【文献】
渡部武,第3章(2) 会計ソフトを検証してみる! (株)クレオCBMS Ver.2 会計,BackOffice MAGAZINE,日本,CQ出版株式会社,1998年 9月 1日,第2巻,第9号,p.84−92
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は本実施形態により限定されるものではない。
【0016】
[1.概要]
従来のプロジェクト会計管理において実績を集計する場合は、実際のプロジェクト及びそれに付随する集計キーのパターンでのみ可能であって、プロジェクト発生後に任意に集計のパターンを増やすことはできなかった。また、従来の予算設定についても実績を集計する場合と同様であって、任意に予算設定のパターンを増やすことができなかったため、プロジェクトとは別に準備した予算と比較することもできなかった。このように、任意のプロジェクト単位で予算を作成しようとすると、集計したいプロジェクト単位ごとにプログラミングを行うか、もしくは、データ出力後にシステム外でデータを加工する必要があった。このため、これまでは、任意のプロジェクト単位で予算を作成したり、集計を行ったりすることは非常に困難であった。
【0017】
そこで、本実施形態の特徴は、実際のプロジェクトと異なる任意のプロジェクトグループを仮想プロジェクトとし、この仮想プロジェクト単位で予算を作成し、実際のプロジェクトの売上や原価の集計結果と比較することにより、シミュレートした複数のプロジェクトの収支合計や予実合計が容易に確認できるという点にある。これまで、工事業やビル建設などのプロジェクト管理型販売システムでは、実際のプロジェクト毎に収支をとっていた。しかしながら、本実施形態では、実際のプロジェクトとは別に任意のプロジェクト単位での収支がとれるため、種々のプロジェクトをシミュレートすることが可能となり、種々のプロジェクトの収支合計や予実合計を比較しながら適切なプロジェクト設計が行えるようになった。
【0018】
[2.構成]
本実施形態に係るプロジェクト会計管理装置の構成の一例について、
図1を参照して説明する。
図1は、プロジェクト会計管理装置の構成の一例を示すブロック図である。
【0019】
プロジェクト会計管理装置100は、市販のデスクトップ型パーソナルコンピュータである。なお、プロジェクト会計管理装置100は、デスクトップ型パーソナルコンピュータのような据置型情報処理装置に限らず、市販されているノート型パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistants)、スマートフォン、タブレット型パーソナルコンピュータなどの携帯型情報処理装置であってもよい。
【0020】
プロジェクト会計管理装置100は、制御部102と通信インターフェース部104と記憶部106と入出力インターフェース部108と、を備えている。プロジェクト会計管理装置100が備えている各部は、任意の通信路を介して通信可能に接続されている。
【0021】
通信インターフェース部104は、ルータ等の通信装置及び専用線等の有線又は無線の通信回線を介して、プロジェクト会計管理装置100をネットワーク300に通信可能に接続する。通信インターフェース部104は、他の装置と通信回線を介してデータを通信する機能を有する。ここで、ネットワーク300は、プロジェクト会計管理装置100とサーバ200とを相互に通信可能に接続する機能を有し、例えばインターネットやLAN(Local Area Network)等である。
【0022】
記憶部106には、各種のデータベース、テーブル、及びファイルなどが格納される。記憶部106には、OS(Operating System)と協働してCPU(Central Processing Unit)に命令を与えて各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録される。記憶部106として、例えば、RAM(Random Access Memory)・ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスクのような固定ディスク装置、フレキシブルディスク、及び光ディスク等を用いることができる。ここで、記憶部106は、プロジェクトデータファイル106a、条件データファイル106b、仮想プロジェクト明細データファイル106c、予算データファイル106d等を備えている。
【0023】
プロジェクトデータファイル106aは、仮想プロジェクトに紐付けるための実際のプロジェクト(実プロジェクト)と契約明細に関するデータを格納している。これらのデータの格納方法としては、ユーザによる直接入力、あるいは、サーバ200等に格納されている実プロジェクトや契約明細データをネットワーク300及び通信インターフェース部104を介して格納してもよい。
【0024】
プロジェクトの基本構造及び本実施形態に特徴的な仮想プロジェクトの構造については、
図2〜
図4を用いて簡単に説明する。
図2は、プロジェクトの基本構造の一例を示す図である。
図3は、仮想プロジェクトに対してプロジェクトを紐付ける構造の一例を示す図である。
図4は、仮想プロジェクトに対して契約明細を紐付ける構造の一例を示す図である。
【0025】
図2に示すように、プロジェクトの基本構造としては、実際のプロジェクトにいくつかの契約明細が紐付いており、その各契約明細には売上と原価がそれぞれ紐付いて構成されている。
【0026】
これに対し、本実施形態に特徴的な仮想プロジェクトの構造は、
図3に示すように、複数の実プロジェクトを束ねて任意のプロジェクトグループを構成している場合と、
図4に示すように、複数の契約明細を束ねて任意のプロジェクトグループを構成している場合とがある。そして、
図3及び
図4の場合は、
図2と同様に、各契約明細に対してその売上と原価がそれぞれ紐付いて構成されている。
【0027】
再び
図1に戻り、条件データファイル106bは、将来的に発生する実プロジェクトや契約明細の中から仮想プロジェクトに紐付くものを抽出して、仮想プロジェクトを登録する自動実行用の抽出条件を予め格納している(条件登録部102bによる抽出条件登録)。
【0028】
仮想プロジェクト明細データファイル106cは、仮想プロジェクトを登録する際に、仮想プロジェクトに対して複数の実プロジェクトや契約明細が紐付けられて格納されている。例えば、
図16に示すように、仮想プロジェクト明細データは、“KAS00001”という仮想プロジェクトナンバー(仮想PJNO)に対して、グルーピングされた複数のプロジェクトCDが紐付けられて構成され、また、“KAS00002”という仮想プロジェクトナンバー(仮想PJNO)に対して、グルーピングされた複数の契約明細CDが紐付けられて構成されている。売上や原価データは、プロジェクトNOや契約明細NOと紐付くキー(集計キー)を保持しており、各帳票出力時に仮想プロジェクトごとに集計される。
【0029】
予算データファイル106dは、仮想プロジェクト明細データファイル106cに登録されている仮想プロジェクト単位で作成された予算データを格納する。例えば、オペレータは、後述する
図14の予算入力画面で予算作成単位を仮想プロジェクト単位とし、仮想プロジェクトNOを指定して、各年度の原価要素に予定売上額、労務費、外注費、材料費、経費等を入力すると、予算データが作成され、予算データファイル106dに格納される。
【0030】
入出力インターフェース部108には、入力装置112及び出力装置114が接続されている。出力装置114には、モニタ(家庭用テレビを含む)の他、スピーカやプリンタを用いることができる。入力装置112には、キーボード、マウス、及びマイクの他、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタを用いることができる。なお、以下では、出力装置114をモニタ114とし、入力装置112をキーボード112またはマウス112として記載する場合がある。
【0031】
制御部102は、プロジェクト会計管理装置100を統括的に制御するCPU等である。制御部102は、OS等の制御プログラム・各種の処理手順等を規定したプログラム・所要データなどを格納するための内部メモリを有し、格納されているこれらのプログラムに基づいて種々の情報処理を実行する。ここで、制御部102は、機能概念的に、プロジェクト登録手段としてのプロジェクト登録部102aと、条件登録手段としての条件登録部102bと、予算登録手段としての予算登録部102cと、集計処理手段としての集計処理部102dとを備えている。
【0032】
プロジェクト登録部102aは、実際のプロジェクトである実プロジェクト、あるいは、その実プロジェクトや契約明細を複数束ねて任意のプロジェクトグループを設定した仮想プロジェクトの登録処理を行う。プロジェクト登録部102aにより実プロジェクトを登録する場合は、実プロジェクトに紐付く契約明細と、その契約明細に紐付く売上と原価とを入力して登録する。登録された実プロジェクトとそれに紐付く契約明細データは、プロジェクトデータファイル106aに格納される。プロジェクト登録部102aにより仮想プロジェクトを登録する場合は、プロジェクトデータファイル106aに格納された実プロジェクトや契約明細を個別に指定してグルーピングを行い、紐付けすることで任意のプロジェクトグループからなる仮想プロジェクトを登録することができる。また、プロジェクト登録部102aは、後述の条件登録部102bで登録された抽出条件に基づいて仮想プロジェクトに紐付く実プロジェクトや契約明細データを抽出して自動登録することができる。登録された仮想プロジェクトとそれに紐付く実プロジェクトや契約明細データ等は、仮想プロジェクト明細データファイル106cに格納される。
【0033】
条件登録部102bは、仮想プロジェクトを登録する際に、仮想プロジェクトに紐付ける実プロジェクトや契約明細を抽出するための抽出条件を登録する。例えば、条件登録部102bは、将来的に発生する実プロジェクトや契約明細の中から仮想プロジェクトに紐付けるものを自動抽出していく自動実行用の抽出条件を登録する。また、本実施形態に係る条件登録部102bは、これ以外にも、抽出条件を取引先毎あるいは契約毎などを別々に組み合わせて設定してもよい。
【0034】
予算登録部102cは、種々の単位で予算データの作成を行って予算データファイル106dに登録する。例えば、仮想プロジェクト単位で予算データを作成する場合は、
図14に示す予算入力画面を用いて、原価要素(予定売上額、労務費、外注費、材料費、経費等)ごと、年月ごとに予算情報を登録することにより、後述の
図15に示すような予算データを作成することができる。なお、予算作成の単位としては、仮想プロジェクト単位以外に、プロジェクト単位、契約明細単位、ジョブ単位などであってもよい。
【0035】
集計処理部102dは、実プロジェクトの売上と原価を集計して実績データを算出すると共に、帳票出力時に仮想プロジェクトの予算と実プロジェクトの実績データとを取得して複数のプロジェクトの収支合計や予実合計が比較できるように各帳票で集計処理が行われる。このように、集計処理部102dは、各帳票を総称したものである。
【0036】
[3.具体例]
本実施形態の具体例について、
図5から
図19を参照して、本実施形態に係るプロジェクト会計管理装置の集計処理の一例について説明する。
図5は、プロジェクト会計管理装置による仮想プロジェクト登録と集計処理の一例を示すフローチャートである。
図6は、仮想プロジェクトの登録画面の一例を示す図である。
図7は、仮想プロジェクトを新規で登録する場合の登録画面の一例を示す図である。
図8は、仮想プロジェクトを一括登録で登録する場合の登録画面の一例を示す図である。
図9は、仮想プロジェクト登録時における一括登録用の抽出条件の一例を示す図である。
図10は、仮想プロジェクトを条件登録で登録する場合の登録画面の一例を示す図である。
図11は、仮想プロジェクト登録時における自動実行用の抽出条件の一例を示す図である。
図12は、仮想プロジェクトに紐付くグルーピングされた実プロジェクトの一例を示す図である。
図13は、仮想プロジェクトを自動登録する場合の登録画面の一例を示す図である。
図14は、仮想プロジェクトの予算入力画面の一例を示す図である。
図15は、仮想プロジェクトについての予算登録の一例を示す図である。
図16は、仮想プロジェクトのデータ構造の一例を示す図である。
図17は、仮想プロジェクト単位での集計及び予算と実績との比較の一例を示す図である。
図18は、プロジェクト収支表の入力画面の一例を示す図である。
図19は、プロジェクト収支表の出力画面の一例を示す図である。
【0037】
まず、制御部102のプロジェクト登録部102aは、
図5に示すように、仮想プロジェクトを登録するにあたって、以下の3種類の登録方法を選択することができる(ステップSA−1)。
【0038】
例えば、新規に仮想プロジェクトを登録する場合は(ステップSA−1:新規)、仮想プロジェクトに紐付く実プロジェクト(
図3参照)や契約明細(
図4参照)をユーザが個別に指定することで(ステップSA−2)、これと紐付く仮想プロジェクトを登録することができる(ステップSA−6)。
【0039】
また、仮想プロジェクトに紐付ける実プロジェクトや契約明細を既に登録されている実プロジェクトや契約明細の中から抽出して一括登録する場合は、(ステップSA−1:一括登録)、ユーザが一括登録用の抽出条件を入力すると(ステップSA−3:)、この抽出条件に適合した実プロジェクトや契約明細が一括登録され(ステップSA−4)、これと紐付く仮想プロジェクトを登録することができる(ステップSA−6)。
【0040】
また、仮想プロジェクトに紐付ける実プロジェクトや契約明細を将来的に発生する実プロジェクトや契約明細の中から自動抽出していく自動実行用の抽出条件を事前に登録する場合は(ステップSA−1:条件登録)、ユーザが自動実行用の抽出条件を登録し(ステップSA−5:)、自動実行の指示(例えば、実行ボタンの押下やタスクスケジューラの登録など)があると、抽出条件に適合した実プロジェクトや契約明細と紐付く仮想プロジェクトを自動登録することができる(ステップSA−6)。
【0041】
このようにして登録された仮想プロジェクトは、予算登録部102cにより仮想プロジェクト単位で年月ごと、原価要素ごとに予算入力が行われ、作成された予算を登録する(ステップSA−7)。
【0042】
さらに、集計処理部102dは、仮想プロジェクトに紐付くグルーピンクされた実プロジェクトや契約明細の単位で売上と原価を各帳票で集計することにより(ステップSA−8)、実績を算出する。
【0043】
このような集計結果に基づいて、ユーザは、仮想プロジェクトの収支確認、売上予算や売上実績を集計した予実比較、あるいは、原価予算や原価実績を集計した予実比較などを行って(ステップSA−9)、処理を終了する。
【0044】
ここで、
図6〜
図13を参照して、本実施形態における仮想プロジェクトの登録処理の一例について説明する。
【0045】
仮想プロジェクトを登録する場合、ユーザは、プロジェクト会計管理装置100の出力装置114のディスプレイに
図6に示すプロジェクト登録画面を表示させ、仮想プロジェクトNO、登録日、仮想プロジェクト名、仮想プロジェクト略名、管理担当者、管理担当部署、仮想プロジェクト備考、自動登録対象の有無などを入力する。
図6のプロジェクト登録画面における新規タブMB1、一括登録タブMB2、条件登録タブMB3は、仮想プロジェクトの登録方法を選択するためのタブである。その下の一覧には、プロジェクトデータファイル106aに登録済みの実プロジェクトや契約明細データが表示されている。
【0046】
ここで、仮想プロジェクトに紐付く実プロジェクトや契約明細を個別に指定する場合は、ユーザが新規タブMB1をクリックすると、
図7に示す紐付け個別指定用の画面が開き、仮想プロジェクトに紐付けるプロジェクトNOや契約明細NOを個別指定することにより仮想プロジェクトを新規に登録することができる。指定方法としては、ユーザが
図6の一覧を見て
図7の入力欄にプロジェクトNOや契約明細NOを直接入力する他、
図6の一覧に表示されたプロジェクトNOや契約明細NOを選択すると、その選択されたNOが
図7の入力欄に自動反映させるようにしてもよい。このように、ユーザが個別指定した実プロジェクトや契約明細が紐付いた仮想プロジェクトは、登録され、仮想プロジェクト明細データファイル106cに格納される。
【0047】
また、仮想プロジェクトに紐付ける実プロジェクトや契約明細を登録済みの実プロジェクトや契約明細の中から抽出して一括登録する場合は、ユーザが
図6の一括登録タブMB2をクリックすると、
図8に示す一括登録用の抽出条件指定画面が開く。ユーザは、
図8に示す各抽出条件欄に抽出条件を入力して、“表示ボタン”を押下すると、下の一覧に抽出条件にあてはまる契約明細が表示される。この表示された契約明細の中でチェックボックスにチェックを入れたものが、仮想プロジェクトに紐付けられて一括登録される(ステップSA−6)。一括登録用の抽出条件例としては、
図9に示すように、受注日、得意先、売上商品、セグメント1〜3、営業担当者、営業担当部署、管理担当者、管理担当部署、契約明細種別等があるが、必ずしもこれに限定されない。
【0048】
また、仮想プロジェクトに紐付く実プロジェクトや契約明細を将来的に発生する実プロジェクトや契約明細の中から自動抽出していく自動実行用の抽出条件を事前に登録する場合は、ユーザが
図6の条件登録タブMB3をクリックすると、
図10に示す自動実行用の抽出条件指定画面が開く。ユーザは、
図10に示す各抽出条件を指定し、自動実行の指示を出すことにより、抽出条件に合った実プロジェクトや契約明細と紐付く仮想プロジェクトを自動登録することができる(ステップSA−6)。自動実行用の抽出条件の登録は、
図1の条件登録部102bにより
図5の自動実行用の条件登録(ステップSA−5)にて行われる。自動実行用の抽出条件例としては、
図11に示すように、プロジェクト区分、契約明細種別、受注日、引合日、予定期間、売上予定日、契約状態、受注確度、売上基準、売上状態、完了状態、承認状況、得意先、請求先、法人、売上商品、売上商品分類1〜3、セグメント1〜3、営業担当者、営業担当部署、営業担当部署グループ、管理担当者、管理担当部署、管理担当部署グループ、税金受注金額等があるが、必ずしもこれに限定されない。
【0049】
このように登録された仮想プロジェクトは、
図12に示すように、仮想プロジェクトCD10000、20000、30000に対して、グルーピングされた複数の実プロジェクトや契約明細とそれぞれ紐付けられ、仮想プロジェクト明細データファイル106cに格納される。なお、自動実行用の抽出条件を用いて仮想プロジェクトを自動登録する場合の自動実行の指示例としては、
図13に示す実行ボタンを使ってユーザの任意のタイミングで登録処理を実行してもよく、またWindows(登録商標)のタスクスケジューラなどを用いて夜間バッチとして設定し、毎日自動実行させてもよい。
【0050】
また、
図14は、出力装置114のディスプレイに表示される予算入力画面の一例を示している。プロジェクト会計管理装置100の予算登録部102cは、ユーザにより予算番号の採番、予算作成単位の指定、仮想プロジェクトNO“KASOU000000000000001”を指定した後、予定売上額、労務費、外注費、材料費、経費等の原価要素ごと、年月ごとに予算情報を入力して登録を行うと、その予算データが予算データファイル106dに格納される。
【0051】
例えば、
図15は、2つの仮想プロジェクトNO“KAS00001”と“KAS00002”を指定し予算登録を行った場合の予算データの一例を示している。
【0052】
また、
図16は、仮想プロジェクト明細データファイル106cに格納されている「仮想プロジェクトデータ」と、仮想プロジェクト毎にグルーピングされた実プロジェクトや契約明細との紐付け関係を示す「仮想プロジェクト明細データ」とを示している。
【0053】
図16の仮想プロジェクト明細データに示すように、仮想プロジェクトNO“KAS00001”には、グルーピングされた実プロジェクト(プロジェクトCD:PJA、PJB、PJC、PJD)が紐付いており、仮想プロジェクトNO“KAS00002”には、グルーピングされた契約明細(契約明細CD:PJE−0001、PJF−0001、PJG−0002、PJG−0005)が紐付いている。このため、プロジェクト会計管理装置100の集計処理部102dは、各帳票出力時に各実プロジェクトや各契約明細に紐付く売上、原価を各帳票で集計処理することができる。また、集計処理部102dは、予算については仮想プロジェクト単位で作成した予算データを使い、実績については仮想プロジェクトに紐付く実プロジェクトや契約明細の売上、原価を集計した実績データを使うことにより、
図17に示すプロジェクト収支表を作成することができる。このように、任意のプロジェクトグループで構成された仮想プロジェクトであっても、プロジェクト収支表を作成することにより収支合計や予実合計を比較検討することができる。
【0054】
プロジェクト収支表を出力する場合、ユーザは、
図18に示すプロジェクト収支表出力画面において期首会計年月、基準年月、プロジェクト種別、仮想プロジェクトNO、管理担当部署等を入力し、出力ボタンを押下すると、
図18で指定した仮想プロジェクトNOに関し、
図19に示すようなプロジェクト収支表が出力される。
図19のプロジェクト収支表は、ここでは仮想プロジェクトの原価要素として、受注、売上、労務費、外注費、材料費、経費・・・ごとに、前年度迄と、本年度の各月毎と、翌年度以降に関して、上段に予定(予算)、下段に実績が記載されているため、収支合計や予実合計を比較検討することができる。
【0055】
このように、本実施形態に係るプロジェクト会計管理装置100によれば、実際のプロジェクト単位や契約明細単位の収支合計や予実合計を比較するだけでなく、実際のプロジェクトや契約明細を任意に束ねた仮想プロジェクト単位で登録を行い、この仮想プロジェクトの収支合計や予実合計を比較できるようにした点に特徴がある。つまり、仮想プロジェクト単位とは、実際のプロジェクト単位に縛られることなく、任意にプロジェクトや契約明細を束ねる(グルーピングする)ことによって、所望の範囲のプロジェクトや契約明細の束(グループ)を仮想プロジェクトというデータ単位で扱えるようにしたものである。これにより、仮想プロジェクト単位で予算作成や集計を行って、収支合計や予実合計をシミュレートすることにより、種々のプロジェクトを事前に比較検討できるようになった。
【0056】
予算については、仮想プロジェクト単位でも設定可能であることから、予実については、予算は仮想プロジェクトから、実績は単体のプロジェクトの集計から取得することにより、仮想プロジェクトにおける予実の確認を行うことができる。
【0057】
また、本実施形態に係るプロジェクト会計管理装置100は、登録済みの実プロジェクトや契約明細の中から仮想プロジェクトに紐付ける実プロジェクトや契約明細を抽出し、仮想プロジェクトを一括登録するための抽出条件を入力すると、その抽出条件に適合した実プロジェクトや契約明細が紐付く仮想プロジェクトを自動生成することができ、仮想プロジェクトの登録の手間を省略することができる。
【0058】
また、仮想プロジェクト情報のメンテナンスについては、仮想プロジェクトに紐付く実プロジェクトの発生に伴って実施する必要があるが、事前に自動実行用の抽出条件を登録しておき、自動実行の指示を出すと、登録された抽出条件に該当する実プロジェクトを自動登録することができるため、仮想プロジェクトのメンテナンスの手間を省略することができる。
【0059】
このように、本実施形態に係るプロジェクト会計管理装置100によれば、実際のプロジェクト単位ではなく、任意のプロジェクトグループ(仮想プロジェクト)での予算作成、あるいは、売上・原価の仕組みを作成することにより、各種の帳票・照会機能の汎用性が高まり、ユーザの求める観点での予実管理や収支管理が容易になる。
【0060】
また、本実施形態に係るプロジェクト会計管理装置100によれば、予め仮想プロジェクトに紐付く実プロジェクトや契約明細を抽出するための条件を入力、あるいは、事前に登録しておくことにより、プロジェクトグループ(仮想プロジェクト)を自動で登録することが可能となるため、プロジェクトが増える都度グルーピングし直す必要がなくなり、設定や保守負荷の低減が可能となる。
【0061】
[4.他の実施形態]
本発明は、上述した実施形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。
【0062】
例えば、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0063】
また、本明細書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0064】
また、プロジェクト会計管理装置100に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
【0065】
例えば、プロジェクト会計管理装置100が備える処理機能、特に制御部102にて行われる各処理機能については、その全部または任意の一部を、CPU及び当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。尚、プログラムは、本実施形態で説明した処理を情報処理装置に実行させるためのプログラム化された命令を含む一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じてプロジェクト会計管理装置100に機械的に読み取られる。すなわち、ROMまたはHDD(Hard Disk Drive)などの記憶部106などには、OSと協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部102を構成する。
【0066】
また、このコンピュータプログラムは、プロジェクト会計管理装置100に対して任意のネットワークを介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることも可能である。
【0067】
また、本実施形態で説明した処理を実行するためのプログラムを、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム製品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、CD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)、MO(Magneto−Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、及び、Blu−ray(登録商標) Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。
【0068】
また、「プログラム」とは、任意の言語または記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードまたはバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、実施形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成及び読み取り手順ならびに読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0069】
記憶部に格納される各種のデータベース等は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、及び、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、及び、ウェブページ用ファイル等を格納する。
【0070】
また、プロジェクト会計管理装置100は、既知のパーソナルコンピュータまたはワークステーション等の情報処理装置として構成してもよく、また、任意の周辺装置が接続された当該情報処理装置として構成してもよい。また、プロジェクト会計管理装置100は、当該装置に本実施形態で説明した処理を実現させるソフトウェア(プログラムまたはデータ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
【0071】
更に、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部または一部を、各種の付加等に応じてまたは機能負荷に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。