してゲートGを閉鎖させる。
【0056】
制御部11は、通行券Tから読み取られた情報に基づく通過の可否判定において、通行人PによるゲートGの通過を可と判定した場合、続いて、探知部16による手荷物Jの分類結果に応じて、以下の制御を行う。
【0057】
手荷物Jの分類結果がケース1の場合、すなわち内容物Cに危険物が含まれる可能性が高いと判定された場合、制御部11は、開閉部13に指示してゲートGを閉鎖させるとともに、搬送部17に指示して手荷物Jを逆走、つまり方向D1の逆方向に搬送させる。この場合、通行人Pはゲート装置1から出て、搬送部17の搬送路の上流側の位置まで逆送された手荷物Jを持ち、例えば駅係員のいる窓口に行って、駅係員による手荷物Jの検査を受けることになる。
【0058】
探知部16の分類結果がケース2の場合、すなわち内容物Cに危険物が含まれる可能性があると判定された場合、制御部11は、開閉部13に指示してゲートGを開放させるとともに、撮像部14に指示して通行人Pを撮像させ、当該撮像により生成された通行人Pの画像と、探知部16により探知された手荷物Jの内容物Cの情報(例えば、探知部16により電磁波で撮像された画像、探知部16により推定された内容物Cに含まれる物の種別、および探知部16により特定された手荷物Jの分類結果)とを関連付けて、例えば不揮発性メモリに記憶する。
【0059】
探知部16の分類結果がケース3の場合、すなわち内容物Cに危険物が含まれないと判定された場合、制御部11は、開閉部13に指示してゲートGを開放させる。
【0060】
ゲートGが開放された場合、通行人Pは、手荷物受取エリアRに到達した手荷物Jを取り上げてゲートGを通過し、場内空間Hに入る。
【0061】
1−3.ゲート装置の機能的構成
図4は、ゲート装置1の機能的構成を示す図である。制御部11は、上述のプログラムを実行することにより、関連付部111、通過可否判定部112、位置特定部113、および位置特定要否判定部114として機能する。
【0062】
関連付部111は、手荷物Jが所定位置に置かれた時期または所定位置を通過した時期と、通行人Pが所定位置を通過した時期とに基づき、ゲートGを通過する通行人Pと、探知部16により内容物Cを探知される手荷物Jとを関連付ける。
【0063】
具体的には、関連付部111は、手荷物Jが探知部16を通過したタイミングの直後に、人感センサ15によって通行人Pの身体が検知されると、この手荷物Jと通行人Pとを対応付け、当該対応付けの内容を示す対応情報を生成する。対応情報とは、例えば、ゲート装置1が起動してから何番目に探知部16により内容物Cを探知された手荷物Jと、何番目に人感センサ15により検知された通行人Pとが対応するか、を示す情報である。
【0064】
また、関連付部111は、探知部16による手荷物Jの分類結果がケース2であった場合、通行人Pを追跡するための情報を取得し、手荷物Jと、通行人Pを追跡するための情報とを関連付ける。具体的には、関連付部111は通行人Pを追跡するための情報として、ゲートGの通過時の通行人Pの画像を撮像部14から取得し、通行人Pおよび手荷物Jの対応情報に通行人Pの画像を追加する。
【0065】
また、関連付部111は、通行人Pを追跡するための情報として、通行人Pの通行券Tから通行券リーダライタ12により読み取られた情報を取得する。通行券Tから読み取られた情報には、例えば通行人Pが乗車する車両や指定席の情報が含まれる。関連付部111は、通行券Tから読み取られた情報を、通行人Pおよび手荷物Jの対応情報に追加する。
【0066】
通過可否判定部112は、探知部16により探知された内容物Cの情報を取得し、この内容物Cの情報に基づき通行人PのゲートGの通過の可否を判定する。通過可否判定部112は、例えば上述した通り、通行券Tから読み取られた情報に基づく通過の可否判定と、探知部16の分類結果に基づく通過の可否判定を行い、それらの可否判定の結果が両方とも通行人PがゲートGを通過してよい、という結果である場合に限り、通行人PがゲートGを通過してよい、と判定する。
【0067】
位置特定部113は、ゲートGを通過した後に通行人Pが移動可能な空間、すなわち場内空間Hを監視するために、複数のカメラ23によって撮像された画像を、監視装置2から継続的に取得している。位置特定部113は、探知部16による手荷物Jの分類結果がケース2であった場合、関連付部111から、ゲートGの通過時の通行人Pの画像を取得する。そして、位置特定部113は、ゲートGの通過時の通行人Pの画像と、場内空間Hの監視用の画像とを解析し、それらの解析の結果に基づき通行人Pの位置を特定する。
【0068】
具体的には、位置特定部113は、ゲートGの通過時の通行人Pの画像を解析し、通行人Pの手、足、顔等の位置や大きさ、通行人Pの目、鼻、口等の位置、通行人Pの衣服の色や形状等を特定する。以下、位置特定部113により特定されるこれらの情報を「特徴情報」という。続いて、位置特定部113は、通行人PのゲートGの通過直後にゲート装置1に最も近い位置のカメラ23により撮像された画像を解析して、当該画像のなかから、通行人Pの特徴情報と一致または類似する特徴情報を有する画像を探索する。位置特定部113は、探索に用いた画像を撮像したカメラ23の撮像方向と、当該画像における探索された通行人Pの画像の位置とに基づき、ゲートGの通過直後の通行人Pの位置を特定する。その後、位置特定部113は、監視装置2から順次取得する画像のなかから通行人Pの特徴情報と一致または類似する特徴情報を有する画像を探索する処理を繰り返すことで、通行人Pの位置の特定を継続する。
【0069】
位置特定要否判定部114は、探知部16により探知された内容物Cの情報を取得し、この内容物Cの情報に基づき通行人Pの位置の特定の要否を判定する。位置特定部113は、位置特定要否判定部114による判定の結果に基づき、通行人Pの位置の特定を継続または停止する。
【0070】
例えば、上述した通り、探知部16による手荷物Jの分類結果がケース2であった場合、位置特定部113は通行人Pの位置特定の処理を継続的に行う。ケース2には、探知部16により手荷物Jの内容物Cに含まれる物の種別の推定が未完了である場合も含まれる。すなわち、電磁波により撮像された手荷物Jの画像の解析に時間を要する場合、探知部16は手荷物Jをケース2に分類する。その場合、ゲートGは開放され、通行人Pの位置が位置特定部113により継続的に特定されることになる。
【0071】
その後、探知部16により手荷物Jの分類結果がケース3と判定された場合、すなわち、手荷物Jは危険物を含んでいない、と判定された場合、位置特定要否判定部114は、この探知部16による判定の結果に基づき、通行人Pの位置特定の処理は不要、と判定する。この場合、位置特定部113は、位置特定要否判定部114の判定に従い、通行人Pの位置の特定を停止する。
【0072】
一方、探知部16により手荷物Jの分類結果がケース1と判定された場合、すなわち、手荷物Jは危険物を含んでいる、と判定された場合、位置特定要否判定部114は、この探知部16による判定の結果に基づき、通行人Pの位置特定の処理は必要、と判定する。この場合、位置特定部113は、位置特定要否判定部114の判定に従い、通行人Pの位置の特定を継続する。
【0073】
上述したセキュリティシステム9によれば、ゲート装置1を通過する通行人のスループットをあまり低減させることなく、通行人が所持する手荷物の内容物の探知が可能となる。そして、通行人がゲートGを通過する前に手荷物に危険物が含まれる、と判定された場合には、ゲートGが閉鎖されることで、危険物の場内空間Hへの持ち込みが防止される。
【0074】
また、手荷物に危険物が含まれるか否かの判定が困難な場合は、通行人は場内空間Hへの移動を規制されることはないが、当該通行人の場内空間Hにおける位置が継続的に特定されるため、駅係員等は必要に応じて当該通行人の挙動を監視することができ、問題発生の防止および問題発生時の迅速な対応が可能となる。
【0075】
以上の実施形態で説明された構成、形状、大きさおよび配置関係については本発明が理解・実施できる程度に概略的に示したものにすぎない。従って本発明は、説明された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示される技術的思想の範囲を逸脱しない限り様々な形態に変更することができる。
【0076】
2.変形例
上述の実施形態は様々に変形され得る。以下に、それらの変形の例を示す。なお、以下に示す2以上の変形例が適宜組み合わされてもよい。
【0077】
2−1.変形例1
上述した実施形態において、搬送部17は通行人Pが手荷物Jを置いた位置から手荷物受取エリアRまで手荷物Jを搬送する1つの搬送装置で構成されている。これに代えて、ゲート装置1が備える搬送部17が、例えば、手荷物Jの搬送方向における上流側に設置された上流搬送部17aと、その下流側に設置された下流搬送部17bとを有していてもよい。この場合、上流搬送部17aと下流搬送部17bとは制御部11の指示に従い、互いに独立して手荷物Jの搬送動作を行うことができる。
【0078】
図5は、この変形例における上流搬送部17aと下流搬送部17bとを示す図である。図5に示されるように、上流搬送部17aは場外空間Lに配置され、下流搬送部17bは場内空間Hに配置されている。上流搬送部17aは、手荷物Jを方向D1aに搬送して探知部16を通過させる。
【0079】
下流搬送部17bは、探知部16により内容物Cの探知が行われた後の手荷物Jを上流搬送部17aから受け取って、さらに方向D1b(方向D1aと同じでもよい)に搬送し手荷物受取エリアRまで到達させる。以下、手荷物J1を所持する通行人P1がゲート装置1を通過した後、手荷物J2を所持する通行人P2がゲート装置1を通過しようとする場合を例に、この変形例における搬送部17の動作を説明する。
【0080】
制御部11は、通行人P1が上流搬送部17aの搬送路上に手荷物J1を置いた後、手荷物J1が手荷物受取エリアRに到達するまでの間、上流搬送部17aに手荷物J1を方向D1aに搬送するように指示するとともに、下流搬送部17bに手荷物J1を方向D1bに搬送するように指示する。制御部11の指示に従い上流搬送部17aと下流搬送部17bが動作する結果、手荷物J1は通行人P1がゲートGを通過するのを待つことなく、手荷物受取エリアRに到達する。
【0081】
その後、制御部11が通行人P1によるゲートGの通過の可否判定において、通過が不可であると判定した場合、制御部11は開閉部13にゲートGの閉鎖を指示するとともに、上流搬送部17aおよび下流搬送部17bに手荷物J1の逆送を指示する。制御部11の指示に従い上流搬送部17aと下流搬送部17bが動作する結果、手荷物J1は上流搬送部17aの搬送路上の通行人P1が最初に手荷物J1を置いた場所まで戻される。この場合、通行人P1は手荷物J1を取り上げ、例えば、駅の窓口に行って駅係員等による手荷物J1の検査を受けることになる。
【0082】
一方、制御部11が通行人P1によるゲートGの通過の可否判定において、通過が可能であると判定した場合、制御部11は開閉部13にゲートGの開放を指示する。その後、通行人P2が上流搬送部17aの搬送路上に手荷物J2を置くと、制御部11は上流搬送部17aに手荷物J2の方向D1aへの搬送を開始するように指示するとともに、通行人P1が手荷物J1を取り上げ、下流搬送部17bから全ての手荷物が除去されているか否かを判定する。制御部11は、下流搬送部17bから全ての手荷物が除去されるまでの間、下流搬送部17bに搬送を開始させない。その後、通行人P1が手荷物J1を取り上げ、下流搬送部17bから全ての手荷物が除去されると、制御部11は下流搬送部17bに手荷物J2の方向D1bへの搬送の開始を指示する。その結果、通行人P2の手荷物J2が、手荷物受取エリアRまで搬送される。
【0083】
この変形例においては、先行する通行人P1がゲートGを通過した後、手荷物J1を取り上げるまでの間、探知部16による後続する通行人P2の手荷物J2の探知を行うことができるが、通行人P2の手荷物J2は手荷物受取エリアRまで到達しないため、通行人P1の手荷物と通行人P2の手荷物が混ざることがない。
【0084】
2−2.変形例2
上述した実施形態において、内容物Cの情報に基づく通行人PのゲートGの通過の可否は、制御部11の通過可否判定部112により行われる。これに代えて、制御部11以外の構成が通行人PのゲートGの通過の可否を判定してもよい。例えば、制御部11は、探知部16により探知された内容物Cの情報を外部のサーバ装置に送信して、当該サーバ装置による判定結果を当該サーバ装置から受け取ってもよい。
【0085】
2−3.変形例3
上述した実施形態において、関連付部111は、通行人Pを追跡するための情報として、ゲートGの通過時の通行人Pの画像と、通行人Pが所持する通行券Tから読み取られた情報とを取得する。関連付部111が取得する通行人Pを追跡するための情報の種別はこれらに限られない。例えば、ゲート装置1が、ゲートGの通過時に通行人Pが発した音声などを録音する録音部を有し、関連付部111が録音部から通行人Pの音声を示す音声情報を取得してもよい。
【0086】
2−4.変形例4
上述した実施形態において、関連付部111は、手荷物Jが所定位置を通過した時期と、通行人Pが所定位置を通過した時期とに基づき手荷物Jと通行人Pとの関連付けを行う。これらに代えて、関連付部111が、手荷物Jが所定位置に置かれた時期と、通行人Pが所定位置にいた時期とに基づき対応情報を生成してもよい。例えば、搬送部17は、手荷物Jが置かれる部分に重量センサを有しており、手荷物Jがその部分に置かれると、重量センサにより手荷物Jが置かれたことを検知し、手荷物Jを搬送してもよい。また、通行人Pが手荷物Jを搬送路上においた後、ゲートGに向かうまでの経路の床に複数の重量センサを設け、これらの重量センサにより計測される重量に基づき、手荷物Jが搬送路上に置かれた時点における通行人Pの位置が特定されてもよい。この場合、関連付部111は、搬送部17が重量センサにより手荷物Jを検知した時期と、床に配置された重量センサが通行人Pの重量を計測した時期とに基づき、手荷物Jと通行人Pの関連付けを行う構成が採用されてもよい。
【0087】
また、関連付部111は、場外空間Lにおいて手荷物Jを所持する通行人Pを継続して撮像して得られる一連の画像を解析することにより、通行人Pの手から手荷物Jが離れたことを特定することで、通行人Pと手荷物Jとを関連付けてもよい。
【0088】
2−5.変形例5
本発明に係るセキュリティシステムが距離画像センサを備え、ゲート装置が距離画像センサにより生成される距離画像に基づき、セキュリティシステムの利便性または安全性を高める処理を行う構成が採用されてもよい。
【0089】
図6は、本変形例に係るセキュリティシステム109の主要構成を示した図である。図6において、セキュリティシステム109が上述した実施形態に係るセキュリティシステム9と共通して備える構成部にはセキュリティシステム9が備える構成部の符号と同じ符号が付されている。セキュリティシステム109は、セキュリティシステム9が備えるゲート装置1に代えて、ゲート装置101を備える。
【0090】
また、セキュリティシステム109は、セキュリティシステム9が備えない距離画像センサ3を備える。図7はゲート装置101と距離画像センサ3の外観を示した図である。距離画像センサ3は、ゲート装置101の上(例えば、ゲート装置101が配置されている空間の天井の下面等)に取り付けられており、図6に示す領域Sにおける距離画像を表す距離画像データを生成する。
【0091】
図8は距離画像センサ3により生成される距離画像データを説明するための図である。図8の例において、領域A1には高さがM1の物体K1と、高さがM2の物体K2が配置されている。物体K2は物体K1の上に載せられているため、床から物体K2の上面までの高さは(M1+M2)である。距離画像センサ3は床からの高さがM0の位置に設置されている。
【0092】
距離画像センサ3が生成する距離画像データは、通常の画像データと同様に、二次元平面上に配置された画素データの集まりである。ただし、通常の画像データの画素データが1色または3原色の各々の濃淡を示すのに対し、距離画像データの画素データは距離画像センサ3の位置から、画素に応じた位置にある対象物の表面の位置までの距離(距離画像センサ3から見た奥行き)を示す。
【0093】
図8の状態で距離画像センサ3が生成する距離画像データは図9に示すようなデータとなる。図9に示される領域B1内の画素に応じた画素データは、距離画像センサ3の高さから床までの距離であるH0を示す。また、領域B2内の画素に応じた画素データは、距離画像センサ3の高さから物体K1の上面までの距離である(M0−M1)を示す。また、領域B3内の画素に応じた画素データは、距離画像センサ3の高さから物体K2の上面までの距離である(M0−M1−M2)を示す。このように、距離画像データは、距離画像センサ3から見た領域A1内の物体の立体形状を示す。
【0094】
距離画像センサ3は、例えば、画素の各々に応じた位置から対象物に向かい照射したレーザが対象物に反射して照射した位置まで戻ってくるまでの時間を測定し、測定した時間に基づき、対象物の各画素に応じた位置における奥行きを特定する、TOF(Time Of Flight)方式により距離画像データの生成を行う。ただし、距離画像センサ3において採用される距離画像データの生成の方式はTOF方式に限られず、面積復調方式等の他のいずれの方式が採用されてもよい。
【0095】
図10は、ゲート装置101の構成と、ゲート装置101に接続される装置を示す図である。図10において、ゲート装置101が備える構成部のうちゲート装置1が備える構成部(図3参照)と共通するものには、ゲート装置1における符号と同じ符号が付されている。図10に示されるように、ゲート装置101は、ゲート装置1の制御部11に代えて、制御部1011を備える。距離画像センサ3は制御部1011に接続されており、制御部1011は距離画像センサ3により生成される距離画像データを取得する。
【0096】
図11は、制御部1011の機能構成を示した図である。制御部1011が備える機能構成部のうち、ゲート装置1の制御部11が備える機能構成部(図4参照)と共通するものには、制御部11における符号と同じ符号が付されている。
【0097】
制御部1011は、制御部11が備える関連付部111に代えて、関連付部10111を備える。また、制御部1011は、制御部11が備える通過可否判定部112に代えて、通過可否判定部10112を備える。また、制御部1011は、制御部11が備えない動作指示部10115(搬送指示手段の一例)を備える。
【0098】
関連付部10111は、距離画像センサ3が生成する距離画像データが示す距離画像に基づき手荷物および通行人の位置を特定し、特定した手荷物および通行人の位置を用いてそれらの手荷物と通行人の関連付けを行う。そのため、関連付部10111は手荷物および通行人の位置を特定する位置特定部1111を備える。
【0099】
図12は位置特定部1111が手荷物および通行人の位置を特定する方法を説明するための図である。なお、位置特定部1111が特定する手荷物および通行人の位置とは、手荷物および通行人が占める三次元空間内の領域を意味する。図12には、手荷物を手に持った通行人が領域Sにいる場合に、距離画像センサ3が生成する距離画像データが表す距離画像を例示している。位置特定部1111は、距離画像センサ3により生成された距離画像データが表す距離画像のなかから、一般的な人物の距離画像を示す参照用の距離画像との間の類似度が所定の閾値以上の部分を通行人が占める領域として特定する。
【0100】
続いて、位置特定部1111は特定した通行人が占める領域のうち、垂直方向の最も高い位置で球体に近い形状を示す部分を通行人の頭部が占める領域として特定する。続いて、位置特定部1111は、水平方向において頭部の中心位置から距離E1より離れており、かつ、距離E2(ただし、E2>E1)より近い位置で、高さが大きく変化せず、頭部と概ね同じ速度で移動する領域を手荷物が占める領域として特定する。
【0101】
関連付部10111は、位置特定部1111により継続して特定される通行人および手荷物の領域を監視し、手荷物の領域が搬送部17の搬送路上で通行人の領域から分離したことを検知すると、それらの分離した領域の各々を占める通行人と手荷物を互いに関連付ける。
【0102】
通過可否判定部10112は、距離画像センサ3が生成する距離画像データが示す距離画像に基づき手荷物の位置を特定し、特定した手荷物の位置に基づき、通行人のゲートGの通過の可否を判定する。そのため、通過可否判定部10112は位置特定部1111と同様の処理を行う位置特定部1121を備える。
【0103】
通過可否判定部10112は、位置特定部1121により継続して特定される通行人および手荷物の領域を監視し、手荷物の領域が搬送部17の搬送路上ではなく、図6に示される通行人の通路上のラインFを通過したことを検知すると、その手荷物の領域とともに移動している通行人の通行が許可されない、と判定する。その場合、通過可否判定部10112は開閉部13にゲートGの閉鎖を指示する。その結果、手荷物が探知部16による探知を受けることなくゲートGを通過することが防止される。
【0104】
動作指示部10115は、距離画像センサ3が生成する距離画像データを用いて、探知部16および搬送部17に対し動作指示を行う。
【0105】
より具体的には、動作指示部10115は、通行人の移動速度に応じた速度で当該通行人の手荷物を搬送するように搬送部17に指示する。また、動作指示部10115は、搬送部17により探知部16へと搬送される手荷物のサイズが所定のサイズより大きい場合、搬送部17に対し搬送動作の停止を指示する。また、動作指示部10115は、通行人の身体の一部が、探知部16に上流側から隣接する所定の領域内に入ったことを検知すると、搬送部17に対し手荷物の搬送動作の停止を指示すると同時に、探知部16に対し探知動作の停止を指示する。
【0106】
上述した探知部16および搬送部17に対する動作指示を行うために、動作指示部10115は位置特定部1111と同様の処理を行う位置特定部1151と、通行人の移動速度を特定する移動速度特定部1152を備える。
【0107】
例えば、位置特定部1151により、時刻t1における通行人の位置が図6に示される位置Aであり、時刻t2における当該通行人の位置が図6に示される位置Bであると特定された場合、移動速度特定部1152は位置Aから位置Bまでの距離を、時刻t1から時刻t2までの時間で除して、当該通行人の移動速度を特定する。
【0108】
動作指示部10115は、位置特定部1151により継続して特定している通行人の位置が、例えば図6に示される位置Bに達したタイミングで、搬送部17に対し、移動速度特定部1152により特定した通行人の移動速度で手荷物を搬送するように指示する。搬送部17は動作指示部10115の指示に従い搬送動作を行う。
【0109】
その結果、通行人が手荷物を搬送部17の搬送路上に置いた後、それまでの移動速度と概ね同じ移動速度でゲートGへ向かうと、手荷物が通行人から離れていくことがない。従って、手荷物が通行人より早くゲートGの近くまで搬送されてしまい、通行人が手荷物の近くに到達する前に、他人によって手荷物が持ち去られる、といった危険が生じない。
【0110】
また、動作指示部10115は、位置特定部1151により特定している手荷物の領域が搬送部17の搬送路上において通行人の領域から分離されると、手荷物の領域のサイズが、探知部16を通過可能な所定の最大サイズより大きいか否かを判定する。手荷物の領域のサイズが最大サイズより大きいと判定した場合、動作指示部10115は搬送部17に搬送動作の停止を指示する。搬送部17は動作指示部10115からの指示に従い搬送動作を停止する。その結果、探知部16を通過できないサイズの手荷物が探知部16へと搬送される不都合が回避される。
【0111】
なお、位置特定部1151は、手荷物の水平方向のサイズ(縦および横の長さ)に加え、垂直方向のサイズ(高さ)も特定することができる。従って、搬送路上に置かれた手荷物のサイズが高さ方向において最大サイズを超過している場合も、当該手荷物が探知部16に向かい搬送されることはない。
【0112】
また、動作指示部10115は、図6および図7において領域Qで示される空間に、位置特定部1151により継続的に特定している通行人の領域の一部が入らないかを監視している。領域Qに通行人の領域の一部が入る場合とは、例えば、通行人が搬送路上に手荷物を置いた後、その手荷物から取り出すべき物があることに気付き、探知部16に向かって搬送されている手荷物に手を伸ばすような場合である。
【0113】
動作指示部10115は、領域Qに通行人の領域の一部が入ったことを検知すると、探知部16に探知動作の停止を指示すると同時に、搬送部17に搬送動作の停止を指示する。探知部16が、例えばX線等の身体に有害な電磁波により手荷物を探知する場合、探知部16の中またはその入口付近に通行人の身体が近付くと、通行人が有害な電磁波の照射を受ける危険がある。ゲート装置101においては、探知部16の中またはその入口付近に通行人の身体が近付く前に探知部16の探知動作が停止するため、通行人が有害な電磁波の照射を受ける危険がない。また、通行人は領域Qに手を差し出すことで、手荷物の搬送を停止させ、手荷物を追いかけることなく取り上げることができる。
【0114】
なお、上述したゲート装置101が備える制御部1011は距離画像センサ3が生成する距離画像データに基づき通行人の位置を特定することができる。従って、ゲート装置101は人感センサ15を備えなくてもよい。
【0115】
また、上述した動作指示部10115が備える移動速度特定部1152は、位置特定部1151が距離画像データに基づき特定した通行人の領域の移動速度を算出する。移動速度特定部1152が通行人の移動速度を特定する方法はこれに限られない。例えば、セキュリティシステム109がゲート装置101に向かう通行人の経路上の2つの通過点に配置された人感センサを備え、移動速度特定部1152がそれらの人感センサによる検知結果に基づき、通行人の移動速度を特定する構成が採用されてもよい。この場合、移動速度特定部1152は、2つの人感センサの間の距離を、上流側の人感センサによる通行人の検知タイミングから、下流側の人感センサによる通行人の検知タイミングまでの時間で除すことにより、通行人の移動速度を特定する。
【0116】
なお、上述した制御部1011の各構成部が行う具体的な処理は一例であって、様々に変形可能である。例えば、制御部1011が距離画像に基づき手荷物の位置を特定する方法は、図12を用いて説明した方法に限られず、例えば、通行人の手の領域を特定し、特定した手の領域の先端部に連結される物体の領域を手荷物の領域として特定する方法などの様々な方法が採用可能である。
【0117】
2−6.その他の変形例
上述した実施形態において、セキュリティシステム9は駅の改札に配置されるものとした。セキュリティシステム9の配置場所は駅の改札に限らず、イベント会場の出入口、オフィスビルの出入口等、様々な場所に配置可能である。
【0118】
また、上述した実施形態において、制御部11はCPU(汎用のプロセッサ)を備え、プログラムに従った処理を行う。これに代えて、制御部11が専用のプロセッサにより構成されてもよい。
【0119】
また、上述した実施形態において、通行券Tは非接触ICカードまたは磁気券であるものとしたが、通行券Tの種別はこれらに限られない。
【0120】
また、上述した実施形態において、探知部16は電磁波により手荷物Jの画像を撮影することにより手荷物Jの内容物Cを探知する。探知部16が手荷物Jを探知する方式は電磁波による画像撮影に限られない。例えば、金属探知機や、揮発物の物質を特定する分析装置等が探知部16として採用されてもよい。
【符号の説明】
【0121】
1…ゲート装置、11…制御部、111…関連付部、112…通過可否判定部、113…位置特定部、114…位置特定要否判定部、12…通行券リーダライタ、13…開閉部、14…撮像部、15…人感センサ、16…探知部、17…搬送部、2…監視装置、21…制御部、22…記憶部、23…カメラ、9…セキュリティシステム、3…距離画像センサ、101…ゲート装置、109…セキュリティシステム、1011…制御部、1111…位置特定部、1121…位置特定部、1151…位置特定部、1152…移動速度特定部、10111…関連付部、10112…通過可否判定部、10115…動作指示部。
図1
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図3
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図5
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図10
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図12