特許第6881938号(P6881938)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6881938
(24)【登録日】2021年5月10日
(45)【発行日】2021年6月2日
(54)【発明の名称】開閉装置及び開閉装置の設置構造
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/17 20060101AFI20210524BHJP
【FI】
   E06B9/17 Z
【請求項の数】12
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-205350(P2016-205350)
(22)【出願日】2016年10月19日
(65)【公開番号】特開2018-66190(P2018-66190A)
(43)【公開日】2018年4月26日
【審査請求日】2019年9月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】508289361
【氏名又は名称】ダイナコ インターナショナル ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】特許業務法人 英知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井上 晋一
(72)【発明者】
【氏名】堤 貴洋
【審査官】 砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−169588(JP,A)
【文献】 特開2008−169589(JP,A)
【文献】 実開昭60−40375(JP,U)
【文献】 特開2012−251332(JP,A)
【文献】 特開2003−214678(JP,A)
【文献】 特開2014−51803(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0230452(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/00−9/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空間を仕切るようにして閉鎖動作する開閉体と、該開閉体の横幅方向端部に開閉方向へわたって複数止着された係合子と、前記係合子を含む前記開閉体の横幅方向の端部側を開閉方向へ案内するガイドレールと、前記ガイドレールの開放方向側で外周部を前記係合子に噛み合わせて駆動回転する開閉駆動軸と、前記開閉駆動軸の外周部の前記係合子に対し遠心方向側から近接するように不動部位に支持された係合子ガイド部材と、前記係合子ガイド部材と前記開閉駆動軸との間隔を調整する位置調整機構とを具備し
前記係合子ガイド部材に貫通孔が設けられ、前記不動部位にはネジ孔が設けられ、
前記位置調整機構は、第1の螺合部材と、該第1の螺合部材と交換可能な第2の螺合部材とを、選択的に装着されるように具備し、
第1の螺合部材は、前記不動部位に螺合される雄ネジ部と、該雄ネジ部よりも後側で前記貫通孔の内周面に接触する軸部とを有し、
第2の螺合部材は、前記不動部位に螺合される雄ネジ部と、該雄ネジ部よりも後側に位置するとともに前記第1の螺合部材の軸部よりも小径に形成された軸部とを有することを特徴とする開閉装置。
【請求項2】
空間を仕切るようにして閉鎖動作する開閉体と、該開閉体の横幅方向端部に開閉方向へわたって複数止着された係合子と、前記係合子を含む前記開閉体の横幅方向の端部側を開閉方向へ案内するガイドレールと、前記ガイドレールの開放方向側で外周部を前記係合子に噛み合わせて駆動回転する開閉駆動軸と、前記開閉駆動軸の外周部の前記係合子に対し遠心方向側から近接するように不動部位に支持された係合子ガイド部材と、前記係合子ガイド部材と前記開閉駆動軸との間隔を調整する位置調整機構とを具備し、
前記係合子ガイド部材に貫通孔が設けられ、この貫通孔に挿通された螺合部材が前記不動部位に螺合されている開閉装置であって、
前記位置調整機構は、前記貫通孔の内周面と前記螺合部材の外周面との間に、着脱可能に筒状のスペーサを設けていることを特徴とする開閉装置。
【請求項3】
空間を仕切るようにして閉鎖動作する開閉体と、該開閉体の横幅方向端部に開閉方向へわたって複数止着された係合子と、前記係合子を含む前記開閉体の横幅方向の端部側を開閉方向へ案内するガイドレールと、前記ガイドレールの開放方向側で外周部を前記係合子に噛み合わせて駆動回転する開閉駆動軸と、前記開閉駆動軸の外周部の前記係合子に対し遠心方向側から近接するように不動部位に支持された係合子ガイド部材と、前記係合子ガイド部材と前記開閉駆動軸との間隔を調整する位置調整機構とを具備し、
前記係合子ガイド部材に貫通孔が設けられ、この貫通孔に挿通された螺合部材が前記不動部位に設けられたネジ孔に螺合されている開閉装置であって、
前記位置調整機構は、前記ネジ孔を前記開閉駆動軸に対する遠心方向の距離が異なるように複数設け、これら複数のネジ孔が選択的に用いられるようにしていることを特徴とする開閉装置。
【請求項4】
前記開閉体を巻き取ったり繰り出したりする巻取軸が設けられ、前記巻取軸は、不動部位に対し軸支ブラケット及び止着具によって回転不能に固定された固定軸と、該固定軸の外周に回転可能に支持された巻取体とを備え、
前記軸支ブラケットは、前記固定軸の端部側を下方から受ける下片部と、同端部側に上方から接触又は近接する上片部とを一体に有し、
前記止着具は、前記固定軸の端部側、前記下片部及び前記上片部に挿通されたボルト状部材と、該ボルト状部材の先端側に螺合され締め付けられたナット状部材とを有することを特徴とする請求項1〜3何れか1項記載の開閉装置。
【請求項5】
前記軸支ブラケットは、前記固定軸の端部側が前記下片部と前記上片部の間から手前側へ抜かれるように、前記下片部と前記上片部の手前側を開口するとともに奥側を接続した断面略コ字状に形成され、
前記下片部は、前記上片部よりも手前側へ突出するように設けられ、この下片部上における手前側へ突出した部分には、前記固定軸を乗り越えさせて通過可能にする小突起が設けられていることを特徴とする請求項4記載の開閉装置。
【請求項6】
前記開閉体の開放方向側には、全閉時における前記開閉体の内外の気密性を確保する気密部材が具備され、
この気密部材は、前記開閉体横幅方向へ連続して前記開閉駆動軸との間に前記開閉体を挟んでいることを特徴とする請求項1〜5何れか1項記載の開閉装置。
【請求項7】
空間を仕切るようにして閉鎖動作する開閉体と、該開閉体の横幅方向端部に開閉方向へわたって複数止着された係合子と、前記係合子を含む前記開閉体の横幅方向の端部側を開閉方向へ案内するガイドレールと、前記ガイドレールの開放方向側で外周部を前記係合子に噛み合わせて駆動回転する開閉駆動軸と、前記開閉駆動軸の外周部の前記係合子に対し遠心方向側から近接するように不動部位に支持された係合子ガイド部材と、前記係合子ガイド部材と前記開閉駆動軸との間隔を調整する位置調整機構とを具備し、
前記位置調整機構は、前記係合子ガイド部材を貫通して前記不動部位に止着される螺合部材を備え、この螺合部材が外径の異なるものに交換されることで、前記係合子ガイド部材を前記開閉駆動軸の径方向へ移動することを特徴とする開閉装置
【請求項8】
空間を仕切るようにして閉鎖動作する開閉体と、該開閉体の横幅方向端部に開閉方向へわたって複数止着された係合子と、前記係合子を含む前記開閉体の横幅方向の端部側を開閉方向へ案内するガイドレールと、前記ガイドレールの開放方向側で外周部を前記係合子に噛み合わせて駆動回転する開閉駆動軸と、前記開閉駆動軸の外周部の前記係合子に対し遠心方向側から近接するように不動部位に支持された係合子ガイド部材と、前記係合子ガイド部材と前記開閉駆動軸との間隔を調整する位置調整機構とを具備し、
前記位置調整機構は、前記係合子ガイド部材を貫通するスペーサと、このスペーサを貫通して前記不動部位に止着される螺合部材とを備え、前記スペーサが外されることで前記係合子ガイド部材を前記開閉駆動軸の径方向へ移動することを特徴とする開閉装置
【請求項9】
空間を仕切るようにして閉鎖動作する開閉体と、該開閉体の横幅方向端部に開閉方向へわたって複数止着された係合子と、前記係合子を含む前記開閉体の横幅方向の端部側を開閉方向へ案内するガイドレールと、前記ガイドレールの開放方向側で外周部を前記係合子に噛み合わせて駆動回転する開閉駆動軸と、前記開閉駆動軸の外周部の前記係合子に対し遠心方向側から近接するように不動部位に支持された係合子ガイド部材と、前記係合子ガイド部材と前記開閉駆動軸との間隔を調整する位置調整機構とを具備し、
前記位置調整機構は、前記係合子ガイド部材を貫通して前記不動部位に止着される螺合部材を備え、この螺合部材が止着位置を変更されることで、前記係合子ガイド部材を前記開閉駆動軸の径方向へ移動することを特徴とする開閉装置
【請求項10】
空間を仕切るようにして閉鎖動作する開閉体と、該開閉体の横幅方向端部に開閉方向へわたって複数止着された係合子と、前記係合子を含む前記開閉体の横幅方向の端部側を開閉方向へ案内するガイドレールと、前記ガイドレールの開放方向側で外周部を前記係合子に噛み合わせて駆動回転する開閉駆動軸と、前記開閉駆動軸の外周部の前記係合子に対し遠心方向側から近接するように不動部位に支持された係合子ガイド部材と、前記係合子ガイド部材と前記開閉駆動軸との間隔を調整する位置調整機構とを具備し、
前記位置調整機構は、前記開閉駆動軸の移動により前記間隔を調整することを特徴とする開閉装置
【請求項11】
請求項1〜10何れか1項記載の開閉装置を下地材と該下地材の表面に止着された仕上材とを有する躯体壁面に装着して、該躯体壁面に形成された開口部を開閉するようにした開閉装置の設置構造において、
前記開閉体をその開放方向側で収納したり繰り出したりする収納ケースが設けられ、この収納ケースの上端における躯体壁面側の端部には、反躯体壁面側を開口した断面コ字状の当接片が設けられ、
前記当接片の躯体壁面側を前記下地材に接触させるとともに、同当接片の上端部を前記仕上材の下端に接触又は近接させていることを特徴とする開閉装置の設置構造。
【請求項12】
請求項1〜10何れか1項記載の開閉装置を躯体壁面に装着して、該躯体壁面に形成された開口部を開閉するようにした開閉装置の設置構造において、
前記開閉体をその開放方向側で収納したり繰り出したりする収納ケースが設けられ、この収納ケースには、前記躯体壁面を構成する下地鉄骨に重ならない位置に、センサ用のリード線を挿通するための貫通孔が設けられていることを特徴とする開閉装置の設置構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅やビル、倉庫、工場、地下街、トンネル、車両の荷台等の躯体の開口部や内部で、空間を仕切ったり開放したりする開閉装置及び開閉装置の設置構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の発明には、空間を仕切るようにして閉鎖動作するシートカーテン(11)と、シートカーテン(11)の横幅方向端部に止着された係合子(17)と、係合子(17)を含むシートカーテン(11)の横幅方向の端部側を囲んで開閉方向へ案内する縦レール部材(10a)と、縦レール(10a)の上方側で回転するシート駆動ギヤ(12)と、シート駆動ギヤ(12)に係合した係合子(17)に近接するように湾曲状に設けられたガイドブロック(13)とを備え、シート駆動ギヤ(12)の外周に係合子(17)を噛み合わせてシートカーテン(11)を繰り出したり引き込んだりするようにした複合シャッターがある。なお、前記括弧内の数値は、特許文献1に用いられた符号である。
この従来技術によれば、シート駆動ギヤ(12)を高速回転させてシートカーテン(11)を高速に開閉した場合でも、係合子(17)がシート駆動ギヤ(12)から脱落してしまうのをガイドブロック(13)によって防ぐことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−169588号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術によれば、長期間の使用等により係合子(17)が摩耗し、係合子(17)とガイドブロック(13)の隙間が例えば大きくなると、係合子(17)がシート駆動ギヤ(12)から脱落し易くなるおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような課題に鑑みて、本発明は、以下の構成を具備するものである。
空間を仕切るようにして閉鎖動作する開閉体と、該開閉体の横幅方向端部に開閉方向へわたって複数止着された係合子と、前記係合子を含む前記開閉体の横幅方向の端部側を開閉方向へ案内するガイドレールと、前記ガイドレールの開放方向側で外周部を前記係合子に噛み合わせて駆動回転する開閉駆動軸と、前記開閉駆動軸の外周部の前記係合子に対し遠心方向側から近接するように不動部位に支持された係合子ガイド部材と、前記係合子ガイド部材と前記開閉駆動軸との間隔を調整する位置調整機構とを具備し、前記係合子ガイド部材に貫通孔が設けられ、前記不動部位にはネジ孔が設けられ、前記位置調整機構は、第1の螺合部材と、該第1の螺合部材と交換可能な第2の螺合部材とを、選択的に装着されるように具備し、第1の螺合部材は、前記不動部位に螺合される雄ネジ部と、該雄ネジ部よりも後側で前記貫通孔の内周面に接触する軸部とを有し、第2の螺合部材は、前記不動部位に螺合される雄ネジ部と、該雄ネジ部よりも後側に位置するとともに前記第1の螺合部材の軸部よりも小径に形成された軸部とを有することを特徴とする開閉装置。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、以上説明したように構成されているので、係合子と係合子ガイド部材との間隔を適宜に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明に係る開閉装置の一例を示す正面図である。
図2】同開閉装置の縦断面図であり、開閉体の全開状態を示す。
図3】収納部の一例について内部構造を示す斜視図である。なお、後部上端の当接片は省いている。
図4】開閉体の一例を示す要部拡大図である。
図5】本発明に係る開閉装置の設置構造の縦断面図であり、収納部を躯体壁面に装着した状態を示す。
図6】本発明に係る開閉装置の設置構造の要部縦断面図であり、(a)は開閉装置を躯体壁面に装着した状態、(b)は開閉装置を躯体壁面から外した状態を示す。
図7】係合子ガイド部材とその周囲の構造を示す斜視図である。
図8】位置調整機構の一例を示す要部縦断面図であり、(a)は初期状態を示し、(b)は螺合部材を交換して係合子ガイド部材を下方へずらした状態を示す。
図9】位置調整機構の他例を示す要部縦断面図であり、(a)は初期状態を示し、(b)はスペーサを外して係合子ガイド部材を下方へずらした状態を示す。
図10】位置調整機構の他例を示す要部縦断面図であり、(a)は初期状態を示し、(b)はネジ孔の変更により係合子ガイド部材を下方へずらした状態を示す。
図11】巻取軸の端部側の支持構造を示す斜視図である。
図12】巻取軸の端部側の支持構造を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本実施の形態では、以下の特徴を開示している。
第1の特徴は、空間を仕切るようにして閉鎖動作する開閉体と、該開閉体の横幅方向端部に開閉方向へわたって複数止着された係合子と、前記係合子を含む前記開閉体の横幅方向の端部側を開閉方向へ案内するガイドレールと、前記ガイドレールの開放方向側で外周部を前記係合子に噛み合わせて駆動回転する開閉駆動軸と、前記開閉駆動軸の外周部の前記係合子に対し遠心方向側から近接するように不動部位に支持された係合子ガイド部材と、前記係合子ガイド部材と前記開閉駆動軸との間隔を調整する位置調整機構とを具備した(図1図3参照)。
ここで、前記「位置調整機構」には、前記係合子ガイド部材を螺合部材の変更により移動するようにした態様や、前記係合子ガイド部材をスペーサの着脱により移動するようにした態様、前記係合子ガイド部材を止着孔の選択により移動するようにした態様、前記係合子ガイド部材をスライド可能に具備した態様等を含む。
また、前記「位置調整機構」は、前記係合子ガイド部材の移動により前記間隔を調整する態様とするのが好ましいが、前記開閉駆動軸の移動により前記間隔を調整する態様とすることも可能である。
前記構成によれば、係合子ガイド部材と、開閉駆動軸に噛み合った係合子との隙間を、位置調整機構によって調整することができる。
【0009】
第2の特徴は、前記係合子ガイド部材に貫通孔が設けられ、前記不動部位にはネジ孔が設けられ、前記位置調整機構は、第1の螺合部材と、該第1の螺合部材と交換可能な第2の螺合部材とを、選択的に装着されるように具備し、第1の螺合部材は、前記不動部位に螺合される雄ネジ部と、該雄ネジ部よりも後側で前記貫通孔の内周面に接触する軸部とを有し、第2の螺合部材は、前記不動部位に螺合される雄ネジ部と、該雄ネジ部よりも後側に位置するとともに前記第1の螺合部材の軸部よりも小径に形成された軸部とを有する(図8参照)。
この構成によれば、予め装着された螺合部材を、小径な軸部を有する他の螺合部材に交換することで、前記係合子ガイド部材を移動して、前記係合子ガイド部材と前記開閉駆動軸との間隔を調整することができる。
【0010】
第3の特徴は、前記係合子ガイド部材に貫通孔が設けられ、この貫通孔に挿通された螺合部材が前記不動部位に螺合されている開閉装置であって、前記位置調整機構は、前記貫通孔の内周面と前記螺合部材の外周面との間に、着脱可能に筒状のスペーサを設けている(図9参照)。
【0011】
第4の特徴は、前記係合子ガイド部材に貫通孔が設けられ、この貫通孔に挿通された螺合部材が前記不動部位に設けられたネジ孔に螺合されている開閉装置であって、前記位置調整機構は、前記ネジ孔を前記開閉駆動軸に対する遠心方向の距離が異なるように複数設け、これら複数のネジ孔が選択的に用いられるようにしている(図10参照)。
【0012】
第5の特徴として、前記開閉体を巻き取ったり繰り出したりする巻取軸が設けられ、前記巻取軸は、不動部位に対し軸支ブラケット及び止着具によって回転不能に固定された固定軸と、該固定軸の外周に回転可能に支持された巻取体とを備え、前記軸支ブラケットは、前記固定軸の端部側を下方から受ける下片部と、同端部側に上方から接触又は近接する上片部とを一体に有し、前記止着具は、前記固定軸の端部側、前記下片部及び前記上片部に挿通されたボルト状部材と、該ボルト状部材の先端側に螺合され締め付けられたナット状部材とを有する(図11図12参照)。
【0013】
第6の特徴として、前記軸支ブラケットは、前記固定軸の端部側が前記下片部と前記上片部の間から手前側へ抜かれるように、前記下片部と前記上片部の手前側を開口するとともに奥側を接続した断面略コ字状に形成され、前記下片部は、前記上片部よりも手前側へ突出するように設けられ、この下片部上における手前側へ突出した部分には、前記固定軸を乗り越えさせて通過可能にする小突起が設けられている(図11図12参照)。
【0014】
第7の特徴は、前記開閉体の開放方向側には、全閉時における前記開閉体の内外の気密性を確保する気密部材が具備され、この気密部材は、前記開閉体横幅方向へ連続して前記開閉駆動軸との間に前記開閉体を挟んでいる(図2及び図5参照)。
【0015】
第8の特徴は、上記開閉装置を下地材と該下地材の表面に止着された仕上材とを有する躯体壁面に装着して、該躯体壁面に形成された開口部を開閉するようにした開閉装置の設置構造において、前記開閉体をその開放方向側で収納したり繰り出したりする収納ケースが設けられ、この収納ケースの上端における躯体壁面側の端部には、反躯体壁面側を開口した断面コ字状の当接片が設けられ、前記当接片の躯体壁面側を前記下地材に接触させるとともに、同当接片の上端部を前記仕上材の下端に接触又は近接させている(図6参照)。
【0016】
第9の特徴は、上記開閉装置を躯体壁面に装着して、該躯体壁面に形成された開口部を開閉するようにした開閉装置の設置構造において、前記開閉体をその開放方向側で収納したり繰り出したりする収納ケースが設けられ、この収納ケースには、前記躯体壁面を構成する下地鉄骨に重ならない位置に、センサ用のリード線を挿通するための貫通孔が設けられている(図5参照)。
【0017】
なお、後述する実施態様では、以下の構成要件のみを必須とした発明も開示している。
すなわち、この発明の一つは、空間を仕切るようにして閉鎖動作する開閉体と、前記開閉体をその開放方向側で巻き取ったり繰り出したりする巻取軸とを備えた開閉装置において、前記巻取軸は、不動部位に対し軸支ブラケット及び止着具によって回転不能に固定された固定軸と、該固定軸の外周に回転可能に支持された巻取体とを備え、前記軸支ブラケットは、前記固定軸の端部側を下方から受ける下片部と、同端部側に上方から接触又は近接する上片部とを一体に有し、前記止着具は、前記固定軸の端部側、前記下片部及び前記上片部に挿通されたボルト状部材と、該ボルト状部材の先端側に螺合され締め付けられたナット状部材とを有する(図11及び図12参照)。
この発明によれば、固定軸の端部側が上下方向へがたつくのをボルト状部材とナット状部材の締め付けにより抑制することができ、ひいては、巻取軸の軸方向の中央寄りが下方へ垂れ下がるようなことを防ぐことができる。
【0018】
また、他の発明としては、空間を仕切るようにして閉鎖動作する開閉体を有する開閉体と、前記開閉体をその開放方向側で収納したり繰り出したりする収納ケースとを備えた開閉装置を、下地材と該下地材の表面に止着された仕上材とを有する躯体壁面に装着して、該躯体壁面に形成された開口部を開閉するようにした開閉装置の設置構造において、前記収納ケースには、後方へ突出した断面コ字状の当接片が設けられ、前記当接片の後端部を前記下地材に接触するとともに、同当接片の上端部を前記仕上材の下端に接触又は近接していることを特徴とする(図6参照)。
この発明によれば、収納ケースを躯体壁面に対し着脱する際に、仕上材を再度施工する必要がなく、メンテナンス性が良好である。
【0019】
また、他の発明としては、空間を仕切るようにして閉鎖動作する開閉体と、前記開閉体をその開放方向側で収納したり繰り出したりする収納ケースとを備えた開閉装置を躯体壁面に装着して、該躯体壁面に形成された開口部を開閉するようにした開閉装置の設置構造において、前記収納ケースには、前記躯体壁面を構成する下地鉄骨に重ならない位置に、センサ用のリード線を挿通するための貫通孔が設けられていることを特徴とする(図5参照)。
この発明によれば、下地鉄骨にセンサ用のリード線を挿通するための孔等を形成する必要がないので、施工性が良好である。
【0020】
また、他の発明としては、空間を仕切るようにして閉鎖動作する開閉体と、前記開閉体の幅方向の端部を開閉方向へ案内するガイドレールと、前記ガイドレールの上方側で前記開閉体を外周面の少なくとも上半部側に接触させた軸状部材とを備えた開閉装置において、前記開閉体の開放方向側には、全閉時における前記開閉体の内外の気密性を確保する気密部材が具備され、この気密部材は、前記開閉体横幅方向へ連続して前記開閉駆動軸との間に前記開閉体を挟んでいることを特徴とする(図2及び図5参照)。
ここで、前記「軸状部材」には、前記開閉体を上半部側に沿わせて開閉方向に対する交差方向へ導くガイド軸や、前記開閉体に設けられた係合子にギヤを噛み合わせて前記開閉体を開閉駆動する開閉駆動軸、前記開閉体を巻き取るようにした巻取軸又は巻取体等を含む。
この構成によれば、気密部材と軸状部材の間に開閉体を挟むようにしているため、開閉体内外の気密性を良好に維持することができる。
【0021】
なお、本明細書中において「開閉体厚さ方向」とは、閉鎖状態における上記開閉体の厚みの方向を意味する。
また、本明細書中において「開閉体幅方向」及び「開閉体横幅方向」とは、上記開閉体の開閉方向と略直交する方向であって、上記開閉体の厚さ方向ではない前記開閉体の幅方向を意味する。
また、本明細書中において「開閉体開閉方向」とは、上記開閉体が空間を仕切ったり開放したりするためにスライドする方向を意味する。
また、本明細書中において開閉体の「面方向」とは、閉鎖状態で開閉体の表面又は裏面が連続する方向を意味し、この方向には、前記開閉体開閉方向及び前記開閉体幅方向を含む。
【0022】
<具体的実施態様>
次に、上記特徴を有する具体的な実施態様について、図面に基づいて詳細に説明する。
【0023】
開閉装置1は、空間を仕切るようにして閉鎖動作する開閉体10と、この開閉体10の横幅方向端部を開閉方向へ案内するガイドレール20と、ガイドレール20の開放方向側で開閉体10を収納したり繰り出したりする収納部30とを備え、シャッター装置を構成している(図1参照)。
この開閉装置1は、建築物等の躯体壁面Aに装着されて、該躯体壁面Aの開口部bを開閉体10によって開閉する。
【0024】
開閉体10は、可撓性シート状の開閉体本体11と、開閉体本体11の幅方向の端部に開閉方向へわたって止着された複数の係合子12とを具備している(図4参照)。
【0025】
開閉体本体11は、当該開閉装置1によって開閉される開口部bの略全面を覆う広さの矩形状に形成される。この開閉体本体11は、単一の可撓性シートから形成してもよいし、複数毎の可撓性シートを開閉方向及び/又は横幅方向に接続したものであってもよい。
前記可撓性シートは、合成樹脂製のシート材(例えば、塩化ビニル樹脂シート材等)である。
なお、この可撓性シート材の他例としては、ガラスクロスやシリカクロス等の難燃性布地や、ガラス繊維を含んだ合成樹脂シート材、遮煙性や耐火性(難燃性を含む)を有するその他のシート材とすることが可能である。
【0026】
この開閉体本体11の下端側には、縦断面袋状の座板部11aが形成される。この座板部11aは、開閉体本体11とは別体のシート材を断面袋状に加工して開閉体本体11の下端に止着した態様や、開閉体本体11の下端側を袋状に曲げて縫い合わせた態様等とすればよい。
この座板部11aは、左右のガイドレール20,20間の幅よりも狭く形成され、ガイドレール20内には挿入されていない。
【0027】
係合子12は、硬質の合成樹脂材料や金属材料等から形成された円柱状の部材である。
この係合子12は、開閉体本体11の横幅方向端部側で、中心軸を開閉体横幅方向へ向けて開閉方向へ複数並ぶように設けられ、それぞれが、開閉体本体11に止着されている。
この係合子12の外径は、開閉体本体11の厚み寸法よりも大きく設定される。したがって、各係合子12の外周面は、開閉体本体11の面から開閉体厚さ方向へ突出している。
【0028】
ガイドレール20は、開閉体10の横幅方向の両端部側にそれぞれ設けられる。各ガイドレール20は、係合子12を含む開閉体10の横幅方向端部側を、係合子12よりも幅の狭い開口を有するガイド溝によって囲んで開閉方向へ案内する。
【0029】
収納部30は、収納ケース31内に、係合子12を上半部側の外周部に噛み合わせて駆動回転する開閉駆動軸32(軸状部材)と、開閉駆動軸32の前記外周部に噛み合った係合子12に対し遠心方向側から近接して不動部位に固定された係合子ガイド部材33と、開閉駆動軸32よって開閉方向に対する交差方向へ導かれた開閉体10を巻き取る巻取軸38とを具備している(図2参照)。
【0030】
収納ケース31は、開閉体横幅方向へ長尺な直方体状に構成される。
この収納ケース31の上端における躯体壁面A側の端部には、反躯体壁面A側を開口した断面コ字状の当接片31bが設けられる。
【0031】
当接片31bは、図示例によれば、収納ケース31の後端面から後方へ突出し、且つ該収納ケース31の上端面から上方へ突出しており(図2参照)、該収納ケース31の横幅方向へ連続して設けられる。
この当接片31bは、その後端部を躯体壁面Aの下地材(詳細には下地鉄骨a1)に当接するとともに、同当接片の上端部を、前記下地材を覆う仕上材cの下端に接触又は近接している(図5参照)。
この当接片31bによれば、収納部30を躯体壁面Aに装着する際に、仕上材cの下端面と下地材(下地鉄骨a1)の表面とが交わる角部分に、当接片31bを嵌め合わせ、当接片31bを止着具31f(例えば、ネジやボルト等)によって下地材に止着すればよく、その作業性が良好である。
また、収納部30を躯体壁面Aから外す場合には、止着具31fを抜いて、躯体壁面Aに対し収納部30を手前に引けばよく、この際、仕上材cを剥がしたり破壊したり等の作業を必要としない。
【0032】
また、収納ケース31の躯体壁面A側の面には、躯体壁面Aを構成する下地鉄骨a1〜a3(図1参照)に重ならない位置に、センサS1用のリード線Lを挿通するための貫通孔31c(図5参照)が設けられる。
下地鉄骨a1は、躯体壁面Aに埋め込まれた金属製の横梁である。収納ケース31上端側の当接片31bは、ボルトやネジ等の止着具によってこの下地鉄骨a1に止着されている。
下地鉄骨a2は、躯体壁面A内において下地鉄骨a1の下方側に間隔を置いて設けられた金属製の横梁である。
また、下地鉄骨a3は、躯体壁面Aに埋め込まれた金属製の支柱であり、開閉装置1によって開閉される開口部bの両側に位置している。
センサS1のリード線Lは、下地鉄骨a1〜a3を避けるようにして配置され、収納ケース31の躯体壁面A側の面の貫通孔31cに挿通されている。
よって、これらの構成によれば、下地鉄骨a1〜a3にリード線Lを挿通するための孔や切欠等を設ける必要がない。
【0033】
センサS1,S2は、開口部bを通過しようとする人や車両等を非接触感知するセンサであり、例えば、近赤外線反射方式のエリアセンサや、焦電センサ、その他の非接触式センサ等が用いられる。
一方のセンサS1は、開口部bの通過方向の一方側において、その上方側の不動部位(例えば、躯体壁面Aや該躯体壁面Aに装着された図示しない装置等)に固定される。
他方のセンサS2は、開口部bの通過方向の一方側において、その上方側の不動部位(図示例によれば、収納ケース31の下端側)に固定される。
これらセンサS1,S2による感知信号は、リード線Lによって収納ケース31内の制御回路40に導かれる。制御回路40は、前記感知信号に応じて、開閉体10の開閉動作を制御する。
【0034】
また、収納ケース31内の下端側には、その下端側に、ガイドレール20の上端側に連通し、開閉体10を繰り出したり引き込んだりする開口状のまぐさ部31aが設けられる。
このまぐさ部31aの内壁面(まぐさ内面)には、開閉体厚さ方向へ突出して、その突端部を開閉体10の面に当接させた気密部材35aが設けられる。
この気密部材35aは、ゴムやエラストマー樹脂等の弾性材料から平板状に形成され、その先端部を、開閉体10面における開閉体横幅方向の略全長にわたり連続して接触させている。
【0035】
また、収納ケース31内における上方側には、開閉駆動軸32(軸状部材)との間に開閉体10を挟むようにして気密部材35bが設けられる。
この気密部材35bは、気密部材35aと同材質の平板状部材であり、その先端部を、開閉駆動軸32の上半部側の開閉体10の外面に対し、横幅方向の略全長にわたり連続して接触させ、その逆端側が、ブラケット等を介して収納ケース31内面(不動部位)に止着されている。
【0036】
これら気密部材35a,35bによれば、開閉体10の全閉状態において、気体が収納ケース31内を開閉体厚さ方向へ通過して、開閉体10による閉鎖性が損なわれるのを防ぐことができる。
【0037】
また、開閉駆動軸32は、軸方向の端部側に係合子12と噛み合うギヤ32a(図3参照)を有する略円筒状の部材であり、その軸心部がブラケット等を介して不動部位に回転自在に支持されている。
この開閉駆動軸32の内部又は端部側には、該開閉駆動軸32を駆動回転させるための開閉機(図示しないモータ)や、該開閉機の回転力を該開閉駆動軸32に伝達する歯車機構等が設けられる。
【0038】
係合子ガイド部材33は、開閉駆動軸32外周面の上半部側の一部に沿う形状の凹曲面33aを有する略湾曲状の部材である。
この係合子ガイド部材33は、開閉駆動軸32のギヤ32aの上半部側に噛み合った複数の係合子12に対し、適宜な隙間を置いて凹曲面33aを近接させ、複数の螺合部材34によって支持ブラケット37(不動部位)に固定されている(図7参照)。
なお、図7中、符号36は、係合子12が開閉体幅方向へずれるのを規制するガイドローラである。
【0039】
係合子ガイド部材33には、複数の貫通孔33b(図8参照)が設けられ、これら貫通孔33bの各々に第1の螺合部材34が挿通され、各第1の螺合部材34の先端側が支持ブラケット37に螺合されている。
【0040】
各第1の螺合部材34は、先端側で支持ブラケット37のネジ孔37aに螺合される雄ネジ部34aと、該雄ネジ部34aよりも後端側で貫通孔33bの内周面に接触し且つ雄ネジ部34aよりも外径Dの大きい軸部34bと、該軸部34bよりも後端側で拡径した頭部34cとを有する(図8(a)参照)。
この第1の螺合部材34は、貫通孔33bの内径よりも外径dの小さい軸部34b’を有する第2の螺合部材34’(図8(b)参照)に交換可能に具備されることで、係合子ガイド部材33の位置を調整する位置調整機構として機能する。
【0041】
すなわち、図8(a)(b)に示すように、第1の螺合部材34を軸部の直径が小さい第2の螺合部材34’に着脱交換すれば、第2の螺合部材34’の頭部と支持ブラケット37の間で係合子ガイド部材33を開閉駆動軸32中心方向へ移動させることができる。係合子ガイド部材33は、第2の螺合部材34’の頭部と支持ブラケット37の間に挟まれることで固定される。
したがって、例えば、係合子12が摩耗し、該係合子12と係合子ガイド部材33との隙間が大きくなり、該係合子12がギヤ32aから脱落し易くなった場合に、上記のようにして係合子ガイド部材33を移動し前記隙間を狭め、係合子12の脱落を防ぐことができる。
【0042】
なお、第2の螺合部材34’は、例えば、サービス用の交換部品として、当該開閉装置1に予め具備しておけばよい。
【0043】
上記位置調整機構の他例としては、図9に示す構造とすることも可能である。
図9に示す位置調整機構では、貫通孔33bの内周面と、螺合部材34’の軸部34b’の外周面との間に、着脱可能に筒状のスペーサ34dを設けている。
したがって、例えば、係合子12が摩耗し、該係合子12と係合子ガイド部材33との隙間が大きくなり、該係合子12がギヤ32aから脱落し易くなった場合に、螺合部材34’を外してスペーサ34dを除去した後、係合子ガイド部材33を開閉駆動軸32中心方向へ移動させ、螺合部材34’を再度締め付ければ、前記隙間を狭めることができ、係合子12の脱落を防ぐことができる。
【0044】
さらに、上記位置調整機構の他例としては、図10に示す構造とすることも可能である。
図10に示す位置調整機構では、支持ブラケット37のネジ孔37aを開閉駆動軸32に対する遠心方向の距離が異なるように複数設け、これら複数のネジ孔37aが選択的に用いられるようにしている。
詳細に説明すれば、初期状態では、図10(a)に示すように、開閉駆動軸32から遠い方のネジ孔37aを用いて螺合部材34が締め付けられる。
そして、係合子12が摩耗し、該係合子12と係合子ガイド部材33との隙間が大きくなり、該係合子12がギヤ32aから脱落し易くなった場合には、螺合部材34が一旦外され、再度係合子ガイド部材33に挿通された螺合部材34が、開閉駆動軸32に近い方(図示の下側)のネジ孔37aに締め付けられる(図10(b)参照)。
したがって、前記隙間を小さくすることができる。
【0045】
また、巻取軸38は、開閉体10の開放方向側の端部を外周面に止着した略円筒状の部材である。
この巻取軸38は、開閉体10を巻き取ったり繰り出したりする円筒状の巻取体38aと、該巻取体38aをその内部側からベアリング(図示せず)を介して回転自在に支持する固定軸38bとを備える。
【0046】
巻取体38aは、内在する付勢部材(図示しないコイルスプリング)により、固定軸38bに対し巻き取り方向へ付勢されている。
固定軸38bの両端部は、軸支ブラケット39及び止着具41を介して、収納ケース31内面に回転不能に支持されている(図11参照)。
【0047】
軸支ブラケット39は、金属製の板材を曲げ加工してなり、固定軸38bの端部側を下方から受ける下片部39aと、同端部側に上方から接触又は近接する上片部39bとを備え、これら下片部39aと上片部39bを奥側の接続片部39cにより接続するとともに手前側を開口した断面略コ字状に形成される(図11図12参照)。
この軸支ブラケット39は、下片部39a,上片部39b及び接続片部39cの周囲に張り出した止着片部39d,39e,39fによって収納ケース31の内側面に固定される。
【0048】
下片部39aは、上片部39bよりも前記手前側(図12によれば右側)へ突出するように設けられ、この下片部上における固定軸38bよりも前記手前側には、固定軸38bを前記手前側に乗り越えさせて離脱可能にする小突起39a1が設けられている。
詳細に説明すれば、図12に示すように、上片部39bの前記手前側の端部と小突起39a1の突端部との間隔wが、固定軸38bを通過可能な広さに設定されている。
この構成によれば、止着具41を外した状態において、固定軸38bが、前記手前側へ転がって軸支ブラケット39から脱落してしまうのを、小突起39a1によって防ぐことができ、製造時やメンテナンス時に、巻取軸38を軸支ブラケット39に着脱する作業を容易に行うことができる。
【0049】
また、止着具41は、固定軸38bの端部側、下片部39a及び上片部39bに挿通されたボルト状部材41aと、該ボルト状部材41aの先端側に螺合され締め付けられたナット状部材41bとを有する。
この止着具41及び軸支ブラケット39等によれば、固定軸38bの端部側が軸支ブラケット39に対し上方へ移動するのを規制することができ、ひいては、巻取軸38端部側の上方への移動に伴って、該巻取軸38の軸方向中央部が自重により下方へ撓むのを抑制することができる。
【0050】
なお、図2中、符号28は、開閉体10下方側の障害物を感知する障害物感知センサである。
この障害物感知センサ28は、障害物を非接触感知するセンサ(例えば、光電管センサ等)であり、その感知信号を収納ケース31内の制御回路40に送信する。制御回路40は、前記感知信号があった場合に、閉鎖動作中の開閉体10を停止や反転等する。
【0051】
また、上記実施態様において、気密部材35bの開閉体幅方向の端部は、螺合部材34の交換作業を容易にするために、また気密性能を極力損ねないようにするために、好ましくは係合子ガイド部材33と干渉しない位置に配置される。
ここで、係合子ガイド部材33と干渉しない位置とは、例えば、気密部材35bの開閉体幅方向の端部が係合子ガイド部材33までは達しない位置である。なお、気密部材35bの開閉体幅方向の端部は、係合子ガイド部材33に達し更に超えるように配置することも可能であり、この場合には、例えば、気密部材35bにおける係合子ガイド部材33と一致する箇所に、係合子ガイド部材33を挿通させる切込みを設けたり、該箇所を部分的に取り除いたりすればよい。
また、気密部材35bの開閉体幅方向の端部を係合子ガイド部材33と干渉しない位置とする構成について、他例としては、気密部材35bの先端部を、係合子ガイド部材33の開閉体厚さ方向の前端部(図2によれば右上端部)よりも前側(図2によれば右側)に配置して、該先端部を開閉体10面に接触した態様や、これとは逆に、気密部材35bの先端部を、係合子ガイド部材33の開閉体厚さ方向の後端部(図2によれば左下端部)よりも下側に配置して、該先端部を開閉体10面に接触した態様等とすることも可能である。
【0052】
また、上記実施態様において、螺合部材34の位置関係は任意に設定することが可能であるが、好ましい一例としては以下のようにする。
螺合部材34を交換する場合に複数の螺合部材34を同時期に交換する必要性があることを考慮すると、その交換作業性を良好にするためには、係合子ガイド部材33に対し、複数の螺合部材34全てが上側(図2によれば右上側)または下側(図2によれば左下側)のいずれか一方に偏って位置することが好ましい(図7参照)。
例えば、螺合部材34の交換作業に際し、開閉体10や開閉駆動軸32、収納ケース31上部等との位置関係により、より上側での作業性が良好な場合には、複数の螺合部材34を気密部材35bよりも上側に偏って配置する。逆に、より下側での作業性が良好な場合には、複数の螺合部材34を気密部材35bよりも下側に偏って配置する。
【0053】
また、上記実施態様において、螺合部材34と支持ブラケット37の関係は、以下のようにするのが好ましい。
螺合部材34の雄ネジ部34aが支持ブラケット37から突出する長さは、支持ブラケット37の上側の折曲部37bの長さよりも短くする。すなわち、雄ネジ部34aが、折曲部37bよりも開閉体幅方向の外側へ突出しないようにする(図8図10参照)。
【0054】
上記実施態様によれば、螺合部材34の着脱によって係合子ガイド部材33を移動する構造にしたが、他例としては、係合子ガイド部材33と支持ブラケット37のうち、その一方に開閉駆動軸32中心方向へ向かうガイド溝を設けるとともに他方には該ガイド溝に嵌り合って移動可能な凸部を設けるようにしてもよい。
この他例によれば、前記凸部を前記ガイド溝に嵌め合わせてスライドすることで、係合子ガイド部材33をギヤ32a周りの係合子12に接近させることができる。
【0055】
また、上記実施態様によれば、開閉体10の上端側を開閉駆動軸32によって交差方向へ導き、この開閉体10を巻取軸38に巻き取るようにしているが、他の発明としては、開閉駆動軸32を省くとともに、ガイドレール20の上方側に巻取軸を設け、この巻取軸によって直接開閉体10を巻き取ったり繰り出したりする構成とすることも可能である。
【0056】
また、本発明は上述した実施態様に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0057】
1:開閉装置
10:開閉体
11:開閉体本体
12:係合子
20:ガイドレール
30:収納部
31:収納ケース
32:開閉駆動軸
33:係合子ガイド部材
33b:貫通孔
34:螺合部材(第1の螺合部材)
34’:螺合部材(第2の螺合部材)
34d:スペーサ
35b:気密部材
37:支持ブラケット
38:巻取軸
38a:巻取体
38b:固定軸
39:軸支ブラケット
39a:下片部
39a1:小突起
39b:上片部
A:躯体壁面
L:リード線
S1,S2:センサ
a1,a2,a3:下地鉄骨
c:仕上材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12